星空のカーテン Close the Curtains of the Starry Sky

夕焼け染まる赤い空
黄身色たまごが沈んでく

ライオンぼーっとおおあくび
ぞうさん うとうと目を閉じる

もうすぐ夜だね 寝る時間
今日もたくさん遊んだよ

さあ閉めよう 星空カーテン
またたく星がきらめいて

藍色深まる満天夜空に
流れ星の子守唄

ほどよい疲れに夢心地
みんなおやすみまた明日

太陽が沈んだ夕焼け空に、星空のカーテンを閉めて、夜が訪れる、というメルヘンな絵を描きました。

■カーテンを閉めるから夜になる
夜になってカーテンを閉める、というのを逆に考えて、カーテンを閉めたら夜になる、という意味をもたせたのがこの絵です。因果関係を逆にする、というのはメルヘンの常套手段の一つです。

たとえば「不思議の国のアリス」では、アリスが「私たちの国では、とても速く走っていればふつうはどこかに着く」と言うと、赤の女王は「 ここでは同じところに留まっているためには全速力で走らなくてはならないのだ」と言いました。これは、メルヘンにとどまらず、適応進化に関する「赤の女王仮説」としても有名ですね。

西洋的な時間の捉え方では、わたしたちが前に進むから時間が過ぎると考えますが、東洋的な時間の捉え方では、時間が前からやってくるから、わたしたちの周りが変化すると考えます。これはどちらが正しいということはわかっていませんが、片方の概念を持っている人から見れば、もう片方はメルヘンチックに思えます。

今回のカーテンを閉めたら夜になる、という発想は、何も新しいものではなくて、昔の日本人がすでに「夜のとばりが降りる」という言葉で表現していたことです。とばりとは幕のことなので、幕を下ろしたから暗くなるということを比喩にしています。

昔の人たちは、自然現象の因果関係についての十分な知識がなかったので、まったく逆に考えて、メルヘンチックな世界観を持っていることがよくあります。地動説が理解される前、まったく逆の天動説が信じられていたということも、逆説的なメルヘンの典型例といえるでしょう。

もちろん今の時代でも、逆説的な考え方のどちらが正しいのか議論されているような問題はいろいろあって、たとえば宇宙が厳密に調整されているから人間が存在しているのか、人間が存在しているから宇宙が厳密に調整されているのかといった議論があります(人間原理的宇宙論)。100年後には、どちらかが間違いだとわかって、昔の人はこんなファンタジーを真剣に考えていたのだと笑われているかもしれないですね。

ほかにも、これまでの人生を生きてきた結果として二人はめぐり逢えた、というのは普通の考え方ですが、二人がめぐり逢うために、これまでの人生が定められていた、と逆説的に考えると、なんだかメルヘンチックな感じがします。この前描いた二人は必ずめぐり逢うはそんな世界観です。

なんだか難しい話になりましたが、因果関係を逆に考えるとメルヘンやファンタジーのようなおもしろさや、新鮮な見方が生まれやすいということです。

■色彩恒常
今回の絵は、カーテンという左右対称のものが主題なので、いつも多用する斜めの非対称構図ではなく、用紙を横向きに使った左右対称の構図にしました。テーマによって使い分けると良さそうです。

色使いは、夕焼けということで、全体的に赤みがかった色にしました。芝生の色も緑ではなく、カラーサークル上で赤に寄せて、枯れ草色っぽくしてあります。それでもなかなか感覚ではうまく色をとらえにくいのは確かです。

いつもと違う色の光の中では、色も変わるはずですが、いつもと同じ色に錯覚してしまうのを「色彩恒常」といいます。たとえば、自動車でトンネルの中に入ると、トンネルの中は低圧ナトリウムランプが使われているのでオレンジの照明です。ところが、前を走る車が青色だったら、脳はちゃんと青色だと錯覚してしまうのです。

色彩恒常の影響を受けないようにするには、じっくりと目を凝らして、理性のフィルターを外して、純粋な色だけに注目しなくてはなりません。

とはいえ、それが難しい人のために、レイヤー機能のあるパソコンのソフトなら、普通の色で描いて、最後に色つきのレイヤーをオーバーレイで重ねると、簡単に照明の色を反映した絵になります。

でも、絵の技量を上げるためには、レイヤーを使わずにでも、色彩恒常を打ち破れるようになりたいですね。

■先月の絵
先月の絵は、ちょっとスランプでゲームにかまけていたこともあって、4枚だけでした。まあ、枚数にはこだわらず、気楽に絵を描いていきたいと思うので、無理はしない方針です。

 

 

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