「昔…どうしても登りきれなかった塔があるんだ…」
ふと男の子がつぶやきました。「ソラでも無理だったの?」
女の子は不思議そうに驚きます。女の子は、ずっと男の子と一緒に世界を旅してきて、彼に行けない場所はない、ということを知っていました。ソラは最高のトレジャーハンターでした。「あのとき、ぼくは知ったんだ。どうやっても、一人じゃ、この塔のてっぺんに辿りつけないって。恐ろしい竜と、なぞめいた仕掛けが行く手を阻んで、古代の宝玉を守っているんだ」
男の子は、うつむいて苦い思いを噛み締めます。「だけど…」
男の子はすっと顔を上げて、力強い瞳で女の子を見つめて言いました。「だけど、今なら…。
もしハナが一緒に行ってくれるなら、きっと頂上までたどりつける。二人で行けば、きっと必ず。
ハナ、一緒に行ってくれるかい? あのとき、どうしても登りきれなかった塔、クリスタルタワーに」「ソラ…、
もちろん、喜んで!」
女の子は満面の笑みでうなずきました。これまでになく手強い冒険が始まりそうです。
クリスタルタワーの巨大な門
今回の絵は「空花物語」のクリスタルタワー。クリスタルタワーと言うと、何がモチーフか、きっと思い当たる人がいそうですね。引き返すに引き返せない、あの恐ろしい塔のことです(笑) あれは長過ぎました…(>_<)
何やら、ソラが一人で攻略できなかったから、ハナに一緒に行ってほしいと頼んでいますが、一人だと起動できないギミックがあったりするのでしょうか。同時にスイッチに乗るとか、一人が竜を引きつけているうちに奥のレバーを操作するとか(笑)
この絵は、じつは前回の絵、「ゆめまな物語」の「光さす海底宮」とセットのアイデアです。
一見ぜんぜん違うように思えますが、もともと、水晶のお城の巨大な門をくぐったところにあるステンドグラスを描きたいなーと思っていたのです。
でも、巨大な門とステンドグラスを同時に描くのは、構図的に不可能です。門は上のアーチを描かないと門にならないし、そうしたらステンドグラスは隠れてしまうし。
というわけで、ステンドグラスの絵と、巨大な門の絵を別々に描くことにして、それぞれの絵ができました。
結果的にステンドグラスのほうは「ゆめまな物語」らしい海&虹色の絵になって、巨大な門のほうは、「空花物語」らしいファンタジー世界の、紫を基調としたダンジョンの絵になったので、一挙両得でした。
相変わらず建物を描くのは苦手で、この絵もかなり適当ですが、わりとスムーズに頭の中のイメージを形にできたので良かったです。
一番描きたかった巨大な門の重厚さは、ある程度は表現できたんじゃないかな。高さと大きさを表現するために、上に収束する透視図法を使って、アオリの構図にしてみました。
壁の装飾などは…もっと細かく丁寧に描きたかったのですが、いつもの通り、根気がありませんでした。