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もくじ
2020/09/01火
今ごろ咲いていたセリの花
いつもの習慣で窓を開けたまま寝たせいで、今朝の寝覚めは最悪、非常に体がだるかった。10℃くらいまで冷え込む日に窓を開けたまま寝るのは自殺行為でした…。
多少寒くても、虫の音が聞こえるほうがリラックスできていいかな、と思ったのですが、気温変動を甘く見てはいけませんね。でも明日からまた最低気温が高くなるので調節が難しい。
体調は悪かったですが、ここ2日ほど最低気温が10℃付近まで下がったので、もしかしてハナイグチが出ているのでは?と期待してカラマツ林に出かけてみました。
まず、森の入り口の渓流沿いに見慣れない花を発見。どうもセリ科の花のようですが、背丈がとても低い…。これってもしやセリそのもの!?
セリという植物を見たことがなかったわたしは、春に咲いていたセリ科のセントウソウという花をセリと勘違いしましたが、葉っぱの形が全然違うと学びました。
セントウソウの葉は先っぽがギザギザに裂けますが、本家のセリの葉は、あまり細かく裂けません。同じセリ科の山菜のミツバが、別名「ミツバゼリ」と呼ばれるように、葉の形はミツバの葉とよく似ています。
今日見たこの花の葉っぱは、一枚一枚はたしかにミツバの葉っぱのような形です。ちぎって匂いを嗅いでみると、ミツバと同様、セリ科らしい爽やかな香りがしました。ドクゼリではなさそうなので、たぶんセリなのでしょう。
花の写真もアップで撮ってみましたが、とても長い雄しべが目立っていることからしても、やはりセリの花のように見えます。やがて雄しべが落ちて、雌しべの柱頭が長く突き出すらしい。
セリというと「春の七草」として有名なので、てっきり花も春に咲くと思っていました。だからこそ春に咲いていたセリ科セントウソウをセリだと勘違いしたのですが、意外にも、本家セリが咲くのは7から8月だそうです。
今は9月1日なので、微妙に花期がずれている気もしますが、他に候補らしき花が思い当たりません。てっきり道北にはないものかと思っていたのに、夏の終わりに、意外な場所でセリに遭遇するとは面白いものです。
ハナイグチがたくさん出てた!
さて、出かけてきた目的はハナイグチでしたが、森に入ってすぐ、入り口近くのポイントに、早くも大量のハナイグチを発見!
この場所はじつは、ちょうど1ヶ月ほど前の8月初めに今季初のハナイグチを発見した場所でもあります。やっぱりあのときのハナイグチは集団の中でも特にそそっかしい個体だったようだ。
カラマツ林のやぶの中の狭い場所なので、ちゃんと全体像を見れませんでしたが、もしかすると菌環(フェアリーサークル)状に生えていたのかもしれませんね。
写真にも写っているように、幼菌が大半でしたが、しっかり傘が開いたどらやき型のハナイグチが2つほどあったので、判別は容易でした。
傘の裏側を見ると、ひだはイグチらしいスポンジ状。色ははっきりとした黄色。そして、幼菌を見ると、膜状のつばの痕跡も明らか。石狩振興局のサイトの説明と照らし合わせても、ハナイグチであることは間違いなさそうです。
前回のときにも書いたように、ハナイグチと特に似ているキノコとしては、チチアワタケ、ヌメリイグチなどがありますが、しっかりつばが確認できるからチチアワタケではないし、柄の色や模様からヌメリイグチでもなさそうです。
どのみちこれらのキノコは、いずれもしっかり加熱して食べれば食用可なので、初心者にも比較的安全ですね。(チチアワタケは軽い中毒の例もあるそうだけど)
まだかなり小さいのは明日以降に残しておいて、そこそこ傘が開いたのを7本ほど収穫してきました。スライスしたじゃがいもと一緒に焼いたら、旨味が出て美味しかったです。
そういえば、森の中に、こんなにスパッときれいに割られたオニグルミの実が。
どうやら、ネズミは殻をかじって穴を開けるのに対し、リスは真っ二つに割るらしいので、これはシマリスかエゾリスが食べた跡なのでしょう。以前にカラマツの実のエビフライも見たし、やはりこの森にもリスはたくさんいるようです。
2020/09/03木
暑すぎて頭痛がひどい
植えてもいないのに、去年のこぼれ種から、庭にカボチャができました。
本日は最低気温で気象庁の統計ベスト10入りしているにもかかわらず、最高気温は31℃。道北らしい極端な寒暖差のため、自律神経がついていけず、頭痛がひどい。
(そういえば、去年もこの時期、非常に体調が悪かった記憶があるので、何かの花粉症かもしれない。去年は、ヨモギ・ブタクサを疑ったが、古い検査記録を見たところ、それらのアレルギーはないとのことだった。しかし他の何かのアレルギーではないかと思える)
でも、二日前に見つけたハナイグチの残りを採取したかったので、マツの人工林にでかけました。一度寒くなったからか虫はほとんどいないし、人工林とはいえ景色もすばらしいのですが…
いかんせん暑い。暑くてフラフラして、熱中症で倒れそうだったので、ハナイグチを探すだけにとどめて、すぐ帰ってきました。森林浴は体にいいけれど、暑くなければ、という条件付きだということを思い知りました。
肝心のお目当てハナイグチは、先日見かけた場所に15本くらい生えていたので、傘が少し開いているものを中心に10本弱採取してきました。暑すぎて朦朧としていたせいで、生えている姿を写真に撮るのを忘れたので、料理前に撮ったものを載せときます。
このあとお味噌汁の具にして美味しくいただきました。
今のところ、なぜかこのスポットだけハナイグチがたくさん沸いて出ているのみで、他のカラマツの根もとには1本だけしか見つかりませんでした。もっとやぶの中まで探せばきっとあるんでしょうけどね。
このスポットは、先月初頭にはもう生えていたくらいなので、そそっかしい早生のハナイグチが多めなのかもしれません。
帰り道、トドマツ林で見かけた黄色いまんじゅうのようなキノコ。いったい何の幼菌だろうか。図鑑をパラパラめくったところでは、こんな色をしているのはウコンハツ、キサマツモドキ、ヒメアンズタケあたりでしょうか? 幼菌の写真がないとわからない。
カタツムリ2匹。
ヤマブドウが不作な一方で、前にも見たサルナシ(コクワ)は豊作です。他の森でもこれくらい豊作なのだとしたら、ヒグマたちも好物にありつけそう。でも触ってみたら、まだ固くて食べごろまで一ヶ月くらいありそうでした。
ツルニンジンの花はもうすっかり消えてしまって、いくつか実ができているのみでした。さらっと見た限りでは、あれほど花が咲いていたのに、実はちょこっとしかなかったように思えました。
森の地面にびっしり生えていたゲンノショウコは、そろそろ花も終わりかけで、実になっていました。この不思議な形の実がピロピロっと剥けたら、ゲンノショウコの別名ミコシグサらしいお神輿っぽい姿になります。
せっかくだから、ゲンノショウコも少し摘んで帰って、干しておくことにしました。ものすごく暑くてフラフラだったけれど、ハナイグチをおかずにゲンノショウコのお茶も楽しめて幸せです。
この暑さは予報によると、なんとあと一週間も続く見込み、しかし新潟では40℃を記録したといいますし、沖縄・九州には猛烈な台風が迫っています。
もはや30℃が一週間続くことくらいささいなことなのかもしれません。道北はまだ、そこそこ普通の生活を営めていることに感謝すべきなのか。
2020/09/06日
家の前のネジバナは種に、森のネジバナは巨大に
あまりに暑くて、昨日と一昨日は家で作業していましたが、家にいるのも暑すぎるので、今日は森に出かけることにしました。
完全装備でなければ森はさほど暑くないはずだけど、気温が上がると虫が増えるので、完全装備が必要というジレンマ。
それでも、いくら真夏でも最高気温30℃の道北は、まだなんとか我慢できる範囲。自然の多いところでも、四国とか東京郊外に引っ越さなくてよかった。あっちはヤマビルもいるから尚のこと夏は森に入れなさそう。
さて、出かけるときに、ふと家の前の草地にネジバナが大量に群生していたことを思い出したので、見に行ってみました。一ヶ月くらい前に、ざっと見渡した限りでも20本は優にありそうなほど生えていた場所。
7月ごろ、3本ほど並んで咲いていたことを日記に書きましたが、何のことはない、ちゃんと観察してみると、庭一帯に大量に生えていたのでした。
今日見に行くと、すっかり花は終わって、実ができていました。今まで花のシーズンにしか目を留めていなかったので、実を見るのは初めての経験。
他にも穂のような花や実をつけているヒメスイバなども混じっていましたが、ネジバナは花と同じように、実も螺旋状に巻いてついているので、すぐに判別できました。
大量に群生しているので、まだ花が咲き終わってすぐのものや、
実が膨らんですぐの、まだ青々としているもの。
実がついてからしばらく経って、枯れて茶色になっているものなど、様々な段階を観察できました。
この水気を失って茶色くなったものを、指でもぎとって、手のひらの上でつぶしてみると、中から種らしきものがたくさんこぼれてきました。20倍ルーペで撮って、やっと視認できるレベル。
詳しく観察しているサイトによると、0.3mmくらいの大きさらしいので、顕微鏡でないと観察できませんね。道端に雑草のように生えているとはいえ、さすがラン科の植物です。
こうして、ネジバナの実や種も見れて、今日もよい経験ができたと満足していたのですが、そのあと、森を歩いているときに、かなり奥のほうのキノコ地帯で、謎のピンク色の花を見かけました。
全体像を撮ると、どうしてもピントが合わなかったので、一枚目はぼけていますが…
草丈40cmくらいはあるでしょうか。今までに見たことがない珍しい花ではないかと思って近づきました。花も大きいので、前に見たオトメイヌゴマあたりを思い出しましたが…
よくよく見てみると、花が螺旋状に巻いている! 今回のは左巻き(S巻き)ですね。ということは、なんとネジバナだったのか!
去年も庭で大きめ(おそらく30cm弱)のネジバナを見かけて、妙に大きくて印象に残ったというのに、それをさらに上回るサイズ。
しかし、あまりに大きいから、「オオネジバナ」とでも名付けられたネジバナ亜種があるのか調べてみましたがありませんでした。その代わり、ネジバナの花穂は10~40cmになるという情報を発見。最大サイズのネジバナだったんですね。
サイズが大きいから、花も見応えがありました。ちょうど、同じ森で見かけた、オオヤマサギソウ(40~60cm)やエゾスズラン(30~60cm)などのラン科を観察しているのと同じ感覚で写真を撮れました。
ネジバナの花って、こんないかにもランの仲間らしい形をしていて、唇弁も白いフリル状になっていて、可愛らしい造形だったのだ、と初めて気づきました。いつもはねじ巻きが特徴に地味な花くらいにしか思っていなかったのに。
こちらの角度だと、側花弁が白っぽいネコ耳みたいになって愛らしい。
森の中では日光を求めて伸びるのか、ヨブスマソウやイタドリがやたらと巨大化するイメージがありますが、まさかネジバナもこんなに大きいとは。ネジバナの場合は日光は関係ないので、共生菌が元気なのだろうか。
色鮮やかで美しいヒメベニテングタケ
今日も暑いにもかかわらず、キノコをたくさん見かけました。相変わらず名前はほとんどわかっていませんが、メモ代わりに写真を残しておきます。暑くて虫がまた大量発生していたせいで、念入りに観察することはできませんでした。
まず、何をおいても記録しておきたいのがこのハイビスカスのような色合いと質感の派手なキノコ。おそらく、ヒメベニテングタケではないかと。
まず、色合いと形からして、タマゴタケに似ている感じもしますが、サイズがかなり小さめでした。高さは10cmくらいだったでしょうか。
小さいキノコなので、その場ではテングタケ科だとは思わず、とても色がきれいなキノコなので帰ったら名前を調べてみよう、という印象しかありませんでした。
しかし帰宅後、改めて写真を見てみると、混乱しました。
Google Lensで調べると、まず候補に出てきたのはヒイロベニヒダタケでしたが、写真のキノコは傘に条線があり、柄につばがついているので、色合いはともかく形状が合いません。
次の候補は、タマゴタケとベニテングタケ。言われてみれば、写真だとサイズ感がわからないため、タマゴタケに似ているように感じてしまう。しかしサイズはタマゴタケの2分の1以下だったように思います。
調べるうちに候補に出てきたのが、ヒメベニテングタケ。手持ちの北海道キノコ図鑑には載っていませんでしたが、ネット情報によると北海道にも分布しているらしい。
ヒメベニテングタケなら、無印ベニテングタケと同様、傘にイボイボがあるか、その痕跡が残っているはずです。しかし無印ベニテングタケのようなはっきりした白いイボイボではなく、傘と同じような色の鱗片だとされていました。
言われてみると、確かに上の写真の1枚目では、傘の中央付近にうろこ状の模様があります。もしタマゴタケならもっとツルリとしたスベスベ肌なので、やはりこれはヒメベニテングタケではないだろうか。
ヒメベニテングタケは学名はAmanita rubrovolvataというそうですが、それで英語のサイトの写真を調べたら、今日撮った写真と酷似しているので、これに関しては間違いないでしょう。
それにしても、ヒメベニテングタケは、写真だけで見ると、時々、非常にタマゴタケに似ているように見えるものがありますね。しかも毒キノコなので、タマゴタケと間違えて採る危険がありそうに思う。
それでも、タマゴタケ関連の記事で、全然、区別すべき毒キノコとして挙げられているのを見ないのは、キノコ採り名人が実物を見れば、サイズ的に違いが明らかで、区別するまでもないからなのかもしれません。
でも、わたしみたいなキノコ狩り素人は、サイズ感のイメージがそこまで確立されていないので、多少小さくても、似ている要注意キノコとして書いておいてくれたほうが安心できるのに、と思いました。
今後タマゴタケを採る時には、最重要の区別として猛毒タマゴタケモドキ、次いでベニテングタケとヒメベニテングタケとの区別を忘れないようにしたいものです。
キノコ観察をしはじめて、傘の裏側はもちろん大きさも大事だと気づいたので、もう少し涼しくなって本格的に観察できるようになったら、ものさしと置き鏡を持ち歩くようにしたほうがいいかもしれませんね。
それだけでなく、地上に生えていたか、樹木から生えていたか、広葉樹林か針葉樹林か、何科の樹木だったか、あたりまでしっかり観察しないと同定が難しい。もはや推理小説の域なので、手がかりは多いに越したことはない。
昔のわたしも含め、まず樹木の種類すらわからない人が大半だと思いますが、木がわからなければキノコはわからない。先に樹木を見分けられるようになっていることは大前提。
難易度でいえば、
花 ☆
花のない時期の草 ☆☆
樹木 ☆☆
イネ科 ☆☆☆
シダ ☆☆☆
コケ・藻類 ☆☆☆☆
キノコ・地衣類 ☆☆☆☆☆
という感じで難易度が上がっていく気がする。まだ☆3つでさえ敷居の高さを感じているというのに、星4つや5つに太刀打ちできるようになるのはいつになることか。
その他のキノコいろいろ
そのほかのキノコたち。
今日、森の入り口の湿地帯でたくさん見かけたキノコ。よくあるタイプだと思うのだけどわからない。改めて写真で見ると、ツルタケにも似ている感があるけれど、実物のサイズはそんなに大きくなく、薄くて弱々しかったので違うはず。
近くに傘が十分開く前っぽい個体もあったけれど、形状からしても、下につぼがないことからしてもツルタケではない。
次のは非常に小型のキノコで指2本ぶんくらいの高さしかなった。ワタカラカサタケの幼菌か? 傘の表面が割れる前で、つばも脱落する前?
しかし傘の中央部分が白一色なのか気にかかる。そういう個体もあるそうだけど、ネット画像だとコナカラカサタケモドキにも似ている。しかしモドキというのに、無印コナカラカサタケがわからない謎。
次のは切り株に生えていたものですが、おなじみのイヌセンボンタケか。
これも切り株に群生して生えていたもの。クヌギタケ属の何かだろうか。ネットで絵合わせしたところではアクニオイタケが近い?
森に出かけるたびにけっこう頻繁に見る、オレンジ色の耳状のキノコ。写真一枚しか載せませんが、大量にありました。前にも調べたとおり、おそらくニカワジョウゴタケか。(海外ではアプリコットジェリーと呼ばれているっぽい)
針葉樹林の地上に発生するとのことで、確かに条件は一致。ブログで食べている人がいたけれど、図鑑によって食べれるかどうか表記に違いがあるらしく、今のレベルでは尻込みせざるをえない。
次のは、妙にささくれがひどくなっているけれど、ドクツルタケの老菌?
ボロボロになってはいるけれど、テングタケ科の形と、服についているジャボのようなつば、そして柄の独特のささくれは確認できます。
チチタケっぽい雰囲気のキノコ。それっぽいことまではわかるようになってきたが自信が持てないから食べられない。
柄は上から下まで同じ太さ、柄の色は傘の色より少し薄い、と一応チチタケの条件は満たしている気がする。今後こそひだから乳液が出るか試してみたかったが、虫だらけでゆっくり立ち止まって観察する余裕がありませんでした。
木の根もとに何本か密集していいた、傘の表面が亀の甲羅のようにひび割れていて、傘が開いていないキノコ。柄もささくれが強くて特徴的。
いかにもわかりやすそうなキノコだったので調べてみましたが、今ひとつ同定できず。おそらく菌類が感染して奇形になってしまったタケリタケでしょうか。
次の写真のキノコは、いかにもベニタケ科の〇〇ハツという名前がついてそうな反り返った形状。傘の縁の模様がとても目立ったので、もしかしたら名前がわかるかもと思って写真に撮りました。
軽く絵合わせ程度に調べた感じでは、こういう縁の模様になるのは、オキナクサハツというキノコらしい。しかし、オキナクサハツは、柄に特徴があって、褐色の地に、黒っぽい点々があるとのこと。
褐色の地までは合っているけれど、これって斑点がある? あるようにも見えるし、単に柄の細かい凹凸が影になっているようにも見える…。このへんが実物を手元で観察しないとわからない部分ですね。
もしオキナクサハツではなかった場合、傘の模様がこんなふうに割れるキノコが他にあるのかどうかはわからない。
次の写真はすぐに判別できるのはホウキタケの仲間だということ。左に写っている黄色っぽい塊は、ヒナアンズタケの幼菌にように見える。
ホウキタケの種類が全然見分けがつきませんが、例えばヒメホウキタケなどはトドマツやトウヒ林に発生するらしく、ヒナアンズタケもトドマツ林内に発生するので、この二種類が並んで生えていても不思議ではなさそう。下の写真もすぐ近くに生えていたホウキタケっぽいもの。
いかにも特徴的でわかりやすそうなキノコなのに、全然わからない大きめのキノコ。傘がなめらかで条線がないのが特徴か。経験を積めばもこういうキノコが何物なのかわかるようになるかもしれない。
初めて見かけたミズヒキの花
暑さと虫に追われながらも、それなりに楽しんで歌いながら森の中を歩いていたら、前にハエドクソウを見かけたあたりに到達。もうすっかりハエドクソウは実になってしまっていたのだけど、その近くに見慣れない花が。
長い花穂に小さな花が点々とついている外見から、まずハエドクソウかと思ったけれど、ハエドクソウのようなギザギザした縁取りのシソっぽい葉っぱではない。
そうか、ならヌスビトハギあたりかな、考え直して、もう一度葉を見るけれど、三昧セットのハギの葉でもない。
はたと葉をじっくり観察すると…
なんだこの不思議な模様の入った葉っぱ。どの葉にもこのV字型の模様があるのを確認するに及んで、どうやらわたしの知らない未知な植物だと気づきました。最近新しい花を全然見かけないものだから、未知との遭遇はわくわくします。
何よりまず、せっかく花があるんだから、花の特徴を調べるべきなのですが、咲いているのか咲いていないのかわくわからないつぼみ状の花ばかりで、あまり手がかりになりません。じっくり見ようにも虫が大量にたかってくるし。
それでもまあ、全身フル装備なので、虫の猛攻に耐えつつ、できる限り観察して、写真に撮ってきました。それを手がかりにGoogle Lensで調べましたが、イヌタデとか出てくるだけ。やはり完全な花の写真がないと難しいのか。
そう思っていた矢先、候補にミズヒキなる植物が出てきたことに気づく。キンミズヒキなら知っているけれど、まさか無印ミズヒキがこれなんてことある?
調べてみたら、見事に葉の模様が一致。ミズヒキだとわかりました。この模様がない種類もあるようですが、今回は模様があったおかげで同定が楽でした。
そういえば、キンミズヒキを調べたときに、キンミズヒキはバラ科だけれど、無印ミズヒキはタデ科の全然違う植物だと書いた覚えが。まさか無印のほうにも出会えるとは、そのときは思いもしませんでした。
そのときの日記を読み返してみたら、どこ情報かしらないけれど、「もともと、花穂を水引に見立てたタデ科のミズヒキという花があり、キンミズヒキの花はそれに似ている」なんて書いていましたが、実物を見ると、どこが似ているのかまったくわかりません。
ミズヒキの花は、今日見た状態はつぼみらしく、ちゃんと四弁の花らしい形に開花するようです。それでもキンミズヒキの花とは比べ物にならないくらい小さく、ハエドクソウとかヌスビトハギのほうがよほど似ていると思います。
いずれまた花が咲いたところを見てみたい気もするけれど、広い森の中で、たまたま一箇所に咲いているのを見つけただけなので、再発見できるかどうかは怪しい。全然珍しい花ではなく道端に咲くそうなので、また違う場所で花を見ることになりそう。
黒光りするヤマザクラの樹皮と森の風景
森を歩いているとき、ふと木立の奥の黒光りする樹木に目が留まりました。
他の樹木とは明らかに異なる包帯をグルグル巻きにしたような横向き線が連なる樹皮。黒光りする木肌。エゾヤマザクラでしょうか?
ヤマザクラというと、公園などで見かける機会の多い木。でも、当然ながら森の中にも存在していて、他の木々の中に立っていると、こんなにかっこいい木なんだな、と感じました。意外な発見です。
以下はそのほかに見たもの。
まずおなじみトリカブトの花。ですが、じつはこの森で見かけるのは初めてだったりします。森の中の遊歩道脇に、たった2株だけひっそりと咲いていました。きっと道なき道に入っていけば、あちこちに咲いているんでしょう。
かなりパンパンに膨らんだエゾスズランの実。妙に柱頭が長く残っているような気もしますが、それ以外は他の場所で見たエゾスズランの実と同じ形状をしているので、合っていると思うのですが…。
前に見つけた笹魚を再発見。2週間前に見たときより、もっと色が黒くなって彼かけています。触ってみたら、見た目と違ってぶよぶよしていて、中に虫が棲んでいるんだと思うと、なんだか気持ち悪かった…。虫には悪いけど。
チョウセンゴミシの実はかなり色づいてきました。赤みを増してきたせいか、今まで気づかなかったような場所にも実がなっているのがわかりました。全体的にかなり不作っぽいけれど、わたしが味見するぶんには問題なさそう。
森の出口の風景。とても清涼感のある清々しい景色でした。暑かったですが、今日も森に出かけてよかったです。
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アルバム整理しました
9月に入ったので2020夏のアルバムを更新終了し、秋のアルバムを作成しました。
夏のアルバムは6月から8月の夏季に撮った写真にキャプションをつけ、厳選して収録しましたが、あまりの数の多さのせいで、かなり時間がかかってしまいました。
自然観察については、まだまだわからないことだらけ、やりたいけれどできていないことだらけ、という印象なのですが、写真の整理を通して、経験した分量を思い返すと、我ながら頑張ったという気になります。
以前のアルバムでは、写真の順番も同じ植物ごとなどに並び替えしていましたが、今回の分量では無理そうなので、時系列順そのままになっています。
去年の夏はほとんど自然観察できませんでしたから、実質、初めての夏のようなものでした。見知らぬ生き物との心躍る出会いばかりで、暑さや虫の多さもそれほど苦にならず楽しめたと思います。今となってはどの写真もよい思い出です。
新しく作った2020秋のアルバムは、9月から11月にかけて更新の予定です。気温的には9月に入ってもまだ真夏なのですが、今週末から急激に冷え込むと思われるので、すぐ秋めいてくるでしょう。
2020/09/07月
水辺のススキとカンガレイをじっくり見た
昼間は家にいると暑すぎて、だからといってクーラーをかけるのも嫌なので、公園に出かけてビデオ会議に参加しましたが、やはり暑すぎて熱中症になりそうでした。
公園の池のまわりを散歩していると、水辺にススキらしき植物の穂を見つけたので、近づいて観察してみることにしました。じっくり調べてみるまでは、本当にススキなのかわからない。もしかするとオギかもしれない。
乾燥した山地に生えるのはススキのみですが、水気のある場所ならオギとススキのどちらも生えている可能性があるそうです。今回は池のそばなので区別が必要。
はっきりと区別するには、ルーペで花穂の先を拡大するしかありません。花の先端にノギ(芒)という鱗片の突起があればススキ。ノギがなければオギです。(ややこしい)
明らかにノギらしき棒がついているのでススキのようですね。ほかにもススキとオギの違いはいくつかあるらしいですが、一番見分けやすいのがこのポイントでしょうね。
近くまで見に行けないような場所に生えているなら、叢生(まとまって生えている)かどうかといった外見から推理しないといけませんが。
これまで植物に全然興味がなかったわたしでも、秋の白い穂のイネ科といえばススキ、というくらいは知っていましたが、よくよく調べてみるとそんな単純ではなかったのでした。
イネ科は本当にややこしくて難しい。それから池のまわりを歩いていると、とても不思議な形をしたイネ科植物を発見。
似ているのばかりのイネ科でも、これくらいユニークな特徴があれば正体がわかるだろうと思って写真を撮ってきました。
剣のような葉っぱ?の中腹から、にょきっとハリネズミみたいなのが突き出てている…。
植物って見れば見るほど変な形のものが見つかるけれど、これはまた最近見た中ではとびっきりおかしな形。
帰ってGoogle Lens先生で調べてみると、すぐ判明。どうやらカンガレイという名前のようです。寒ブリとか寒ヒラメの仲間の海の幸? 姿も変だが名前も変だ。
よくよく由来を調べてみたら、この草はイネ科ではなくカヤツリグサ科のイグサの仲間で、カンガレイを漢字で書くと「寒」い時期に「枯」れた茎が残る「藺」草、というネーミングだそうです。
類似した種にサンカクイというのがあって、そちらは三角の藺草の意味。花の柄があるかないかで見分けられるそうですが、今日見たのは柄がないように見えたのでカンガレイのほうで合ってるのかな?
茎のハリネズミが突き出している部分より上にある、剣みたいな形をしたものは、茎の延長ではなく苞葉だそうです、昔の人は、サンカクイにもあるこの苞葉をサギの尻刺しに見立てたのだとか。
さて、この奇妙な形の茶色いハリネズミというかドリルの集まりみたいなもの。
これはカンガレイの花にあたる、小穂と呼ばれるもの。葉っぱは退化して鱗片状になっており、一本だけの茎から直接花が突き出しています。
ネット上の写真を見ると、最初はトウモロコシの雌花みたいに、緑色で白いひげが出ているようです。それが熟すと茶色くなるということなので、今日見たのは、もう花が咲き終わって実になった姿のようですね。
今年は全然観察できなかった水辺の植物やイネ科とカヤツリグサ科。まだまだ不思議なことだらけだよ、という一端を垣間見させてもらった気分になりました。1年ほど自然観察したといっても、まだ一歩を踏み出したくらいにすぎません。
公園には、ものすごくたくさん実をつけたシナノキも数本ありました。遠くから見ると、苞と実の色が目立ちすぎて異彩を放っていました。
同じ公園のイヌエンジュは、花さえ咲かせない不作ですが、シナノキは豊作。今年は7月は冷夏、8月からいきなり猛暑になりましたが、それがこれらの樹種の明暗を分けたのだろうか…? 森の植物も豊作不作の差が激しい気がします。
2020/09/08火
砂利に生える雑草コニシキソウ
今日は先日に引き続き、歯医者のために都市部へ遠征。ついでに建物のメンテナンスなどの仕事も少しこなしてきました。
幸いなことに、道北地方は、東京発端のコロナ第二波も無事に乗り切ったようです。Go Toキャンペーンの旅行者や、お盆の時期の帰省者由来の初感染者が出るのではないかと戦々恐々としていましたが、2週間経っても音沙汰ないので大丈夫そうです。
それでも、歯医者は厳戒態勢でしたし、人々は車の中でさえマスクをつけているのを見かけます。いまだに士別市以北で感染者ゼロなのは、人口密度が低い地方であるのはもちろんのこと、一人ひとりのこうした頑張りが実を結んでいるのでしょうね。
相変わらず気温は30℃を超える酷暑で、車を運転していても暑いし、車を降りて屋外を歩いているとさらに暑い。建物や駐車場の点検だけでもかなり疲れました。もともと大阪東京にいたころのわたしはどうやって生きていたんでしょうね。
ふと目に留まった駐車場の砂利の隙間から生えている草が、面白い葉っぱだったので、調べてみることにしました。どうやら、ニシキソウという植物の仲間のようです。
ニシキソウの名の由来は、茎の赤色と葉の緑のコントラストにちなんで「二色草」と呼ばれたことから。美しい「錦」に例えたという説もあるそうですが、特段珍しくもない小さな草にそこまで美を見出すとは考えにくい気がします。
ニシキソウの仲間には、外来種のオオニシキソウ、コニシキソウ、シマニシキソウ、ハイニシキソウなどがあるそうですが、シマニシキソウは西日本以下に分布しているらしいので除外。オオニシキソウ、ハイニシキソウも北海道にはなさそう。
最も多いとされる外来種のコニシキソウは、葉に赤色の斑が入っていることが多いそうで、今回見たものとは異なっています。
ニシキソウの仲間の見分け方を詳しく解説したサイトによると、葉に斑が入っていない場合もあるとのことで、実に毛がなく、茎もほぼ無毛であれば無印ニシキソウだとのことですが…
ルーペを持っていなかったので、これくらいの倍率が限度。さて、毛が生えているのかいないのか。茎は少し毛が生えているように見えますが、ニシキソウも多少は生えているらしいから区別できない。
と思ってさらに調べてみたら、在来種であるニシキソウは北海道以外の全国に分布しているのに対し、外来種のコニシキソウは北海道含む全域に分布しているとの情報が。
ということは、コニシキソウの斑なしタイプでしょうか。どちらにしても北海道にとっては外来種ですが、広がりが早いのはコニシキソウで間違いないでしょうから、道北に生えているのもそちらでしょう。
今回見たものは、場所的にもう二度と観察する機会はないでしょうが、ニシキソウの仲間は雑草として家のまわりにもたくさん生えているはずなので、今度見かけたら、実に毛が生えているか確かめたいと思います。
2020/09/09水
やっと夏が終わる
朗報。たぶん今日で、今年の夏も終わりです。
先月、早くも秋が来たかと思ったら、まさかの夏本番が9月にやってくるという予想外の展開にしてやられましたが、今度こそ終わるはず。
天気予報によれば、明日以降、最高気温は20℃前後になり、ぶり返しも見られません。まさか9月下旬に30℃に戻るなんてことは、いくら異常気象でもないでしょう。地球の公転運動までおかしくなっているわけじゃないし。
それにしても、今日まで真夏。明日からいきなり秋という極端な気候。
世間ではアメリカコロラド州デンバーで、37℃から2℃に急変したという異常気象がニュースになっていましたが、最高気温30℃から、いきなり最高気温一桁まで急変する道北もなかなかです。道北の場合はいつものことですが。
そんな今年の夏最終日と思しき今日は、友達数人とビデオ通話しているときに、面白い話を聞きました。
まず、ある友人は、家の前ではじめてトカゲを見たとのこと。かなり尾が長かったというので、とっさに、カナヘビでは?と反応してニホンカナヘビの写真を見せてみましたが、どうも似ているけれど違うらしい。
かといって、イモリやヤモリは北海道にはいないはずだし、別にしっぽも長くない。さすがにエゾサンショウウオを見間違えたわけでもないだろうし…。
調べてみたら、ニホントカゲの亜種、ヒガシニホントカゲというものが北海道にもいるらしい。画像検索して見てもらうと、確かにこれだ!とのことでした。そんな生き物がこのあたりにもいるんですねー。
もう一人の友人は、飼い猫が先日、耳としっぽのないネズミを仕留めて持ってきたとのこと。でもネズミは生きていて、ひとしきり家の中を元気に走り回った後で、屋外へと消えていったそうです。
それを聞いて、またもや咄嗟に、モグラの仲間のトガリネズミじゃないの?と言うわたし。自分で見たこともないくせに存在を知っているのは、いつぞやに調べたうちの自治体の植生調査資料のおかげです。それに生き物バージョンも軽く目を通したので。
画像検索でトガリネズミを見せたら、確かに顔はこれだけど、しっぽの有無が違うということでした。たまたましっぽがないトガリネズミだったのか、それとも別の種類の何科なのか…。いろいろ知らない生物が潜んでいるものですね。
ちなみにその調査資料によると、うちの地域に棲んでいるトガリネズミは、カラフトヒメトガリネズミ、エゾトガリネズミ、オオアシトガリネズミの三種らしい。
そのほか、ネズミは、ミカドネズミ、エゾヤチネズミ、エゾアカネズミ、カラフトアカネズミ、ヒメネズミ、ハツカネズミ、ドブネズミ、クマネズミあたりがいるそうです。どれも全然見分けられませんけれどね。
道北は野生動物がとても多い地域とはいえ、そんなに頻繁に見かけるものではありません。存在は知っていても、見たことのない動物はたくさんいます。ヒグマを見たことのない人も多いし、わたしはモモンガの巣の場所は知っていても、本体を見かけたことはない。
だから、こんなふうに、思いがけず人目に触れる場所に動物が現れると、驚きや感動をもってつい誰かに話したくなるもの。
野生動物のうち、哺乳類、爬虫類、両生類あたりは種類もかなり少ないので、そんなに見分けるのも難しくない。ややこしいのはカナヘビは蛇ではなく、トガリネズミは鼠ではない、といったことくらい。
わたしももっと、野生動物の気配に敏感になって、一度はそうした身近にいる生き物を目にしてみたいものです。
少し公園に立ち寄って見かけたもの。
ネグンドカエデの実。
その同じネグンドカエデの葉についていた、謎の虫のタマゴらしきもの。
ニオイヒバの実。冬になると茶色くなって、折り紙のバラの花のような形に割れている姿を目にしますが、今はまだ種を飛ばす前の段階ですね。
2020/09/10木
今冬はラニーニャらしい
予報どおり、道北もようやく涼しさが戻ってきました。今回は、向こう10日程度の予報によると、再度暑さが揺り戻すことはなさそうです。
せっかく涼しくなったのに、今日はビデオ会議が2つ入っていたし、明日は農家のお手伝いということで、森に出かけての自然観察は土曜になりそうです。涼しくなってから二、三日経ったほうがキノコが出ているはずだから、まあいいか。
ニュースによると、ラニーニャ現象の発生が確認されたとかで、今冬は冷え込みが厳しくなるという予想も。
前回発生したのは2017年の冬、つまりわたしが引っ越してくる前年だったので、どの程度影響があるのかは未経験です。統計を見る限りは、北海道は気温は低めか並、降水量は少なめの可能性が高いか。また雪が少ないとしたら残念。
今年ここまで、自然観察日記はそこそこ好調な一方、記事を書いたり、絵を描いたりといった従来の創作は、全然やる気が出ません。本も読めていない。やっぱりもうかつてのような能力は戻らないのかな、と思います。
あのころは、慢性疲労症候群という必要に駆られていたから本を読み、記事を書いて考察する必要があった。どこにも居場所がなかったから創作する必要があった。
でも今や、体調は小康状態になり、森に自分の居場所を見出したので、創作も考察も読書も必要がなくなってしまった。森に出かける楽しみはあれど、それ以外はどうでもよくなってしまった。
また、わたしはもともと他人に期待しないタイプですが、コロナを契機に、以前にも増して、人間社会への忌避や厭世観が強くなってしまった。何かを成し遂げようとしても無駄だという虚無を感じてしまいます。
特にこの世界で実現したい夢や期待は無いから、余生を楽しく森と自然の中で過ごせたらいいな、という気持ちだけで、何もやる気が起きないです。
苦労して何かを新しく創り出すことに何の意味があるというのか。いずれ消えるものに時間をかけるより、森を歩いて、知らないものに触れて、ただ今という瞬間を味わうことができたら、それでいい。
知識や研究はむなしい。確かなのは今ここにある感覚だけ。デカルトの「我思う、故に我あり」は間違いだと現代科学で証明されていて、正確には「我感じる、故の我あり」なのだから。
知識偏重の人生から、いきなり感覚偏重の人生に鞍替えしてしまって、自分でもひどく極端だとは思うのですが、今の正直な感じ方がこれなのだから仕方ない。いつかもう少しバランスの取れるときがやってくるのだろうか…。
2020/09/11土
冬の保存食ビン詰めトマトを作った
今年は友人の畑でトマトが豊作だったので、ビン詰めの保存食にしました。今年は変な気候のせいで、森でも畑でも、豊作と不作の作物の差が激しいのかも。
トマトの種類は2種類。サンマルツァーノという煮込むと甘みが出る料理用のトマトと、料理用だけど生で食べても美味しいシシリアンルージュ。
トマトは水分が多いので、2つに切って煮込むだけで、水を加えなくてもスープ状になります。トマト100%のスープはすばらしいうまみ。
ビンを煮沸消毒したり、ビン詰めにした後に蓋を少し緩めて加熱することで空気抜きして真空にしたりと、実用的な知恵をたくさん教わりました。
トマトを入れたビンを煮沸すると、蓋の隙間から空気がポコポコと出てきますが、あまりたくさん出すぎないように微調整しながら加熱。
最後にあつあつになったビンを冷ますと、蓋の中央が心なしか凹むので、内側が真空パックされたことが確認できます。
これが冬の保存食。涼しいところに保管しておいて、ひとつずつ蓋を開けては、さまざまな料理に使えるといいます。去年の冬、ひのトマトソースで作ったラザニアをいただいたけれど、絶品でした。
ハマナスのローズヒップもまた新しく摘んできました。かなり傷んでいるのが多くて、ジャムにはできそうにないので、お茶にして飲みます。
ローズヒップのお茶はビタミンCっぽい酸味が特徴。でもわたしは酸っぱいのが少し苦手なので、てんさい糖を入れて飲みますが。
夕焼けもとてもきれいでした。
2020/09/12土
マムシグサやツルリンドウが色づき、カラハナソウ咲く
やっと久しぶりに森に出かけることができました。昨日あたりから涼しくなったので、ハナイグチなど食用キノコが出ていることを期待しつつ。
道中で見かけたマムシグサの実、今年も毒々しく色づきましたね(笑)
森に入ってみると、とても涼しく爽やかでした。虫もほとんどいなくなっています。でも、途中で、地面付近を低空飛行しているスズメバチを見かけたので、まだまだ顔網は必須。油断するとひどい目に遭いそうです。
ふと地面を見ると、赤や黄の色とりどりの落葉。サクラやシラカバあたりの葉がすでに落ちはじめているようです。
森の入り口に実っている貧相なヤマブドウの実。ようやく色づいてはきましたが、触ってみるとまだ固いし、熟す前にボロボロになってしまいそう。今年のヤマブドウはひどく不作ですね。
やはり入り口の付近に咲いていたツルリンドウは、真っ赤な実になっていました。思えば去年は、この段階になってから初めてツルリンドウを発見したんでしたね。
去年の真冬にも青々としているのを見かけたこの謎のコケ。トドマツの樹皮にマンジュウのような塊になってくっついていました。
調べてみたら、その名もダンゴゴケとかキビマダンゴゴケというものがあるそうですが、これは違うものかな? せめてルーペで観察してくるべきだったな。(追記 : たぶんカラフトキンモウゴケのようです)
あれだけ開花を楽しみにしていたサラシナショウマは、いつの間にか花が散って実に。
トリカブトとかレイジンソウを思わせる形の、小さな豆やトウガラシのような実ですね。
何度も撮っては写真を載せているマイヅルソウ。今年はあまり見かけませんが、宝石のような実があまりにつややかで美しいので、ついつい、毎回写真に撮ってしまいます。
去年もたくさん花を見かけたカラハナソウ。同じ場所に今年も群生していました。
またもや今まで見たことのない場所でトリカブトの株を発見。意外とあちこちで見かけるだけに山菜シーズンは誤食に注意。
逃げ出す哺乳類、固まる両生類
森に向かう途中、道のど真ん中に立ち止まっているシマリスを見かけましたが、スマホに望遠レンズを装着するのに手間取ってしまって写真には撮れませんでした…。やはり常に装着しておかないとダメだ。
その後、森の中で、クマイザサに巻き付いているカラハナソウの葉を見かけて、もしかすると花が咲いているかな、と思って近づくと、突然、ガサッという大きな音がして、びっくりして飛び退く。まさか野生動物と遭遇?と焦りましたが…
どうやら、葉っぱの上の大きなカエルがたてた物音だったようです。5cmは超えているだろうの大きさで、このあたりで見かけるカエルの中ではビッグ。しかもこの体色、今まで見たことがない。いったい何者?
道北にはそもそもニホンアマガエルとエゾアカガエルしかいないはず。後で調べたところでは、体色が変化している迷彩色タイプのアマガエルのようでした。初めて見た気がします。
そのあと、別の場所で、エゾアカガエルらしきカエルも撮ることができました。撮るだけなら、そのへんにいくらでもいますが、葉っぱを抱きかかえるように静止して可愛かったもので。
どちらのカエルにしても、いったん動きを止めると、こちらがカメラを至近距離まで近づけても全然逃げようとしませんね。
リスやクマなどの哺乳類が、常に動いていて、すぐに逃げ出すのと対象的。ポリヴェーガル理論でいうところの、哺乳類で優位な逃走反応と、両生類や爬虫類で優位な固まり反応との違いを実地で観察しているんだなぁと思い、感慨深かったです。
キノコ色々。ホテイシメジ?、シロヌメリイグチ、ヒトヨタケ?etc
森に入って早速、先日ハナイグチを採った場所に行ってみましたが、一本も出ていませんでした。さすがに前回で採り尽くしてしまったのか…? 早生っぽいタイプの菌なのかもしれない。
その近所のカラマツ林も歩いてみましたが、こんな小さなハナイグチ幼菌っぽいのがひとつ生えていただけでした。つばもしっかり残っていて、とてもかわいい。
その代わりに、カラマツ林には、こんな白いキノコが大量発生していました。
そこそこよく見かけるタイプに思えますが、いったい何だろう?
そこからさらに進んだ先にある、このキノコも同じものだろうか?
図鑑で調べたら、絵合わせ程度ですが、ホテイシメジの可能性。確かに、どちらの写真でも、横から見ると、柄の下のほうが膨らんでいます。
ホテイシメジだとしたら、お酒を飲まない人にとっては食菌ですが、さすがにこんなお粗末な見立てでは食べることはできませんね。
その知覚に転がっていた謎のイグチ。。幼菌ですがねすでに根もとから折れてしまっていたので、手にとってみました。
カラマツ林に生えていて、傘の表は茶色っぽい色で、裏のスポンジ状の部分が白っぽいのってなんだろう? ヌメリイグチかシロヌメリイグチでししょうか?
幼菌にしては、スポンジ状の網目の孔が妙にはっきりしているので、アミタケっぽさも感じますが、つばがはっきり確認できるのでアミタケではありません。
幼菌だけれど、すでに地面から抜けて折れていた。せっかくだから持って帰ってきて、食べれそうなら食べてみればよかったが、そこまで頭が回らなかった。
そのあと、別のカラマツ林に差し掛かったところで、ハナイグチも次々と発見。
幼菌はほとんど見当たらず、傘が開ききっているのが多かった。傘の裏側が汚れすぎているものは泣く泣く捨てました。採りにきたのがおそすぎた感がありますね。タイミングが難しい
それでも、料理する時にしっかり塩水で虫出しして、スポンジ状の部分を切り取って、ジャガイモと一緒に焼いて食べたら弾力性のあるトゥルトゥルな食感が素晴らしかったです。
続いて見つけた、とても色鮮やかで美しいキノコ。見かけた場所はトドマツも多い場所だったので、サマツモドキでしょうか?
しかし、サマツモドキなら倒木や切り株から出ているはずなだけど、違うのだろうか…。
そういえば、前回キノコを観察したとき、サイズも記録しようと書いたのを思い出しましたが、ものさしを持っていない。できる限り持ち物は少なくしたいので、スマホの計測アプリで代用してみることにしました。
けっこうしっかりと測れます。多少誤差は出てしまうでしょうが、大まかな大きさを測れればいいから、この機能で十分なのでは? 8cmなら、サマツモドキとしては標準的な大きさといえそう。
その近くにあったノボリリュウタケ…? ではなくアシボソノボリリュウタケ。本家ノボリリュウタケに比べて小さいし、柄が裂けていないから別物だとわかります。食べれるかどうかは不明らしい。(クラタケとも似ているが、クラタケはさらに足が細いか)
次に見つけたのは、とても立派で美しいキノコ。ヒトヨタケの仲間でしょうか?
柄にささくれがあるから、ザラエノヒトヨタケか? と安直に考えましたが、図鑑に記載されているよりも、かなり大きいように思えます。学名Coprinopsis lagopusで調べると、そこそこ似ている写真もありますが…。
ヒトヨタケとは、一夜にしてドロドロに黒いインクのように溶けてしまう生態から名づけられたそうです。ザラエノヒトヨタケだとすると、この写真では円錐形に開いていますが、やがて反り返り、それから溶けるようです。
いまだに、ネット上の写真で見かけるような、溶けている真っ最中のヒトヨタケは見たことがありませんが、意識していないだけなのかも。せめてまずはヒトヨタケは見分けられるようになりたいけれど、これは本当にヒトヨタケだったのか…?
次に見つけたのは、アセタケ属とかイッポンシメジ属っぽい、中心が尖っているキノコ。たくさん群生していました。
シラカバ林で見かけたことだし、オオキヌハダトマヤタケ(ややこしい名前)の群生か? でもなんか傘の外周部の白っぽい縁取りが違うような気がするのだけど…。
アセタケの仲間は非常に種類を同定するのが難しいらしく、素人目にはそもそもアセタケなのかすら不明です。
次のはチチタケの幼生っぽいキノコだけど、柄が白いからチチタケではなさそうか。
ホコリタケ。写真に写っているとおり、奥の一本が折れていたので、指で胞子を飛ばして遊びました。
いつものベニタケ科の何か。(追記: 傘の中心に黒い突起があり、ふちの条線がはっきりしているので、アシボソムラサキハツか)
2020/09/13日
ジャガイモを埋めて越冬させる
越冬野菜にするために収穫して乾燥させたジャガイモを埋める方法を教えてもらいました。道北で越冬野菜といえば、和寒町の雪の下キャベツが有名ですが、地域に根付く知恵がとても勉強になります。
方法は、水が入って凍結しないように、地面に少し盛り土し、その上に網に入れたジャガイモを載せるそして、土の壁の厚さが20cmくらいになるように埋めていく。
最後に、雨が降って上から水が染み込むのを防ぐため、てっぺん部分にだけ、ビニールシートなどをかぶせる。ワラむしろなどでも良い。全体を覆うと通気性が悪くなるので、あくまでてっぺんだけ。飛ばないようにシートを固定しておく。
雪が降りはじめたら、埋もれても場所がわかるように、目印の棒などを立てておく。そして、冬場に食料がなくなったら、スノーシューなどを履いて一袋ずつ取り出して食べる。といった方法。
越冬野菜は、ジャガイモのほかに、キャベツ、大根、人参など、いろいろな野菜で試せるようなので、今後もやり方を見て教わりたいと思っています。(積雪寒冷地帯の越冬野菜と貯蔵法も参照)
そのあと枝豆の収穫。枝豆が実はダイズだったことも知らなかった。
よく見ると、理科の授業で習った根粒菌が根っこにたくさんついているのがわかります。つくづく学校で知識を教わるだけでは何の意味もないのを実感します。
大きくなりすぎたズッキーニ。
ベニバナインゲン(花豆)も収穫しました。先月見たモロッコインゲンも赤い花でしたが、こちらも赤い花が咲くいんげん豆。
パリパリに乾燥したさやを割ると、中から、まるで碁石のような白と黒と、マーブルのすべすべした豆が出てきました。およそ食べ物とは思えないさわり心地。
【気になったニュース】
なんか話題になっていたし、わたしもいつか自分の森がほしいなぁと思っていたので。
本当に覚悟してる? プライベートキャンプ場のための森林購入(田中淳夫) – 個人 – Yahoo!ニュース
言っていることはわからないでもないけれど、全然目的が違うから、ここに書いてあることがデメリットとはほとんど思いませんでした。
全然キャンプなんてしたくない。それよりも自分で自由に歩き回れる森があればいいという認識。かえってほとんど草刈りされていない森が好み。野生動物や虫対策なんて普段からしているし。
確かに草刈りされた道があったほうが入りやすいけれど、わたしが普段歩いている森でも、1年に一回、自治体が草刈りするだけで十分なので、個人でもやろうと思えば問題なさそう。
唯一気になったのは、土砂崩れで人の土地に迷惑をかけたら損害賠償になる、という話だけですね。それも道北の場合、森の立地によると思う。畑や道の真横でない森なんていくらでもあるので。
わたしの友人の中に、2人森を所有している人がいますが、何も手入れなんてやってないし、それでも山菜シーズンに入ってみると、ギョウジャニンニクがわんさか採れたりして実にすばらしいです。
かえって手入れをして草刈りなんてしたら、そこから侵略的外来種が入ってくるから、かえって最小限の道しか作らないほうがいいと思う。
そのうちの一人は、森持っているけれど、別に使わないから、ほしいんならあげるよ、と冗談なのか本気なのかわからないことを言ってくれるのですが…(笑)
まあ上の記事に書かれていたデメリットとは別に、わたし自身の体調や体力が常人レベルほどにないので、森を所有するとしたら、それが一番のネックでしょうね。
2020/09/14月
高級キノコの親戚アカヤマドリだろうか?
湿地帯のほうの森の入り口付近で見つけた、立派な太いキノコ。
下からのぞいてみると、なんとイグチの仲間だと判明。
大きさを計測したところ、こんな感じ。傘は8cmくらい、丈は15cmくらいありそうです。
調べてみたところ、どうやら、イタリアでポルチーニと呼ばれている高級食材キノコの仲間のヤマドリタケか、ヤマドリタケモドキのように思えます。
詳しいサイトによると、ヤマドリタケは傘に光沢があるのに対し、モドキのほうはビロード状で光沢が少ないとのことから、このキノコはモドキのほうかなと思います。
柄の網目模様に関しても、ヤマドリタケは模様が柄の上から途中までなのに対し、モドキは下から上までびっちりとついているそうですが、その点からもこの写真のキノコはヤマドリタケモドキに近いです。
近縁に有毒のドクヤマドリがありますが、そちらは柄が白っぽくてつるんとしているとのこと。今回のは柄に網目模様が確認できるのでドクヤマドリではないでしょう。
しかし、ヤマドリタケモドキにしては妙に黄色っぽい気もするので、もしかしたら、近縁種のキアシヤマドリタケというものなのかもしれない…。だとしたら、無印に比べて旨味がないそうです。
ヤマドリタケなるイグチとはこれがほぼ初対面で、全然詳しくないので、今回のはさすがに食べれるとしても手は出せませんでした。
(追記 : アカヤマドリの可能性が一番高いかも。もう少し成長してから傘がひび割れているのを見れたら確実でしたが、数日以内にこの森には出かけませんでした。非常に美味らしいので、ヤマドリタケ系とドクヤマドリの見分けを覚えたいです)
もっと探索したかったけれど、とてもめずらしいことに、林業関係者の方が一人、仕事で来ていたので、もうひとつの森のほうに移動することにしました。
柄が髄状のナラタケ?
もう一つの森に到着して、獣道を歩いて奥まで入っていきます。森を整備するのだとしたら、これくらいの細い道だけでいいのにな、と思います。あまり広範囲に草刈りすると外来種に侵食されてしまう。
足元に見慣れない実のついた植物をたくさん見かけましたが、よく見てみると、この葉っぱはミツバですね。
随分長い間咲いているなと思っていましたが、ついに実を結んだようです。セリ科の花にしては地味だし、実はまるでイネ科の穂のような形なんですね。食べようと思えば、まだ葉っぱを摘むことは十分可能そうです。
特にあてもなく森にやってきて、何をしようかと迷いましたが、先日この森で見たヒトヨタケらしきキノコがどうなっているかを確認しに行ってみました。
すると、やはり、どこにも痕跡が見当たりません。ヒトヨタケの名のとおり、すでに溶けてしまったのでしょうか。それともわたしが見つけられなかっただけでしょうか。
その代わりに、途中の苔むした倒木から、ナラタケのようなキノコが大量に生えているのを見つけました。
この群生の仕方はいかにもナラタケだし、傘の中心に黒いささくれた粒点が確認できるし、傘の外周には条線もあります。
近づいて見てみると、柄につばがあるのも確認できました。いささか黒い粒点が不明瞭なものがあったり、柄のつばが消失したりしているものもありましたが、群生全体としてはナラタケで合っているだろう、と少し拝借して帰ったのですが…。
家に帰って、茎を折ってみたところ、内部が空洞になっている中空なのが引っかかりました。ナラタケは中実のはずだし、似ている毒キノコは茎が中空のことが多い…。
ナラタケと同じく食用になるナラタケモドキだと柄は中空ですが、その場合、柄につばがないはずなので謎。
ひとつでも怪しい点があれば、野生のキノコは食べないほうがいいので、泣く泣く諦めました。
ナラタケに類似した毒キノコとしては、猛毒のコレラタケや、ドクササコがあって、どちらも柄が中空なのが特徴のひとつ。
ドクササコは北海道では確認されていないし、傘の外周に条線もなく、朽木ではなく地上から生えるので区別は容易なはず。
問題はコレラタケで、なぜか北海道キノコ図鑑には載っていませんが、近年、砂川市で中毒が発生していました。
ごみやおがくずなどから生えることが多いものの、朽木からも発生するとのこと。傘は湿ると条線が現れますが、乾いていると条線が見えなくなるようです。今回のは普通に条線があったのでコレラタケではないはずだが…。
後でナラタケについての詳しい資料を見ると、どうやら、必ずしも柄は中実ではなく、種類によっては中空だったり(ヤチヒロヒダタケ、コバリナラタケ)、髄状だったりする(クロゲナラタケ)とされていました。
そう言われてみれば、今回のキノコは、中空ではなく髄状ですね。ということは、クロゲナラタケあたりの、柄が髄状になっているタイプだったのでしょうか?
だとしても、中央の黒い粒点が少なめだったので、確証に欠けてしまう。こういう時は、やはりもっと詳しい専門家の意見を仰ぎたくなりますね…。
でも慎重すぎるに越したことはないので、今回は食べなくてよかったと思います。何度も何度も繰り返し観察しているうちに、見分けられるようになってくるでしょうから、今回は「ナラタケっぽい」とわかっただけでよしとしよう。
山菜採りにしたってそうだけど、食べれるものの特徴を知るより、まず身近にある注意すべき毒をもったものを把握しておくほうが安心できるような気がします。そこそこ評価の高い「日本の毒キノコ」という図鑑を購入してみようかな。
タマゴタケを見つけたけれど老菌だった…。ニカワホウキタケも
せっかく森に出かけてきたのはいいけれど、あまり体調がよくなかったせいで、いろいろと準備不足。厚手のインナーを着てきたせいで汗をかいてしまうし、キノコを採って入れる袋も忘れてしまった。
しまいに雨も降ってきたので、急いで帰ることにしましたが、森の曲がり角で、ひときわ鮮やかなキノコが視界に入りました。
タマゴタケだ!
はじめて見た成菌タマゴタケ。でも頻繁に図鑑などで目にしてきたので、すぐさま同定できます。間違いない。
とても美味しそうに見えたので、早速採ってみましたが…
裏返してみるとボロボロでした。1日か2日、採るのが遅かった感じ。ひだもズタボロだし、柄もダンダラ模様なのか傷みなのかわからないくらい傷だらけ。もう役目を終えて後は朽ちるばかりの老菌だったようです。
でも根もとから折ってしまったし、仕方ないので、まだ残っているかもしれない胞子を飛ばすのを手伝ってあげるべく、森を出るまで手に持って歩きました。
途中で見つけた、とても小さなホウキタケ。たぶんニカワホウキタケでしょう。
見た目はどこからどう見てもホウキタケの仲間なのですが、ホウキタケ属ではなく、アカキクラゲ科らしいです。同じような鮮やかなオレンジ色をした、さまざまな形のキノコが含まれている科のようです。
サイズはほんの数センチ。写真だけで見ると、ハナホウキタケにも似ていますが、そちらは高さ20cmくらいになるそうなので、大きさが全然違うんですね。
雨足が強くなってきたので、急いで帰るところでしたが、またチチタケの仲間らしいキノコも見つけました。環紋の模様がはっきり見えます。
下からのぞくと、チェダーチーズのような黄色っぽい色の柄とひだでした。 傘はキチチタケやカラマツチチタケっぽいのに、柄の色が濃すぎる気もします。影になっているせいでしょうか? やっぱり同定は難しい。
2020/09/15火
秋らしくなってきた森
久しぶりに登山して湿原に行ってみました。そろそろ涼しくなってきたと思いましたが、19℃でも暑かったです。
登山道から見渡す景色は、すっかり秋らしくなってきました。おもにダケカンバが黄葉してすでに落葉しはじめています。ほかはヤマザクラ、オニグルミ、そして樹木ではないけれどイタドリなどが色づいています。
もう枯れゆく植物ばかりになって、見るべきものがほとんどないと感じてしまう登山道。その中で、ぎっしり実が詰まったサラシナショウマがひときわ目立っていました。
今の時期に探したい植物というと、シソ科のハーブのナギナタコウジュなのですが、いまだにどこに自生しているのか発見できていません。林道沿いなどにあると言われますが、9-10月に咲くらしい花を目印に探すしかありません。
とてもカラフルなバッタ!と思って写真を撮りまくりましたが、後から調べたら、前に見たヒメギスの色違いだとわかりました。ヒメギスの緑色タイプと茶色タイプ、両方いました。
登山道は秋になってクッションになる植物のかさが減ったせいなのか、夏よりもゴツゴツして歩きにくく感じました。湿原まで登ってもあまり見たいものがないので、来年の夏は近所の森歩きだけでいいかなと思ったり。
こんがり狐色の冬毛に生え変わってきたキタキツネも帰り道で見かけました。ほかにシマリスが横切るのも見たけれど、「あっリス!」と声を出したら驚いてすぐ逃げてしまいました(笑)
湿原で見かけた実り
湿原に到着すると、ヤマドリゼンマイの葉が黄金色に黄葉していました。シダも黄葉するのは知らなかった。
足元には目立たないけれど、ツルコケモモ(クランベリー)の実がたくさん。
エゾゴゼンタチバナの実は、おいしいからかほとんど野生動物に食べられてなくなっていましたが、ひとつだけ実がぎっしりついているのを見つけました。
オオバスノキ?か何かのツツジの仲間の実。ブルーベリーみたいに、先が割れて花瓶のような形になっているので、ツツジの仲間だとわかります。
近くで見るととてもかわいい。
黒く色づいた実もあったので、赤い実はまだ色づいている途中で、これから黒く熟していくのだとわかりました。
オオバスノキは、これまで名前だけ知っていましたが、実物を見たのは初めてでした。ツツジ科のは、オオバスノキ、シラタマノキ、クロマメノキ、ハナヒリノキといった面白い名前の樹木がたくさんあります。
オオバスノキは、大きな蓮のような葉をつけるといった由来があるのかな?と思っていましたが、そうではなく、大葉・酢の木らしいです。大きめの酸っぱい葉っぱをつける木という意味だったんですね。
どれも食べれる実ばかりだと思いますが、残念ながら、湿原の植物は保護されているので味見できません。カラフトあたりではもっと身近に生えている収量の多い植物なのかもしれませんが、ここ道北では希少植物です。
シダ色々。イヌワラビ、ホソバナライシダ、オオバショリマetc
登山道入り口で見かけたエゾフユノハナワラビ。
大きさも測定してみましたが、テングタケの仲間くらいの大きさですね。シダとしては極小。
メシダの仲間らしいシダ。サイズは下の2枚目の写真に写り込んでいる指の大きさからわかるように、それほど大きくありません。よって、大型のエゾメシダ、ミヤマメシダ、オオメシダなどのよくあるメシダ類ではない。
ソーラスの膜が破れて、中の胞子嚢がむき出しになっていました。アップで撮るとちょっとグロテスク。一緒に写っている黒いものはわたしの指です。つまり、上の写真の葉っぱ全体の横幅は、わたしの手の平くらいしかないということ。
茎についている鱗片は、よくあるかつお節っぽい色。
ソーラスはメシダ系の三日月型、大きさは30cm未満、茎の鱗片はかつお節っぽい色、そして一枚目の写真では、羽片の先のほうが細くなって尖っている、といった特徴から、ヘビノネゴザの可能性が高いと思いました。
図鑑によると北海道の小型メシダは3種類あるとされていて、ヘビノネゴザ、ミヤマヘビノネゴザ、イワイヌワラビです。このうち、イワイヌワラビは葉の形が全然違うので除外。
ヘビノネゴザとミヤマヘビノネゴザは似ていますが、ミヤマヘビノネゴザは少しレア枠なので、そうそう見つけられるわけではない。
また、ミヤマヘビノネゴザは葉柄が短く紫色をしているとのことですが、上の写真では緑色。
さらにミヤマヘビノネゴザは、地面に近いほうの羽片が目に見えて短いようですが、上の写真では別に短くなっていない。ということで、やはり無印ヘビノネゴザのほうだと思います。
ヘビノネゴザは漢字で書くと蛇の寝御座。いかにも蛇がとぐろを巻いていそうだという意味らしい。確かにちょっと深い山に生えていたので、蛇でも出そうかも。
カドニウムを吸収して土壌を浄化する性質があり、鉱脈を探すときの指標になる植物のひとつらしいです。
(追記 : その後、もっと知識が増えてから見ると、ヘビノネゴザではなく、ヤマイヌワラビであることがわかりました。)
次の写真は、今日初めて見分けることができたホソバナライシダ。ナライとは木曽の地名とのこと。三角形に分岐して張り出した葉っぱがとても目立ちます。
一番奥の羽片だけ極端に大きく、三出複葉のように見えるのが特徴。
裏のソーラスは見当たりませんでしたが、もっとたくさん葉をめくったら見つけられたのかな。
茎の下のほうにはかつお節っぽい鱗片がまばらについていたので、ホソバナライシダと同定する助けになりました。
次の写真は、葉っぱの形だけ見るとオシダの仲間っぽいですが、サイズが小さめです。葉っぱの裂片の先が少し細く尖って鉤爪のような形になっているのも特徴か。
ソーラスは赤い丸形で、葉っぱのふちについています。指の大きさとの対比から、葉がそれほど大きくないのがわかるでしょう。全体の長さを入れても50cmくらいか。
茎の下のほうだけ、茶色っぽい鱗片がびっしりと密生しています。
比較的小型で、ソーラスが丸く、裂片の先が少し尖っているとなると、たぶんヒメシダ科の仲間ではないかと思います。検索してみると、赤い丸形のソーラスの雰囲気も似ているから、これは間違いなさそう。
ヒメシダ科は、北海道には、ミゾシダ、イワハリガネワラビ、ヒメシダ、ニッコウシダ、ミヤマワラビ、オオバショリマの6つがあるとのこと。
このうちよく似ているのはイワハリガネワラビとオオバショリマの2つ。より類似して見えるのはイワハリガネワラビのほうですが、道南あたりの一部にしか分布していないようなので違うか。
ということは残ったオオバショリマの可能性か? オオバショリマは、茎の下部に鱗片が密生するという特徴もあるので、ちょうど写真の特徴と合致しています。
オオバショリマとは謎めいた名前ですが、それもそのはず、「ショリマ」はアイヌ語でシダ、特にクサソテツ(山菜のコゴミ)を指す「ソロマ」から来ているそうです。
転じてソロマ(ショリマ)はヒメシダの別名となったそうですが、ヒメシダ属の中でもちょっと葉が大きいこの種類が大葉ショリマと呼ばれるようになったということでしょう。
もともとクサソテツを指していたはずが、回り回ってややこしいことになっていますが、植物の名前なんてそんなものでしょう。これまでも、ヤナギでもランでもないヤナギランとかあったわけだし。
シダ観察の最後に、上の遠景にも写っていた、黄葉したヤマドリゼンマイの葉。シダの葉はどうやって撮れば見栄えがするのかわからず、投げやりな写真になってしまいがちなのがよくない…。
シダは本当に大変。どれもよく似ているから、一度覚えても、すぐに記憶から飛んでしまう。だけど、苦労するぶん、識別できるようになったときの満足度が高いので、これからも時々、シダに注目して経験を積みたいです。
登山道で見かけた名も知らぬキノコや(イボ)テングタケなど
登山道で見かけたキノコ。去年はここでナラタケをわんさか見つけたのですが…。
しばらくこの地方では雨が降っていないのか、すっかり地面に生えているコケは乾燥していて、沼も干上がっていました。そのせいでキノコはほとんど見つからず、寂しい登山道でした。
まんじゅう型の何かのキノコの幼菌。何の種類かわからない。
黒光りしている焦げ茶色のキノコ。去年このあたりで食べれるシメジを教えてもらって採ったけれど、これももしかしてシメジの仲間…? 下に見えているひだ状の黒いのは別のキノコかな。
そのひだ状のキノコと同じものかもしれない、近くにあった黒いキノコ。一見、動物の糞に見えるような色だったので、触って詳しく調べようという気になれなかった…。
色だけならカラスタケ、エナガクロチャワンタケなどに似ているけれど、どういう構造なのかわからない。
ほかにもいつものベニタケの仲間らしいキノコがちらほらと生えていましたが、わたしの今の知識ではベニタケ類は全然見分けがつかないので、写真も撮らずにスルーしてしまいました…。
帰りに寄った公園で見つけた、とても立派なテングタケ。イボイボがゴージャス。イボが硬そう、つばが取れている、ということからすると、もしかするとイボテングタケなのかもしれない。針葉樹の多い一角ですし。
傘の肉が割れて真っ白な中身が見えていました。とても肉厚で、もし食べれたら美味しそうだなぁと思うけれど、ベニテングタケの10倍の毒と聞くので、触れることすら恐ろしく思えてしまう。
いつものサイズ計測。傘が10cm、高さは15cmくらいでしょうか。遠くからでも視認できて、かなり大きいと感じましたが、テングタケとしては少々小さめのサイズなのかな。
その近くの草むらにあったしわしわしたキノコ。てっきりイグチか何かの老菌かと思いましたが…
傘の裏側を見たら、これはもしかしたら去年も見たカノシタ? でもカノシタだったらもっと白っぽいはず…、と一瞬迷いました。
でも、よくよく写真を拡大してみると、カノシタみたいな絨毛突起っぽいひだではなく多角形の孔のひだのようですね。やっぱりイグチの仲間です。あまりに古い老菌だからパッと見の形が崩れていただけでしょう。
柄が白っぽいので、ハナイグチではない。つばも見当たらないので、アミタケとかチチアワタケあたりでしょうか。
2020/09/16水
マインドフルネスによる条件付け反応の解消
最近考えていたことのメモ。条件付け反応のアンカップリングについて。
トラウマ、恐怖症、嫌悪、偏見、中毒など、人が陥る有害な反応の多くは、条件反射、および条件付け反応と呼ばれる、よく知られた仕組みによって生じている。
条件付け反応は、わたしたちの生活のあらゆる面でごく普通に起こっているものであり、それなしで人間は生きることができない。
わたしたちが日々無意識のうちにこなしている行動は、いずれも条件付けによって無駄な労力なしに行われている。もしも、あらゆる行動の前に、毎回毎回、次は何をしようか、などと考えなければならなかったなら、どれほど不自由だろうか。
しかし、この条件付け反応は、繰り返される体験や、一度限りの衝撃的な体験によって、無意識のうちに習得され、無意識のうちに発動するがゆえに、わたしたちにとってプラスに働くこともあれば、マイナスに働くこともある。
マイナスに働いてしまう最たるものがトラウマであり、恐怖症や嫌悪や偏見や中毒なのである。
たとえば、虫が苦手な人の場合、虫の姿を見るという体験と、それに対する恐怖や嫌悪という反応とが、条件付けされてしまっている。脳の中で、それら2つの異なるニューロンが、ヘッブの法則によって結びついてしまい、同時発火する。
本来、虫そのものの外見に、わたしたちの脳に直接、恐怖や嫌悪を催させる要素はない。しかし、幼いころの経験や、繰り返される反復学習を通して、望ましくない条件反射が成立していて、無意識に拒否反応を示してしまう。
人種、宗教間の偏見なども、これと同様の条件付け反応であり、無意識のうちに、自分でも意識しないレベルで、拒否感の条件反射が引き起こされる。
食べ物の好き嫌いの味覚嫌悪もこれと似ている。味覚嫌悪の場合、ただ一度の不快な体験が、強固な拒否感の条件反射を形成するが、これは程度の差こそあれ、トラウマのPTSDと同じである。
中毒や依存症の場合、この条件付けの形成には、報酬経路も関与している。ドーパミンは条件付けを強化する役割を持っていると言われるが、何らかの行為の結果、ドーパミンが放出され、快感を覚えると、そのたびに条件付けが強化される。
こうした望ましくない条件付けを解消するために必要なのは、立ち止まってクールダウンするスキルである。たとえば、依存症の場合、10秒我慢して待ってみるようにと勧められることがある。
それよりもっと具体的なのは、いわゆるマインドフルネスであろう。今この瞬間の感覚をあるがままに感じるよう努め、意識を今ここに引き戻すことによって、気持ちを冷静にならせ、自己を客観視できるようになる。
たとえば、もう一度、虫嫌いの人のことを考えてみよう。通常、その人は、虫を見かけるたびに、すぐ無意識のうちに嫌悪感という条件反射を起こしてしまう。無意識のうちに刺激が反応を引き起こすのだ。
しかし、マインドフルネスを習得して、今この瞬間で「立ち止まる」ことを覚えるとどうだろうか。虫を見たとき、今この瞬間の感覚に意識をつなぎとめ、ただありのままを感じるようにする。
虫の姿かたちを、ありのままに、先入観や過去の感情抜きに認識するように努めれば、必ずしも、それが恐怖を引き起こすようなものでないことに気づくだろう。虫という概念が一種のゲシュタルト崩壊を起こすこともある。
(わたしの場合、従来は虫が苦手なのに、森の中などで虫を見るとさほど怖くない理由を環境のおかげだと説明していたが、もしかするとそうではなく、森の中だとマインドフルネスが強化されているからかもしれない)
個人的に、この体験は、絵を描く人、ことに絵を模写する人はイメージしやすいのではないかと思う。絵を模写するときには、描き写す絵の意味や印象のスイッチをオフにする必要がある。
普通なら、絵を見たとき、美しいとか、鮮やかだ、といった印象を、すぐに、無意識のうちに条件反射として感じるものなのだが、模写するときにこれを感じてしまっては、必ず狂いが出てしまう。印象派の絵画が象徴しているように、もし「印象」のままに描けば、実物とかけはなれたものができてしまうのだ。
これはつまり、虫を見た場合に、条件付けされた「印象」のままに反応すれば、虫が実際よりはるかに気持ち悪く見えたり、大きく誇張されたりして、頭の中でイメージが歪曲されてしまう、ということと同じである。
それで、絵を模写する人は、模写するあいだ、対象の意味や印象を頭から締め出すことにする。その代わり、画板の上に乗っているピクセル単位の画素に神経を集中させる。周囲の色の印象に影響されないよう、ありのままの色を拾う。
同じように、全体の位置関係にしても、絵全体のイメージや印象を意識して模写してしまうと、必ずずれや狂いが生じる。それで、印象を抜きにして、あたかも数学の幾何学的な作図であるかのように、(たとえばた鉛筆を定規にして長さを測ったりしつつ)、位置関係を描き写していくのである。
印象は条件付け反応によって引き起こされるものなので、必ず誇張や歪みが入り込んでいる。マインドフルネスを実践するときは、印象を抜きにした、ありのままの感覚を読み取るようにしなければならない。
恋に夢中になる、というのも、ドーパミン性の条件付け反応の一種だといえる。特定の異性を見るたびに、ドーパミンが放出され、快感を得る報酬回路との結びつきが強化され、「恋は盲目」状態になる。
だが、もしここで、マインドフルネスを実践し、相手の人物のありのままの姿を見るようにすれば、盲目的な無意識の条件反射をとどめ、冷静な判断を下すことができる。
立ち止まって今ここにとどまるようにすれば、すでに条件付けされてしまった強烈な印象抜きに、相手の行動をありのままに判断できる。また相手の外見に惹きつけられているとしたら、立ち止まって、模写の時のようにして相手の顔を見れば、外見はいずれは朽ちてしまう有機物の集合にすぎないことを思い出せるだろう。
その上でなお、相手のことを好ましく感じられる要素を見つけられるのであれば、条件付けされた盲目の印象ではなく、冷静なありのままの観察に裏打ちされた、まっとうな恋だということになろう。
恐怖症や偏見を克服するためには、まず、意識を今ここにつなぎとめ、怒涛のごとく感情を押し流そうとする条件付け反応に流されないように、いわゆる錨のような役割を果たすマインドフルネスの習得が先決である。
無意識のうちに流されてしまっては元も子もない。なんとしてでも、まずは今ここ、この瞬間に立ち止まって足を踏ん張ることが大切である。
手の指先に注意を集中したり、足と地面の接地面に意識を向けたり、風や空気が顔に振れる感覚を意識したり、どんな音が聞こえているか注意を向けたりして、今この瞬間の感覚を感じる必要がある。そうすれば、脳の前頭前皮質や島皮質のスイッチがオンになる。
一般には、呼吸に意識を集中するよう指導されることがあるが、人によってはかえって不安定になることもある。呼吸にこだわらず、自分にとって利用しやすい。今ここの感覚を見つけることが大切だ。
「感覚を感じている自分をイメージしてしまう」という落とし穴にも注意が必要である。わたしの場合、たとえば手や足の感覚に意識を集中していると、いつの間にか、架空の手足を空想して、それが架空の感覚を感じようとしているイメージに入り込んでしまうことがある。これはマインドフルネスとは正反対の解離である。
もともと不快感の強い身体感覚を錨にしようとすると、意識が飛んでしまう。わたしの場合、それを防げる身体感覚は音に意識を集中することだった。人によって、どの感覚が、ありのままの今この瞬間の体験に意識を向けやすい錨になるかは違う。
その今この瞬間の感覚を強固な錨として、自分が苦手とする何らかの感覚をありのままに客観的に見つめるようにする。もし途中で、怒涛のごとき条件反射に飲まれそうになってしまったら、錨となる今ここの感覚を再び意識することによって、流されないようにしがみつく。
ヘッブの法則が示すとおり、同時発火するニューロン同士の条件付けはどんどん強化されていくが、同時発火しないニューロンの条件付けはやがて薄れていく。
望ましくない条件付け反応に陥りそうになるたびに、マインドフルネスを意識して、今ここに自分をつなぎとめ、無意識のままに反応してしまうのを遮るようにすれば、やがて少しずつ条件付けは薄れていく。
最初のうちは、怒涛のごとき流れに抵抗するだけで精一杯かもしれないが、繰り返し繰り返し意識的に抵抗していれば、ニューロンの結びつきが書き換わっていく。一番辛いのは最初のうちだけだ、ということだ。
条件付けは人が生存のために発達させる強固な仕組みだから、それを解消するのはたやすくない。だから、これほどトラウマや依存症や偏見が蔓延しているのだ。
もし道に迷ってしまったら、マインドフルネスに立ち返ることだ。抵抗しても流されてしまうのは、ひとえに船を大地につなぎとめる錨が弱いからにほかならない。今この瞬間にもっとしっかりと、もっと長時間とどまれるようになれば、流されることは減っていくはずだ。
また、ドーパミンは条件付け反応を強化すると書いたが、一方で、オキシトシンは条件付け反応を破壊するという説を読んだことがある。女性が妊娠や出産を機に、それまでのライフスタイルや習慣を一変させることができるのはそのためかもしれない。
だとすると、オキシトシンの働きが弱い愛着障害者が、望ましくない条件付けの問題を抱えやすいことの説明もつく。この場合、安心できる自分の居場所を見つけ、腹側迷走神経の働きを強めることも、望ましくない条件付けを解消するのに重要なステップといえるだろう。
2020/09/18金
今日は農家のお手伝いで、トマトの茎を解体しました。
この夏ずっと豊作の実りを生み出してくれたトマトですが、そろそろ店じまい。最後の収穫をしてから、茎を細かく切り分け、来年の肥料にします。
ちょっと可哀想な気もしますが、一年草が冬がくるにつれて枯れるのは自然のことわり。過度な擬人化はやめておきましょう。自然のサイクルにそって土に返り、また新しい植物を芽生えさせて地球は生きているんですから。
道中では、ヤマザクラがとても鮮やかに紅葉していました。ツタやモミジに先立って、赤く色づく葉の一番乗りです。
2020/09/19土
ノボリリュウタケ食べた!
夕方ごろまで用事で外出していたので、日も傾いた16時にやっと森へお出かけ。夕方以降に森に入るのはよくないのだけど、すぐに帰ってくるつもりで。昨日雨が降ったから、キノコを見ておきたかった。
そういえば、外出先からの帰り道、初めて道路を横切るエゾリスを見ました。普段よく見かけるのはシマリスばかりだったので、少なくとも至近距離でエゾリスだと判別できたのは初めてでした。
パッと道路を横切っただけの一瞬の姿だったので、写真には撮れませんでしたが、人間の目はカメラより高性能なので、しっかりと目視できました。
さて、いつもの森では、ハナイグチが出そうなカラマツ林を二箇所歩いてみましたが、新しいものは残念ながら見当たりません。
その代わりに、カラマツ林のあいだを結ぶ混交林で、アシボソノボリリュウタケを発見。
だけど、アシボソノボリリュウタケでは食用にならない。無印のほうのノボリリュウタケがほしいなぁと思って歩いていたら…
今年初のノボリリュウタケ発見!
鞍の部分はアシボソノボリリュウタケとも似ていますが、裂けるチーズのごとく、独特の裂け目が入った柄の部分を見れば、ひと目でノボリリュウだとわかります。
去年は2回見ただけで、食べるまではいかなかったけれど、今年はしっかり前知識を得て準備万全なので、もちろん採取します。
サイズは6cmくらいしかないか。少し小さめだけど、鞍が褐色に変わってきているので、これ以上はあまり成長しないはず。明日以降来たとしても再発見できる自信がないし。
ノボリリュウタケはそのユニークな形ゆえに、比較的見分けやすいキノコ。白いのと黒いのがありますが、どちらも茹でこぼして加熱すれば食べれます。
(※追記 : ノボリリュウタケは一般に食用とされていますが、微量のギロミトリンという毒性成分が含まれることがわかっています。これは加熱すると、発がん性が疑われているモノメチルヒドラジンという成分に変化します。モノメチルヒドラジンは水溶性かつ、沸点が低く、揮発性が高いため、沸騰した湯でしっかり茹でて、茹で汁を捨てて洗えば、無毒化できるようです。この方法は、よりギロミトリンを多く含む後述のシャグマアミガサタケを食べるフィンランドの方式に倣っています)
同じノボリリュウタケ科(※今はフクロシトネタケ科に移されたらしい)には、シャグマアミガサタケという猛毒キノコが存在するものの、そちらは春に出るキノコなので、間違えないでしょう。似てるとはいってもかなり形が違うし。
その仲間で、秋に出るヒグマアミガサタケ(別名トビイロノボリリュウ)もたぶん毒なので、そちらのほうは、より見分けに気をつける必要があります。しかし、鞍の形が似ているだけで、色といい、柄の形といい、かなり違うので、知識として知っていれば、大丈夫そうです。
画像を調べたところによると、ヒグマアミガサタケ(トビイロノボリリュウ)の幼菌は、上記のアシボソノボリリュウのほうに酷似しているようです。どのみちアシボソは食毒不明なので、採らないのが正解ですね。
ノボリリュウタケを見分ける際は、(1)鞍を含め、全体的に白っぽいか黒っぽい。(鞍だけ色が濃いのは違う)、(2)柄がちゃんと裂けるチーズしてる。(ちょっと凸凹してるくらいはNG)、の2点をしっかり確認することにしましょう。
今日採ったノボリリュウタケは、帰ってから、ニンニクで味付けしてバター炒めにしました。フランス料理っぽい?盛り付け。
あまりに少量しかなかったので、ぜんぜん期待せずに食べましたが、一口食べて驚くほどの絶品!
味は特になくて、料理の仕方によるそうですが、ノボリリュウタケの美味しさは食感にありました。今まで食べたキノコの中で最も弾力性があって、歯ごたえ十分。鶏のささみみたいな感じ。
うちは病気になって以来、ほとんど菜食中心なので、肉はめったに食べませんが、もしノボリリュウタケを人工栽培できるようになったら、ベジタリアンには朗報かもしれません。これほど美味しかったら鶏肉なんていらない。
こんな少量でも、はっきり美味しさが感じられるなんて、さすがヨーロッパでは高級食材として取り扱われているだけのことはあります。
ちなみに、去年10/7に、同じ森で目撃していたノボリリュウタケ。改めて見ると、去年見たほうがグロテスクというか立派というか。特に柄の部分の発達が著しい。
サイズは測っていませんでしたが、けっこう大きかった記憶があります。10cmを超えていたかもしれない。去年も今年も見つけたということは、また歩いていると発見できるかもしれませんね。
猛毒タマゴタケモドキ初確認
さて、森歩きのほうに話を戻しますが、ノボリリュウタケを発見したのは、この前タマゴタケの老菌を見た場所です。
今日もタマゴタケないかなーと見ていたら、
ありました。しかもわんさかと見つかりました。
しかし、写真のとおり、どれもこれも老菌ばかり。無理すれば食べられないこともないだろうけど、できたら、もう少し新鮮なタマゴタケを食べたいのでスルー。どうしていつもタイミングが悪いのか…。
でも、老菌があるということは近くに幼菌も…、とすぐそばに目を落としてみると…
なんだこれは…。黄色いタマゴタケという時点で、警戒心が掻き立てられる。なぜなら、食用に適したキタマゴタケか、猛毒タマゴタケモドキかのどちらかだから。
そして、この写真のは、どうやら傘に条線がないように見えるので、たぶんタマゴタケモドキではないかと…。(ごく近縁のタマゴテングタケの可能性もあるが、顕微鏡で胞子を観察しないと判別できないとのこと)
タマゴタケの群生のすぐとなりにタマゴタケモドキが生えているというだけで、背筋が凍る思いでした。黄色いのはスルーして、さらに条線などの特徴を確認していれば間違えないはずだけど、それでも怖い。
しかしながら、これほどタマゴタケやらタマゴタケモドキやらがぼこぼこ生えているということは、さらに一帯を探せば、新鮮なタマゴタケも当然あるのでは?
確かにちょっと森の奥を見ただけで、テングタケ科らしきキノコの成菌が目に入ります。探す価値はありそう。
だけど、もういつの間にか、時間が17時近い。今の時期の日の入り時刻は17:30なので、太陽がすっかり傾いてきて、森の中まで差し込んでこなくなりつつありました。
それこそ、タマゴタケモドキに条線があるかないかもはっきり見えないくらいだったので、急いで帰路につきました。これからは野生動物の時間。人間は早く退散しないと。
森を出るころには、プルキニエ現象が発動するほどまでに、森の中の色合いがぼやけてきていて、かなりギリギリの時間帯だったと思います。森の外に出てしまえばまだ明るいのですが、こんなに違うものなんですね。
今日はほんの短時間の森歩きだったけれど、はじめてノボリリュウタケを食べれたし、タマゴタケの群生地も発見できたので、とても有意義でした。また探検しに来たいです。
2020/09/20日
巨大ノボリリュウタケを見つけた!
今日は午前からずっとオンラインビデオ会議の予定でしたが、Zoom疲れのため、重要度の低い午後の予定は参加を取りやめて、昨日と同じ森に出かけました。
少し雨がぱらついていましたが、レイチェル・カーソンの言うとおり、雨に濡れて霧がかった森はとても美しい。
昨日調べることができなかったタマゴタケ地帯を、明るいうちに、もっとよく調べたいと思いました。
その地点に到着したら、昨日見つけたタマゴタケモドキ(タマゴテングタケ?)の背丈がかなり伸びていました。一晩にしてキノコが地面から立ち上がる…、ポタワトミ語のプポウィーを彷彿とさせる成長具合です。
昨日までは見えなかった柄の皮膜が破れたささくれが、いかにもタマゴタケモドキらしい。怖い。
その付近には、昨日見つけたタマゴタケ老菌がたくさん生えているので、もっと若いキノコがないかと、奥のほうまで目を凝らしますが、タマゴタケらしきものは見つかりません。
その代わり、かなり斜面の奥のほうに、白いぐにゃぐにゃしたものが見えた。ノボリリュウタケです! しかもここか見て判別できるなんて、かなり大きなサイズだと思われる。
そのノボリリュウタケが生えているのは、斜面を少し登った上の、シダ植物が群生してジャングル化している場所だったので、いったいどうやって登ればいいのか、しばし考えあぐねる。
幸いなことに、今日も、全身を覆うツルツルした素材の服を着ていて、帽子も顔網もフル装備なので、藪こぎすることは可能。ということで、目印になる木を覚えておいて、斜面が緩やかな場所からシダ植物をかきわけて向かうことにしました。
もともとわたしは、汚れるのが嫌いで神経質なので、クモの巣や謎の植物だらけの藪の中に分け入っていくのは抵抗がありましたが、秋になって虫も減っているので、なんとかなるでしょう!
意を決して道なき道を回り込んでたどりつくと、確かにノボリリュウタケ!
昨日載せた、去年10月に見た大きめのノボリリュウタケに匹敵するがっしりした柄。反り返った鞍も含めて見れば、さらに大きくて立派。まるで地面からそびえたつ大樹のようにも見えます。
早速根もとから引っこ抜いてみたところ、これほどの大きさ。昨日の写真と比較すると、2倍以上あることがわかります。これは食べごたえありそう。
図鑑によると、ノボリリュウタケのサイズは5~13cmとあったので、昨日のが最小サイズ付近だったのに対し、今日のは最大サイズだということになります。巨大な魚を釣り上げた釣り人のような気分になります。
だけど、巨大な魚を釣って殺してしまうのは可哀想に思えるのに対し、キノコの場合は、大きくなって胞子を飛ばしたら後は朽ちゆくだけなので、むしろ採らないのはもったいない。
少し鞍の部分が傷んでいたので、あと一日遅かったら、もう採ることはできなかったでしょう。素敵な森の恵みに感謝です。
昨日と同じように料理してみたところ、昨日よりも食感が柔らかくて、鶏肉っぽさが増していました。ただ、わたしの好みとしては昨日のプリプリした弾力性ある歯ごたえのほうが好きかな。
野菜とか魚と同じで、大きければそのぶん美味しいとか、食べごたえがある、というわけでもないようです。小さくても身が引き締まっていることもある。でも昨日のも今日のも、どちらもとても美味しいノボリリュウタケでした。
ホウチャクソウ、クサソテツ
と藪の中を歩き回っているときに、とてもきれいなホウチャクソウを見つけました。双子の実もしっかり色づいていました。
ずっと観察していても、ぜんぜん実が色づかなかったホウチャクソウ。似たような張っばのアマドコロやユキザサが、とっくの昔に実が熟して枯れてしまった後に、こうして深みのある青に色づくことを知りました。
こういう出会いもあるから、汚れるのを承知で密林の中を歩き回ったのも無駄ではなかった、と思えます。
春にたくさん山菜コゴミを採りに行った地点を通ったら、枯れかけている胞子葉がたくさん見つかりました。コゴミが成長した姿、シダ植物のクサソテツです。
クサソテツの葉っぱってこんなに巨大になるものなんですね。てっきりオシダかと思っていたけれど、よく見たら、クサソテツでした。
コケの朔。何ゴケか調べないとわかりません。カモジゴケ?
チョウセンゴミシの実がすっかり赤くなっていて、つまんでみると柔らかく熟しているようでした。
去年撮った写真と比較しても、今年のチョウセンゴミシは明らかに不作なので、森の動物たちのために残しておきたく思い、ほんの3つだけ味見しようと拝借しました。
チョウセンゴミシ(朝鮮五味子)の名のとおり、味にばらつきがあり、食べるごとに味が違うと聞きますが、今日採ったのは、果たしてどんな味なのか…。
…酸っぱい!
まるでビタミンCの塊のような酸っぱさで疲労回復しました(笑)
そのほか見つけたキノコ。立派なイボテングタケとか
そのうち調査して、わかったら追記予定
謎のキノコ
謎のキノコ
謎のキノコ
頻繁に見かけた白いキノコ。傘に丸い輪っか状の膨らみがある。オトメノカサかと思ったが、場所はトドマツ林だったと思うので、違うでしょう。シロヌメリガサという可能性も。つばがないので、シロカラカサタケの可能性はない。(追記 : 後にオシロイシメジだとわかりました)
謎のキノコ。
倒木に生えていた鮮やかで平ベったいキノコ。去年も見たツガサルノコシカケか?
すばらしいテングタケ。トドマツ林で発見したので、イボテングタケのほうかな。大まかにいって、広葉樹林ではテングタケ、針葉樹林ではイボテングタケだそうです。
まるで伝説のコロボックルのように、フキの葉を傘にして雨上がりの森の片隅に佇んでいました。
イボイボの部分は触ったら柔らかくてブヨブヨしてました。確かにこれなら雨が降ったら剥がれ落ちてしまいそう。
そういえば、チチタケっぽいキノコを見つけたので、初めて失礼ながら傘を少し折り取ってみましたが、乳液は出てきませんでした。チチタケではなかったということ。まだまだ見分けが初心者すぎてコツがつかめません。
2020/09/21月
謎の若いキツネにつきまとわれる
昨晩夜ふかししてしまい、あまり体調がよくなかった上、天気が雨降りだったので、ようやく15時ごろに森に出かけました。
今日は久しぶりに湿地帯のほうの森へ。ぬかるんでいることが想定されたので、回り道になる別の入り口から入っていきました。
道の脇には、実のなったサラシナショウマなどが生えています。鮮やかに紅葉しはじめた葉が道に積もって、気温からもも景色からも秋らしさが感じ取れました。
ある程度奥まで進んで、もうすぐいつもの森に合流できるかな、というあたりまで来たところで、いきなり目の前にキツネが飛び出してきました。今年生まれたばかりの若いキツネでしょうか。
野生動物との至近距離の遭遇に驚いてたじろぎましたが、きっとすぐに逃げていくだろうと、たかをくくっていました。ところが、前に進もうとしたら、わたしの周りをぐるぐる回るばかりで、逃げるそぶりがありません。
まだ子どものキツネで小さいから、可愛いといえば可愛い。でも本来、これほど人間慣れしていることはないので、どことなく気味が悪い。
キツネといえども、犬の仲間なので、本質は野犬みたいなものです。まさかとは思いますが、噛みつかれたらどうしよう、といった不安が頭をよぎります。それほど至近距離をつきまとってきて離れません。
誰かが過去に食べ物をあげたのでしょうか。一度エサをもらったせいで、車に近づいて死んでしまう不幸なキツネもいます。でももしそうなら、森の中ではなく、車が通る車道沿いをウロウロしていそうなものです。
森の中でこんなに人間につきまとうとは、林業関係者か誰か、徒歩で森に入った人間が食べ物をあげたのだろうか? でもこんな辺鄙な森に入る人で、観光客のようにでき心からエサをふるまう人がいるとは考えにくいのですが…。
子ギツネだから、子どもを守るためにあえて人間にそばに来て威嚇している、というわけでもないでしょう。でも、理由がわからなかったので、森の奥に進むのはやめて引き返すことにしました。
しかし、来た道を引き返しても、2mくらいの距離を保ちながら、ずっとわたしの周りを駆け回って、ついて来るのをやめようとしません。あまりに近づかれると怖いので、杖の先を向けていると、それ以上は近づいてきません。
森の入り口付近の分岐点に差し掛かると、キツネは立ち止まって、わたしとは違うほうの道で座っていました。ようやく追いかけてくるのをあきらめたようです。わたしはそこから森の外の出て、大回りして車を目指しました。
ところが。
遠回りするわたしの姿を見ていたのでしょうか。キツネは別ルートから、わたしのところまでやってきました。野生動物ともっと仲良くしてもいい世界だったら、これほど懐いてもらえるのは嬉しい限りなのですが、今はそうではありません。
急いで車に乗り込み、様子をうかがいます。もし車につきまとうようなら、ひいてしまわないよう、慎重に動かなければなりません。
しかし意外なことに、車が少しでも動くと、驚いて飛び退き、向こうから避けてくれました。やはり、ドライバーからエサをもらったわけではなさそう。謎が深まるばかりです。
考えられることといえば、今年生まれた子ギツネなので、可愛い子どものときに人間から食べ物をもらったのかもしれません。今年、わたしも子ギツネに遭遇しましたが、確かに食べ物をあげたくなるような可愛さでした。
でもそのせいで、人間は食べ物をくれるものなのだ、と思い込んでしまったとしたら不幸なことです。ドライバーにエサをもらって、ほいほいと車に近寄っていくキツネよりはましですが、それでも人間との一定の距離感は保たないと双方に危険が伴います。
でも、わたしにとっては、野生動物の遭遇がただの若ギツネでよかったのかもしれません、これがヒグマだったと思えばゾッとしますね。子ギツネだからこそ、薄気味悪くも、近くで見れて可愛げも感じられたのですから。
その後、車で森の出口まで回り込んで、逆方向から少し入ってキノコを探してみました。さすがのキツネもここまではやってきませんでした。
以前フジウスタケを見つけた場所に、新しいフジウスタケが2つ顔を出していました。まったく同じ場所に出てくるということは菌根菌なのかな。前回ほどイボイボははっきりしていませんでしたが、独特な形で面白いキノコです。
ほかにも謎のキノコが色々。先日も載せた、オトメノカサやシロヌメリガサっぽい白いキノコ。傘の形のでこぼこが特徴。場所は全然違う森なので、同じかどうかわかりませんが。(追記 : 後にオシロイシメジだとわかりました)
サルノコシカケに似ているけれど、おそらく針葉樹の腐朽菌であるレンガタケか? 近縁のキカイガラタケも似ているけれど、色合いからしてレンガタケっぽい。
なんとかシメジっぽい名前がついてそうなキノコ。このタイプは特に見分けがつかなくて苦手。
巨大な傘を持った味わい深い模様のキノコ。
もう少し観察したいという気持ちがありましたが、やはり秋の日はつるべ落とし。時刻が16時をまわると、森の中は目に見えて暗くなってきて、キノコの色さえも識別しにくくなったので、急いで引き返してきました。
薄暗い森は怖い。秋に自然観察したければ、ちゃんと夜ふかしせず早起きして、もっと明るい時間帯に探検しないといけません。
2020/09/22火
道でトガリネズミが死んでいた
今日はとてもよく晴れていて、気持ちのいい天気。せっかくの好天なので、かなり早い時間帯から森に散歩に行ってみました。昨日の湿地帯の森は、またキツネがいるかもしれないので、もうひとつのキノコ狩りに適した森へ向かいます。
車を停めた場所のすぐ近くで、こんもりしたものがアスファルトの地面に落ちているので、なんだろう?と思って近づいたら、なんとトガリネズミの死体でした。
死体といっても、血は出ておらず、傷もなく、ただ生前のきれいな姿のまま、コテンと転がっていました。野生動物に襲われたでもなければ、車に轢かれたわけでもなさそう。
そもそも、こんなところに車を停めるのはわたししかいないので、自分が轢き殺したとかでなくてよかったです。アスファルトの地面といっても森に囲まれた場所なので、なぜ死んでいたのか不明。寿命で心臓がとまった?
写真も一応撮ったのですが、さすがに死体の写真なので掲載はやめておきます。別に傷跡などはないけれど、前にどこかのブログで似たような場面の写真が載せられていて、不快に感じた記憶があるので。
このあたりにトガリネズミがいることは友人からの話で聞いていたし、ネットで写真も見たことがありましたが、実物を見るのはこれが初めてでした。
確かにネズミの大きさなのに、目も耳も小さくてよくわからない不思議な生き物。モグラとネズミのあいの子みたい。
できれば、生きているときに姿を見たかったけれど、なかなか人前に姿を現すことはない野生動物なのでしょう。死んでいるのでもなければ、どんな姿かはっきり見れなかっただろうと思うと複雑な気分です。
冬虫夏草の仲間サナギタケ
さて、そこから森の中に入って、いつもの獣道をキノコを探して歩きましたが、カラマツ林にはハナイグチは見当たりませんでした。これほど雨が降って気温も下がっているのに…。法則性が今ひとつ理解できません。
獣道の脇にたくさん生えていたナズナのような種をつけた草。なんだか初めて見るような気がして、注目してみたところ、葉っぱからズダヤクシュの成れの果てだとわかりました。種が乾燥して茶色になったから別人のように見えただけでした。
ハナイグチは見つかりませんでしたが、今日はよく晴れていて涼しく、時間も十分にあるので、ゆっくり森歩きを楽しめます。せっかくだから、森の中の知っているルートをぐるぐると長距離歩いてみることにしました。
まず少し湿地になっているほうを抜けて、森の奥へ向かいます。この道は地面はミゾソバに覆われていて、カエルがたくさんいますが、もうカエルには慣れました。道の両脇には、シダ植物やイタドリに巻き付くアマチャヅルなどが繁茂しています。
秋になって草のかさが減ってきたせいで、ところどころ地面が見えていますが、ぬかるみに残っている足跡は人間の靴の跡ではなく、小型の野生動物と思しき丸っこい足跡でした。雪に残った足跡ほどくっきりしてはいないので、判別はできません。
道沿いに繁茂する左右の藪には、時々、草が倒れて、奥へ登っていく道のようになっている場所が見つかります。もしかしたらわたしが知らないルートかもしれない、と思い、足を踏み入れたくなります。
この森はかなり広く、かつてもっとこの自治体が栄えていたときに整備されていた道が残っていることがあるからです。春に山菜採りしたとき、それまで草に覆われて見えなかった場所に、古い丸太の階段を見つけたときは驚いたものでした。
でも、今日見つけた茂みの中の道を進んでみると、急に道がなくなってしまって、先に進めなくなりました。どうやら、人工の道ではなく獣道だったようです。いったいなんの動物がうろうろしているのかはわかりませんが…。
そのあたりに生えていたカラマツの木の根もとに、見慣れない奇妙な菌類を見つけました。
拡大してみると、おおよそキノコらしからぬ姿をしている不思議なオレンジ色の突起です。
触っていませんが、写真で見る限り、表面の質感はザラザラしてそう。
サイズは極小で数cmくらい。
とても奇妙でしたが、キノコ図鑑でよく似たものを見かけた記憶があるので、たぶんすぐ同定できるだろうと考えました。明らかにキノコっぽくない見た目なのに図鑑に載っていて、異彩を放っていたので、印象に残っていたからです。
帰って調べてみると、それはキツネノロウソクという菌類でした。菌従属栄養植物のタヌキノショクダイの親戚かと思いきや、スッポンタケの仲間。だから、グレバと呼ばれる黒っぽいネバネバした胞子の粘液がついている。
…はずなのですが、この写真にはどう見てもグレバがありません。雨で洗い流されることもあるようですが、それにしてはきれいすぎる。
改めてGoogle Lens先生に調べてもらうと、キツネノロウソクではなく、サナギタケというキノコだと出ました。図鑑で調べてみたら、かなりわかりにくい写真。やっぱり頼りになるのは図鑑じゃなくてGoogle Lens先生だなぁ。
他にこんな形をしたキノコとしては、スリコギタケ、ナギナタタケ、カバイロテングノメシガイなどもあるそうですが、今日見たのは表面がザラザラしているから違うでしょう。
このサナギタケというのは、有名な冬虫夏草の仲間で、なんと虫のサナギや幼虫に寄生するそうです。ということはこの下に虫の亡骸が埋まっていたということか…。
しかも、このサナギタケは冬虫夏草と同様に、高級な中華料理食材や漢方薬として取引され、培養されているのだとか。一説によると冬虫夏草よりも効果が高いらしい。なかなかすごいものを見た気分になりました。
ついに全貌を現したタマゴタケモドキ。アカモミタケ、スギタケなども。
しばらく歩いて、先日タマゴタケやタマゴタケモドキ(タマゴテングタケ?)を見つけた場所に出てきました。タマゴタケはすっかりしおれて見る影もありませんが、タマゴタケモドキのほうは、今が全盛期とみえます。
傘の周辺が白っぽくなっていて、どこにも条線らしきものは見つかりません。幼菌のときから、おそらくタマゴタケモドキだとは思っていましたが、これで確定ですね。食用のキタマゴタケではありません。恐ろしい…。
残念ながら、そのあたりに、追加のタマゴタケの発生は確認できませんでした。もしかしたら見えない場所にはあったのかもとれませんが、一昨日のように、深い藪の中までは入っていきませんでした。
その近くにあった謎の赤っぽい美しいキノコ。近くに生えている小さなものも同じ種類でしょうか。
同じ種類だとすると、傘がまだ開いていないものはまんじゅう型をしているみことがわかります。傘が開いているのは、かなり水を含んで湿っているので、本来の姿がわかりにくいですが…
Google Lens先生で調べてみたら、アカハツ(アカハツタケ)ではないかとのこと。さらに調べてみたところ、環紋がはっきりしているので、アカモミタケの可能性も高そう。見つけたのはトドマツ林あたりだったと思うので後者の可能性が高いか。
はっきり区別するには、裏側のひだを切って、出てきた粘液が何色に変色するかを見る必要があるそうです。粘液がオレンジ色のままだとアカモミタケ、青緑に変色するとアカハツとのこと。
どちらも食べれるそうですが、今のわたしの経験値程度では、本当にアカモミタケなのか?と疑問符がつくので採取に至りません。あと数年の経験が必要かな。少なくとも、次に見つけたら粘液を確認してみなければ。
その付近は、初夏にタラノメを採取させてもらった場所ですが、もう実をつけて久しいタラノキの葉が紅葉してきていました。
タラノキはひとつひとつの葉がとても巨大な複葉で、ばっさり葉を落としてしまうため、紅葉を見れる期間が短く貴重。でもその巨大な複葉が虹色に色づく様子はとても美しいです。
それから、別のカラマツ林も見て回りましたが、ところどころ謎のキノコはあれど、ハナイグチは見つかりませんでした。その代わりに、とても波打つ傘をもった謎の白いキノコがたくさん生えていました。
サイズはさほど大きくありません。
真横から撮ってみると、傘の裏側は普通のひだの形状をしているようでした。だからシロカノシタではありません。
調べてみましたが、今ひとつ同定に至らず。カヤタケの仲間の老菌じゃないかと思うんですが、見つけたのは確実にカラマツ林なのでカヤタケではなさそう。
次に見つけたのは、わたしでも知っている特徴的な外見のキノコ。ツチスギタケだ! …と思ったら、最近訂正があったそうで、ツチスギタケモドキが正しいのかな?
ささくれだった傘と柄の質感が独特で、どう写真を撮っても、とても映えるキノコですね。
一昨日来たとき、チチタケかと思って、傘をちょっと割らせてもらったキノコ。同じ個体を見つけました。でも乳液は出なかったので、別のキノコなのでしょう。いったいなんだろう?
イネ科の雑草に侵食されている森の中の遊歩道に生えていたキノコ。これも今の知識だとわかりません。Google Lens先生はフミヅキタケ科だと述べますが。
その近所の笹やぶで、クマイザサの茎に巻き付いていたツルリンドウ。前に花が咲いているときの様子を撮ったことがありましたが、赤い実がなって、よりいっそう目立つようになりました。
それにしても今年はツルリンドウの実があちこちで目立つこと目立つこと。去年もたくさんあったのに気づかなかっただけなのか、それとも今年のツルリンドウが豊作の当たり年なのか。
今日もノボリリュウタケ見つけた
あきらめて引き返し、タマゴタケ地帯に戻って、また少し探検していると、なんと今日もまたノボリリュウタケを発見してしまいました。しかも今回は双子のノボリリュウタケでした。
これでこの森の道沿いで見つけたノボリリュウタケは5本目。まったく同じ場所で見つけているわけではありませんが、どれも同じ森の一帯の範囲内です。樹種はトドマツが多いですが、そこそこカラマツや広葉樹も混成しているように見えます。
ノボリリュウタケは帰宅後、いつものバターソテーにして、目玉焼きを添えていただきました。いつ食べても歯ごたえが抜群ですね!
思わぬ収穫もあって満足したので帰途につくことにしましたが、まだ時間はあるので、ぐるりと迂回して、少し斜面を登ったり降りたりしながら、帰るルートを選びました。
ノボリリュウタケのすぐ脇にあった、白い傘が波打つ謎なキノコ。さっき見つけた白いキノコにも似ているけれど、今回はトドマツを主体とした混交林だったかと思います。
キノコに関しては、経験が浅いのと、種類が多すぎるのとで、Google Lens先生で関連画像をたどれなければ、手も足も出ないですね。見た目も幼菌や老菌だと全然違うので、図鑑の写真がほとんど役に立たない。
自然に興味をもつことがあっても、名前を知ろうとすることをやめてしまう人が多いのは、あまりに複雑で答えにたどりつけないことが多いからだと思います。
誰か詳しい人が身近にいるとか、サークルに入っているとか、インターネット掲示板を通してやりとりできるとかがあれば別ですが、わたしはそういう煩わしい人間関係は嫌いです。
だから、Google Lensがなければ、植物観察をここまで続けてこられなかったかも。そう考えると、とても良い時期に自然観察を始めたものですね。
カラマツを枯らすカイメンタケ、傘が開いたテングタケ
カラマツのうろに生えていた、焼けたお餅のような謎キノコ。Google Lens先生の助けにより、たぶんカイメンタケの幼菌ではないかと思われます。ツガサルノコシカケ科のキノコで、傘が開くとサルノコシカケ型に。
見上げてみると、まだ青々として生きているカラマツでしたが、カイメンタケは木材腐朽菌なので、徐々に侵食されて死んでしまいそうですね。子実体が見えているということは今頃対処しても手遅れでしょうし。
帰り道で、先日、フキの葉の下にイボテングタケが生えていた場所を通りかかったので、改めて探してみると、傘が開いて立派な姿に成長していました。
毒キノコではあるものの、ベニテングタケと並んで、とてもキノコらしい典型的な見た目をしたキノコ。見ているだけで美しくてうっとりしてしまいます。
あまりに立派なキノコすぎて、もう次に来たときは、弱って朽ちてしまっているんだろうな、と思うと少し名残惜しい別れでした。
新しく発見したシダ、イワトラノオ…ではなさそう
その付近の斜面に生えていた小さなシダ。別に珍しくもなさそうですが、こんなに小さいシダながら、まとまったきれいな形をしていたので、もしかしたら、今まで調べたことのない小型のシダ類の何かかもしれないと写真を撮ってみました。
サイズは葉全体で10cm未満という小ささです。ソーラスはありませんでした。
簡単にシダ図鑑で調べてみた感じでは、チャセンシダ科のイワトラノオというシダに、裂片の形もサイズもそっくりです。渓流沿いではありませんが、苔に覆われた地帯なので、その関係で生えていたのかも。
もう少しサイズが大きいか、茎の色が褐色だったりしたら、近縁種のトラノオシダだそうです。今回のはサイズも小さく茎も緑なので、イワトラノオでしょう。また未知なるシダをひとつ知れて嬉しい。
(追記 : おそらくイワトラノオではなくて、超小型のリョウメンシダだったと思われる。イワトラノオが生える環境ではないし、じっくり見れば裂片の形も違う)
入り口付近のコクワの木は、
トドマツ林に夕日が差し込んで、森がきらきらと輝いていました。
ずっと探していたツリバナとツチマメを発見
森を出たあと、もう少し散歩したい気分だったし、時間も15時ごろだったので、近くの林道を徒歩で歩きました。春にイラクサやイタドリ、エゾノリュウキンカなどを山菜として収穫した場所です。
すると、思いがけない場所に、不思議な赤い実を見つけました。
初めはズミやエゾノコリンゴかと思いましたが、よく観察すると、明らかに形が違います。どうやらツリバナの果実のようです!
去年、まだ何も知らないころ、この散策路でツリバナの花を見つけて、不思議な出で立ちの花だと思い写真に撮りました。後で調べてツリバナという名だと知り、合点がいったものです。
去年は時期遅れで、たった1つ花が残っていただけだったので、今年こそは満開のときに見たいと思い、何度か探しに来ましたが、同じ仲間のマユミは見つかれど、ツリバナは影も形もありません。
しかし今日になって、思いがけず再発見。記憶していたのとは、かなり離れた場所にありました。道理で見つからないはずです。
去年は花だけ見れたツリバナ。今年は実だけ見ることになりました。まだ実は弾けていないので、これから秋が深まるにつれ、もう少し観察しに来たいところです。
道沿いには、実が変色してきたオオウバユリも乱立していました。実がすっかり乾いて割れた後に、茎を振って種を飛ばす遊びをするのが楽しみです。
林道のに作られた排水溝から力強く生えていた外来種アメリカセンダングサ。去年庭で見たものはわずかタンポポくらいの大きさだったので、これほど大きくなるものとは思いもよらず、とてもびっくりしました。
この特徴的な花のおかげで、アメリカセンダングサだとわかりました。緑色バージョンのエーデルワイスです。
そしてその後、林道を引き返して歩いていると、イラクサが群生していたあたりに、ふと、3枚葉のつる植物が絡みついているのが見えました。これはもしやツチマメ!?
アイヌが重用していたマメ類で、土の中に埋まっているマメを秋や春に掘り起こすと美味しいということは本で読んで知っていました。
先月ごろ、3枚葉のつる植物をあちこちで探していましたが、全然見つからず、もうこの付近にはないのかもしれないと思い、探すのをやめて久しくなっていました。
それがまさかこんなところで見つけることになるとは。探しているときに見つからず、忘れたころに思いがけず見つかることもある。だからこそ、自然の中を探検するのは面白い。
ツチマメのつるを見てみると、地上部にも豆はできていましたが、あまりに小さくて、内部の豆も不完全でした。
アイヌがアハと呼んで食べるのは地下の豆のほうで、なんと地下にも人知れず花を咲かせているそうです。たくさんあったので、いずれ秋のうちに一株掘ってみようか、それとも春まで待つべきか。
帰宅して、採ってきたノボリリュウタケを塩水に漬けた後、せっかくよく晴れているし、まだ16時ごろなので、家の近所を自転車で走ってみることにしました。
目的はナギナタコウジュを探すこと。森の中にないということは、町の中の畑の近くや川沿いなどに見つかるかもしれない。
それで、一時間くらいかけて、町の中の行けそうな場所をすべてまわってみました。ヒグマが最近目撃されたという看板が立っているところや、砂利道や草むらで自転車で走るのが大変な場所も。
きっと10kmは優に走ったでしょう。もっと距離はあったかも。けれどもナギナタコウジュらしき花や葉は見つかりません。
トリアシショウマのようにこの地域には存在しない花なのか、サラシナショウマのようにまだ花が咲いていないので気づかないだけなのか、あるいはツチマメのように忘れかけたころに見つかるのか。答えは謎のままです。
2020/09/24木
タマゴタケ、ノボリリュウ、アカモミタケで料理
昨日忙しかったせいで、あまり体調がよくありませんでしたが、15時ごろ、重い腰を上げて、森を探検しにいきました。
すぐに立ちくらみを起こし、歩くのも息が絶え絶えなほどの体調の悪さでしたが、森の中を30分くらい歩いていると回復してきました。
何度も観察しているタマゴタケモドキ(タマゴテングタケ?)は、そろそろキノコとしての一生の晩年に差し掛かっているようで、らしくない色に変色していました。
ここまで色が変わると、タマゴタケと間違ったりはしませんね。テングタケ科かどうかも見分けるのが難しいくらい変わり果てた老菌です。
そのすぐ近くに出ていたオレンジ色のキノコの一群。一昨日来たときにも写真を撮って、たぶんアカハツタケかアカモミタケではないか、と書いていたキノコです。
下の写真のようにトドマツの根もとに出ているのでアカモミタケの可能性が高いと思っていました。
確実に同定する方法は、ひだから出る乳液を見ることです。オレンジ色の乳液が出れば、アカハツタケかアカモミタケだとわかります。さらにそれが30分くらい経って青く変色すればアカハツタケ、オレンジ色のままだったらアカモミタケです。
折よく、一番大きな老菌と思しきキノコが、地面から抜けかかっていたので、これ幸いにと採取して、ひだを見てみました。すると…
古くなって破れたひだから、はっきりとオレンジ色の乳液がにじみ出ているのがわかりますね! しかも変色している様子はないので、わたりの推測どおり、これはアカモミタケで間違いないでしょう。
真上から傘を撮ってみると、こんな模様。前回のときも撮りましたが、はっきりとチチタケ属らしい環紋が現れています。傘の上から見た模様も、傘の下側の乳液も、どちらもアカモミタケだと示しています。
一昨日の時点では、しっかり同定して、採取して食べようと思ったら、あと数年の経験が必要かもしれないと書きましたが…
あまりにはっきりと特徴が出ていること、そしてもうすでに地面から抜き取ってしまった老菌が手元にあることから、このまま捨てて帰るのはもったいない。食べてみたいと思うようになりました。
もちろん、帰ってから、似ている毒キノコがないのか、さらに詳しく調査すること前提で。
少なくとも5つくらいのアカモミタケがその近くに群生していましたが、初回だし、採りすぎるのもよくないので、もう一つ、若い菌を採取して2つ持って帰ることにしました。一枚目の写真に写っているものです。
傘の上から見ると、全然違う形をしているので、色合い以外、本当に同じキノコなのか?と迷いますが、引き抜いて裏側を見れば、同じキノコだということは一目瞭然ですね。
今回はたまたま、しっかり環紋が確認できる成菌が目立った場所にあったので同定に結びつきましたが、毎回見分けるのは、今の経験値ではちょっと難しいかも。だからこそわかりやすいときに採取して食べておくことで経験値を稼ぐのも大事か。
帰ってから調べてみると、特に似た毒キノコはないようです。オレンジ色の乳液を確認した時点で、食べれるアカハツタケかアカモミタケかのどちらか見て良いようでした。
姿かたちだけなら、猛毒のドクササコとの見分けが必要になりますが、ドクササコの形はろうと型のカヤタケ似だし、ひだは色が薄くて白みがかっているし、何より乳液が出ないので確実に見分けがつきます。どちらかというと、ナラタケと間違えそう。
一応キノコ図鑑などの情報によれば、ドクササコは北海道には存在しないことになっています。昨今の温暖化の影響で、今後はわからないので油断禁物ですが。
それにしても、チチタケ属の食用キノコといえば、ハツタケやチチタケが有名なのに、まずアカモミタケから食することになろうとは…。オレンジ色の乳液のおかげで、初心者にも見分けやすいというのがポイントでしたね。
さて、そこからしばらく歩いて、いつものノボリリュウタケがよく見つかる地帯まで来ました。今日もないかな、と思って歩いてたら、すぐに1つ目を発見。でもかなり傷んでいてボロボロだったので写真を撮るだけにしました。
しかし、後述するキハダの実を見つけた後、暗くなってきたので来た道を引き返して歩いていると、もう一つ見つけました。こちらは状態がかなり良かったので、小さいながらも採取することにしました。
大きさとしては、初回に採ったノボリリュウタケくらいかな。でも鞍が変色してきているので、おそらくこれ以上大きくならないのでしょう。さっきの朽ちていたノボリリュウタケも同サイズくらいでしたし。
こうして、小さなノボリリュウタケ1つと、アカモミタケ2つを携えて帰ろうと、日が傾いて暗くなってきた森の中を歩いていたら、今日最大のサプライズが待っていた。
タマゴタケ出てる! 思わず誰もいないのに声に出してしまいました。あまりにもきれいで立派なタマゴタケだったもので。
しかも1つだけではなく2つ。写真の左上に2つ目のタマゴタケがこっそり写っています。どうせなら、両方がちゃんと映るアングルで撮ればよかったのだけど、タマゴタケを見つけた嬉しさのあまり失念していました。
しかもこのタマゴタケ、どちらもかなり大きい。手前にあるほうは特に大きくて、30cmものさしくらいの長さがありました。なんといっても、柄の太いこと。
どちらも傘はところどころ破れてはいたものの、ひだの内側はかなりきれいなほうで十分食用にできます。あと1日遅かったら、もう傷んでいたかもしれない。体調が悪かったけれど、今日も森に出かけてきて本当によかった!
今日の収穫。普段は1つでも食用キノコを見つけたら満足してしまうほうなので、あまり量を採りませんが、今日は今までにない大漁です。といってもほぼタマゴタケの存在感のおかげ。
帰ってから今日のキノコを調理。
タマゴタケの傘とノボリリュウタケは虫出しのため塩水につけておきます。アカモミタケは、水につけると旨味成分である乳液が出てしまうと書いてあったので、タマゴタケの柄と一緒に軽く洗うだけにしておきました。
調理の仕方としては、本来、この三種類のキノコは全然特徴が違います。
まずタマゴタケは幼菌であれば生食できるほどであるのに対し、ノボリリュウタケはしっかり火を通さないと中毒することがあります。しかしこの二種は食感を楽しむのに向いているという共通点もある。
一方のアカモミタケは食感はボソボソしているとのことですが、近縁のアカハツタケやチチタケ同様、だし汁を取るのに向いています。だからスープや炊き込みごはんなどにいいらしい。…のだけど。
結局、全部一緒くたに混ぜてキノコソテーになってしまいました。もったいないかもしれないけれど、一つ一つを適した方法で料理するのって大変すぎる。
wikiによると、アカハツタケはバターで調理するのはNGみたいなことが書いてありましたが、理由がわからないし、個人ブログでは普通にバターで調理しているので、今回は混ぜました。うまみが飛ぶとかそういった理由なのかな。
チーズとからめて、こんなにきれいなソースになったのは、アカモミタケに含まれていた水分や汁のおかげなのかも?
食べてみた感想はまあ…、美味しいことは美味しいのですが、それぞれを最適な料理にしたらもっとよかったんだろうな、という印象でした。久々に食べてもタマゴタケの傘の食感はやはり絶品ですね。
やっと見つけたキハダの木
ノボリリュウタケがたくさん出ているあたりを、地面を見ながら歩いていたら、思いがけず、見慣れない木の実を発見しました。
拾い上げてみると、どうもキハダのようです。森の中で見つけたのは初めてですが、前に実物を食べさせてもらったことがあるので、なんとなくわかります。
実は小さいものの、ミカン科らしく表面がでこぼこしていることや、緑色の実が熟して黒く変わっていることなどから、見分けることができます。
去年の冬、スノーシューでこの森を歩いていて、たくさんキハダの若木を見つけました。馬の蹄鉄のようなユニークな形の冬芽なので、冬は簡単に見分けることができます。
しかし、たくさん若木があるのに、その親らしい木はついぞ発見できませんでした。地元の人たちも、このあたりでキハダは見かけない、と話していました。
でもわたしは、冬芽を観察していたので、キハダの木がないわけではないだろう、と踏んでいました。あまりに背が高い成木ばかりで、実や葉が観察できる高さにないだけなのではないかと。
そして今回、想定どおり、実が落ちているのを見つけたわけです。このすぐ近くにキハダの木があるに違いない! そう思って見回すと、一番近い木が、こんな樹皮をしていました。
図鑑でしか見たことがないものの、キハダの樹皮はコルク質で凹凸が激しいということは知っていました。木を樹皮だけで同定すると失敗しやすいとはいえ、これはかなりキハダらしい樹皮です。
もっと確かな証拠がほしかったので、はるか頭上にある樹冠の葉を、スマホ用の単眼鏡で観察してみることにしました。20倍近い倍率なのに、あまりに樹冠が高すぎて、これくらいしか見えませんでしたが…
はっっきりわかるのは、奇数羽状複葉、そして対生だということです。この時点で、一番多いオニグルミは除外されました。
オニグルミは奇数羽状複葉ですが、互生だからです。またオニグルミの葉(羽状複葉の小葉)は柄がほぼなありませんが、この写真で見る羽状複葉の葉は、柄がちゃんとついています。
道北に自生している樹木のうち、奇数羽状複葉かつ対生の樹木は、ニワトコ、ヤチダモ、キハダの3種類のみです。このうちニワトコはこんなに大きくならないので除外できます。
ということは、この樹木は、ヤチダモかキハダのどちらかということになります。ヤチダモの葉はシュッと尖っている流線型ですが、この写真の葉はもう少し丸みを帯びているように見えます。
樹皮、葉の形状、そして地面に落ちていた実。いずれの状況証拠も、この樹木がキハダであることを指し示しています。こういう推理って本当に楽しい。ついにキハダを発見できました!
でも、恐らく冬に見る若木の量からして、この森の中にはキハダがもっとたくさんあると思っています。少なくとも、わたしが若木をたくさん見つけた場所は、今回の場所からかなり離れていました。
これまでは図鑑や画像でしか見たことがありませんでしたが、今日やっと、キハダの実物を見る機会に恵まれたので、頭の中の探索像が更新されたはず。だからこれからは、もっと頻繁にキハダを見つけられるんじゃないかな、と期待しています。
ところで、キハダの実は、同じミカン科のサンショウと同じく香辛料になるので、採取したのを持って帰って乾燥させよう、と思っていたのですが…
途中で採取したキノコの写真を撮ろうとして、森の中で袋をひっくり返したときに落としてしまい、完全に存在を忘れたまま帰ってきてしまいました。こうやって種子が森のあちこちに運ばれるのかも…しれません(笑)
そのほかに見つけたキノコとシダ
トドマツの根もとに生えていた立派なキノコ。柄が太いので、ホテイなんとかみたいな名前がついてそうなのだが…
マツ林地帯の中の草地で見つけたキノコ。Google Lensだとキツネタケと出ました。確かに図鑑で見てもよく似ているのですが、キツネタケは広葉樹林のキノコなので違うか。老菌の頭爆発具合がすごい。
ノボリリュウタケ地帯のそばで見つけた小さな漏斗状のキノコ。カヤタケかその近縁に思えるけれど、カヤタケだったら、もっと深い漏斗状なのかな?
チチタケ属っぽい小さなキノコ。小さすぎて、傘の裏側も撮れませんでした。
最近特によく見かけるシダ。今まで注目もせず、葉っぱの形からオシダの仲間とかクサソテツだとか思っていたけれど、改めて見てみると全然違う。
まずオシダやクサソテツに比べて、はるかに小さい。葉っぱ全体で10cmから20cmしかない。最近わかってきたように、シダは葉っぱが小さければ、若い子どもの葉とかではなく別の種類。
一番下側の羽片が、左右とも斜め下方向を向いているのも特徴ですね。
最大の違いは、オシダやクサソテツのように円陣を組んでおらず、一枚ずつぽつりぽつりと生えていること。
調べてみたところ、どうやらヒメシダ科のミヤマワラビだとわかりました。ワラビっぽい形状の葉っぱとは思えないのだけど、新芽のころがゲンコツを突き上げたような形状で、ワラビっぽいということなのかな。
葉っぱの裏にソーラスは特に見当たりませんでしたが、普通に丸いソーラスをたくさつけるそうなので、もっと根気よく調べたら見つかったかもしれません。
次の写真は言わずとしれた毛深いオシダ。真っ赤になったソーラスもびっっっちりついています。円陣を組んでいるのもわかります。
オシダ(メンマ)と酷似しているシダとしては、カラフトメンマ、サカゲイノデがあります。
カラフトメンマは、上半身がオシダほど毛深くなく、羽片がついている部分の葉の軸には毛がまばらなのが特徴。上の写真は葉の軸まで毛がびっしりなのでカラフトメンマではない。
サカゲイノデは、イノデと名のつく仲間すべてのお約束どおり、裂片の付け根が耳状に膨らむ。上の写真のは、別にそんな膨らみは見当たらないので、やっぱりただの無印オシダかなと思いました。
2020/09/27日
ナラタケ…で合っているのか?
昨日は雨だったので、どこにも行かずに家でのんびりしていました。今日は朝からZoomミーティングの後、小雨になったので、森に出かけてみました。
すると、森の入り口の小道からすでに、沢山のキノコが生えているのが見えました。特に多かったのがこのキノコ。わたしの知識の範疇だとナラタケにしか見えないのですが…。
中心部に黒っぽい点々。歯車状の模様、傘の周囲に条線。
柄にはつばがある。しかし、柄が根もとに向かって膨らむことはなく、その点は一般的なナラタケの情報と食い違っているところ。とはいえ画像検索で写真を見る限りは、すらっとしている柄のものも多い。
どうしても気になってしまうのは、地面の草地から発生しているということ。ナラタケって木の幹から生えるんじゃなかったっけ?と思って調べてみたら、普通に草地にも生えるらしく、サモダシやらクネボダシやらと呼ばれる地域もあるとのこと。
草地から生えているものだけでなく、森の中の斜面から生えているものもある。たぶん同じキノコだと思うのだけど。
先日ナラタケだと思って採取して、柄が中空(髄状)だったので念のためコンポスト行きになってしまったのもこれとまったく同じ種だと思います。
中心部の黒い鱗片が少ない、傘の中央の歯車状の模様や、傘の周囲の条線がはっきりしている、つばがある、柄に膨らみがない、という特徴が全部一致。このあたりに分布しているナラタケの特徴なのでしょうか…?
ナラタケは写真だけでも区別できるくらい分かりやすいというし、わたしが普段採っているキノコより、よっぽど地元の人たちにも親しまれているキノコ。
似た立ち位置のハナイグチ(ラクヨウ)と同じほどありふれているはずだし、キノコ狩り初心者にも見つけやすいはずなので、やはりこれがナラタケで合っているのだろうか。少なくともわたし以外の人はこんなに悩まずに採取すると思う。
ほかのキノコに比べて二の足を踏んでしまうのは、ナラタケというのは、複数の種類のキノコの総称であって、明確にこれというキノコを指しているわけではないから。地方ごとに採っているナラタケの種類が微妙に違うらしく、説明にばらつきがあります。
このキノコだって、一般に言われているナラタケの特徴どおり柄が中実だったら、先日の時点で食べていたでしょうが、なぜか中空だったので確信が持てない。
ナラタケに類似した毒キノコと言われるドクアジロガサ(コレラタケ)は、ネット上の情報が混乱している上、手持ちの図鑑に載っていない。画像検索で見る限り、もっと傘がつるんとしていて全然違う気もするが。
傘の中央が凹んでいるから、似たような食用キノコのセンボンイチメガサでもないはず。
その上で、石狩振興局のサイトと今回の写真を、改めて突き合わせてみたら、どこからどう見ても同じナラタケにしか見えない。ここまで似ていて違っていたら、中毒になる人が続出しているはず。やっぱりナラタケで合っているのか。
こういうところで、なかなか確信が持てず、少しずつ煮詰めていかざるを得ないのが、自学でやっている人の悩みですね。だけど、人から聞いたことを鵜呑みにするよりは、これくらい慎重に歩を進めて覚えていったほうがいい気もします。
久しぶりのハナイグチ幼菌
それに比べて、一度じっくり調べてから味見してみて、もう間違いないとわかっているキノコたちについては、注意深くはあるものの、採取のハードルは下がっています。今日もたくさん発見できました。
まず見つけたのはハナイグチ。最近見かけなくなったので、もうシーズンが終わり?などと思っていましたが、条件が悪かっただけみたいですね。まとまった雨が降ったのがよかったのかな。
場所は8月半ばに今年初のを見つけて、今月初頭にも幼菌を見つけたのと同じ場所。確認した限りでは3回目の萠出。雨の翌日に来たからか、久々の幼菌との遭遇でした。
たくさん現れて菌環をなしていましたが、まだ小さすぎるものが多かったので、一枚目に写っている大きなものをひとつ撮るだけにしました。また明日以降来たら、追加で採れるかも。
その後、タマゴタケとノボリリュウタケ地帯を抜けて、先日キハダの木を見つけた場所の近くでも、ハナイグチの幼菌を見つけました。こちらは大きめの幼菌のが2つあったので収穫。下の写真は収穫後に残しておいた2つ。
たぶん探せばもっとたくさん出ているんだろうなぁと思いましたが、じつは今日は、そこに到達するまでに、ほかにもキノコをたくさん採っていました。食べきれない量を採るわけにはいかないし、冷凍保存するのも気が進まないので、それ以上探しませんでした。
ハナイグチは、成菌もいいけれど、幼菌のときに見つけるのが一番嬉しいですね。サイズとしては少し小さくなるけれど、見た目がかわいいし、傘裏の管孔が引き締まっていて、虫が入っている可能性も低いから。
鞍が褐色を帯びているノボリリュウタケが多い
少し話を戻して、最初のハナイグチを見つけてから、少し進んだ場所。いつもノボリリュウタケやタマゴタケをよく採っている小道でのこと。
こんな怪しいキノコを見つけて、思わず足が止まりました。この褐色を帯びた傘と、脳のような形状は、もしかすると毒キノコのトビイロノボリリュウ、別名ヒグマアミガサタケか?
と思いましたが、すぐそばに、ノボリリュウタケが3本生えているのを見つけました。1本は朽ちかけていましたが、下の写真に写っている、ウドの根もとの残り2本はいい状態だったので採取。
ということは、やはりすぐ近くにあるさっきの怪しいキノコも、ああ見えて実はノボリリュウタケか? と思って、柄の根もとの土をどかしてみると…
裂けるチーズのような形状の柄! 怪しく見えたけれど、毒キノコではなく、いつものノボリリュウタケでした。
この後も、あちこちでノボリリュウタケを発見。状態のいいものだけを採ったので、収穫は4本でした。それでも今までで最高の量です。
ノボリリュウタケは通常、インターネットで検索すると、ほぼ白一色か、少し色がついているのがほとんど。しかし、どういうわけか、この森で採れるノボリリュウタケは、傷んでいるわけでもないのに、鞍が褐色を帯びているものが多いです。
帰り道に、森の外の日当たりがよい場所でもノボリリュウタケを発見しましたが、それが唯一、全体の白いタイプのノボリリュウタケでした。もしや日当たりが関係?
鞍が褐色を帯びていると、食べられないアシボソノボリリュウタケや、毒キノコのヒグマアミガサタケと少し似るので、紛らわしく感じます。柄を見れば確実に区別できるので、特に問題となるわけではありませんが。
そのアシボソノボリリュウタケも、今日は3本ほど見かけました。これまで小さいものばかり見てきたので、下の写真の10cm超えのは新鮮でした。高さだけを見れば、無印ノボリリュウタケと同じくらいのサイズがありました。(クラタケとか別のキノコではないと思うのだけど、確証は持てない)
見てのとおり、褐色を帯びた鞍の色が、この森に多いタイプのノボリリュウタケの色とよく似ていますね。その一方で、両者ともに黒いタイプは全然見かけません。同じノボリリュウタケでも、そこそこ地域差があるのかもしれません。
美味しそうなアカモミタケとタマゴタケもあった
そのまま進んでいくと、先日、猛毒のタマゴタケモドキ(タマゴテングタケ?)が生えていた場所。タマゴタケないかなー?と思って見たら、なんとタマゴタケモドキの第二号が姿を見せていました!
少し斜面の上のほうにあって、雨で地面が濡れていたため、あえて登りませんでしたが、うまく撮れたと思います。あからさまに黄色いので間違えることはありませんが、この一帯はタマゴタケとタマゴタケモドキが混生しているようです。
そして、この写真のタマゴタケモドキの後ろに写っている老菌は、先日食べたアカモミタケです。このすぐ横にあるトドマツの木の周りの地面から、アカモミタケがぼこぼこと生えていました。
せっかくだから、今日も、その中から形のよい若い菌を2つ収穫。(写真はこの副見出しの最後に)
なんだかスーパーの買い物かごに、傷んでいない野菜を選んで入れる感覚と似ていて、思わず笑ってしまった。
ロビン・ウォール・キマラーの本の、ガマのスーパーマーケットの章で、若者たちが繰り広げていた議論の気持ちが、今ならよくわかります。スーパーの場合は対価としてお金を支払うけれど、ここでは何を支払ったらいいんだろう。
感謝する心を忘れないこと、自然に対する向学心を保つこと、そして自然を愛し、大切に思う気持ちを忘れないこと。それがわたしの答えでしょうか。
続いて、遠くのトドマツの根もとにタマゴタケを発見! だけど妙に小さいから、まるでヒメベニテングタケのよう。目を凝らして見るが、やはりタマゴタケで合っているか。さすがに小さすぎて採らないけれど、大きなトドマツとの対比が面白い。
さらに森の奥を目指して歩いていくと、斜面の上に見事なタマゴタケ発見! 最近傘が開き始めた若い菌で、状態もよい。
これまで見たタマゴタケはオレンジ色が多かったけれど、これは最も赤みが強いかもしれない。知らなかったら毒キノコにしか見えないでしょう。
これはぜひともほしい! ということで、斜面の上までぐるりと回り込んで採りに行きました。相変わらず指よりも太い柄がとても立派。
さっきノボリリュウタケの地域差について書きましたが、タマゴタケのほうも、やはり一般的な特徴とされる柄のだんだら模様がありませんね。
名寄市北国博物館によると、だんだら模様がないのはセイヨウタマゴタケの近縁種だとされていましたが、セイヨウタマゴタケ(Amanita caesarea)ほどずんぐりむっくりしていないので、あいの子みたいなイメージ。
キノコは国内だけでも1万種はあろうと言われるので、細かな違いを見ていけば名前のつけられていない種ばかりなのでしょう。全部見分けるなんて到底無理で、わかる範囲だけ覚えてキノコ狩りを楽しむしかありません。
ほかにもないか横目で探していたけれど、次から次に見つかるものだから、これ以上見つからなかったらいいのにな、という複雑な心境。だって食べごろの美しいキノコを見つけたら採りたくなってしまう。明日来たのでは遅いから。
そう思っているすぐそばから、前述のようにノボリリュウタケを追加で2本、ハナイグチを追加で2本見つけてしまい、これまでのキノコ狩りの収穫量としては最高記録を更新。
これ以上目移りしないうちに、と思って、今日の探索は、ここで終わりにして、来た道を引き返しました。あまりに多く採っても料理が大変だし、食べ切れない。
帰り道でも、色々キノコを発見。上に写真を載せた、色白のノボリリュウタケとか、かなり立派なイボテングタケとか。
このイボテングタケは、先日のフキの葉っぱの下で傘を開いていたイボテングタケから10mほどのところに生えていましたが、サイズが一回り大きくて、感動のあまり声を出してしまったほど。
過去に見たイボテングタケが14cmとか12cmとかの中、これは20cm超えですからね。計測アプリなので誤差はあるでしょうが、目測でもだいたいそれくらいだと確認しました。
しかし、イボテングタケにしては、雨でイボが洗い流されたのか、前回見たものよりイボイボが少ないのが、少し残念でした。前回のはフキの葉っぱを雨傘にしていたおかけで、降雨に強かったんですね。
今日もたくさんキノコを見つけることができて、満足のいく森歩きでした。いっぱい見つけすぎて、予定よりもかなり早く帰ってきてしまったけれど、そんな日もあるでしょう。
今日持って帰ってきたキノコはこれだけ。キノコ狩り名人のブログなどを見ていると、とんでもない量を採ってきていることが多いですが、わたしは自分が今日食べれる量だけしか採りません。その中でこれは、過去最高量です。
ハナイグチ×3、ノボリリュウタケ×4、アカモミタケ×2、タマゴタケ×1。
これだけあると、洗って下処理するのも、そこそこ手間がかかります。本当なら、ひとつひとつ、キノコの種類に適した料理を作れたらいいのだけど、そこまで余裕はないので、ぜんぶまとめてスパゲッティになりました。
タマゴタケとアカモミタケは、うまみを閉じ込めるために汁も残さず利用。ノボリリュウタケはしっかり茹でこぼして熱を通して焼いてから、食感を楽しめるように混ぜる。ハナイグチはまあ…、なめこみたいなものなので、どう混ぜてもよかろう。
普通に美味しかったですが、ごった混ぜにしてしまうと、それぞれのキノコの味わいがわかりにくくなってしまうのが、やはり欠点ですね。でも改めて、鶏肉のようなノボリリュウタケと、ゆで卵のようなタマゴタケの食感は絶品だと思いました。
キノコ色々。アカチチモドキ? アシボソムラサキハツ、センボンイチメガサ?etc
よく見かけるチチタケっぽい小さなキノコ。しかし、見つけるのが広葉樹林ではなく針葉樹林なので、チチタケではないことにやっと気づきました。環紋もはっきりしておらず、黒っぽい点々だけが見られます。
カラマツ林で見かけるので、カラマツチチタケかと思いましたが、環紋がはっきりしていないことからすると違う。ということは、チチタケに似ていて赤っぽいのに、環紋がないらしいアカチチモドキの可能性がありそう。
下の写真は湿っているけれど、同じキノコでしょうか。しかしながら、アカチチモドキは主にトウヒ属(エゾマツ、アカエゾマツなど)の森に出るとあったので、カラマツやトドマツ林で見かけるこのキノコはまた別物かもしれない。
(追記 : 後日改めて調べたところでは、やっぱりカラマツチチタケのほうかもしれません)
これもよく見かける赤い美しいキノコ。これまで適当にベニタケの仲間とだけ書いていましたが、アシボソムラサキハツに酷似しているか。
これもよく見るタイプで、前に見つけたアセタケの仲間ではないかと思われる小さなキノコ。図鑑だと、フウセンタケ科のアセタケモドキ(径2-3cm)にも似ているけれど、広葉樹林性とあったので違うか?
何かの木の根っこから生えていた見栄えのする形のキノコ。悪名高いコレラタケ(ドクアジロガサ)に似ているようにも見えてしまうのだが、まさかこんな場所にないだろうし、センボンイチメガサか? でもたった2本しか生えていないし。
傘の周辺にわずかに条線が見えています。センボンイチメガサはぬめっているときは条線が見えるとのことでした。コレラタケは不明だけど同じかも。傘の中心部は尖っていないので、少し似ているヒメアジロガサモドキではない。
図鑑によると、センボンイチメガサはシラカバ林に生えるとのことでしたが、wikiによるとマツの倒木に生えるとされているので、あながち間違っているわけでもないかも。
傘が開く前のヒトヨタケ科らしい形の小さなキノコ。キララタケに似ているけれど、広葉樹林ではないので違うか。だとすれば、同じヒトヨタケ科のヒメヒガサヒトヨタケあたりかな。
こちらもかなり小さなキノコですが、ザラザラとささくれだった柄がおしゃれです。服を着ているかのように、つばより下の部分だけ装飾があります。ザラエノなんとかといった名前がついてそうなものですが、正体不明。そのうち図鑑を眺めていたらわかるかな。
帰りに、なんだか異様な物体を見つけて、足が止まりました。近づいて葉っぱを確認すると、どうやらマムシグサの実だとわかりました。なぜか実がほとんと落ちて、軸だけが残っていました。
すぐ下の地面を見ると、赤い実が散乱していたので、確かにマムシグサだとわかります。
だけど、いったいどうして実が全部落下してしまったのか。まさかこんなシュウ酸カルシウムの塊を、動物が食べたとも思えないし…。雪解けの後に実が軸にくっついているのを確認しているから、植物が枯れたせいとも思えない。不思議です。
それにしても、マムシグサは、実もおどろおどろしいし、茎もおどろおどろしいし、実が落ちた後に残る軸もまたおどろおどろしい。
2020/09/28月
ハナイグチとシロヌメリイグチが大豊作
昨日キノコが豊作だった話をすると、もう一人と一緒に採りに行くことになりました。
お目当てはハナイグチ。キノコは「採らない、あげない、もらわない」が鉄則と言われますが、ハナイグチなら、地元の人だってよく採っているし、似た毒キノコがないので大丈夫でしょう。
もし似ているチチアワタケを間違えて採って、万が一あたるようなことがあったとしても、せいぜい腹痛ぐらいですむはず。しっかり確認すれば間違えようもありませんし。
昨日は、あまり採りすぎると困るので、あえてあまり探さずに森を出ましたが、今日は、入ってすぐから積極的に探しました。そうしたら、見つかるわ見つかるわ。
わたしが想定していた以上に、キノコが森全体で同時発生していました。ちょっと進んだだけで、もっと容量のある袋を取りに、いったん車まで帰らなければならなくなりました。
入り口近くのカラマツ林で、昨日見つけた周辺を歩くだけでもハナイグチが大量に見つかりました。そして、ハナイグチだけでなく、シロヌメリイグチもあちこちで発生していました。
シロヌメリイグチは、ハナイグチと同じカラマツ林の環境に発生しますが、ハナイグチほど知られていません。味はほとんど甲乙つけがたく、地域によっては、ハナイグチが女キノコ、シロヌメリイグチが男キノコと呼ばれているそうです。
ハナイグチがてかてか光る茶色いどらやきのような傘をしているのに対し、シロヌメリイグチは、ちょっと色あせた灰色から褐色くらいの傘をしているので、上から見るだけでも、だいたいは区別できます。
採取して傘を裏返してみれば違いは一目瞭然で、ハナイグチの傘の裏のスポンジは黄色いのに対し、シロヌメリイグチのスポンジは白か灰色の無彩色です。
シロヌメリイグチは、2週間前の9/12に初確認しましたが、その時は初見だったので採取していませんでした。
初めて出会うキノコは、たとえ食用だと思えても、慎重な調べてステップを重ねることが大切。今回はすでにある程度調べて知識があったので、とりあえず一本だけ採取して持ち帰り、味見することにしました。
これまでのタマゴタケやアカモミタケもそうやって、一度目は採らずに調べて、二度目以降に少量だけ採取して味見し、三度目以降にやっと積極的に採取するようにして、レパートリーを増やしてきましたから。
シロヌメリイグチは初心者でも採取しやすいキノコで、よく参考にしている石狩振興局のサイトにも見分け方が載っています。
それによると、さっき書いた傘とスポンジの色合いのほか、傘のぬめりや、ハナイグチと同じ膜状のつばを確認すればいいようです。
この膜状のつばの確認が重要で、イグチ科の見た目が似ているキノコのうち、たまに中毒すると言われるチチアワタケや、毒ではないもののひたすら苦いニガイグチ、ニガイグチモドキなど、および(形が違うからわかるだろうけど)イグチ科の毒キノコのドクヤマドリなどは、どれもつばがありません。
膜状のつば、というのが何を指すのか、初めてハナイグチを採ったころはわかりませんでしたが、何度も経験を積んで、幼菌を目にするようになると理解できました。幼菌の時は傘を包むように柄から膜が伸びていて、それが破れて残ったものがつばです。
ハナイグチを採るときは、傘の色が似ているチチアワタケと間違いないように、またシロヌメリイグチを採るときは、やはり傘の色が似ているニガイグチなどと間違わないように、つばをしっかり確認しておくといいかな、と思いました。
傘がしっかり開いてしまうとつばの痕跡がわかりにくくなりますが、どのみち傘が開いて老菌になったイグチは虫が入って劣化していることが多いので、今日採ったような幼菌から成菌にあたる若いキノコを採るのがいいですね。
昨日は幼菌だったキノコも、今日行ってみるともう少し劣化が始まっていて、もう開きすぎていたり、虫が入ったりしているものもありました。
でも、大半は、傘の裏のスポンジが、しっかり引き締まっている良い状態だったので、いいタイミングだったと思います。劣化していない新鮮なハナイグチは、傘のぬめぬめしさもさることながら、黄色い傘裏がとても美しく、いかにも美味しそうです。
ほかにも、いつものノボリリュウタケが次々と見つかりました。キノコを探す目が増えると、見つかりやすくもなるものです。タマゴタケは残念ながら見つかりませんでした。
そして、ヤナギ林を歩いているときには、今季初のヌメリスギタケモドキを発見できました。まだ幼菌だったので、出始めてすぐのようです。
たくさん生えていたのは、かなり高い手の届かない幹でしたが、手頃な場所にもひとつだけ見つけました。もっと探せば見つかったかもしれませんが、日が暮れてきて時間がなかったので引き上げることに。改めて別の日に来ましょう。
今日の収穫は以下のとおり。昨日の日記で、過去最高量とか書いたら、次の日の軽く上回ってしまうことになるとは。ハナイグチ好きの友人が、量が多くても下処理ができるとのことだったので、30個以上差し上げることにしました。
こうして改めて並べてみると、しっかりどのハナイグチにもつばがついているのが確認できますね。チチアワタケやアミタケは含まれていないようです。
また、ハナイグチと同じくつばがあって、姿も色も似ている食用イグチにヌメリイグチがありますが、柄が白っぽいことで区別できます。今回採った中には含まれていないかな。すべてハナイグチに見えます。
一方わたしは、ハナイグチ少々、そして大好きなノボリリュウタケ、アカモミタケ、そして今回初めて食すことになるシロヌメリイグチを担当。
けっこうな量だったので、じゃがいもの炒め物とお味噌汁の二品になりました。
十分に火を通して炒め物にトッピングしたノボリリュウタケは絶品も絶品。この贅沢な食感のキノコが近所の森に次々に生えてくるなんて恵まれてます。アカモミタケは鮭みたいに見えますが、しっかり旨味が出ているのか美味しい。
そしてハナイグチとシロヌメリイグチは、やはりお味噌汁に合いますね、巨大ななめこみたいな食感です。シロヌメリイグチはどこに紛れたのかわかりませんでしたが、普通の今後も食べれそうです。しっかり確認して採取したいと思いました。
ヘビ革のようなハラタケの仲間?と白い極小キノコ
帰り道、森の入り口の草地に、こんな見慣れないキノコを発見しました。まるで蛇の皮のような気味の悪い模様の傘が目を引きます。
傘の内側も確認したかったのですが、引っこ抜かずに撮影するのはこれが限度でした…。かろうじて、イグチのようなスポンジ状ではなく、普通のキノコらしいひだなのかな、とい雰囲気です。
目にしてすぐは、傘の模様が突起に見えて、もしかしたら今まで見たことのないオニイグチ?と早とちりしました。柄からつながっている膜状のつばが、イグチっぽく感じたせいかもしれません。
でも、帰ってからオニイグチを調べてみると、全然違うキノコでした。傘の表面は突起ではなく模様のようだし、ひだもスポンジ状じゃないし、イグチではなく別の何か。
少し調べて模様が似ているかな?と思ったのはクマシメジですが、つばがあることが相違点。傘の形と開き方も違う。
迷った後に判明したのは、たぶんハラタケの仲間らしいということ。傘の模様と、つばがあるという点では、ハラタケモドキとかヘビキノコモドキも似ていると思ったけれど、つばの形状が違うような気もする…。
見つけた場所はドイツトウヒなどが植えられている針葉樹の下の草地。草刈りがされていて公園のような環境の可能性も。いったい何のキノコだろう。
傘が開けば、かなり同定しやすくなると思うので、朽ちる前に改めて成長を見に行けたらいいのだけど。
森の中のコケに生えていた白い極小のキノコ。サイズは測っていませんが、コケのとの対比からわかるように1cm以下です。ヒナノヒガサとかミズゴケノハナのレベル。しかし白色なので、そのどちらでもなさそう。
20倍レンズで撮ってもこんなに小さい。コケの森の中に堂々とそびえるこのキノコはいったい…?
わからないので、極小キノコ、と調べてみたら、たぶんシロホウライタケというキノコの仲間だろうとわかりました。
さらに調べてみると、近縁種が色々あって、ホウライタケ属か、シロホウライタケ属のどれかだろう、というあたりまでは判明。しかし手持ちの図鑑に載っているのはシロホウライタケだけなので、その仲間、というくらいでいいかな。
(追記 : もっと調べると、ホウライタケ属以外にも、白い傘の極小キノコはいろいろあることが判明。シラウメタケモドキ(同名の属)、ヤグラタケ(同名の属)、ヤグラタケモドキ(同名の属)、その属のタマツキカレバタケ、シロコナカブリ(クヌギタケ属)、のヒメオトメノカサ(オトメノカサ属)あたり。
いったいどれなのか? 鑑別にはひだも見なければならないらしく、この写真ではお手上げです。単純に写真だけ見れば、傘が開く前のシロホウライタケっぽいのですが)
ピンクに色づいたマユミの実、くす玉が弾けたツリバナの実
ヌメリスギタケモドキを発見したヤナギ林の近くで見つけたマユミの若木。すっかり実がピンク色になりました。自然界のものにしては珍しいくらい鮮やかなピンク。まだこれから殻が割れて中身が現れることになります。
マユミの仲間のツリバナのほうは、ほぼ一週間前に見つけた実が、早くもくす玉のように割れていました。この時期の季節の変化は早く、一週間どころか数日で移り変わっていきますね。
マユミ、ニシキギ、ツリバナ、ツルウメモドキ。この仲間の実は、どれも似た造りをしていますが、殻の色や形、割れ方などがそれぞれ個性的でユニークなので、どれも見応えがあります。
このうち、マユミ、ニシキギ、ツルウメモドキは近所の公園にあるので、所在不明だったツリバナも発見できたことで、コンプリートした気持ちになりました。ちなみに同じ仲間のマサキは北海道北部にはありません。
2020/09/29火
昨日のヘビ革のキノコはザラエノハラタケ?
日中は農家のお手伝いでニンニク植えに行ってきました。ニンニクは球根(鱗茎)と、花の後にできる実の両方が発芽能力を持っていますが、球根から栽培したほうが立派なニンニクに育つようです。
畑の近くで見つけた、謎の雑草。ナスのような見た目で、花もよく似ていますが、丸い実をつけています。友人に訊いたら、名前は忘れたけれど、とても厄介な雑草だとこと。
後で調べてみたら、なんとそのものズバリな名前。「ワルナスビ」と名付けられた植物でした。しかも名付け親は牧野富太郎らしい。植物すべてを愛してそうな人をして、この名前をつけさせるのか(笑)
侵略的外来種であるばかりか、葉も茎もトゲトゲしく、実に毒成分ソラニンを含み、家畜が中毒死することもあるらしい。写真を撮ろうと触っていたら柔らかい実がつぶれて汁が出てきましたが、素手じゃなくてよかった。
悪なすび。友人は名前を忘れていましたが、わたしは忘れられそうもありません。
帰ってきたら16:30で、まだギリギリ明るかったので、急いで森に行って、昨日見つけたシロヌメリイグチを採取してきました。ちゃんと見分け方を覚えたのでこれからは採取レパートリーに入れることができます。
森は暗くなっていたけれど、まだなんとか視認できるレベル。急いで記憶していた場所に向かい、すぐ採って出てきました。どうしても今日中に行きたかったのは、採りごろは今日が限度だと思っていたから。
採ってみると確かに、すでに傘裏のスポンジの管孔が開き始めて、色も黒っぽく変色してきていたので、明日だと少し遅かったかもしれません。ギリギリ美味しそうなのをゲットできました。
ついでに、昨日森の入り口の草地で発見した謎のヘビ革のキノコを調べてきました。昨日より傘が開いていて、やはりハラタケの仲間のようだとわかりました。
傘の裏はやはりひだ状で、傘はかなり肉厚で割れています。これから傘が水平に展開して、同じハラタケ目のテングタケとかタマゴタケのような、いかにもキノコらしい堂々たる形に変化していくだろうことが予想できます。
そして、この写真に写っているように、柄のつばより下の部分にざらつきがあるのを発見しました。それが同定の決め手に。ザラエノハラタケというキノコのようです。
北海道きのこ図鑑によると、「膜質のつばを有し、そりより下は綿くず状のささくれで覆われる」とのこと。発生する場所もマツ林とのことでカラマツ、トドマツの、ドイツトウヒなどが植林されている場所に出ていたことと一致しています。
図鑑の写真とは、かなり模様が違うようにも見えますが、ネット上の写真によると、模様にはばらつきがあるようです。今回見たのとほぼ似たような模様の写真もあったので、ザラエノハラタケで間違いなさそうです。
(10/1追記 : その後、さらに観察しに行ってみると、傘がすっかり開いて、裂けてしまっていました。
改めてよく調べたところ、もしかしたら当初疑っていたヘビキノコモドキかも?とも考えました。
まず、ザラエノハラタケの柄は図鑑によると白色です。しかし、このキノコの柄は白ではなく褐色を帯びています。柄が傘と同じような褐色を帯びるのは、ヘビキノコモドキの特徴です。
とはいえ、最初に撮った写真では、もう少し白かったようにも見えるので、日にちが経つにつれ変色して、柄の色が濃くなってきたのかもしれません。
また、手がかりにしていて、柄のささくれはほとんど目立たないことがわかりました。かろうじて、つばより下のほうがささくれているかな?という程度にすぎません。
確かに、つばより下がささくれるのは、前述のとおり、ザラエノハラタケの特徴なのですが、これではささくれていると言えるのかどうか。
一方のヘビキノコモドキは、つばより下に細かい鱗片があり、マムシのような模様が生じるようです。しかし、この写真では、柄がヘビ柄の模様になっているようには見えません。
他に手がかりとなるのはひだの色です。下の写真で見る限り、ひだの色は明らかに黒褐色、柄の色も茶色ですね。
図鑑によれば、ザラエノハラタケもヘビキノコモドキも、ひだの色は白です。
しかし、ザラエノハラタケは、白からピンク色、黒褐色に変色するとされていました。ヘビキノコモドキは、ネット上の写真からすると、傘が裂けるほど開いた後も、ひだは白いまま変色しないようです。
それで、柄の色が茶色く、ささくれがあまり目立たないという点が引っかかるものの、かといってヘビキノコモドキであるようには見えません。ひとまずのところ、ザラエノハラタケの可能性が高そう、という結論にしておきます。)
採ってきたシロヌメリイグチは、今回もじゃがいもと一緒に炒めました。ハナイグチと同様のナメコ似の食感で、高級感はないものの、普通においしいです。
2020/09/30水
9月のまとめ
9月最終日の今日は、天気がいいにもかかわらず、午前中には仕事用の文章を書いて、午後にはZoomミーティングに参加すして、夜は今に至るまでブログ記事を書く、ひどく不健全な生活を送りました。
でも、今日でしっかり記事は完成したので、明日にまで引きずることはないはずです。めったにブログを書かずに放置しているので、たまには考えたことをまとめる日だって必要なのです。
おもに、この自然観察日記にメモしてきた考えを、ひとつの記事にまとめることができ、ホッとしています。いつまでも下書きやメモのままとっちらかしておくと、もやもやしてしまうので、片付いてよかったです。
今月のハイライトは間違いなくキノコ狩りです。初頭は暑くてへばっていましたが、中旬から秋らしい気候になり、キノコ狩りが大変はかどりました。
去年はナラタケ、ハナイグチ、ヌメリスギタケモドキを食しましたが、今年は先月のタマゴタケに続き、今月にノボリリュウタケ、アカモミタケ、シロヌメリイグチを初めて食べ、キノコ狩りのレパートリーが7種類に増えました。
キノコの観察は、同定できないことも多いですが、名前がわかったときの喜びがとてもすばらしく、永遠に観察していたい気分になります。季節の植物と違って、膨大な種類のものが、どこに現れるかもわからないので、宝探しのような楽しみがあります。
これまで秋は、楽しい冬までのつなぎくらいにしか考えていませんでした。キノコ狩りは、とても難しくて危険なもの、というイメージがあったので、どれくらい楽しめるかわからなかったからです。
確かに気を抜けば危険と隣り合わせなのは事実です。それでも、しっかり観察することで、複数種を見分けることができ、山菜採りシーズン並みに楽しめることがわかったのは嬉しい誤算でした。
特に、ノボリリュウタケとタマゴタケという、比較的素人にも見分けやすい美味なキノコ2種が、いつも歩いている森に頻繁に生えてくる、というのが楽しめたゆえんでしょうか。
10月に入るとキノコは少なくなってきて、もう冬の足音が迫ってきます。初雪も10月中に降るかもしれません。でも、わたしは冬も大好きなシーズンなので、別の楽しみが増えそうです。
最初は冬だけしか楽しみが感じられませんでしたが、春は山菜採り、秋はキノコ狩りの経験を積んだことで楽しみが増えました。
問題は暑い夏です。夏は川遊びができればきっと楽しめるのでしょうが、川沿いはヒグマが怖いというイメージがあるし、川遊びでの事故もよく聞くので、おとなしく畑仕事に精を出したほうがいいかもしれません。
さて、世界情勢のほうは、残念ながら、やはり特に変化はなかったですね。淡い期待はもろくも崩れ去ったようです。早く変化が起こってほしいと気がはやりますが、あきらめて辛抱強く待つことにしましょう。
夏場は暑くて疲れていたので時間の流れが遅く感じ、早くこんな時代が終わってほしいという気持ちが強くなっていました。しかし、今は涼しくてキノコ狩りが楽しいし、これから冬も来るし、時間もどんどん過ぎるし、まったくもって退屈していません。
このぶんだと、来年の山菜採りシーズンまでの時間は、きっと飛ぶように過ぎることでしょう。変化が起こるまでの間、じゅうぶんに楽しいことが与えられているのですから、不平など言わず、日々の暮らしを楽しみたいと思います。
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