長文なので、各項目に飛べる目次、右上に表示されるトップに戻るボタン、各ブラウザのページ内検索を活用して、必要な部分をお探しください。
先月へのリンク
翌月へのリンク
もくじ
2021/11/01月-2021/11/02火
今日のキノコ。名称不明3種
新しい月が始まりましたが、先月頑張りすぎたのか、お疲れモードです。
月曜は、昨日の大豆の脱穀作業の筋肉痛がひどく、夕方に公園にサイクリングに行って、キノコを観察しただけでした。
話題のピクミンブルームをインストールしてみましたが、ネットがつながってない場所でもGPS万歩計として機能するのがいいですね。
夜はベッドだと体が痛かったので、整体がてら床で寝て、一晩で体の痛みは回復しました。翌日また力仕事が待っているので、筋肉痛が長引かなくてよかったです。
火曜は、メンテナンスの仕事から、買い物へ。その後、越冬白菜の穴掘り、アスパラガス畑の紐と杭外し、腐葉土の落ち葉集めと、頑張って働きました。高枝切りバサミを使って銀杏の収穫も少しだけ。
帰ってから自転車でまた公園をサイクリング。昨日と今日、その公園で見たキノコ3つを以下にまとめておきます。
ところで、今朝、とても懐かしく嬉しい夢を見ました。RPGのようなアドベンチャーが楽しめるリゾート地の城に調査のため呼ばれて、到着したはいいものの、犬のようなモンスターに絡まれてしまい、空を飛んで逃げました。(わたしは夢の中だと、体の力を抜けば自由に空を飛べることが多いです。でも高度調節などが難しくコツが要ります)
たった独りで逃げて心細くなっていたとき、わたしの大切な人が到着したという知らせが入って、ホテルのフロントに急いで向かいました。その人の顔を見た時の喜びは言葉では言い表せません。すぐに一緒にカフェに入って、再会を喜びつつ、作戦を練りました。今でもそばにいてくれている、ということがわかって、ここしばらく感じたことのない、すばらしい目覚めでした。
(1)例の謎のキノコ(追記:クギタケもしくはニワタケかその仲間と思われる)
10/10に見つけ、10/11、10/17、10/18、10/20にも観察し、幼菌から老菌まで観察したのに、結局正体がわからなかった、ヤマザクラの根元に生えていたキノコ。いつか名前が判明したらよいのですが…。
傘についていた白い被膜は、残っているものもあれば、残っていないものもありました。
太くで中身がぎっしり詰まった柄が特徴。最後までツバの痕跡も残っていました。
断面。キノコバエ(ショウジョウバエ)の幼虫の集合住宅になっていました。ヒダの付き方は、前に見た子実体と同じく、やや垂生ぎみの直生でした。
(追記 : おそらく、ヒダハタケ、キヒダタケ、オウギタケ、キオウギタケ、クギタケ、シロエノクギタケ、ニワタケなどの仲間のキノコだと思われます。
はっきりとツバが残っていたので、ツバを持たないヒダハタケ、キヒダタケ、キオウギタケは除外できます。オウギタケは傘の色が異なります。
それでおそらくクギタケかシロエノクギタケだろうとなります。10/1の幼菌時は柄が白くも見えましたが、その後は褐色になったので、クギタケが最も可能性が高いと思いました。
しかし、画像検索してみると、あまり似ていないように見えますし、生える場所も違うようです。シロエノクギタケを学名Gomphidius glutinosusで調べると似ている写真も出てくるので、この近縁種であることは確かと思えます)
(2)例の謎のキノコその2(追記 : クギタケかその仲間?)
その同じヤマザクラの裏側に生えていた謎のキノコその2。こちらのほうが傷みが激しく、もう黒くなっていました。
当初はチャナメツムタケではないかと考え、その後、上のキノコと同じ種類ではないかと考えたのですが…。
傘に白い被膜が残るのと、全体的に褐色な点は、上のキノコとよく似ていました。
ヒダの付き方は直生である点も類似しています。
上のキノコとの最大の違いは柄の質感で、こちらは柄がクニャクニャで弱いです。劣化したせいでそうなったのか元からそうだったのかは不明。
(追記 : 最初は似ていないと思いましたが、経過観察すると上のキノコと似ているように思えました。傘にツバが残ることやヒダが垂生で、扇形に広がることなどです。
初めて見つけた10/11の時点で柄が繊維状に毛羽立っていることに気づきましたが、クギタケも柄が繊維状だそうです。クギタケそのものではないかもしれませんが、上のキノコの候補で挙げた種類のどれかかもしれません)
(3)イッポンシメジ属?
今日初めて見たキノコ。ヨーロッパアカマツと思われる木の前に何本か生えていました。群生しているものと、1本だけ生えているものがありました。
傘の大きさは最も開いているもので3cmくらいと小型。
傘は黄みがかった灰色で光沢があり、イッポンシメジの仲間を思わせます。
柄は白。クサウラベニタケのような柄の光沢や縦線はないように見えました。
ヒダは白やクリーム色ではなく、赤みを含んでいるように見えます。でもイッポンシメジ属にしては赤みが薄い気もしないでもありません。この写真だと、白い柄の上方にささくれがある点も気になります。
断面。ヒダは垂生~湾生。柄は縦に裂けやすく中実でした。このことから、やはりクサウラベニタケは除外できそうです。かといって、ウラベニホテイシメジとも思えないので正体不明です。
近くに落ちていた実。以前に葉の形からヨーロッパアカマツだろうと考えた樹木でしたが、実の形もヨーロッパアカマツと一致しています。
2021/11/03水
モミジバスズカケノキの冬芽、公園のミクロの花園
今朝は昨日とうってかわって、あまり寝覚めがよくない。早朝にまた睡眠麻痺も出てしまい、一度身を起こして目を覚ましてから二度寝しました。そうしないと無限金縛りループに入るので。
そのあと、大雪が降って喜びいさんで除雪する夢を見たのですが、起きるとひたすら雨が降っているだけでがっかりでした。今年もちゃんと雪は降るのかなぁ…。温暖化で雨ばかりとかだったら最悪。
最後に森を歩いてから今日で4日目。3日くらい森歩きしないと気力がガシガシ削られていって抜け殻になるので、もはや限界。やることはたくさんあるのに、何もやる気が出ません。
仕方なく雨の中散歩に行きましたが、森歩きとは違うので、気力の回復も限定的です。
通りのナナカマドの木。まるで満開の花と見まがうばかりの赤い実。これからの鳥たちの貴重な食糧。
モミジバスズカケノキ(プラタナス)。本来は北海道にはない木で、原産地はイギリスだそうです。だから寒さに強いのか黄葉が遅く、先週くらいにやっと色づきはじめました。イチョウ並木が葉を全部落としているこの時機にも葉がこれだけ残っているのも異質。
プラタナスの葉。カエデに似ていますが、ハリギリと同様に互生です。カエデほど鮮やかに色づかず、黄色から茶色になって落葉するようです。どちらかというと名前にもなっている鈴のような実やまだらの樹皮のほうが印象深い木です。
毎年撮っている冬芽。アーモンドのような冬芽を環のように葉痕が囲む、とてもユニークな形状。在来種ではウリノキがちょっと似ているかも。
公園の岩に生えているコケと地衣類のサンゴ礁。おそらくスナゴケやハナゴケの仲間と思われますが、コケも地衣類も勉強不足すぎてわからないので、何らかの本で学ぶことがこの冬の課題かなと感じています。
秋から冬にかけて伸びてくるスナゴケの朔。ちょうどピクミンをやっていたから、なんだか似ているなと思ったり。
ハナゴケの仲間の子器。今のレベルではこの程度しかわからないのが残念。それでも雨に濡れた地衣類の花園は魅惑的な美しさで、いつかこのミクロの世界もより深く理解したいなと思いました。
ところで、絵のほうは毎日ちまちまと描いていて、現時点で3割くらいの進捗です。
構想と下書きは終えて、線画の半分くらいまで。塗りにはまだまったく着手していません。11月半ばの完成を目指していましたが無理そうかも。年が変わるまでには間に合うでしょう。
昔は2,3日の徹夜で完成させていたというのに、今やもうそんな気力もなく、年齢ゆえの衰えかため息が出ます。かつての過集中今やどこへ。
2021/11/04木
今日のキノコ。ニガクリタケを噛んでみた、ワサビタケの連絡脈など
昼ごろ、講演に行って、遠方の友人とビデオ通話で話しました。かなり年上の友人ですが、私的な出来事で30周年の里程標だったらしく、色々な話を聞けて面白かったです。わたしは自分の話をするのは面倒臭くて好きではないですが、さまざまな観点から質問して、人の話を引き出すのは好きです。
そのとき公園で見かけたアカゲラ。一瞬だけ撮ることができました。間隔の狭いキョキョキョキョという鳴き声で、いつものアカゲラのキョッ、キョッという鳴き声とは違っていたのですが、こんな鳴き方もあるんだなぁと勉強になりました。
それから出かけた湿地帯のほうの森の風景。昨日の雨でまた地面がぬかるんでいて歩きにくかったです。もう秋で下草も虫も減っているから、ゲイターなしでもいいか、と油断していたせいで、ズボンが汚れてしまいました。
途中、唸り声のようなものが聞こえて身構えましたが、上空の曇り空の上から響く飛行機の音でした。ウェンシリに登ったときもそうでしたが、飛行機の音は動物の声に聞き間違えやすいので鬱陶しいです。
以下、今日見つけたキノコ色々。
(1)キクラゲ
まず、前に採取したキクラゲのその後。昨日の雨で残っているキクラゲの傘が膨らんでいて、このサイズなら採取したら食べれそうと思えました。こんど採りに来たいと思います。
しっかり膨らんでいる状態の傘の接写。白い粉をかぶっているように見えるのですが、これが無印キクラゲの「毛」です。アラゲキクラゲだともっと毛らしく見えるそうですが、無印は短いので白い点々に見えます。でもこの特徴を知っておけば、毒キノコのクロハナビラタケと間違うことは絶対にありません。
(2)アシナガタケ
湿地帯を越えたところに生えていたアシナガタケ
柄の条線があまり目立っていなかったので、はじめニオイアシナガタケかなと思いましたが、よくよく確認したら条線らしきものがありました。サイズもかなり大きいので、無印アシナガタケで合っているでしょう。
手と比較するとこんなに長い。10cm以上ありそうです。傘は小さくても、柄を含めた全長は、たいがいのキノコよりはるかに長い不思議な姿。
傘は中央が黒く、周囲には放射状の条線が現れています。
裏のヒダは白く、密でも疎でもなく、茶色い染みがついています。染みがつくのはカキシメジやエノキタケに似た特徴ですが、調べてみると、アシナガタケも染みができるという特徴があるとのことでした。
断面。ひだは離生で、柄は中空でした。
(3)ニガクリタケ
いつものニガクリタケ。今日はついに、勇気を出して、一口かじってみることにしました。もちろん、絶対に飲み込まず、すぐに吐き出すこと前提。
かなり傷んでいるので、かじってみるなら、もっと新鮮な時のほうが良さそうですが…。
束生した株を抜いてみると、柄は黄色(硫黄色)、ヒダは紫みを帯びていて密。ヒダの色は成長段階によってかなり変化するらしく、若い時はクリーム色、それから黄色っぽくなり、最終的に紫みを帯びるそうです。
さて肝心の味は…
勇気を出してかじってみたはいいものの、舌で触れるのも怖くて、ほんの一瞬味をみただけで、すぐ吐き出してしまいました。なんとなく苦味を感じたような…。
もう一度試してみましたが、やはりすぐ吐き出してしまい、苦いような気がした!で終わってしまいました。一瞬舌で触れただけで強烈な苦味を感じたような気がしたのですが、苦いだろうと身構えていたせいでそう思った可能性もぬぐえず。
とりあえず口には入れてみましたが、それ以上味わうような度胸がまだなく、中途半端で終わってしまいました。次回挑戦してみるのは来年になりそうです。
(4)カワラタケ?
上のニガクリタケの全体写真にも写っていますが、ニガクリタケのすぐ上に群生していたキノコ。緑色なので、はじめ地衣類かと思っていたら、よく見るとキノコのようでした。おそらくかなり古いカワラタケ?
裏側の写真。かなりわかりにくいものの、ヒダではなさそうに見えます。シワやハリ状に近い? もしヒダならばカイガラタケだと思いますが、傷んだ管孔っぽい気がするからカワラタケで合っているのかな。
それよりも印象に残ったのは、傘の表面に微細にコケが生えていたことです。これまで、緑色のカワラタケを川などで見つけて、どうして緑色なのだろう?と不思議に思っていたのですが、きっとコケが生えていたのですね。
ネットで、「カワラタケ コケ」と調べてみたら、もっと緑色のカワラタケの写真が出てきて、やはりカワラタケの傘にはコケが生えるんだということが確認できました。謎が解けてすっきりすると共に、複雑に絡み合った生態系の美しさに感動を覚えます。
(5)ワサビタケ
森の奥のムキタケ地帯に生えていたワサビタケ。以前から何度か写真を載せていますが、ワサビタケ?扱いでした。他にも似ている見た目のキノコがあるとされていたからです。
しかし、ワサビタケなら、ヒダの間に細い連絡脈が見られるという特徴があるのを知ったので、今日こそはそれを確認してみようと思いました。ここには何度も来ていましたが、たまたまそれを思い出せたのが今日だったというだけのこと。
かなり小さなキノコですが、一枚もぎとってみて裏返します。しかし肉眼では連絡脈は見えません。
でも、ルーペで拡大してみると…。
確かにヒダとヒダの間に小ヒダがあり、互いに連絡している! 図鑑で見た特徴が本当にあることを確認できたときの喜びは筆舌に尽くしがたいものです。これからはワサビタケらしいキノコを見つけたとき、ルーペさえあれば鑑別に困ることはないでしょう。
その後、森を歩いていて地面に落ちていた謎のブラックベリーのような実。
不思議に思って拾ってみると、ブラックベリーとは違い、長い果柄がついていて、おそらくハリギリの実だとわかりました。
もしくはタラノキやウドのような他のウコギ科かもしれませんが、いずれにしても、こんなにぎっしりついているのは珍しいのでは? やはり今年は木の実類は豊作だったのかもしれません。
帰りに見た川沿いのケヤマハンノキの雄花序と実。来春の準備を整えています。
公園のヨーロッパトウヒに出ていた白い菌類。図鑑でマツに出る白い不定形のキノコを調べてみましたが、よくわかりませんでした。チョークアナタケ(Antrodia xantha)に多少似ていますが、違うでしょうね。
白カビのように見える小さなものだけでなく、塊をなして表面がひび割れている多少大きなものもありました。
2021/11/05金
今日のキノコ。エノキタケ、カイメンタケ、スエヒロタケ等
今日はヒグマが多そうなほうの森へ。細心の注意を払いつつ探索。
最近フンを見つけたので躊躇していた森の奥のほうの一番高いところまで、ぐるりと全体を巡ってきました。フンは森のあちこちで3個ほど見かけましたが、どれも昨日今日というほど新しくは見えませんでした。
常緑マツとシダ以外には、色が褪せてきて見通しもよくなってきたトドマツ林。
(1)ウコンガサ
まだ出ているキノコは時々見かけます。食用キノコとしては、ウコンガサやノボリリュウタケが少しだけ残っていますが、見るからに傷んでいるのも多く量は確保できそうにありません。
(2)クヌギタケ科?
このようなクヌギタケの仲間らしい小さなキノコも、アシナガタケを筆頭によく見かけます。
(3)エノキタケ
森の奥のほうのトドマツ林に到着。以前にエノキタケを採りまくった朽ち木を見に行くと、もう新しいものは生えておらず、前に採り残したものが残っているだけで、すっかり傷んでいました。
しかし、そこから少し下ったところに生えている、見た感じヤナギのですが樹種不明のこの広葉樹。
見てみると、この広葉樹にもエノキタケが生えていました。近づいて周囲をまわってみると、かなりの本数が生えているように見えました。今日は装備も整えていないし、明日また採りにこよう。
(4)クヌギタケ科?
エノキタケの近くに生えていた謎の小さなキノコ。木から生えるキノコで傘は中心が赤みを帯びていて、傘の周囲やヒダや柄は白。小さくて特徴に乏しいので、あまり詳しく観察しませんでした。印象としては柄が白いチシオタケのよう。
森のあちこちに生えるシダは先端から枯れ始めていて、枯れ葉色になっているせいで、まるで赤、黄、緑の虹色のグラデーションみたい。
なんのシダかな?と見に行ってみましたが、普通のオシダだったようです。つぶつぶだった胞子嚢が割れて、弾けたゴム風船のような、ちょっと不思議な見た目に。
時々落ちていたヤマブドウの房。こんなにしっかり房になって実っているブドウは去年は見なかったので、今年は実りが良いようです。地面に落ちたものはクマは食べないのかな? その必要がないくらい食べものが多いのならいいのだけど。
(5)カイメンタケ
てっぺんから少し下ったウメガサソウ地帯の脇のカラマツ。去年、褐色腐朽菌のカイメンタケが出ているのを確認した木ですが、今年も同じ場所に生えていました。去年のがそのまま生えたままになっていたとは思えないので、新しいもの?
調べてみたら多年生ではなく、胞子を放出すると朽ちるとのこと。アミヒラタケなどと同じなのかな。ということはやはり、今年生えたぶんのようです。しばらくヒグマの気配が強くてこの近辺に寄り付かなかったので、その間に生えていたのでしょう。
(6)スエヒロタケ
下り道の途中で落枝に生えていた白いキノコ。たぶんヒグマがサルナシの木を目当てに行き来している道ではないかと思うので、ずっと音を出しながら急いで観察。
綿くずをまとった貝殻のような不思議な傘。
裏側はもっと面白く、ヒトデやウニなどの棘皮動物の形を思わせるヒダ。ムキタケのように半円形になるのではなく、放射状にヒダが広がるのでそう見えるのでしょう。
とても美しいキノコだったので、調べたらわかるだろうと思っていましたが、Google Lensによると、なんとスエヒロタケ。非常にありふれたキノコとのことで聞いたことはありましたが、こんなに美しいなんて…。
ネット画像で調べてみると、必ずしも放射状にヒダが広がるわけではないようで、扇形のものもありました。また傘の色は、地が褐色で、その上に白い荒毛をまとっているようです。
スエヒロタケの特徴的なヒダは「偽ひだ」と呼ばれるものらしく、乾燥時に胞子を守る役割をもち、外見的にはひとつのヒダが縦に2つに裂けているように見えます。個性的な見た目なので、覚えて見分けたいですね。
他の植物が枯れても青々としているシダの中でも、濃いテカテカした緑色がひときわ目立つコタニワタリ。そういや去年は今ごろ熱心にシダを観察していましたが、まだヒグマに遭遇したことのないビギナーだからこその余裕でした。
カラマツ林で見かけたハシブトガラもしくはコガラ。撮影できたのは一瞬だけでしたがピントが合っていてよかった。木々の葉が少なくなってかなり観察しやすくなってきましたが、ヒグマが寝るまでゆっくり観察するのはお預けです。
かなり歩いたと思ったのですが、歩数計では4000歩ほどでした。森の中をぐるぐるとほぼ全部の道を歩いてこれだったら、1万歩とかどうすれば到達できるのだろう? 本当に正確に測定されている?
帰ってから近所に出ていた虹。
よく見るとほのかに二重の虹でした。
2021/11/06土
新しそうなクマゲラ食痕を見つけた
こんど東京の友達とビデオ会議システムで会うことになったので、一念発起して、地元の魅力を伝える動画を作っていました。
思いついたのは昨日の昼。先日、沖縄の久米島の人が同じようにして、地元の紹介動画を作って見せてくれたので触発されました。
最近はYou Tubeの動画投稿が盛んだから、きっと写真や動画をつなぎ合わせて簡単にちゃちゃっと作れるソフトなりアプリなりがあるんだろう。そう思って楽観視していました。
ところが、いざソフトを調べると、なかなかいいのがありません。無料で使おうとしたらロゴマークの透かしが入るとか、機能が多すぎて使いづらいとか、色々めんどくさそう。
しばらく調べてみて、パワーポイント(オンライン版)とWindows標準のビデオエディターで作ることにしました。
まず、資料の地図などのスライドを、いつもどおりGIMPで加工。それをパワポで見栄えがするスタイリッシュなデザインとアニメーションで表示。プレゼンしているところをWindowの画面録画で動画化。最後にビデオエディターでプレゼン動画やここ3年で撮った自然界の写真や動画とつなげて、BGM載せて完成。
どうなることかと思いましたが、1日で6分ほどのPV動画ができました。自分で言うのも変ですが、かなり洗練された出来でした。プライバシーやら著作権やらの都合で、ここに公開できないのが残念です。
さっそく身近な友人幾人かに見てもらったところ、想像以上に評判がよいので、本番も喜んでもらえそうです。
本当はそれよりも、他に仕事がたまっているんですよね…。絵も完成させなければならならないし。まるで漫画家の締め切り間際の現実逃避みたい。
森に出かけたら、かなり寒い。冬用のスキーズボンをはいていきました。
まず湿地帯の森のほうに出向き、一昨日に再確認してきたキクラゲを採取しました。雨の日より小さく見えましたが、水に漬ければ復活するかな。
また、チョウセンゴミシも少し追加で採ってきました。五味子茶を飲むと、あの酸っぱい味を出すのに、かなりの量が必要になります。大量に実っているので、つい採りたくなりますが、3分の2は森の生き物のために残します。
それから、別のもうひとつの森へ。裏側のサルナシの木のほうから登り、一番奥の高い場所まで、昨日と同じようにぐるりと一周しました。相変わらずヒグマのフンはあるけれど、特に新しそうなのは見ませんでした。
黒いトドマツ林と、背後にセピア色に色づくカラマツ林のコントラストが美しかった一枚。リスのエビフライがたくさん落ちていたので、今年も見れるかな、と探しましたが、ヒグマが怖いので、ゆっくり探すことができません。
森の入り口腹付近にある広葉樹に出ていたムキタケらしきキノコ。傘に毛が生えているのが確認できました。裏側は柄が非常に短く、ムキタケらしい黄色くて毛の生えている柄が見当たりませんでした。ツキヨタケとの区別点である付け根の様子も確認できませんでした。
森の中で見つけた謎のタケノコ状の黒い物体。以前も湿地帯の森で似たようなものを見つけて、なんだろう?と悩んだことがありましたが…、
近くを見ると、同じような物体から、シダの葉が生えているのが確認できました。
どうやらこれは、シダの地下茎の一部だったようです。そういえば地上に出ているシダは「葉」で、「茎」と「根」は地中にあるんでした。中学校で習う内容だけど、実物を見ないことには全然わからないものですね。経験なき教育は無意味。
森の一番奥の高いところなは、クマゲラの食痕がたくさん残っています。ここでクマゲラを見たという人もいますが、いまだわたしは見ていません。
昨年は、あまり新しそうな食痕がなかったので、ここにクマゲラがいたのはもう昔の話で、今は別の場所に移動したのだろうと思っていました。ところが、
かなり細い食痕を発見。一日でつついて開けた程度の大きさです。位置が低く、穴の直径は大きいのでクマゲラのもので間違いないでしょう。
しかもよく見ると、松ヤニがまだ滲んでいて、乾いていないことがわかりました! ということはここ数日のあいだに、クマゲラが新しく空けたに違いない。
数が多いわけではなさそうですが、今でもクマゲラがいるのは確かなようです。ヒグマが出るような場所でなければ、頻繁に見に来て張り込みたいのに。見に来れる機会はあまりないですが、ぜひ一度は見てみたいです。
帰りに、昨日確認したヤナギと思われる枯れ木のエノキタケも採ってきました。手前に見えた大きいのはもう腐っていて、裏側に生えていた幾つかだけ採ってきました。ヒダが変色して染みができていたので、もう古そうでしたが、そのおかげでエノキタケだと容易に判別できました。
今日の収穫。チョウセンゴミシ、エノキタケ、まだ生えていたノボリリュウタケ、キクラゲ。
1時間以上森の中を歩いたのに、またもや歩数計では3500歩くらいでした。歩数では測れない良い運動になっていると思いたい。
2021/11/07日
ムクゲの種、公園のヤマゲラ
用事があって街中を歩きましたが、3000歩も歩いていないにも関わらず、ひどく疲れました…。アスファルトの硬い地面を歩くことが最近少なくなっているので、ちょっと歩くだけで足腰に響きます。
せっかく草花やコケのクッションを用意されているのに、それらを除去して無機質なアスファルトを一帯に敷き詰めるなんて、人間は本当に愚か極まりないですね。
途中で見かけた見慣れない街路樹の実。ツツジ科の植物だろうか? と思いましたが、後で調べてみたところ、ムクゲだとわかりました。そういえば、夏に街なかに植栽されたムクゲが咲いているのを見ましたね。
薄緑色の紙風船のような実。茶色くなって枯れると、乾燥して割れ、中身が飛び散るようです。 中に入っていた実は不思議な形。勾玉のような形で、白いふさふさした毛が生えています。この程度の毛で羽の役目を果たせるとは思えませんし、どうしてこんなデザインをしているんでしょうね。意外と風で飛ぶんでしょうか。
冬芽もかなり個性的で、非常に小さく、一見すると芽が鳥などに食われてしまって欠けているのかと思うほどでした。
肉眼だとサルナシやハリエンジュのような隠芽なのかな、と思ったのですが、ルーペで見ると一応あるにはありました。それでも、半円形の葉痕に比べてまったく目立ちません。
調べてみると、裸芽で細かい星状毛が密生しているとのこと。しかしルーペで観察しても全然わからないほど小さいです。
公園のヤマモミジ?の紅葉。とても見事な深紅で、地面には落ち葉だまりができていますが、去年はたしかこれが雪の上に積もっていたのでした。今年は時期が合わず、白と紅のコントラストを見ることはかないませんでした。
非常に鮮やかな赤一色なので、もしかしたら園芸品種のモミジかな、とも思ったのですが、葉っぱの形を見る限りヤマモミジのようです。調べてみると、普通に真っ赤に紅葉するモミジだそうです。
ヤマモミジは、イロハモミジ、オオモミジの葉ともよく似ていて、このうち北海道に自生するのはヤマモミジとオオモミジのみですが、公園なら三種とも植栽されている可能性があります。こちらのサイトに見分け方が載っていますが…、
葉のギザギザをルーペで撮る、翼果の付き方を見るなどしないと区別できず、しかも3種が混ざっている園芸品種も多いとのことなので、厳密に区別しなくてもよさそうです。
まだたくさん枝に葉を残していて落葉が遅いモミジバスズカケノキの葉っぱ。カエデに似ている、と思っていましたが、集めてみると、思いのほかバリエーション豊かでした。
シラカバのようにほぼ三角形のものから、モミジに似ているもの、モミジよりさらにもう1回切れ込んでいるものまで。近くに落ちているから同じ木の葉だとわかるけれど、一つずつ見せられたら絶対混乱するでしょうね。
モミジバスズカケノキの実。下のほうの手で触れる場所はもちろん、それより高いところにもめったにぶら下がっていませんが、樹冠付近のてっぺんに大量に実っていました。おもな顧客の鳥たちのためか?とも思いましたが、鳥ってモミジバスズカケノキの実は食べそうにないですね…。
調べてみると、果肉はなく綿毛がぎっしり詰まっているそうで、風散布。だから高い場所が好都合なのでしょうか。しかし落下してから種が飛ぶとも書かれてあって謎。
ハルニレの木でキョッキョキョキョキョ…と鳴いていたヤマゲラ。毎年、この狭い公園で1羽だけ見かけるのですが、もしや同じ個体なのでしょうか。ヤマゲラが見られるようになると冬だなぁと感じます。夏は緑が同化して発見困難ですからね。
5分に1度くらいのペースで鳴くので、なんとか鳴いているところを、と思ってひたすらビデオ撮影していたら、なんとか鳴き声を動画に収めることができました。
2021/11/08月
森と公園を散歩。スズメバチの巣、ヤドリギの実、ツグミの群れ等
前に高山から採ってきたハイマツの実を分解してみました。硬い殻の実がぎっしり詰まっていて、とても美味しそうです。
人間もパッケージされた食べ物をスーパーで買いますが、動物たちが食べるのは、幾重にもリサイクル素材でコーティングされた、栄養価の高い食事です。その精巧さには驚かされます。
あまり天気が良くない中ですが、雨は降っていなかったので、近所の湿地帯の森を散歩。ムキタケを採取した地点まで一周して帰ってきました。
入り口の池のそばの落枝に生えていたキノコ。カヤタケのような見た目に見えましたが、裏側は管孔でゴムのような質感。知っているキノコの中ではキアシグロタケによく似ていますが、柄は黒くありませんでした。でもタマチョレイタケ科(タコウキン科)なのは間違いなさそう。
傷んでいましたが、裏面は管孔で穴はかなり小さめです。管孔の色は傘と同じく褐色に見えますが、拡大してみると白っぽくも見えます。
これらの特徴で、かなり種類がしぼれそうなのですが…。
まず傘の色から、オツネンタケモドキは除外。管孔の形から、ハチノスタケ、アミスギタケは除外。柄の色からアシグロタケ、キアシグロタケは除外。タマチョレイタケは材上に出ることもあるそうですが、傘に鱗片が見当たらないので違いそう。となるともう候補がありません。
調べ方が悪いだけかもしれませんが、今のところ柄が黒くないキアシグロタケのようなタマチョレイタケ科としか言えません。
秋に若葉を出したナニワズの新葉。よく見るとつぼみもつけていて、春の雪解けの頃に見る姿とまったく同じです。すべて前年の秋には準備を整えてあったのですね。だからこそ誰よりも早く、春一番に花を咲かせることができます。
その近くにあった謎の木。冬芽は対生のように見えて、奇妙な形の実のようなものをつけています。
ひとしきり悩みましたが、冬芽の形からして、おそらくミズナラでしょう。実のようなものは前に確認したことがあるミズナラメコガタニセハナフシという虫えいだと思います。
野生の場合、こんなにたくさん虫えいがつくというのは驚きでした。花のような形になった虫こぶが、少なくとも10個近くついていました。
ミズナラは互生なので、対生に見える点が謎でしたが、そういえば去年の冬、シイタケの原木栽培のためにミズナラを切り出した時、ミズナラの芽は対生のように見える場合があるのを実地観察したのを思い出しました。
幹の様子。まだ若く、人間の腕ほどの太さしかありません。それでも、ミズナラとは程遠い滑らかな樹皮に見えます。
本当にミズナラ? 対生だしハシドイとかじゃないの?と思いましたが、ネットで調べたら若木は普通に滑らかなようでした。
すぐとなりに、もっとはっきりミズナラだとわかる大人の木があったので、これもミズナラであることは間違いなさそうです。身近にあるごく普通の木でも、いまだに樹種の見分けには苦労することがあり、毎回よい勉強になります。
森の中の倒木にまだ出でいたムキタケ。食べれそうな傘に見えたので採取してみましたが、裏側のヒダには、白いつぶつぶがついて傷んでいたので、もうダメでした。もう少し早くここに見に来ていればよかったです。
帰りに通りかかったジンヨウイチヤクソウの群生地。もう花茎は枯れて消えていましたが、葉っぱは常緑多年草なので青々と茂っていました。
そのすぐ近くに見つけた、スズメバチの巣。そういえば、夏の虫の多い時期に、ジンヨウイチヤクソウの実だったかを見に来た時、ハチかアブのような虫につきまとわれて怖かったので、急いで帰ってきたことがありました。もしかしたらスズメバチだったのかも…。
そんなに大きな巣ではないものの、望遠で見ると立派な模様です。一般にスズメバチは巣を再利用しないとされているので、場所を覚えておいても意味がなさそうですが、こんなに身近にあるものなんですね。しかも見えない場所に。
その後、近所の公園に立ち寄ったとき、なんと公園のズミの木にもスズメバチの巣を発見! こちらも葉っぱが落ちてわかりやすくなったので発見できました。ここの公園では夏に別のセイヨウナシの木にもスズメバチの巣が発生していたのを覚えています。
さっきの森の中の巣と同じくらいの大きさ。こちらも立派なマーブル模様。
この後、翌日に車を運転しているときにも、道端の葉を落とした木にスズメバチの巣がついているのを、すれ違いざまに見かけました。ほんの24時間で3つも見つけたことになります。
今年は知り合いが水道メーターの点検の際にスズメバチに襲われ、数箇所刺されたという話も聞きました。わたしは森に入るときは全身防備で顔網もかぶっているので多分大丈夫だと思いますが、どこに巣が隠れているかわからないので、油断できません。
公園のミズナラ林の4羽ほど止まっていたツグミ。今日のツグミという名にふさわしく、一言も鳴き声を発さないほど黙して静かでした。かなり長くとどまってくれていたので、何枚も写真や動画を撮れました。
空が曇っていて逆光のようになり、現地ではほぼシルエットにしか見えなかったのですが、後で写真を編集してみると、背中の赤茶色の羽がきれいに写っていました。現地では白い眉と、胸の斑点でツグミだと判断していました。
目立たない鳥ですが、まじまじと見ると白眉がとても凛々しく、かっこいい顔つきです。
公園のヤドリギの実。この付近ではすべてアカミノヤドリギです。手の届く位置のものを写真に撮れたのは初めてかも。
試しに実を指でつぶしてみましたが、ねっとりしているように感じました。確か図鑑で読んだところによると、このねっとり成分のおかげで、鳥のフンと共に散布されるとき、木の枝にひっついてそこで芽吹くことができるのそうです。
ヤドリギの花芽。来春早く、4月ごろの雪解けの時期に咲けるよう、ナニワズと同じくもう準備を整えていました。
2021/11/09火
みんなで味噌作り
畑で採れた大豆を使って、今年もみんなで集まって味噌を作りました。なんと全部で8.3kg! このほどの量なので、茹でるのも一苦労。
大豆を砕いてドロドロにして、塩と麹を混ぜて、団子状にこねて空気抜きして、タッパーに詰めました。屋外の納屋で作業しましたが終わった頃にはもう真っ暗でした。
飛び入り参加の2名を含め、4家族7名での味噌作りでした。量が多かったので、誰もが貴重な戦力でした。
コロナが流行し始めてから、人と会ったり集まったりしづらくなったので、久々の貴重な交流の場でした。
完成した味噌は半年から一年ほど発酵させてからいただきます。頑張ってこねたので、明日は腕が筋肉痛になりそうです。
2021/11/10水
公園を一周散歩して野鳥観察
友達の家のイチョウから落ちていたギンナン。積極的に集めたわけではないので量は少ないですが、とても美味しそうです。
あまり天気が良くないし、昨日の疲れで体調も微妙なので、森に行くのは無理。ということで、代わりに公園での外周を歩きました。一周2kmくらい3500歩ほどでした。気温は10℃弱とぬるく感じました。
途中の公園内の林にいたさまざまな鳥たち。ゴジュウカラ。
ハシブトガラもしくはコガラ。
そして今シーズン初確認のコゲラ! ギィーという鳴き声が聞こえていたので、たぶんいるだろうと思って探していたらやっぱり! 他のキツツキと違って、ほぼモノトーンの地味な鳥ですが、かえってシックな色合いで好みです。
ほかにアカゲラや、よく観察できなかった他の鳥などもいて賑やかでした。時刻は15時過ぎで、冬至が近く日暮れが早いので、ちょうど鳥たちが活動する時間帯だったのかもしれません。
2021/11/11木
イケマとガガイモの実
今日もずっと雨。昼過ぎにやっと止んで、外を見に行ったら、大きな虹! 消えないうちに急いで走って、見晴らしのいいスポットへ。
じつはかすかに二重の虹でしたが、そこまでは写りませんでした。見晴らしのいい地点に到達して10秒ほどでかき消えてしまいました。本当に一瞬。
夕方ごろに、イタドリやトクサ、オオウバユリなど在来種が残っている街中の小道へ出かけてみました。イタドリにからみついたイケマとガガイモの実がちょうど見頃ではないかと期待して。
すると、ぎっしり詰まったガガイモの実がたくさん。ぴったりのタイミングだったようです。
連日の雨だったからか、羽が開かずないまま地面に散乱している実も多数ありました。市販のエノキみたい。こんな落ち方をしても、また乾燥した日があれば、風で飛ぶことができるのかな。
今年の夏、ここの道に生えているのはガガイモとイケマの混生だということを発見しました。それで、もっと小ぶりなイケマの実を探してみました。
おそらくこの小さめで殻が薄いのがイケマの実。
ガガイモの実と比べてみると一目瞭然。ガガイモの実の殻は、舟のような立体的な形になって内側が大きくくぼんでいますが、イケマの実の殻はペラッペラでほとんど立体感がありません。
手のひらの上に並べてみました。左がガガイモ、右がイケマ。並べて比較してみると、大きさも随分違うのがわかります。殻の表面も、ガガイモのほうがゴツゴツしていますが、イケマのほうもまだら模様があります。
はじめの年に、ガガイモの種を見て、実のなかにぎっしり整然と詰まっている様子に感動しました。今見ても、その感動は変わりません。なんて効率的で美しいパッケージデザインなのでしょう。今年はイケマとの区別もできるようになって、またひとつ新しいことを学べました。
2021/11/12金
公園の真っ赤なメギ
ずっと雨だったので、遠出はできず、近所を歩いただけ。アスファルトの上を歩くと足が痛くなるので、道路脇の草地や公園の中ばかり歩いています。
舗装された道路は車や自転車で走るものであって、歩くのには適していませんね。都会にいたころは気にしていませんでしたが、鈍感になって感覚が麻痺していたのでしょう。自然の中を歩いた経験がほとんどないせいで、草やコケのクッションの快適さを知らなかったことも理由のひとつでしょう。
どんな季節の、どんな自然にも、見るべき美しいものがある、と言いたいところですが、わたしの目では見つけられません。公園の黄葉して実をたくさんぶら下げたメギに心惹かれただけ。
雨露をまとった、つややかでみずみずしい姿は、煎じずとも目に麗しい心地よさでした。
今の季節だったら、もっとシダとかコケとか地衣類を観察すればいいのでしょうか。特に森の中のコケは晩秋か早春くらいしか観察に適した時期がなさそうですね。でも、なんだか疲れてしまって新しいことに挑戦する意欲が今は湧きません。
2021/11/13土
林内地上にエノキタケ? …ではなさそう
天気予報では、今日は雨が降らないことになっていたので、久々に森の中に歩きに出かけました。こちらの森を歩いたのは11/6以来だから一週間ぶりか。エゾリスやクマゲラを見たいので、もう少し頻繁に通いたいのですが天気が許してくれません。
カラマツ林がすっかり落葉していたので、森の中はあっちもこっちも赤茶色の木くずのような落葉が堆積しています。クッション性は最高で、歩き心地ははいつにもまして良いです。
晩秋にノボリリュウタケが群生して、地面の真ん中にまで生えていたあたりに、別のキノコを発見。褐色の傘に条線がよく目立っていて、一見して何かわからなかったので、調べてみることにしました。
横から見てみると、あれ?柄が黒い。
一本引き抜いてみたところ。ヒダは傘と同色で褐色、やや疎。柄はほとんど真っ黒。
ルーペで観察してみると、黒い柄に細かい毛が密生していて、もしやこれってエノキタケ?と安易に思ってしまいました。傘も指で触ってみましたが、乾いた状態のヌメリガサ科のような感触だったので、濡れるとぬめりそうでした
エノキタケは基本的に材上に生えますが、まれに地上にも生えるそうです。下に古い木の破片などが埋もれているのかも。
しかしエノキタケの柄の毛って白ではなく、毛そのものが黒っぽかったのではなかったか…? とここで少し違和感。
それに改めて、2つ上の全体像の写真を見ると、毛が生えているのは柄の上部だけで、中ほどより下は白い縦の繊維のようになっています。また、根元には白い菌糸がまとわりついています。
ヒダは上に向かってくぼんでいて、上生や離生に見えたのですが、ルーペで見ると湾生です。
香りを嗅いでみましたが、キノコ臭はあれど、エノキタケっぽい感じはしませんでした。わたしの鼻は全然当てになりませんが、明らかにエノキタケだとわかる匂いでないことはわかります。
何より、この傘の条線。エノキタケは条線が確かなかったはず…。帰宅後改めて調べてみると、湿っている時に傘の周囲に短い条線が現れる、とありましたが、これほど長い条線が出ることはありえないでしょう。
断面。うまく裂けなかったので、あまり参考にならないかも。もしかしたら縦に裂けにくいキノコだったのかもしれませんし、たまたまかもしれません。
少なくとも、ヒダの色が傘と同じ褐色であることはわかります。エノキタケは白かクリーム色であり、傘とヒダが同色ならヒメアジロガサモドキなどの類似毒キノコを疑う必要があります。
柄の断面は中空でした。
晩秋に発生していて、傘が褐色でぬめりそうで、柄が黒く毛がある、といういかにもエノキタケっぽさを感じてしまうキノコでしたが、立ち止まってよく調べてみたら、
・傘に長い条線がある
・黒い柄に生えている毛は白く、上部のみ
・ヒダが湾生
・地上に生える
といった点からエノキタケでないことは明らかでした。地上に生えていたり、傘の形がエノキタケっぽくなかったりしたので、どのみち採って食べようなどとは思わなかったですが、それでも一瞬だまされかけたので、やっぱりキノコは怖いな、と思いました。
それではいったい何のキノコだったのか、ということになりますが、Google Lensではヒメアジロガサモドキではないかと出ます。
しかしヒメアジロガサモドキなら柄にツバの痕跡があるはずですし、ヒメアジロガサモドキの柄に微細な毛が生えているといった記述は見当たらないので違うようです。またヒメアジロガサモドキもエノキタケ同様、基本的には材上生です。
ホウライタケの仲間の可能性もありそうでしたが、一致する特徴のものは見つけることができていません。
最も似ているのがチャムクエタケモドキで、地面から生え、傘が濡れている時、条線が現れる。ヒダが直生~垂生、肉桂色、やや疎。柄は中空で、傘と同じ色、細かい綿毛状の鱗片で覆われる。とかなり近いのですが、柄の色が違います。
そもそも11月にも出現して、柄が黒く毛が生えているなんて、そうそうないはずなので、そのうち正体がわかると良いのですが…。
2021/11/14日
ナナカマドの実を食べるカラス、プラタナスの実の中身
また一日中雨でした。晴れ間はのぞいているのに、絶え間なく降ったり止んだり。用事もたくさんあったので、近所を散歩しただけ。
遠くから見て、ずっとヤチダモだと思い込んでいた木。今年は近隣のヤチダモが不作で、のきなみ実をつけていないのに、これだけたわわに実っていて、どうもヤチダモではなさそうだぞ、と気づきました。
望遠レンズで冬芽を観察してみると…。
明らかにヤチダモではなかった! 低い場所に枝がないので、冬芽の観察はこの倍率が限界なのですが、カエデのような対生の冬芽だとわかりました。冬芽が白っぽい毛をまとっているように見えますし、ヤチダモに似た実をつけるという状況証拠からして、ネグンドカエデだったと判明。
まだ知識の少ない去年か一昨年に、遠くから冬場に残った実だけを見てヤチダモだと思いこんでいましたが、よく観察してみないとわからないものです。
今になって去年のキノコシーズンの日記など読んでいると、嘘八百を書きすぎていてため息が出ます。そのうち修正したいけれども、今の知識でもまだ不十分か。
そのすぐ近くにあるナナカマド並木から、実を採って飛び去るところを目撃したカラス。最初、道路の真ん中の地面にいて、しばらく見ていると飛び去ってしまい、ああカメラで写せばよかったな、と後悔しました。でもすぐに電線に止まっているのを再発見でき、このとおり、はっきれ姿をとらえることができました。
まさか実だけでなく果柄ごと飲み込んでしまうのでしょうか? またすぐに飛び去ってしまったのでわかりません。ナナカマドの実は、天然保存料ソルビン酸が入っていて、たぶんあまり美味しくないと思うのですが、本格的な冬が来る前に食べてしまうカラスもいるのですね。
公園のプラタナス(モミジバスズカケノキ)を見に行くと、ゴマ団子のような実がたくさん地面に落ちているのを発見できました。この前、ネットで調べていて、プラタナスの実を分解した写真が面白かったので、ぜひ自分でも試してみたいと思っていたところでした。
地面に落ちたプラタナスの実は簡単に砕けてしまい、誤って踏もうものなら、跡形もなく粉砕してしまいます。そうでなくても、自然に分解しかかっているものも多く、内部構造を簡単に観察できます。
指で圧力をかけるだけで簡単に砕けるので、半分に割ってみました。中心に核があって、そのまわりに種がついた棒状の綿毛がびっしりと詰まっていて、見かけ状球体になっているのでした。なんと精密で美しいデザインなのでしょう。
ルーペで拡大。
どれが種なのか、現地で観察した時はよくわからなかったのですが、一つの球果に500の種が入っている、という説明からすると、内側ではなく外側の表面についているのが種なのだと思います。つまり分解していない球果の外観に見えている部分ではないかと。
言ってみれば、プラタナスの実は、360度全方向に羽つき飛行機が飛び立てるデザインの格納庫なのかもしれません。宇宙空間を舞台にしたSFだったら、そんな近未来的な施設が登場してもいいのにな、と思います。
2021/11/17水
エゾシカと至近距離で出くわし、ミヤマカケスが飛び回る雪の森
3日ぶりの日記。一昨日はなんだか疲れてしまって、日中は外出せず、夜になってから近所を歩きました。最近は生活ペースが昼型になっていますが、引っ越してきた当時の夜型のころを思い出して、やっぱり夜は夜で雰囲気があっていいなと感じました。
昨日は朝からみぞれや雪がパラパラと降り、そろそろ本格的に冬っぽくなってきました。まだ収穫できるレタスを採らせてもらって、先日掘った越冬野菜用の穴に、白菜を計12個埋めてきました。
そして今日。久しぶりに昼からの天気予報は晴れマーク。これを逃すと、延々と続く曇りと雨と雪なので、森歩きに出かけました。気温は0℃を少し上回るくらいで、わたし好みの冷涼な気持ちの良い空気感になってきました。
朝方に雪がちらついていたので、森の中は、ところどころ白くなっていました。まだまだ根雪になりそうにはありませんが、そろそろ雪化粧した森が見られる季節になってきたので、11月後半から冬が始まったとみなしてよいかもしれません。
すっかり葉を全て落として地味になってしまったカラマツ林。ついこの間まで黄金色だったのに…と思いましたが、見返してみると先月末でした。あれから2週間以上経っているのに、日々の出来事が薄いせいで、時間がワープしたかのようです。
このカラマツ林の道を歩いていて、心底驚く経験をしました。
熊鈴をジャラジャラ鳴らしながら、何の気なしに歩いていると、左側のちょっとササやぶが開けたところに、なんとエゾシカがのんびり座っているではありませんか! 角がなかったのでメスでしょうが、かなり大きな体でした。
その距離わずか10m。目と目が合って、思わず「おおっ!」と声が出てしまいました。驚いたのはエゾシカも同じで、慌てて立ち上がり、ガサガサと音を立てて、ササやぶの中を飛び跳ねて逃げていきました。かなり遠くまで逃げたようで、しばらくは遠くのほうから草むらをかき分ける音が聞こえていました。
生身で、あれほどの至近距離でエゾシカと顔を合わせたのは初めてでした。相手が人間だったら普通の声量で会話できるくらいの距離です。相手がヒグマだったらと思うとゾッとします。
その場所は、なぜかササやぶが少なく開けていて、去年の春にナニワズを見つけたのを覚えています。もしかすると、数年前くにらいにササが花を咲かせて一斉に枯れたのかもしれません。
周囲はササやぶで覆われているので、シカにとってもわたしにとっても死角で、真横を通りかかるまで互いに目視できませんでした。だから至近距離での遭遇につながったのだと思います。
でも、わたしはずっと熊鈴をジャラジャラ鳴らしていたのに、シカはわからなかったのでしょうか?
そういえば、去年の今ごろも、複数人で話しながら森の中を歩いているときに、かなり至近距離になってからエゾシカがササやぶの中を逃げていったことがありました。時期的なもの? それともエゾシカは聴覚があまり鋭敏でない?
調べても、聴覚が弱いといった情報は特になかったので謎です。視界が開けている場所でエゾシカと遭遇した場合、非常に遠くてもこちらを見て警戒しているので、視覚がよいことはわかるのですが。
さて、今の時期の森歩きの目標は、エゾリスとクマゲラです。おそらくカラマツの葉が落ちて雪が積もる前の今の時期が、一番見るチャンスがあると思っています。去年エゾリスの動画を撮れたのも11/8と11/23でした。
それで、ずっと上を向いて探しながら歩きましたが、まったく気配がありませんでした。大きな影が見えたので、もしかして?と期待しましたが、追ってみるとミヤマカケスでした。
それからしばらくの間、たぶん10分くらいでしょうか。2羽のミヤマカケスが、鳴き声もあげずに、わたしの周囲の頭上をぐるぐる飛び回って、まるでわたしを見物するかのように、ずっとついてきました。
おかげでシャッターチャンスが次から次に訪れ、しまいには、もうミヤマカケスはいいや、と思えるくらい写真や動画を撮らせてくれました。それにしても、黒い線の部分が目かと思ったら、その上に目があるんですね。ヒゲっぽい?
そのほか、カラマツ林のはるか頭上20mを超える高さには、ガラ類がたくさん群れているのも見えました。それほど遠くても、今日のように青空が広がってさえいれば、望遠カメラでこのようにしっかりと姿を捉えることができます。
しばらくお供してくれたカケスがいなくなったころにやってきたのはヒヨドリの群れ。けたたましくピヨピヨ鳴きながら、ハリギリの実を食べているようでした。カケスと違って、わたしのことは意に介さず、森じゅうを縦横無尽に飛び回っていました。
結局、エゾリスもクマゲラも気配すらなし。もしかしたら時間帯が良くないのか、と思って去年の写真の記録を見たら、16時や17時にエゾリスの写真を撮っていました。
この時期は日が暮れるのが早いのに、去年のわたしはそんな遅くに森に出かけていたんですね。家を出たのが15時ごろだったのかも。対照的に今日は家に帰ってきたのが15時でした。これでは気配がなかったのも致し方なし。
できればまた時間を変えて森に出かけたいところですが、天気予報によると、もう晴れ間がのぞく日はなさそうです。背景が曇り空だと、逆光になって観察が難しくなってしまいますが、贅沢は言わずに明日も出かけることにします。
ウメガサソウのその後、迷路状のヒダのキカイガラタケ
森の切れ間から見渡す牧草地の風景。緑色の下草に白い雪が溶けている様子が、練乳抹茶かき氷みたいで、毎年見るたびにおいしそうだなーと思ってしまいます。
とても久々に訪れたウメガサソウ地帯。さすがにもう見つからないだろう、と思ったので、これといって積極的に探していたわけでもないのに、他の植物が枯れたせいで、かえってウメガサソウの常緑の葉が目立っていて、すぐ見つかりました。
双子の花と実をつけていた個体のその後を観察できました。
実はすっかり枯れて色が変化しています。おそらく花茎から先は枯れて落ちてしまうのでしょう。花茎が生え出ている付け根のあたりに来年の冬芽が準備されています。
相変わらずこんなに小さいですが、無事に生き延びています。
枯れた実の様子。柱頭は黒くなっています。
2つの実のうち、左側の果実の表皮は割れて、もう中身が飛び散ったように見えます。右側の実のほうはまだ割れていないのかもしれません。
中の種はどんな形だったのだろう? そこまで気が回らず観察しませんでした。もし明日も天気がもって森に行けるようだったら、実の中身を調べてみようかと思います。
すっかり葉が落ちて見通しがよくなった森の中で、ひときわ目立つトドマツの青々とした常緑の葉。緑の少ない季節だからこそ、いつもより生き生きして見えます。
歩いていると、緑の松葉がまるで小動物のように葉を震わせて水滴をパラパラと落とす瞬間に出会いました。自ら身震いしたわけではないのに、まるで意志をもってブルッと震えたかのように見えて、とても不思議でした。
雪に覆われた切り株。その側面に、かなり新鮮に見える柄のないキノコを見つけました。少し斜面の上にあり、ヒグマがいてもおかしくない場所だったので、少しためらいましたが、かなり美しいキノコだったので、観察しにいかずにはいられませんでした。
斜面は雪で覆われていて、足が滑ってなかなか登れません。イタドリの茎をつかみましたが、すぐ折れてまったく支えになりません。しかしイタドリの根元に近い部分をつかむと、無事に登れました。ヒグマ対策に声を出しながら観察。
サルノコシカケなど柄のないタイプのキノコは、新鮮な段階で出会うのが難しい気がするのですが、これは非常に色鮮やかでツヤツヤしていて、かなり若い群生なのではないかと思えました。
手の大きさとの比較。1~3cmといったところ。かなり小型です。Google Lensで調べたら、執拗にマンネンタケ(霊芝)が候補に出てくるのですが、サイズが全然違うので絶対に別のキノコです。
傘の拡大写真。とてもツヤツヤしたニスを塗ったような褐色の傘で、放射状に凹凸が入っていて、白く縁取られています。知っているキノコではレンガタケ、チャカイガラタケ、チャミダレアミタケなどを思わせます。
横から見たところ。裏側も白くつややかで、まったく汚れておらず、とても新鮮に見えます。
裏側をよく見てみると、一般的なヒダではなく、管孔でもありません。はじめは、エゾハリタケなどのように針状なのではないか、と思いました。
もう少し拡大しても、ハリタケのような針状に見えます。やぶれたヒダ?のようなものがぶら下がっているのが面白い見た目。
ところが、さらにルーペで拡大して観察してみると、針状ではありませんでした。細かいヒダが互いに連絡してつながっていて、おそらく「迷路状」と呼ばれるタイプのヒダだとわかりました。とても珍しく美しく面白い。
すでに挙げた3種のキノコのうち、チャカイガラタケ(Daedaleopsis tricolor)はヒダ状、とチャミダレアミタケ(Daedaleopsis confragosa)、レンガタケ(Heterobasidion orientale)は、いずれも迷路状っぽくなることがあるようで、学名で検索すれば、さまざまなタイプのヒダが見れます。
しかし、今回見たキノコほど迷路化が激しくないような印象を受けました。ヒダが互いにくっついたり、管孔が不規則になったりすることはあれど、今回のキノコほど無秩序に入り組むことは少ないのではないか…と。
それでさらに調べてみたら、Gloeophyllumの仲間のヒダが非常に似て見えました。国内種では、キカイガラタケ(Gloeophyllum sepiarium)、キチリメンタケ(Gloeophyllum trabeum)などがあるようです。さっきのチャカイガラタケと、このキカイガラタケは、和名が似ているものの別属なんですね。
図鑑「北海道のキノコ」には、このキカイガラタケが載っていて、トドマツなどの枯れ木に出て、大きさは1~5cm、管孔はややヒダ状で、長い迷路状の溝を作る、とあったので、これで間違いないでしょう。久々にすっきり同定できてよかったです。
これまで、キノコの裏側は、ヒダ、管孔、針の3種類だと思っていたので、迷路状というのを初めて知って勉強になりました。また多孔菌の仲間では、裏側の形は個体差が大きく、はっきりヒダ、管孔、迷路などと区別できるわけではないことも知りました。たくさん見て経験を積むしかないですね。
帰りに斜面を下るときに、雪で滑って膝が伸びてしまって大丈夫か心配でしたが、特に痛みもなく歩けたので、怪我はしなかったようです。注意深く行動しているつもりでこれなので、もっと慎重でありたいです。
やりたいことはたくさんあって、あまり自然観察できない今の時期にこそ、絵を完成させ、キノコの記事をまとめたいと思っているのですが、なかなか意欲が出ません。予定をずるずると先延ばしにしてしまう、怠惰な日々が続いています…。
2021/11/18木
一生分のシマエナガを見た気分
予報に反して、今日も青空が広がったので、今日こそエゾリスやクマゲラが見れたらいいな、と思って、昨日と同じ場所に散歩に行きました。
時間帯を遅らせて夕方に探したほうが見つかるかもしれないと昨日書きましたが、他の予定との兼ね合いでそうもいかず、14:00ごろに森に入り、15:15には帰ることになりました。
時間帯が悪いのか、昨日以上に鳥の気配がありません。たまにカラ類がいるか、昨日と同じヒヨドリがけたたましく鳴いているかという程度でした。
森の奥のほうを登っていて見かけた面白い形のカラマツ。まるで落雷で幹が2つに裂けたかのよう。でも二股になった幹はどちらも、双子のように力強く成長していました。過去に何があったのでしょうね。
途中のシラカバの倒木に群生していた謎のキノコ。
色は褐色で縁が白く毛羽立っているものもあれば、あまりそう見えないものも。あまりはっきりしないものの環紋があるようです。
大きさは2cmくらいと小型。
裏面は普通のヒダですが、ふちがギザギザに波打っているように見えます。
今のところ正体不明。また改めて図鑑をめくってみないことには。
ウメガサソウ地帯の手前にたくさん落ちていた謎の木の実。赤い実ですが、形が楕円形。見覚えがある気がするけれど何だろう?
帰宅後調べていた、アズキナシだとわかりました。なるほど、小豆サイズで形はナシのようです。
ここにアズキナシが生えているとはまったく知りませんでしたが、森の中なので、非常に背が高く、葉や花を観察できないからわからなかったのでしょう。森の木々は背が高いので、地面の落ち葉や実で初めて存在に気づくことがよくあります。
また、この実を調べていて、8月と10月に森の中に2回落ちていた、謎の色とりどりの木の実の正体がミズキだったと気づけたので、過去記事に追記しておきました。
ゆっくりですが昔わからなかったものがわかるようになる喜びを感じます。それもしっかり記録を残しているからこそですね。昔やっていた慢性疲労症候群の研究と同じく積み重ねが物を言います。
昨日、改めて種を観察したいと書いていたウメガサソウの実。手で実の皮を破って種を取り出してみようと試みましたが…、
あまりに小さすぎて無理! 顕微鏡とピンセットが必要なサイズでした。もしかして、写真のどこかに種が写っているかもしれませんが、きっと芥子粒みたいな大きさでしょうから、どれがそうなのか見当もつきません。
森を一周して下り坂に差し掛かり、そろそろ帰ろうかと思ったところで見つけた謎の物体。非常につややかだったので一瞬キノコ?と思いましたが、枝でつついてみたらヒグマのフンだとわかりました!
場所は前にヤマブドウの実が落ちていた近く。去年の秋にリスを見かけ、初夏にツツドリを見つけた場所から、もう少し下ったところ。
これまでヒグマのフンは何度も見てきましたが、これほど滑らかでクリームのようなものは初めてでした。でも色からしてコクワを食べたフンに似ているので、ヒグマのものであることは間違いないでしょう。
おそらく、このつややかさは、非常に新しいフンであることを意味していると気づいたので、鳥肌が立ちました。かなりニアミスしている? すぐ近くにまだいる可能性がありそう…。
(追記 : 後日、同じようなフンを森の各所で見つけましたが、いずれも、ヒグマのフンにしては大きさが半分以下くらいと小さく、数日経って古くなっても滑らかでツヤがありました。もしヒグマなら今年生まれの個体かもしれませんし、むしろエゾタヌキなど別の野生動物の可能性のほうが高いかもしれません)
しっかり音を立てて、注意深くあたりを見回し、耳を澄まして怪しい音がないか確かめ、斜面を下るときも、先にヒグマが歩いたような足跡がないか確かめながら帰りました。無事に森から出ることができましたが、ひやひやします。
帰りに森の空から背の高い木々を眺めるとかなり高い場所に2つもスズメバチの巣が! やはりこの時期は見通しがよくなって、よく見つかります。
身近なところに普通にあるようですが、森の中だと高いところにある場合が多いのが救いか? でも地面に埋まっているタイプもあるようですし油断なりません。
帰り道、運転していると、家からほんの1分ほどのカラマツ林のところで、シマエナガが目の前を横切ったので、慌てて車を道路脇に寄せてカメラを向けました。
思ったとおりシマエナガの群れでしたが、アカゲラやカラ類もいました。車の中から撮っているからか、全然逃げる気配がなく、なんと10分くらい眺めることができました。しまいには見るほうが飽きてお腹いっぱいになるくらい。
シマエナガというと非常に小さな鳥のイメージでしたが、カラ類と比べると、尾が長いからか1.5倍くらいの大きさだとわかりました。
今までもシマエナガは何度か撮りましたが、ここまではっきりと近くで撮ることができたのは初めてです。正面アングルの可愛い顔も写せました。白くてもふもふ。
ネットの写真や動画では可愛いシマエナガの写真はありふれていますが、まさか自分が生で見れる機会が訪れようとは! あまりにじっくり観察できすぎて、一生分のシマエナガを見たような気分になりました。こんなことってあるんですね。
時刻は15:35ごろでした。やはり朝と日が暮れる直前ごろに鳥の動きが活発になるということなのかな。
今日は森歩きのほうでは、あまり成果がありませんでしたが、帰り際にまさかにサプライズ。毎日毎日、さまざまな美しいもの、面白いものが見られるので、自然観察は本当に飽きません。
わたしの趣味はカメラや写真撮影ではありません
ところで、こちらで知り合った友人と夜に話していたら、わたしがカメラが趣味の人だと思われていることが判明してしまいました。
実際には、わたしはカメラや写真には昔から否定的で、今もあまり良いイメージは持ってません。写真を撮ることは誰にだってできるし、今やネット上にもありふれているからです。
わたしが写真を撮っているのは自然観察の参考資料にするためです。写真が好きだから撮っているのではなく、写真に撮って記録することで、名前を調査したり、日記に残していつどこで見たかをデータ化するのが目的です。
できることなら、すべてじっくり観察してスケッチなど絵に描くのが最善ですが、時間や体力が限られているので、泣く泣く写真を撮るという方法で妥協しています。
だから、全然カメラに詳しくないですし、被写体をきれいに撮ろうという意識はありません。今のカメラを選んだのも、遠くにあるものを見て知ることができるよう、つまりより多くのものを発見して記録するために、望遠性能が良いものを選んだだけです。
とりあえず克明に記録すること以外には写真の質は求めていないので、日記に載せている写真も解像度やサイズは小さくしてありません。後から見返した時に、何をどこでいつ頃観察したかがわかれば十分だからです。
資料として大量の写真を撮りためているので、カメラや写真が趣味だと思われるのは仕方ない部分もありますが、それそのものが目的だと思われるのは不本意です。わたしの趣味は自然観察や博物学的調査であって、写真撮影ではありません。
2021/11/19金
お昼ごはんを集めるエゾリス&夜には部分月食
一日中雨の予報でしたが、なぜか午前中から良い天気。積乱雲が目立つものの、よく晴れた青空でした。でも、昨日の疲れが抜けず、夜あまり寝られなかったので、正午ごろに公園を散歩するだけにしました。
公園をぐるりと2kmほど歩いて一周する途中で、ヨーロッパトウヒの林を通りかかりました。一年目、初めて見つけたリスのエビフライは森の中のカラマツの小さなエビフライでしたが、この公園では立派なヨーロッパトウヒのエビフライを見つけたのを覚えています。
だから、いつもここを通りかかる時には、リスがいるのではないかと探すのですが、今まで一度も目撃できませんでした。でも今日は時間帯も季節も違うので、もしかして、と思ってふとヨーロッパトウヒの林床に目をやると、
いたー! こんなにタイミングよく、狙いどおりに発見できるなんてびっくり! リスは2匹いて、どちらも林床を走り回って木の実を探しているようで、まだわたしには気づいていません。慌ててカメラを構え、ついに鮮明なエゾリスの姿を撮ることができました!
思ったよりも灰色みが強く、思ったより耳が真上に伸びていて、ウサギのような顔をしています。そして意外と小顔。エゾリスは冬眠しないリスですが、冬毛でまるまるとしていて、冬に備えて食べ物を蓄えているようです。
しばらく見ていると、樹幹を登りかけたところで、まるで彫像のようにじっと静止しました。少なくとも1分くらいは固まっていた気がします。後で調べてみたら、エゾリスは固まる防衛をよく見せる動物らしい。わたしに警戒していたのかもしれません。
今までにないほど近くで、長時間エゾリスの姿を見ることができて嬉しい限り。昨日のシマエナガに続いて、思ってもみないチャンスに遭遇できました。こういう機会って、これまでの経験上、森の中より公園や運転中に出くわすことのほうがずっと多いですね。
それにしても、去年エゾリスを写真に撮れたのも、11月のこの時期でした。なぜこの時期は目撃しやすいのでしょうか。ちょうどカラマツの葉が落ちて見通しがよくなるというのもありそうですが、今日見たのは常緑のヨーロッパトウヒ林です。
後で調べたところによれば、エゾリスは季節によって活動時間が異なっており、春は朝から活動し、夏は日出から日没まで、秋は昼、冬は朝に活動するとのことでした。わたしは朝が弱いので、必然的に秋が一番、エゾリスを目撃しやすいのでしょう。
エゾリスがいたヨーロッパトウヒ林には、ヒヨドリの群れも住んでいて、動画に音が入っているようにけたたましくおしゃべりしていました。たまにナナカマドの実を食べに林から出てくるところを撮らせてもらいました。ほっぺのチークパッチが鮮やかです。
しばらくすると予報どおり雨が降ってきて、やがて雷も鳴る荒れた天気になりました。今日はほぼ皆既になる部分月食が観察できる日でしたが、この天気じゃ無理そう…と思って諦めていました。
ところが18:30に外に出てみると、雨がやんで空が晴れて、星が瞬いているではありませんか! そして、肉眼でもはっきりとわかる部分月食が進行中!
(後で名寄市天文台のTwitterを見てみたら、17:50ごろと18:30ごろしか見れなかったそうです。名寄とは位置が多少離れてはいますが、わたしが外に出た時間帯はベストタイミングだったのかもしれません。曇っている時間帯に外に見に行ったら、やっぱり今日は無理だと思い込んでしまったことでしょう)
急いでカメラを取りに戻って、上着を羽織って家の前で月食の観察。月のすぐ左上にはプレアデス星団(すばる)も見えているのが写っています。
手持ちで撮るとブレがひどくで何も写りませんでしたが、地面に置いて、脱いぬだ手袋で角度をつけてタイマーで撮ってみたら、部分月食がきちんと写りました! 三脚があれば一番良いのですが、カメラが趣味なわけではないので持っていません。あるもので代用。
これが18:30の月。
そしてこちらが18:45の月。少しずつ欠けた月が輝きを取り戻していく様子が見れました。これが地球の影だと考えると、なんとダイナミックに、精密につくられているのだろう!と感嘆の声を挙げずにはいられません。
雨の日だと思っていたのに、エゾリスも月食も見れるなんて、思わぬプレゼントに幸せな気持ちになれた一日でした。
2021/11/20土
モモンガの穴? クマゲラの情報
一日中曇り予報でしたが、晴れ間がのぞいたので、昼から森に散歩に出かけました。でも、日が低い上に曇り空なので、いつもより薄暗い気がして、薄気味悪かったです。
途中、シラカバなど広葉樹林に、丸い穴がたくさん空いている木を発見。もしかするとモモンガの巣穴でしょうか? 繁殖期など昼でも活動する時期に見に来たら、目撃のチャンスあり?
この木は穴だらけながら死んではいないようで、葉が残っていたので、望遠レンズで見てみました。でも何の木かまではわからず。冬芽は互生で大きめなので、シナノキ(オオバボダイジュ)に似ているかな?とは思ったものの、葉の形が判別できないので、決め手はありません。
少し進んだカラマツ林では、いつものようにカラ類がはるか頭上の樹冠を飛び回っていましたが、遠すぎて姿をとらえるのは至難の業でした。ここで見るくらいなら公園で探したほうが楽です。
しばらく森の中を進んでいったところ、前にヒグマに遭遇したあたりの岐路に、二日前11/18に見たのと酷似した緑色っぽいフンがありました。やはりサイズが小さいため、ヒグマのものではないのかもしれません。でも断定はできませんし、薄暗くて不気味なので、今日はここで引き返すことにしました。
森から出るあたりでまた見つけたスズメバチの巣。
なんとこんな高所にありました。これくらい高ければ、近くを通りかかっても襲われないだろうから安心です。
帰りにもう一つの湿地帯の森に寄ってみたら、ときどき森の中で出会う人が、友達と一緒にシマエナガを見に来ていました。一昨日撮った動画を見せてあげると感心していました。
そして、その人から耳寄り情報が。なんと、数日前にクマゲラを目撃したそうです。場所はわたしが今日行ったあたり。時刻は14時ごろ。キョーン、キョーンという鳴き声に導かれて探したところ、かなり近くで見れたとか。
そのあたりは、前から書いているようにクマゲラの食痕があるので、わたしも何度も通っては探しているのですが、いまだに姿を見たことはありません。
もしかすると、食痕は過去のものにすぎず、もういないのかもと思いかけていただけに、この情報は嬉しかったです。先日新しそうな食痕も見かけて、もしやとは思っていましたが、やはりいたんですね。時刻もわたしが森に行ける昼からでも大丈夫だとわかったので、通い詰めたらいつかは見れそうです。
2021/11/21日
束になったエノキタケ、豊作だったヤマブドウ
今朝は雪が軽く積もりましたが、すぐ解けてしまいました。それでも日中の気温は5℃を下回っており、そろそろ積もり始めそうな雰囲気です。
今日もクマゲラを求めて、昨日と同じ森に出かけてみました。
しばらく歩いたところで、奥のほうのトドマツ林から、大きなドラミングの音が響いてきました。去年もそこでアカゲラを見たことがあったので、今回もそうだろうと探してみたら、オオアカゲラでした。うまくピントが合わないうちに飛び去ってしまいました。
森の奥へ登っていくと、ウメガサソウ地帯の手前で、またもや例の緑色の滑らかなフンを見つけました。これて3箇所目。しかもそれぞれ森の中の全然違う場所で見つけました。
ヒグマなのかエゾタヌキなのか、はたまた別の生き物なのかはわかりません。ヒグマにしてはサイズが半分以下と小さく、木の実などが含まれておらず、緑色で滑らかである、ということしかわかっていません。でもヒグマかもしれない可能性も残っているので、慎重さは欠かせません。
その近くで、立ったまま朽ちかけている木に、束生した立派なキノコが出ているのを発見しました。いったい何のキノコだろう?と近くで観察してみましたが、特徴がつかめません。
仕方なく、何本か抜き取ってみると、傘がぬめぬめしていてエノキタケっぽい。裏側も見てみると、ヒダは傘より明らかに薄いクリーム色で離生っぽい上生。
柄はあまり黒くありませんでしたが、ルーペで見てみると、茶色い毛がビロード状に密生していたので、エノキタケとみなしてよいでしょう。
匂いはキノコっぽい感じでしたが、エノキタケ特有の香りかと言われるとよくわかりませんでした。どのみち傷んでいたので採って食べるつもりはなく、正確に同定できなくても問題ありません。
ぐるりと周った下り道で、こんどはヤマブドウがたくさん房に実ったカラマツの木を見つけました。ここのヤマブドウのツルは、一昨年あたりから通りかかるたびに見ていましたが、こんなに豊作だったのは初めてです。
去年などは数粒しか実っていない房が数個あっただけで、野生のブドウとはこんなに貧相なものなのかと勘違いしかけたくらいでした。本来はこんなにたくさん実るものなのですね。道理で今年はヒグマもまるまると太っていたわけです。
それから来た道に合流する別の道へ。前にヒグマと遭遇したあたりで、11/17の雪が積もっていた日に見つけたキカイガラタケと再会。今日は斜面を登っても滑らなかったので、もう一度近づいて、一片をむしりとって観察してみました。
裏側のヒダを見てみると、17日に見た時に比べ、かなりヒダが潰れてしまっていて、迷路状のヒダが少ししか確認できませんでした。予想外に早く傷みやすいキノコなのかもしれません。
帰りに出会ったのはカケスたち。もしかすると17日に、わたしの周りをずっと飛んでいた2羽かもしれません。見かけた場所が同じです。ギャーギャーと鳴いたかと思えば、キツツキのようにキョッキョと鳴いたりする声真似も披露してくれました。
結局、今日もクマゲラは見ることができず。でも冷涼な気持ち良い気候の中、北欧を思わせるような初冬の森をゆったり散歩できて、よい気分転換になりました。
2021/11/23火
雪降る川の景色を見に行く。白いエゾユキウサギもいた
今年も遅ればせながら、まとまった雪が降り出しそう。今日はまだ多少風が強いくらいの、あられ混じりの雪だったので、近所を散歩して回って、雪景色を楽しんできました。
そういえば天気予報では、東北から北海道にかけて暴風が吹き荒れると言われていましたが、わたしの住んでいる道北では少し風が強いくらいでした。北海道とひとくくりに報道されると、遠方の友人たちに、またいらぬ心配をかけてしまいそう。
まず、家から5分くらいのところの道路に飛び出してきたエゾユキウサギ。道路脇の茂みに入ったのが見えたので、そっと近づいたつもりでしたが、すぐに脱兎のごとく、いえ脱兎そのものなのですが、猛スピードで牧草地を駆けて逃げていきました。いつの間にかもの真っ白な体。
森の中を歩こうかと思ったのですが、予想に反してまったく雪が積もっておらず、秋の森と変わらない様子でした。森は木々がフードになっているから、軽く降ったくらいでは雪は積もらないのですね。
それで、もう少し白く雪化粧していそうな、遮るもののない公園に行ってみることに。さすがに公園の木々は吹きつける雪を浴びて、まるで樹霜のような白さになっていました。
風向きがよくわかるシラカバの木。でも、すべての木々が同じ方角に雪がこびりついているわけではなく、少し方角がずれているのもありました。コアンダ効果のようなことが起こっているのかも。
ケヤマハンノキの雄花序に積もっている雪。
川沿いのススキやイタドリの枝に積もっている雪。
近所の川沿いを散歩。大きな河川に流れ込む小さな支流の風景。夏に草木がうっそうと茂っている中を小さな川が流れている景色も、原始河川のようで好きですが、少し雪に装飾された風景も純白のヴェールをまとったかのようで高級感があります。
堤防の上を歩いて。雪が溶けた道路のアスファルトが濡れて、鈍い光沢を放つさまが映画のワンシーンのよう。普段は人工物が映り込む風景はあまり好きでないですが、雪の力を借りればなんでも絵になります。
雪雲からのぞく太陽。うまく言葉では説明できませんが、いかにも冬っぽい色合いだと感じました。一面寒色の世界に輝く、淡い暖色の太陽というコントラストがそう感じさせるのでしょうか。
天塩川支流の大きな河川。寒そうな色になりました。
川を泳いでいたカモの群れ。わたしが橋の上から見下ろすと、即座に気づいて遠くに飛んでいってしまいました。顔が黒っぽく見え、羽の肩のあたりが白い。Google Lensだとカワアイサだと出ますが、少し配色が違うような…。
群れで泳いでいるところ。一見すると、どれも同じように見えますが、手前の一羽だけオスで、奥の2羽はなんとなく冠羽があるようにも見えるのでメスなのかも? 逆光ぎみのためどの頭も黒く見えますが、カワアイサだったらオスは黒緑色、メスは茶褐色のはずです。
2021/11/24水
夜が明けるとそこは雪国だった
朝起きると真っ白でした。夜のあいだにかなり降ったそうです。
真夜中に一瞬停電したらしく、ストーブや扇風機(加湿器として使っている)、ボイラーのスイッチがオフになっていて焦りました。でも空気清浄機は稼働していたので、おそらくほんの一瞬停電しただけだと思われます。
ニュースによると、道北の朱鞠内と名寄で、11月としては観測史上最高の大雪が降ったそうです。気象庁ランキングによると、朱鞠内は最高80cm、名寄は60cm。昨日までほぼ0だったので、一晩でこれだけ積もったということになります。
全国ニュースで、また大げさに報道されてしまっているせいで、各方面の友人に心配されていますが、道北では全然珍しいことではありません。11月に、というの初めてでしたが、冬に大雪が降るのは当たり前で、みんな備えができています。騒ぐようなことではないし、災害級でもありません。
とはいっても、友達の家では車がこんなことになっていました。どっさり降るのは珍しいことではないけれど、ここまで車が埋まるのは1シーズンに1回あるかないかですね…。友人も久々に(でも初めてではない)どうしようか頭を抱えたと言っていました。
ニュースだと、湿気を吹くんだ重たい雪だと言われていましたが、わたしの住んでいるあたりでは、この時期にしては珍しいくらいサラサラした雪だと思いました。湿り気はありますが、べちゃっとしておらず、雪だるまも作れない雪です。名寄のほうだと、もっと水分の多い雪が降ったのでしょうか。
気温は0℃前後なので、この暖かさで、これほどサラサラした雪が降るなんて非常に珍しく、もしかすると上空での空気がかなり寒かったのかなと思いました。
せっかく大雪が降ったのだから、公園に散歩に行ってみました。昨日と同じ公園なのに、この景色の変わりようと言ったら!
雪をいただいたズミの実。純白の雪に包まれて、真っ赤な実の色がさらに引き立っています。
こちらはナナカマドの実。色は似ていますが、ナナカマドはぎっしり密集してつきます。またズミの実の底面にあるように丸い模様はありません。
イヌエンジュの実。遠くから見る姿は驚くほどモノトーン。
葉を残した枯凋性のミズナラ。周りのミズナラに比べて気まぐれなのか堅実なのか。
公園のほとりを流れる小川。昨シーズンはこの川の河原に降りてよく散歩しましたが、まだ雪が安定していないので時期尚早か。
公園の林の横を歩いていて気になった冬芽。赤からオレンジ色の温かい色のグラデーションがとても目立っていました。葉痕はv字型。残っていた葉は単葉。
一瞬、シナノキかと思ったのですが、葉痕がv字型なので違うようです。幹は若木だったので参考になりません。
枝全体の写真を撮ってみた感じでは、エゾノバッコヤナギのような気もしました。この林にバッコヤナギがあるのを確認したことはありませんが、珍しい木でもないため、それが一番可能性が高そう。
帰り道。本当に美しい純白の道が、空と溶け合うまで続いています。残念ながら、このまま根雪になりそうにはなく、来週には一度解けて地面が見え、また初冬の景色に戻ってしまいそうです。それまでの間、森歩きにも出かけて、一足早い冬を楽しみ尽くしたいところ。
ところで、今日、自転車を冬タイヤに交換しました。まだ来週には一度溶けそうで、圧雪になるのは12月半ば以降になりそう。とはいえ、去年の日記を見ると11/11には交換していましたし、寒くなると換えるのも億劫になりそうなので、今のうちに交換することにしました。
毎年やっているのですっかり慣れましたが、それでも自転車のタイヤ交換は相当な握力のいる力仕事。頑張って終わらせましたが、明日は確実に腕が筋肉痛になりそうです…。
夜は家のまわりを徒歩で散歩。砂漠のように降り積もった雪の路面を歩ける幸せを噛み締めました。普段は足腰が痛くなるアスファルトの道路でも、雪が積もっていれば、楽しく歩けます。珍しく今日の歩数は6000歩超え。時間を無駄にせず、短い冬を楽しみ尽くしたいです。
2021/11/25木
今冬初めて真っ白になった森を歩く
今日も真っ白でしたが除雪がある程度進んでいたので、森に出かけることができました。まだ気温が高いため、わだちができて凍っているように見える場所もあり、運転には非常に気を遣う道路で、遠出はできそうにありませんでした。
日中はほぼずっと軽く吹雪いていて、予報を見て止みそうな時間帯を選んで外出したのですが、それでも森の中まで吹雪が吹き込んでいました。気温は高いので、雪を浴びると帽子や上着がすぐに濡れてしまいました。
森の中のカラマツ林の様子。一ヶ月前は燃えるような黄葉、一週間前は葉っぱを落とした寂れた姿でしたが、今や真っ白の雪化粧です。降った量が多めだったので、まるで真冬の姿のようにも見えます。
カラマツに対して、トドマツの樹皮はクリーム色を帯びて滑らかなので、白い雪を背景によく映えます。色とりどりの地衣類も目立つ季節になりました。
森の中の多少開けている道を歩くと、吹雪をもろに浴びることになって冷たかったです。トドマツの陰で雨宿りならぬ雪宿りをしようとしたら、葉っぱにたまった雪がドサッと降ってきたこともありました。
前にヒグマに出くわしたあたりの風景。もう真っ白ですが、ヒグマはそろそろ冬眠の準備を始めたでしょうか。雪が降って足跡が消える時期になってからと読みましたが、これからまだ一度雪解けしそうなので早いかもしれません。
12月末くらいまではまだ起きているヒグマがいる可能性を考えたほうがいいですし、真冬でも穴持たずがいる可能性は心に留めておくべきです。
あまりにも空気が澄み切っていて、気持ち良い森の中だったので、静かに立ち止まって耳を澄ましたりもしましたが、まだ油断するわけにはいきません。
そこから少し進んだ春にコゴミ採りをしたあたりの風景。
埋もれ始めたクマイザサがもこもこしている面白い光景。今年は、しっかりクマイザサが覆われるくらい雪が降り積もってくれればよいのですが…。天気予報を見る限り、来週以降の気温は高そうで、この調子だと期待薄かもしれません。
地面には色々に動物の足跡が現れていました。雪が絶え間なく降り続いているため、輪郭が鮮明ではありませんが、ほとんどの足跡はシカの蹄が確認できました。
謎の足跡。エゾシカよりも小さく、蹄の跡もありません。エゾシカの足跡は2本の線路のように、キタキツネの足跡は1本にまっすぐつきますが、これは左右にひどくぶれてヨタヨタ歩いているように見えます。もしかするとエゾタヌキ?
足跡の大きさはこれくらい。10cmあるかどうか。縦に細長い小判のような形でした。肉球の跡は消えてしまってわかりません。
エゾタヌキの足跡を画像検索で調べてみましたが、似ているようなそうでもないような…。真冬のもっと雪が積もったころなら、おなかが地面にすれて蛇の道のようになるエゾタヌキの足跡はわかりやすいのですが、これくらいの時期に見分けたことはありません。
この足跡があった場所は、先日からタヌキのフンらしきものを何度も見つけた場所に近く、他に大きさが当てはまる生き物もいないので、今のところはタヌキの可能性が高いと思っています。
まるで魚の骨のように見えるもの。
じつは谷底に横たわっているカラマツの倒木。海の底に沈んで、他の生き物の糧になるクジラの死骸をどことなく彷彿とさせました。森の中でも海の底でも、大きな生き物は死して新しい命を養います。
もっと奥まで登って、クマゲラがいるかどうか見に行きたかったのですが、吹雪が強くなってきたので、無理せず帰ることにしました。どうせこの地点でクマゲラの鳴き声かドラミングの音がしなければ行っても無駄でしょう。
服に降り積もった雪は粒子が荒く、あられに近い大きさでした。べちゃっとしている水分の多い雪ではないものの、真冬の砂のような雪ではありません。
その後、一昨日見に行った近所の川が見える橋へ。一昨日の写真と比較してみると、一気に真っ白になたことがうかがえます。もっと冬の川を眺めていたかったけれど、吹雪が寒いし、他の車の邪魔になるので移動。
もう少し歩きたかったので、湿地帯の森のほうにも行ってみました。こちらは除雪が入らないので、林道を歩いて入り口まで向かいます。
…が、先に車が通った跡があり、二人組が森の中を歩いた足跡もありました。きっとあの人たちだろうと推測。でも、わたしの車は車高が高くないので、無難に歩いていきました。往復で約2000歩でした。
森の入り口のハリギリの木。雪をかぶると、色みが強調されて、思ったより鮮やか。
青黒く小さな実と、ウコギ科らしい赤みを帯びた果柄が白い雪によく映えます。さすがに吹雪の中、食べに来ている小鳥は見当たりませんでした。
森の入り口の池。気温が高いため、まだ凍っていませんが、いつもより鏡のようにツルピカに見えました。
森の中の風景。もう時間が15時をまわっていて、日没が近くなっているため、奥には入らず、入り口付近を少し歩いただけで帰ってきました。こっちの森も魅力的な風景だから、またゆっくり歩きにきたいです。
エゾシカっぽい足跡もたくさんついていました。冬になると、ここにはこんなに野生動物が住んでいたのか、と驚かされることがあります。
帰りに森の近くの川を撮った写真。とても冷たそう。河畔林をスノーシューで歩くにはまだまだ早いです。2年前は最初にドカ雪が降っただけで、後はさっぱりでしたが、今年もまさか今がピークだったりして…。降るのかわからないなら、降っているうちにしっかり楽しむしかありません。
雪の上を歩くのが楽しくて、さらに夜中も近所をうろうろ歩いたので、なんと今日の歩数は7283歩。ピクミン歩数計で計測を初めてからの最高値です。普通の人なら運動量が低下するだろう雪の日にこそ歩数が跳ね上がるのが、わたしのADHDらしいところです。
2021/11/26金
膝まで降り積もった公園の雪
一日中かなり吹雪いていて、除雪したそばから積もるため、自動車で外出するのは控えて、近所の公園を歩いてきました。今日1日で十数センチ積もったらしく、公園の雪は吹き溜まりだと膝丈以上あり、真冬のようでした。
しんしんと降り続く細かい雪。顔に当たると冷たいので、しっかりフードをかぶって、全身を覆っています。雪に上に寝転がることもできます。もちろん、こんな日に公園で遊んでいるのはわたしだけです。新雪を独り占めするのは最高です。
コブシの木に下から見上げると、枝に面白いぶち模様があることに気づきました。前に見たときは、コブシの樹皮の模様かと思っていましたが、これってやっぱり地衣類なのでしょうか。
ルーペで拡大してみましたが、灰色でひび割れがあるという、拡大しなくても目視でわかる情報以上のことは何一つわかりませんでした。残念。
公園の池は一度解けたようでひび割れが残っていました。一年目に見たような、ステンドグラスのような割れた池の氷は、なかなかタイミングが合わず見られません。
遊び足りなかったので夜も近所をぐるぐると歩きに行きました。すると雪が降り積もった歩道に先客の足跡が。どうやら、キツネがわたしより前を歩いていったようです。
キツネの足跡は、途中で突然引き返して、走って道路に飛び出して、横断して消えていっていました。いったいキツネに何があったのだろう。そんなことを想像するのも楽しい雪道散歩です。
残念ながら圧雪状態なのは今日までで、明日から気温が大幅に上がるため、しばらく雪の上を歩く楽しみがなくなってしまいそうです。楽しめる時に楽しんでおかないと、また今度があるかわからないのが自然の気まぐれな点です。
吹雪の日だったので、さすがに今日はあまり外出できず、歩数も少なくなるだろうと思っていたのに、4668歩も歩いてしまいました。いつも雪が降っていて、路面が柔らかければ、わたしの運動不足も解消されるのに。
2021/11/27土
いったん雪解けの様相。森でクマゲラの音を聞く
気温が高くなって寒さが緩んだため、真夜中に何度も屋根の雪が雪崩を起こして、台風の風のような轟音を立てていました。朝になると路面の雪はもう解けてしまい、アスファルトが見えてしまっていました。楽しい圧雪はつかの間のことでした。
わずか3℃でもこれなのだから、来週、予報どおり連日11℃まで上がったら、積もっている雪もほとんど解けてしまうでしょう。森の中さえ怪しいかもしれません。ということで、今のうに楽しんでおかねばと思い、森を一周歩きに行ってきました。
森の中の雪はかなり深く、入り口あたりからすでに膝近くまで積もっていて歩くのが大変。ゆっくり一歩ずつ着実に上り坂を進みました。大変ではあれど、歩けないほど深くもなく、じっくり挑めば一番奥まで到達できると感じました。
入り口付近のヤナギの木の地衣類がとても色鮮やかで美しい季節になりました。
この前から毎回見かけて、芸術的だなーと思っていたカラマツの松ぼっくり。枝ごと落下して、別の木に絡まって、頭上ぐらいの高さにぶら下がっていました。それが今日はさらに下に落ちてきていたので、写真を撮ることが叶いました。
ツルアジサイのドライフラワーも目立つようになりました。色合いが少ない真っ白な森においては、光を透かして琥珀色に輝く萼片が鮮やかです。地面に落ちている場合は、萼片がないとハリギリの実に見えてしまうこともありました。
ササはもうこんなに埋もれてしまっていました! 今なら、森の中をほぼ自在に歩き回ることもできます。それなのに、予報では来週からしばらく高温が続くので、ぜんぶ解けてしまいます。とてももったいなくてがっかりです。その後再び降ってくれる保証もありません。
森の中にはかつて作られた階段がありますが、野生動物は階段を使いません。階段をわざわざよけて、すぐ脇をシカの足跡が下っています。わたしもシカの足跡の上を踏んで下ります。階段が埋まっていると足首をひねってしまうかもしれないからです。動物たちは賢く知恵があります。
ここからまたしばらく上り坂が続きます。もうすでにかなりへとへとだったので、ここで引き返そうかとしばし逡巡しました。でも、今日を逃せば、次に雪の森を奥まで探検できるのがいつになるかわかりません。
幸い、時間はまだ14時半で、日暮れまでは1時間以上あります。吹雪もさほどひどくなく、森の中まで激しく吹き込んでくるほどではありません。服装も、出かけるときによくか考えたおかげで、汗をかくこともありません。それで、力を振り絞って、運動がてら、深い雪の道を進むことにしました。
上り坂のすぐ脇にあるのは、秋にヒグマが通っていたと思われるサルナシの立派なツルです。今年はヒグマを恐れてあまり近づかなかったので、実がなっているのかどうか確認できませんでしたが、絡みついた立派なツルは健在です。
トドマツの樹皮についた斑点模様の地衣類も、色とりどりで目を引きます。今年の冬はもっと地衣類の勉強をしたいなと願いつつも、やることが全然終わらず、まだそこまで手を付けられていません。
シラカバってこんなに黄色っぽかったっけ?と感じるほど、雪の森ではシラカバの樹皮が目立ちます。伝統色名を調べてみたら、印象に近いのは淡黄蘗色でした。
でも、明らかに白いシラカバもあるので、表面に地衣類などが関係しているのかもしれません。スミレモがついていると赤っぽくなることもありますし。
森の木立ちの隙間から見える牧草地の風景。もう真っ白な大雪原と化していますが一時的です。写真では白飛びしてしまって見えませんが、雪原には地面を三角形にえぐったような大胆な足跡が点々と連なっていて、シカが飛び跳ねて駆けていったことがわかりました。
そこからさらに登って、一番奥まで到達すると、クマゲラの食痕がある地帯です。今日もやっぱりいないんだろうな、通り過ぎようとしたら…
ゴッ、ゴンゴンゴンと、森の奥から鈍いドラミング音が響いてくるではありませんか! アカゲラなどの音より明らかに重く、石でてきた鈍器で木を穿つような鈍い音です。
繁殖期のドラミングとは違って、不規則な音なので、食べ物を探しているのでしょう。音の方向を確かめてみると低い位置なので、これはクマゲラに違いない。
しかし、音がしているのは、さらに奥深くの、普段なら絶対に足を踏み入れない禁忌の森の方角。去年、ササが埋まった真冬に初めて歩いた場所ですが、野生動物が多く、今はまだヒグマも歩き回っている可能性があります。
音がするのはかなり手前のカラマツ林ですし、かなり雪が降ったおかげで、今なら歩いて侵入することができそうです。
時刻は14:30。少し迷いましたが、こんな機会はめったにないので、慎重に音の方向に近づいてみることにしました。音はかなり近く、見通しもいいし、熊撃退スプレーも持っているので、なんとかなるはず…!
しかし、少し森に足を踏み入れて10mか20m近づいたところで、音がしなくなってしまいました。さらに耳を澄ましていると、別のもっと遠くの木から音がしましたが、そこまで行くのは現実的ではありません。軽く熊鈴を鳴らしていたせいで警戒されたのかもしれません。
残念ですが、あの音は明らかにクマゲラでした。オオアカゲラより重い音でしたし、何よりクマゲラの食痕が多く、他に目撃者もいる場所です。また姿は見れませんでしたが、確実に生息していることがわかっただけでも満足です。いるならいつか出会えるでしょう。
帰りはさらに森をぐるりと回って、来た道に合流して引き返しました。途中で、去年見つけたトドマツの木のシカの角研ぎ跡と思われる傷跡を発見しました。よく通っている道ですが、やはり冬にならないと目につかないものですね。
来た道を引き返すということは、上り坂や下り坂と格闘しなければならないということ。かなり疲れて体のあちこちが痛んでいましたが、急がず焦らず、一歩ずつ着実に歩けば大丈夫です。
森を出たのは15時過ぎ。もう薄暗くなっていましたが、予定通り日が暮れる前には帰ることができました。気温が高いので、もう雪ではなく雨が降っています。
森を一周した歩数は4500歩を超えていました。数字としては大したことありませんが、膝くらいまで積もった雪の森をそれだけの歩数歩いたというのは、わたしにしてはかなりの運動量でした。冬のあいだにできるだけ歩き回って体力をつけるようにしたいです。
2021/11/28日
雪解けの雫が降り注ぐ森を散歩する
朝から東京の友人とZoomで一年ぶりに交流。4時間近くビデオ通話でやり取りしたので、体がこわばって、疲れてしまいました。昼からは気分転換と運動のために森に出かけました。
予報どおり気温が上がり始め、プラスになったので、雪解けが進行しています。除雪が入っていない道路は、まだ雪が残っていますが、かなりかさが減りつつあります。
雪の残った林道を歩く感触は、予想外にふわふわで歩きやすかったです。気温が高いため、もっと固くなっているかと思っていました。
誰かがすでに歩いた足跡があり、靴の輪郭が残っていました。もしかして自分の足跡か?とも考えましたが、わたしがここに来たのは数日前で、それから雪が降ったはずなので、違うでしょう。往復分の跡があったので、足跡の主はもう帰ったようです。
歩いていると、脇の森から、雪解け水が降り注ぐ激しい音が聞こえてきます。水滴が落ちる音、雪の塊が落ちる音、枝が折れる音など、さまざまな音が混じり合って賑やかです。
あまりに多くの音があちこちから響くので、もし野生動物がいてもお互いに気づくことができないかも、という不安を感じます。幸い見通しはいいので、よくあたりを見回して、注意しながら歩いたほうがよさそうです。
空は朝にZoomの背景で見たブルーバックのごとく澄み渡っていました。とても久しぶりの青空です。
遠くの山々の雪はまだ十分に残っていますが、これから暖かくなるので、どれくらい残るでしょうか。根雪になるかどうかさえ怪しいとわたしは思っています。
賑やかな雪解けの音が響く森の中をぐるりと一周。湿地帯エリアは地面が見えてぬかるんでいたので迂回しました。
森の奥の池は、全然凍っておらず、気温の高さがうかがえる風景でした。
春な山菜採りでギョウジャニンニクを採った場所。ここも地面が見えており、まるで初春の景色であるかのように錯覚します。
歩いているうちにすぐに夕方に。冬至が近く、15時半にはほぼ日が暮れてしまうためです。
カラ類など鳥たちの気配もありましたが、上を向くと、冷たい雫が顔に直撃します。それどころか、歩いていると雪の塊が降ってきてサングラスの上から目に直撃し、少々痛い思いをしました。雹でなくてよかったと思います。
帰りに林道を引き返しているとき、空を見上げて歩いていると、林道脇の森に、赤い実をたくさんつけた木を見つけました。ナナカマドのような塊にはなっておらず、まばらに均等についているように見えます。ということはアズキナシ?
拡大してみると、やはり楕円形の実だったので、アズキナシでした。こんなに背が高い木のてっぺんに、実がたくさんついているなんて。森の中では地面に落ちたアズキナシしか見当たらないのも当然ですね。
林道脇の魅力的な森の風景。前回の冬に何度もスノーシューで歩いた場所です。今はまだ雪が少ないですし、これから解けるので、まだ足を踏み入れることはできません。今年もここを探検できるくらいは降ってほしいですが、どうなるでしょうか。
2021/11/29月
風の強い日、公園を一周する
天気は曇りでしたが、昨日の疲れがひどくて、公園を一周するだけにしました。それでも歩数は3000歩くらいになるので、数字上は森に行くのと変わりません。
風がとても強く、見上げる雲が特急電車のようなスピードで大空を横切っていました。風が強い日に森に行くと枝が降ってくるなど危険なので、今日は公園を歩いて正解だったかもしれません。
公園の雪はまだ残っていますが、足跡の部分がはげて地面が見えてしまう程度の積雪。明日から気温が急激に高くなって10℃に迫る予報なので、週末には解けてしまっているでしょう。
2021/11/30火
足跡が残る雪解けの森
雪がなくなってしまう前に森に散歩に出かけてきました。まだ地面は雪がまだらに残っていますが、木々の枝に降り積もっていた雪はもうすべて溶け落ちてしまい、冬らしさの少ないさっぱりとした風景になっていました。
地面に足跡がずっと奥まで残っていて、そこだけが禿げて地面が見えていたので、面白い模様に見えます。
足跡の脇に並行して犬のような足跡がずっと続いているので、まるで誰かが犬を散歩させて歩いたかのようです。
でも、人間の足跡が往復分あるのに対し、犬らしき足跡は片道だけ。それに、ヒグマのいる森で犬を散歩するような危険なことをする人がいるとは思えないので、これは野生のキツネの足跡だろう、とわかりました。
そもそも、この足跡は、どうやら自分の足跡のようです。一瞬、誰か別の人の足跡だろうか、と考えましたが、一人だけで往復し、しかも森の奥深くまで続いていたので、わたしが前の入ったときのものに違いありません。あれからさほど雪が降らなかったのですね。
途中、開けている場所から見える牧草地。意外なことに、まだ雪で覆われていて真っ白でした。明日には解けると思うのですが、森の中よりも積もった雪が多かったのでしょうか。
そこから少し登ったところにあった謎の足跡。現地で見たときは、丸みを帯びた形から、ヒグマの足跡ではないかと身構えました。でも、ヒグマだと前足と後ろ足で形が違うはずです。なんとなく蹄っぽい跡もありますし、おそらくシカの足跡が溶けて拡大したものでしょう。
大きさはこれくらい。もしヒグマの足跡だと、手がすっぽり入るくらいの大きさでしょうから、シカで間違いないはずです。
そこから少し登ったところで、丘になっている場所の向こうの斜面から、まるで激しい雨音のようなものが聞こえてきました。ちょうど一昨日、雪解け水が樹上から大量に降り注いで、ササなどに当たって響いていた音にそっくりでした。
それで、今日も、あそこの木々から溶けた水が降り注いでいるのだろう、と考えかけたのですが、ちょっと待てよと。今日はもう木々の枝の上に雪は残っていません。あの丘の向こう側だけ残っているとは考えられません。
ということは…。先入観を捨てて音に耳を傾けてみました。これは何か大型動物が、ササなどの草をバリバリムシャムシャと食べている音では?
何かがいるだろう場所は丘の向こうの下り斜面なので、わたしがいる場所からは見えません。向こうもわたしに気づいていないはずです。丘のてっぺんまで登れば確認できますが、もしヒグマだったらとんでもないことになります。
おそらく前にもこのあたりで何回か見かけているエゾシカだろう、とは考えたものの、危険は冒さず遠ざかることにしました。何度か後ろを振り返って確認しましたが、姿は見えませんでした。でも音源が少しずつ移動しているように聞こえたので大型の野生動物がいたことは間違いないでしょう。
そこから道なりに下って、ぐるりと森の中を回って、前回と同じルートで帰ることにしました。下り斜面にも前のわたしの足跡が残っていましたが、こんどはキツネではなくシカが並走した足跡がありました。
途中の林の遠くの木に見つけた樹洞。キツツキ類が空けた穴でしょうか。いかにもエゾモモンガが住んでいそうな風情ですが、いまだ姿を見ることは叶いません。
前にヒグマと出くわしたあたりを歩くとき、念のため慎重に、遠くの林のほうまで、生き物がいないか見回しながら歩きました。冬なのでとても見通しがよく、何十メートルかそれ以上まではっきり見えます。
すると、はるか遠くの森の木々の間を、キタキツネが歩いているのが見えました。写真に撮れないかとカメラを構えましたが、この望遠レンズでもすぐ見失うほどの遠さで、肉眼で見れただけに終わりました。
すぐに日が暮れてしまうので、最近の森歩きでは森に真横から差し込む夕日の写真ばかり撮っている感じがします。でも森の中から眺める夕日は、写真に写るよりはるかにドラマチックで、いつ見ても冬の森を歩く楽しさを噛みしめさせてくれます。
帰り道の足元の雪に散らばっていた型抜きされたような細かい鱗片。カラマツの葉と、シラカバの果鱗とカラマツの種鱗。…かと思ったのですが、シラカバの果鱗はもっと蝶のような形だった気がします。単なる形のばらつきかもしれませんが…。(追記 : シラカバの果鱗ではなく、トドマツの種鱗でした)
11月のまとめ
11月は全体的に低調でした。日記の内容もかなりスカスカです。
ハイライトは、近所のカラマツ林で、一生分とも思えるシマエナガを見れたこと、公園でエゾリスを目撃できたこと、そしてそれらを含めた3年分の写真動画素材を使って、地元の自然の紹介ビデオを作れたことでした。
ほかには、ワサビタケの連絡脈をルーペで見たり、エゾシカと至近距離で遭遇したり、クマゲラが木をつつく音を聞いたりできたことが、印象的でした。
ようやく雪は降り始めましたが、まだまだ気温が高く、どのくらい積もるかは不透明です。いったんかなり積もったので、雪の上を歩く楽しみを早くも味わえたのは嬉しかったです。
11月は見るべきものが少なくなるのが、あらかじめわかっていたので、ブログ記事を書いたり、絵を描いたりする時間に使おうと思っていましたが、どれも全然手をつける意欲がわかないまま終わってしまいました。
もっとやるべきことを進めないといけないと思いながら、何一つ進捗がなかったのが、低調だったと感じる最大の理由です。
そんな低調な月にも、こうして思い返すと見るべき点がいくつもあった、というのは喜ぶべきことですが、もう少し気力が湧いてほしいです。
先月へのリンク
翌月へのリンク