「ソラ、もうすぐ、この支流の先みたいだよ」
青く透き通る河を下る舟の上、女の子は手に持った古びた地図を覗き込んでそう言います。「よし、目的地は近いね」
舟を漕いでいる男の子は、うまく流れをとらえて細い支流に入ります。二人が目ざすのは翠緑の遺跡。森の奥深くに秘められた伝説の神殿です。夜光樹の集落の長老がくれた宝の地図、指し示すのは数々の冒険者が挑みながら、決して戻ってこなかった未踏の地。
けれども二人は恐れません。これまでだって、力を合わせて、幾つもの厳しい試練や手強い罠をくぐりぬけて来たのですから。
狭いお城を飛び出して、広い世界を冒険してきたこの一年、女の子はもうか弱いお姫様ではありません。もう立派なトレジャーハンター、男の子の心強い相棒なのです。
「ハナ、いよいよだ。入り口が見えてきたよ」
うっそうと生い茂る森の中に現われたターコイズブルーの神殿門。待ち受ける冒険に二人の胸は高鳴ります。
ターコイズブルーの翠緑の遺跡に、ソラとハナが挑戦する絵を描きました。
ターコイズブルーの遺跡はどこから生まれたか
今回の絵は、ターコイズブルーの遺跡。前回の記事で書いた、夢をヒントにした3つのアイデアのうちの2つ目です。
もともとこの絵は、「空花物語」ではなく、「ふたりの時間」カテゴリの絵にするつもりでした。最初に見た風景は、ターコイズブルーの幻想的な川を下り、川の水面に廃墟が映り込んでいるような不思議な風景でした。前に描いたガラスの海みたいな感じだったので、その時と同じ「ふたりの時間」の絵にしようかなと。
しかし下描きのラフスケッチを何度か描いたのですが、水面に映り込む廃墟のはかない雰囲気を出すのが難しく断念。あきらめて川を下って廃墟に入っていくシンプルな構図にしたところで、これなら「空花物語」の冒険の絵にしたほうがふさわしいんじゃないかなー、ということで、ソラとハナが乗り込むことになりました。
水面に広大な廃墟が映り込むノスタルジックな絵も描いてみたかったですが、またの機会に譲ります。
それにしても、川を下った先に入り口がある…、ということは、この遺跡は水属性のダンジョンでしょうか。昔から水系ダンジョンは手強いというのが定石なので、かなり困難な冒険になりそうです(笑)
もうすぐ「空花物語」一周年です
ところで、早いもので、もうすぐ「空花物語」一周年です。「空花物語」は、昨年5/5に見た夢がベースになって誕生しました。それまでまったく考えたことすらなく、その日わたしはソラとハナに、突然出会ったのでした。
ソラとハナの名前も、夢の中で聞いたので、わたしが名づけたわけではありません。いや、夢を見たのはわたしですけれど…ややこしい(笑)
あれから一年、「空花物語」の絵は14枚になりました。しっかりYuKiのスケッチブックの定番カテゴリに成長してくれて嬉しい限りです。なんだかんだ言って、今年もここまで月1ペースですね。
いろいろ思い出を語りたいのはやまやまですが、それは来週、一周年記念の記事のほうで存分に語ることにしましょう。
わたしの引っ越しにともなって、バタバタして絵を描く時間を取り分けるのも一苦労ですが、こうして新作を描き上げるたびに、これからも先を見てみたいので、新しい物語の絵を紡いでいこうと感じます。