脳の病気や障害がきっかけで芸術家として開花したアーティストたち―幻覚からサヴァン,発達障害まで


■音楽家のベートーヴェンはさまざまな健康障害を抱え、うつ病とも闘った
■画家のゴッホは、あるとき逆上して自分の耳たぶを切り落とした
■作家のドストエフスキーは生涯てんかんの発作と闘った

偉大な芸術家たちについて調べると、必ず話題に上るのが、彼らのうちの多くが何らかの病気や障害と闘っていたようだ、という事実です。精神的に異常で、狂気と呼ばれた人もいれば、体の健康が優れず、早死した人、また日常生活の身の回りのことがうまくこなせなかったり、社会的スキルが身についていなかったりした人もいます。

これは、彼らが創作のために大きなストレスを抱えて、病気になったということなのでしょうか。

どうやらそうではないようです。もともと生まれつきそのような体質だったり、変わり者だったり、手のかかる子どもとして問題を抱えていたりした場合が多いからです。

むしろ、病気や障害で何らかのハンディキャップを抱えていることが、かえって創作に役立ち、創造性の源となっている可能性があります。中には、脳の病気になったことがきっかけで、突然芸術の才能を手に入れる人さえいるのです。

この記事では、そのような病気や障害というハンディキャップを抱えたことで、芸術家として成功したアーティストたちについて調べてみました。

 

幻覚がもたらす創造性

最初に取り上げるのは、幻覚です。幻覚はさまざまな要因で生じることがわかっており、たとえば統合失調症のような精神障害で生じることもあれば、LSDのような麻薬を使った時に生じることもあります。

さらに、視野が欠けたり、目が見えなくなったりすることで現れる幻覚もあり、それはシャルル・ボネ症候群(CBS)と呼ばれています。年がいって視力障害を抱えた年配の人は、CBSの幻覚を経験しやすいそうです。中には、CBSの幻覚をきっかけにして、創作のアイデアを得る人がいる、という点が見てしまう人びと:幻覚の脳科学という本に載せられています。

CBSの幻覚は、ひらめきを与えることもある。ヴァージニア・ハミルトン・アデアは若いときに詩を書き、『アトランティック・マンスリー』誌と『ニュー・リパブリック』誌で発表していた。

カリフォルニアで英語専攻の教授として働くかたわら、詩を書き続けたが、そのほとんどは未発表のままだった。

83歳で緑内障により完全に失明してから、初めての詩集『メロンの上のアリ(Ants on the Melon)』を出版し、高く評価された。

そのあとさらに二冊の詩集を出し、新しい詩のなかで、定期的に現れるようになったCBSの幻覚について、しばしば言及している。彼女の言葉を借りると、それは「幻覚の天使」がもたらす幻である。(p43)

このヴァージニア・ハミルトン・アデアという女性は幻覚が生じるようになったことで、詩人として豊かな発想力が得られたのです。

また、幻覚は、ショッキングなことを経験したためにフラッシュバックとして現れ、トラウマを抱える人を悩ませることがあります。しかし、中には、そのような幻覚をもとに創作をする画家もいたといいます。

私が『火星の人類学者』に書いた「記憶の画家」のフランコ・マニャーニは、故郷の小さい村ポンティトを追われ、何十年も帰っていなかったにもかかわらず、しょっちゅう繰り返されるポンティトの夢と幻覚につきまとわれていた。

それは理想化されて時代を超越したポンティトであり、1943年にナチスに侵攻される前の村に見える。

彼は何百という美しく郷愁に満ちた不思議なほど正確な絵として、その幻覚を具体化することに人生をささげた。(p302)

フランコ・マニャーニは、しょっちゅう夢に出てきて悩まされていた幻覚を、いっそのこと創作の題材にしてしまう、という手段で、芸術家として活躍しました。彼の幻覚は恐怖を感じさせるものではなく、懐かしさを感じさせるものであったことがよかったのでしょう。

フランコ・マニャーニについて詳しくはこちら。

「芸術とは夢を見るようなもの」―記憶の画家は終わらない子ども時代を描き続ける
記憶の画家フランコ・マニャーニを通して考える夢を描くということ

▼フランコ・マニャーニの絵(クリックで画像検索)

Dali

このように、幻覚はさまざまな形をとり、精神障害と関わっている場合もありますが、ときには創造性として活用する人がおり、芸術家の創作の助けとなっていることがわかります。

冒頭で例に上げた作家ドストエフスキーも、てんかん発作のときに生じる幻覚や恍惚感を、創作のアイデアとして用いていました。作家のエドガー・アラン・ポーも、寝るときに生じる幻覚をメモして、その内容を詩や小説に織り込んでいました。

片頭痛と幾何学模様

なぜイスラム美術、ギリシャ・ローマの芸術、アボリジニの芸術など、世界の至るところに幾何学模様を使った芸術が見られるのでしょうか。それはもしかすると、片頭痛を持っている人が見る幻覚と関係しているかもしれない、というユニークな仮説があります。

片頭痛の人は、発作がはじまる少し前、前兆として、ギザギザの幾何学模様が見えることがあります。これは中世の要塞のような形をしているため、「要塞スペクトル」と呼ばれています。そのギザギザ模様は、じつは、脳の視覚野を電気信号が伝わるときに生じる神経の活動の形なのだ、ということがわかってきました。

そのような幾何学模様は、幻覚剤を使ったときにも見えることがあります。見てしまう人びと:幻覚の脳科学という本にはこうあります。

ハインリヒ・クリューバーは、幻覚剤で生じる単純な幾何学的幻覚は。片頭痛その他のさまざまな病気で見られるものと同一である、と述べている。

彼の受けた印象では、そのような幾何学的図形は、記憶とも、個人的な経験や欲求や想像とも関係がなく、脳の視覚系の構造そのものに組み込まれていたのだ。(p158)

つまり、細胞レベルでの脳の電気的な神経活動が、幾何学的な模様を作り出していて、それが片頭痛や幻覚剤を使ったときに幻覚として見えるようです。

古代から世界中のさまざまな文化に、片頭痛などで幻覚を見る人は存在し、儀式用の幻覚剤なども使われていたので、芸術の幾何学模様の起源は、幻覚で見た脳の電気的活動の形にあったのかもしれません。

立体視ができない画家たち

画家にとっては、目はとても大切な器官です。目がよく見えなければ、キャンバスに向かうことも、正確に描くこともできません。しかし、中には目の機能障害がかえって、芸術の才能を伸ばすのに役だっている場合があることがわかっています。たとえば、外斜視や内斜視のような、両目でものを立体的に見ることがうまくいかない目の障害です。

心の視力―脳神経科医と失われた知覚の世界という本はこう述べています。

平面に3次元の幻影をつくりだそうとする写真家や映画カメラマンは、よりよい構図で画像を構成するために、意図的に自分の両眼視と立体視を捨てて、視界を片目と一枚のレンズに制限する必要がある。

2004年、ハーバード大学の神経生物学者、マーガレット・リヴィングストンとベヴィル・コンウェイは、《ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン》誌への投稿で、レンブラントの自画像を調べた結果、この画家は外斜視がひどくて立体視覚がなかったが、「一部の画家にとって、立体視ができないことは障害ではない―そして財産でさえある―かもしれない」と提唱した。

その後、ほかの芸術家の写真を検討して、デ・クーニング、ジョーンズ、ステラ、ピカソ、コールダー、シャガール、ホッパー、ホーマーなど、やはり重度の斜視で、おそらく立体視障害があった人がかなりいるようだと述べている。(p168)

ピカソやレンブラントを含め、そうそうたる面々の画家が挙げられていますが、彼らが絵を描くのが得意になった背景には、目の斜視が関わっていたのかもしれません。

デッサンをしたことのある人ならわかるはずですが、目の前に立体的なものを置いて、それを見ながら、平面である紙の上に形を描いていくのは簡単ではありません。たいていの人は、立体的なものを見ながら描くよりも、それを写真に撮ってから、写真を見本に描くほうが簡単なことに気づくでしょう。

3次元の立体的の映像は、どうしてもそのまま平面に描き写すことができず、必ずずれが生じます。片方の目を閉じて、片目だけで観察するか、いったん写真に撮って2次元にしてから描き写すなら、デッサンしやすいはずです。正確な写実には、立体視は余計なのです。

立体視が生まれつきできなかった画家たちは、世界が平面的に見えるため、それを紙に描き写すという作業が、より楽にできたのかもしれません。3次元から2次元に変換する必要がなかったのです。

▼レンブラントの絵(クリックで画像検索)

 rembrandt

脳の損傷がもたらす美術的才能

病気や事故など、不慮の出来事によって脳の一部が損傷したり、萎縮してしまったりすることをきっかけにして、美術的才能が開花するという人もいます。

自閉症とサヴァンな人たち -自閉症にみられるさまざまな現象に関する考察‐という本では、認知症についての次のような研究が紹介されています。

B.L.ミラーらは、前頭葉側頭葉性認知症に罹患した後で、美術的才能を発揮するようになった五人の患者を報告し、そのうち四人が側頭葉型の認知症であったと述べている。

そのような才能の発揮は前側頭部や眼窩野の選択的変性が後側頭葉に作用している抑制を減少させて、患者が持ってはいるものの抑制されていた機能を促進させた結果、美術的才能が発揮されたのであるという。

さらに彼らは、左の側頭葉の変性を見せる患者に美術的才能を発揮する者が多いことから、左の側頭葉の変性のために、右の側頭葉の機能が促進されたのではないかという。

また、スナイダーらは、健常者に左側頭部に経頭蓋磁気刺激により、その部分の神経の活動を抑制したところ、被験者11人中4人が描画能力の改善を見せたと報告している。(p88-89)

要するに認知症という病気によって、脳の一部が萎縮してしまったことで、脳の別の部分の機能が促進され、それが美術的才能の開花につながったのです。これは、認知症による萎縮だけでなく、事故で脳を損傷した人に生じる場合もあります。

美術的サヴァン

不慮の事故や、年をとってからの認知症などの病気で脳の機能の一部が損なわれ、美術的才能を発揮する人がいるいっぽうで、生まれつき脳に機能障害があるために、たぐいまれな美術的才能を発揮する人もいます。それが美術的サヴァンです。

サヴァンとは、「賢人」という意味ですが、もともとの名称はイディオ・サヴァン(白痴の賢人)でした。差別的にならないように単にサヴァンと呼ばれるようになりましたが、意味は元の用語のほうが正しく伝えています。彼らは、ある点では「賢人」といえるような驚異的な能力を発揮するのですが、そのほかの点では、日常生活を普通に送ることが難しいほどの障害を抱えているのです。

サヴァンの代表的な存在として知られている故人キム・ピークは9000冊以上の本を一字一句記憶していましたが、ひとりで生活する能力はありませんでした。サヴァンの能力は、ほかにも、計算や言語や音楽など多岐にわたりますが、その中に美術的才能を示す人もいます。幾人かの例を挙げましょう。

■ゴットフリート・ミント

自閉症とサヴァンな人たち -自閉症にみられるさまざまな現象に関する考察‐という本は、ドイツのベルン生まれの美術的サヴァン、ゴットフリート・ミントについてこう述べています。

ゴットフリートは、1968年にペルンで生まれ、46歳で亡くなったが、痴愚(中度精神遅滞)であって、猫の絵に長けていた。

そのため「猫のラファエロ」との評判をとり、ジョージ3世がその絵を購入したとのことである。(p91)

▼ゴットフリート・ミントの絵(クリックで画像検索)

 mind

■山本良比古

同じ本は、日本の名古屋で生まれた美術的サヴァン、山本良比古についてもこう述べています。

山本良比古は、IQが40であり言語障害と聴覚障害があったと報告されている。山本は城と船の絵をもっぱら描いた。(p92)

▼山本良比古の絵(クリックで画像検索)

山本良比古

■山下清

そして美術的サヴァンとして特に有名なのは、日本の貼り絵師山下清です。

山下清は、IQ70-80で、軽度の知的障害と自閉症を伴う美術的サヴァンであったと考えられています。

彼は、驚異的な映像記憶の持ち主で、日本全国を放浪した後、拠点としていた八幡学園に戻っては、記憶を頼りに絵日記のようにして、旅した土地の風景を貼り絵で再現しました。山下清の生涯は、映画やドラマとしても再現されています。

▼山下清の貼り絵(クリックで画像検索)

 山下清

■スティーブン・ウィルシャー

スティーブン・ウィルシャーは、ヘリコプターから30分ないしは1時間ほど街を概観しただけで、その後数日にわたって、その街並みを再現した絵を描くことができます。幼いころに自閉症と診断されており、強烈な映像記憶を持っている美術的サヴァンだと考えられています。

▼スティーブン・ウィルシャーの絵(クリックで画像検索)

Wiltshire

こうした、ゴットフリート・ミント、山本良比古、山下清、スティーブン・ウィルシャーなどの美術的才能をもったサヴァンの人たちは、脳の一部の機能 が使えないことにより、本来その部分が抑制していた別の脳の部分の活動が活発になり、人間の脳が持つ潜在的な能力を発揮できたと考えられています。

本 来、わたしたちの記憶は、必要なものだけをふるいわけるフィルターにかけられ、ラベル付けされ、言葉に変換されるなどの加工を経て保存されます。しかし、 美術的サヴァンの人たちは、そのフィルターを務める脳の部分が働かないので、未加工の映像的な記憶にアクセスできるのではないかと言われています。

美と溶け合う自閉症

山下清やウィルシャーはサヴァンであると同時に自閉症であった、ということを述べましたが、自閉症とサヴァンには関わりがあると考えられています。自閉症という脳の発達障害もまた、ときに特殊な美的感覚をもたらし、芸術的才能を生み出すことがあります。

自閉症の感覚について記した手記自閉症だったわたしへ (新潮文庫)の中で、ドナ・ウィリアムズはこう述べています。

巨大なシャンデリアを見上げたときの恍惚感、それが何かと問うならば、『神と溶け合う』ような体験を呼び醒ましたのです。

なぜなら私は正に絶対的な純粋さと無我の心で対象物の感覚的本性と共振し、その結果抗うことのできない情熱に自らを溶け込ませ、美そのものの一部となることができたのです。(p10)

自閉症の人たちは、外から入ってきたさまざまな感覚を選り分けて取捨選択するシステムが働いていません。そのため、美しいものを見るときなど、洪水のような圧倒されるほどの感覚を経験します。

同時に、自閉症の人は自分と他人の境界があいまいです。そのため、洪水のような感覚にさらされたとき、自分がその中に溶け込んでしまい、一体化するのです。「美そのものの一部となる」ことができるのです。

このことは、絵を描くときにも生じます。自閉症の東田直樹は、続・自閉症の僕が跳びはねる理由―会話のできない高校生がたどる心の軌跡の中でこう述べています。

好きなことには、ものすごく集中できる力を持っています。

僕は、絵を描くのが好きですが、絵の具を塗っているときは、自分が塗っているというより、絵の具の色そのものになります。

色になりきって、画用紙の上を自由に描写するのです。周りで何が起こっていても全く気になりません。ただひたすら、絵を描いてさえいれば満足なのです。

作業が終わると完成した喜びより、やることがなくなってしまった喪失感の方が大きいです。(p66)

彼もまた、絵の具と一体化すると述べています。没頭すると、自分がその中に溶け込んでしまうのです。それによって、普通の人には不可能な集中力や、のびのびとしたタッチを発揮することができます。

有名な画家の中にも、自閉症の要素を持っていた人は存在します。

冒頭に取り上げたフィンセント・ファン・ゴッホは、天才の秘密 アスペルガー症候群と芸術的独創性という本によると、自閉症の一種であるアスペルガー症候群だったと考えられています。彼が激昂して耳たぶを切り落としたのも、自閉症の自傷行為が関係しているのかもしれません。同時に、ゴッホの絵に対する熱意や、独特なタッチは、もしかすると絵の具と一体化するような、自閉症ならではの感覚が関係していたのかもしれません。

▼フィンセント・ファン・ゴッホの絵(クリックで画像検索)

gogh

▼自閉症と絵

自閉症・アスペルガー症候群と絵の関係についてはこちらもご覧ください。

アイデアの宝庫たるADHD

自閉症は、生まれつきの脳の機能障害であり、発達障害とも呼ばれます。発達障害の中には、自閉症とは別に、注意欠陥多動性障害(ADHD)というものがあります。ADHDの人は、不注意や多動、衝動などの問題を抱え、学習障害を抱えることも少なくありません。

しかし世界でも指折りのタトゥー・アーティストであるエイミー・ジェイムズは、自分のアーティストとしての才能の秘訣は、注意欠陥多動性障害(ADHD)にあると考えています。世界で最もクリエイティブな国デンマークに学ぶ 発想力の鍛え方という本にはこう書かれています。

エイミーの物語は挫折の物語だ。学校の試験ではいつも落第、注意欠陥障害のため、頭の中にはとりとめのない考えがいつもあふれていた。

しかしそのとりとめのない考えは、新しいクリエイティブな発想を生み出す源となる。(p285)

インタビューの間、エイミーは自分のことを注意欠陥障害とか、注意欠陥多動性障害だと、としきりに話していた。クリエイティビティ研究者の中には、こうした障害を持つ人は非常にクリエイティブで、無意識のうちに別のことに注意が移っていくことが、クリエイティビティに不可欠な要素となっているのだろうと考える人もいる。(p291)

注意欠陥障害は、いろいろなものに興味をひかれ、次々と興味が移り変わるため、アイデアや発想が豊富になると考えられています。

VOICE新書 知って良かった、大人のADHDという本によると、有名な芸術家、たとえばパブロ・ピカソやサルバドール・ダリも、注意欠陥障害であったと考えうる根拠があり、彼らの絵の摩訶不思議なアイデアの源となっていた可能性が指摘されています。

冒頭に取り上げたベートーヴェンもまた、自閉症だったとも、ADHDだったとも言われることがあり、それが虚弱な体質と創造性に関わっていたのかもしれません。音楽家として同様に有名なモーツァルトもADHDだったとされています。学者や研究者にも意外に多いと言われています。

ちなみにわたし自身も、この注意欠陥障害です。

▼エイミー・ジェイムズのタトゥー(クリックで画像検索)

Amy

▼パブロ・ピカソの絵(クリックで画像検索)

 Picasso

▼サルバドール・ダリの絵(クリックで画像検索)

 Dali

統合失調症や双極性障害

芸術家の中には、統合失調症や双極性障害と闘った人も大勢います。

CNN.co.jp : 創造性の「暗黒面」 抑鬱や狂気が天才を生み出す? – (1/3)によると、スウェーデンの調査では、創造性が要求される分野で活動している人は、双極性障害を発症する可能性が8%ほど高いことがわかりました。

不幸なほうが人の創造性は豊かになるのか:心理学の研究結果 « WIRED.jp では、英国の芸術家などは、一般の人に比べて、大うつ病の罹患率が8倍高かったそうです。

創造性の遺伝子、統合失調症や双極性障害の遺伝子と同じルーツかもしれない | Medエッジ によると、アイスランドでは、クリエイティブな センスのある人は統合失調症や双極性障害の遺伝的なリスクが普通の人より高く、病気の人より低い中間値だったそうです。

一般に、クリエイティブな人たちは、双極性障害・統合失調症などの精神疾患のリスク遺伝子を持ってはいても、自分自身にはそれほど大きな症状が現れず、家族や親族のほうに精神疾患が多く見られると言われています。

というのは、もし統合失調症や双極性障害を発症し、生活が成り立たなくなってしまったら、芸術家として活動することもできなかったはずだからです。リスク遺伝子を持つ家系に生まれながらも、たまたま症状がほとんど出なかった人が芸術家として成功しやすいのかもしれません。

絵は努力か才能か―芸術家の創造性には遺伝と環境どちらが大切か
芸術を楽しむことはすべての人に開かれている

スイスの画家アドルフ・ヴェルフリは、31歳で暴行未遂で逮捕され、統合失調症と診断されて精神病院に収監されました。

しかし、興奮を鎮めるため与えられた筆と紙を使って絵を描き出したことで才能が開花。ヴァルター・モルゲンターラー医師によって才能を伸ばされ、44歳から「揺りかごから墓場まで」という空想物語を書き始め、地球を買い取って自らの王国を打ち立てる計画を描いたり、最晩年には自らのレクイエムとして8404ページの「葬送行進曲」まで描いたそうです。

彼の作品は正規の教育を受けていない人たちの芸術を指す「アール・ブリュット」(アウトサイダー・アート)の提唱者であるフランスの画家ジャン・デュビュッフェによって評価され、スイスを代表する画家のひとりと呼ばれるまでになりました。

その作品は実に25000ページにも及び、一日に2枚描き続けた計算になるそうです。

【正木利和のスポカル】狂気は偉大な芸術か ヴェルフリ展に見るアール・ブリュットの神髄(1/4ページ) – 産経WEST

▼アドルフ・ヴェルフリの絵(クリックで画像検索)

ハンディキャップが才能となるとき

このように、さまざまな精神障害、脳の機能障害、目の異常などが、芸術的才能をもたらしている可能性があります。有名な画家をはじめ、音楽家、詩人などの芸術家には、うつ病などの精神障害を抱えていた人や、依存症に陥った人、社会生活のスキルに乏しかった人などが多いといわれています。

彼らの多くは、人間として、何かの能力が欠けていました。しかし同時に、他の人にはない芸術的な才能も持っていました。それは、今回見てきたように、何らかの病気や障害を抱えていたことが、芸術的才能の開花に役だっていたからなのかもしれません。

病気や障害を抱える生活というのは、不自由で辛いものですが、ハンディキャップを負っているがゆえに、他の人には見えないものが見えたり、異なった角度から考えることができたりする場合があります。それは、上手に使えば、ハンディキャップのない人には決して不可能な発想につながるかもしれません。

病気や障害というハンディキャップを抱えながらも、それをうまく役立てて芸術家として大成した人たちの話を読むとき、わたしたちはとても勇気づけられます。

スポンサーリンク