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2020/06/01月
昔から植物好きの素質はあったのを思い出した
ここ1年ほど自然観察に目覚めて、植物を中心に鳥やキノコや動物など、身の回りの自然を旺盛に楽しんでますが、思い返せば、もともと植物好きな傾向はありました。
大都会で育ったとはいえ、植物園に通うのが好きで、慢性疲労症候群になった後も、珍しい花の開花情報があると頑張って見に行っていた。メタリックカラーの花プヤ、宝石の塔エキウム・ウィルドプレッティ、フニーバオバブなど。
子どものころは海釣りに連れて行ってもらっていて、ダイビングゲームのForever Blueシリーズが好きで、水族館にも通いましたが、しだいに水族館の水槽に閉じ込められている魚が可哀想になってしまい、行かなくなりました。
動物園のほうは、鳥はそこそこ好きだったけど、動物が苦手で、ネコやイヌさえ触れなかったからあまり行かなかった。虫はまったくダメで、家に入ってきた小さな虫さえ触れず、逃げ回っていました。
だから、昔から、一番好きな自然といえば、植物だったんだと思います。そのわりに、プランターで育てられた園芸植物にはまったく関心がなく、何度名前を教えられても覚えられませんでした。今でもベゴニアとかペチュニアとか全然わからない。
いったいわたしは何が好きだったのだろう。今になってその疑問が解けつつあるります。わたしが好きなのは、在来種。それも、その土地の人間や他の生き物とずっと昔から生活を共にしてきた物語のある動植物です。
だから、どこかから持ってきて植えた外来種や園芸植物には、嫌悪感を感じてしまう。背景となるストーリーがないから。外来種でも地域に馴染んでいるものはいいけれど、鉢植えとかプランターとかは異質にしか思えない。
動物も魚もそう。その土地に昔から生息している野生の生き物には興味があるけれど、どこかからさらってきて、オリに閉じ込めている動物園や水族館には興味を持てない。動物であれ植物であれ魚であれ、その姿を見たければ、自分の足でかれらのフィールドを訪問してこそだと思います。
だから今は森の中を歩くのがとても楽しい。自然の中で生活しているありのままの在来種を見れるから。本当なら海もダイビングで潜りたいのだけど、耳管がよくないから断念せざるを得ない。だから森で満足する。あまりに森歩きが楽しいから、虫が苦手なのもかなり克服してしまいました。
それぞれの生き物が、自分の棲んでいる場所で歌っているのが一番美しい。子どものころから、自分が何を探し求めていたのか、今やっと気づけました。
コウライテンナンショウ(マムシグサ)の花をついに見れた
今日の一番の発見は、コウライテンナンショウ(通称マムシグサ)の花をついに見れたこと。5/28に山の斜面でつぼみを発見して、昨日5/31にも見に行ったけれど、見失ってしまって見つからなかった。
ところが、全然違う場所を散歩していたとき、アスファルトの道のすぐ横にある山の斜面に、マムシグサが2本自生しているのに気づいて、思わず道の脇のコンクリートに飛び乗って、山の斜面に踏み込んで撮りました。
蛇のタイマツとも呼ばれる独特な風貌。食虫植物のような見た目が面白い。食虫植物ではなく、サトイモ科の花。去年からずっと見たかった。やっと見れて嬉しい。
舗装された道のすぐ脇にあったのが拍子抜けでしたが、ヒグマが出ると噂の場所なので、在来種もたくさん生息してるんでしょうね。
食虫植物のように虫を消化はしませんが、雄花には下に脱出口の切れ目があるのに対し、雌花には脱出口がないので、受粉を終えた虫は出ようともがいているうちに死んでしまうこともあるという恐ろしい花。まあ虫を擬人化せず、花粉を媒介するメッセンジャーのようにみなせば、至極もっともな仕組みではあります。
今回見つけた花は、…なんとなく二枚目に脱出口のようなのが写っている? てっきり背中側に脱出口があると勘違いしていたので、後ろ姿は撮ったんですが、正面からは撮っていませんでした。でも今調べたら、雄花の脱出口は、正面側の下におヘソみたいに開いているんですね。しまったな。
コウライテンナンショウの名前「天南星」は、シリウスの次に明るいとされる竜骨座の一等星カノープスから、根っこが白くてよく似ているらしい。
通称のほうのマムシグサは、茎がマムシのような毒々しい柄をしているため。5/28の写真や、去年撮った写真で確認できます。アイヌ語名「ラゥラゥ」も、蛇の鱗の意味らしい。
その名にたがわず、シュウ酸カルシウムを含む有毒植物としても有名。誤って実や根っこを食べると、口が激痛で腫れ上がって、一週間は何も口にできないほどだとか。恐ろしい。
それでもアイヌは工夫して、根をサトイモのように食べていました。またすりおろして神経痛の治療に使っていたとか。残念ながら、そうした古くからの知恵はもうほとんど失われてしまって、今では利用する人はいません。
テンナンショウの仲間は、北海道だけでなく、日本中に分布していて、特に珍しい植物ではないようです。東京23区でも、たとえば大泉学園でウラシマソウが見れるみたいだし。
さらに、これに似た植物で、カラスビシャクというのが日本全国に雑草として分布しています。正確には別属らしいですが、見た目はミニテンナンショウといった感じ。
驚いたことに、テンナンショウのマニア的研究者がいて、日本産テンナンショウ属図鑑 – 北隆館WEBサイト なるテンナンショウ一色の大著が出版されているほど。有毒植物でありながらユニークさゆえに愛されているようです。
ズミの花が満開。初夏の花々も咲き始める
今日も農家のお手伝いに行くと、街路樹のズミの花が満開。
つぼみは赤い点々でしたが、咲いてしまえばソメイヨシノのようなうっすら桜色を帯びた白い花です。初夏の水田によく映える。
田んぼの魚やカエルを狙ってか、アオサギもやってきていました。農家の方には嫌われてしまっているそうですが、飛ぶ姿はとても優雅。
イトトンボがとまっているところも発見。詳しい種類まではまだわかりません。
ホオノキは、ようやく、芽を覆っていた苞葉は落ちましたが、まだつぼみでした。これから立派な花が咲くのが楽しみ。先日咲いたトチノキもそうでしたが、意識して見るのは今回が初めてです。
そのほかに、コウリンタンポポ、フランスギク、オオバノアカツメクサ?などの雑草的な外来種も、次々に咲いていました。いずれも都市近郊の夏の景観の代表的な花々。
とりあえず開花記録にと写真は撮ったけれど、これからいくらでも見かける花ばかりだから、ここには載せずにおきます。
今日の最高気温は28℃で、非常に暑かった。道北は朝晩涼しく、今日も最低気温は5℃だったりするので、クーラーは必要ないですが、それでも日中、この暑さで農作業は辛いものがあります。今年も長い夏が来てしまいましたね…。
2020/06/02火
絢爛なトチノキの花と、地味なマユミの花
今日は大量に目を通さなければならない資料があって、雨が断続的に降っていることもあって、家で用事をこなしていました。連日出突っ張りだから、こんな日も必要。
夕方ごろ、雨がやんで晴れ間がのぞいていたので、体がなまらないようサイクリングに出かけました。公園の中を走っていたら、冬にトチノキの冬芽を確認した場所を通りかかり、ちょうど花が満開でした。
トチノキの花は近所の複数箇所で見つけていますが、このスポットがすばらしいのは、花がとても低い位置に咲いていることです。望遠レンズを使わなくても、茂みの中に入りさえすれば、トチノキの立派な花を間近で見ることができます。
近くで見る栃の花は意外! こんなに派手で豪華絢爛な花だったのか! 望遠レンズで見ていたときとはまったく違うインパクトがありました。
ヤブの中なので、虫がものすごい。特に、栃の花の蜜に群がるハチの羽音が地鳴りのように聞こえます。
トチノキの親戚であるセイヨウトチノキはフランスで「マロニエ」と呼ばれていて蜂蜜で有名なので、きっと蜜がとても美味しいのでしょう。日本国内の栃でも東北地方などで蜂蜜が作られているみたいですね。
道北にはトチノキは自生していない(北海道の自生は南西部より下のみ)ので、わたしが知っているのは全部、公園に植樹されたものです。国産トチノキかセイヨウトチノキかは不明。
トチノキとセイヨウトチノキの違いは、セイヨウトチノキのほうが葉がわずかに小さいことや、実にトゲがあること。去年、実を見つけた別のトチノキはトゲがなかったので日本のトチノキでしたが、今日撮った木は確認していません。
虫の猛攻に耐えながら、近くで栃の花を観察すると、2種類の花びらがあることに気づきます。白い地に赤紫の模様が入った花びらと、ちょっと黄みがかったクリーム色の花びら。
栃の花は、雄花と両性花が混在しているようですが…、その違いは雌しべがあるかどうかみたいなので、必ずしも花びらの違いとは関係ないのかな?
調べてみると、黄色い花は蜜があることを示す開店中「open」、赤い斑点は蜜がなくなって閉店したことを示す「closed」の意味合いをハナバチに伝えているようです。面白い!
遠くから見ると円錐型の花序ですが、間近で見ると、かなり大きいし、何より派手。ハチたちのパーティー会場の飾り付けにふさわしい。
一方、すぐ近くで見つけた、地味な花。いったい何なのかわかりませんでしたが、調べたらすぐに判明。どうやらマユミ(あるいはコマユミ)のようです。
マユミというと、秋につける派手な桃色の実が印象的ですが、花はこんなに地味なんですね。同じ黄緑色でも、先日のルイヨウボタンは幾何学的な美しさがありましたが、マユミは本当に地味。
黄緑色で4弁で、黄色い雄しべというと、ネコノメソウも思い出します。サイズは全然違いますが、ちょっと似ている。
マユミの実は、殻が4枚だから花びらも4枚なのかな、と思っていたら、近縁種のツルウメモドキは、実の殻が3枚なのに花びらは5枚みたい。対応しているようで対応していなかった。
マユミは若葉が出たら、マユミご飯に混ぜ込みたいと思っていましたが、マユミの木の識別の自信があまりなくて、すっかり機会を逸してしまいました。来年こそは早期に見分けて、香りある若葉をいただきたいです。
ゼンテイカのつぼみ、満開のウワミズザクラ
食べれるといえば、エゾゼンテイカ(あるいはエゾキスゲ?)の花のつぼみが出てきていました。うっすらオレンジ色の花が透けて見えるような気もします。あと数週間くらいで咲くのかな。
ゼンテイカも新芽、つぼみ、花などが食べれると山菜図鑑にはありました。これは公園の中の株ですが、河川敷に群生していた覚えがあるので、見つけたら、味見してみようか。
ウワミズザクラはちょうど満開。こちらもクマリンの香りがする蜜がおいしいのか、ハチが群がっていました。
この時期は、トチノキ、ウワミズザクラ、ナナカマド、白花ライラック、ハシドイ、そしてミズキやハリエンジュなど、白い花の集合体をつける樹木の花が次々に咲きます。
去年は遠くから見て、どれも同じように見えてしまっていたけれど、今年は一つ一つじっくり観察できて、名前もわかっているので、それぞれに親しみがわいてきました。
スロースターターのミズキとイヌエンジュ。オニグルミの雌花。
そのミズキの花はまだつぼみでした。ミズキって他の樹木に比べるとかなり遅いですね。
ハリエンジュは見ていませんが、イヌエンジュのほうは、ようやく若葉が出てきたところでした。まだ白みがかっていて、遠くから見ると、キラキラと光り輝いているように見えます。去年の豆も残っていることからしても、スロースターターな木。ヤチダモよりさらに遅い。
オニグルミはもう少し成長は早く、葉がかなり大きくなってきました。そして、雄花と雌花も満開。でもオニグルミの花は、高い場所にあるから、注意して観察しないと見逃してしまう。
写真の上のほうにある赤いピロピロしたのが雌花。そして下のほうに数珠のように垂れ下がっているのが雄花。どちらも一般的な「花」の雰囲気ではなく独特。
望遠レンズで撮影した雌花。
よくよく見れば、赤いプロペラみたいな花の付け根の黄緑色の部分が子房なんでしょう。ここがもっと膨らんできてクルミの実になる。とても不思議な木です。
夕暮れに大きな虹
また夕立が降って、一日中降ったり止んだり。しかし、日が暮れる直前に、ふと振り向くと、とても大きな虹が出ているのを見つけました。今まで見た最大サイズかも。
日が暮れる直前だったので、太陽光がほぼ水平に近い角度で差し込んで、半円形の巨大な虹を描いていました。
電線が邪魔だからPhotoshopで消したかったけど、観察記録だから、ありのままの風景を残しておくのも致し方なし。
上の写真ではかすかにしか見えませんが、副虹もわずかに確認できて、二重の虹でした。森には行く暇がなくて公園のサイクリングしかできなかった今日だけど、すばらしいプレゼントをもらえました。
2020/06/03水
猛毒レイジンソウ咲く
今日はオンラインミーティングの予定が入っていて、あまり時間がなかったけれど、いい天気だったので、急いで森の様子を見に行きました。気温があまり高くなく、絶好の森散歩日和。
森の入口付近では、ずっと様子を見守っていたエゾレイジンソウが、ついに咲き始めていました。去年トリカブトより先に知ったトリカブトの仲間。懐かしい。
トリカブト特有のギザギザした葉っぱはこの時期になると巨大。芽出しの時期ならともかく、これくらい大きくなれば、ヨモギやニリンソウと間違う心配はありませんし、すぐレイジンソウだと見分けられます。
レイジンソウの名前の由来は、雅楽を演奏する人「伶人」の帽子から。トリカブトも烏帽子から来ていると言われているので、近縁種なだけに名づけの由来も似ていますね。
トリカブトの花は鮮やかな紫などですが、レイジンソウの場合はクリーム色から黄緑色あたり。この時期は、先日見つけたルイヨウボタン、マユミなど、黄緑色の地味な花が多いような。わたしは結構好きです。
アマドコロとよく似た毒草ホウチャクソウを比較して見分ける
そして、同じくずっと経過を見守っていたオオアマドコロの様子も見に行きましたが、あるはずの場所に見つからないで通り過ぎてしまいました。
おかしいな…と帰りにもっとじっくり見ながら歩いていると、他の草に埋もれていました。周囲の草が急成長しているせいで、見えづらくなっていたみたい。
茎が角ばっているのがアマドコロ、丸いのがナルコユリですが、今回茎を触ってみたら、明らかにアマドコロのほうでした。
アマドコロの由来は根っこが山芋に似ていて甘いことから。山芋はトコロ(トロロ)と呼ばれているので、それと似た根を持つ植物はみんなトコロがつくそうです。オニドコロとかハシリドコロとか。
でも、根っこなんて食糧不足でも来ない限り見る機会がなさそうなので、通称の「狐のチョウチン」のほうが、名は体を表していてわかりやすい。先日のマムシグサが「蛇のタイマツ」とセットで、この時期の森の面白い見た目の花ツートップ。
まだつぼみがほとんどでしたが、上の写真のチョウチンのうち、根もとに近い側の2つは、もう開花していました。開花しているといっても、地味すぎてわかりにくいのですが。
こうやって下から撮影してみると、口が開いていることがわかります。これ以上大きくは開かないみたい。近縁種のチゴユリは、先がもっと開いてユリらしい花を咲かせますが、アマドコロはこれくらいが限界の淑やかな花。
この写真で見れば、茎が角ばっているのは明らかで、ナルコユリではなくアマドコロの仲間だとわかりますね。
アマドコロやナルコユリは、竿にたくさんのチョウチンがぶら下がっているように花が付きますが、一箇所から2つ以上がぶら下がることもあるみたい。アマドコロは1-2つなのに対し、ナルコユリは3-5つくらいつくこともあるとのこと。
一方、気になったのは次の花。アマドコロによく似ているのだけど、先に1つか2つだけ花をつけているだけで、竿のようにたくさん吊り下げてはいない。そして個体のサイズもかなり小さい。
同じところにたくさん群生していましたが、どれもアマドコロより背丈がかなり小さく、花は1つか2つだけと共通していました。また、群生地もアマドコロとは別の場所で、日陰になっている笹ヤブの切れ目のあたり。
接写した次の写真で花の付け根を見ると、1枚目アマドコロのほうは花びらが筒状になっていて、付け根も滑らかで継ぎ接ぎがありませんが、2枚目の写真の花は花びらが分離しているので、付け根が盛り上がっているように見える。
色や形は非常によく似ていますが、じっくり比較すると、明らかに別の花ですね。
ということで、これはおそらく有毒植物のホウチャクソウです。ホウチャク(宝鐸)とは寺院の軒下にぶら下げられた風鈴。四隅にひとつずつぶら下げられていることが多く、1つか2つだけ花がぶら下がっているこの花の形態と合っています。(3つのこともあるらしい)
アマドコロとナルコユリ(および芽が似ているユキザサ)は食用可で山菜としても美味しいらしいですが、ホウチャクソウは有毒。
若芽の時点では区別が難しいというので、今年はあまり積極的にアマドコロやユキザサの芽を探す気になれませんでした。
区別するポイントとしては、ホウチャクソウの芽は採ると悪臭がすること、そして根っこが紐状で地下茎にならないこと。でも、それって間違えて採って捨てるか、土を掘り返すかしないと区別できない、ということなので、初心者向けではないですね。
ほかに、成長した後のアマドコロとホウチャクソウの見分け方としては、茎が分岐しないのがアマドコロ、分岐するのがホウチャクソウらしいです。
今日は時間がなかったので駆け足の観察になってしまって、見た範囲では分岐しているのがわかりませんでした。写真に撮った花を見ると、明らかにホウチャクソウだと思うので、日を改めて見に行こうかと思います。
アマドコロ&ナルコユリとホウチャクソウは、非常によく似ているように見えて、地下茎のあるなしや花の形など、けっこう大きな違いがあり、近年、分類の科も別々になったらしい(アマドコロはキジカクシ科、ホウチャクソウはイヌサフラン科)ので、よく見れば見分けがつくようになるはず。
冬から見たかったクロミサンザシとヤマグワの花
今日森に行った目的のひとつは、クロミサンザシとヤマグワの花を見ること。
冬の自然観察日記に書いたように、スノーシューで歩いているとき、クロミサンザシらしき冬芽を発見しました。近くにはヤマグワも。本当にそうだったのか確かめるために、花を見に行かないと、と思っていました。
冬はスノーシューで簡単に行けた場所ですが、今となっては途中の道が笹ヤブに覆われてしまっていました。ダニ対策はしっかりしてあるので、意を決して藪こぎ。
すると、
嬉しいことに、ちょうど満開でした! 冬に冬芽の写真を撮れたように、今の季節でも、手の届く場所に枝があるので、花をじっくり観察することができました。
サンザシの特徴は、サクラと違って、葉っぱのふちがギザギザしていることだと覚えていったので、そのとおりの葉っぱだったから、すぐに合っていたとわかりました。嬉しかった!
花は赤い葯をつけた雄しべが目立って、なかなか可愛らしい。さらに接写してみると、萼には軟毛が生えていることがわかるので、もしかすると近縁のエゾサンザシのほうかな?
しかし、ネット上の文献を見るに、クロミサンザシとエゾサンザシは、ほぼ同一種内の変異と扱われているみたいなので、細かい区別は気にしないでいいかも。道内には他にアラゲアカサンザシというのもあるらしいけど、分布は野付半島付近なので、関係なさそう。
それにしても、今調べてて驚いたんですが、このエゾサンザシって生きた化石で絶滅危惧種だったんですか。
去年の冬の観察だと、公園でも冬芽を見た記憶があるので希少種だとは思いませんでした。別名サンチンと呼ばれて、営林署にも標本があった気がするし。調査資料によると、道北の名寄付近にまとまった分布があるようにも見えます。
先日のオクエゾサイシンやヒメギフチョウにしても、絶滅が危惧されている種が、家のすぐそばで見られるような場所だから、さすが秘境道北ということなのかな。
さて、もう一つのお目当ては、 その近くでやはり冬に確認していたヤマグワの並木。
ヤマグワは、家のすぐ近くの町の中でも、どこからか種がやってきたのか、苗木や若木を見かけます。
ヤマグワなんてどこにでもあると思いながら、花を一度も見ないままだったので、この機会に見つけることができてよかった。だけど、花はすでにシーズンを終えて、受粉した後でした。
メーバみたいな奇妙な形。でも、この飛び出ているのが雌しべで、膨らんできている部分が実になるのでしょう。そう思えば、どことなく、クワの実(マルベリー)の面影があるのがわかります。
このサンザシとクワの木の近くは、冬にスノーシューで歩かせてもらった牧草地。今やすっかり様変わり、大草原になりました。
写真で見ると、駆け回りたくなるような場所かもしれませんが、実際は、膝丈より上まで一面に草が生い茂っていて走ることはおろか、歩くのも大変。ダニもいっぱいいそう。これからきっと牧草ロールになるのでしょう。
ササにぶら下がるカタツムリ、セセリチョウ幼虫の食痕など
そのほかに見つけた面白いもの色々
クマイザサの葉っぱにぶら下がっていたカタツムリ。写真だとわかりにくいですが、葉っぱは垂直なので、壁にぶら下がっているみたいなもの。カタツムリは足で葉っぱに吸い付いています。
次の写真は、一見するととても不思議、クマイザサの葉っぱに開いた規則正しい穴の列。
前にネットで見たことがあったので、正体を知っていました。コチャバネセセリなどの幼虫がかじった食痕だそうです。昔、折り紙で折り畳んだ後に切り目を入れて広げると、複雑で面白い模様ができる遊びをやったことがありますが、幼虫もササの芽が折りたたまれている新芽のころに食べたのでした。
次の写真は、しおれたツクバネソウ。相変わらず不思議な姿をしています。花びらのような萼の部分が垂れ下がっているので、これから実が大きくなれば、まさに「衝羽根」になるのが見れるはず。
今日も見つけたマムシグサ(コウライテンナンショウ)。今回は、まだ花が開ききっていない中間段階のもの。マントをまとった伯爵のようでかっこいい。
わたしがタラの芽をいただいたタラノキのその後。2番芽、3番芽が大きくなってきてくれました。ほかのタラノキに遅れはとってしまっただろうけど、枯れたりしないでよかった。
昨日つぼみを撮ったエゾゼンテイカ(エゾキスゲ?)ですが、よくよく見てみれば、もう咲いている花も見つけました。この花を見ると夏だな―という記憶が蘇ります。確か去年も、とても暑い時期に見て、焼けつく太陽の輝きみたいだと思ったんだった。
エゾマツの新芽。シロップにできるのか??
オンラインミーティングが終わった後、公園をサイクリングしているとき、ふと目がいったマツの新芽。これって前にどこかで見たような…。
そうだ、確かフィンランドのブログ。トウヒの新芽は食べれて、ジャムやシロップにできる、と書いてあったのを思い出しました。フィンランド・自然の恵、針葉樹トウヒの新芽は食べれる | キートスショップ
今日見たこの新芽のマツは、葉っぱは1枚ずつ、手で触るとチクチクするのでエゾマツです。エゾマツはトウヒの親戚なので、もしやこの新芽も食べれて、ジャムやシロップに加工できるのだろうか?
検索してみたら、ジャムにしている人は見当たりませんでしたが、トウヒからシロップを作っている方はいました。エゾマツでコーディアル作っている人も。どうやら、やろうと思えば作れないこともなさそう。
でも、この木は公園の木なので、さすがに新芽は採りません。森の中に行けば、エゾマツはたくさんありそう。ドイツトウヒは植林されているような森にあるかな。時期的にも試すとしたら今のようですが…とりあえず森でエゾマツの新芽を探してみるところからですね。
(追記 : 森のエゾマツからコーディアルを作ってみました)
ところで、この公園で、サクラっぽい謎の花を見かけました。花の形はサクラでしたが、すでにエゾヤマザクラは咲き終わっている。ズミやスモモほど満開ではない。さっきのクロミサンザシにも似ているけど葉が違う。
花はエゾヤマザクラと違って、まとまって咲くという特徴も。
この時点では、ミヤマザクラ?とおぼろげに思っていましたが、後で、もしかしたらナナカマドの親戚のアズキナシでは?と調べて正体がわかりました。詳しくは6/9の日記にて。
2020/06/04木
松山湿原行ってきた
美深町観光協会によると、先月末に松山湿原へのゲートを開門したということだったので、早速行ってきました。相変わらず誰もいないので、コロナ情勢下としては嬉しい。だけど、野生動物の天国だからクマ対策必至。
道中の登山道は、珍しい植物が多くて、なかなか歩が進まず、ちょっと進んでは植物観察を繰り返す。まあ、あまり速く進まず、鈴を鳴らしてゆっくり行くほうが、クマのほうも余裕ができて安全でしょう。
途中で雪渓があれば、引き返すつもりでしたが、去年阻まれた場所も雪は残っていませんでした。もう少しで頂上、という場所に少し残っていましたが、気をつけて進めば大丈夫そうだったので、無事、高層湿原まで頭頂できました。去年の秋に続き2回め。頂上の高層湿原は…
見事に何もないですね。矮性のアカエゾマツやハイマツ、そして数種類の植物は見かけますが、道中の複雑な生態系の登山道と比べると、どこまでもシンプルな風景だな、と思います。
それだけ生存が厳しい極限状況という証拠。もしも深海探索できたら、こんな風景なのかな、と思うくらい。どこまでも似たような寂れた景色が続く中に、ときどき希少な深海生物を見かけるような。
確かに絶景。でも、わたしとしては、道中の登山道のほうが、よほど探索しがいがあって好きです。もっとも、湿原の生態系についてもっと詳しく知れば、思いも変わるのかもしれないけれど。
高層湿原の花。ショウジョウバカマ、ミツバオウレン
湿原ではまず、ショウジョウバカマが見ごろ。去年は赤紫しか見なかった気がするけれど緋色の花もたくさんありました。しかし、ふもとの天竜沼にもいっぱい生えているので、わざわざ高層湿原で見る意義は薄いかも。
ショウジョウ(猩々)とはオランウータンのこと…、と思っていましたが、そうではなく、中国の伝説上の生き物で、さらに転じて能に出てくる赤い衣装をまとった登場人物のことのようです。だから赤いものを指す接頭語になったとか。
てっきり猿の顔とかお尻が赤いのをたとえに使ってるのかと思ってましたが、そもそもオランウータンは赤くなかったですね。
ハカマ(袴)はロゼット状に折り重なった葉っぱのこと。こちらはなんとなくわかります。袴を着たことはないけれど。
次に見かけたのはミツバオウレン。高山植物として著名でよく名前を聞きますが、初めて本物を見ました。枯れ草に埋もれていたので、葉っぱが三つ葉なのかどうかは撮れず。
キンポウゲ科らしい梅に似た花ですが、シュッと尖った流線型の花ぴらがスマートでかっこいい。キンポウゲ科の例にもれず、実際にはこれは萼で、中心部の黄色い小片のほうが花びらだそうです。
ということは、せっかま撮った下の接写写真は花びらが散ってしまった後だということか…。
こっちの写真は…

ちゃんと花びらが残ってますね!
ワタスゲ、タチギボウシ、ヒメシャクナゲ
そのほか、まだ見頃ではありませんでしたが、ちょっと綿毛が展開してきたワタスゲ。花の時点では、他のカヤツリグサ科と同様、地味ですが、種を飛ばすころになると、綿毛が爆発するかのように目立つらしい。
こちらも、まだまだ小さくて花を咲かすには程遠いタチギボウシ。他のギボウシの仲間と同じく、たぶんこれくらいのサイズが、山菜「うるい」として食べれるのでしょうが、松山湿原は採取禁止なので見るだけです。
もっと身近にも生えているのかもしれませんが、バイケイソウと似ていて怖い。区別点は、バイケイソウと違って根もとに柄があることと、葉脈が平行脈ではなく羽状なこと。葉脈の違いは見れば歴然ですね。そもそも時期が全然違うのでは?
そして、最後に、おそらくヒメシャクナゲの花。とてもシャクナゲに見えませんが、シャクナゲはツツジの仲間。コヨウラクツツジとかドウダンツツジに似た形だと思えば意外ではない。
高層湿原では植物の種類が少ないので、分からない花があっても、だいたいの目星はつけやすいですね。
高層湿原で見つけたのはこれくらいかな。雲行きが少し怪しかったし、本当に誰もいなさすぎて、クマと鉢合わせそうで怖かったので、木道を一周しただけで下山しました。
オオカメノキが満開
ここからは改めて、登山道の様子を。まず車を降りて最初に目についたのは、ヤマアジサイみたいな花があちこちで咲き乱れていること。よく見たらオオカメノキでした。冬が冬芽や若葉を観察してきただけに花が感慨深い。
オオカメノキの花は、ヤマアジサイに似ていますが、アジサイの花びら(萼)が4枚なのに対し、オオカメノキは5枚でちょっとだけ豪華です。円形に並ぶ花はまるで花かんむりみたい。
オオカメノキは、去年の秋、松山湿原に来たとき、ガイドさんに、この赤い実がオオカメノキだと教えてもらったのが最初でした。
面白い名前、甲羅みたいなわかりやすい葉っぱに魅了され、さらに真冬には家のすぐ近くでも、あの鮮やかな山吹色の冬芽を見つけることができて、親しみがわきました。そしてついに花を見れて、これでオオカメノキの一年に寄り添えたことになりますね。
道中の登山道は、わたしが普段暮らしているあたりよりも季節のめぐりが少し遅いようで、ヒメイチゲ、エゾエンゴサク、ニリンソウなど、早春のスプリング・エフェメラルがまだいっぱい咲いていました。
ミドリニリンソウもいっぱい発見。やっぱり一つ一つ表情が違うミドリニリンソウは、見つけるたびに嬉しくて、記念写真を撮ってしまいます。こうしてミドリニリンソウのコレクションが増えていくのだ。
そして、エゾノリュウキンカの大群落も。ついこの間まで、うちの近所もこうだったはずなのに、なんだかとても懐かしい感じ。時間が巻き戻されたかのよう。来春まで見れないはずの光景を、もう一度楽しめました。
サンカヨウの大群落
それよりも驚いたのは、登山道の入口からサンカヨウの花がいっぱい出迎えてくれたこと。
写真では伝わりませんが、見渡す限り、サンカヨウだらけになっている場所がありました。山荷葉とは山の荷葉(ハスのこと)という意味で、ハスというかフキっぽい葉っぱが目立ちます。
去年登ったときは、1つか2つくらいの株しか気づかなかったので、こんな大群落をなしているとは思いませんでした。
サンカヨウというと、雨に濡れると透明になる深山の可憐な花として有名ですが、この時期に雨の翌日くらいに来たら、さぞキラキラして豪華なんでしょうね。
聞いた話によると、霧吹きで水を吹きかけても透明になってくれるらしい。こんなに咲いてるんなら準備してくればよかった。花期が短いと聞くので、次に来るときにはもう咲いていないのかな…。
サンカヨウ、ニリンソウ、ヒメイチゲなど、白い花が色々と咲く中、それらに混ざって、時々咲いていた見慣れない花。葉っぱが明らかに他と違って、クローバーみたい。調べたら、ミヤマカタバミでした。
カタバミというと、クローバーによく似た葉っぱで、どこにでも咲いている黄色やピンクの花ですが、なんと山の中にはこんなに清廉な白いカタバミがあるのか。深窓の令嬢ならぬ深山の令嬢といった風情。
オオメシダとミヤマメシダ?の芽
登山道で面白かったのは、多種多様なシダの芽が見れたこと。去年の今ごろ、初めて来たときも、正体不明なシダがたくさんあったのを覚えていたので、今日こそは正体をつかみたいと図鑑持参で意気込んでいました。
まずはこのシダ。一見、山菜のコゴミ(クサソテツ)によく似ている。しかし、コゴミと違って、茎の下のほうまでかつお節状の鱗片がくっついていることや、茎の内側が凹んでいないことなどが違う。
かなり頻繁に見るので、珍しいシダではないはず。図鑑と絵合わせした程度で確証はありませんが、たぶんオオメシダの芽じゃないかなーと思っています。
次にこれもよく見るシダの芽。シダ図鑑およびネットで調べた結果、おそらくミヤマメシダではないかと思いました。成長した後でも、茎の下のほうの黒い鱗片で見分けられる。
似たような名前の食用シダであるオニヒカゲワラビにも似ているけれど、北海道に自生していないはず。ネットで見る限り、茎の鱗片は似ているけど、渦巻きの中の葉っぱの折りたたまれ方が全然違うっぽいかな。
そして圧巻の真っ黒いシダの芽。黒光りしていてカッコいい。手持ちの図鑑では、該当しそうなのがミヤマメシダでしたが、ネット上で調べたら、ミヤマメシダとは上の写真のほうを言うらしいので違うっぽい。
さっきの写真のミヤマメシダと違うのは、茎の色まで褐色を帯びていること。
困ってネットの海をさまよっていたら、キヨタキシダが茎まで褐色。
キヨタキシダは北海道には少ないものの、同じノコギリシダ科のミヤマシダ、キタノミヤマシダが自生しているらしい。どちらも黒い鱗片が特徴とのこと。
しかし、キヨキタシダは別名山菜の「イッポンコゴミ」(赤コゴミ)とも呼ばれていて、コゴミのようにぐるりと円形に生えるのではなく、まばらに生えるのが特徴とのこと。
もし他のノコギリシダ科も同じだとしたら、この写真みたいにぐるりと囲んで生えることはないと思う。図鑑に載ってる数少ない芽の写真も、まばらに出ているように見える。
手持ちの図鑑によれば、茎の色は、たとえばエゾメシダでは緑色タイプと赤褐色タイプがあるらしい。エゾメシダの近縁であるミヤマメシダも、緑色の茎と赤褐色の茎があるのだろうか? だとしたら、上の写真は両方ともミヤマメシダなのかも。
確証はありませんが、とりあえず、両方ともミヤマメシダ。下のほうはミヤマシダかキタノミヤマシダの可能性あり?という結論にしておきます。
それにしても、シダ植物は本当に見分けづらい。特に、芽の段階の写真は、ネット上に全然ない。図鑑にもあまり載っていない。北海道全域に分布しているはずのエゾメシダやオオメシダでさえ、芽の写真が見つからないありさま。
シダはオリヴァー・サックスのように極めたらとても面白そうだけど、ハードルが非常に高い。
トガスグリ、ヒメゴヨウイチゴ?、コヨウラクツツジ?の花など
登山道で見つけた不思議な形の花。とても小さいけれど、色とりどりの模様でおしゃれ。茎は背が低いものの木質化していて、葉っぱはブドウに似ています。
調べてみると、スグリの仲間の花でした。有名なのは、クロスグリ(カシス)、フサスグリ(カリンズ)、マルスグリ(グーズベリー)など。
しかし、それらは外来種なので、深山のここにはないはず。在来種で道北に自生しているのは、エゾスグリ、トカチスグリ、トガスグリ、クロミノハリスグリなど。
うち、エゾスグリとトカチスグリは赤い花なので違う。トガスグリとクロミノハリスグリのどちらかか。
そして、クロミノハリスグリは、枝が激しくトゲだらけなので、消去法でトガスグリでしょう、きっと。
和紙で作られたような花がとても可愛らしい。トガスグリの実も食べれるのかな? しかしトガ(栂)の葉のような毛で覆われているとのことで食感は悪そう。
次に見かけた、ヒメゴヨウイチゴかその仲間のラズベリーの花。キイチゴ系も種類が多くて見分けるのが困難。安易にエゾイチゴだと書こうとしていましたが、葉の形がかなり違う。
この写真だと見切れてしまっていますが、葉の付き方は掌状複葉。上のほうの小さな葉は3枚セットですが、下のほうの大きな葉は5枚セットだったので、たぶんヒメゴヨウイチゴの特徴に一番近いと思いました。
ネットで調べたところでは、花の形もそっくり。北海道の在来キイチゴのうち、白花なのは、エゾイチゴ、クマイチゴ、エビガライチゴ、そしてヒメゴヨウイチゴあたりですが、それぞれ花の雰囲気がかなり違います。
ほとんどつぼみみたいな状態で、かすかに花びらが開いて咲いているこの花は、ヒメゴヨウイチゴで間違いないでしょう。
もう一つ道中で見つけた不思議な花。形はドウダンツツジにそっくり、ということで、まずツツジの仲間を疑う。我ながら、知識が増えたなーと思います(笑)。調べたところ、コヨウラクツツジですね。他に似ているのもないし。
ツボ状の花は、遠くから見ると、真っ赤な美味しそうな実に見えてしまいます。近くで見ても実のようですが、ひっくり返して下側を見ると、れっきとした花だとわかります。
ドウダンツツジに似ているし、春に見たオクエゾサイシンにも近い形。風鈴にも似ていて、初夏の日差しが暑い登山道に、涼しさをもたらしてくれます。
ネット上に写真が少なく、よくわかりませんでしたが、実になるともっと地味な形になる様子。
今回はたまたま花の形からツツジだとわかりましたが、図鑑を眺めていると、ツツジ科の花って千変万化すぎる。
ツボ状の花のツツジだけでも、他にツガザクラとか、ウラシマツツジ、シラタマソウ、オオバスノキ、クロマメノキなどがあって、確かこの辺にも自生していたはず。さらに円錐状に花穂をつけるホツツジなんて存在すら知らなかった。難しい。
そのほか、チシマザサの根もとの陰に隠れるように群生していたツルシキミ?らしい葉っぱとつぼみ。前にもつぼみは見たけれど、花はいまだ見れず。
次の写真の葉っぱは、まだ若葉が開きかけですが何だろう? 葉の形からヤマブキショウマかと思いましたが、ヤマブキショウマは2回3出複葉。これは葉っぱが5枚出ているから違う?
しかしネットで調べてみると、3出複葉で分岐した後の葉っぱが多いバージョンもあるみたいなことが書いてあったから、やっぱりヤマブキショウマかも。
そういえば、去年の秋も、森の中でヤマブキショウマらしき花を見かけたものの、葉っぱの数が多くて、混乱した記憶がありました。あれもやはり、葉っぱが3枚から5枚になっているだけで、ヤマブキショウマで合ってたのだろうか。
ヤマブキショウマだとしたら、もっと小さいころなら山菜で食べれたのだけど。ショウマ系はある程度大きくならないと存在すら見つけられない今年の春でした。
チシマザサ(ネマガリダケ)のタケノコと山菜の天ぷら
松山湿原は植物の採取禁止ですが、周囲の森は大丈夫らしいとのことで、少し山菜摘み。去年も秋にガイドさんに教えてもらって、ナラタケやシメジなどを摘んで食べたのを思い出します。
まず、付近の森にはチシマザサの群落がありました。
チシマザサとクマイザサの違いの見分けとしては、まず太さ。チシマザサのほうが断然太い。またチシマザサは背が高く、2mを超える。
そして、個人的に一番役立つと思った見分け方は、チシマザサは頭より上のあたりで茎が分岐していることが多いというポイント。
そんなチシマザサの群落の近くの地面を探していると、
やっと見つけました! チシマザサのタケノコ。まだ時期が早いのか数はごく少なめ。
明らかにクマイザサの芽よりは太い。でも太いといっても、親指とどっこいどっこいくらいの太さ。根もとからひねりとるようにして採取するそうですが、下手だからポキっと折れてしまいました。
本当は採ってすぐに茹でるか焼くのがベストらしいですが、家が遠い。それに今回は天ぷらにするつもりだったので、生のまま投入します。
まずネマガリダケの皮をむく。ピーラーで縦に切れ込みを入れると簡単にむけます。
クマイザサの笹竹に比べて少し太く、色も黄色みを帯びています。小さめで色も緑っぽいので、まだ採るには早かったのかも。あるいは、もっと標高の高い場所のほうが太いのか?
ネマガリダケは、さすがの美味しさ。クマイザサの笹竹と違って、筋がほとんどなく、コリコリとしたタケノコらしい食感で美味しい。
でも全く別物という気もしなくて、太い高級アスパラ=ネマガリダケ、細い筋っぽいアスパラ=笹竹という感じ。種としても多分、はっきり区別できるものじゃなくて連続性があるんでしょうね。
そのほかにも、アザミは北海道に自生するアザミ類は何でも食べれるとのことなので、まだ大きく成長していない葉っぱを採ってみました。でもやっぱり少し遅かったかな。大きな葉でももっちりして美味でしたが、ちょっと筋が気になるかも。
ちょっと失敗したのは、今回初めて採ったエゾワサビ。去年松山湿原に登ったときにも、大群落をなしていた花ですが、今年はちゃんと見分けることができたので、試しに食べてみることに。
ニリンソウと見た目も似ているので一緒に天ぷらにしてみましたが、茎が硬すぎて食べれない。改めて山菜図鑑をよく読むと、「若葉や若茎は、柔らかい部分を手で間引くように摘み取る」との説明。全草をそのまま採取だとダメなんですね。
次から気をつけたいけど、エゾワサビが咲いている季節は当然、山菜の王者の一角たるニリンソウが咲いてるわけだから出番はないか。いや、そもそもエゾワサビは葉ではなく根を食べる山菜なのかな。根のほうが辛いらしいし。
2020/06/05金
エゾマツの新芽でシロップを作ってみる
北欧ではエゾマツの仲間のトウヒの新芽を摘んで生食したり、ジャムやシロップにするとのことだったので、わたしもエゾマツで可能か挑戦してみることに。
まず生食。新芽を手でちぎって、水で洗ってからそのまま食べる。
すごく酸っぱい! でも柔らかい!
味の酸っぱさはイタドリの芽を食べたときに似ています。一方、食感は、エゾマツの葉っぱからイメージするような硬さはなくて、オカヒジキみたいな食感。シャキシャキした歯ごたえ。味が味なので、美味しいとはいえませんが、もし味がマイルドでこの食感だったら美味しかっただろうに。
でも今回の目的は生食ではなくコーディアルづくり。レシピは主に二種類あって、そのまま砂糖に漬けてシロップを抽出するジャム的な作り方か、沸騰したお湯で煮出す方法か。
一応、煮沸消毒しておきたい気もするので、今回は後者のレシピを採用。
まず、だいたい上の写真くらいの分量を採ってくる。これで1リットル分くらいになります。(下の写真は別の時のものなので水が少なめですが…)
これを洗ってから、沸騰したお湯に入れて、葉っぱの色が変わったら、一晩置きます。写真を撮り忘れましたが、もう少し緑が抜けたような色になります。
次の日、できたシロップをこして葉を取り除き、水1リットルにつき400gくらいの砂糖を入れて溶けるまで煮詰める。
こうしてシロップ完成。こした葉っぱはコンポスト行き。
これを炭酸で割るなどして飲みます。味はちょっと酸っぱさがある、爽やかな風味。癖がなくて美味しいです。
先日作った、クルマバソウのシロップは、見事に桜餅の味で好き嫌いが分かれそうでしたが、こちらは清涼飲料水っぽい風味で、万人受けしそうですね。
トウヒのシロップは咳止めの民間療法薬としても使われているそうです。一方、喘息や百日咳、腎疾患、妊娠中などの人は食べないようにとも書かれていました。何かしら薬効成分が含まれているんでしょうね。
今回作ったのはトウヒの親戚のエゾマツの新芽を使ったシロップですが、同じような注意は必要かと思います。エゾマツに有毒成分があるといった話は聞かないので、上記以外の場合なら、よほど多飲しない限り、大丈夫だとは思いますが。
参考にしたサイト:
フィンランド・自然の恵、針葉樹トウヒの新芽は食べれる | キートスショップ
自家製 トウヒのシロップ : Kippis! from Finland
2020/06/06土
数十年の一生の終わりに乱れ咲くバイケイソウ
先月末に見かけたバイケイソウの大きなつぼみ。今日は雨降りでしたが、そろそろ咲いているかな、と思って、車で見に行ったら、ちょうど咲き始めたところでした。
巨大な花穂に、数え切れないほどの小さな花が咲き乱れています。いや、小さいといっても、普通の野の花からすれば、一つ一つの花でさえ大きなほうでしょう。ちょっと意味は違うけど、百花繚乱という言葉がふさわしく感じられます。
(よく見ると、写真の左にコウライテンナンショウ(マムシグサ)も写っていますね。現地では気づきませんでしたが、写真で見ると、マムシグサ特有の鳥足状複葉がとても目立ちます。まるでフラダンスの腰ミノみたいな形に広がっている葉っぱ)
バイケイソウの花を拡大。まだまだつぼみが多いので、これからさらに満開になっていきそうです。いったいどれほど迫力を増していくのやら。
そのつぼみの様子。このあたりの花でいうと、ビロードモウズイカを思い出させるようなつぼみの集合体です。これが全部咲いたら圧巻ですが、やはり時期をずらして咲いて、同時には咲かないのかな。
花のアップ。緑っぽい白い花。巨大な花穂だけ見ているとわかりませんが、一つ一つの花を見れば、ああ、確かにユリ科なんだなぁと思う形をしています。花びらに入る染め抜かれたような縦線が粋で好み。一つの株で100以上のユリの花が見れると考えれば、とてつもない花ですね。
よく見ると、下の2つの写真のように、花の中心部が異なっているものがありました。バイケイソウの花穂は、雄花と両性花の2種類でなっているとのことなので、その違いでしょうか。
2枚のうち、上の写真のほうが雌しべっぽいのが中心に見えるから両性花でしょう。 下の写真は黄色い雄しべが目立つ雄花のように見えます。
バイケイソウは謎の多い植物ですが、調べていたら、バイケイソウについてとても詳しく考察している面白いサイトを発見しました。こういうのって、かつてのわたしみたいに、実物を見たことのない人にとっては無味乾燥な資料でしょうが、身近に観察していると俄然おもしろい読み物になりますね。
あれだけ春にたくさんあったバイケイソウの新芽はどこに行ったのだろうと、首を傾げていたら、どうも花を咲かせない個体は夏が来ると枯れてしまうようです。スプリング・エフェメラル的な生態なんですね。
スプリング・エフェメラルは水圧だけで葉を展開させていると書いてあって、だから大半は柔らかくて美味しい春の山菜になるのか、と納得しました。残念ながらバイケイソウはジェルビン、シクロパミンというアルカロイドを含んでいるので、みずみずしい葉っぱなのに有毒です。
バイケイソウを語る上で欠かせない最大の特徴は、種が芽吹いてから、花を咲かせるまで数十年かかる、という話です。バイケイソウは数十年かけて、一生の終わりに、ただ一度限りの花を咲かせ、枯れてしまうというドラマチックな花。
ネットで検索すると、その寿命は90年と書かれていることもありますが、ソースが見つからないでの正確かどうかわかりません。
たとえば野幌森林公園の自然情報誌で「ある研究によれば、一枚葉だけの期間でも 40 年、開花までに90年以上かかる」と記載されているけれど、ある研究というのが何をさしているのか不明。
でも、論文ベースで考察されているさっきのサイトでも、「実生が花成個体となるまで数十年かかる」といった文章があるので、かなり長い年月生きることは確からしい。
つまり、さっき写真を載せたバイケイソウ、わたしが今日見たバイケイソウは、ほぼ間違いなく、わたしより年上、もしかすると、わたしの親や祖父母くらいの年齢かもしれないというわけ。それほど生きた最期に咲かせる一度かぎりの狂い咲き。畏敬の念なしでは見れません。
エンレイソウは30年以上生きるし、オオウバユリは7年くらいかけて花を咲かせて枯れるけれど、それらのはるか上をいく長寿の花。
ときどき全国各地で多くの個体が示し合わせたように一斉開花することもあり、いわゆる120年に一度との俗説があるタケやササに似ているライフサイクルの花なのかもしれません。
家の近所の森の中で、ひっそりと乱れ咲きするバイケイソウ。誰にも知られることなく、たぶんわたしだけが開花を知っている花だと思いますが、もし言葉を交わせるものなら、この1世紀の思い出を聞いてみたかったところです。
カラマツソウ、シャクの花、オオハナウド、マタタビのつぼみ
カラマツソウの花が満開。森林に降る雪の結晶のように涼しげ。
山菜にもなるシャク(ヤマニンジン)の花が咲きました。去年はこれをノラニンジンと勘違いしていましたが、花の形はだいぶ違いますね。来春はたぶん、山菜の季節に見分けて摘めると思う。
拡大してみると、不揃いな花びらの大きさが目立ちます。中心部か、外周部かで、花びらの形が変わるようです。同じセリ科のオオハナウドも同じように外周部の外側の花びらが大きくなるらしい。
ついに今年も大きくなりはじめたオオハナウド。ブーケのようなつぼみも現れていました。セリ科の巨大植物の先陣を切って、花を咲かせるのでしょう。まだ後ろにはエゾノヨロイグサやエゾニュウが控えています。
あちこちの木に絡みついて、目立つ白い葉っぱ。マタタビです。新芽の時期に見つければ、食べることもできたはずですが、白い葉がないと、どれがマタタビでどれが別のツル植物なのか、全然わかりませんでした。
いざ葉っぱが大きくなって、白い葉が見えるようになると、この森にはこんなにマタタビが多かったのか! と驚くほど、あちこちの木に絡みついています。
つぼみもすでについていました。花を観察できるのが楽しみです。
2020/06/07日
ヤナギの綿毛が飛び交い、ユキザサの結晶が積もる
ヤナギの綿毛が飛び交う季節になりました。トドノネオオワタムシが飛んでいた去年の秋を思わせるように、ふわふわとたゆたう綿毛が森の中を飛んで幻想的です。
相変わらず、ヤナギの種類がよくわからない。葉っぱの形だけ見ればケショウヤナギに似ているか。と思ったら、ケショウヤナギは十勝、日高などにしかないらしい。
だとしたら、タチヤナギかも。タチヤナギは葉の裏側に主脈が盛り上がるとのことなので、写真に写っている特徴とも似ています。
先日から森に行くたびに経過を観察していたユキザサがようやく咲いていました。
すぐ近くにホウチャクソウやアマドコロがあるので、葉だけの段階では見分けが難しく、つぼみがついたころにやっとユキザサだと気づきました。花が咲いたら咲いたで、今度はズダヤクシュやマイヅルソウと似ていて近づかないとわかりません。この時期に多い、小さな白い花が集まって咲くタイプ。
けれども接写で見ると、一つひとつの花の美しさは格別。名前のとおり、雪の結晶のような六枚の花びらです。
春に、ユキザサ(アズキナ)という山菜が美味しいというので探していましたが、全然見つかりませんでした。まれにユリ科の芽のようなものを森で見かけましたが、アマドコロやホウチャクソウとの区別がつかず。
今になってみれば、確かにユリ科っぽい芽があった場所に、ユキザサ、アマドコロ、ホウチャクソウが咲いていて、着眼点は悪くなかったようです。でもどれがどれなのかは、花が咲いてみないとわかりませんでした。
特に、猛毒のあるホウチャクソウとの区別はプロでも難しく、芽をかじって苦さをみたり、土に指をつっこんで根の形を調べたりするそうです。(ホウチャクソウは根が横に走らず、太くならない)
せめて群生地を発見できれば、来春に試したいところですが、今のところ、数株程度がまとまって咲いている場所しか見つけていません。いったいアズキナ採りの名人はどこで採っているのやら。
ズダヤクシュが種を結び始めた
まれにしかないユキザサとは対照的に、地面を覆い尽くす勢いで咲いているズダヤクシュ。ズダヤクシュが山菜だったらな、と思わずにいられない。似たような時期に地面を覆うクルマバソウは桜餅味のコーディアルになるだけに余計に。
けれども、ズダヤクシュの良さは、そのメルヘンチックな美しさにあるのかも。一面に咲いている森の中はキラキラと輝いて、妖精たちの飛び交う小道のように。
近くで見ると、もう実を結び始めているのがわかります。不思議な形でユニーク。
花の中から巨大なさやが飛び出している。下の妖精から順番に葉っぱの羽根に変わっていく。なんだろう、これを詩的に描写する感性と語彙力がほしいけど思い当たらない。悲しい。
スミレの閉鎖花、マムシグサの雄花の脱出口
実を結んでいるといったら、スミレもそう。
スミレの閉鎖花の実。この前まで生えていたタチツボスミレでしょうか。
閉鎖花とは、虫に頼らず自家受粉する仕組み。本来、虫が来てくれない場合の保険のような繁殖方法ですが、スミレではこれがデフォルト。牧野富太郎の本でも、どうして閉鎖花で繁殖するのか不思議がられていたのを思い出しました。
文献では読んでいたけど、実物を見たのは初めて。たかがスミレ。でも奥が深い。
閉鎖しているのとは逆に扉を開けているのがマムシグサ雄花。
小ぶりな大きさのマムシグサ(コウライテンナンショウ)三兄弟を発見。小さいことからもわかるとおり、全部雄花のようでした。(テンナンショウは栄養豊富なものが雌花になる)
その証拠に、おへそのあたりを見ると、継ぎ目が開いています。雄花だけにしかない虫のための脱出口。
でも慈悲をかけるようなこの出口は、雌花へいざなうため。そして雌花には出口はない。束の間の喜びも、マムシグサの手のひらで踊らされていたのだ。なんだかそんなストーリーの物語がありそう。
ノビネチドリとベニバナイチヤクソウのピンクの花
初夏の森の中は白い花と黄緑の花ばかりなので、ひときわ目を引く、この桃色の花。調べてみると、ランの仲間のノビネチドリという花でした。初めて見たけれど、十勝の植物図鑑にも載っていたから、よく見られる花なんでしょう。
似た仲間に、ハクサンチドリやテガタチドリがありますが、花の形がそれぞれ違うので区別は簡単。ノビネチドリは、ひげのような左右の白いところが中央部より長い。
見事な円錐形のノビネチドリは上の写真の一つしか見つけられませんでしたが、近くにもっと小ぶりで、形が整っていないノビネチドリがありました。必ずしも円錐形になるわけじゃないのか。
どうして、林の中に点々と2つしか見つからなかっんだろう。環境にうるさいランの仲間だから? でもネット上の写真だともっと集まって咲いているようにも見えるのだけど。
ぽつんと咲いているといえば、この花も。林の中にひとつだけつぼみがあるものだから、てっきり外から飛んできた外来種か何かかと。
でも帰って調べてみたら、どうもベニバナイチヤクソウのつぼみらしい。イチヤクソウという名前は聞いたことがあったけれど、実物を見たのはこれが初めてでした。去年はこの時期森に入っていなかったから。
前に地元の草花カレンダーでも見た記憶があるので、そんなに珍しい花でもないはず。だけど、周囲にはお仲間が見当たらず。これからまた森歩きしているときに発見できるかな。
そういえば、この場所は、以前に、ぽつんと咲いているフデリンドウを発見したところでした。あれ以来、どこにいったのが見当たりませんが、風来坊が立ち寄りやすいポイントなのかもしれません。
他の森の植物と、セミやチョウ
見た目がユニークなシダも発見。Google Lens先生がコタニワタリだと教えてくれました。
「谷渡り」とは胞子を飛ばして谷を渡るとか、身を乗り出して谷を渡ろうとしているとか諸説。谷間の岩壁に生えやすいようですが、普通の地面でした。通称ハート型の舌のシダらしい。そっちのほうが覚えやすいかも。
次は木に絡みついていた謎のツル植物。白いつぼみが目立っていてそろそろ咲きそうだったので撮ってみました。遠かったこともあって、じっくり見ていません。花が咲いたらまたちゃんと見よう。(→チョウセンゴミシでした)
森の中で見た謎の葉っぱ。けれども、枝の部分を見ると、見覚えがある。この形の冬芽は確かハシドイ?
後で調べてみたら確かにハシドイの葉っぱっぽい。花が咲くのは来月ごろなのかな。外来種の仲間ライラックより一ヶ月くらい遅いようです。
フキの葉にとまるエゾハルゼミと、
エゾスジグロシロチョウ(春型)?
森の中に巨大なフキが増えてきたので、食べれそうな青い茎のフキはないか探してみました。草刈りがまったくされていない遊歩道なので、道のど真ん中に巨大なフキが出てきたりしていて、遠慮なく伐採させてもらいます。
でも、一見、茎が青いように見えても、中のほうが赤くなっていたり、泥を吸い上げていたりして、美味しそうな青ブキが見つからない。やっぱり、渓流の岸などの、澄んだ水が流れている場所じゃないとダメなのか。
幾つか食べれそうなフキと、かなり大きくなってきたウドの若葉を採って、今日も山菜料理。これで今年も食べ納めかと毎度思っていますが、意外にもまだまだ食べれるものですね。特にウドの芽は、天ぷらにしてとても美味しかったです。
コロナウイルスについてのメモPart4.0
コロナウイルスについてのPart3.3を書いたのが4月28日。5月は、国内では思ったほどには広がらず、特に書くことはないと感じました。結局、今に至るまで、わたしの棲んでいる道北(士別以北)は、感染者が一人も出ないままです。
一方、世界各地では、南米を中心に今でもコロナウイルスが猛威を奮っていると聞きます。どうして日本はさほど被害が出ないのか、各説飛び交っていますが、アジア近辺で風邪のコロナウイルスが流行り、あらかじめそれで免疫がついていた説や、BCG説(ロシアでも陽性は多いが死者は少なめ)が興味深いかなとは思います。
でも、前にも書いたように、日本国内に滞在している外国人がかかりやすいという話は聞かないし、反対に流行地から帰国した日本人には感染者が多かったので、国土の気温湿度や文化や習慣の違いも大きいのかも。
しかしそれよりも、アメリカ発のデモの勢いが凄まじい。ロックダウン状態だった世界の各都市でも大規模デモが起こっていて、2週間後(6月中旬以降)に、前回以上の感染の大流行が起こるかもしれません…。
当初は、国連主導で諸国家が一致して封じ込めしていくのでは?と予想していましたが、かえって分裂が広がっているので、そうはならなさそうです。
選挙を控えた米国大統領や、パレードや国民投票を控えたロシア大統領が、何かしら動きを見せるかもしれませんが、世界の首脳陣が平和と安全を主張する流れになったとしても、うわべだけのパフォーマンスにすぎないのかもしれません。
しかし、日本国内の状況を見ると、うわべだけの緊急事態宣言解除でも、警戒が突然緩んで自粛解除ムードになることがわかってきました。本当に数値データ的に安全にならなくても、人々は権威者の言葉のほうを信じるのかも。
世の中を見ると、コロナが去ったわけでも問題が解決したわけでもないのに、人々は日常活動を回復させています。これから一旦、平和な時期が来て、人々の日常が回復すると思っていましたが、そうではないのかもしれない。
今回のコロナ禍で明らかになったのは
・国際社会は危機でも団結できないし和平もできない
・民衆は長期間の自粛を続けることはできない。問題が解決していなくても、やがてしびれを切らして自粛を自己解除していく。
・人は信じたい言葉を信じる。データがまだ危険だと指し示していても、権威者が平和と安全を主張すれば、一定数はそれを信じる可能性が高い
いずれにしても、再度感染者が増加し始めるのは6月中旬以降と思われるので、前々からの想定のように、大きな動きがあるとしたら、7月末かなと思います。予想できないことばかり起こるので、冷静に状況を注視していきたいところです。
わたしは毎日森に通える環境のおかげで、気持ちの安定を保つことはできていますが、率直に言って、今の先行き不安定な情勢は疲れる。
自分は危機的状況に強いサバイバル脳だと思っているけれど、今のようなどっちつかずの状況は釈然としなくてもどかしい。しかしここは辛抱のしどころ。やがて事態が変転するときが来るから。
2020/06/08月
湿地帯の森を歩く。エゾアカガエルにビクビクして疲れた
大阪や東京の友だちは暑い暑いと言っていますが、ここのところ道北は寒いです。今日も昼間の気温が13℃しかありませんでした。今週後半には暑さが盛り返して30℃近くまで上がるようです。
今日は、昨日とは別の、湿地帯の多い森に入っていました。遊歩道が作られている場所を歩いていますが、自治体の管理が行き届いていないので密林状態です。まあ、きっとわたし含め数人くらいの物好きしか歩かないので、費用対効果も薄すぎるということなのでしょう。
わたしとして万全の服装をしているので、別に遊歩道なんてなくても大丈夫、という思いで、森に入ってきましたが、さすがに腰ほどの高さのフキや、背丈より高いオオハナウド、ヨブスマソウ、足を覆い尽くす勢いのアザミ、花が散った後のニリンソウ(追記 : たぶんウマノミツバの間違い)などが道を覆い隠していて、限界が近いかも…と思ってきました。
上から写真を撮ると立体感がないせいで、大したことないようにも見えますね(笑)
また、今回の森は湿地帯なので、ぬかるみだらけです。底なし沼のような危険な場所はありませんが、足が吸い付くような泥地帯はあちこちにあって、これもまた気を遣う。ぬかるみには、去年も見たミゾソバらしき草がもう生い茂っていました。
最近はダニは少なめで、今日もあれほど藪こぎしたにも関わらず、二匹付着していただけでした。それでもやっぱりダニには神経を使います。森を出た後、家に入る前と繰り返し厳密にチェック。新型コロナの水際作戦と同じ。
それに加え、森の中を歩いていると、頻繁に足元がガサゴソして、エゾアカガエルが飛び出してきます。木々の枝の間に巣をかけている大きなクモも増えてきました。少しは克服したとはいえ、もともと虫や両生類、爬虫類が苦手なので怖い。
特にエゾアカガエルは、地面の腐葉土の色とこれでもかと同化していて、突然動くので意表をつかれます。なぜ「アカ」ガエルなのか腑に落ちました。
カエルの姿そのものは写真や動画に撮るくらい慣れているので、見た目よりも不意打ちにビクビクしている状態。
足元が草に覆われていて、地面が見えない場所も多いので、何かが潜んでいないか考え始めると神経質になってしまうところもあります。
そのせいか、今日の森歩きはリラックスするよりも疲れてしまい、帰宅後珍しく昼寝してしまいました…。
ちょうど、去年の秋ごろ初めて一人で鬱蒼とした森を歩いた時に近い。そちらのほうは何度か通ううちに慣れましたが、この時期に湿地の森のほうに入るのは今日が初めて。だからまだきっと警戒心が強すぎて慣れが足りないのでしょう。
いつものように、ちょっとずつ繰り返すことで慣れるはず。これもセラピーと同じく、タイトレーション(試薬ょ混ぜ合わせるように少しずつ交互に)しながらペンデュレーション(振り子のようにいったり来たり)です。
サイハイランのつぼみ
そんな森の中を歩いていると、地面に謎の棒状の花がぶっ刺さっていました。
地面に刺さっている棒状の花というと、いまだ咲いている状態を見たことがないオニノヤガラ(枯れたものは去年見た)が思い浮かびましたが、花の色からして、やはり見たことのないサイハイランではないかと思い当たる。
帰宅後調べてみたらやはりサイハイラン。昨日のイチヤクソウといい、地元の伝承や図鑑で名前だけ聞いたことのある植物をじかに見れるのは最高の瞬間です。噂だけ聞いていた地域の有名人と出会うときのような。
サイハイランのサイハイとは昔の武将が持っていた采配のこと。名づけとしてはバレンギクに似ているなと思いました。消防士の馬簾(ばれん。「まとい」とも言う)も、今では見ないけれど、杖状の道具。
馬簾と違って采配は、棒の上についた房がしなだれています。つぼみの段階でのサイハイランはまだ花がしなだれていないので、采配っぽさがありません。
それにしても長いつぼみ! 鮮やかなメタリックピンクが鈍く輝いていました。
何本かサイハイランを見つけましたが、中には開きかけのつぼみも。内側に、さらに鮮やかなピンク色の花びらが顔をのぞかせています。
ユキザサの群生地を見つけるもホウチャクソウ怖い
そういえば、昨日あまり見ないと書いたユキザサですが、湿地帯の森のほうに行くと、かなりたくさん見かけました。ちょっと湿り気のある森のほうを好むのだろうか。
入り口付近にそこそこの量のユキザサが群生していて、ここなら、春先に少しならアズキナを採ってみてもいいかも、と思えました。
森の奥のほうにも、ユキザサはところどころに生えているのを見つけましたが、雪のような花が咲いてい今だから見分けられるのであって、花がない時期ならわかりません。
現に、あれ?ユキザサっぽい葉っぱだけど花がないな、と葉っぱをめくってみたら、下にホウチャクソウの花がぶら下がっていること多数。しかしホウチャクソウの花さえもついていないのもあり、そうなると正体不明。
ユキザサとホウチャクソウは、少しだけ芽出しの時期が違うようですが、こうして同時に花を咲かせていることからしても、タイミングはほぼ同じ。
あくまでユキザサの群生地に、ちょっと成長度合いが違う芽があればホウチャクソウを疑う、というくらいにしか、区別の手がかりにならないかも。やはりそうなると、根を掘り起こして違いを確認するしかないのか。
背より高いオオハナウドの花が咲きはじめる、他もろもろ
わたしの背丈より高いオオハナウドがついに花穂を展開していました。
真横から撮るだけでこの高さ。わたしの背丈では花を上から見ることができないので、スマホを掲げて、背伸びをして、ピントの運任せで、上からのアングルを収めてみました。
目視せずに撮ったわりには綺麗に撮れていてよかった。さすが現代のスマホは性能高いですね。まだまだ咲き始めたばかりで、初々しい緑がかった花の色です。これから爆発するように白い花がどんどん咲き出すでしょう。
オオハナウドを近くで見ると、なんて背の高い「草」なのだろうと感嘆しますが、こんなの序の口。これからヨブスマソウ、オオイタドリ、エゾニュウと、3m超えの花が次々に咲き出します。こんな高い草が夏にいきなり現れては、冬には消えてしまうのだから自然界の活力はすごい。
そのほかに今目立っている花は、エゾレイジンソウ、クルマバソウ、ズダヤクシュ、コンロンソウ、ヤブニンジン、カラマツソウあたり。
たくさん咲いているエゾレイジンソウ。こんなにあるんだから、ニリンソウやヨモギを摘むときは注意しないと。
ここの森でもクルマバソウやズダヤクシュがいっぱい。もう花期は終わりに差し掛かっていて、種ができ始めています。
こうして写真にしてしまうと、オオハナウドは見上げるような巨大な花で、ズダヤクシュは足元の小さな花だというのが、全然わからなくなってしまいますね。
実物を見ないとスケール感の違いはつかみづらい。図鑑だけ見て似ていると思っていた植物が、実物を見ると全然大きさが違っていて驚かされることがよくあります。
セリ科は特にそうで、図鑑だけ見ていると、どれも花や葉が似通っていてわかりづらいですが、野山で実物を見ると、そんなに間違いません。同じ仲間でも、スケール感や、時期が違うことが多い。
ヤブニンジンの花も今年見分けられるようになったセリ科の一つ。葉っぱはセリ科らしく、ニンジンの葉っぱによく似ているけれど、花はセリ科の中では限りなく地味。
長い花柄に、ほんの小さな花が申し訳程度につくだけ。シャクやオオハナウドの仲間とは思えないほど地味。
ヒトリシズカの花が終わった後の葉。これもスケール感が写真では伝わりにくいけれど、葉っぱがすごく大きくなっていて、驚きました。真ん中に実がついていなかったら、とてもじゃないけれど、ヒトリシズカだとわからなかった。
エゾノリュウキンカの実はかなり大きくなってきたけれど、まだ弾けず。
最後にオヒョウニレの木。この森で何度かオヒョウの若木を観察してきたけれど、もう葉っぱが開いているおかげで、成木のオヒョウも、下から見上げるだけで区別できました。こんな形の葉っぱはオヒョウしかないからわかりやすい。
アイヌ民族にとって繊維の材料になった、とても重要な木。でも公園や町内にはハルニレしか見当たらないので、オヒョウニレは、こうして森の中に来ないと出会うことができない。だから、たまにこうしてオヒョウニレに会いに来るのが楽しい。
アイヌが内皮から糸を作ったというオヒョウニレの樹皮。生き生きとしたコケや地衣類に覆われていて、重厚感がある。
こうして昔の人たちが触った植物と同じ植物と知り合い、その姿を見、手で触れるとき、時空を越えて、かつての人々と心がつながる気がします。人は死んで文明が変わっても、植物はまだそこにある。その歴史を実感できるからこそ、伝承で伝わる在来種との出会いは心躍ります。
2020/06/09火
ホオノキの巨大な花が咲いていた
車で森を抜ける道を走っていたとき、道路脇の木に何か咲いているのに気づきました。めったに誰も走らない道路だし、自動車を停めてよく見てみたら、ホオノキでした。ホオノキが咲く季節になったのか。
去年の夏、友人の家で、「これがホオノキだよ」と教えてもらいましたが、当時のわたしはまだ樹木について何も知らず、この自然観察日記さえつけていなかったころ。ホオノキとはなんぞや、というだけで何もわかりませんでした。
それから、自然観察を始めて、秋にトチノキについて調べました。その時、トチノキの葉っぱがよく似て見分けにコツがいる樹木としてホオノキの名前に再び出会う。
また、冬になって、冬芽の観察にハマったとき、森の中をスノーシューで歩いていて、何度もホオノキのペーパーナイフみたいな冬芽を見つけました。トチノキは道北には自生していない(植栽されているもののみ)けれど、ホオノキは森の中にたくさん生えている在来種だと知りました。
春には比翼の滝を見に行ったとき、ヤチダモの花が咲き出したころに、まだ葉っぱの出ていないホオノキに巨大な実の残骸がついているのを見ました。こんなユニークな実がつく木だったんだ!と激しく印象に残りました。
だから今年はホオノキの花が見れるのが楽しみでした。モクレンやコブシの仲間と聞いていたので、春の雪解け後すぐに見れるのかと思っていたら、初夏の花だったんですね。やっと見れました。
ホオノキの花は高い位置に咲いているものが多く、意識して探さないと見逃してしまうところでした。樹木の花はどれも気づきにくい場所に咲くものです。
でも、友人宅のホオノキは、比較的低い位置に咲いていたので、脚立に登って写真を撮ることができました。いつもは接写して初めてこのサイズのズーム写真になりますが、ホオノキの花は巨大なので、接写レンズなしでこの大きさ。
こうして花びらを見ると、モクレンやコブシの仲間だということがよくわかります。でも少し薄く色づいていて、白というよりはクリーム色に近い。
顔を近づけてみると、花の大きさそのものがわたしの顔を包み込むように巨大でしたが、とても不思議な香りがしました。
香りはうまく言葉で表現しづらいものですが、都会人らしく無粋な例えをすれば、午後の紅茶のレモンティーみたいな香り。酸っぱさがあるのに砂糖菓子のように甘い。
この独特の香りがあるから、昔からホオノキの葉は朴葉寿司など、さまざまな「包む」料理に使われてきたんですね。名前の由来も「包」からだと言われています。
ホオノキの葉っぱが昔はビニール袋代わりに使われていたとか、魚を焼く時に使うと香ばしく美味しく焼けるとかいう話を読むと、人間は文明によってかえって愚かになってしまったのを実感しますね。
ホオノキの花の中心部にある、この巨大な禍々しい形のが雌しべの集合体。雄しべは周囲にひょろひょろ付きますが、成熟の時期をずらしているので、下の写真ではわずかしか写っていません。(花の寿命はたった3日らしい)
この巨大な雌しべこそが、わたしが春に見た禍々しい実の正体でした。雌しべだけでも十分禍々しいけれど、実になるともっと怖い見た目になる。でもそんなゾクゾクするデザインにも惹かれてしまう。
樹木はそれぞれ生存戦略が違い、たいていの樹木は倹約家の一面を持っていますが、ホオノキは巨大な葉、巨大な花、巨大な実、そして硬い冬芽と、かなり贅沢にリソースを大盤振る舞いしているように感じます。いったいそれだけのリソースをどこから得ているのだろう。
と思ったら、ホオノキは蜜を作らないらしく、そのあたりで節約しているわけですね。ほかにも周囲の樹木がいなくなったところで発芽し、自分以外の植物の成長を抑制するなど、うまく資源をかき集める知恵に長けているようです。
なかなか独特のライフスタイルをもつ面白い木。ひととおり身近な樹木を覚えた後に、それぞれの木の戦略について、さらに詳しく掘り下げて学んでみたいな。
森の奥に輝くミズキの白い花
車に乗っているときに気になっていた、森の奥にひっそりと白く輝いている花。今日は時間があったので、これもついでに車を停めて確認してみました。
遠くから見ると、よくある白い花の集合すぎてわからない。というかこの時期、こういう花の木が多すぎる。
望遠レンズで拡大してみる。するとどうやら、ナナカマド、アズキナシ、サクラみたいな、この時期に多いバラ科の花ではなさそうだと気づきます。もっと細かい。
さらに拡大。やっと花の形状がわかってきました。かろうじて、花びらが4弁の細かい花の集まりだとわかります。
この時点で、ハシドイかミズキっぽいと気づきました。まず図鑑でハシドイを見たら葉っぱの形や花の付き方が少し違うようだったので、そうか、ミズキだったのかと判別。
ミズキとハシドイは葉っぱの形もよく似ているけれど、上の写真みたいにテカテカして葉脈が目立っているのはミズキかな。調べたら階段状の独特の樹形になるので「テーブルツリー」と呼ばれているとあって、その点も一致していますね。
ミズキの花は、去年は公園で見て覚えましたが自生種を見つけたのは初めてです。それでも今日だけで車道沿いの森に3本見つけたので、花が咲いている時期に探せば、意外とたくさんありそうです。
都会にいたころ、ハナミズキは街路樹としてよく見かけましたが、よの仲間に無印ミズキがあるなんて知りませんでした。花も4弁であること以外似ても似つかなくて、とても意外。
野生のシウリザクラ?は迫力満点だった
森の中に自生しているエゾノウワミズザクラ。これまで公園に植えられているのしか見たことがなかったので、思わず、これ本当にウワミズザクラなの?と思う。というのも大きさが全然違っていたから。
花の時期も、公園で見たのはもう散っているのに、森の中では今が最盛期。
公園に植えられていたエゾノウワミズザクラより、花も葉っぱもはるかに大きい。これが本物の、大自然の中で生き抜いてきた野生のウワミズザクラだと言わんばかりに。
ホオノキやトチノキの葉と似た、付け根側が細く、先のほうが少し膨らむ形。倒卵形と呼ばれるタイプ。上半身が太っていて、下半身が細い形。
公園で見たウワミズザクラは、ここまで葉の形がはっきりしていなかったようにも思うので、やはり成熟した立派な野生の木ならではなのでしょうか。
ウワミズザクラの花芽とか若葉を一度味わってみたかったので、来年はここに採りに来ようと心に決めたのでした。
(追記 : この木はシウリザクラかもしれません。後で知ったことですが、エゾノウワミズザクラは雄しべが短いため目立ちません。ウワミズザクラとシウリザクラは雄しべが目立ちますが、花の大きさからするとシウリザクラの可能性があります。
写真の中に、基部がハート型になっているように見える葉が写っているのも、シウリザクラらしい点です)
ナナカマドの親戚アズキナシの花をやっと見つけた
帰りにちょっと確認したいことがあって公園に寄る。先週6月3日ごろ、この公園で見たヤマザクラっぽい謎の木がありました。
花はサクラっぽいけれど、まばらに咲くヤマザクラと違って、花が一箇所にまとまって咲いているように見えました。当時はミヤマザクラ?と思って、それ以上調べませんでしたが、今日、樹木の花をたくさん見ているうちに、気づきました。
あの花ってそういえば、ナナカマドに似ていたような…。ということは、ずっと探していたナナカマドの親戚のアズキナシでは??
現地に行ってみると、まだ花がギリギリ咲いていました。
そして今回はじっくり葉っぱを見る。縁がそれほどギザギザしていないので、今の時期に似た花を咲かせているクロミサンザシではないことは確か。また葉っぱの横幅が太くて丸いので、ミヤマザクラでもない。
何よりも特徴的なのは、葉っぱの葉脈のうち、側脈がやたらとはっきり目立つこと。これこそがアズキナシの特徴で、ものさしの目盛りのように等間隔ではっきりしていることから、別名「ハカリノメ」と呼ばれているそうです。(枝の白い点々をことを指しているという説もあるらしい)
やっぱりこれがアズキナシだったのか! 実は去年の冬からずっとアズキナシを探していたので、見分けることができて感無量でした。
アズキナシという樹木について最初に知ったのは、うちの自治体の営林署だったでしょうか。聞いたこともないような名前なのに、標本が展示されているほど一般的な木のようでした。名前も甘そうな梨をイメージして妙に印象に残りました。
そのあと、冬に冬芽観察をしているとき、頻繁に見かけるナナカマドの冬芽と、このアズキナシの冬芽がそっくりだと図鑑で知りました。
見分けるポイントはひとつ、維管束痕という点々が、ナナカマドは5つ、アズキナシは3つ。それくらい似ているとのことでした。
それからというもの、ナナカマドの冬芽を見つけるたびに葉痕のところのとても小さい維管束痕の数を数えてみましたが、5つばかり。よくある木だとされているのに、アズキナシは全然見つかりませんでした。
アズキナシとナナカマドは親戚ですが、ナナカマドが羽状複葉で、葉っぱも、花も、実もたくさんつける豪華な木なのに対し、アズキナシは単葉で、ナナカマドに比べると全てが地味な印象。だからなのか、街路樹などで植えられているのはナナカマドばかり。
だけど、この公園では、地元の植生を残されているので、こうしてアズキナシの木も見つけることができたのでした。地元にあることを知っていながら一本も所在を知らない木だったので、やっと見つけることができて嬉しい!
アズキナシの名前は、さくらんぼのような実が、アズキやナシの外見に似ていることが由来だそうです。所在がわかったので、これで秋に観察しにくることができそうです。冬にもぜひ冬芽の違いを見てみよう。
最後に、今日農家のお手伝いで抜いてきたニンニクの芽。成長を阻害するので抜いてしまうものですが、これが炒めて食べるとニンニク味で美味しい。今はオンラインでの会話が中心なので、気兼ねせず食べれるのも嬉しい。
2020/06/10水
【気になったニュース】
コロナパンデミックの原因は「動物の軽視」 霊長類学者グドール氏 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
新型コロナパンデミックの原因は「人類が森林を破壊したからだ」 | ワールド | for WOMAN | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
霊長類学者ジェーン・グドールが今回のコロナについて述べている記事2つ。タイトルだけ読むと突拍子もない主張にも思えますが、ある程度の事実はあると思う。
感染症は古くからあったし、人類がまだ自然と共存していたころにも猛威をふるった。けれども新興感染症が次々と現れ、世界的な災害になりうる可能性が出てきたのは、グドールの言うととおり、人間が動物を軽視し、自然界の免疫系を破壊していることによるのだと思う。
それにしても、ジェーン・グドールが一人でジャングルに入るようになったのは26歳の時だったんですか。もちろん安全に気をつけることは大事だけど、道北のうっそうとした密林くらいで音を上げるわけにはいかないな、と思いました。虫もカエルも慣れなきゃ。
森の入口にハーブになるシソ科カキドオシの群生
今日はオンラインミーティングの予定があって時間がない中でしたが、1時間ほどのスキマ時間を見つけて、森に行きました。
なぜか森の入り口には、カキドオシが群生して花を咲かせていました。町内の公園では、ほぼ1ヶ月前の5/14に見ましたが、町の中ではたいていの植物の花期が早いので、本来はこれくらいの時期に咲く花なのかもしれません。
山菜図鑑に載っていたので、食用になり、解熱や咳など、さまざまな症状に効く薬草でもあることは知っていました。でもそんなに美味しそうでもないし、とりあえず生えているのを確認しただけにとどめて帰宅。
ところが、帰宅後調べてみると、実はシソ科のハーブだということを知り、衝撃を受ける。つまり、オドリコソウ(デッドネトル)やタイムやオレガノやミントなどの仲間。シソの仲間にしては妙に可愛らしい葉っぱが特徴的。
英名は「アイビー」と呼ばれていて、各地でハーブとして愛されているそうです。お茶にするのもよさげなので、少し採って試してみることにしました。
下の写真は、翌日改めて行って採ってきたカキドオシ。まずはお試しでハーブティーにでもしてみるか。
カキドオシ(垣通し)の名前は、垣根の下をくぐりぬけて侵入することから名づけられたそう。その名のとおり、匍匐状のつるが地面を這っていて、引っ張ると芋づる式にたくさん採れたりします。
しかし驚くのはその芳香ある匂い。同じ在来シソ科でも、オドリコソウは、あくまで香りより有用成分が際立つ山菜でしたが、カキドオシは有名ハーブのミントなどに負けないくらい強いクールな香りがします。
カキドオシを摘んだ袋を持って森の中をうろうろしていると、袋から芳香が漂ってきて虫除けになりそうなくらいに強い。
わたしが摘んだのは森の入り口のカキドオシでしたが、近所の人によると、畑や道ばたにも生えているらしい。自生種にこんな有用なものがあるのに、海外産ハーブばかり珍重するのが日本人の良くないところな気がする。
ダイコンソウが実になり、ツルアジサイが咲き出す
その近くでは、ダイコンソウの花が、そろそろ散りかけていて、実になってきていました。去年、7月ごろの森で、何かわからない引っ付き虫を、ダイコンソウの実だよと教えてもらったのが思い出されます。
こんなふうにして、5弁の黄色い花が、引っ付き虫に早変わりするのですね。
少し奥のほうまで入ると、ホウチャクソウの群生地。あまり見かけない、花が3つぶら下がっているホウチャクソウも見つけました。毒草とは思えない優雅な気品が漂っています。森の中の花にしては妙に垢抜けした可憐さ。
そろそろ、カラマツに絡みついた、ツルアジサイの花も咲きかけていました。初めて道北に旅行で来たとき、木にアジサイが絡みついている!と驚いた思い出の花です。もうすぐあれから2年。
カラマツ林を歩いているとき、すぐ近くの頭上で、ポポ、ポポとツツドリが鳴いている声が響いていました。夏の森で鳥の姿を視認するのは至難の業ですが、これほど近くならチャンスがあるかも、と近づいていきました。
すると、頭上から黒いハトくらいのサイズの影が飛び立ち、近くの別のカラマツへと羽ばたいていきました。さらに近づくと、またもう一つ遠くへ飛んでいきました。
ほぼ逆光でしたが、初めてツツドリの姿を見ることができました。でもやっぱり重装備で熊鈴を鳴らしながら歩いてくる怪しい人影には最大限に警戒されてしまったようです…。
黄色い汁を出す妙薬クサノオウ咲く
森に行った目的は先日見たイチヤクソウのつぼみが咲いているか確かめることでしたが、なぜか見つけられませんでした…。
その代わり、見慣れない黄色い花の植物がたくさん開花していました。セントウソウのような、切れ込みは多いのに丸みを帯びた葉っぱに、アブラナ科のような黄色の4弁の花。
帰って調べてみたら、ケシ科クサノオウでした。去年も見たこの地域の代表的な花の一つなのに、ちゃんと記憶していなかった。去年見たのは地面を這っている小さな個体だったので、ちゃんと立ち上がっている普通の草花だとは思っていませんでした。
クサノオウという名前は、牧野富太郎によると「草の黃」または「瘡の王」から来ているのでは?と言われています。前者の「草の黃」は、葉っぱをちぎると謎の黄色い汁が出てくることから。後者は皮膚疾患を治すことから。(このサイトにある「瘡治る」が転化した説もありえそう)
黄色い汁を写真に撮るべく、オンラインミーティングが終わった後に、もう一回森まで行って葉っぱをちぎりましたよ。森の入り口付近に生えていたのが幸い。
去年見たときは葉っぱをちぎって汁を確認することまではできなかったので、今回が初確認。確かに汁が出てきたので間違いなくクサノオウです。
この黄色い汁はアルカロイドの混合液(ケリドニン、プロトピン、ケリジメリン、サンギナリン、ケレリトリンなど色々)で、毒にもなれば薬にもなるとのこと。
例えば、痔疾や皮膚疾患などに効果があるらしく、アイヌ語でも、オトンプイキナ(肛門の草)という意味で痔の治療に使われていたらしい。漢方でも白屈菜と呼ばれて処方されるとのこと。
ヤマブキとヤマハマナスの花
そのほかに森に自転車で向かう途中の道路で目にしたもの。
まずヤマブキの花。山吹色の語源になった花であり、またヤマブキショウマの名の由来になった葉っぱをもつ植物。確かにヤマブキショウマの葉に似ている。鋭く尖って縁がギザギザで葉脈が目立つ。
ヤマブキは本来は北海道南部にしか自生していないそう。それにこれは八重咲きの品種なので、植栽されたものでしょうね。
次の写真は、やはり道中見かけたヤマハマナス(カラフトイバラ)と思われる花。道路脇に側溝があって、遠くから望遠レンズで撮ることしかできませんでした。ちらほらとしか咲いておらず、もう咲き終えたのかこれから咲くのか不明。
去年の秋にローズヒップの形を確認したら、ほぼ球形だったのでカラフトイバラだと同定した記憶。近くで見たいものですが叶いません。
道路脇を大きな鳥が飛び立ってグライダーのように旋回し、シラカバの木の上に着地。望遠レンズで撮ってみたら、おそらくアオサギだったようです。
もうアオサギの子育ては終わってしまったころでしょうか。せっかく近くにアオサギのコロニーがあったので、見に行きたかったのですが、アオサギも神経質になっているだろうし悪いなと思ってしまいました。
この前のキツネみたいに、たまたま子どもがいるところに出くわすならともかく、わざわざ気が立っているところに近づいて、野生動物を刺激するようなことはしないでおこうと考えました。
そういえば今日も、自転車で走っているとキツネに出くわしました。痩せているキツネで、対面するやいなや逃げ出していきました。野生動物との距離感は、このくらいでちょうどいいものです。
2020/06/11木
鮮やかなオレンジ色の粘菌マメホコリ
昨日見つけたカキドオシを採りに森まで。今日は普段歩いている遊歩道を外れて、山の斜面を探索してみました。
絶対誰も歩かないような草やぶの中を登る。何か珍しいものでもないかな、と期待していましたが、何も見当たらなかった…。虫やカエルやヘビが出そうでちょっと怖かったから、じっくり観察できなかったのかも。
かろうじて収穫といえたのは、倒木に粘菌のマメホコリを見つけたこと。別の草やぶに入らなくたって、どこでも見つかると思いますが。
ひときわ鮮やかなオレンジ色の球体が、否が応でも目を引きます。接写してみると、すべすべの球体というわけではなく、表面はちょっとだけざらついているようにも見えます。
身近な植物でさえわからないのに、粘菌となるとお手上げ。何だかわからないけれど、森のリサイクルを担当している縁の下の力持ちだということは知っています。よくSF映画に出てくる微小な修理用機械ナノマシンみたいなものだと思っています。
それにしても、慣れない場所を歩いて、ちょっとビクビクしていたからか、最高気温が高めだったからか、ものすごい汗をかいてしまいました。ダニ対策に肌を覆うトレントフライヤーをまとっていますが、さすがに真夏は無理か?
ワラビ…ではなくイヌワラビの芽??
ところで、友人から山菜のワラビをたくさんもらいました。それで思い出したのが、一週間前に撮った写真。そのころよく見かけたこのシダの芽、いったい何だったのか。
今年の春、クサソテツ(コゴミ)は見分けられるようになりましたが、他の2つの代表的なシダの山菜である、ワラビとゼンマイはついぞ見分けられないままシーズンが終わってしまいました。
ゼンマイは鱗片ではなく柔らかい毛に覆われた、ぐるぐるした芽と覚えましたが、それらしいものを見つけられませんでした。ワラビは地中から拳を突き出したような形と覚えましたが、これも見つけられず。
その代わりに頻繁に見かけたのが、上の写真のようなシダの芽でした。もしかしてワラビ?と思って近づくのだけど、近くで見ると、全然違う気がして、写真を撮るだけにとどめるという。
改めてワラビの芽についてネットで調べてみると、確かに上の写真のはワラビじゃない…と思う。
ワラビは地中から出てくるとき、ゼンマイのようなきれいな渦巻状ではない。ひとつの拳を握りしめたような形で出てきて、その後3ツ股に分かれて葉が展開していく。じゃあこれは何だ?
シダ初心者すぎて全然わからないのですが、固くて食べれないイヌワラビでしょうか? 黒っぽいのはイヌワラビの紫茎バージョンかヤマイヌワラビ? 手持ち図鑑にもネットにも芽出しの写真がほとんどないので確証はありません。
春に山菜採りをしていると謎のシダ植物って驚くほど多いのに、ネットの山菜採りの解説を見ると、ワラビとゼンマイとコゴミの3種類の見分けくらいしか書いていないのが多くて不思議すぎる。似ている他のシダとの見分けはどうやっているのだろう?
シダはとても面白そうだけどマニアックすぎてどこからどうやって調べればいいのか全然わからない。秋に涼しくなってきたころに、葉の裏のソーラスの観察をして区別するあたりから始めようと思います。
マユミ? コマユミ?
これもうまく見分けられず、よくわからない案件。今日、近所の公園の鬱蒼として誰も入らない状態になりつつある草むらの中で見つけたマユミの仲間らしい若木の花。
同じ場所の目と鼻の先に咲いていたものですが、かたや白っぽくて花びらも丸い、かたや黄緑っぽくて花びらは長方形に近い、と特徴が違います。葉っぱも一応見ましたが、判断材料にならず。
ネットで調べるかぎりは、上の白いほうはコマユミか(枝に翼がないニシキギ)。一方、下の黄緑っぽいほうはマユミのようにも思えます。
しかしそもそも花で見分けがつくものなのか? 花は個体差が大きいのかも? 実の時期になってみれば、どちらもマユミだったりして。
こうした細かい区別は本当に難しい。そんなことよりも、何か珍しいものでもないかなと草むらの中に入ったら、こんな可愛らしい花が咲いていたという感動のほうを大事にすべきかもしれません。
ちなみにこの草むらに入ったのは、春先にこの奥で見かけた大きめのナニワズが今どうなっているか確かめたかったから。ところが、巨大なイタドリの林に行く手を阻まれてたどり着けませんでした…。様変わりしすぎ。
今日は山の斜面を歩いたり、草むらに入ったりしたせいで、ダニもいましたが、全身防備でゲイターもつけているおかげで、侵入は許していません。
【気になったニュース】
うつ病の発症 ウイルスが持つ遺伝子が関与している可能性 | NHKニュース
慢性疲労症候群のニュースを追ってきた人にはおなじみの東京慈恵会医科大学の近藤一博教授の研究。
慢性疲労症候群も統合失調症もうつ病も、みんなウイルスの潜伏感染や再活性化が関係している可能性は昔から指摘されているし、それはメカニズムの一端にしかすぎないのだけど、今になってNHKが新事実であるかのように報道するのは、ものすごく誤解を招きそう。「ウイルス」という言葉に人々が反応しやすい時期でもあるし。
2020/06/12金
エゾノリュウキンカの実が弾ける季節になりました
今日も予定が入っていて、1時間くらいしか余裕がありませんでしたが、恒例の森歩きの時間はちゃんと確保。最近、森に行くのが楽しみすぎて、毎晩、明日はどこを歩こうか考えてしまうくらい。
今日は湿地帯のほうの森に。一応、遊歩道がある森なのですが、管理されていないせいで、もう歩ける道がどこにあるのかわからないレベルにまで植物が生い茂っています。湿地なのでぬかるみだらけで泥にはまる。
わたしの腰や胸ほどの高さのフキ。葉っぱは超巨大。そして見上げる高さまで成長した巨人のようなオオハナウド、チシマアザミ、ヨブスマソウなど。
全身を覆って装備は万全なので、ダニが飛びかかってくるのを承知で草やぶの中を歩きます。今日もニュースで特集されていたけれどマダニは本当に怖い。
でも被害に遭っているのは多分甘く見て肌を露出している人なので、全身防護で慎重にチェックすれば大丈夫なはず。
まず見かけたのはエゾノリュウキンカの実。ちょうど実が弾ける頃のようで、弾けた実と弾けていない実が混在していました。弾けた後の実は、面白い形。弾けるときに音がしたりするのかな。
去年はこの弾けた実が花に見えてしまって、いったい何なのか随分悩んだものだった。
ズダヤクシュの実は、すっかり妖精の羽根が生えたメルヘンチックな姿に。
ネコノメソウの実は、その名のとおり、見事に「猫の目」のような姿になっていました。
早くもエゾレイジンソウも実をつけ始めていました。エゾノリュウキンカの実の小型版みたいな形。
拡大するとなんだか美味しそうにも見えなくもないけど、きっと全体に毒があるんだろう。
チシマアザミ?と思われるアザミの一種が、あちこちでつぼみをつけていました。しかし高さがわたしの背丈ほどか、それ以上もあって、つぼみがその天辺にあります。
チシマアザミの葉は色々な変異があるようですが、これは羽状複葉状に大きく切れ込みの入った葉のタイプですね。
この前まで、山菜として食べれると言っていたアザミなのに、わずか数週間でこれほどまでに巨大になってしまうとは。
完全につぼみのものもあれば、桃色の花がのぞいているものもありました。
去年はトゲトゲの外来種の雑草だと思って邪険にしていたアザミですが、今年になってからは森でよく見かけるから顔なじみみたいな感じ。
アザミよりバラのほうが素敵だとしたり顔で言う人に対して、アザミは山菜として美味しいからバラに負けない魅力があると擁護するほどにはアザミが好きになりました。
サイハイランのメタリックな花、タニギキョウの目立たない花
先日見つけたサイハイランのつぼみが咲いていないか見に行きました。これまでマムシグサのつぼみやベニバナイチヤクソウのつぼみを見に行ったら見つからないことが続いていたので、少し不安でしたが、見事に咲いていました。
メタリックなピンクの細長い花が美しい。つぼみの時点では全部上を向いていましたが、咲き始めるとうつむき加減になって「采配」らしい形になるのですね。
ラン科で、菌類と共生している植物なので栽培は難しいようですが、森ではそんなに珍しい植物ではないらしく、あちこちに咲いているのを見かけました。1時間ほど歩いて、15株くらいは見かけたかな。一箇所に複数群生していることも。
ちなみに、アイヌ民族はサイハイランの根を子どものおやつ代わりにしていたらしい。塊茎を掘り出して水洗いして、生のまま食べることができるそうです。一度試してみたいような気もする。
足元の草むらの中に咲く小さな花。てっきりズダヤクシュと、クルマバソウと、コンロンソウくらいしか咲いていないと思って見過ごしていましたが、何か違和感を感じてじっくり見ると、葉っぱが全然違う!
花の大きさ的にハコベに近いけれど、それとも違う。こんなに目立たないのに、知らない別の何かだと気づきました。
Google Lens先生のお力により、すぐにタニギキョウだと判明。わずか1cmほどしかなく、20倍接写レンズをもってしてもディテールをとらえるのが難しい大きさですが、まさかキキョウの仲間とは。
でも、これほどひっそりと咲く目立たない花に気づけたことにはちょっと気分がいい。この調子で先入観にとらわれない観察力を磨きたいところ。
とか言ってたら、翌日、森の入り口にもタニギキョウが咲いていて、あちこちにあることに気づき始めたのですが(笑) 言うほどひっそり咲いているわけじゃなかった。
チョウセンゴミシの花、アワフキムシの巣など
ふと近くの若い木(アズキナシ?)に巻き付いているツル植物に、白っぽい花が咲いているのを見つける。近づいてよくよく見ると、足元の草むらの陰にツルが張り巡らされていて、ツルを引っ張るとたくさん花がついてきました。
花を接写してよく観察する。中心部がほんのりと赤くなっていて、なんだか美味しそうな配色に見えしまう。なんだろう、こういう配色のぎゅうひの和菓子ってありましたよね?
その場では何の植物かわからなかったので、帰ってからGoogle Lensで調べることにして、葉っぱの写真も撮っておきました。
Google Lens先生にたずねてみると、チョウセンゴミシだと判明。そういえば去年の秋、チョウセンゴミシの赤い実をこのあたりでたくさん見かけました。こんな可愛らしい花が咲くのか。
チョウセンゴミシのゴミシとは五味子の意味で、複雑な味わいがすることから。ホワイトリカーに漬けて果実酒にすると美味しいそうですが、お酒は飲まないから縁がないかも。
ツル植物といえば、これからサルナシ、マタタビ、イケマ、ヤマブドウ、ツルニンジン、アマチャヅルなどの花も咲くはず。でも花がない時期の見分けが全然できないので、もう少し詳しくなりたい。
去年なんだろう?と思って調べたアワフキムシの巣を今年も見つけました。確か去年アワフキムシの巣を見た時は、オオウバユリの花茎が伸びていたので6月末でした。今年はまだオオウバユリの花茎は長くなっていません。
この泡の中にはホタルの子どもみたいに見えるカメムシの幼虫がいるそうですが、虫が不得手なわたしは、まだ中を覗き見る勇気はありません。
森歩きがソマティックなセラピーになっているという気づき
【気になったニュース】
わりと似たようなことをしていると思っているので親近感がわいたニュース。
コロナ失業した男性3人、無人島で1ヶ月暮らしたら…幸せいっぱいの毎日だった(女子SPA!) – Yahoo!ニュース
去年までもたびたび森に出かけていたけれど、森歩きよりサイクリングを重視していました。しかしコロナが蔓延し始めて、この機会に人がいない森やら滝やらを歩きまくることにしました。
そうしたら、面白いものをたくさん発見するので毎日森に通うようになり、徐々に経験を積むことで、鬱蒼とした森さえ歩けるようになってきて、意外にも次第に体調がよくなってきました。
コロナで買い物に行きたくないので、食材は森で採れた山菜を中心に使うようになり、植物の見分けや調理法の知識も大幅にアップ。
毎日同じ森に通い、植物の成長度合いを見守ることは、D・G・ハスケルが書いていたミクロの森のマンダラを観察するマインドフルな生き方をそっくりそのまま実践しているということ。
さらに、危険に対処しながら、好奇心をもって少しずつ森を探索するというプロセスは、ソマティック・エクスペリエンスの原理を実地訓練しているようなものだと気づく。タイトレーションとペンデュレーションを繰り返し、自律神経のコントロールの訓練になっていると思う。
人工的な遊歩道が舗装された公園のような森ではなく、ほぼ自然林や原生林を歩き回るうちに、同じ緑の中を歩いているようでも身体的に全然違うことがわかり始める。多様性豊かな本物の森でこそ森林セラピーの効果があるのでは?と感じた。
おそらくトラウマ医学がセラピールームの中でやろうとしていることをもっと効果的に自然の中で実現できていると思える。このあたりの経験や気づいたことを、うまくまとめることができれば、何かひとつ記事が書けそう。
たとえば、生物の危機に対する反応は、静止(注意)→逃走・闘争→凍りつき・擬死、と推移するけれども、森歩きの経験から、最初の静止(注意)のプロセスへの理解が深まった。今までの記事でほぼ着目していない部分だっただけにいつか考察したい。
人間って結局、自然の中を探索して、何かを見つけて、工夫して作り上げて、おいしいものを味わって、満足して寝る、というのが一番幸せなのだとも気づいた。知識を増し加えることや、資産や名声を得ることなどは幸せの条件ではないのだと。深い喜びというのは身体的な感覚を使うソマティックな活動から得られるものなのだと。
2020/06/13土
マタタビの花
チョウセンゴミシが咲いていたということは、マタタビも咲いているかなと、白い葉っぱを目印に探してみたら、小さな可愛らしい花が咲いていました。つぼみは赤いけれど、花は白い。ズミを思い出させますね。
この花は中心に雌しべが見当たらないので雄花ですね。雌雄異株だからこのつるには実はならないということか。
キウイの仲間とのことで、調べてみたら確かに花が似ています。やはり近縁のサルナシの花も見てみたいけれど、マタタビの白い葉のような目印がないから、少し難易度が高い。
エンレイソウの実はだいぶ大きくなってきました。葉っぱが枯れて、いよいよこれから熟していくところですね。もっと黒くなってきたら食べごろか?
たぶんシャクと思われるセリ科の花。よく見ると実ができていました。
虫の触覚みたいなのが生えているオクラのような、個性的な実の形。
シダのソーラス観察
そろそろシダの観察も頑張って始めてみるか、ということで、そのへんにあったシダのソーラス(胞子嚢群)を写真に撮ってきて、図鑑と照らし合わせてみました。
まず一番どこにでもあったシダ。
たぶんオシダのソーラスと思われます。茎の感じも黄色い毛が生えていてオシダっぽい。ソーラスだけ見るとイノデの仲間にも似ていますが、イノデは葉っぱの付け根に耳のような膨らみがあるので違う。
次に見つけたシダ。三日月型の白いソーラスが背中合わせに並んでいる。
今ひとつ確信が持てないけれど、よく見かけたこともあり、メシダ系のソーラスだと思う。エゾメシダ、ミヤマメシダは葉っぱがもっとギザギザしているようなので、オオメシダでしょうか。自信がない。
試しにソーラスの写真を撮ってきてわかったのは、ソーラスの観察はたしかに大事だけれど、手がかりの一つにすぎないということ。葉っぱ全体の形、小羽片の形、茎の色や毛深さ、根もとの分岐など、他の色々な要素も観察しておかないと、確実性がない。
単純に見えて奥深いシダ。まだ足を踏み入れたばかりだけど、オリヴァー・サックスばりにハマる日が来るのだろうか…?
2020/06/14日
地味すぎるツルウメモドキと終わりかけのメギの花
昨日うちの周りの道路などが草刈りされまくっていたせいか、鼻詰まりなどのアレルギー症状がひどい。わたしが夏場調子が微妙なのは、間違いなく草刈りのせい。
ということで、今日は久しぶりに森に行かずゆっくり過ごしていました。
いやそれでも森の入り口に咲いているバイケイソウの様子を見に行ったりはしましたが。バイケイソウはもう上のほうの花が枯れかけていて、90年?にわたる天寿をまっとうしようとしていました。また実がついたころに見に行こうか。
帰りにツルウメモドキを見ようと公園に寄りました。マユミやニシキギの花が咲いているのを最近よく見るので、同じ仲間のツルウメモドキも当然咲いているはず!
そう確信して見に行くと確かに満開は満開でしたが…
地味すぎる! マユミの花も相当地味ですが、ツルウメモドキの花も負けず劣らず地味。接写しても、サイズはアリ以下という小ささ。
マユミと同じく小さい黄緑色の花。しかしマユミが4弁なのに対し、ツルウメモドキは5弁で、花が散った後の萼みたいな形(野菜のヘタとか)をしているせいで、マユミ以上に気づきにくいかもしれない。どちらも実はあんなに派手なのに。
もう一つついでに、同じ公園にあるのを記憶していたメギも見に行くと、かろうじて咲いている花が残っていました。ほとんど散ってしまって花期の終わりごろですね。
トゲトゲの枝に可愛らしいオレンジ色のコロコロした花がぶら下がっていました。
メギという名は、煎じ薬が目の病気に効くことかららしい。それよりも、別名のコトリトマラズのほうが実態をつかみやすい。(近縁種にヘビノボラズもある)
セイヨウメギはバーベリーと呼ばれ、赤い実が色々な料理に使われているそうです。このメギも去年の秋に実がなっているのを見ましたが、さすがに公園のだし味見はしませんでした。
もともと北海道には自生していない木のようですが、公園に移植されたものでも、厳寒の道北に耐えるんですね。公園の木だから、全然気にしてませんでしたが、シーズンが終わる前にひと目見れてよかった。
オオハナウドの食べ方から調べたアイヌ食文化メモ
アイヌの植物の本を読んでいたら、ちょうど今ごろ、花が咲く時期にオオハナウドを収穫して食べると書いてあったのでびっくり。てっきり新芽のころに食べるものだと思っていた。
それによると、オオハナウドのうち、花茎をつけていないものを選んで茎を採り、刻んで干して冬の保存食にしたらしい。言われてみれば最近森の中で花茎のないオオハナウドを見て、どうして花が咲かないんだろうと思った記憶。
でも今ひとつわからないから、食べ方を調べてみたら、アイヌ食文化のニッチな資料が複数ヒットしました。普通の人は山菜好きでもオオハナウドを採ろうなんて思わないからな…。
肝心のオオハナウドの食べ方の情報はとても少なかったり、情報が相矛盾していたりでやっぱりよくわからないのですが、他の山菜類についての濃い情報がとても多くて、勉強になります。
たとえばヒトリシズカを干してイネハムというお茶にすることは知っていたので先日花が咲いている時期に摘んできたのを干してあるんですが、このマニュアルによると、6月下旬から7月に採るらしい。
今でこそ独特な葉っぱを見分けられるけれど、花の時期から継続して観察していないと、その時期にあれがヒトリシズカだと気づけないかもしれない。
またフキの採り方で、赤フキではなく青フキを採るとか、採った後も内側をよく確認するといったことは知っていましたが、内側の茎(内ブキ)ではなく外側の茎(外ブキ)を採るというのは知らなかった!
またエゾノリュウキンカを8月に掘り起こして根を乾燥させて食料にするというのも始めて知りました。たくさん咲いているから、今年どれか試してみるのもいいかも。
すぐに実践できるようなものではないけれど、知識として知っておいて、徐々に取り組んでみたいものばかりでした。
肝心のオオハナウドはどうしようかな…。とりあえずオオハナウドと類似種の見分けについて説明してある記事を見つけたので、それを覚えて、花の咲いていない茎を一回採ってこようかなと思います。
2020/06/15月
また子ギツネ発見。エニシダの脇の林道にて
車で山道を走っている時、ふと道路脇に見慣れない黄色い花を見かけて、何なのか確かめるために停車。するし、なんと林道の両脇に、二匹の子ギツネがいました。車のフロントガラス越しに撮った写真。
左右に小さな二匹のキツネがいるのがおわかりだろうか。右の子ギツネはすぐ逃げてしまいましたが、左の子ギツネは警戒心なくのんびりリラックスしているようだったので、そのまま車から出ずに写真を撮らせてもらいました。
あどけなさの残る顔立ち。でも先月見た赤ちゃんギツネよりは大きいですね。まったく別の場所なので無関係のキツネだと思いますが、ちょうどあれくらいの時期に生まれた赤ちゃんが、今はこのくらいに成長しているのかな。
動画も撮ったのですが、前回と同様、車の中でかけているCDのBGMが動画にそのまま入ってしまっていたので載せられなくて残念。
しばらく撮っていると、左の子も、道路脇の森の中へと消えていきました。二匹は兄弟だったのかな。きっと姿は見えなかったけれど、のんびりしていた様子からして、お母さんや他の家族も近くにいたのでしょう。
子ギツネが去っていってから車を降りて、運転中に気になった黄色い花を近くで見てみました。
明らかにマメ科。この時期に咲く黄色い花のマメ科といえば、去年、町内の花壇に植えられているのを見たセンダイハギやミヤコグサを思い出しました。
わたしと同じくらいの背丈があるので、どちらかというとセンダイハギのほうに近いですが、花の付き方は全然違う。センダイハギは総状(ふさが直立する)の花ですが、これはもっとまばらについているように見えます。
花の形も、センダイハギやミヤコグサほど丸っこくないし、くるりと巻くストローのような雌しべがとてもゴージャス。
いったい何の花だろうと調べてみたら、たぶんエニシダと呼ばれるマメ科の低木の仲間だそうです。なんだかシダの仲間みたいな名前ですが、単に学名のラテン語gensita(ゲニスタ/ジェニスタ)がなまったものだそう。
ほうきのような樹形と書かれていましたが、確かに竹ぼうきをひっくり返して地面にたくさん刺したような形でした。
しかし地中海原産で、西日本の温暖の気候を好むと言われるエニシダがどうしてこんなところに…?
周囲を見回しても、ただの山奥の林道にぽつんと一つの大きな株があるだけで、誰かが世話しているような気配もなく謎です。
これだけ大きくなったということは、道北の厳しい冬を乗り越えているということでしょう。夏は温暖だからいいのだろうか?
そのほか、農家のお手伝いに行ったときに見たもの。
雑草のノボロギクがあちこちにたくさん。去年自然観察を始めて、スケッチしていたころに調べた記憶が。あれからもう一年経つのね。(スケッチは再開したい気もするけど、もう少し余裕ができたら)
そろそろ花から実になってきたキュウリ。自分で育てていないとこの過程は見れないから面白い。
スナップエンドウの花と…
その花が枯れて中から生えてきた実。えんどう豆の実って花の中心部がせり出して大きくなっていくんですね。
家に帰ったら、なんか届いてた…。パッケージは開けずに、非常用持ち出し袋の中に入れておくことにしました。
2020/06/16火
松山湿原のふもとでゴゼンタチバナの花
また2週間ぶりに仁宇布の松山湿原に行ってきました。降水確率は午前中は40%、午後は90%でしたが、他に日付の空きがないから仕方ない。朝早く出かけて、午前中の曇り空に賭けることにしました。
仁宇布の曇り空。一帯を埋め尽くすイタドリの勢いが猛々しい。どこを見ても緑色相のグラデーション。
一昨日、アイヌの資料を読んでいて、ヨモギをもんでモミアゲみたいに顔の横にぶら下げておけば虫除けになると知ったので、早速試してみることに。駐車場脇にあるヨモギを装着してから顔網をつけて二重ガード。
虫除けスプレーみたいな消費社会の産物を使うより、こうして目の前の自然界にあるものを即席で利用できるほうが粋でいなせだと思う。
駐車場脇の草むらに早速ハコベを発見。去年もこのあたりで見たシラオイハコベ(エゾフスマ)かな、と思ったのですが、どうもそうではなさげ。
シラオイハコベは花びらが萼より短いのが特徴らしいですが、接写すると花びらのほうが長いですね。あまり詳細な区別が好きではないので、とりあえず今はハコベだとわかるだけで良し。
登山道の入り口近くに咲いていたゴゼンタチバナ。いや、咲いているように見えて実は中央部の集合体一つ一つが花なので、実はまだ咲いていないつぼみの状態。
この中心部の丸い集合体一つ一つがつぼみ。
ゴゼンタチバナはミズキ科らしく、確かに葉っぱはこの前見たミズキの木に似て、曲線の葉脈がはっきり刻まれています。花もそういえば、4枚の花びらみたいな苞葉に、中央の小さな花の集合が、ハナミズキによく似ていますね。
登山道のミネカエデやオガラバナの花
ミネカエデの花。カエデ類の花はどれも全然姿かたちが違うのだけど、等しく美しい。日本人古来の和の美的センスの発展にとても寄与している気がする造形ばかり。
ミネカエデの花は、イタヤカエデの花に似ているけれど、イタヤカエデが黄緑一色てぜ背景に同化する花なのに対して、ミネカエデは赤っぽい雄しべが差し色になっていておしゃれな印象。ちなみにナンゴクミネカエデはもっと派手らしい。
ホザキカエデ(オガラバナ)の花。これでも咲いているらしい。
オガラバナという名前のほうが一般名なのだけど、苧殻(おがら:皮をはぎとった麻の茎)のように木が柔らかいと言われても何のことやら全然わからない。別名のホザキカエデのほうが覚えやすい。穂状の花が咲くカエデということ。
接写で見ると、確かに花が開いているような気がする。
エゾスグリの花。カシス(クロスグリ)やカリンズ(フサスグリ)の仲間で、先日花を見かけたトガスグリと同じ在来種のスグリ。しかし花の印象は随分違って、こちらはツボ状のかなり可愛らしい鈴のような花です。
今回も道ばたにいっぱい咲いていたミドリニリンソウ。しかしさすがにもうシーズン最終盤で、花の数はかなり少なくなっていました。
ツバメオモトの透明花見つけた!
登山道の中腹の展望台からの風景。天気予報では雨でしたが、午前中はなんとか天気が持ってくれそうです。いつ見ても、この空気遠近法グラデーションが美しい。
展望台を越えてしばらく行くと、亜高山帯に入ってきたのか、高山植物のミツバオウレンが咲いていました。まだ花の残っているサンカヨウもちらほら。でも残念ながら透明花は見つからず。
やがて、道の両脇にまだ花の咲いているツバメオモトがたくさん。透明花がないものか、と一つ一つしゃがみこんで確認しながら進んでいると、
なんとなく透明っぽいのあった!
透明度で言えば50%くらい? あまりクリスタル感はないけれど、確かに透き通っています。雨に直接濡れた気配はありませんでしたが、茂みの下に生えていたため、他の葉っぱに溜まった雨粒が滴っていたようです。
ツバメオモトの透明花ってこんなに地味なのか…というのが真っ先に浮かんだ感想。ツバメオモトという花を知っていても、それが透明になると知らなければ、100人中99人は見過ごしてしまいそうなほど地味。
ネットでツバメオモトの透明花の画像を探しても、数がそんなにないのは、そもそもツバメオモトという花を知らない、花が小さくてよく見えない、なかなか透明にならない、透明になっていても傷んでいる花と思ってしまう、といった幾つもの理由が絡んでそう…。
今年は肝心のサンカヨウの透明花は見れなかったけれど、エンレイソウとツバメオモトは見れて良かった。
サンカヨウの透明花も、前回松山湿原に来たすぐ後に雨が降ったので、その時見に来れば間違いなく観察できたのでしょうが、サンカヨウの透明花を見るというそれだけのためにこんな遠くまで運転する気になれませんでした。
家の近所でサンカヨウの花を見つけられたらいいのだけど、いったいどこに生えるのか…。候補は思い当たりますが、今のわたしのレベルだと単独行動で見に行くのが難しい場所なので、確かめに行くことができません。
その近くにあった面白いシダの芽。思わず写真に撮ってしまった。
まずこれは、多分ヤマソテツの芽。色は山菜のコゴミ(クサソテツ)に似ていますが、シダの芽にしては珍しく、まったく鱗片がなくツルツル。カメレオンのしっぽとか目みたいなぐるぐる巻き。
すぐそばに枯れかけている前年の葉があったので、その特徴からヤマソテツだと思いました。
大きな葉が枝分かれせず一枚ずつ出ていて、小羽片は切れ込みがなく波打っているだけ、というシンプルな葉っぱ。ヤマソテツという名だけあってシダというよりソテツの葉に似ていて、熱帯っぽさがありました。
次のシダの芽は渦巻きの外周が白っぽく見えるシダ。前回来たときにも見かけて、黒いミヤマメシダと対象的で目を引いたのですが、何かわかりませんでした。
今回少し調べたところでは、カラクサイノデかもしれないと思いました。亜高山帯の標高高めの山地に生えるシダらしい。もっと時間があれば、前年の葉っぱなど探して調査できたのだけど…。
高層湿原のワタスゲやツマトリソウ
高層湿原に到達すると、肌寒いほどの冷気で、霧が漂っていました。写真には写っていませんが、風に吹かれて白いもやの塊が移動しているのが、肉眼ではっきり見えました。
ちょうどワタスゲの白い綿が髪の毛のようになびいている時期でした。ワタスゲの綿は、他の植物でいうと花びらや萼に当たる部分らしいので、この姿がワタスゲにとっては花のようなものだといえなくもない。
前回見たショウジョウバカマは、わずか2週間のうちにすっかり枯れてしまっていました。ヒメシャクナゲも、花軸を残すだけの寂しい姿でした。
その中でちょうど咲いていたのがツマトリソウ。はじめは白い花なのでミツバオウレンかと思ったのですが、よく見ると全然違う花。サクラソウの仲間だそうです。
ツマトリというのは、花の模様が鎧の褄取縅(つまどりおどし)のように見えるから、と書いてありましたが、調べても難しくてよくわかりません…。
もうひとつ見かけた花は、エゾゴゼンタチバナ。ゴゼンタチバナによく似ているものの、中心部が黒くて別の種類だとわかります。シックな色違いみたいでかっこいい。葉っぱの付き方も、無印ゴゼンタチバナは輪生っぽいのに対し、エゾゴゼンタチバナは十字対生っぽく見える。
例によって、花びらのように見えるのは苞葉なので、中心部の黒い部分が花です。拡大してみると、これはつぼみ状態ですが、
こっちは満開な咲いているのがよくわかります。確かに、黒い花一つ一つに4枚の花びらがあって集合体をなしているのがわかりますね。
前に、樺太出身のおばあちゃんが、ゴゼンタチバナの実をヤマジンタンと呼んで食べていたという話を書きましたが、あるブログによると、ゴゼンタチバナではなくエゾゴゼンタチバナの実のことを言っていた可能性がありそうです。
いずれにしても、赤く実ったころではなく、もう少し黒ずんでから食べると甘くて美味しいとのこと。しかし湿原の植物は採取禁止なので、味見できそうにないのが残念…。
と、ここまで見た時点で、まだ湿原の木道を10mくらいしか歩いていませんでしたが、もうタイムリミットが来てしまったのか、分厚い雲が立ち込めて、雷がゴロゴロと鳴り始めたので、残念ながら下山することにしました。
帰り道の展望台の景色。登りの時の青空はどこへやら。かなり雲に覆われて、いつ一雨きてもおかしくない雰囲気でした。山の天気は変わりやすい。予報でも12時以降は90%だったのを思い出しました。
オオバタケシマランやテシオキンバイソウの花
帰りに仁宇布の冷水を汲みに行くと、その付近にホウチャクソウのような葉がたくさんありました。どんな花が咲いているかとめくってみると、意外にもアマドコロでもホウチャクソウでもなく、メンダコみたいな可愛い小花をたくさんぶら下げていました。
そういえば本で読んだことがあったなと記憶をたどる。ホウチャクソウやアマドコロに似たユリの花ってなんだっけ? チゴユリだったかな、と思い出しましたが、後で調べると、オオバタケシマランという花でした。チゴユリはもっと一つ一つの花が大きい。
オオバタケシマラン(大葉竹縞ラン)という名前ですが、タケの仲間でもランの仲間ではなく、他のホウチャクソウ、アマドコロ、チゴユリと同じくユリ科。こんな紛らわしい名前じゃなくてヒメチゴユリとかコバナチゴユリとかで良かったんじゃなかろうか。
あまりに小さいメンダコのイヤリングみたいな花ですが、接写すると確かにユリです。
シダのソーラスもそうだけど、植物界には葉っぱをめくって裏側を見ないと気づけない貴重な出会いがありますね。江戸時代の奢侈禁止令で発展した裏地の美しさ「粋」という美学にも通じるものがあると感じました。
雨霧の滝。今回は近くまで行きました。雪解けから随分経ちましたが、まだ水量豊かに轟々と流れていました。雪解けの濁った水でないぶん、滝の美しさは今の時期のほうが勝るのかも。
清流に育まれた付近のフキは緑の茎の青ブキがそこそこ多いようでしたが、先日アイヌの本で勉強した外ブキがすでに採集されているものばかりでした。誰か山菜採りのプロが来たに違いない。
雨霧の滝の手前に咲いていたチシマキンバイソウ。普通高山に生えるキンバイソウの中で、なぜか低地の沢沿いに生える変わり者で、わりと最近の2016年に新種として発表されたと去年ガイドさんに聞きました。
キンバイソウ自体が初めて見るので、そのレアさが全然わからないのが残念ですが、金色に光り輝くひときわ目立つ美しい花でした。
ちなみに、〇〇キンバイと、〇〇キンバイソウは、名前も花も似ているけれど、前者はバラ科、後者はキンポウゲ科で別物らしいです。てっきり名前を省略して、テシオキンバイソウ→テシオキンバイのように呼んでいると思っていました。
さっきのオオバタケシマランもそうですが、植物の名前は、わりと行きあたりばったりにつけられたものが多くて区別が難しい。別の何かに似ていることからついた名前が多すぎて混乱します。
この後、予定では女神の滝まで散策するつもりでしたが、雷がゴロゴロ鳴っているし、雨がポツポツと降り始めてきたので、慎重を期して帰ることにしました。女神の滝の岩場は滑りやすいので。
帰りに地元の友人に手ほどきを受けながら見つけた、付近の森のチシマザサとアマチャヅル。
ちょうどチシマザサのネマガリダケがほどよく伸びていて収穫の頃合いでした。前回適当な知識で採ったものよりも太くて長い! これならタケノコと呼ばれるのもわかりますね。
アマチャヅルのほうは、去年の秋に近所の森で見たものに比べるとまだ若く、葉柄が短いせいで、特徴の鳥足状複葉が非常にわかりにくかったので、教えてもらえて助かりました。
注意して見ないと、同じく鳥足状複葉になるヒメゴヨウイチゴの葉っぱと区別がつかないし、葉腋からつるが出ているのを確認しないとヤブガラシと区別がつかない。
追記2 : 採ったアマチャヅルを乾燥させてお茶にしてみました。一時期健康食品としてブームになったそうですが、特に効能を期待しているわけではなく、純粋にお茶として飲んでみたかっただけですが、普通においしいですね。
見た目は黄色っぽくて緑茶のよう。香りはマイルドで、味はほのかに甘いです。ハーブのような清涼感のあるヒトリシズカのお茶のほうが好みですが、アマチャヅルのほうが癖がないので誰でも飲みやすそうです。
ゼンテイカ(エゾカンゾウ)のつぼみを食してみたら美味しい
ドライブから帰ってきた後は体が緊張していて、すぐにサイクリングでエネルギーを発散しないと、後々頭痛や疲れがひどくなる傾向があるので、近くの川沿いまで一走りしました。
家の近所の草原では、北海道を代表する雑草ルピナスが満開です。侵略的外来種なので、手放しに喜べるわけではありませんが、この季節を彩る、とても美しい花です。何も世話していなくて勝手に咲き誇るのがすごい。
ちょうど山に入る格好をしていたので、川沿いのヤブの中にたくさん生えているゼンテイカを採取してみることにしました。山菜図鑑で食べれるのを知ってしましたが、河原の湿地に生えているから採るチャンスがなかったので。
ゼンテイカの花はもう数週間も前から咲いているので、時機を逸してしまったかと思いましたが、土手の上から見ると、まだまだ山吹色の花が目立っていました。意を決してダニがいそうな茂みの中を降りていくと、つぼみも十分にありました。
河原に群生しているので、多少つぼみを採ったところでまったく問題なさそうですが、何せ初めて食べる山菜ということで、慎重を期して、4つほどつぼみをいただくにとどめました。
その周りには、非常に目を引く奇妙な形の葉っぱの植物がいっぱい。まるでチェーンソーの刃をたくさんつなげたようなこの特徴的な葉っぱの正体は何だ?
帰ってからGoogle Lens先生に照合してもらうと、関連画像で正体が判明。さすがすぎる。名前はナガボノシロワレモコウという植物。そもそもワレモコウの仲間がこういう葉だということを初めて知った。
ワレモコウに似ているけれど、ワレモコウより花が縦に長く穂状になり、花も赤ではなく白いので、この名前がつけられたらしい。花が咲くのは8-10月とのことで、まだ全然つぼみもつけていない状態でした。秋に覚えていたら見てみたい。
採ってきたゼンテイカのつぼみ。花も食べれるそうですが、咲き始めた朝に採らないと傷んでいたり、虫が入っていたりしそうなので、つぼみだけにしました。
簡単にゆでて食べてみると、特に味はない。でも食感がかなり美味しく、茹でたアスパラを食べているかのような気持ちの良い歯ごたえ。あまり積極的にたくさん採る山菜ではないでしょうが、サラダのトッピングなどに摘んでくると良さそうです。
ずっと気になっていたゼンテイカも味わって、今年は山菜図鑑に載っているものも、山菜図鑑に載っていないハーブ類もかなり味わったんじゃないだろうか。自分で言うのも変だけど、メキメキと経験を積んでいる気がする。
2020/06/17水
コロナウイルスについてのメモPart4.1
コロナウイルスの感染拡大、収束に関係する変数を分析した研究が出ていました。
感染拡大に強い相関する変数が人口密度、弱い相関の変数が、気温・湿度とのこと。当たり前のことを言っているようだけど、初期のころに推測したとおりでしたね。
というわけで、地域として日本一人口密度が低い道北(名寄・士別以北)は比較的安全そうです。ただ低相関ながら気温・湿度の低下する冬は心配ですし、引き続き警戒する必要がありそうです。
世界各国の状況を見ると、現時点で大流行しているのは、南米のメキシコ、ブラジル、アジアのインド、パキスタンなど。ヨーロッパとアジアの先進国では終息ムードで、アメリカやロシアではピークを越えたようには見えますが、単に自粛の効果が出ているだけに見えます。
6月に入って、ヨーロッパ、ロシア(モスクワ)、アメリカ、インドネシア、そして日本と次々に集会や外出の制限緩和が進んでいます。これらの社会実験の結果は6月末から7月上旬にかけて明らかになるでしょう。
日本のニュースは国内問題や特定の国の話題ばかり扱う傾向があるので、世界の国々の様子を知りにくい(特にアフリカの情報がほとんどない)のですが、今回の問題は世界的な状況の推移に目を向けておく必要があると思います。
6/19追記 : 前々から気にしていたロシア主導の常任理事国5カ国会議はまだやる予定みたいですね。
国連5カ国首脳で世界平和協議 プーチン大統領、早期開催訴え:東京新聞 TOKYO Web
戦勝パレードを24日、国民投票を7/1にと妙に急いでいるのはこれとの兼ね合いがあるんでしょうか。終戦75周年を記念するとすると、ロシア国内での終戦記念日である9/3付近に合わせてくるつもりなのかも。 11/4の大統領選挙前に何かしら実績を作りたいアメリカ(7~9月期が勝負とされる)はこれに乗りそうな気がします。
情報元のプーチンの論文(Vladimir Putin: The Real Lessons of the 75th Anniversary of World War II | The National Interest)はかなり長文。拒否権の仕組みを作った国際連合によってこの75年間第三次世界大戦が防がれてきたとの内容で、常任理事国5カ国が今協力して多種多様な問題に対処すべきとしています。
2020/06/18木
庭にハクセキレイの子ども(幼鳥)
庭の畑に見慣れない鳥が来ていたので、窓越しに写真を撮ってみました。正体がわからなかったので、Google Lens先生に聞いてみたら、まさかのハクセキレイ。
どこがハクセキレイ?と思ってさらに調べたら、ハクセキレイの巣立ちヒナのようです。まだ毛並みが灰色でモコモコしているので、ハクセキレイらしい白黒のスマートな見た目とは違って見えたのでした。
すぐに逃げるかと思いきや、全然警戒心がなく、ずっと庭でウロウロしたり、植えてあるネギの先に飛び乗って羽根をつくろったり、かと思えば地面のはじっこでのんびりうずくまったりと、自由気ままに過ごしていました。
一通り写真を撮って、動画を編集してから見に行っても、まだ同じ場所にいたくらい。この庭は野良猫の通り道なので、襲われないか心配しましたが、今日は雨だったので猫もパトロールしていなかったようです。
ハクセキレイの幼鳥は、かなり長い時間のんびりと滞在した後、出し抜けに羽ばたいて、どこかへ飛び去っていきました。もしかすると親鳥が近くで見ていたのかもしれませんね。
ハリエンジュやオニシモツケが咲いていた
今日はずっと雨だったので、近くの公園を散歩するだけにとどめました。
月曜日に運転しているとき、ハリエンジュの花が咲いているのを見かけたので、この公園でも咲いているかなと見に行ってみると、ちらほらと咲いているのがありました。この写真は低い位置にあったつぼみだけど。
つぼみの接写。少しボケでますが、いかにもマメ科の花ですね。
このつぼみあるいは花を採って食べることができるらしい。天ぷらでも汁の実でも、また開きかけの花はホワイトリカーにつけてお酒にできるとか。いい香りがするのかな。だとしたらシロップやお茶に使うこともできるかな?
残念ながら、今のところ、ハリエンジュの木がたくさんある場所は公園くらいしか知らないので、野生の木を見つけない限りは味見できなさそうです。もともと在来種ではないので、野生化しているとしても場所が限られているかも。
帰りに近所の川をわたる時に、川辺のやぶに白い花が見えたので、橋の上から写真を撮ってみました。最初は今あちこちで満開のオオハナウドかな、と思ったのですが…
目を凝らして葉っぱの枚数を数えてみたところ、一枚ずつだけに見えます。オオハナウドなら三出複葉なので違います。オオハナウドの仲間はいろいろあるけれど、1枚だけの単出の葉の種類ってあったっけ?
とか思っていたら、全然違った。帰ってから写真をズームして見たら、これはオニシモツケですね。オニシモツケ特有の茎を挟み込むような托葉が写っています。
ちなみにオニシモツケの葉は一枚に見えますが、実は非常にわかりづらい羽状複葉で、先端の1枚だけが極端に大きいから単出に見えるらしい。
追記:別の日に撮ったオニシモツケの写真に、羽状複葉がはっきり写っていました。茎に生えている、ゴミみたいな小ささの葉っぱがそれです。知らなかったら気に留めることさえなかったでしょう。
写真の上半分をしめているのがオニシモツケの葉、もとい頂葉ということになります。これがデカすぎる上に、茎についている他の葉っぱが小さすぎるため、羽状複葉に見えません。さらに拡大すると…
かろうじて茎に葉が生えているのが見えます。形もギザギザしていて、たまたま茎についているゴミのようなものではなく、れっきとした葉であるのが確認できます。なんとも摩訶不思議。以上追記終わり。
オニシモツケとオオハナウドが、遠くから見ると混同してしまうというのは意外でしたが、考えてみればさもありなん。どちらも巨大な手のひらみたいな葉っぱで、白い集合花を咲かせるので。
そうか、もうオニシモツケが咲く季節なのか…、と感慨深い。去年はこの時期は植物観察できず、オニシモツケという名前はよく聞くものの、花を見ないまま夏が終わってしまいましたから。今年はじっくり観察できそう。
そのほか、道ばたに穂を伸ばしていたイネ科の何かが、ほのかに赤く色づいていて、なかなか綺麗だなと思ったので撮ってみました。
Google Lensで調べてみた感じではシラゲガヤかな? ズームしてみると、花穂の茎に、名前のとおり白い毛が生えているのが見えます。英名ベルベットグラスといって、なかなか良い手触りらしい。
イネ科は本当にわかりにくいですが、ちょっとくらい覚えたいものです。
2020/06/19金
ハリエンジュの花をいっぱい摘んでシロップづくり
昨日のハリエンジュは近くの公園だったけれど、町の郊外に大きなハリエンジュが立ち並ぶ群落を発見。今の時期は花をつけているから、こんなところにもハリエンジュがあったのか、と驚かされます。
満開も満開。見事なほど花をたわわにつけていました。
嬉しいことに、ここのハリエンジュは下枝が低く、手の届く高さにも花が無数についていました。だから咲いている花を間近で撮ったり、
接写したりも簡単にできました。
とてもたくさん花をつけているので、せっかくだから花をいただいて帰ることにしました。ハリエンジュの花は昨日も書いたように、天ぷら、汁の実、おひたし、ホワイトリカー漬け、シロップなど、さまざまな食べ方ができます。
収穫する時は、花の房ごとちぎります。それを水で洗ってから、茎の部分を手で持って、下に指をずらすようにすれば、花だけを簡単にしごき取ることができます。花を取った茎はコンポストへ。
花を摘んで下処理していると、まるでジャスミンのような強い香りが漂いはじめます。かなり個性の強い香りなので、人によって好みは分かれてしまうかも。
こうしてしごき取った花を先日のクルマバソウと同じく、煮込んでしばらくおいてから濾して、水1リットルにつき砂糖400ミリリットルを加えてシロップにしてみた…
が、香りがぜんぶ飛んでしまって無味無臭に近くなってしまった…。煮込む時間が長いと香りが飛んでしまうのかもしれない? 調べてみたらニセアカシアのコーディアル作っている方がいたので、それを参考にもう一度やってみましょうか。
あるいは干して感想させてお茶にしたりかれば、いい香りのものができるかも。
追記 : 先に沸騰させてからハリエンジュの花を入れて2晩ほど置く方法で作ってみました。こんどは色がほんのりと赤みがかって、香りもしっかり抽出されました。一回目は先に花を入れて煮込んだせいで香りが飛んじゃったみたいです。
シロップの香りや味は、意外にも桃のようにフルーティーでした。
作ってすぐの段階では青臭さがありましたが、冷蔵庫で一晩置くと、青臭さが消えて飲みやすくなりました。(エゾマツのシロップを作ったときも作ってから一晩でえぐさが消えました)
クルマバソウのシロップとは別方向の美味しさで、また来年も作りたくなります。
もうひとつ、郊外の堤防のあたりで見かけた、野生化したセイヨウノコギリソウ(ヤロウ)。これも優秀なハーブなので、摘んで帰りました。
ハリエンジュもセイヨウノコギリソウも在来種ではなく外来種で、街路樹や園芸用に植えられたものが野生に広がってしまっていて、生態系にとっては好ましくない植物です。その分、希少種や保護植物ではないから、遠慮なく摘めるので、こうして利用できるものは積極的に使ってみたいと思います。
オニシモツケの霜の塊のような花
昨日載せたもうひとつのオニシモツケのほうも、山道を走っていたとき、道路脇にたくさん見つけることができました。こちらも昨日と違って、すぐ間近から撮れる位置だったのでじっくり観察できました。
この時期、町の近郊だと道路脇の植物はフランスギク、ルピナス、オオハナウドなどが多いですが、山の中に入っていくとオオハナウドは少なくなり、オニシモツケがとても多いのが目立ちます。
まだオニシモツケの花はつぼみの状態が多かったですが、中にはすでに咲き誇っているものもあって、霜が降ったかのような白い塊の花を見ることができました。
シモツケの由来は下野(しもつけ)の国(栃木県)で発見されたという説と、花が霜のようだという説がありますが、個人的には後者のほうがイメージしやすいから好きです。
こんなにあちこちで見かける一般的な花なのに、去年はどうして気づかなかったのか。去年の夏は忙しすぎて森に行く暇がなかったからかもしれないし、オオハナウドと見間違えてしまっていたのかもしれない。
遠くから見ると、あまりに小さい花が三密レベルで密集していて、ひとつの塊にしか見えませんが、しっかり顔を近づけて注意深く見れば、可愛らしい花の集まりだとわかります。一つ一つの花の形はセリ科のオオハナウドとは全然違う。
その近くではすっかり背が高くなったアザミの花も開花していました。
2020/06/20土
一週間ぶりに近所の森に行く
ここのところ忙しい日が続いていましたが、一週間ぶりにやっと近所の森歩きができました。数日見ないだけでも様変わりしているので何か変化があるかなとわくわく。
森の入り口のエゾニュウはもうこんなに大きくなってきていました。花穂が伸びていないので、エゾニュウらしい怪物のような存在感はまだありません。葉っぱの形を知っていれば、かろうじてエゾニュウかな、とわかる程度。
森の中ではウドもこんなに大きくなっていました。
ついこの前まで新芽を食べていたような気がするのに。同時期に芽吹いていたウコギ科の仲間であるタラノキやハリギリもすっかり葉っぱを大きく開いていて、山菜の時期が遠い昔のようです。(ウドはこれでもまだ食べれますけどね)
去年見る時期を逃してしまって今年楽しみにしているオオウバユリの花茎もこのとおり。7年くらいかけて花を咲かせて死ぬ植物なので、この花茎はオオウバユリの人生の集大成ですね。
森の斜面にはなぞの幼木も生えていましたが、つい最近どこかで見たようなこの葉っぱ。おそらくミズキでしょう。
これまで大きな木を下から見上げるくらいしか観察のチャンスがありませんでしたが、若木だとまじまじ葉っぱを見れる。青緑色の葉に模様のようなくっきりした葉脈がなかなか美しいです。
オニグルミの実、イラクサの花
森の入り口でふと上を見ると、手の届く高さにオニグルミの雌花があり、もう実が膨らみ始めていました。雌花の時点では、この赤いプロペラがどうやってクルミになるんだろう?と思いましたが、この中間状態を見ると確かにクルミだなと感じました。
そして森の両脇に生い茂るイラクサの大群が、ちらほらと花をつけ始めていました。去年はイラクサの実は見つけましたが、花を見たのは初めてです。なんと地味な花。
イラクサに興味がある人でなければ、目もくれないでしょう。興味ある人であっても、遠くから見ただけでは、つぼみなのか、咲いているのか、実をつけているのか判別できません。
トゲトゲが怖いイラクサにわざわざ顔を近づけて、手袋をはめて小さな花をルーペで観察しない限りは。
今年これまで見てきた花の中で一番地味かもしれません。ルーペで拡大しても、花?なのかよくわからず、かろうじて咲いているように見えるというだけでした。
もっと注意深く観察したい気持ちはありましたが、風でイラクサが揺れて、顔や手に当たりそうで怖い。虫除けの網をしてるし、手袋もはめているけれど、夏仕様の薄手だから、イラクサに触れるときは逃げ腰になります。
いろいろな実。ヤブニンジン、コンロンソウ、カラマツソウなど
この前まで咲いていた花々が、次々に実をつけていました。どれも地味な実ばかりで、花の時期に観察して葉っぱを覚えているのでなければわからなかったでしょう。
まずヤブニンジン。花も地味だが実も地味。繊細なレースのような葉っぱだけが、いつもヤブニンジンの存在を教えてくれます。でも、やたらと茎が細長い花や実というのは斬新な個性なのかもしれない。
コンロンソウの実。いかにもアブラナ科、いかにもタネツケバナの仲間らしい棒状の実です。これもまたすぐ下にコンロンソウの見慣れた5枚セットの葉っぱがあるのでなければわからない。
次は意外に思ったカラマツソウの実。まるでエゾノリュウキンカとかエゾレイジンソウみたいなタイプのこんぺいとう型の実ですね。どれも花の形は全然違うのに実は似ている。カラマツソウの派手な花火のような白い花からは想像もつかない。
こちらは前にも写真に撮ったことのあるシャクの実。花の形の面影が残っているぶん、見分けやすい実です。とりわけ細長い実についている、昆虫のような触覚がユニークすぎる。
そしてルイヨウショウマの実。これはまだこれから成熟していくところですね。今は花が散ったばかりでとても地味ですが、実が熟して青黒くなるころには、きっとまた森の中で一段と目立つ姿を披露してくれるでしょう。
ワラビの群生地とコクワ(サルナシ)の木見つけた
いつもショートカットしてしまってあまり歩かない山道を歩くことにしたら、思わぬ発見がありました。
まず、今ごろなんとワラビの群生地を見つけてしまった。
写真だとまだ山菜として撮れそうにも見えますが、実際に見ると、なんともう腰くらいの高さがあります。とても山菜サイズではありません。
ワラビはアク抜きがめんどくさいので、山菜初心者のわたしは今年の春、探しもしませんでした、でも、やっぱりワラビくらい見分けられないと、と先日一念発起してワラビについて調べ、特徴を覚えました。
まず拳のような葉の塊を突き出していること、そして茎が3つに分岐していることです。茎は鱗片がなくつるんとしている。
葉っぱが拳のように丸まっていても、3つに分岐していないなら、イヌワラビとか他のシダ類かもしれない。
今の時期にワラビを発見できたのは良かったかもしれない。なぜなら、山菜としてのワラビだけでなく、葉っぱを展開した大人のワラビも同時に観察できたからです。
どうも今日見た感じでは、ワラビというのは、葉を展開する前に茎をぐんぐん伸ばすらしい。
写真からわかるように、腰の高さほども伸びているワラビでも、まだ葉っぱは巻いたままで、山菜のときの姿をそのまま大きくしたかのようだったりする。
でも、中には、茎が長く伸び切って、ついに葉っぱをくるくると開き、大人のワラビの姿になっているものも散見されました。
この写真だと、妙にゆがんだ変な形の裂片(二次小羽片)が多いように見えますが、たぶん葉っぱが開いたばかりで、ちゃんと展開しきっていないのかな? 葉のふちにウェーブがかかる傾向があり、その中にソーラス(胞子嚢群)が作られるっぽい。
ワラビも大きくなってしまえば普通のシダと同じような葉っぱになるので、見分けるのは至難の業。3回羽状複葉だとか胞子嚢の様子とかで見分けるしかなくなりそう。
だから、山菜としてのワラビを知っていても、この成長したワラビの葉を見たことのない人は意外と多いそうです。みんな食べることにしか興味ないんですね(笑)。
わたしは逆に、山菜としてのワラビにはあまり興味がないけれど、シダ植物としてのワラビは観察したかったから、ちょうどいい時期に見つけました。
もう一つ大きな発見は、そのワラビ群生地のすぐ近くに、サルナシ(コクワ)らしき木を見つけたこと。親戚のマタタビ(たぶんミヤママタタビ?)は白い葉っぱが目立つせいでよく見つけますが、サルナシはあまり見つかりません。
マタタビの張っばと違って、光沢があって、ギザギザのあるふちにウェーブがかかっていて、ちょっと固そうな見た目なのが特徴。葉柄が赤いのも見分けるポイント。
葉っぱの裏をめくってみると、葉脈のあたりに白いうぶ毛がありました。これもサルナシの特徴らしい。
ちょうど冬芽が残っている枝があったので、ここでも区別ができます。サルナシの冬芽もマタタビの冬芽も似たような形で、穴が開いているクレーター部分が葉のついていた所。
サルナシの冬芽は葉がついていた葉痕の他には何も見当たらず、冬芽は膨らみの中に埋もれていますが(隠芽)、マタタビの冬芽は少しだけ顔をのぞかせていて(半隠芽)、一つ目みたいなのが突き出ているので区別できます。
そして、ひときわ目を引くのが赤いつぼみ。赤い部分は萼?か何かで、花そのものは白です。
マタタビはもうあちこちで咲いているのに、サルナシはまだつぼみなのが不思議。特に時期がずれて咲く花でもないようなので、単純にこの木が少し遅めなだけなのかも。
サルナシは雄株と両性株があるそうですが、この木はどちらなのだろう。もし両性花を咲かせて実が実るようだったら秋が楽しみなのだけど。
シダ色々。トクサ、エゾメシダ?、オシダ?、イヌガンソク?
ワラビのそばに出ていたトクサの新芽。昔なつかしロケット鉛筆。若いトクサだからか、春の若竹のようにみずみずしい色をしています。
今でこそ鉛筆サイズですが、ペルム紀にはそびえ立つ高さのトクサの仲間(ロボク)が乱立していました。
ほぼ羽片が対生しているように見えるシダ。けれどもシダでは互生とか対生の区別は見かけないし、よく見ればぜんぶ互生だったりするから、意味はないんだろうか。
葉っぱの裏のソーラスはこんな感じ。白い三日月のようなソーラスの形からして、メシダの仲間だと思う。葉のサイズが大きいことと、小羽片のふちのギザギザか考えると、一番メジャーなエゾメシダかミヤマメシダかな?
こちらの葉っぱのソーラスはオシダ系。羽片と羽片の間隔が狭く、軸が毛深く、小羽片が丸みを帯びていることからして、まあ普通にメジャーなオシダなのかな?
最後にこれはなんだろう? ソーラスがないので、胞子葉が別に出るクサソテツかなと思ったけれど、羽軸に鱗片が多いから違うか。
ということはクサソテツ(ガンソク)のそっくりさんで毛が生えているイヌガンソクかもしれない。
前年度の胞子葉が近くにあったりすれば確定できたのだけど、そこまで観察するのを忘れてました。イヌガンソクの胞子葉はクサソテツよりはるかに小さく20cmくらいしかないので、今の時期だと意識的に草をかき分けないと見つからないでしょう。
シダは奥深い。まだまだ駆け出しです。
シラフシオビナミシャクと思われる蛾
その近くにとまっていた蛾。去年も似たような白黒の蛾を見た覚えがある。
その時調べたところでは、たぶん〇〇エダシャクとかいう名前だろう、というところくらいまでしかわからなかったけれど、今回は、おそらくシロオビクロナミシャクかその仲間だろう、というところまでわかりました。
似た蛾にシラフシロオビナミシャク(早口言葉?)がいるようですが、羽のふちに白いレース模様みたいな縁取りがあることで区別できるとのこと。
どうやら、幼虫がツルアジサイの葉を食べるらしく、去年も今年もツルアジサイの葉っぱにとまっているのを見かけたことと合致しているように思います。
ハイキンポウゲ?とヤマブキショウマの群生地発見!
そのあと、もう一つ別の森も少し様子を見に行く。途中の林道のふちに、先日から気になっていた黄色いキンポウゲ科の花が所狭しと花を咲かせていました。
キンポウゲ科であることは明らかだけど、いったい何の花なのか。道北に多いと言われ、先日河原で見かけたエゾキンポウゲか? それとも無印キンポウゲ(ウマノアシガタ)か? でも葉っぱの形が違うような…。
葉っぱを観察してみたら、どうも三出複葉みたいですね。3枚セット。キンポウゲの三出複葉で調べると、ハイキンポウゲ(這い金鳳花)という花が見つかりました。確かに地面を這って広がっていたのでそれかも。
ところで、このキンポウゲと薬にもなるゲンノショウコは葉っぱの形がそっくりなことで知られているけれど、今調べていて葉脈の形が違うというのを知りました。
ゲンノショウコは、中心から放射状に葉脈が伸びていく掌状脈だけど、キンポウゲは鳥足状脈(まず鳥の足跡のように3つに分岐して、それから左右の脈が細かく分岐していく。鳥足状複葉の場合と同じ)らしい。
そう言われてみれば、上の写真ではそうなってますね。光ってわかりにくいけれど。
さらに春にエゾノリュウキンカの群落を見つけたカーナビに載っていない道にも足を伸ばしてみました。両脇の草刈りもされていたので普通に使用されている道ではあるようです。
ヤチダモの若木、オオハナウド、オニシモツケなど、いつも見ている植物ばかりで、別段珍しいものはないように思えたのですが、引き返すときに奇妙な花が目に入りました。
白い糸の穂がたくさん縦横無尽に咲いている。これはきっとヤマブキショウマに違いない! 森の中ではなぜか見ないのに、こんなところに群生しているとは。
ヤマブキショウマはバラ科。バラの仲間らしい葉脈のはっきりくっきりした先の尖った二回三出複葉が特徴。前に写真に撮ったように、複葉が5枚になっていたりする不規則な葉っぱもありますが、今日見たのはきっちり3枚セットの葉でした。
ヤマブキショウマの花をまじまじと見たのは初めてですが、想像していたのよりかなり小さく細い花なんだなと思いました。ルーペで拡大してみるとまるで梅の花がたくさん咲いている枝のようです。
ヤマブキショウマは、トリアシショウマと並んで、今年の春に味わってみたかったけれど見つけられなかった山菜。やっと群生地を見つけられたので、来春、適切な時期に来たら念願叶いそうです。
その一方で、トリアシショウマは相変わらずどこにも見当たらない。ヤマブキショウマの花期が6-8月なのに対し、トリアシショウマは7-8月らしいので、花が咲くのはまだ先でしょう。こちらも花期が来たら見つけることができるかな。
2020/06/21日
アーレンレンズの力を借りてスマホで部分日食撮った
普段、国際ニュースくらいしか見ないので、今日部分日食だということは全然知らなかったのですが、16時頃にトップニュースになっていたので気づきました。
今まさに起こっているの? 家の外に出て見てみよう! と思って、サングラスをかけて急いで出たのはいいけれど、サングラス越しでも明るすぎて目視できないし、スマホで撮ってみても完全な円形に見える。
部分日食の規模は那覇79%、札幌18%らしく、日本列島の北の最果てである道北ではごくわずかにしか欠けないのかな、とあきらめかける。
しかし、ふと思い立って道北の天文台であるなよろ市立天文台きたすばるのサイトを見てみたら、ネット中継していて、名寄でも一応日食は見えているらしいことがわかりました。
ということは明るさが強すぎて写ってないのか?と思ってネットで調べたら、どうやら日食グラスなる道具が必要らしい…。そんなもの持ってない!
試しに手持ちのサングラス越しに撮影してみるも、やはり明るすぎるのか、まったく欠けておらず、完全な円形に見えてしまう。後で調べたら、「一般のサングラスなどは、どんなに濃い色のものでも太陽の強い光や熱を通してしまう」とのこと。
しかし!
わたしには秘密兵器があった。明るさ過敏ゆえに特注であつらえたアーレンレンズ! 通常のサングラスの最低の濃さよりもはるかに濃く、特注でないと作れなかったアーレンレンズがこんな場面で役立つ日が来ようとは。
今はプリズム入りの二代目アーレングラスを使っているので、アメリカに発注した初代アーレンレンズは、レンズを外して分解して保存してありました。それを引っ張り出してきて左右二枚重ねにしてみた。すると…
見事に写りました! さすがアーレンレンズ。わたしの明るさ過敏は伊達ではなかった! 世界広しといえども、こんな方法で日食を見たのはわたしだけかも?
ちなみにスマホに何もつけずに太陽を撮影したのがこれで、
スマホに二代目アーレンメガネだけを重ねて撮影したのがこれ。
どちらも太陽そのものはまったく欠けていませんが、レンズフレア(青い影のゴースト)が欠けているのはわかります。まったく日食していないように見えて、こんなところに証拠があったのですね。
前もって何も準備していない出たとこ勝負の部分日食でしたが、手持ちのものを使って工夫して日食を見ることができて、満足度が高い天体ショーでした。
【気になったニュース】
シベリア、5月に「極めて異常な」気温観測 平均より10度高い地域も 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News
CNN.co.jp : 異例の高温続くシベリア、「警戒すべき兆候」と研究者
シベリアで38.0℃観測、北極圏史上もっとも高温か(森さやか) – 個人 – Yahoo!ニュース
永久凍土が溶けての軽油流出事故の悲惨なニュースは知っていましたが、まさかここまで悪化しているとは。今年日本には今のところ熱波はありませんが、5月には台湾で40℃、インドとパキスタンで50℃が観測されていたので、国際的にはむしろ悪化しています。
しかしその中でも永久凍土圏の劇的な気温上昇はショッキングすぎるニュースで、人類の住みかとしての地球があとどれほど保つのか、終末時計のカウントダウン的な役割を果たしているように思えます。
2020/06/22月
最近つんできたハーブティーにする野草
あいにくの雨で、近所をサイクリングするくらいしかできず。
最近採ってきた野草類を乾かしたコレクション。ヒトリシズカ、カキドオシ、ハリエンジュ、アサツキ、アマチャヅルなど。お茶にして飲むと美味しいです。わざわざ買わなくても野山で調達できるのが昔ながらの暮らしという感じで嬉しい。
2020/06/23火
家の周りの雑草たち
ブタナ。タンポポが綿毛になった後で出てくる第二弾タンポポみたいな花。写真の角度のせいでわかりにくいですが、タンポポよりはるかに背が高いです。
時期がずれているだけでなく、茎が長く分岐してつぼみをたくさんつけるから別物だとわかる。葉っぱも毛があって柔らかく、猫の耳のようだと言われる。タンポポと同じようにコーヒーにできるし、普通に食べれるらしい。
ギシギシ。小型イタドリみたいなタデ科。エゾノギシギシとかナガバギシギシとか色々と種類があった気がするけど、とりあえずギシギシでいいや(投げやり)
イラクサに刺されて痛いとき、ギシギシの葉をもめばいいとイギリスに伝わるそうですが、そもそもイラクサに刺されたくないので試せません。
ついに出てきてしまっはハルジオン。
花びらっぽい白い舌状花が糸のように密についていて、葉が茎を抱いているのがハルジオン。花びらが心持ち太く、葉が茎を抱いていないのがヒメジョオン。鉄道の普及とともに広がった侵略的外来種ですが食用可。
先に咲くのがハルジオン、後から時期遅れで咲くのがヒメジョオン。
ちなみに漢字だと春紫苑、姫女菀。なにげにオンの部分の字も違っていて、何か深い意味があるのか、と勘ぐりたくなりますが、調べてみると謎でした。どうやら、植物の名前が適当につけられて混乱している一例っぽい気がする。
庭ではムシトリナデシコも咲き始めました。去年スケッチしたなぁと思い出す。確か茎にベトベトの部分があって、アリが登ってくるのを防いでるんでしたっけ。
ハマナスが満開
今日も農家のお手伝いに行く途中。風がない湖に映る山陰が見事でした。
農家の庭に咲いていたハマナス。ちょうど満開。親戚にヤマハマナス(カラフトイバラ)とオオタカネバラがあるけれど、この写真みたいな葉が葉脈に沿ってくぼんでいてテカテカしているのはハマナス。
白花のハマナスもありました。
ズミの花がすっかり散って、実がなりはじめていました。この木は先が裂けている葉っぱが多いせいで、ズミだとすぐ同定できます。エゾノコリンゴだとどの葉っぱの楕円形で裂けていないはず。
庭に植えられたものが侵略的に生い茂ってしまったのか、かなり広がってきていたコバンコナスビ。
日本にも自生しているコナスビという黄色い花の親戚で、葉っぱが小判みたいな楕円形だから、こういう名前になったらしい。
その日本に自生しているほうのコナスビは、実が小さなナスビみたいな見た目なのでコナスビと名付けられたようだけど、親戚のコバンコナスビのほうは、実がナスビっぽくないらしい…。植物の名前の行きあたりばったり感が悲しい例のひとつ。
オオバボダイジュのつぼみなど
帰りにちょっと近くの公園の遊歩道を散歩。すっかり目立つようになったツルアジサイ。でもまだこう見えて花は咲いていませんでした。白い花のような萼が目立っているだけで花はつぼみ。
地面を這って広がっていたイワニガナ。タンポポにも似た菊科の花ですが、地面を這う茎と、丸っこい葉が特徴。別名ジシバリと呼ばれるのがよくわかります。
ここでもバイケイソウが群生していました。何十年も生きるというけれど、個体数が多く、示し合わせたように一斉に開花するせいで、それほど珍しい花という印象はないのでしょうね。
ハンノキ(ケヤマハンノキ?)の雌花が実になってきたもの。棍棒のようなトゲトゲしいフォルム。
そして遊歩道脇に見つけた、不思議な木。大きな葉っぱの間から、形の違うヤナギの葉のようなものが伸びている。その下に実のようなものを見つけて、ああシナノキか、と思ったけれど、シナノキにしてはデカい。
葉っぱもこんなに立派で分厚くて光沢がある。大きさからして、おそらくシナノキの仲間のオオバボダイジュでしょう。冬に何度も冬芽を見つけましたが、夏に葉っぱを見るのは初めてでした。
季節からいって、さっきのシナノキの実みたいなものは、実ではなく、まだこれから花が咲くつぼみですね。よーく見ると、丸い実の形ではなく、先がとがったつぼみの形をしているのがわかります。近々咲きそうで楽しみです。
ハナショウブ、いずれアヤメかカキツバタ
その近くに植えられていたアヤメの群生。
いやいや、本当にこれはアヤメなのか?
ハナショウブとアヤメとカキツバタの見分けがまったくつきません。
調べたところ、これはヒオウギアヤメのようです。北海道にも自生しているようですが、この場所は多分計画的に植えられたものでしょう。名前の由来はヒオウギズイセンと同じく葉っぱの形がヒノキの扇みたいだからですね。(ちなみにヒオウギズイセンも名前に反してアヤメである。ややこしい)
アヤメというのは花びらの付け根の部分の模様が網の目のようになっているからついた名前らしい。確かに白黒の網目模様がありますね。
カキツバタだとこの模様がなく白い線が入るだけ、ハナショウブなら黄色い線のようですが、品種が多いため確実な同定手段ではないとか。
一方のこちらは…
アヤメのようですが、Google Lens先生に頼ったらドイツアヤメ(ジャーマンアイリス)のようですね。ドイツの在来種…、ではなくドイツで品種改良されたアヤメらしい。
ほかにも、
カキツバタ(水辺を好む) – ハナショウブ(中間) – アヤメ(乾燥地を好む)
とか、ハナショウブは葉っぱの真ん中に筋が目立つとか、幾つか見分ける方法があるそうです。とりあえず、アヤメは網目だと覚えたので、なんとなくわかりそう。
2020/06/24水
密林を歩く
やっと晴れたので、久しぶりに近所の森を探検してみようと思い、湿地帯のほうの森に行ってみました。ちょくちょく入り口に自生しているヒトリシズカの葉っぱを摘みに来たりはしていましたが、奥まで入るのは12日以来です。
もう圧倒的に密林。
ここのところの断続的な雨のせいで、湿地帯の地面も程よくぬかるんでいて、ミゾソバ、ウマノミツバ、フキ、名前もわからない葉っぱが大群生。
道なんてあってないようなもの。泥に足がハマってきゅぽんと抜ける繰り返し。一応、れっきとした遊歩道のある森なので、底なし沼とかではない。遊歩道を歩いているはずが、管理されていないので密林になっているだけ。
全身防備で顔も網で覆っているけれど、ぬかるみを歩いている最中にアブとかクマバチがたかってきて大変。頭を下げてかがみこんでやりすごす。追跡してくるクマバチはたいていオスなので無害だろうけどあの羽音は怖い。
それ以外にも小さな虫が顔のまわりに10匹はたかっている。顔に網をかぶっているおかげで、まったく不快感はないけれど、その多さにびっくりしてしまう。
腰の高さまで覆っているような葉っぱだらけの湿地帯をやっとのことで抜けて、ズボンを確認すると、マダニを3匹発見。後で森を出てからフードに4匹目。
そのとき、近くの草むらの中から、豚がいななくような奇妙な声がしました。ブホッと鼻を鳴らすような少し高めの声。さすがに鳥ではなさそうだしキツネとも思えない。いったい何? まさかヒグマ? 威嚇するときこんな鳴き方する?
怖いから茂みにほうには近づかず、熊鈴を鳴らして歌も歌って、道なりに進むことにしました。引き返すことも考えましたが、今きた道のほうが茂みに近いし、あのぬかるみをもう一度歩くのは無理。帰りは別ルートがあるので。
ハチとダニと謎の野生動物に立て続けに出会って、一気に気疲れして、密林の真っただ中で立ち尽くす。でも、気分は心地よい。森の多様なフィトンチッドが入り混じった不思議な匂いに恍惚とする。
うっそうとした密林ではあるけれど、この原生の植物が織りなしている多様性のるつぼが大好き。ここにいると心がうきうきしてくる。ただの公園や林道では味わえないから、何度もこうしてここまで来てしまう。
ミドリハコベ?の極小の花と背の高いオニタビラコ?
森の入り口に咲いていた極小の花。下の写真の黒いのはわたしの指です。花の小ささがわかるはず。
肉眼では何の花なのかよくわかりませんでしたが、ルーペで拡大してみたら、すぐにわかります。馴染み深いハコベの顔。
いったい何のハコベなのか。
まず中心の雌しべの先が3つに裂けているので、5つに裂けるウシハコベではありません。ルーペで接写してやっと確認できるほどミクロ!
次に花びらが萼より短いので、シラオイハコベやミヤマハコベではありません。
最後に雄しべの数が4つなので、コハコベか。コハコベの雄しべは1-7個くらい、そっくりなミドリハコベは5-10くらいなので、雄しべが4以下ならたぶんコハコベ。
と言いたいところなのだけど、
コハコベの茎が赤茶色なのに対して、ミドリハコベは茎が緑色という違いがあって、今回見つけたハコベは茎が緑色でした。あれっ?ならミドリハコベ?
ほかにも、コハコベよりミドリハコベのほうが葉っぱが大きめだとか、コハコベの花びらは萼と同じ長さでミドリハコベは花びらが萼より短いといった説明もありました。
雄しべの数以外は、どれもミドリハコベらしい特徴な気がしますね…。どっちだろう?
一方この花は森の中にぽつんと一つ咲いていたキク科の花。見た目からして町の中に普通に生えているような雑草が、森の中までたまたま飛ばされてきた感じでしょうか。ひょろりと茎が長く、1mくらいありました。
こういった見かけの花は全然詳しくないので、とりあえず知っている中から、コウゾリナかなと思って茎や葉を触りましたがねコウゾリ、つまりカミソリみたいな剛毛ではありませんでした。
後で調べたら、オニタビラコではないか、とのこと。花びら(舌状花)の形からしてノゲシではないだろうし、オニタビラコで決まりか。
春の七草のホトケノザ(タビラコ)の近縁でようですが、茎が長く直立するのはオニタビラコのほう。
こうしたタンポポ似の雑草の見分けについての記事があったのでメモしときます。身近な野草だから見分けられるようになりたいところ。
タンポポ風の雑草いろいろ(タンポポ、コウゾリナ、オニタビラコ、ノゲシ、ジシバリ、ヤクシソウ) : 世話要らずの庭
クルマバソウの実とそっくりさんクルマムグラの花
この春、シロップづくりでお世話になったヴァルトマイスター、あるいはウッドラフこと、クルマバソウが実をつけていました。花の時期がついに終わったんですね。
いわゆる引っ付き虫型の実です。付近の植物では、ダイコンソウもこのタイプの実でしたね。
しかし、周りには、もう咲き終わったはずのクルマバソウがまだ咲いている?
実はこれ、クルマバソウではなく、そっくりさんのクルマムグラという花なのだそうです。去年の時点でブログで触れていましたが、今の今まですっかり存在を忘れていました。
のんきなことに、まだクルマバソウが咲いているからコーディアル作りできるかも?なんて思っていましたが、果たして可能なのだろうか?
事実かどうかは不明ですが、一応Wikipediaには、クルマムグラもクマリンを含んでいるような書き方がされていました。(試しに摘んで乾燥させてみたら香りはしたけれど、本当にクルマムグラだったのかは数をこなさないと不明)
違いはというと、クルマバソウは茎や葉が厚く、乾燥させると淡緑色になるのに対し、クルマムグラは茎や葉が薄く、乾燥させると黒色になることだとされていました。
クルマバソウとクルマムグラの見分け方は、まず第一に、クルマバソウのほうが車輪状の葉の枚数が多いこと。写真のように、上から下まで葉の枚数が6枚くらいだったらクルマムグラ濃厚。上のほうが6枚でも、下に10枚くらいついている葉があればクルマバソウ濃厚。
それよりも確実なのは花の特徴で、今回見たクルマムグラをルーペで撮った写真がこれ。比較的花びらが平べったく、折り紙のツルを展開したような平面を組み合わせたような形。
以前に撮ったクルマバソウの花の写真はこちら。花びらがカールしてユリの花みたいな漏斗の形になっていればクルマバソウらしいです。横から撮影した写真があればもっとわかりやすいらしい。
その他、花が咲く時期もちょっとだけずれていて、先にクルマバソウが咲いて、後から少し遅れてクルマムグラが咲くようです。だから、クルマバソウが実になっている今の時期にもクルマムグラが咲いているんですね。
ウマノミツバにとまるアカコメツキや立派なイモムシ
湿地帯の地面を覆っている、何かわからない葉っぱ。アカコメツキがとまっていました。
この葉っぱは、そこそこ大きくてふくらはぎくらいの背丈があります。当初は花の終わったニリンソウだと思いこんでいましたが、今になってつぼみがついているので別物だと気づきました。
ニリンソウの葉っぱは形は似ているものの、この葉っぱみたいな縁のギザギザ(鋸歯)がありませんし、もっと丸みを帯びています。花が終わったニリンソウの葉っぱが急にワイルドになったのかと勘違いしていました(笑)
Google Lens先生が言うにはウマノミツバではないか、とのこと。山道の湿ったところに生える葉っぱだというので、確かにそうかもしれない。花が咲けばわかるでしょう。
巨大なイモムシを見つけてギョッとするも、なんだかとても美しくてつい写真に撮ってしまいました。虫って単独で見ると気持ち悪いけれど、森の中の風景の中に溶け込んでいると「絵になる」というか、怖いと美しいがせめぎ合う感情に襲われます。
果たして何のイモムシでしょうか…。森の中で見た時は美しいと感じましたが、改めて写真で見ると気持ち悪く思ってしまって調べる気になりません…。背景や環境の力ってすごい。
湿地に咲くミゾホオズキとコナスビの黄色い花
湿地帯のぬかるみを歩いているとき、足元を覆い尽くしているミゾソバの三角形の葉に埋もれて咲いている、謎の黄色い花を発見!
初めて見る花でしたが、Google Lens先生のおかげでミゾホオズキだとわかりました。どちらも溝、つまりじめじめしたところの植物。
やはり足元のひっそりと咲いていた別の黄色い花。こちらは昨日見た外来種のコバンコナスビの親戚で、在来種の本家コナスビのようです。
コナスビの花びらは通常5枚なのに、なぜかこの花は花びらが6枚あるところが怪訝ですが、葉っぱの形とか、毛深い茎とか、花の付き方とかはコナスビらしいので、多分合ってるでしょう。花びらが多いのはたまたまかな。
このコナスビは、実が小さなナスビのようだからとこの名前になったそうです。実物を見ることができればいいのですが、実ができる時期にここに入ってこれる気がしません。畑で繁茂している外来種コバンコナスビのほうは、また実の形が違うらしいので、名前がややこしいことになっています。
コタニワタリとクルマムグラの素敵な花束
今まで森を歩いていて、面白いものをたくさん見てきましたが、その中でもひときわ美しいと思ったのが、今日見かけたこのコタニワタリ。
上から見ると、まるで花束のように、コタニワタリの葉がクルマムグラの車輪状の葉っぱを包み込んでいるコラボレーション。森の美しさは多様な植物が共生してリンクしていることだと思いますが、このコタニワタリの花束はそれを象徴するかのようです。
こんな美しい景色に出会えるからこそ、森歩きはいつだってわくわくします。
その他に見つけたもの色々。小さなつぼみ?のようなものが見える特徴的な葉っぱの植物。葉っぱからするとキツリフネのような気がしますが、それだったらこれからもっとつぼみが大きくなるのかな。
ルイヨウボタンの実。六角形の黄緑色の幾何学的な花が懐かしい。
実を接写してみましたが、ネットで調べたら、これはまだまだ未熟な段階のようです。これから青みを増して、ブルーベリーみたいな色になります。
マイヅルソウもすでに実がなりはじめていました。光の加減によっては金色にも見えるこの時期の実。
今はまだまだらの赤色がほんの少し見えているだけですが、もっとまだらが強くなっていき、やがて赤い宝石へと熟していきます。
こちらは多分、クルマバツクバネソウ…かな?
独特な形の花が枯れてかなり無残な姿になってしまい、立派な車輪状の葉っぱも虫食いが目立ちます。でも、名前の由来になった衝羽根の形の実をつけるのはこれから。なんとかその姿を見たいものです。
2020/06/25木-2020/06/26金
2日連続で同じ場所に行ったのでまとめて書きます。
シソ科の有用ハーブのひとつウツボグサの花序
今日は草刈りされているほうの森へ。森の中で小雨が降ってきたけれど、引き返すわけにもいかず、いつものルートをぐるりと回ってきました。
ハーブにもなる有用シソ科のひとつウツボグサ。
花穂になる苞と萼のてっぺん部分が出てきていて、花はこれから。葉っぱを普通に山菜として食べることもできるし、花をハーブティーにすることもできる。
ハーブとして使う際は、この花穂の部分を摘むそうですが、まだ伸び始めたばかりで、時期が早いような気がします。夏の終わりごろに枯れかけて褐色になった花穂が、夏枯草と呼ばれて、漢方に使われるそうです。
この頃、森に入るたびによく見かけるし、林道の脇にも生えてきている、てっぺんから赤い若葉が出てきている羽状複葉の木。若木もたくさんあります。
いったい何なのかひとしきり悩みましたが、葉っぱとか枝に残っている冬芽からしてヤチダモのような気がします。
美味しそうなウドの芽がまだあるから摘もうとしたら花芽でした。もうすぐこれが伸びてきて、あの打ち上げ花火みたいな豪華な花を咲かせるんですね。
イヌガンソク?の胞子葉
この前見たイヌガンソクと思われるシダ。今回は前年度の胞子葉も見つけました。クサソテツ(ガンソク)とよく似ているのだけど、胞子葉が小さいのと、茎に鱗片が目立つことから、イヌガンソクかなと考えました。
ホウチャクソウの実とカタツムリ
ホウチャクソウの葉に極小のカタツムリ。写真を撮ろうと接写レンズを近づけたら、殻の中に頭を引っ込めてしまいました。
小指の爪の幅の半分くらいのサイズ。こんな小さな生き物まで精巧に造られている。
そのホウチャクソウ葉をめくってみたら、双子の実がついていました。
たしかそホウチャクソウの実は青色なので、これからまだ色が変わっていくのかな。
その近くにいた真っ白な蛾シロヒトリ。
近縁種に害虫呼ばわりされている外来種アメリカシロヒトリがいますが、北海道には分布していないようだし、アメリカシロヒトリは足まで白いことが特徴らしいので、今日見たものは国産の無印シロヒトリでしょう。
ヤマグワの実とチョウセンゴミシの実がなり始めていた
ヤマグワの実がたくさんなり始めている木を見つけました。こんなところにヤマグワがあったとは知らなかった。けっこうたくさんある木ですが、実をつけるシーズンでないと見つけにくいですね。熟して黒っぽくなるのは8月ごろか。
はっきり言って、どう見たって気持ち悪い見た目で、何も知らなければ食べようなどと思えない。だけど、去年食べさせてもらったので、今では美味しそうに見えてしまう不思議。
この前見つけたコクワ(サルナシ)と思われる木の花が開きかけていました。
見えている部分は雌しべ? マタタビみたいな花だと思うのだけどイメージできない。そもそもこれコクワであってるのか。
そして、次の日に同じ場所に行ったとき、コクワの木のすぐそばに見つけた謎の実の房。こんな房のような実がつくとしたら穂状の花? でもツル植物で穂のような花が咲く植物ってあったっけ?と混乱。
でも、ふと葉っぱに注目してみると、どうも見覚えがある。特にこの葉っぱの縁の小さなトゲのようなギザギザ。これはチョウセンゴミシの葉っぱ!
だけど、チョウセンゴミシの花って、コクワやマタタビのような1輪ずつ独立している花で、穂のような花じゃない…。でも調べてみたら、意外や意外、確かに1輪の花なのに、こんな房のような実ができるらしいです。
いったいどうやってそんな変化を遂げるのか、と不思議だったけれど、ネットで調べていて見つけたこの記事の写真で合点がいきました。雌花の中心の雌しべのあたりが受粉したらベリーみたいにつぶつぶになっていくようです。
そういえば、ワイルドベリー系も、ひとつの花なのに、つぶつぶがいっぱいついた実に成長するわけなので、花の外見からすぐ実のなり方がわかるわけじゃないんだな、と勉強になりました。
エゾイチゴの地味で小さな花と、山菜のミツバ
そのワイルドベリーのひとつ、エゾイチゴ(ラズベリー)の花も咲いていました。
とても小さくて地味。花が終わりかけなのかと思ったら、これがちょうど咲いている状態っぽい。
接写レンズで観察してみてやっと、どんな花なのか目視できるレベル。
背景が黒いのはわたしの手袋です。図鑑に載ってるのもこんな写真なので、もっと大きい花なのかと誤解していましたが、実物はこれほど小さいのですね。指の先ほどの大きさしかありません。
面白いのは花びらが申し訳程度にしかついていないこと。ネット上の写真で見ても、5枚すべてついているのはまれで、あったとしても目立ちません。おかげでイチゴらしい星型の萼のほうが花びらに見えてしまいますね。
ところで北海道にはラズベリーが色々ありますが、エゾイチゴは葉っぱが3枚セット(まれに5枚)で、真ん中の1枚だけ柄がついている独特な形です。この形は、今の時期に採れる山菜のミツバとよく似ています。
ちょうどミツバとエゾイチゴがすぐ近くに並んでいる場所がありました。よく目立つ上の2つの葉のうち、左側の3枚セットの葉がミツバ。右側の3枚セットがエゾイチゴ。そのほか、まわりにたくさんミツバが生えているのがわかります。
葉っぱの質感は全然違いますが、左右の1枚が向かい合って、真ん中の1枚が突き出ているという3枚セットのパターンが同じです。この時期、植物が一気に増えて見分けにくくなってきますが、葉っぱの形のおかげでよく目立ちます。
山菜のミツバは、今の時期は無限に生えているので、今日のおかずに摘んできました。特に癖もないので物足りない気もしますが、気楽に食べれる野草です。
地味なヤマブドウのつぼみ
地味な花つながりで、ヤマブドウの花も発見。最初、何かの実だと思ったけれどかなり雨脚が激しくなってきて急いでいるところだったのでとりあえず写真だけ。
後からダメ元でGoogle lensで調べたら判明。こんな適当な写真でもわかるなんて画像検索技術すごすぎる。
言われてみれば確かにブドウの葉っぱ。ヤマブドウはとても特徴的な幹をしているから、もっとちゃんと観察すればわかったでしょうが、焦っていたから仕方ない。
驚いたことに、調べてみたら、これはヤマブドウの実ではなく、花らしいことがわかりました。時期的に6から7月に咲くらしいのでつぼみかもしれない。
次の日、改めて同じところに行って、今度は時間をかけて観察してみました。
高いところだったけれど、遊歩道脇に土手に登って接写もしてみましたが…
これはつぼみで合ってるの?
ヤマブドウの花なんかに興味をもつ人はほとんどいないみたいですが、貴重な写真を載せてくださっている記事を参考にした限りでは、つぼみのような気がします。このピーマン型の覆いが取れたら花になるらしい。
雄花か雌花かは、覆いの役目を果たしている部分が取れてみないとわからないようなので、引き続き、足を運んで観察したいです。
ところで、森の中を歩いていると、先週くらいから、「ウア↑オー」と角笛みたいな声がします。言葉でうまく表現できませんが、軍隊の戦闘準備を知らせる時に鳴らされる音みたいな。鳥の鳴き声? それともシカ?
追記 : アオバトの鳴き声だとわかりました。姿は見たことがありませんが鳴き声はとても頻繁に聞こえます。ツツドリと似たようなポジション。
シカの求愛の声(ラッティングコール)とほんの少し似ている部分もありますが、あちらの季節は秋ですし、もっと悲鳴じみた雄叫びですね。
ウワミズザクラとネグンドカエデの実
近所の公園に寄って見つけたウワミズザクラの実。
こちらはネグンドカエデの実。花が奇妙な形すぎて衝撃的でしたが、中間状態を見ないまま実になってしまっていた…残念。
2020/06/27土
かつて飲んだ漢方薬の元になった植物に出会う感動
森を歩いて様々な植物を覚えていると思いがけない出会いがあります。たとえば、去年の秋には初めてチョウセンゴミシの赤い実を見つけました。調べてみたら、わたしがよく処方された人参養栄湯に含まれている生薬なのだそうです。
サラシナショウマの青い実も見つけました。この植物の根は、慢性疲労症候群の治療で有名な補中益気湯に含まれています。
ほかにも、猛毒トリカブトもよく見かけます。春には山菜のニリンソウやヨモギとの見分けに神経を使いますが、ごく少量が加工されて生薬の炮附子として処方されています。わたしも煎じ薬で飲んだことがありました。
正直にいうと、こうした漢方薬はどれもわたしには効きませんでした。製剤の処方だけでなく、本格的な煎じ薬も試しましたが、どれも体調の根本的な改善にはつながりませんでした。
でも、今までただの処方薬の「製品」にすぎなかったものを、自分の足で歩き、目で観察し、手で触れる実体験で知り、森の中に自生している本物の姿に出会うと、とても感動します。
これこそソマティック・エクスペリエンスだと感じます。
森の中に生えている様々な植物は、コーディアルやハーブティーにして楽しむこともできます。わたしが回復できたのは生薬を服用したからではなく、本物の自然を身をもって味わったからです。
植物や自然界が健康にもたらす効果は、単なる栄養成分のみではありません。森に充満するフィトンチッドの複雑な香りや、視覚や聴覚に対するフラクタルな刺激、全身のすべての感覚が関係しています。
自然から隔絶された環境に住んで、精製されたエッセンスだけを薬として服用するより、自分で本物の森を歩き、もともとの植物を採集し、味わうというアイヌ民族やネイティブアメリカンのような暮らしのほうが、よほど恩恵を受けられると感じています。
生き物として不自然な環境に住み、毎日異質な刺激に浴しながら、ごくわずかな自然界のエッセンスを服用するより、全身で自然界に浴し、あらゆる感覚を通して健全な刺激を取り入れることが必要なのでしょう。
近くの公園で野草観察
一日じゅう雨で森に行けなかったので、近くの公園で野草観察。
ノハラムラサキと思われる小さな花。花が散って実になった部分が、ナズナのぺんぺん草のように残っています。キュウリグサにも似ているけれど萼の部分が毛深いことで区別できます。
ワスレナグサ、ノハラワスレナグサ、在来種のエゾムラサキは花が大きめで1cm弱あるのに対し、キュウリグサ、ノハラムラサキは花が3mmくらいしかなく極小。色々似ているのが多くて区別が難しい。
イヌガラシの仲間。たぶんヨーロッパ原産の外来種キレハイヌガラシと思われる。葉っぱが写っていませんが、近くに羽状複葉みたいなギザギザした葉がありました。
よくあるアブラナ科の黄色い花でした。
ヒメスイバ。去年見分けられるようになった雑草。食べることも可能らしい。
接写してみるとなかなか可愛い花。
これも去年名前を知ったアカバナの仲間。名前の由来は茎葉が赤く紅葉していくことから。確か種類は色々あったと思うけれど、詳しく調べる気が起きません…。とりあえずアカバナでいいや。
コブシとツルウメモドキの実がなりはじめていた
コブシの実。ホオノキの小型版。
ツルウメモドキも花が散って実が膨らみ始めていました。
2020/06/28日
ハシドイが開花。ライラックの1ヶ月遅れ
大雨なので、引き続き家の近所の野草とか植栽樹を見て楽しみました。
ハシドイの花が咲いていました。近縁種のライラックからちょうど1ヶ月遅れです。
花の形はライラックとよく似ている4弁花ですが、ライラックよりはるかに小さく、接写レンズで撮ってやっとはっきり目視できます。わたし派手な花より控えめで可愛らしいほうが好きです。
何かのつぼみ。Google Lens先生に訊いたらバイカウツギではないか、とのことで、確かに葉っぱがそれらしく見えます。花が咲いていなくてもわかるなんてすごすぎる。本来北海道には分布していないようですが、公園に植樹されています。
シャクヤクとラベンダー
シャクヤクの巨大な花。
「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花」の格言にあるように、すらりと上を向いて咲くのがシャクヤク、横向きに咲くのがボタン。
けれども、この写真のは、もう咲いてからかなり経ってるいのか、「立てば芍薬」ではなくなっています。
ボタンとシャクヤクの違いなんて考えたこともありませんでしたが、同じ仲間とはいえ、ボタンは低木、シャクヤクは草と全然違うんですね。タラノキとウドみたいなものと考えれば(わたしにとっては)わかりやすい。
また葉の形も、ボタンのほうは先が幾つかにわかれますが、シャクヤクは写真のとおり普通の形状。ボタンの葉の形なんて知りませんでしたが、最近、在来種のルイヨウボタン(牡丹に葉の形が類するという意味)を観察して知りました。
カラマツソウからカラマツの葉の形を知ったり、トチバニンジンからトチノキの葉の形を覚えたり、昔の人が覚えるためにつけた名前を逆にたどるという不思議なことをやっています。
ラベンダーのつぼみ。北海道といえばラベンダーなイメージを持っていましたが、思いっきり外来種なので、ラベンダー畑とか公園とかにしか生えません。
よくわからない形の花ですが、こう見えてシソ科の仲間。さすがハーブといえばシソ科。有用植物がとても多い。
チシマザクラ、ヤチダモ、プラタナス、トチノキの実
チシマザクラの熟した黒い実。去年までは何の実かわからなかったけれど、今年はチシマザクラの花が咲いているときに見分けました。
ヤチダモの実がたわわに。ついこの間葉っぱを出したばかりなのに、ものすごいスピードで実までつけてしまいました。メリハリのある生活に見習いたい。
プラタナス(モミジバスズカケノキ)が、今年の鈴をつけていました。冬に枯れてからの姿のほうが印象深いかも。
トチノキの実。こちらも豪華な花が散って、栃の実がなりはじめていました。花穂の下のほうばかりに実をつけているということは、上のほうは雄花だったんでしょうか。木も自分の資力に合わせて実をつける量を調整しているのかな。
2020/06/29月
シマヘビに遭遇
車で田園地帯を走っていると、道路のど真ん中にシマヘビがいました。豪華な模様からしてアオダイショウの幼蛇かな?とも思いましたが、顔のところのしま模様から、シマヘビだと判別できます。
実は北海道に引っ越してきてから、蛇を見たのはこれが初めて! 虫も両生類も爬虫類も苦手ですが、森歩きのおかげでちょっとは慣れたので、車を停めて近くで写真を撮りました。
このままでは轢かれてしまうかもしれないので、道路脇まで追い立てる。するとと、体をくねらせながら這っていきます。その時の流動体のような模様の美しさと言ったら!
動いているヘビってフレーザー錯視みたい。実際以上に動いているように錯覚します。ヘビの柄ってそういった視覚効果を狙っているものなんでしょうか。
ハマナスやブルーベリーの実がなり始めていた
それから友だちの農家のお手伝いに行って、庭の植物をちょっと見せてもらいました。まずハマナスのローズヒップ。このトマトのような横楕円形の形がハマナスの特徴でした。球体だとヤマハマナスで、縦楕円形だとオオタカネバラ。
次はブルーベリーの実。ちょうど花と実の中間段階の色と形をしています。ブルーベリーは、ドウダンツツジの親戚なので、ツボ状の花を咲かせ、それがこのような中間段階を経て実になっていくようです。
庭に咲いていた、見慣れない紫色の花。Google Lens先生で調べると、ムラサキツユクサという外来の園芸植物だそうです。名前のとおりツユクサの親戚ですが、花も葉も似ても似つかないので思いもよりませんでした。
セリ科のミツバの極小の花、エゾニュウの巨大すぎるつぼみ
先日森の中で見たミツバは食べごろでしたが、友人の庭のミツバはもう花を咲かせていました。ミツバの花を見たのは初めてですが、「ミツバゼリ」とも呼ばれるとおり、セリ科の花なんだなとわかります。
後で道ばたで見たエゾニュウもセリ科ですが、同じ仲間と思えないほど大きさが違います。すでに3mはあろうかというサイズで、つぼみも人の頭くらいある怪物級の大きさ。夏が来るたびに何エゾニュウの巨大さには圧倒されます。
オオバボダイジュとツルアジサイが咲き始めた
それから、帰りに寄った遊歩道のある公園。前にアヤメやジャーマンアイリスを見たところ。
先日つぼみを発見したオオバボダイジュは、ほんの少しだけ咲き始めていました。30個のつぼみのうち1個咲いているかどうか、というくらいの割合で、本格的に開花を見れるのは来週になりそうです。
ツルアジサイがついに花を咲かせ始めていました。
ピンクのオニシモツケ、ヒメヘビイチゴ、ハナニガナの花
ピンク色のオニシモツケ。近縁種で小型のエゾノシモツケソウはピンク色が多いみたいですが、オニシモツケもピンク色の花を咲かせることがあるんですね。白色ばかりだと思っていたので思いがけない出会いでした。
湿地に生えていた謎の黄色い花。後で調べてみたらヘビイチゴだとわかりました。言われてみれば、イチゴのようなものが写真に写っていた! 現地ではじっくり観察する暇がなかったから気づかなかった。
正確にはヘビイチゴではなく、ヒメヘビイチゴという種類のようです。ヒメヘビイチゴは、ヘビイチゴとはかなり違う特徴をたくさん持っている種類。
写真のように葉が少し丸みを帯びて可愛いらしく、葉脈はあまり目立たない。萼は5枚だけど、副萼片が萼とほぼ同じ大きさなので、10枚そろっているように見える。そして最大の特徴は赤く熟さないこと。写真の右上に写っている茶色い実が熟した実で、食べてもおいしくないそうです。
ヘビイチゴは、バラ科キジムシロ属の花の仲間ですが、このキジムシロという植物は、花はヘビイチゴにそっくりなのに、目立つ実はつけません。実をつけないキジムシロと実をつけるヘビイチゴの中間的な植物がヒメヘビイチゴのようです。
その近くに咲いていたキク科の花。ブタナにも似ていますが、ブタナほどタンポポのような花ではありません。オニタビラコのような花の形ですが、オニタビラコのようなギザギザしたタンポポ系の葉っぱでもありません。
軽く調べた感じでは、おそらくハナニガナのようです。ニガナというと、先日、このすぐ近くでイワニガナ(ジシバリ)を見ましたが、あれはもっと背が低い。
本家ニガナは、ハナニガナとよく似ていますが、もっと花びら(舌状花)が少ないようです。葉っぱはニガナもハナニガナもよく似ていて、先のとがった二等辺三角形で茎を抱くようについています。
謎多くややこしいタンポポ似のキク科も、少しずつ覚えてきました。
家の中にカエル侵入事件
夜にハリエンジュのシロップでも飲もうかと思って冷蔵庫に近づいたら、足元に黒い塊がある。ゴミかと思ったら動いた!? カエルだー!!
友だちの畑から収穫してきた無農薬野菜に、カエルがまぎれこんでいたようです。幸い、小型のエゾアカガエルなので、ゴルフボールくらいのサイズ。
といってもわたしは素手でカエルを触れないので、とりあえず農作業用の革手袋をはめ、ビニール袋を構えて捕獲作戦。冷蔵庫の下に入り込んでしまってあせりましたが、掃除用モップで追い出して、なんとか誘導成功。
カエルは無事、家の外の草原に帰っていきました。…が、考えてみれば友人の畑とは環境が違うので、すぐに鳥に食べられてしまったかもしれない。申し訳ないことをしました。
かなりびっくりしましたが、虫も触れなかったわたしが、随分たくましくなったものです。手袋着用で腰が引けているので、まだまだかもしれませんが。
カエルがいるというのは環境が汚染されていない証拠。森の中でも頻繁に見かけるし、これからも末永く共生することになるでしょうから、今のうちに慣れておきたいです。
2020/06/30火
初めてクマを見たのにドライブレコーダーが壊れてて最悪
最悪です。初めてヒグマを見て、しかも子グマだったのに、ドライブレコーダーが壊れて記録されていませんでした。
いつも走っている森の近くの林道を走っていたとき、かなり先の道路の左端に、こげ茶色の塊があるのが見えました。前にシロップづくりのためにエゾマツの新芽を摘んだ場所あたりで、エゾマツにマタタビがたくさん巻き付いている。
とっさに、もしやヒグマかも?と思ってスピードを落としましたが、停止してカメラを構える間もなく、慌てて背を向けて四足で両足とびのように走って左の森の中に消えていきました。30mくらい距離があったかと思います。
大きさからして子グマだろうと思いました。もこもこのテディベアみたいでとても可愛いかった!
だけど、子グマだということは親グマも近くにいる可能性大。前日にここから数キロのところでヒグマが目撃されていたので、この子グマの親だった可能性ねありそう。
こっちは自動車に乗っているからほぼ安心だとはいえ、それ以上刺激しないよう、そのまま走り抜けました。どうせドライブレコーダーに写ってるし、と思っていた。
キツネやタヌキ、ウサギと比較してかなり警戒心が強いようで、こちらが目視できるようになってすぐ逃げてしまったので、ドライブレコーダーに写っているとしても黒い点が動いているくらいの不鮮明な映像だったでしょうが、記録にはなります。
ところが! 帰宅して駐車してドライブレコーダーを確認すると、画面が焼き付いて止まっている。嫌な予感がしつつ、SDカードを取り出して持ち帰ってみたら、ちょうど帰路の道中だけ写っていませんでした。
破損している動画ファイルもあったのでネット上の情報を参考に頑張って修復してみましたが、クマに出会う直前くらいで動画が途切れていました。こんなピンポイントで壊れることってある?
あのときすぐにSDカードを取り出さないほうがよかったのだろうか。でも画面が焼き付いていたので、ちょうどクマが出たあたりからだけ撮れていませんでした。直近の動画ファイルだけでなく、数回分が撮れていなかったので、SDカードを抜いたせいだとは考えにくい。
画面の焼き付きも電源を無理やり落とさないと消えなかったし、いまだに壊れたままです。
しかもSDカードの中身を見たら、日付が2030年になって消去されずに残っている動画ファイルが幾つかあったりしたので、以前からバグっていたぽい。ドライブレコーダーの故障に気づけたのは不幸中の幸いか。
子グマを見れたのはとても嬉しかったし、自分の心の中にははっきりと記憶が残ったけれど、誰かにこの話をしようにも、証拠写真がないのが悲しすぎます。
もちろん、クマに遭遇したら、写真なんて撮っている余裕はないし、これから遭遇することがあっても、命の危険のある状況でカメラを構えるなんてことはしません。だからこそドライブレコーダーが撮ってくれる今回のような状況は千載一遇だったのに…。
まあ、クマに遭遇したけれど、身の危険がなくてよかった、ということを喜んでおくことにしましょう…。自動車ならともかく、徒歩のときには絶対に出会いたくないし、出会わないよう気をつけないといけませんね。
初めて見た! ラン科のクモキリソウ
森の中でミツバ摘みをしながらゆっくり歩いていたら、緑色の不思議な形の花を見つけました。つぼみかと思いましたがよくよく見ると明らかに咲いている花です。
こういった地味な花は見つけたらすごく嬉しくなってしまうもの、興奮してたくさん写真を撮ったおかげでピンとはバッチシ合っています。帰ってからGoogle Lens先生で調べると、今日まで見たことも聞いたこともなかったラン科のクモキリソウという花だとわかりました。
クモキリソウという名前の由来については諸説あり、節足動物の蜘蛛なのか、大気の雲なのかもわかっていない様子。個人的には、雲霧草とかだったらロマンチックだなぁと思います。おおかた蜘蛛のほうな気はしますが。
特に珍しいランではないようで、ここ道北ではサイハイランやノビネチドリと並んで頻繁に見かけるレベルのようです。でもそれら2つと違って地味すぎる花なので、注意深くないと見過ごしてしまうでしょうね。わたしは割と地味な花を見つけるのが得意です。
その近くに少し時期遅れのサイハイランも盛大に咲いていましたが、同じランといえども、派手さには雲泥の差があります。
ヤマブドウは雌花?
先日つぼみを観察したヤマブドウが咲いていました。咲いてもとても地味ですが、なんとか土手をよじ登って、近くで撮ることに成功しました。
接写してはじめて、花が咲いているのが確認できます。中心にある5弁のユリのような緑色の花がヤマブドウの花。
ヤマブドウの雄花と雌花の見分け方がよくわからないのですが、両方の画像を載せてくれている記事を見ると雌花なんでしょうか。雄しべみたいなのが写っていますが、機能的雌花なのかな? 経験不足です。
色づき始めたマイヅルソウの実の群生
ウツボグサやホザキシモツケが咲きました
咲き始めたウツボグサ。これからがハーブとして摘むシーズンです。香りはちょっとあるように感じましたが弱いかな?
道中で見かけたホザキシモツケ?と思われるピンクの派手な花。ただのシモツケソウではなさそうですね。
道ばたの側溝の奥のやぶに生えていたので近づけませんでした。仕方ないので望遠レンズで撮ってみました。止まっているチョウはヒメウラナミジャノメでしょうか。
今日は帰ってから、友だちに見せるために、エゾニュウについての話をまとめました。先日エンレイソウについてまとめた続き。植物が身近になるたびに学べることが増えます。
6月のまとめ
今日で今年も半分が終わりました。予測不能な出来事が多い2020年は、目まぐるしい日々だったようにも感じますし、思うように事態が進展せずじれったい日々だった気もします。
いわゆる「経験する自己」においては時間が経つのが遅いのに、「記憶する自己」においてはあっという間に過ぎ去ったようにも感じられるという、2つの自己認識の乖離がはっきりしていました。
時が過ぎるのが遅く、じれったく感じられる日々には、自然観察に集中することで、前向きな考え方を保つことができました。今月は松山湿原に2回通いました。密林なった森を歩きましたし、何より最後の最後で初めてヒグマを見かけました。とても充実した1ヶ月でした。
世界に目を向けると、コロナウイルスの流行が加速していて、アメリカでも一日の感染者数が過去最多を記録しました。アフリカや南米ではすでに食糧危機が起こっています。シベリアで長期間高温が続いており、地球環境も瀬戸際です。それなのに、人々は国家主義や人種問題で分断されたままです。
かねてから、次に大きな進展があるとしたら7月以降ではないか、と予想してきました。最近の国際社会のニュースからすると、7月20日以降から9月3日のどこかかなと思います。遅くとも、11/2のアメリカ大統領選挙に影響する期間(7から9月期)には大きな動きがありそうです。
何かあるとしても、おそらく状況がよくなることはないでしょう。見せかけだけの平和と安全にすぎないかもしれません。2020年のこれまでを振り返っても、予期しないことが起こることを予期すべきなのかもしれません。
7月と8月は、私的なスケジュールのほうもかなり忙しくなるので、ようやくじれったさから解放されそうです。この期間中に、自分が何をすればいいのかよく見極めて、悔いの残らないように過ごしたいものです。
6月の日記はこれで終わり。7月の日記はこちら。