発達障害の音過敏にも使える? 騒音域だけシャットアウトするハイテク耳栓使ってみた感想


たしは子どものころから音過敏があります。人よりも騒音に敏感で、交通量の多い道路や工事現場、電車のホーム、USJなどのテーマパークの園内放送の音、映画館の音など、どの場合でも音が大きすぎて、耳を塞がないと苦痛です。

これまで、そうした場には、普通の耳栓を持っていくようにしていたのですが、つけ心地が悪く、うっとうしく、しかもあまり効果がないということで望ましい効果が得られませんでした。そんなとき主治医から、WESTONE TRUユニバーサルイヤープラグなるものを紹介されました。騒音域だけカットしてくれて、会話は普通に聞こえる優れものだとのこと。

ホワイトノイズを使うようなタイプとは異なり、特殊なフィルターの構造で騒音をカットするので、電池などは必要ありません。

特に、騒音の強い作業現場で仕事をしている人や、音楽関係の人、そして音過敏の強い発達障害の人などに愛用されているらしいです。

わたしも、さっそく買って、半年ほど使ってみたので、その感想を書きたいと思います。

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ユニバーサルイヤープラグの3つの種類

このWESTONE TRUユニバーサルイヤープラグは、騒音から耳を保護するために作られた耳栓(米国環境保護庁 認証済み)だそうです。昨今、公共施設で音のボリュームの標準が上がっていますが、現代社会は難聴の人が増えています。

いつもつけているテレビの音、携帯電話やスマートフォンの音、そして常にイヤホンで聞いているオーディオプレーヤーの音が大きすぎるせいで、気づかないうちに耳の感覚器官、コルチ器に損傷を来たしている人が大勢います。

脳神経学者のオリヴァー・サックスは、音楽嗜好症(ミュージコフィリア)―脳神経科医と音楽に憑かれた人々の中でこう書いていました。

しかしひどい傷害からは守られているとはいえ、繊細な有毛細胞をもつコルチ器は、ほかの意味で脆弱だ。

そもそも大きな音に弱い(飛行機、ロック・コンサート、がんがん鳴るiPodなどは言うまでもなく、救急車のサイレンが鳴ったり、ゴミ収集車が来たりするたびに損害を受ける)。(p186)

ときどき電車の中で、ヘッドホンから漏れるほどの音量で激しい音楽を聞いていたり、公道をオーディオをガンガン鳴らしながら通り過ぎていく車に遭遇したりしますが、たぶん耳がかなりやられているのでしょう。

そうならない予防策として使えるのが、このWESTONE TRUユニバーサルイヤープラグ

以下のページで説明されているように、この耳栓には3種類あります。

音楽を楽しむためにもWestone TRUイヤープラグで耳を守ろう!|テックウインド株式会社 はてなブックマーク - 音楽を楽しむためにもWestone TRUイヤープラグで耳を守ろう!|テックウインド株式会社

■レクリエーショナル…専用固定フィルター。約4000円
■プロフェッショナル…カットできる音域が異なる複数のフィルターに換装可。約11000円
■カスタム…耳型を取って完全にフィットする自分だけの耳栓。フィルター換装可。約25000円

ちょっと音過敏なくらいな人はレクリエーショナル、重度の音過敏や、音楽関係、工事現場などの仕事をしている人はプロフェッショナル、つけ心地にこだわる人はカスタム、という感じでしょうか。

わたしはとりあえず安価なレクリエーショナルを買いました。

ユニバーサルイヤープラグを使ってみた感想

ユニバーサルイヤープラグを買ってから、この半年くらいずっと使ってきましたが、感じたこと、気になったことを4つの項目別に書きたいと思います。

■つけ心地

まずは耳栓をつけた人ならみんな気にするつけ心地。今回買ったレクリエーショナルには、大小2種類の耳栓が入っていて、自分の耳のサイズに合わせられるようになっていました。

しかしあくまで2種類。普通の耳栓よりは確かにつけ心地はいいですが、ぴったりフィットとまではいきません。最初のうちはけっこう違和感も感じていて、果たして使い続けるかなーと疑問でした。

どのくらいしっかりフィットするかによって騒音の遮断の程度が変わってきて、装着しててすぐはしっかり耳に はまっていて騒音遮断もしっかりしているのですが、つけたまま色々やっているといつのまにか外れてきてしまって、知らないうちにシャットアウト効果が低下してしまいます。気づくたびに耳にはめなおさないといけません。

買って1から2ヶ月のころは、耳にフィットするカスタムを注文しなきゃなーという印象でしたが、半年経つと案外慣れてきてしまって、メガネみたいなもので、ずれてきたらつけなおすもの、というのが染み付いてきました。つけなおすといっても単に耳に押し込むだけなので、手間はかかりませんし。ただサイズが合わなさすぎて耳から頻繁に抜けてしまう人は落とさないように注意。

また、耳栓の宿命として、ある程度自分の声がこもってしまう「外耳道閉鎖効果」という欠点があります。それでも普通の耳栓に比べたらかなりましですが、慣れないころは、自分の歯の音や呼吸音などが響いて、どうにも気になりました。

けれども、当初は耳栓としての違和感があったものの、半年も使っていると不快感を感じなくなりました。耳栓をはめているのを忘れていることもしばしば。つけ心地に関しては、身体過敏があって装飾品を身につけられない人でなければ、習慣や慣れの問題かなーと思います。

■騒音の遮断具合

次に重要なのは、騒音の遮断具合。

結論からいえば、それなりに軽減してくれます。最初に述べた工事現場の音や自動車の騒音などは、うるさくて苦痛なレベルから、大きな音だけど大丈夫なレベルまで下がります。ずっと外出のときにつけていると、恩恵を忘れてしまうんですが、たまに耳栓を忘れて外に出ると、自動車の音がうるさすぎて、慌てて耳栓を取りに戻ります。それくらい快適さが違います。

また家の中でも、圧力鍋の料理のときや、掃除機をかけるときに重宝。これもやはり、つけないでやるとガンガン響きますが、耳栓をつけていると許容範囲内の音量になる感じです。そのほか、友だちとハングアウトで話していて、なぜか音割れがひどいときにつけるととても快適になりました。会話は聞こえて、音割れの音だけ小さくなります。

しかしあまりに大きすぎる音や、一部の特殊な騒音はうまくカットできません。電車がホームを通過する音は大きすぎるのか、イヤープラグをつけていても苦痛なほどうるさいので、自分で耳を塞いでいます。また救急車のサイレン音は、多分レクリエーショナルのモデルではカットできる音域に含まれていないのか、普通にうるさいままです。コンサートなどは、友人同士で集まって演奏するくらいなら十分聴きやすい音量になりますが、コンサートホールなどのイベントでは、カットしてもまだ音量が大きすぎます。

わたしは日常生活の範囲では問題ありませんが、もしこうした場面が多いのであれば、1ランク上のプロフェッショナルモデルを買ってフィルターの使い分けをしたほうがいいと思います。

■会話は聞こえるのか

騒音はシャットアウトして会話は聞こえる、というのは、確かにだいたいの場合においてはそのとおりです。最近は外出すると、ずっと耳栓をつけたまま、友人や同僚と会話していますが、ほとんど問題ありません。

ただ、時々会話で聞きとりにくい人がいるのも事実。聞き取りにくい人の声はいつも聞き取りにくいので、たぶん声質の問題だと思います。たまたまその人の声がカットされる音域と重なっているのでしょう。このあたりは、周囲の人の声質や、自分自身の聞き取りやすい音域などで色々関わってくると思うので、人によって感想は変わりそうです。

逆に、まわりの音が小さくなるため、自分の声の大きさのコントロールが難しく感じることが時々ありました。自分の声が少しこもることもあって、適切な大きさの声で話せているのかが、わかりづらいときがあります。

また、よく発達障害系の人の問題として、人が大勢いる場で、目の前の相手の声だけを聞き取る「カクテルパーティー効果」が難しい人がいます。

脳はいかに治癒をもたらすか 神経可塑性研究の最前線によると、この効果は、聴覚にさついて先進的な研究をした医師アルフレッド・トマティスにより発見されたそうです。

異論はあるかもしれないが、彼の果たしたもっとも重要な発見は、「耳は受動的な器官ではなく、特定の音に焦点を絞って、その他のノイズを排除する、いわばズームレンズのような働きをする」というものだ。トマティスはそれを聴覚ズームと呼んだ。

パーティー会場に入った直後、特定の会話に焦点を絞るまでは、わずかに異なる種々の周波数で生じる騒音が聴こえてくる。それから特定の会話に意識して聞き入る。

生理学的な観点から言えば、この聴き取り行為は受動的なものではない。なぜなら、中耳の二つの筋肉が、特定の周波数に焦点を絞れるよう、また、突然の大きな音から聴き取りを保護するよう作用するからだ。

ほとんどの人においては、聴覚ズームを可能にするこの筋肉の調整は、たいがい無意識のうちに自動的に生じる。たとえば、突然の大きな音は反射的に締め出される。(p446-447)

トマティスはまた、これらの筋肉が弱くて十全に機能していないと(子どもの多くはこの状態にある)、低周波音、つまり背景のノイズを過剰に受け取り、高周波の音声を十分に受け取れなくなることに気づいた。

音声に合わせられるこれらの中耳の筋肉は、脳によって調節される。(p447)

わたしの場合、もともと、カクテル・パーティー効果が非常に難しいというほどではありませんが、どちらかというと苦手な傾向はあるかもしれません。ADHDの人は子どもの脳の名残を残したまま大人になったと言われたりしますが、やっぱり選択的注意が苦手で、ちょっと気が散りやすいのでしょう。(自閉症の人たちは、もっとこれがひどくて無作為に音がなだれ込んできたりするそうです)

耳栓をつけたことで、人が大勢会話している場所の音量が小さくなったという意味では楽になりましたが、その中で目の前の相手の声を聞き取るのは相変わらず神経を使います。つまり、騒音はカットするけれど、「選択的注意」が苦手なのを改善してくれるわけではないということでしょうね。

■周りの人の反応

ひとつ気になったのは、耳栓をつけて会話していると失礼に感じる相手がいるのではないか、ということ。目立たない色ですが、耳から引き抜くための取っ手部分が目立つので、何かを耳にはめていることには気づく人が多いです。

しかし実際に会話してみると、会話は聞こえて、問題なくやりとりできるので、相手も気にしない人が多いようでした。むしろ普通に会話できるので、耳栓ではなく補聴器かと思って尋ねてくる人もいました。

何つけてるのと聞かれたら「音に敏感なので騒音域だけカットできて会話は聞こえる耳栓をつけてるんですよ」と言うと、嫌な顔をする人はおらず、むしろ自分も興味あると言って面白がる人が多いです。

ただし、これは自分のコミュニケーション力の程度にもよると思います。わたしは積極的に自分から話しかけて会話をもり立てるタイプなので大丈夫みたいですが、自閉系の方など、普段人に話しかけるのが苦手で内気な人の場合は注意が必要かもしれません。

こちらから話しかけないと、周りの人が遠目で、あの人耳栓みたいなのをつけてるから、話しかけてほしくないのかなと遠慮したり、人との付き合いを拒む意思表示として耳栓をつけているのかなと誤解されたりするかもしれません。

わたしの場合はそんな経験はないので、それが実際にありうることなのか、失礼に感じる人がいるのか、確かなことはいえませんが、人と関わる機会が多い場合は、一応身近な人にはどんな耳栓なのか説明しておいたほうがいい気はします。

おおむね満足して愛用中

そんなこんなで、メリット・デメリットはいろいろありますが、わたしはおおむね買って満足しています。少なくともこの半年間使い続けているわけですし、外出するときやうるさい家事をするときに、耳栓をつけずにするというのは、今となっては考えられないです。最初の1-2ヶ月は使ったり使わなかったりでしたが、日が経つごとに慣れて手放せなくなってきています。

これから買おうかと思っている人に向けて、買う前に考慮してほしいポイントは以下の4つ。

■音過敏の程度
単に大きな音が不快というレベルならレクリエーショナルでOKだが、音過敏が強くて音が頭につきささるとか、気分が悪くなる、パニックになるというレベルの人は上位モデルのほうがいいかも

■つけ心地への身体的過敏の程度
腕時計やメガネなど、体に何かを身につけるのが不快で難しいというほど身体的過敏の強い人には向いていないかもしれない。どちらかわからないなら、最初は普通のモデルを買ってみて、ある程度気に入ったら、カスタムを注文して耳型を取るのもありかも。

■生活のスタイル
人とよく会話する人は、会話が聞こえやすいレベルのレクリエーショナルを使うくらいでいいかも。騒音がうるさく、人とほとんど会話しない現場で働く人は大音量対応のプロフェッショナル。どちらもある人はプロフェッショナルでフィルターの使い分け。

■どうしても個人差がある
結局のところ、その人の耳のサイズによってレクリエーショナルやプロフェッショナルは遮音効果が変化するし、音過敏の程度や難聴の進み具合によって、騒音だけカットして会話は聞こえる、という特徴が実現できるかどうかは変わってしまう。悩むようなら、手頃な価格のレクリエーショナルを買ってみて、しばらく使ってから上位モデルを買うべきか考えたほうがいいかも。

もし本当に役立つかどうか気になるなら、騒音の大きい場所で働く同業者や、発達障害支援関係の人に聞いてみたら、感想を聞けるかもしれません。この耳栓のほかにも騒音をカットするアイテムは色々あると思うので、もっと自分に合ったのが見つかる可能性もあります。

わたしの場合はADHDで通っている病院の主治医の紹介でした。主治医自身もADHDで音過敏があるので、詳しかったのだと思います。音過敏というと自閉症やアスペルガーでよく聞きますが、ADHDの場合も先ほどの「カクテルパーティー効果」が弱いせいで、周りの色々な音が聞こえすぎてうるさく感じる人がいるようです。多動で落ち着きのない子どもの中にも、じつは音が不快なせいで暴れてしまっている子がいるとか。

知り合いの数人のADHDの人(アスペルガー傾向はない方々)に聞くと、けっこう音に敏感な人がいるような気がしました。特にキーンと響く高音域が聞こえすぎるという人がいて、なにかしら共通点があるのかなーと思いましたが、よくわかりません。

それに対して、アスペルガー系の人の場合は、大きな音が頭につきささったりパニックになったりする人もいて、同じ音過敏といっても程度や苦しさのベクトルが少し違うような気がしました。

ADHDの人(わたし含め)は音過敏でも積極的にパーティーやらライブやらに行くのに対し、アスペルガーの音過敏の人はそうした場を避けて行かないようにしている人が多いです。

いずれにしても、感覚の過敏性を持つ人の場合、社会に出て生活するには、自分で対処するしかないので、今回の記事のように音過敏を軽減する耳栓を使ったり、光過敏を軽減するメガネをかけたり、皮膚過敏に配慮された衣服や石鹸を使ったり、嗅覚過敏に対応した活性炭マスクを使ったりと、色々試してみるといいかなと思いました。

▼カスタムタイプ作りました
その後、耳型を採って作るカスタムタイプを作りに行きました。経緯についてはこちらの記事の一部で書いています。

カスタムタイプについての情報や注文方法は以下のページにも載せられています。

あなたの耳型に合わせてカスタムオーダーできる。耳を守るカスタムイヤープラグ。|テックウインド株式会社

【騒音を抑えて音を聴ける耳栓】Westoneのシリコン耳栓「TRUイヤープラグ」【耳を守ろう】 -eイヤホンのブログ

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