お父さん、お母さん ぼくらはついに帰ってきた
懐かしい我が家に とびきりの晩ごはんの香り空の果てにも行ってきた 海の底にもともだちがいた
森の王にも会ってきた 夜の星にもキスしたよたくさんたくさん話したい 海の砂ほど語りたい
星の数ほど伝えたい いっぱい思い出あるけれど「おかえり」といってくれたから ぼくらを抱きしめてくれたから
今は涙がとまらない ・・・ただいま!
楽しかった冒険旅行も終わり、ついに大好きなお父さんとお母さんのところに帰ってきた双子とネコのイラストです。
絵と簡単なお話で紡いできた、双子の姉弟のゆめとまなき、そしてネコのファンタスの物語、ここで第一部完結です!
ずっと絵を見てくださった方はわかると思いますが、本当にいろいろなところに行きました。
ゆめとまなきは、数年前から、わたしの中に生まれたパーソナリティでした。本当は、わたしが小学生頃から考えているファンタジー世界の住人として登場した双子でした。魔法が使えたり、特殊な能力をもっていたりするのですが、それはひとまず置いておいて…。
わたしは夜寝られないことがとても多かったので、物語を発展させるのが楽しみだったのです。でも、ゆめとまなきのイメージはずっとあやふやで、どんな姿をしているのかはわからず、ただ性格だけはよく知っていました。
ゆめはいつも大はしゃぎで快活なお姉ちゃん。まなきはおとなしく、引っ込み思案だけど、お姉ちゃんに助けられて世界の運命を担う存在に成長していく…そんなふたりです。
ゆめとまなきの名前は、わたしの名前YuKiからとりました。YuとKiに分割して愛(め/まな)という漢字を足せば、ふたりの名前になるのです。
ゆめまな物語のイメージが固まりだしたのは、はじめて、ふたりの絵を描いてみたときです。
それは去年の11/26日の絵、「ふたりはいつまでもいっしょ」です。後ろの落ち葉のように、時が経って月日が流れても、ふたりの固い絆は変わりません。
でも、まだふたりはただの子どものままでした。現実世界の子どもとなんの変わりもありません。魔法が使えるわけではありません。
そんなとき、前触れ無く、3番目の登場人物?が現れることになります。
ゆめまな物語のはじまりを決定づけた絵が、次に挙げる一枚、「雪の日おでかけ楽しいな」です。今年の1/3の絵です。頭に何か乗っています! そう、ネコのファンタスです!
ネコのファンタスは、わたしの昔の絵からやってきた、(でもおとなしくかわいい姿になった)特別なネコです。だから黄色いネコなのです。ファンタスは、文字通りファンタスティックですから、ゆめとまなきの双子を、かつてない大冒険に連れて行ってくれました。ゆめまな物語の始まりです!
この絵以降、わたしの中で、何かがふっきれた感じがして、次々と創作のアイデアが浮かびました。いろんな動物に会いに行ったり、世界中を旅したり、海にもぐったり、メルヘン世界に旅立ったり。
なぜファンタスをゆめの頭に載せようと思ったのかはよくわかりません。ただ、そうすればかわいいかな、と思っただけでした。それが、これほど多くの絵を描くきっかけになるとは思いませんでした。
その後の大冒険は、絵を見てもらえたらわかります。ゆめとまなき、ファンタスのデザインは少しずつ変化して、今の姿になりました。
最初は、動物の模写に双子と1匹を絡ませる絵が多かったです。そのうち、海の中を舞台にしたマリンファンタジーを描くのが楽しくなりました。
「海のお城のお姫さま」は今でもお気に入りの一枚です。
マッコウクジラと一緒に深海に潜ったり、ほしくずライオンに乗って疾走したり、気球に乗って渡りチョウと旅をしたり、地底の水晶洞窟に潜ったり、ワシの翼に乗って成層圏に飛び出したりもしました。ありとあらゆるところに行きました。
どの絵もお気に入りで、どれかを選ぶのはとてもむずかしいですが、「命の森の樹の下で」はかわいく2人と1匹をまとめられた一枚だと思っています。色合いも三人の表情もメルヘンらしくて気に入っています。
「雲くじらの見える城下町」では、物語世界の設定を少し活かしてみました。ほんとうはこんな世界で住んでいるふたりなのです。
ゆめまな物語をいったん終わらせることにしたのは、ちょっと気落ちして絵を描くことの楽しみが薄れていたからです。
その点についてはまた別の機会に書くとして、ゆめまな物語を一度終わらせたのはよかったと思っています。なんといっても、ここ最近の家に帰る道のりの4部作というかけがえのない作品ができたのですから。
わたしにとって、ゆめまな物語を一区切りまで描けたことはとても幸せでした。自分の世界をこれほど充実して描き上げられたのは、人生で初めてです。
ゆめとまなきの名前は、わたしの名前からとったと書きましたが、わたしの子どものような存在です。わたしもそろそろ子供がいてもいい年ですが、そんな状況ではありません。でも、絵の中とはいえ、息子と娘がいるのはとても嬉しいことなのです。
最後に描いたこの一枚は、わたしの理想の家族を描きました。決してうまい絵でも、インパクトがある絵でもないかもしれません。でも、あったかい家族を描けるようがんばりました。ふたりと1匹には帰るところがあるのです。
子どもは帰る場所があるから、外の世界へ冒険できる。自分を無条件で愛してくれるお父さん、お母さんがいるからこそ、ゆめとまなきは心ゆくまで冒険の旅を楽しめたのです。
ゆめとまなきとファンタスはまた冒険の旅に出るでしょうか。
それは今のわたしにはわかりません。わたしは、絵を描きつづけられるかどうか、今はあまり自信がないのです。
でも、できることなら、再び冒険の旅に出してあげたいと思っています。
それでは、再び会うときまで。これまでふたりと1匹の大冒険を見てくださったみなさま、ありがとうございました! 本当に幸せな半年間でした!