「ソラ…あれは…!?」
「凍てついた時の都だよ、ハナ。
果てしない時の檻の中に、ずっと凍りついたまま、だれかを待ってるんだ」湖に沈んだ柱廊の中を、舟で進んできた二人。
崩れ落ちた屋根の隙間から、ついに凍てついた古代の都が姿を現しました。はるか昔に時を奪われ、朽ち果てることも、よみがえることもできないまま、ただ冷たい氷の中に閉じ込められた王国。そこには喜びも悲しみも、楽しみも痛みも何もありません。
いつか、だれかが氷を溶かしてくれるのを沈黙のうちに待ち続ける都。二人は封印を解き放つことができるのでしょうか。
2017年最初の空花物語の絵、凍てついた時の都を訪れたソラとハナを描きました。
初めて描いた縦長の絵
今回の絵は、用紙を初めて縦長に使ってみました。今までも、クリスタルタワーや世界一高い塔など、用紙を斜めに使って高さを表現する絵はありましたが、完全に縦に使って描いたのは初めてです。
今まで縦長の絵を描かなかったのは、単純に描きにくくて見にくいからです。使っているペンタブもPCも横長ワイドですし、印刷する場合も横方向のハガキに統一していたので、斜めはともかく縦長はとっつきにくい印象でした。
でも、サイトに載せて閲覧する場合は、最近はスマホのように縦長の画面で見ることも多いので、縦長だからといって、特に見づらいわけではないかもしれません。
何より、縦長の絵はずっと前から描いてみたいとは思っていました。縦長は高さを表現する絵を描くのにうってつけで、用紙を斜めに使ったり、正方形の用紙を使ったりするのとは比較にならないほど、高さを強調できるおもしろい絵が描けます。
2017年になったことだし、ひとつ新しいことをやってみようか、ということで、縦長の絵を描くことにしましたが、最初描こうとしていたのは、雪が降る町の高々とそびえる門をくぐっているソラとハナや、巨木がそびえる森を歩く二人など。
しかしラフスケッチを描いてみると、どうにも今ひとつだったので、前から描きたかった別のアイデアを使うことにしました。そのアイデアとは、湖に沈んだ幻想的な廃墟。
去年4月に描いた、空花物語の「翠緑の遺跡」の記事に、本当は「ターコイズブルーの幻想的な川を下り、川の水面に廃墟が映り込んでいるような不思議な風景」を描きたかったというくだりがありますが、そのとき描きたかったのは今回の絵みたいな風景だったのです。
水面に廃墟が映り込んでいる、という部分は、水面を幻想的に光らせたかったので、あえて取りやめましたが、もともとの水面からそびえたつ廃墟のイメージはなんとか形にできたかと。廃墟の威圧感と物寂しさを表現したかったので、スケール感を出せる縦長の用紙はうってつけでした。
スケール感を出すということで、人物を小さくすることで、高さをできる限り強調して、縦長の構図を活かしてみました。人物二人は、今までの絵でも一番小さく描いたんじゃないかなと思います。
廃墟は…なかなかうまく描けず
新しいことに挑戦してみた今回の絵ですが、建物の描写としては、悔いが残るというか、力量不足をひたすらに実感させられました。
もっとリアルで物々しい建物にしたかったのですが、ディテールの描き込みがあまりうまくいかず、立体感も重厚さも今ひとつになってしまいました。もっとじっくり描き込めば、もう少しリアルになるかもしれませんが、相変わらず根気がないので、これで完成と。 空花物語のリアルな絵のときは、毎回こんなことばかり言ってますね…。まだまだ描写が甘いです。
廃墟を描いたのは、過去にも何回かあって、たとえば、もしもこの歌が届くならなど。
寂寥感のある絵がわりと好きで、昔はよく描いていたんですが、「ゆめまな物語」の明るく楽しい世界観には合わないのでしばらく描かなくなって、最近「空花物語」の世界観を使って、また描くようになりました。
どことなく暗く寂寥感のある世界、でもソラがいるから笑顔で冒険できる、そんな世界観を「空花物語」では描いていきたいなーと思っています。
今年もソラとハナにどんなところを冒険させてあげられるか、今から楽しみです。