2019年9月の道北自然観察日記

2019年9月の道北自然観察日記です。

8月はこちら。

2019年8月の道北自然観察日記
2019年8月の自然観察日記

10月はこちら。

2019年10月の道北自然観察日記
2019年10月の自然観察日記

>アルバムに戻る

2019/09/01日

エゾノコンギク

一昨日に近くの山までサイクリングしたとき、森に近づくにつれ、紫色の花が道端にたくさん咲いているのを見かけた。遠目には白いハルジオンのようなものを紫に見間違えたかとも思った。

しかし立ち止まってよく見てみると、今まで観察したことのない薄紫色の花だった。その場でGoogle Lensで調べたところ、カントウヨメナと出た。

帰宅後、図鑑で調べると、カントウヨメナとよく似ているエゾノコンギクだと思われた。ネットで調べてみると、「ヨメナ」と「ノコンギク」の見分けはかなり苦労するらしい…。

ヨメナは花の下が長く、葉に毛がない。一方、ノコンギクのほうは中心部の筒状花の冠毛が長いとのこと。そこまで見てなかった。

葉っぱの形がわかりにくく、茎の上のほうでは細長くてギザギザがないのに、下のほうのやぶに隠れたあたりでは楕円形でギザギザしているように見えた。

後から調べてみると、それもノコンギクの特徴らしい。少なくとも持っている図鑑の写真ではそうだった。

しかし、場所によっては、細長い葉しかないタイプも見かけるので、近縁の別種が混じっている可能性がある。カントウヨメナとかユウゼンギクだろうか。

調べるとあまりに情報が多く、品種も分岐しすぎていて、よくわからなくなってくる植物。別に植物学者になろうとするわけではないので、ノコンギクとヨメナの名前くらい知っておくくらいでいいのかも。


9月に入って、景色もどことなく秋らしくなってきたと感じます。夜は10℃を少し超えるくらいで肌寒い。水田の稲が黄色がかった薄い緑になり、山や森とのグラデーションがきれいです。

七十二候でいうと、「天地始粛」(てんちはじめてさむし)から、「禾乃登」(こくものすなわちみのる)の頃。まさにぴったり。道北ではいまだ七十二候がそのまま通用するんですね。東京とかではぜんぜんダメですが。

道端にはノコンギクだけでなく、今にも咲きそうなヨモギの花が立ち並び、たわわに実ったアブラガヤが穂を垂れています。

植物観察をしていて思うのは、なんだか人の顔を覚えるのとよく似ているな、ということ。わたしが自然を隣人として見ているのもあるでしょうが、たぶん使っている脳の領域が同じなのかも。

顔を覚えるのに使われるのは紡錘状回顔領域だったと思いますが、たしか人の顔認識だけでなく、ペットのブリーダーや車のディーラーも同じところを使って見分けているんじゃなかったかな。あくまで「顔」だからかもしれないけど。

植物を覚えるときは、たとえばポケモンみたいな2次元上のキャラやデータを覚えるのと違って、3次元空間のものを扱うので、かなり違います。見る方向によって形が違うし、他の草に覆われたり、色が違っていたりするととたんに別物に見えてきます。

それでも、生育している場所、雰囲気、全体の印象、そして細部についての知識から、これはきっとあの植物だ、と見分けます。これが人と知り合う過程によく似ている気がします。

わたしは顔を覚えるのが極端に苦手なこともあって、人を場所、服装、時間、職業などの要素を複合して記憶しようとするので、そのプロセスが似ているのかも。

植物の場合、季節によって「顔」がだいぶ変わるので、相貌失認ぎみなわたしみたいな戦略のほうが、かえって記憶できるかもしれません。(でもそのせいで場所が関係なくなる園芸植物は記憶しにくい。ガーデニングではなく野山の植物に向いているということ)

たとえば、ぱっと見ただけでは同じ顔に思える人がよくいるんですが、親しくなるとちゃんと区別がつくようになります。ヨメナとノコンギクもそういうものじゃないかな、と。

そう思うと、ますます人も植物も同じだなと思えてきます。アイヌやネイティブアメリカンみたいに、植物をモノではなく隣人とみなすやり方が、わたしには合っているのかもしれませんね。

植物が隣人なら、いっぺんに全部覚えなくてもいい、とも思えます。だれかと親しくなる場合、最初は名前と顔の特徴を覚えるのだけでも大変ですが、半年も一年もするうちに見分けがついてきて、もっとよく相手のことがわかってきます。

同じように、植物も、最初から図鑑に書いてあるようなこと全てを覚える必要はなく、まず知り合うこと、名前を覚えること、見分けられるようになることから初めて、何度も何度も、さまざまな季節に足を運んでいくうちに、もっとよくわかってくるんだろうな、と思いました。

2019/09/02月

マツヨイセンノウ(待宵仙翁)

ナデシコ科マンテマ属のマツヨイセンノウ。自然観察を始めて、まだスケッチもしていなかった早い時期に名前を覚えた道路脇の花。たぶん5月か6月ごろ。

それなのに、最近でもまだ咲いているのを見かける。図鑑によると花期は6月から8月とのことなので、9月にもギリギリ花をつけていたということかな。

もともと花の裏側の袋状部分(萼筒/ガクトウというらしい)がやたらと目立つから覚えやすかった。今はさらにふくらんでおり、おそらく実になって種ができているのだと思う。

花の形は同じマンテマ属で、以前にもスケッチしたムシトリナデシコとかスイセンノウに似ている。あちらは色がピンクだけど。

名前の由来を調べてみると、夕方から夜に咲くから「待宵」らしい。道理で朝が弱くて夕方頃にサイクリングに行くことの多いわたしがよく見るわけだ。同族みたいなもの(笑) 

「仙翁」は中国原産で、京都嵯峨の仙翁寺に咲いていたことから、とされているが情報が錯綜しており不明。どのみちマツヨイセンノウは明治時代になって持ち込まれた外来種で、もとの仙翁花とは違う。

人間と同じXY、XX染色体を持っていて研究対象にされているとのこと。

昨日書いたように、一度観察して名前を覚えた花でも、また別の季節にも見かけて、もっとよく知ろうと調べてみる実例といえる。

大事なのはこうした豆知識的な話ではなく、自分でよく観察して驚いたり心動かされたりした経験のほうだけど、知っているのは悪いことではない。


ここのところ、昼間は雨ばかり。にわか雨が降ってはやむので、外出するのが夜、雨がやんでからになります。

東京の夜はまだ28℃くらいあるというのに、こちらの気温は15℃前後。上着を来ていかないと寒いです。

雨がやんだ夜空は、塵が洗い流されるのか、すっきり澄み渡り、星空観察の絶好の機会になります。星空をスケッチすることはできませんが、このチャンスを利用して、この夏、かなり星を覚えました。

まず、夜空でよく目立つ北斗七星とカシオペア座を使って、北極星を発見できるようになりました。(北斗七星のひしゃくですくった先、またはカシオペア座のWの上にLをのせて上に伸ばした先にある)

北極星が見えれば、方角がわかりますし、自分の握りこぶしを使って緯度をおおまかに計算できます。(手をまっすぐ前に伸ばしたときの握りこぶしが10°くらい。だいたい北緯45°だから、地平線から握りこぶし4個半)

次に、北極星はこぐま座に含まれていて、こぐま座を取り囲むように竜座が蛇行していると覚えました。

また、このあたりでは天の川が普通に目視できるので、天の川上を飛ぶわし座、はくちょう座も覚えました。はくちょう座の十字型を使って、北極星を見つける方法もあります。(十字架の左と上を結ぶ線を右斜め上に伸ばす)

はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイル、そして近くにあること座のベガを結べば夏の大三角にもなります。あまりきれいな三角形ではないけれど。

ほかにはちょっと暗めですが、ひし形をしているペガサス座や、台形をしているヘラクレス座が見えるので、いま覚えている最中。

これらに比べて暗くてわかりにくいのが、みずがめ座、へび座、うしかい座、かんむり座など。うしかい座は目視ではすぐ横の正三角形の星の並びのほうが印象的でした。(なぜかそれを解説しているサイトなどを見ないけど)

都会にいるときは、星なんて月以外にはまったく見えないほど光害がひどかったので、星の名前なんてさっぱりでした。でも、道北は星がとてもきれいなので、ずっと眺めていたいくらい。

あまり見上げていると首が痛くなりますが、星空の美しさにうっとりして、たくさん名前を覚えようという気になりました。

この前、都会から遊びにきた友だちに、北極星の見つけ方など星空解説がちょっとできたので、夜空も解説できるネイチャーガイドを目指して奮闘中です。

2019/09/03火

ヤマハマナス(山浜梨 カラフトイバラ)

いつものサイクリングロードの道端に、真っ赤に実った何かを発見。真っ赤な球体の実に、ひげのようなものが生えている特徴的な形。

深い側溝の向こうの山肌だったので、あまり近づけなかったが、遠目に写真を撮った。

あとでGoogle Lensで調べてみたら、ローズヒップとのこと。そして、ローズヒップにされる実は、イヌバラかハマナスが多いのだそう。

そういえば、春から夏ごろにかけて、道北の山ではあちこちでハマナスらしき花を見かけたのを思い出したので、たぶんその実だと思った。

ただ、ネットで検索したら、ハマナスのローズヒップは楕円形の球形が多いようだった。わたしが見たのは完全な球形だったから品種違いか?と思ってさらに調べたら「ヤマハマナス」(カラフトイバラ)だった。

類似種だと、ハマナスは上下が押しつぶされた楕円、ヤマハマナスが完全な円、オオタカネバラやイヌバラ(ドッグローズ)は左右に押しつぶされた楕円の形の実をつけるようだ。

また、葉の形も、遠目ではあるけれど、一般的なハマナスのように表面のしわしわが多くはなく、もっとすっきりしていた。だからヤマハマナス(カラフトイバラ)で合ってると思う。

ハマナスは在来種かつ原種のバラ。ハマナスの名は浜に生えていて梨のような実をつけるからというが、梨とは? 味が似ているのだろうか。塩分に強く砂地を好むが、他の場所にも生える。

融雪剤の塩分のせいで浜の植物が山に生えたりすると読んだことがあるけれど、もしかしてハマナスもそうだったりするのだろうか? 確かにここは雪深い場所だけど。

アイヌもマウと呼んで、実は食用に、種は儀式に、トゲのある枝は魔除けにと重宝されたらしい。今では北海道の花に指定されているのだとか。

ローズヒップティーはもちろん飲んだことがあるけれど、ローズヒップは見たことがないという残念な人生を送ってきたので、この機会に本物を見れてよかった。

ゲンノショウコ(現の証拠)

そのヤマハマナス(カラフトイバラ)の写真を撮ろうとやぶの中に足を踏み入れた際に、足元に咲いていた小さな白い花があった。小さい花の見分けは本当に難しくて、見たことがある花がどうかさえわからなかった。

Google Lensで調べたところ、花では不明だったが、特徴的な形の葉のほうをスキャンすると、ゲンノショウコだと教えてくれた。ゲンノショウコもローズヒップと同じく、名前は聞いたことがあれど姿は見たことがない植物だった。

ゲンノショウコはフウロソウ属。園芸種でよく知られるゼラニウムの近縁。言われてみれば形がよく似ている。

ゲンノショウコの名前は、飲んだらすぐ効く胃腸薬だからだそうだ。正露丸などの薬に含まれているとのこと。

別名ミコシグサといい、種を飛ばした後の実の形に由来するらしい。スケッチにも実を描いたが、これが下からめくれて神輿の屋根みたいな形になるという。

ウマノアシガタのような毒草と葉がよく似ているので素人処方は危険。今日のサイクリングロードでもヨモギとトリカブトが並んで花をつけていて、葉だけだったらわからなくて危険だと痛感した。

ゲンノショウコは葉は3-5枚に裂け、花は2つセットでつく。しかし同じフウロソウ属の近縁に、葉が必ず3つにわかれるミツバフウロとか、1-2本だけ花をつけるイチゲフウロがあるらしい。今回のはミツバフウロだった可能性も。

今日の2つの植物は、ずっと昔から北海道の人々を支えてきた重要植物だったので、顔見知りになれてよかった。


さらに冷え込んできて、冬用の手袋を引っ張り出してきたところです。ついこの前まで、窓全開で寝ていたなんて嘘みたい。さすが夏と冬の温度差が60℃の土地。変化は急激です。

海外では、ハリケーン・ドリアンがバハマに壊滅的な被害をもたらしていたり、北でも南でも森林火災が多かったりして心を痛めています。

ここ道北の大自然の中にいると、自然から切り離された人間社会の大混乱を遠くから見ているようで、やるせない気持ちになります。

自殺的な大量消費、不登校や発達障害、自己免疫疾患、犯罪や対立。自然界と調和して生きていたら、きっとそんな問題は起こらなかったはずなのに、なんでこうなっちゃったんでしょうね。

だけど、そんなこと考えてもどうしようもないので、わたしはわたし。世の中の喧騒からは自分を隔離し、自然の中で暮らすことに集中したいと思います。

自然界から切り離された人間社会を捨てて、人間社会から切り離された自然のほうに居場所を決めたということなのだから。

2019/09/05木

マイヅルソウ(舞鶴草)

この前 森に行ったときに見たマイヅルソウの実を写真から描き起こした。

ハッと息をのむ透き通るような赤い実。今にもこぼれ落ちそうなほどみずみずしく見える。この時期に赤い実は珍しくないが、その中でも格別に美しく宝石のよう。

完全な球形ではなく、ちょっとぽよんとした感じがいかにも水っぽく柔らかげにみえる。ただし人間が食べてもおいしくはないらしい。

春のころにマイヅルソウを見たことがあったので、葉っぱの感じから、たぶんマイヅルソウだとわかった。帰って調べてみたら合っていた。

マイヅルソウはスズランの仲間。スケッチに添えたように、春には小さな白い花が踊るように咲く。ズダヤクシュと似ていて見分けにくかったのもいい思い出。今となれば全然違うような気がするけど。

マイヅルソウの名はてっきりこの白い花を踊る鶴に例えたのかと思っていたが、そうではなく、二枚の葉のほうが由来らしい。翼を広げて舞う舞鶴紋に似ているとのこと。確かにマイヅルバナではなくマイヅルソウという名だし。


今日はプラネタリウムでDynamic Earthを見たり、ジャガイモ掘りをさせてもらったりしました。色々楽しかったけれど、一日中運転したせいで非常に疲れた…。

気になったニュースを2つ備忘がてら貼っておきます。

病状を記録し続けると、それだけで体調が悪化する!? 記録アプリや睡眠トラッカーの落とし穴|WIRED.jp

まあ、うすうすと気づいていたこと。病状の記録は一見すると良さそうに思えますし、医者からも勧められますが、良い場合と悪い場合がありそうです。

たとえば気圧と頭痛の関係を見るアプリなどがありますが、使っていたら条件反射が強化されて、症状が増幅されるようになるのではないかと思いました。

わたしの場合によかったのは、特定の病気の症状にこだわることなく、あちこち多彩な情報を調べまくったことでしょう。おかげで一部の症状に固執せずにすみました。ADHD気質が役立ったということでしょうか。

動物園、実は役に立っていない?─研究によると「生きた動物を見ることは教育に良いわけでもない」(クーリエ・ジャポン) – Yahoo!ニュース

こちらも、たぶんそうだろうと思っていたけれど、あまり触れられないニュース。

動物園、水族館、植物園などは、メリットもあるとは思いますが、本物の自然を経験した後ではとてもがっかりします。自然を背景から切り取って展示しただけの不完全な自然としか思えません。

生態を研究したり保護したりするのに役立つと言われますが、それって本来の動植物が生きているフィールドで研究しないと意味がないのではないかと思います。

微生物などのコミュニティや生態系という本来の環境を無視して人工施設の中で研究しても、的外れになってしまいそうです。

実験室の中だけで症状を研究しているせいで、患者の現実の悩みごとをまったく汲み取れていない医療の研究とも似てると思いました。ある面では役に立つのは確かですが、本質を逸している気がします。

研究も保護も、動物を人工施設につれてくるのではなく、人間のほうが現地に行くべきでしょう。ダーウィンがしたように。トラウマを研究する医者も実験室の中ではなく現地に行かないとだめだと言われていたのと似ています。

記事にも書かれているように、動物園の動物はさまざまな異常行動を示しますが、そのパターンが人間の発達障害や精神疾患と似ているという指摘が前からあります。生物を不自然な環境に閉じ込めた結果の、不自然な状態を研究しているように感じます。

2019/09/06金

エゾオヤマリンドウ(竜胆)

5月に雪に阻まれて頭頂できなかった松山湿原に行ってきました。ついに頂上に到達すると、一面のエゾリンドウが出迎えてくれました。

前から見たかった花なので嬉しい。深い青紫色の花が気高い。厳密には、エゾオヤマリンドウという高山型の品種らしいです。

ほとんどの花がつぼみ状に縮こまっていて、葉も枯れかけているのが多かったので、もう花期も終わりごろなのかな、と思いました。でも帰ってから調べてみると、つぼみ状のが普通みたい。

日当たりがよかったりするときだけ、かすかに開くとのこと。今回観察したなかには、30株に1つくらいの割合でしょうか。ごくまれに開いているのがあって、それを写真に撮ったりスケッチしたりしました。(写真はアルバムのほうに上げます)

このつぼみ状から花びらが開く様子が、あたかもカメラのシャッターのシルエットみたいな形で美しい。絵にも描きましたが、上からみると、五角形にパズルのように組み合わさった花びらが、ひねるようにずれて開口します。

リンドウは漢字で竜胆と書きますが、これは漢方で胃腸薬に使われるリンドウの根のことだそうです。クマの肝よりも苦く、まるで竜の肝のようだ、という意味で名付けられたとのこと。

花屋さんで売られる栽培種のリンドウは、このエゾリンドウのことが多いようですが、一段だけでなく二段以上花がついたものしか商品価値がないのだとか。生花より自生する本物のほうが、はるかに美しいのに。


昨日は一ヶ月前から準備していた、とても忙しい用事がやっと終わりました。

それで、今日は、あの松山湿原にリベンジ! 前回は頭頂できませんでしたが、今回は無事、湿原までたどり着けました。また感想記事を書きたいところ。

今回は、専門の自然ガイドさんの解説を聞きながらの頭頂でした。そのガイドさんが、とても年季の入ったプロの方で、ちょっと憧れてしまいました。わたしもあんなふうになりたい。

今まで道北で出会ったガイドさんたちは、一般人よりちょっと動植物の名前を知っているかな?くらいの人たちばかりでしたが、今回の方は「本物」でした。

道案内がてら、食べれるキノコを教えてもらったり、コクワ、マタタビ、イワツツジなどの実が食べれることを教えてもらったり。本当に詳しいし、自然を愛して楽しんでいるのがわかる。とても勉強になりました。

2019/09/08土

オオカメノキ(大亀の木、ムシカリ)

昨日、ガイドさんに教えてもらったオオカメノキ。亀の甲羅みたいな葉から来た名前らしい。直球。別名はムシカリといい、葉を虫が好み、虫食いだらけになる。

上向きに立ち上がった、朱色の実をたくさんつけていた。今は朱色だが、来月ごろには熟して、茎は赤色のまま、実は黒っぽい紺色に変化するらしい。葉も紅葉して落ちる。

調べてみて驚いたのは、花がガクアジサイにそっくりなこと。ガクアジサイはアジサイ科アジサイ属。オオカメノキのレンプクソウ科ガマズミ属。

というより、オオカメノキだけでなく、アジサイ属ではノリウツギ、ガマズミ属ではガマズミ、ミヤマガマズミ、カンボク、テマリカンボクなどもアジサイにそっくり。

この夏、気動車の窓から風景を眺めていると、ヤマアジサイっぽい花をたくさん見かけたのだが、このあたりで多いツル状(ツルアジサイ)ではなかったので、大半がノリウツギか、ガマズミ属だったと思われる。

花だけ見るとどれがどれやら。まず大事なのは、アジサイ属は装飾花の花びら部分が4枚、ガマズミ属はスケッチで描いたように5枚だということ。ここがポイント。

(※追記 あとで調べ直したら、アジサイ科でも萼片の数は4枚とは限らず、たとえばノリウツギでは3~5枚になる。装飾花の花びらの数はヒントにはなるが、確実ではない)

葉っぱは、丸くて亀の甲羅っぽい模様だったらオオカメノキだが、ガマズミやカンボクは形がいろいろだったり、アジサイの葉と似ていたりして難しい。花も葉も実もよく見ないと。

だけど、少なくとも、ぜんぶがガクアジサイじゃなくて、ガマズミ属の花が似ている、ということを知っているだけで全然違う。こうやって階段を一歩ずつ上がっていくのだ。


今日は昨日の松山湿原の写真を整理していました。秋のアルバムに追加してあります。

関東から一ヶ月半ほど前に来た友人と一緒に食事。お互いに、都会から道北にやってきた同士で話が弾みました。

昨日採ってきた自生の本シメジを食べましたが、栽培物よりはるかに味も食感もよかったです。乾燥させたムラサキバレンギクのハーブティーも香ばしかった。

友人は、北海道のあちこちに行ってみたけれど、道東などは観光地化されていて、外国人も多く、落ち着かなかった。それに比べて道北は、本物の自然を独り占めできて落ち着く、とのこと。わたしの感想とまったく同じです。

また、友人は微生物学の知識もそこそこある人なので、人間が自然から切り離された結果、この数世代でいかに狂ってしまったかという話題も弾みました。

いま70歳くらいの世代は、エネルギーに満ちあふれていて、若い世代より元気。それはおそらく、まだ微生物の生態系が破壊されていない時代に、自然の中で育ったから。しかし、その世代こそが、自然を破壊して現代の社会を作った元凶でもある。

その後の世代になると、80から90年代に「自分探し」のために世界中を冒険する人が現れた。その次は、家の中でゲームの世界を冒険する世代になった。しかし今では、もう冒険する気力もなく、作業のようなスマホゲームばかりしている世代。

この何世代かのうちに、子どもは過保護に、自然から切り離されて育てられるようになった。現実世界での感覚的体験は失われ、どんどん世界が狭くなり、「今生きているという喜び」を感じることがなくなっていった。

同時に、過去の人たちが持っていたようなエネルギーがなくなり、若者たちは自己免疫疾患や発達障害に悩まされるようになった。これらすべてが、自然からの切り離しによって起こったと。

(これは個人的な考えではなく、最先端の微生物学者たちが論じていることである。アランナ・コリンの「あなたの体は9割が細菌」などを参照)

残念ながら友人はもう都会に戻らないといけないのですが、ここ道北では、そんなかつての自然がまだ残されているので名残惜しく感じるとのことでした。微生物学やアイヌの知恵などに興味があるようだったので、もっと話したかったのですが。

わたしは幸いにも、まだ、ずっとここにいることができる立場。また友人が来たときにガイドしてあげられるよう、これからも自然に親しんで、経験と知識を増やしていきたいと思います。

2019/09/08日

ダイモンジソウ

いかにもユキノシタ科ユキノシタ属らしい出で立ちのダイモンジソウ。

先月もウェンシリ岳のふもとの渓流で見たけれど、松山湿原の近くの滝のそばにもあった。どちらの場合も渓流沿いの岩肌に、コケ類と共に根を張っている。

川のそばにいけば、きっと違う花が見られるだろうと期待したとき、今のところ真っ先に期待に答えて可憐な姿を見せてくれる。

ユキノシタの中でも花の形が「大」の字に似るのでダイモンジソウ。本州のほうには「人」の字に似たジンジソウがあるらしい。どちらにしてもちょっとした変種。

ユキノシタ科といえば、前にスケッチしたヒューケラ(ツボサンゴ)とか春頃咲くズダヤクシュもそう。下のほうに大きな葉があり、長い茎を垂直に立たせて白い小さな花を咲かせる。

冬はこの大きな葉が雪の下に押し込められているから「ユキノシタ」と名付けられたらしい。他にも説が幾つかあるようだけど、道北の雪を見ているとこれが一番しっくりくる。


今日は関東のほうに大きな台風が来ているせいか、道北も暑いです。

昼間は季節外れの32℃まで上がり、夜も25℃をなかなか切らない熱帯夜。非常に過ごしにくくて体調不良です。

ここは比較的、異常気象や気候変動からくる災害が、まださほど影響していない土地ですが、他人事とは言えなくなってくるのを感じます。

2019/09/09月

ノボロギク

廃線沿いの植物を観察。これまで気づかなかった黄色いキク科の小さな花が群生しているのに気づく。

Google Lensで調べてみたら、ノボロギクというらしい。綿毛になったときの状態が、ボロ布みたいだということから名付けられたらしい。

花はキク科にしては貧相で、なんとこれ以上咲かない。専門用語で言えば、キク科の中央部の筒状花だけしかなく、花びら部分の舌状花がないのだという。そんな花があることも知らず、つぼみなのかと思っていた。

オオハンゴンソウや、ムラサキバレンギクみたいな、やたらと派手なキク科はちょっと主張しすぎていて苦手なのだけど、逆にここまで貧相な花はちょっと可哀想。

この花を見ると、まさにボロギクという気がしてしまう。本家のボロギク(サワギク)のほうは、ちゃんと舌状花があるから、それが由来ではないのだけど。

そういえば、相撲取りの琴奨菊が、怪我だらけのとき「ボロ奨菊」とあだ名されたのは、ボロギクからの連想だったのだろうか。玉錦が「ボロ錦」と呼ばれていたりするから、ただの伝統な気もするが。

オオアレチノギク/ヒメムカシヨモギ

秋めいてから増えだした丈の高いキク科の植物。うちの庭にも生えていたので引っこ抜いたら、根は深くなくて、気持ちいいほどスポンと根こぎにできてしまう。

調べてみると、こちらもノボロギク同様、舌状花がない、筒状花だけのキク科の侵略的外来種「オオアレチノギク」なのだった。

オオアレチノギクは筒状花だけだが、容姿が非常に似ている「ヒメムカシヨモギ」は、わずかに白い舌状花がつくところが違う点らしい。でもどちらにしても似たようなもの。

それなのに、いかにも侵略的外来種という感じの名前のオオアレチノギクに対して、ほとんど違わないヒメムカシヨモギが、なかなか風情を感じさせる名前なのはなぜなのだろう。

調べてみたら、見た目がヨモギに似ているからヨモギの名がついたのだという。ヨモギの葉っぱを思い浮かべると、全然似ていないような気がする。

でも、言われてみれば、秋になってから、あちこちに立ち上がって白い花をつけているヨモギのシルエットとよく似ていることに気づく。

ヨモギもまたキク科。ヨモギの特徴的な葉っぱは下のほうだけで、上のほうの葉はオオアレチノギクやヒメムカシヨモギに似た細長い葉になっていた。

何より、じつはヨモギも今日観察した二種と同じように、筒状花だけの目立たない花をつけるキク科なのだった。

家の近所にわんさかヨモギが生えているので、つぼみらしきものは見ていたのだけど、そうか、あれは筒状花だけの花なのか。

ヒメムカシヨモギは食べれないこともないようだが、本家ヨモギがたくさんあるのに、わざわざ食べることもないだろう。本家ヨモギのほうはトリカブトと似ている葉がちょっと怖いけれど。

ちなみに、ヒメムカシヨモギは、ヒメジョオンと一緒に「鉄道草」と呼ばれるらしい。明治時代に、鉄道草が広がるとともに、全国を侵略した外来種らしい。言われてみれば、確かによく似ている。

先日書いた、北海道に短期滞在している友人が、あちこちに生えている白い花に癒やされると言っていたが、外来種だと知っているとちょっと複雑な気持ちになってしまう。


今日は国内最低気温が観測された朱鞠内湖を見に行っていました。上の植物は、その近くの朱鞠内駅跡周辺でスケッチしたもの。

真冬に行ったことはあるけれど、夏の朱鞠内湖は初めて。冬の凍てついた別世界のような美しさとはまた違って、穏やかに包み込んでくれるような雄大な湖でした。

有名な観光地ではないけれど、さすがに道端は外来種ばかりですね。でもちょっと山に入れば、道路沿いヨブスマソウやハンゴンソウなどがたくさん茂っていて、大自然を感じました。

昨晩は熱帯夜ぎみだった道北ですが、暑かったのは一日だけ。今日はもうすっかり涼しくなって、秋らしい気持ちのいい夜です。

2019/09/10火

エゾミソハギ(禊萩)

家のそばの道路に沿う排水溝から、見慣れない植物が、1mほどもあろうかという茎をたくさん伸ばし、満開に花を咲かせていた。

また何かの生命力の強い外来種かと思いきや、調べてみたらエゾミソハギだった。

二枚の細い葉が向かい合ってつき、一段ごとに向きを90度変えているので、上から見下ろすと、葉が十字にきれいに整列している。その上にピンク色のつつじのような花がたくさん。

ミソハギという名前は、溝に生えるハギに似た花に由来しているのかもしれないらしい。まさに見事に溝に咲いていた(笑)

禊に使ったからミソギハギ、という説もあるが、個人的には溝ハギ説のほうが印象深い。溝の中で頑張っている在来種なんて応援したくもなってしまう。

ハギに似ているというのは花の色だろうか。形は全然似てないが。むしろ遠目に見たら、トラノオやクガイソウのほうが形は似ている気がする。


今日はとてもよく晴れて、気温も20℃付近で過ごしやすい日。一年中こんな爽やかな気候なら、一日中外をうろうろしているだろうに、と思うほどに。

でもやっぱり四季は折々の変化があってこそ。

夜は、月明かりがまぶしいくらいに明るい。上限と満月のあいだくらいのふっとりした月です。思えばもうすぐ中秋の名月の時期なんですね。

東京や大阪は今ごろまだ残暑厳しく夏バテしているだろうな、と思いますが、ここ道北ではありがたいことに昔ながらの季節が感じられます。日に日に秋が深まってきて、とてもさわやかです。

2019/09/11水

トリアシショウマ(升麻)

先日、松山湿原に行ったときに見かけたショウマ系の何かを写真からスケッチ。改めて写真をよく見てみると、トリアシショウマではないかと思われた。

このショウマ系というのはややこしくて、花がよく似た複数の植物の名前になっている。しかも科がぜんぜん違う。

おおもとになっているのはキンポウゲ科のサラシナショウマ。根が升麻(ショウマ)という薬草として解熱剤などに使われたらしい。

しかし、似たような花で、似たような葉で、似たような根のユキノシタ科とバラ科の植物も、なんとかショウマと呼ばれるようになり混乱。しかも薬効はないらしい。

かつて中世には、同じような形や色の植物には同じような薬効がある、という「特徴説」という考え方があったらしいが、ショウマ系のややこしさは、その理論をはっきり否定している。(ただ特徴説は記憶に役立ったと言われる)

というわけでショウマ系を判別したかったら、おもにキンポウゲ科(サラシナショウマ、ルイヨウショウマ)、ユキノシタ科(トリアシショウマ、モミジバショウマ、北海道にはないがアワモリショウマ、チダケサシなど)、バラ科(ヤマブキショウマ)を区別しなければならない。

このうち特に花が似ていてわかりにくいのが、ユキノシタ科トリアシショウマと、バラ科ヤマブキショウマらしい。

普通は葉で判別することができる。バラ科はくっきりした羽状の葉脈で、ユキノシタ科は網状のしわくちゃした葉脈。

だけど、今回撮った写真では花に気を取られて葉が写っていなかった。その花も拡大できるほどではなかったので、細部がよくわからなかった。

でも、背後にすでに実をつけたらしい茎が写っていた。実はまばらについていて、ぎっしりつくらしいヤマブキショウマとは違うように見えた。というわけでトリアシショウマかなと。

このトリアシという名前は、春に若芽が出た頃に見ると、鳥の足のように三つに分岐しているかららしい。そのころは山菜として食べれる。独特の食感で東北地方では人気だとか。

ヤマブキショウマのほうはバラ科の山吹の葉に似ているからだとか。こちらも若芽はトリアシショウマと同様食べることができ、やはり東北地方では人気らしい。

トリアシショウマにしても、ヤマブキショウマにしても、もっとよく観察したいのだけど、この辺ではけっこう山の中でしか見ない。クマとはち合わせる危険があって、そうそう一人では観察に行けないのが残念。


今日は一日中雨でした。前々から書こうと思っていた、色についての記事をやっと書きました。久々の「絵の考察」カテゴリの記事。

最近は、植物スケッチもするようになったので、絵のほうも本格的に再開したい気持ちがあります。でもまだ生活がごちゃごちゃしていてややこしいから、もう少し整理してからかな。

2019/09/12木

シラオイハコベ(繁縷)

これも先回、松山湿原に行ったときの花。ガイドさんがシラオイハコベだと教えてくれた。恥ずかしながら、春の七草ハコベを知らなかったので、初めての出会いになる。

ハコベ類は、図鑑によるとたくさん種類があって、見分けるにはまだまだ経験が足りなさすぎる。せめて、この花はハコベだ、ということくらいはわかるようになりたい。

ハコベはナデシコ科。スプリングエフェメラルとして雪解け後に咲く種もあるが、シラオイハコベはもっと遅く、夏の終わりごろになる。

普通、ナデシコ科は花びらが5つだが、ハコベはどう見ても10に見える。それは、一つ一つの花びらが、深い切れ込みによって2枚に裂けているからだ。

もともとのナデシコに、その兆候は見える。ナデシコ科の英名“pink family”は花びらがギザギザなところから来ていて、ピンキングはさみの由来になっている。(そもそも色のピンクはここからきている)

だから、ナデシコ科の花は、前にスケッチしたマツヨイセンノウみたいに裂けかけているのもあるが、ハコベは完全に裂けてしまっている。

シラオイハコベの場合は、なんとなく花びらが一枚だったころの名残を残していて、花びらが二枚ずつ寄り添って並んでいて、裏側から緑色のガクが見えている。(もっと開けてしまっている花もあるが)

これがやはりナデシコ科のオオイワツメクサあたりになると、二枚一組だったころの名残もほとんどなくて、まるでキク科のような花になってしまう。ちゃんとこうした特徴を覚えていて見分けられればいいのだが。


かなり寒くなってきて、夜は10℃を切りました。今日は霧も出ていて、自動車に乗っていると雨でもないのにガラスが外から曇ったり。

もっと寒くなってくると、これが雪になるのでしょう。初雪は1ヶ月から2ヶ月後くらいかな。それまでは涼しく気持ちいい季節なのでサイクリングに励みたいです。

メモ : 9/9のニュースにあった、アマゾンの先住民族の声明

われわれアマゾンの民は恐怖を感じている…次はあなたたちの番だ(The Guardian) – Yahoo!ニュース

わたしの普段の思いにとても近いことが書かれていて共感しました。

2019/09/13金

オオヨモギ

道路脇に大量に穂を立てているヨモギがついに満開に咲いていた。大型で人の丈くらいあるので、北海道に多いオオヨモギ(エゾヨモギ)だと思われる。

花といっても、先日のノボロギク、オオアレチノギク、ヒメムカシヨモギなどと同じく、筒状花のみの地味なもので、そういうタイプの花があることを知っていないと咲いているのがわからない。

ヨモギは有用植物の代表として知られるが、これらと同様にやたら繁殖力の強い雑草的なキク科で、しかもセイタカアワダチソウと同じく、根から他の植物を抑制するアレロパシー物質を放出したりするのだとか。

この前、ヒメムカシヨモギのところで、ヨモギにそんなに似ていないのに、なぜヨモギという名なのだろう、と書いたが、図鑑で調べたら、ほかにも「なんとかヨモギ」と名付けられている例は多い。

オトコヨモギ、サマニヨモギ、シロヨモギ、イヌヨモギなど相当数がある。共通しているのはどれもキク科で、背の高い花序をつけ、あまり目立たない下向きの花(筒状花メイン)を咲かせるということだろうか。

それからすると、確かにヒメムカシヨモギはヨモギだし、いっそオオアレチノギク(花は上向きだが)もヨモギでよかったんじゃないかと思ってしまう(笑)

しかしヨモギ(オオヨモギ)はなぜか古来から日本人に愛されてきた有用植物で、葉を詰んで食べれるし、よもぎ餅になるし、お灸のモグサの材料にもなる。

アイヌも「ノヤ」と呼んでヨモギを利用し、ノヤシト(ヨモギだんご)にしたり、咳止めや痛み止めに使ったらしい。ノヤは「もむ草」を意味しており、もんだときに出る匂いが魔除けになると信じられていた。

ヨモギ属という学名は、ラテン語ではアルテミシア属で、月の女神アルテミスから取られているという。今日はちょうど中秋の名月で、晴れた夜空にほぼ丸い満月が煌々と昇っていた。(満月は翌日)


よく晴れた日でサイクリングを楽しみ、夜も中秋の名月が美しかったです。

でもちょっと体調が悪く、なんでだろう。前に書いたように、月齢による潮汐効果が影響しているとしたら、満月と新月のころは悪いのかも。そうでなければヨモギの花粉症という線も。

2019/09/14土

アメリカセンダングサ(栴檀草)

庭に咲いていて、なんだろう、と思って調べてみた花。これまた最近よくスケッチしている筒状花のみのキク科で、アメリカセンダングサだった。

センダングサ属もまたたくさん種類があって、花びら部分(舌状花)があるものもないものもあるが、アメリカセンダングサは、あたかも緑色の花びらがあるかのようで見分けやすい。

この緑色の花びらみたいなものは葉や萼ではなく、苞(つぼみを包むよう変形した葉)らしい。ミズバショウの花びらに見えるやつと同じ。

センダングサの名前は、あの有名な「栴檀は双葉より芳し」ということわざの栴檀の木の葉っぱに似ていることから。ギザギザの縁の楕円形の、3つほどに複葉に分かれているところが似てる。

ちなみに残念ながらセンダンとかビャクダンは亜熱帯性で北海道にない。

センダングサが有名なのは、花ではなく、その後にできる実(ひっつき虫)のほうらしい。


今日は胡桃染体験をしてきました。クルミの実をとってきて、その果皮を煮詰めて染めると、和菓子のくるみゆべしみたいな色になります。絞り染めなんて小学校以来で楽しかったです。

アイヌの本によると、アイヌはフレ(茶色っぽい赤)とクンネ(紺っぽい黒)の染料がメイン。赤はイチイやケヤマハンノキの樹皮から、黒はオニグルミの樹皮などを使って染めたらしい。

ちなみに今日胡桃染をした場所で、この木はなんだろう、と不思議に思った木があって、帰宅後調べてみたら奇しくもケヤマハンノキだった。ケヤマハンノキの葉はハンノキみたいな大きく楕円形の葉ではなく、もみじまんじゅうっぽい。

今回は実から染めたわけだけど、アイヌがやったように、オヒョウニレの内皮の繊維で服を作って、ケヤマハンノキや樹皮を使って染めるという、重厚感のある染め物を作ってみたいですね。

2019/09/15日

ツユクサ(露草/鴨頭草)

朝早く、町中の道路脇にツユクサの花が咲いているのを見つけた。初めて見るような気がしたが、なんとなくツユクサかなあとピンときて調べたら、ツユクサ科のツユクサだった。ツユクサという名をどこで覚えたのか不明。

ぜんぜん珍しい花ではなく、日本中どこでも雑草として生えている花だそうだが、道北に来てから初めて見た。

けっこう目を皿にして道端の花を探しているので、そうそう見逃しているわけではないはず。しかし、わたしは朝が弱いので、普段は花がしぼんでしまっているのかも。

ツユクサは朝咲いて昼にはしぼむらしい。それゆえ朝露にたとえてツユクサと呼ばれるようになったとの説がある。

ホタルブクロと同じように、ホタルの出る夏の半ばごろから秋まで(8から9月)咲く花。そのせいか蛍草の別名も。

さらに、花を覆うようについている苞(2つ折りの葉っぱ)から、ボウシバナの異名もあるという。

ツユクサの名は、付き草から来ているという説もあって、色がつきやすく、青色系の絵の具として使われていたこともあるとか。伝統色の「鴨頭草(つきくさ)色」は、この花で染めた色。

ほかにも万葉集で月草と呼ばれているなど、あちこちで見かける花だから、各地でさまざまに呼ばれているようだ。

花びらは3枚だが、ツユクサでは下の1枚が白っぽくてわかりにくい。同じツユクサ科のムラサキツユクサやトキワツユクサは、エンレイソウみたいに三枚が均等になっていて目立つ。

ツユクサは食べることができ、柔らかい葉をおひたし、天ぷら、サラダ、卵とじなど色々できるという。今回は道端だったので採らなかったが、森のそばなどで見かけたら食べてみたい。


やっぱりあまり体調がよくなく、ヨモギ花粉症の線が濃厚かも。

調べてみたら、口腔アレルギー症候群や、セリ科スパイスアレルギーとも関連しているそうで、なんとなく思い当たる節があります。近々病院で調べてもらおうかと思いました。

幸いヨモギ花粉症は時期が短く、9月下旬にはもう花粉が飛ばなくなるようです。もしヨモギ花粉症のせいだとすればもうしばらくの辛抱ですね。

秋も深まってきて、虫の鳴き声が心地よい季節。せっかくなので、虫の名前も覚えたいと思いましたが、ネット上に使いやすい音源資料がほとんどなくて困りました。

やっと発見したのが、音の風物詩 鳴き声ライブラリーというサイトで、鳥の鳴き声も載っていて参考になりそうです。

もしいずれ本格的に勉強したいなら、北海道大学出版会 バッタ・コオロギ・キリギリス 鳴き声図鑑あたりを購入したらいいのかな。

とりあえず、今身近に鳴いている虫の中で、エゾエンマコオロギ(勢いのある波打つ音)、ウマオイ(リズミカルな鈴の音)、スズムシ(背景音)、カンタン(電子音みたいなの)あたりがわかるようになったかも。

今のところ野草メインで自然観察していますが、樹木、キノコ、コケ、地衣類、虫の音、鳥の声あたりも勉強していかないと自然ガイドは務まらないですね。知るべきことは多い。

2019/09/16月

ムラサキウマゴヤシ(アルファルファ)

自転車で走っているとき、道路脇にあった花。遠目に見て、たぶんヤマハギかなと思ったが、確信が持てず。近づいてみると、花の大きさや葉っぱがなんか違う。色もすみれ色に近い。

Google Lens先生に尋ねてみたところ、ムラサキウマゴヤシという名前だった。ヤマハギと同じマメ科なので似てはいるけれど。

ウマゴヤシの名のとおり、牧草として使われている。近くに牧場があるので、そこから飛んできたのかもしれない。夏に咲く花ということで、そろそろ花は終わり時で、実が生り始めているようだが…。

驚くべきはこの植物、「アルファルファ」という別名があったのだ。

都会にいるとき、アルファルファのスプラウトをよく食べてたし、種から栽培もしていた。おいしかった。あれが成長するとこうなるなんて知らなかった。

スプラウトだけでなく、新芽はサラダで食べることができ、ハーブティーとしても飲むことができる。

雑草みたいに生えていたし、せっかくだから種をもらってきてスプラウトにしたり、来年、うちの庭に植えたりしてみようかと思った。


今日は家でゆっくりしながら、ミクロの森: 1m2の原生林が語る生命・進化・地球を読んでいました。

生物学者である著者が、原生林の一角に一年間毎週足を運んで書いた観察記録。

自然観察でありながら、惜しげなく専門的知識が散りばめられていて、博物学のお手本のような本です。こんなのが書けたらいいなと思いつつ、あまりに感性も知識も足りなさすぎて。

でもだからといって努力しないと溝は埋まらない。毎日自然観察に足を運ぶとともに、こうした良質のエッセイを読んで知識や理解を深めていきたいです。

2019/09/18水

ニラの花(韮)

市街地を歩いているとき、団地の前の草地に、見慣れない花を発見。遠目に見るとセリ科の花みたいだったが、近づいてみると明らかに違う。調べたらニラだった。

古くから日本に自生していて、今でもあちこちで野生化していて、珍しいものでもなんでもないらしい。

ニラはヒガンバナ科ネギ属で、仲間にネギ、ニンニク、チャイブ、タマネギ、ラッキョウなど食用野菜がずらりと並ぶ。

どれもたいてい球形のネギ坊主型の集合花を咲かせるが、その中でもニラは花の形がはっきりしていて独特。ネギ属ではギョウジャニンニクの花が近いか。

ニラの花は花びらが6枚に見えるが、実は3枚が花びら、残り3枚は苞らしい。他のネギ属よりも、ひとつひとつの花が美しいぶん、花の数は減っているので、印象が変わるようだ。

ニラは普通は葉を食べるが、若いつぼみと花茎を「花ニラ」として食べることもある。一方、園芸種の「ハナニラ」はまったくの別種で、花も集合体ではない。ややこしい。


ここのところ、忙しい日が続きました。昨日は日中暑くて、なんだか調子が悪く、危険運転してくる車にイライラしたり。もっと落ち着いて、心乱されないようにしないといけないですね。

でも、夜は涼しかった。サイクリングしたときには8.6℃まで下がっていて、いい気分転換ができました。

もうすぐ引っ越してきて1年。ぜんぶの季節を体験してきたわけですが、やっぱりわたしは寒いほうが好きみたいです。冷たい空気を吸うと、とても幸せでリラックスした気分になれる。

冬は花は咲いてないけれど、樹木や野鳥の観察には向いている季節。地衣類も鮮やかになりますし、自然観察の機会はたくさんあります。これからの季節が楽しみです。

2019/09/19木

ハコベ?

森の入り口付近に咲いていたハコベらしき花。昼頃に見つけたが、花は半分閉じていた。

本当にハコベなのかはあまり自信がない。ナデシコ科のハコベの近縁なのは間違いないが、細かい種の同定となるとややこしい。

花びらは10枚に裂けているし、たくさんつぼみが集まっているし、古くから日本にあったとされるミドリハコベらしくは感じる。

だが、帰ってから調べてみると、ハコベは茎の一面だけにたてがみのようにうぶ毛が生えているらしい。それに葉は毛がないらしい。撮ってきた写真では違うような気がする。

ということはネズミの耳のようにふさふさしているミミナグサだったのか? しかしミミナグサのように茎が紫色ではない。

茎が緑色で、つぼみが密集しているのは、ミミナグサの中でも広く繁茂しているオランダミミナグサと似ているが、明らかに花びらは違う。

たぶん、その場でじっくり観察できなかったのがダメだったんだと思う。写真だとはっきりわからない。次回からは現地でよく観察して見分けられるはず。

・花びらが10枚に裂けて見え、茎のうぶ毛が一面のみの場合
茎が緑だとミドリハコベ、赤っぽければ外来種コハコベ

・花びらは裂けきってなく5枚に見え。全体にうぶ毛が多い場合茎が赤っぽければミミナグサ、緑なら外来種オランダミミナグサ

・ただし、花びらや葉の形が異なる変種は他にもたくさんある。先日のシラオイハコベや、ウシハコベ、エゾハコベ、ミヤマハコベetc…。

こんなふうに種類はいろいろあるのだけど、あまり厳密に見分けようとしなくていいのかもしれない。

前に書いたように、わたしは植物学者になりたいわけじゃない。植物それぞれのストーリーを知り、季節の変化を感じたいのであって、分類にとらわれると感覚がおろそかになる。

目の前の花が厳密にハコベのどの種類か知るよりも、ハコベの仲間が、人間の生活にどう関わってきたかを知るほうがいい。

誰かに自然界について説明するとき、細かい分類の話をしてもつまらないし、正しいとも限らない。大まかな分類は何百年も前から変化しないが、細かい分類はどんどん変わっていく。

それに比べて、植物と人との関わりはもっと魅力的に思える。

古く万葉集の時代から、「ハクベラ」として愛されていた。昔から歯磨き粉、産後の健康に使われ、何より春の七草として親しまれてきた。だが10月ごろまで花が咲く。

植物を見分けるのはある程度大事だけど、博物学を目指す者としては分類以上の、もっと幅広い知識や経験を蓄えていきたい。


今日は一日中、強い風と断続的な雨。気温はかなり低く、最高15℃、最低9℃でした。本州に住んでいたころの冬の格好でないと外出できません。

でも道北では、これでもまだ秋です。なんといっても冬はマイナス10℃以下、最低はマイナス30℃なんですから。だけどそれがいい。

たまたま釧路からいらっしゃった方と話す機会がありましたが、あちらでは冬は最低でマイナス10℃くらい。雪はほとんど降らず、ひと冬の2回くらいしか除雪しないのだとか。同じ北海道とは思えません。

わたしは道北の雪が何より大好きなので、北海道の中でもこの地方を選んで本当によかったと思います。除雪や運転は大変だけど、あの幻想的な風景に勝るものはありません。


2019/09/20金

ツルニンジン(ジイソブ/ムク/トドック)

今日も雨だったので、先日松山湿原で見たツルニンジンの写真から模写。UFOのような不思議な形の実が印象的だった。残念ながら花は見れなかったので図鑑から模写。

ツルニンジンはツリガネニンジンと同じくキキョウ科。本来のニンジンはセリ科で似ても似つかない。

しかし、どちらも、根がウコギ科の高麗人参(オタネニンジン)みたいなので、ニンジンの名がついた。

つまり、ニンジンという名称は科を超えて様々な植物に使われている。遺伝的類似性から分類する現代の植物学と、用途で分類する過去の名前とが矛盾してこんがらがっている例。

つるで他の植物に巻き付いて、短い枝に4枚ほどの葉をつける。

花はキキョウっぽい花だが、内側に赤紫色の斑点があり、それを爺さんのそばかすに見立てて「ジイソブ」の別名がある。

同じように、一回り小さいヒメツルニンジンは「バアソブ」とも呼ばれる。ジイソブは花の外側は白いが、バアソブはもう少し小型で、花の外側も赤みがかっているようだ。

ジイソブもバアソブも、古くからアイヌに重宝されていた。あの松浦武四郎も「アイヌの砂糖」としてごちそうになったらしい。根はニンジンらしく甘さがあるという。

アイヌ語ではまずバアソブありきで名前がつけられている。

バアソブが「ムク」、ジイソブは「トペ・ムク」(乳汁ムク)、ツリガネニンジンは「ムケ・カシ」(ムクのおじいさん)という。バアソブ(ムク)が一番身近だったのだろう。

ジイソブ(ツリガネニンジン)が乳汁ムクと呼ばれているのは、茎を折ると乳液が出るから。母乳が出ない女性のために用いられたという。中国でも「羊乳」と呼ばれている。

ツリガネニンジンがムクのおじいさんと呼ばれているのは、根がムクより大きいからだという。ムクはヒメツルニンジンなので、この中では一番小さいはずだ。

韓国では、ツルニンジンは「トドック」と呼ばれ、最も有名な山菜らしく、栽培もされているという。

山菜として食べるときは、アイヌのように根を食べるだけでなく、葉や茎を油炒めにするなど、さまざまな食べ方ができる。昔から人々の生活にとても役立ってきた植物といえる。


今日もずっと雨が降ったり止んだりの不安定な天気でした。去年引っ越してきた10月ごろもそんな天気で、よく虹が見れたのを思い出しました。

最近は虹を見ていませんが、去年のようなタイミングで外出していないだけなのかも。引っ越してきてすぐは、役所の手続きなどで頻繁に外出していましたから。

それでも、雨の中自転車で外出はしているので、雨上がりの美しい景色をよく目にします。

昨日、近くの山から降りてくる急な坂道で、雨上がりの町と山並みが、息を呑むほどみずみずしく、輝いて見えました。

こんなキラキラした風景はぜひ写真に撮らないと!と思いスマホに手をかけましたが、すぐ思い直しました。カメラの代わりに、自分の目に焼き付けようと思ったからです。

経験上、こうした輝く景色は、写真には映らないものです。映らないものを撮ろうとして、今この瞬間を味わいそこねるのは悲しいこと。

だから、写真は撮らず、自分の感覚で体験することにしました。その景色は、今もまぶたの裏で輝いています。

2019/09/21土

ヤマハハコ

ピヤシリ山の登山道で頻繁に見かけた白い花。

最近経験値を積んだおかげで、キク科だということはすぐわかる。ほとんど筒状花の白い花だったので、ヒメムカシヨモギかな、と最初は思った。

でも、ヒメムカシヨモギより白い花が目立ち、葉っぱも高山植物のように銀色に輝いていた。なんだろうとGoogle Lensで調べてみたら、ヤマハハコという初めて聞く名前だった。

まわりの白い花びらに見えるものは、キク科に多い舌状花ではなく、葉っぱが変化した総苞片だという。

キク科でいえば、この前のアメリカセンダングサもそうだった。そして、調べていて気づいたが、有名なエーデルワイスもキク科で、花びらに見えるのは総苞片らしい。言われてみれば、アメリカセンダングサと似ている。

ヤマハハコの場合は、アメリカセンダングサやエーデルワイスみたいな大きな総苞片はないが、小さく花を包み込む雪のような苞がとても愛らしい。

中央部の色が黄色や茶色があるのに気づいていたが、よく見るとそれは雄花と雌花の違いらしい。近づいてよく観察すれば、構造からして違うのがわかる。

一足早く雪のような白い花を散らしているヤマハハコは、このまま雪が降るまで残り、立ち枯れてドライフラワー状になるのだとか。

色は違うが、春の七草のキク科ハハコグサ(ゴギョウ)に似ていることから、ヤマハハコになったとされる。(ハハコグサのほうの語源は諸説ありはっきりわかっていないらしい) ヤマハハコも山菜として食べることができる。

ピヤシリ山の登山道はただの業務用林道のような殺風景な道で、ほかに咲いている花はまれにウツボグサを見かけるくらいだったので、ずっと両脇に咲いている美しい雪のようなヤマハハコは癒やしだった。


久々によく晴れた日だったので、ピヤシリ山に登山してきました。1000m弱のそれほど高くない山ですが、道北では函岳と並んで景色がいい。

スキー場から自動車で8kmほど林道を登り、最後2kmほどは歩きです。歩くのは山道ではなく、自動車も通れるような林道なので、そんなに大変ではありませんでした。

大自然の中を登る松山湿原の登山道に比べると殺風景で、あまり自然観察を楽しめる感じではありませんでした。

最後、山小屋についた後、ちょっとだけハイマツをかき分けて進む獣道のようなルートを進むと、頂上にたどりつきます。ここまでくると絶景が広がっていました。

天気がとてもよかった日だったので、山頂の絶景はことさら美しく、なかなか帰りたくないほどでした。ほかに登山している人もおらず貸し切りでした。

自然観察好きな人は、絶対に松山湿原のほうがいいですが、登山好きな人の場合は、ピヤシリ山から望む道北の絶景が気に入りそうです。

2019/09/22日

ヒカゲノカズラ

昨日のピヤシリ山の道中で見たヒカゲノカズラ。

最初にヒカゲノカズラを見たのは5月に松山湿原に行ったとき。地面を這うスギゴケの親玉のような植物をみて、いったいこれはなんだろうと不思議に思ったものだった。

二回目に松山湿原に行ったときに、これはヒカゲノカズラだと教えてもらい、ようやく正体が判明。独特な花も咲いていた。

今回、ピヤシリ山の道中でも、やっぱり道端にヒカゲノカズラを見つけ、花が咲いているのも確認できた。

花といっても、シダ植物なので、被子植物でいう「花」ではなく、「胞子嚢穂」というのが正しい名前。

仲間には、トウゲシバ、ミズスギ、マンネンスギなどがあり、いずれもよく似ているけれど、ちょっとずつ生態が違う感じ。

マンネンスギは松山湿原の最上部で見かけたが、ヒカゲノカズラみたいに地面を這い回るわけではなく、茎は地中を這っているので見えず、代わりに側枝がミニチュアの杉のように立ち上がる。

いずれも冬でも常緑で生命力が強いことから、演技のいい草として扱われてきた歴史があるという。


今週の最低気温は6℃、4℃、3℃と並んでいて、もう氷点下が間近です。来週あたり霜が降りるかもしれません。

サイクリングも寒くなってきたので、冬用のコートを引っ張り出してきました。…が、さすがに着てみると暑い。マイナス10℃以下のコートなので当然ですよね。

今くらいの時期は、まだ秋なので、分厚いコートに頼るより、重ね着でうまく調整するほうがいいみたいです。

ところで、昨日、清水恵さんという方が描いている水彩の風景画を見つけて、いいなあ、こんなの描きたいなあと思いました。

絵を描くのを再開したいとずっと思っていますが、外で動いている時以外は体調が今ひとつなので、実現できていません。なんとかできたらいいんですが。

2019/09/23月

ケヤマハンノキ

この前クルミ染めをしたときのこと。近くに生えているこの木はなんだろう、と思ってGoogle Lensで調べたら、ケヤマハンノキだった。葉の形が特徴的だから間違いない。

幹は比較的なめらかで横に線が入っているが、コシアブラなど似ている木も多く、樹齢によっても変わるので、あまり見分ける決定打にならない。このあたりが木の見分けの難しいところ。

植物もまだほとんどわからないが、それ以上にわからないのが樹木。葉の付き方とか樹形とか幹の感じとか、図鑑の説明を読んで目の前の木と見比べても全然わからない。だからこうして同定できると嬉しい。

特にその日は、オニグルミで染め物をしたから、同じ染料としてアイヌに重宝されたケヤマハンノキを見つけることができたのはとても嬉しくて印象に残った。

文献では読んでいたが、実物を見るのは初めてだった。いや、今までもきっと目にしてはいるのだが、実物を見分け、ケヤマハンノキだと意識できたのが初めてだった。

ケヤマハンノキは、樹皮から赤い水がにじみ出て、断面がすぐに変色するらしい。アイヌはこの木を「血の木」(ケネ)とも呼んだ。リュウケツジュを思わせる名前でもある。

アイヌはオニグルミの幹の樹皮を「クンネ」(黒)の染料として用いたが、それと並んで使われたのがケヤマハンノキの樹皮から取れる「フレ」(赤)だったそうだ。赤といっても錆びたような赤褐色だとか。

ほかにも、出血したときの薬として煎じたり、材質があまり硬すぎないので、鉛筆やおしゃぶりに加工したりするそうだ。

ケヤマハンノキの「ケヤマ」とはなんだろう、と思っていたが、葉の裏に「毛」が生えている「ヤマハンノキ」だった。毛が生えていない類似種はただの「ヤマハンノキ」になる。わたしが見たのがどちらかは毛を確かめていないので謎。

ただの「ハンノキ」も教えてもらったことはあるが、ケヤマハンノキほど特徴のある葉っぱではないので見分ける自信がない。幹もケヤマハンノキと違ってもっと縦にひび割れているようだ。

ちなみに実は、調べてみたら松ぼっくりに似ているらしい。ハンノキ属だと思って見ないとわからなそうなので、注意して観察してみたい。


今日はまた一日中雨。なんとか自然観察したいと思いレインウェアを着て外出してみましたが、雨が強すぎて断念。

しかも3DSがバッテリーの寿命か、充電できなくなってしまって。なかなか野外でスケッチするのは難しいですね。仕方なく、また写真から描きました。

外で描くことにこだわらず、屋外ではよく見たり触ったりすることに集中して、後から家で描くようにしたほうがいいかもしれませんね。ビアトリクス・ポターは標本を持ち帰ってましたし。

2019/09/24火

シュウメイギク(秋明菊)

秋めいてきてから咲き出したシュウメイギク。町内のあちこちで大きな不思議な形の花を咲かせていて、うちの庭にも咲いている。前の住人が植えていたようだ。

キクと名付けられてはいるが、どう見てもキクではない。キンポウゲ科と知って納得がいく。中央の丸い光輪のような雄しべの集まりはたしかにキンポウゲだ。

葉っぱの形も、3つに裂けていて、キンポウゲ(別名ウマノアシガタ)に似ている。前にゲンノショウコのところで書いたが、ゲンノショウコとウマノアシガタは似たような葉っぱの形で知られている。

しかし、キクに似ていないのは、品種改良後のもの。もともとの中国から渡来した品種のピンク色をした八重咲きのシュウメイギクの写真を見ると、確かにキクみたいに花びらがたくさんついている。これならシュウメイギクの名前も納得できる。

うちの庭に生えているものを含め、現在出回っているシュウメイギクは「ジャパニーズ・アネモネ」として品種改良されたものらしい。これだから園芸種は人為的に複雑化しているので好きではない。

キンポウゲ科の例に漏れず、シュウメイギクの花びらに見えるものは萼らしい。キンポウゲ科では花弁が退化して、萼が花びらみたいになっているものが非常に多い。

見た目にはどうやっても花びらとしか見えないほど豪華で、植物学者でもなければ、わざわざ区別する必要なんてなさそうだけど。一応つぼみを見れば、萼がない(花びら化している)のがわかる。

つぼみに萼はついてないし、茎にも分岐点以外に葉がついていないし、全体的にシンプルなつくりをしている感がある。

だから園芸種としてはスマートできれいなんだろうけど、わたしはもっとごちゃごちゃと入り組んだ山野草が好きなので、シュウメイギクばかり咲いている秋の庭は、どうにも物足りない。


今日は友人の畑で収穫させてもらいました。今年の収穫はもうほとんど終わり。でもまたトマト、ブドウ、ズッキーニ、ピーマン、ししとう、枝豆など、たくさん残っていました。

天気予報によると来週はまた少し暖かくなるので、まだ収穫はできそう。再来週あたりが揺り戻して寒くなって、初霜が降りそうなので、いよいよ冬の足音が聞こえてきそうです。

2019/09/25水

トチノキ(栃)

近くの公園を散歩して樹木を観察したが、まだわからないものだらけだった。その中で、特徴的な先の広い葉を見かけて、これはもしかしてホオノキでは?と思った。

少し前に友だちの家でこれはホオノキだと教えてもらい、その葉の形が印象に残っていて、これなら見分けられると思った記憶があった。

だが、近づいてみると、足元にクリの木のような実がたくさん落ちている。これはなんだろう、と思って帰って調べると、ホオノキできなくトチノキだった。相撲取りの四股名に昔から多いあの「栃」だ。

ネットの情報ではたしかにホオノキとトチノキの葉はよく似ていることがわかった。しかし、トチノキは葉が手のひらみたいにつく(掌状複葉という)のに対し、ホオノキは葉が輪のようにつく(輪状)ことで見分けられる。

しかもホオノキは実は複葉ではなく、互生の葉が先っぽに集中してまるくついている偽輪生である。

今回、現地で観察したとき、手のひらのように葉がついていて、ヤツデみたいな葉っぱだなぁと感じていたので、確かにトチノキだと同定できた。

トチノキと形が似ている葉っぱとして他にコシアブラがある。しかもトチノキとコシアブラはどちらも掌状複葉。だけど、トチノキはそれぞれの葉に付け根の茎(葉柄)がほぼないのに対し、コシアブラの葉は茎があるので見分けられるはず。

また、バンレイシ科のポーポーの木とも葉が似ているが、これまた葉の付き方が違っていて、普通の互生なので見分けがつく…はず。

といっても、似ているのはあくまで葉っぱのみ。幹の質感はかなり違って、トチノキのほうがゴワゴワしている。トチノキ、ホオノキ、ポーポーは花や実はまったく違う形で見間違えようがない。

だが、自然観察の超初心者としては、昔からよく名前だけは聞くあの「栃」を、初めて自分の目で見分けた感動は大きかった。

栃の実も、話には聞いていたけれど、初めて見ることができた。あたかも栗まんじゅうのような見た目でおいしそうだけど、食べるには下処理がかなり大変らしい。

マユミ(エリマキ)

同じ公園の中で見つけた桃色のひときわ目立つ実。こういった特徴的なものの同定はGoogle Lensのお家芸ですぐにマユミの実だとわかった。

どこかで見たことがあるような…と思ったが、よく考えてみれば、実の形が以前に観察したツルウメモドキによく似ているのだ。どちらもニシキギ科。色は違えど形は似ている。

ツルウメモドキの実は、オレンジ色の殻が4つに割れると、中から赤い実が出てきた。同じように、マユミの実も、桃色の殻が4つに割れて、中からさくらんぼみたいな赤い実が出てくる。

トチノキと同様、「マユミ」もよく聞く木でありながら、実物を見たのはこれが初めて。夏頃、先に近縁種のツリバナやツルウメモドキを見ていたので、すんなり頭に入ってきた。知識が増えるとつながってくるのが楽しい。

北海道や東北の方言ではマユミやツリバナを「エリマキ」と呼ぶそうだが、どういう由来なのかはちょっとわからなかった。

アイヌ民族は、ニシキギ、ツリバナ、マユミなどのニシキギ科の木材を、弾力があって丈夫なので、弓や櫛や食器に加工していたという。

マユミはアイヌ語では「カスプニ」(杓子・木)であり、おかゆなどのスプーンの材料として使われたことがわかる。


昨晩は、とてもよく晴れていて、久々に涼気の中、星空観察を楽しめました。もうオリオン座やぎょしゃ座といった冬の星座が見えていて、カペラなど新しい星を少し覚えました。

最初に覚えたのが、北極星の見つけ方だったのがよかったなぁと改めて思います。北極星はほぼ動かないし、北極星を中心に夜空が回転するので、位置関係が記憶しやすいです。

たとえば、北極星を見つけるには北斗七星かカシオペア座を使いますが、そのカシオペア座の「外側」にアンドロメダ座やペルセウス座があります。

これが北極星を中心に考えていなかったら、夜空には上も下もなく、逆転したりもするので、星座同士の位置関係が覚えにくいところでした。北極星を目印にした昔の人の知恵はさすがですね。

その天気のまま、今日もよく晴れていたので公園を散歩。町の公園なので山野草は特にありませんが、まだあまり覚えていない樹木の観察を楽しめました。

まだまだ初心者すぎて見分けがつきませんが、気になった木の名前を同定できたときの喜びを感慨深いものがあります。新しい友だちと知り合い、自分の住む世界が豊かになったような、そんな気持ちが。

2019/09/27金

エゾノコリンゴ? ズミ?

マユミの実がわかったので、夏頃ツリバナの花を見かけた場所に実ができていないか探しに行ってみた。だが、マユミの実はたくさんあるのにツリバナの実がない。

マユミは花びら4枚、実の殻も4裂。ツリバナはどちらも5枚で形が違うはずなのだが…時間がなかったので、探し方が悪かったのかもしれない。

夏に見たツリバナはかなり背が高い木だったのに対し、今日見つけたマユミはどれも背の低い若木だったので、たぶん別のを見ている。

その代わりに謎の真紅色の実がたくさん生っている木を見つけた。さくらんぼみたいな形の実だが、もう少し大きいか?

なんだろう?と思って調べたら、たぶん、エゾノコリンゴではないかということだった。確かに小さいリンゴといった感じ。萼の部分が残っていて、ローズヒップみたいだともいえる。リンゴはバラ科なので。

さらに調べてみると、エゾノコリンゴは、ズミ(酸実)というリンゴの野生種の仲間らしい。エゾノコリンゴの別名はマンシュウズミであることからもわかる。満州地方のズミなのだ。

エゾノコリンゴとズミは非常によく似ているが、葉の形状で区別できる。エゾノコリンゴは一般的な形の葉ばかりなのに対し、ズミは葉の先が3から5つに裂けることがあるとか。

普通の形の葉っぱばかりに見えたが、スケッチにもあるように、先がちぎれたような、オヒョウニレのような形の葉もあった。葉に虫食いが多かったので、これもそうだと思いこんでいたが…。

ネットでズミの葉を調べてみると、もっと大胆に切れ込んだクワの葉みたいな葉が多いようだったので、今回見たのはズミではなく、エゾノコリンゴかなぁと思ったが、厳密には不明。

若葉の形でもわかるとあったが、今の時期に若葉なんてないか。(ズミは若葉が二つ折り、エゾノコリンゴはロール状)。葉の先が裂けるのも、クワと同じく若枝に多いようなので、今の時期は見分けづらそう。

まあ、いつも書いていることだが、ズミかエゾノコリンゴかというのは細かい品種の部分なので、植物学者でない身としては、「これはズミの仲間」というくらいに分かればいい気もする。

ズミの実は「酸実」の漢字どおり酸っぱいらしく、基本的には鳥が食べるくらい。一応、秋に完熟すると食べれるらしく、食べごろだったかもしれない。だけど虫に食われてそうだしやめとこうか。

果実酒にしたり、ジャムにしたりして食べる人もいるというが、今のわたしにはまだまだレベルが高すぎる話だ。

いずれにしても、今日はちょっと駆け足でゆっくり観察できなかったので、また日を改めて見に来たい。

追記: 別の日に見に行ったら、はっきりと複数に裂けている葉が何枚かみつかり、ズミだとわかりました。わかったのは嬉しいけど、珍しい種でなくてちょっと残念。


昨日26日、旭川で初霜が降りたというニュースがありました。うちの地方は旭川よりさらに寒いくらいなので、気づかなかっただけで初霜くらい降りてたのかもしれません。

夜もサイクリングに行ったら、気温計が4.2℃になっていて、いつもの格好では肌寒く感じました。

昔住んでいた本州の基準で考えたら冬の気温ですが、ここらでは序の口。あと30℃は下がります(笑)

それとともに、急激に山々の木が紅葉に色づいてきました。あっという間に秋、そして冬へと駆け抜けそうです。秋は美しいけれど短い。その短い紅葉を大切に楽しみたいところです。

2019/09/28土

ナラタケ

士別市で開かれたキノコ採りの会に行ってきた。この前も松山湿原でナラタケ(ボリボリ)を採ったが、今回もボリボリ採りがメインだった。松山湿原のものに比べてかなり小さかったが、たくさん生えていた。

ナラタケはその名前のとおりブナ科の木など、広葉樹林に生える。北海道だと、ミズナラの木が多いので、その根本を探して歩くとよく見つかる。

だが、実は他の種類の木や針葉樹にも生えることがあり、ナラタケ病として林業や農業では嫌われているらしい。しかし菌類は森の正常化のために働くことを思えば林業の人工林や農園の生物学的な不健康さゆえの自浄作用とも言えそうだが。

見分けるための特徴は3つと教わった。
(1)かさの中央付近に黒いぶつぶつがあること
(2)かさの端に、縦線がぐるりと入っていること(条線)
(3)柄の上のほうにつばがついているorつばの跡が残っていること
あとネットで調べたら
(4)柄がポキっと折れる
などもあった。

「ナラタケ」といっても一種類ではなく、厳密にはもっと細かく分類できるらしいが、どれも食べれる。

(3)の特徴である、「つば」がなければナラタケモドキかもしれない。ナラタケモドキも食べれるが味は劣るという。

問題は、類似している種にコレラタケなど猛毒キノコがあるということ。上記4つの特徴をしっかり確認すれば大丈夫らしいが、少しでも怪しければ食べないのが無難。

コレラタケは、廃材、枯れ木、ゴミ捨て場、公園などで生えやすく、ナラタケとは一応場所が違う。またナラタケは前に松山湿原で見たラン科オニノヤガラと共生するなどの特徴も。

だから、
(5)ナラノキのどんぐりやオニノヤガラがそばにあるか
も確認するといいのかもしれない。

まあはっきり言って、わたしレベルの素人は、まだキノコ狩りに命を賭けるべきではない。専門家の人も「こうしたキノコ狩りの会に数回から10回くらい参加して、知ってる気になってしまった人が一番危ない」と言っていたし。


ここ数日の冷え込みで、一気に、紅葉の色づきが深まりました。あまりに美しい色とりどりのレインボーカラーの山に、運転しながら見とれそうになります。よそ見は危ない。

紅葉が深まってくると、遠目にも、人工林か自然林かが一目瞭然。自然林は緑、黄、赤がすべて入り混じった美しいマーブル模様に色づきますが、人工林は緑一色だったり、いびつな模様になったりします。

残念ながら、わたしの家の窓から見れる裏山は林業の森だから、緑一色です。ちょっと5分くらい自転車で走れば紅葉が美しい自然林にたどりつけますけれど。

2019/09/29日

ヌメリスギタケモドキ

昨日の続き。キノコ狩りの会で、ナラタケの次に多かったのが、このヌメリスギタケモドキだった。見た目も名前も怪しいが、おいしく食べることができる。

ヌメリスギタケモドキは、枯れ始めたヤナギの幹に生えることが多く、かなり上のほうを見ながら歩くと見つけやすい。ハンノキなど他の木々にも生えるらしいが、特にヤナギに多いので別名ヤナギタケと呼ばれている。

ヌメリスギタケモドキという、このややこしい名前は、まずスギタケ属から来ている。本家のスギタケは杉の木に生え……ない。他のスギタケと同じく広葉樹林を好み、地面にも生える。もうややこしい。

なぜスギタケなのかというと、ネット上では諸説あってわけがわからない。笠部分のトゲトゲ(鱗片)が杉の葉に似ているから、あるいは柄のささくれが杉の幹に似ているから、さらには幼菌が杉の花に似ているから、などなど。やっぱりややこしい。

しかもスギタケはもともと食用だったのが、体質によって当たる人もいるということで食不適になってしまった。本当にややこしい。

極めつけは、スギタケに似ている仲間にスギタケモドキがあり、ヌメリスギタケとヌメリスギタケモドキもあるということ。わけがわからない。

スギタケとスギタケモドキは一応食べれるが、人によって中毒を起こすことで共通する。

一方、ヌメリスギタケと、ヌメリスギタケモドキはどちらも食べれる。ぬめっていればいいということか。

ヌメリスギタケは柄もぬめっているのに対し、ヌメリスギタケモドキは柄はぬめっていないという違いでわかるらしい。確かに今回採ってきたヌメリスギタケは、かさの部分だけべとべとだった。

食べるときは、そのぬめっている笠部分だけを食べ、柄は捨てる。大きくなっているものだと、ひだの中に虫が入り込んでいることが多いので、十分水にさらしたり、ひだを下処理で取り除いたりする。

とりあえず、ヤナギの木の幹の高所に生えていて、表面が焼き跡のようにぶつぶつ尖っていて、ぬめりがあるキノコだと認識しておけばいいだろうか。


昨日の続き。さすがに士別市まで遠征して緊張しながら運転したせいか、今日は朝に隣町まで外出しただけでダウンしてしまいました。やっぱり普通の人ほどの体力はないな。

今日は日中暑くて、20℃前後あったせいでしんどかったのかもしれない。夜になってちょっとサイクリングに出かけましたが、空気が「ぬるい」感じであまり気持ちよくなかったです。

完全にわたしの好みですが、「息がしやすい」「気持ちいい」と感じる気温は、10℃以下からマイナス10℃までくらいなんですよ。10℃を下回ってくれないと、サイクリングが楽しくないです。

2019/09/30月

コウライテンナンショウ(高麗天南星/マムシグサ)

森の中を歩いていて、でかい赤い実の塊にぎょっとした。秋の静かな森の中、他の植物の実はほんの数個ずつぶら下がっているだけなのに、明らかに異様な存在感を放っている。

近づいてよく見ると、紫色のなすびみたいな地の上に、真っ赤な実がトウモロコシのように実っている。触ってみると、やっぱりトウモロコシのごとくポロポロと落ちた。

茎を持って引っ張って写真を撮ると、実が逆さになって真っ赤なブドウにも見える。

葉の形もまた特殊で、一見輪状についているように見えるが、よく見ると違う。茎の片側だけに葉がずらりと並び、それが円形になっている。(この葉の形状は専門的には「鳥足状複葉」と呼ばれ、かなり珍しい。他にヤブガラシ、クジャクシダ、そしてこのあたりでも見られるアマチャヅルなどが相当する)

いったい何者なんだろう。これだけ派手な実をつけるからには、かなり有名な花ではないだろうか、と思った。ちょうど最近、地元の植物だけに限定された図鑑を見ていたので、頭の中で思い返す。

地元でよく見られる有名な花。しかしまだ確認したことのない花といえば…。

帰宅後、Google Lensで調べると一発でわかった。マムシグサだった。図鑑に載っていたのも覚えている。やっぱりこれか、という感じだった。

別名コウライテンナンショウ。名前だけは読んだことがあった。手持ちのアイヌの本ではエゾテンナンショウ。マムシグサとコウライテンナンショウは別種とする資料もあるが、変異の多い種らしいので「テンナンショウ」てあることは確か。

テンナンショウという名前は、一度読めば、謎の響きが頭に残る。だから謎の植物として記憶していた。実物を見れて感慨深い。

もともとは中国名らしい。白くて丸い根を、冬だけ地平線のそばに現れる竜骨座のカノープス(「南極老人星」と呼ばれる)になぞらえたらしい……が北海道では見えない。

マムシグサの名前は、茎の斑点模様から。個体によっては、マムシそのものにしか見えないくらい斑点がリアルなものもあるらしい。わたしが見たものは斑点が薄かったが、時期によるのかも。

花はサトイモ科らしい形で、食虫植物のようでもある。虫を閉じ込めて花粉を結実させる。タイマツをかかげているようでもあるので、別名「蛇の松明」とも呼ばれるらしい。

問題は、その恐ろしい毒性であり、全体にシュウ酸カルシウムの針状結晶を含む。なめたりかじったりするだけでも悶絶する痛みがあり、ネット上の体験談を見ても相当やばい代物らしい。

だが、驚くべきことに、アイヌの図鑑によると、「ラゥラゥ」(鱗)という名前で呼ばれてて、中心をえぐりとって蒸し焼きにして食べたり、有毒の中心部はすりおろして神経痛の部位に当てたり、乾燥させた赤い実を腹痛のときに噛まずに飲み込んだりしたと書いてある……。

もちろん、毒性があることを百も承知の上で、毒をトリカブト(スルク)と共に矢毒に使ったりしていた上の話である。古代の薬草医の見識と執念には感嘆のため息しか出てこない。

ネットで調べたら、「おいしい」というアイヌの人の体験談もあった内地の人も別の方法で食べていたとか。奥が深すぎる。


今日は久々に近くの山までサイクリングして、森を30分か1時間くらい探検してから、温泉に入って帰ってきました。遊歩道が草刈りされている森だけど、一応クマがいる可能性はある地域なので重装備です。

今日のスケッチではマムシグサだけにしましたが、色々と面白いものを発見しました。ルイヨウショウマの実と、ヤマブキショウマの実とか。どちらも花を見るとすごく似てるんですが、実が全然別物すぎてびっくりでした。

ほかにもツルリンドウの実がなっていたり、ビールの材料になるらしいカラハナソウ(ホップ)が咲いていたり。

タラノキとヨブスマソウの群生地を見つけて、春先にここに山菜を取りに来ようと思ったけれど、誰かが定期的に草刈りしてくれてるわけだし、知ってる人もけっこういるかもなぁ、とか(笑)

でも、せっかく家の近くにある森だし、一年間に何度も何度も定期的に訪れて、もっと地元の植物に詳しくなりたいと思いました。まずはこの森を誰かにガイドできることを目指そう。

9月の自然観察日記を終えて

今月の自然観察日記はここまで。充実した一ヶ月でした。こうやって調べて書いたことを全部覚えているわけじゃなくて、やっぱり、いつもどおりどんどん忘れてしまうんですが、きっと無駄じゃないはず。

少しずつ生活のほうも整理しているので、来月は、普通の絵のほうも再開したいですね。

>アルバムに戻る