大地底湖 The Center of the Earth

大地底湖1.2

「ここは…」
男の子の手を引かれ、はるか地の底まで降りてきた女の子。わずかな明かりを頼りに歩いてきたその先には、目を見張るほど広い湖と、巨大な空洞が開けていました。

「ここは大地底湖。ぼくらの旅する大地の下に広がる、ほとんど誰も知らない別世界さ」
男の子の説明を聞きながら、女の子は大地底湖を見渡します、そして湖のはるか上に、霞んだ洞窟の天井から、鍾乳石のように巨大な建造物が垂れ下がっていることに気づきます。

その様子を見た男の子は笑みを浮かべて言いました。
「あれは街だよ」
女の子は目を丸くして驚きます。「こんなところにも人が住んでいるの?」
「ああ、そうだよ。ここには大勢の人が住んでいる。ぼくらの世界とは違う文明があるんだ。そして…」
男の子はやにわに厳しい顔つきになって地底湖の水面に目をやります。

「彼らが空中に都市を造っているのは理由がある。この湖には恐ろしい怪物が住んでいるんだ…」
男の子がそう言うと、二人の目の前を羽の生えたトカゲのような生き物が飛んでいきました。そして生き物が湖の水面近くまで降りたその時、水の中から巨大なアゴの怪物が飛び出して、その生き物を丸呑みにしてしまったのでした…。

大地底湖を臨むソラとハナの冒険を描きました。

一年以上お蔵入りになっていたアイデア

この絵の特徴である、地底湖の上に、逆さまになって天井から生えている都市群というのは、もう1年以上描こうと思って、なかなか着手できず、お蔵入りになっていたアイデアでした。

たしか、最初に下書きしたのは、「空花物語」が始まっていなかったころでした。1年どころか2年近く前かもしれません。当時アイデア出しによく使っていた落書き(なぐり描き法)から生まれた構想の一つで、わりと気に入ったので、いつか描こうと思いながら、ずっと描く予定リストに載せたままでした。

なかなか描けなかった理由は、暗くて地味なイラストになりそうだということ。ただでさえ地底湖というだけで暗いのに、天井から伸びる都市群もイメージとしては地味な色だったので、虹色も使いどころがなく、ダークな絵になりそうだ、と感じていました。当時の「ゆめまな物語」にはまったくふさわしくないアイデアだったわけです。

しかし最近になって、「空花物語」シリーズのほうで、暗いダークな雰囲気の絵を描くようになって、世界一高い塔夜光樹の集落翠緑の遺跡など何枚かわりと雰囲気のある絵を描けたので、今なら描けるかもしれない、と思いました。

そもそも、もともと、わたしはカラーの絵が苦手で、配色のセンスのなさをごまかすために虹色の絵を描き始めたので虹色が合わない絵は避ける傾向がありました。

しかし何百枚と描いているうちに、去年の夏以降、徐々に虹色でない絵もそれなりに描ける余裕が出てきたので、いつもの虹色のメルヘン絵は「ゆめまな物語」のほうで、一方、虹色がふさわしくないタイプの絵、つまり重厚なファンタジー系の絵は、「空花物語」のほうで描いて、虹色以外も練習しようと思うようになったのでした。

そんなわけで、「空花物語」の絵は、安易に虹色に頼らない、という縛りをかけていつも描いているのですが、ずっとお蔵入りだった地底湖のアイデアはそれにうってつけだな、と思って、ようやく引っ張りだしてくることができました。なんとか形でにできてよかったです。

地底湖の逆さま都市

この絵のアイデアは設定こみで色々と考えてありました。

まず、地底湖の発光バクテリアが、太陽の代わりに下から明るく照らしていて、洞窟でもある程度の明かりがあるということ。そして、地底湖には凶暴な魚が生息しているため、人々は、天井から生えた空中都市に住んでいて、羽のある爬虫類に乗って移動していることなど。

ちなみに凶暴な魚のイメージはかの有名なダンクルオステウスですね。デボン紀に生息していた10m近いあのコワモテの魚。もしあんなのが湖にいたら近寄れないでしょう。空飛ぶ爬虫類は、ペルム紀のコエルロサウラヴィスあたりかな。完成した絵では見栄え重視で鳥っぽくしてしまいましたが。

個人的にはこんな文明にはあまり住みたくないですが、ソラとハナみたいに冒険で訪れる都市の一つとしてなら、ぜひ行ってみたい気がしますね(笑) きっと、危険だとわかっていながら、都市を拠点にしながら湖の中に沈んだ古代遺跡とかを探検しにいくハメになるに違いない…。そしてダンクルオステウスから逃げながら遺跡に入ったら出られなくなって、刻一刻と酸素の限界が迫るなか、命がけの脱出劇が…。  恐ろしい冒険ですね(^_^;)

画力が少しついたことで、以前は無理だと思っていたアイデアも、ある程度描けるようになるのは本当に嬉しいですね。これからもいろんなテーマに挑戦していきたいと思います。

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