◆登場人物 
翠河 瑠香(みどりかわ るか):論理的思考に長けた頭脳明晰かつ冷静沈着な少女。
神名 由梨菜(じんめい ゆりな):豊かな感性を持った瑠香の親友。
ネイ・ビクチャー:本名ネイ・コルネイト・スキャルト・ビクチャー。ベルギーの若き探偵で、犯罪捜査の天才。
ギヨーム・オジェ:『尖城』の持主。上の三人を招待した老人。
ニオルブ・オジェ:ギヨームの妻で病身の老女。
エルネスト・セヴィエール:ニオルブの主治医。
ウィリアム・ロジャー:詩人を名乗るアメリカの富豪。

第一幕

Ⅰ  始まり……

リジェル。それは、フランス国最長の河である。フランス語でロアールというこの河は、フランスの人々の心を支え、農業における隆盛や、芸術や文学の発展を助けてきた。流域に広がる田園牧歌の風景は、河の流れの蒼に映えて、いつの時代もフランスの人々、そして海外からの旅行者の心を魅了してきた。そのほとりに聳え立つ幾多もの古城は、そこに生きてきた人々の幾世紀にも亙る営みを体現している。

この話は、ここロアールの流れの上で始まりを見る……。