2022年8月の道北暮らし自然観察日記(前半)

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2022/08/01月

源流域をガイドして川釣り

天塩川の源流域に、友人たちと4人で釣りに行きました。わたしは釣りは不得意なので、ほぼ国有林のガイド役として。2年前から計画していましたが、ワクチンを受けて社会的活動も再開されたので、やっと実行できました。

ヒグマの痕跡も当然のように見かけましたが、珍しく多人数なので、警戒しつつもウェダーを着て川に入り、釣りを楽しみました。わたしはちょっと釣りをさせてもらいましたが、下手すぎたので、途中から植生調査に。

釣り人たちのほうは、30cmほどのニジマスを2尾釣れて、大喜びしていました。外来種のニジマスが源流域にもいるのは複雑な気持ちですが、北海道では自然繁殖してしまっているので仕方がないか。

メンバーの一人は台湾から一時帰国している方でしたが、涼しめの気候で雨も降らず、ニジマスが釣れて、シカやキツネも見ることができ、大満足だったようです。良い思い出を作ってもらえてよかったです。

川沿いの植物観察。トリアシショウマ,エゾシロネ,ヤブマオ発見

(1)トリアシショウマ
川岸に咲いていた穂状の花。すぐショウマの仲間だと気づきましたが、すでにルイヨウショウマとヤマブキショウマは咲き終わっているはず。サラシナショウマは秋が近くなってから。とするとこれはトリアシショウマでは?

葉の形を確認してみると、ヤマブキショウマのような尖った葉ではなく、かつて写真だけ見て知っていたトリアシショウマの葉に似ています。

ヤマブキショウマは2回3出複葉ですが、トリアシショウマは3回3出複葉なので、葉がかなりごちゃごちゃして見えます。

花は花穂が細く一つ一つの花が細かいヤマブキショウマとは全然違う印象。また、一本だけブラシ状の花穂が伸びるルイヨウショウマやサラシナショウマと違い、分岐しているので、いわゆる円錐状の花穂になっています。

花を拡大してみると、白い花弁が5枚あり、雄しべの葯も目立っています。トリアシショウマは、◯◯ショウマの中でもユキノシタ科に属することを教えてくれる姿です。

近くには、もう花が枯れかけている株もあったので、そろそろ花期は終わりかけなのかもしれません。一般的には7~8月が花期とされていました。

トリアシショウマは、北海道に分布しているとは書かれていたものの、この3年間、まったく見かけないので、道北には分布していないものだと決めつけていました。友人宅の庭で園芸種のアスチルベを見たことがあるだけでした。

それがまさか、河川敷に咲いているとは…。調べてみても、特に川の近くなど湿っている場所を好むとは書かれていないので不思議です。でもユキノシタ科の他の植物を考えれば、湿った場所に生えやすいのかもしれません。

葉だけで見分けられる自信はないので、花の時期に偶然発見できて幸運でした。一度は山菜の時期に見つけてみたいものですが、ここは奥地すぎますし、雪解けの増水している時期は不可能です。

(2)エゾシロネ
その近くの川沿いに群生していた十字対生の葉。シソ科かイラクサ科らしい見た目です。

葉は大きなギザギザがあり、側脈は少なめ。なんと茎の周囲に白い小さな花が咲いていました。イラクサ科のような糸状の花ではなく、シソ科のような輪生する花です。

確か図鑑かネットで見たことがある、と直感しましたが、名前は思い出せませんでした。

手の大きさと比較。草丈はオドリコソウやアオミズを思わせるほど低く、地上から30cm程度。花は極小です。

花を拡大してみると、筒状の白い5弁花でした。

帰ってから調べてみると、シソ科シロネ属の仲間だとわかりましたが、無印シロネとは葉の形が違います。

他にコシロネ、ヒメシロネ、エゾシロネなど、いずれも北海道に分布しているとのこと。このうち、葉の形が似ているのは、コシロネとエゾシロネでした。しかしコシロネは花に長い萼があるという特徴があるので、この写真とは食い違っています。

よって、北海道らしくエゾシロネだと判明。「食べられる野生植物大事典」によると、無印シロネと同じように、白い根を食べることができ、アイヌの人々も利用していたそうです。チョロギと似た形・食感だそうです。

秋に掘りとるということなので、もしまた近日中に釣りのガイドでこのあたりに来ることがあれば、ぜひ採取してみたいと思います。

(3)カワラハハコ
その近くにあった、エーデルワイスのような白く細い葉の植物。一瞬カワラマツバかと思いましたが、あちらはもっと葉が短く、花期も終わっています。去年もこの近辺で見たカワラハハコで間違いないでしょう。

茎の先端につぼみがついていて、もうすぐ咲きそうでした。カワラハハコの花期は8~10月の秋なので、今つぼみをつけているのはぴったりです。

上部はとても細い葉ばかりでしたが、下部の葉は、もう少し横幅があり、少し緑みが強くなっていました。ちゃんと観察していませんでしたが、茎に白い毛が密生するのも特徴だそうです。

ハハコグサは春の七草のゴギョウのロゼット葉だったらしく、近縁のヤマハハコやカワラハハコも同じようにして食べることができるそうです。

(4)岩場の謎のイネ科?
おそらく過去にもずっと気になっている岩場のイネ科?らしき植物。これまでは滝のそばの岩壁で見かけましたが、河原の岩場にも同じようなのが生えていました。

せっかく近くで見ることができたというのに、しっかり観察しないで、さらっと見ただけでした。わかったのは柄が赤いことくらい。どうせ正体がわからないだろうと、学習性無力感にとらわれているのが良くない。

(5)小型エゾメシダ?
河原の岩場に生えていた、小型のメシダ系のシダ。

葉身のサイズはわずか15cm程度。葉身は先が急にとがるとか、最下羽片が長いといったことはなく、とてもオーソドックスな形。

2回羽状複葉で、裂片は細かく裂けていないように見えましたが…、

場所によっては裂片がさらに細かく裂けて、3回羽状複葉になりかけていました。ソーラスもハの字型だったので、メシダの仲間だと推測。

ルーペでの観察写真がいつも以上に不鮮明でひどいですが、川沿いだと一瞬でルーペが曇ってしまうため、うまく撮れませんでした。

茎は上部では緑色、下部では灰色。茎の根元にはまばらに鱗片がついていました。

こうした小型のメシダっぽいシダは時折り見かけますが、ヘビノネゴザやミヤマヘビノネゴザにしては、裂片の形が違うように思います。

ヘビノネゴザは最下部の羽片があまり小さくならない、葉柄基部に大きな鱗片が多数つくといった特徴があり、このシダとは明らかに異なっています。ミヤマヘビノネゴザは中軸が赤紫色のはずです。

よって、普通より小型のエゾメシダなのかな、といういつものありきたりの結論に落ち着きます。

(6)アシグロタケ
川岸の流木に生えていたキノコ。たくさん倒木や流木があるものの、目立つキノコはこれくらいでした。傘が朽ちかけていていますが、橙色の漏斗形の傘で、中央部が色が濃くなっていることから、アシグロタケ?と感じました。

裏側を見てみるとやっぱり。去年森の中でよく見たキアシグロタケと違って、柄全体が黒く、傘も大きいので、間違いなく無印アシグロタケのほうです。新鮮な状態で発見できたら、ぜひ出汁にしてみたかったのに残念。

(7)イヌガンソク
名前のわからないシダ類が依然多い中で、イージーモードのシダ。胞子葉があるおかげで、イヌガンソクかクサソテツの2択。

葉の中軸にくぼみがないため、すぐイヌガンソクと同定できました。

興味深かったのは、まだ青々しい胞子葉を見られたことです。いつもは秋に枯れた後の茶色い胞子葉を見つけることが多いので新鮮。当たり前ですが、最初は緑だと知らなかったので意外。

大きさは巨大な葉よりは小型ですが、それでも20cmはあります。葉が枯れた後の時期に見つける胞子葉は、小さいのがイヌガンソク、大きいのがクサソテツですが、小さいといってもそこそこ大きさはあるようです。

胞子葉の周囲は丸く巻き、中央の線のような裂け目から茶色い胞子が飛び散っていました。調べてみると、この巻いている部分は次第に広がって中のソーラスが露出することがあるそうで、5/6に見た謎の胞子嚢の正体もイヌガンソクだとやっとわかりました。

(8)ヤマイヌワラビ?
また小型のシダ。葉身の大きさは20cmくらい最下羽片はやや短く、下から2番目の羽片が最長。軸は薄い緑色。羽片の先は尾状にとがる。

注目すべきは、羽片にも裂片にも短い柄があること。

ソーラスの形はメシダの仲間らしい形。これも写真がぼやけていますし、軸の鱗片の写真も撮ったのにレンズが曇ってピンボケになっていたのは残念です。

羽片に短い軸があることから、ヤマイヌワラビかなと思いました。軸が紫色でない点が違いますが、ネットで見ると軸色の薄いのもあるので、個体差の範疇かも。

(9)エゾアジサイ
川沿いの森の中にたくさん咲いていたエゾアジサイ。家の近所の森では見ないので、エゾアジサイが咲いていると奥地まで来たんだなと感じる指標になっています。

アジサイにしては意外と葉が大きい。wikiにも葉身が大きいとの記述があり、10~17cmになるとありました。これはわたしの手の平より大きいので17cm級かそれ以上かもしれません。

(10)ミゾホオズキ
河原にたくさん咲いていたミゾホオズキ。近所の森でも見かけますが、うっそうとした湿地帯の地面に生えている目立たない草なので、河原に点々と一本立ちして生えているのは新鮮。

筒状の花が咲いていれば一目瞭然ですが、葉だけの時期に見分けるのは難しそう。あまり特徴のない丸い葉が対生しています。茎に4つの角があり角ばっているのが特徴らしいので、こんど覚えていたら触ってみたいです。

下のほうの花は、まだつぼみなのかと一見思いましたが、すでにホオズキのような形になっていて、実になりつつあるようです。花期は6~8月で、そういえば毎年うっそうとし始める初夏6月末に見る花なので、そろそろ終わりかけでしょう。

(11)マルバキンレイカ
川沿いといえばこの花という印象のマルバキンレイカ。今年も川沿いの岩場に満開に生い茂っていました。オミナエシの仲間で、特徴的すぎる形の葉に、この時期にしては目立つ黄色い花と、覚えやすく分かりやすい植物です。

オミナエシは秋の七草とのことで、マルバキンレイカも夏の終わりが見えてきた頃に咲き始める清涼感のある花の一つです。

(12)ミツバ
足元に小さな穂のようなものが伸びているので、なんだろう?と思ったら、ミツバの大きな葉とつながっていました。花がとても小さいように実も非常に小さく、ハエドクソウの花穂を思わせます。

ミツバの葉も、元来それほど大きなものではありませんが、それと比べてもこの小ささ。

ルーペで拡大すると、確かにセリ科の実の形をしていて、2つの分果からなっています。それぞれに花柱がついていますが、セリ科独特の2本の触覚のような姿ではなく、先端でぴったりとくっついているので、虫の頭っぽさは薄いです。

(13)クサソテツ
川から林道に上がったところには、クサソテツも生えていました。イヌガンソクと同じく青々しい胞子葉が伸びている姿は過去に見た記憶がなく、とても新鮮でした。

胞子葉の高さは40cmあり、イヌガンソクより少し大きめ。

これまでクサソテツとイヌガンソクの胞子葉はほとんど同じ形だと思っていましたが、よく見ると、クサソテツの胞子葉は、栄養葉と同じく、短い羽片が軸の根元までつくという特徴があるのですね。これを覚えておけば、栄養葉の残骸しかなくても見分けられそう。

イヌガンソクと同じく胞子葉の羽片は巻いていて胞子嚢を隠しています。イヌガンソクと同様、クサソテツの胞子嚢も巻いている部分が最終的には広がっていくようですが、おそらくクサソテツは1回羽状複葉で、クサソテツは2回羽状複葉であるという違いがあるように見えます。

クサソテツであると同定できる最大の根拠は、この軸の表側にある凹みで、遠目に見ると、軸が2本並んでいるかに見えてしまうほど特徴的です。数あるシダのうちで、少なくとも北海道のシダでは、この特徴をもつのはクサソテツだけで、簡単に見分けられるのはありがたいです。

(14)ヤブマオ?
最後に林道脇に生えていた不思議な穂を伸ばしていた、中型の植物。

葉の形から最初はハエドクソウかと思いましたが、花を近くで観察すると、全然形状が違い、イラクサの花に似ていたので、まだ見ぬ知らない種類だと気づきました。

葉の形も、ややハエドクソウに似ているとはいえ、基部がハサミでちょん切ったような切形にはなっていませんし、葉の裂け方もより荒々しく見えます。

葉の先端は、鋭いギザギザになっていて、中央部分だけが尾のように伸びています。この部分の特徴が、類似種を見分ける手がかりになりました。

雌花はミヤマイラクサとよく似た、白いトゲのような雌しべが目立つ花でした。先端が少し赤いように見えますがねこの解像度ではよくわかりません。

調べてみると、イラクサ科のアカソという耳慣れない植物かその仲間だとわかりました。

今まで一度も出会わなかった種類ですが、近縁種は多く、茎や葉柄が赤いことに由来する「アカソ」という名のタイプの他、茎を蒸して繊維を採ることから名付けられた「カラムシ」や、そこから採った繊維の名である「マオ」の名を冠した種類があるそうです。

たくさん種類があって、中にはコアカソのような木質化する樹木まであるのですが、葉の形や花の色から推測すると、最も近いのはヤブマオでした。正確に判別するには、葉裏の毛などを見ないといけないようです。

ヤブマオは7~9月に咲くらしく、夏真っ盛りから初秋にかけて見頃を迎えるようです。他のイラクサ科の例に漏れず、この仲間も若葉をたべることができるようですが、近所にエゾイラクサがあることを思えば、採りに来る意味はなさそうです。

以上、川沿いで見つけた植物でしたが、これほどたくさん初見の植物があるとは意外でした。普段川沿いを歩かないこともあるでしょうが、まだまだ奥が深くで楽しめそうです。

2022/08/03水

ラベンダーのシロップづくり

家の庭で育てたラベンダーの花で作ったシロップ。驚くほどフローラルな香りがついて驚きました。

過去2年は在来種のクルマバソウやエゾマツのシロップを主に作ってきましたが、外来種のハリエンジュで作ったのもよかったし、今年はハマナスやラベンダーも試してみて、案外なんでもいけるものなんだなと知りました。

2022/08/04木

今日のキノコ。キカラハツモドキ,ツチカブリ,クサハツ等

あまり時間がない上、かなり暑く28℃はある日でしたが、大雨の後に出できているかもしれないキノコが気になったので、森に出かけてみました。今回も時間がないので、すぐにキノコ地帯にアクセスできるショートカット利用です。

(1)ニオイドクツルタケ?
前回7/29にニオイドクツルタケらしきキノコを見たトドマツ林地帯に生えていたキノコ。

ドクツルタケ似で、ツバもささくれもありますが、傘の中央がやや褐色なので、ニオイドクツルタケか。(追記 : 無印ドクツルタケも傘の中央が黄色っぽくなることがあるようです)

蒸しか何かにかじられた幼菌も発見。ドクツルタケでも食べる生き物がいるんですね。当然のこととはいえ、やっぱり驚きます。柄の下部に圧着したツボらしきものが見えるのもニオイドクツルタケらしき点。

ヒダはやや褐色を帯びていました。

試しにヒダの匂いを嗅いでみましたが、薬品臭はありませんでした。何も匂いはないなと思った直後、そもそもドクツルタケの胞子を吸い込んで大丈夫なのかと不安になり、それ以上匂いを調べるのはやめました。幸い何事もありませんでした。

後で調べると、薬品臭がするのは柄の基部と肉だそうです。匂ってみたのはヒダだけだったので、次回以降、また見つけることがあれば根元か肉の匂いを調べてみたいです。

(2)ニカワジョウゴタケ
同じトドマツ林にたくさん生えていたニカワジョウゴタケ。

地面から出るキノコだと記憶していましたが、落枝から出でいるのも多数見つけて困惑しました。念のため枝ごと持ち帰って調べてみましたが、ネット上にも手持ちにも落枝から生えている写真があったので、ニカワジョウゴタケで問題なさそうでした。

他に似た毒キノコはなく、非常に見分けやすい種類なので、これなら食べても大丈夫だろうと思い、少量ながら茹でて酢醤油にしてみました。食感は見た目ほどゼリーっぽくなく、コシのないきしめんのようで、不味くはないものの、さほど美味しくもありませんでした。

(3)ドクツルタケ?
同じトドマツ林の中ながら、少し離れた場所に一本だけ出ていた白いテングタケ科キノコ。トドマツ2本の間に出ていました。傘は完全に開いておらず、下から見上げても、現時点ではツバは確認できませんでした。

大きさは、現時点では傘が4cm、高さは12cmほどで、心なしかさっきのニオイドクツルタケより大きめに感じました。柄にはニオイドクツルタケよりはっきりした、立派なダンダラ模様のささくれがあります。

また、傘の中央部分に、ニオイドクツルタケのような黄色っぽい部分は見当たりませんでした。7/29に観察したように、ニオイドクツルタケと思われるキノコは傘が開いていない幼菌時、もっと黄色みを帯びていました。

そして基部のツボは、ふちが柄に圧着しておらず、ツボ型の形状を保っていました。これもニオイドクツルタケでは見られない特徴です。

ツボが圧着していないのは、ドクツルタケかシロタマゴテングタケの特徴ですが、立派なささくれがあるのはドクツルタケだけなので、久しぶりに見る破壊の天使ではないかと思います。猛毒キノコだらけの本当に物騒な森です。

(4)カワリハツ?
広葉樹が混じっているあたりで見た大きな赤紫色のベニタケ科。すぐ目の前の広葉樹はイタヤカエデでした。

傘サイズは手のひらとほぼ同じで7~8cm。傘の周囲に目立つ条線がないことから、カワリハツに似たチギレハツタケは除外できます。

ヒダと柄は同じ色で、ほぼ白に近いクリーム色。ヒダは部分的に褐色に変色していました。この柄を硫化第一鉄でこすってみれば正体がわかるのですが、注文はしたものの、まだ手元に届いていません。

(5)コウモリタケ
トドマツ。広葉樹林地帯に入って、これまで何度も観察しているコウモリタケ。かなり古くなるとともに、黄色みが強くなってきました。初期のころはほんのり黄色だったのが、今やオレンジ色に近い鮮やかさです。ふちの部分は白いままな点も特徴的です。

(6)キカラハツモドキ
その近くのミズナラの葉がたくさん落ちているあたりに生えていたベニタケ科キノコ。

傘の色は肌色で、環紋がくっきり浮き出ています。傘のサイズは4~5cmくらい。環紋からして、ウズハツ、キチチタケ、カラハツタケ、カラハツタモドキなどの可能性を考えました。乳液を調べればわかるはず。

傘の環紋の様子。カラハツタケなら、表面に綿毛状の柔らかい毛があるはずですが、確認できないので違います。

肌色の傘に対して、ヒダと柄はほぼ白。

乳液は白で、ごく少量。変色はせず。ヒダはやや分岐多め。この時点で、乳液に変色性があるウズハツやキチチタケの可能性はなくなりました。ということはカラハツモドキか。

ヒダは垂生。

柄は中空でした。

北海道のキノコ図鑑2種には、無印カラハツモドキは載っていませんでしたが、キカラハツモドキは両方に掲載されていました。

記載内容が両者かなり食い違っていて、かたやミズナラ林内に発生しヒダは密、柄の中実中空の記載なし、としているのに対し、かたや混交林に発生しヒダは疎、柄は中実となっていました。観察した点と一致しているのは前者のほうです。

他の特徴としては、傘は5~10cm、淡黄色で環紋があり、乳液は白色で変色せず、辛味があるという点は同じでした。片方の図鑑の記載とは一致しているので、このキノコはキカラハツモドキで間違いないでしょう。

(7)アマタケ? (ドクカレバタケの可能性あり)
トドマツ・ミズナラ林に大量に生えていたキノコ。見た目からして、おそらくアマタケだと思い、ちょっとだけ摘んできたのですが、柄の表面の微毛がはっきりせず、食べてみるには至りませんでした。

アマタケは広葉樹林内の落ち葉に出るキノコのはずですが、なぜかトドマツの根元に生えていて、一部はトドマツから生えているようにさえ見えます。でも、周囲にミズナラの枯れ葉が落ちているので、そこから生えているのでしょぅ。

傘は薄い肌色。中央部分が少し濃い色のことも。

ヒダは非常に薄く密。モリノカレバタケ属らしい雰囲気。

断面。ヒダは直生。柄は細く中空

問題の柄は微毛があるといえばあるのですが、全面を覆っているわけではなく、一部だけだったり、縦に走る条線のように毛が生えていたり、そもそも全く生えていなくてツルツルだったりします。

ネットの写真を見ると、もう少し全面に等しく白い毛が生えているように見えますし、わたしが過去に見たアマタケもそうでした。これが本当にアマタケなのか微妙に自信が持てません。

(追記 : 後日調べたところによると、アマタケに似ていて柄に微毛がないドクカレバタケという種があるそうです。柄にねじれ条線があるとの特徴も書かれていて、コナラ林に生えるそうなので、怪しく感じられます)

(8)謎の環紋のあるキノコ
苔むした倒木の根元に出ていたキノコ。ベニタケ科っぽさもありますが、違う気も。

傘は3cmで褐色。やや同心円状の環紋があり、中央ははっきりとくぼんでいます。

傘の表面には明らかなぬめりがあり、べとつきました。

ヒダはクリーム色でやや密。柄は傘よりやや薄く肌色。ヒダを傷つけてみましたが乳液は出ませんでした。ヒダの付き方は直生。

柄は特に毛などは生えておらず、中空。

残念ながらこのタイプのキノコは一番正体がわかりにくいかもしれません。

その倒木のコケにくっついていた何か、虫に見えましたが、よく見てみると違います。冬芽の剥がれた芽鱗でしょうか。

この角度から見るとハルニレの花芽の芽鱗に似ていますが、別の角度からの写真だと違うようにも見えてよくわかりません。

(9)キララタケ老菌
倒木から生えていた何かの老菌。去年学んだことからするとキララタケ老菌ではないかと思います。改めて調べてみて知りましたがキララタケって材上生だったんですね。ヒトヨタケと同じく地面から生えるのかと思っていました。

キララタケも最終的にはヒトヨタケ同様黒くなって液化するそうですが、ヒトヨタケほど顕著に液化するわけではないそうなので、キララタケで合ってるのかなと思います。

傘には放射状の条線があり、ヒダは茶色く変色していて、柄は中空でした。いずれもキララタケの特徴と合っています。

(10)シロサルノコシカケ?
7/25に溢水現象を確認した白いキノコ。当時は幼菌でしたが、少し大きくなり、形が明らかになってきました。

大きくなってきたといっても、まだ2cm程度なので、何のキノコかよくわかりません。

しかし、表面が白一色ではなく、やや褐色を帯びていることがわかります。また、盛り上がったふちの部分は白く、裏面は管孔であることもわかります。

やや黄色みを帯びていることから、シロサルノコシカケ?としましたが、もっと成長してみないと種類はわかりません。

(11)ニカワホウキタケ
トドマツ林のふちの地面から生えていたニカワホウキタケ。いつもは倒木から生えているのを見るので意外でした。本当にニカワホウキタケ?と思いましたが、他に似たキノコもないはずなので合っているでしょう。

大きさは2.5cm程度と小型。図鑑を見ると針葉樹の腐朽した切り株や倒木上に出るとあったので、下に枝でも埋まっていたのかもしれません。

柄が一本だけ伸びて、そこから放射状に枝分かれした、サンコタケみたいな、やや珍しい形のも生えていました。どちらにしても超小型なので、単なる落枝から生えていそうです。

(12)チチタケ
ニカワホウキタケの近くに3本だけ生えていたチチタケ。前回7/29に見たチチタケと同じく、大中小がそろっていました。トドマツ林の端でしたが、近くに広葉樹もたくさん生えていたのでそちらから生えているのでしょう。

相変わらず柄の長さはまちまちで、一番大きいのは長めでしたが、中くらいのはやや短め。もう傷んでいたので持ち帰りませんでしたが、改めて写真で見ると、右側のはそこそこきれいでしたね。でもサイズが小さすぎました。

左の老菌は5cmくらいありましたが、右のは3cm程度で、数があるのでもなければ食べるには向いていなさそうです。

左の老菌は乾ききっていましたが、右のほうはヒダから白い乳液が滲み出るのを確認できました。

(13)白いツバのないテングタケ科
その近くのトドマツ・ミズナラ林にあった白いテングタケ科っぽいキノコ。ドクツルタケっぽさがあるのですが、それにしては柄が細いなど違和感も。

傘は白っぽく、中央部分は少し灰褐色ぎみ。平らに開いていて、全体に光沢があります。

ふち部分は一見すると条線があるようですが、拡大してみると条線はありませんでした。

傘を見ようとしたら、柄と分離してしまいました。全体的に白いキノコですが、ヒダとささくれははっきりとクリーム色を帯びています。ドクツルタケならツバがあるはずですが、ないように見えます。でも老菌で脱落しているだけかも。

柄のささくれも、ドクツルタケにしては荒々しすぎる気もします。色もやや褐色を帯びているようにも見えます。単に古いからか、もともとの性質か。

ドクツルタケに似てツバのないキノコというと、シロツルタケは条線が目立つキはず。フクロツルタケやシロウロコツルタケは傘に鱗片が目立つはず。

普通にニオイドクツルタケなどのツバが落ちたものなのでしょうか…。ツボを確認していなかったので、観察が不十分でした。他に何か似ているキノコがあっただろうか…?

(14)ツチカブリ?
トドマツ・ミズナラ林横の草地に生えていたシロハツ近縁種。シロハツにしては大きさは小さめで4~5cm程度。

ピンボケでうまく撮れませんでしたが、傘に毛は生えていないように見えました。

ヒダは密で褐色に変色していました。傷つけても乳液は出ませんでしたが、カラカラに乾いてしまっているので、乳液の有無はわかりません。

柄はがっしりした作りで中実。

ヒダはやや垂生。がっしりしたキノコなのに、ヒダの幅は驚きの薄さです。

シロハツの仲間なので、シロハツ、シロハツモドキ、ケシロハツ、ケシロハツモドキ、ツチカブリ、ツチカブリモドキのどれかかと思います。いずれも混生林に発生しうるので、林地からの同定は難しそう。

ベニタケ属…乳液が出ない
シロハツ…9-20cm。傘は白→黄土色。ひだはやや密、垂生。白→クリーム色。柄の上端がやや空色。
シロハツモドキ…6-20cm。ひだは幅狭く極めて密、垂生~離生。古くなると傘もヒダも黄土色。ヒダがよく分岐する
ヒビワレシロハツ…5-8cm。ひだはやや疎、離生。傘がひび割れ、中央部分が黄土色で、周辺部に条線。

チチタケ属…乳液が出る
ケシロハツ…8-30cm。傘と柄に微毛。白→黄色っぽい斑点。ふちが巻く。ヒダは幅狭く疎、直生~垂生、クリーム色→黄土色。乳液は白。
ケシロハツモドキ…8-15cm。ヒダは幅狭く密。乳液は白→淡クリーム色。他は上記と同じ。
ツチカブリ…4-18cm。傘は白→やや黄色。ヒダは白→クリーム色→赤褐色の染み、幅狭く極めて密、垂生。乳液は白。ヒダがよく分岐する。
ツチカブリモドキ…5-8cm。ヒダは幅狭く疎、他は上記と同じ。

ヒダの密度から、シロハツモドキ、ケシロハツモドキ、ツチカブリに絞られます。(ヒダが密なのは全てモドキに統一してほしいのにツチカブリだけ違う)

観察が甘いですが、表面に毛が生えていなかったと思うのでケシロハツモドキを除外。ヒダが変色しているのでシロハツモドキとしたいところですが、大きさが当てはまりません。乳液が枯れていたと仮定して、ツチカブリが妥当でしょうか。

(15)ツチカブリ?
そこから離れて、今度は以前に巨大ガンタケを見つけた広葉樹林エリアへ。そこにも白い似たようなキノコが生えていましたが、かなり離れていいるので別種の可能性があります。

傘は8cm程度で、褐色の染みがあります。

傘を拡大してみると、綿毛のようにふかふかした見た目。これが微毛なのだとしたら、ケシロハツかケシロハツモドキになります。

とてもがっしりしたキノコで、ヒダは幅狭く密。柄は太く、中実。

乳液は白で、ヒダは分岐が多めです。長い時間観察しませんでしたが、少なくともすぐに変色することはありませんでした。

分岐の有無を調べてみたら、シロハツモドキのヒダがよく分岐するとの情報がありました。ツチカブリのヒダもよく分岐するとされていました。 ケシロハツモドキについては分岐するという情報がないわけではないものの、ひとつのサイトのみでした。英語は調べる気力がありません。

傘表面の質感から、ケシロハツモドキかと思いましたが、ヒダと乳液を信用するならツチカブリだということになります。確かにケシロハツの微毛の写真と比較すると、この程度では微毛とはいえないかもしれません。

大きさも8cmと小さめなので、前項と同じツチカブリかもしれません。

(16)ツチカブリ?
その近くにあった、これもシロハツ似のキノコ。やはり大きさは6cm程度で、ヒダは密、分岐が多い、という点から、ツチカブリが最も近いと思いました。

(17)クサハツ?
同じくその近くの広葉樹林林道に生えていたキノコ。

傘は4cm程度の小型で橙色。

傘の周囲には、あまり顕著ではないものの、拡大すると粒状の条線あり。

ヒダは傘より薄いクリーム色で、密とも疎ともいえず、おそらく離生。乳液はなし。柄は髄状。

傘の雰囲気からクサハツでは?と思い、ヒダを匂ってみると、思わずええずく反射が起こるような匂いでした。そんなに悪い香りでもなかった先日のクサハツモドキとは一線を画しています。

図鑑を参考に比較。

・クサハツ…6-15cm、湿っている時ぬめる。粒状線あり。ヒダはクリーム色、やや疎、離生。全体に不快臭。
・クサハツモドキ…5-9cm、湿っている時ぬめる。粒状線あり。ヒダはクリーム色で、やや密、垂生~上生。柄の下部が太め。杏仁に似た香り。
・オキナクサハツ…5-10cm、著しいシワと放射状の溝線あり。ヒダは汚灰色、褐色の縁取り、離生、やや密。多少の臭気。
・ニセクサハツ…4-6cm、湿っている時ぬめる。粒状線あり。ヒダはクリーム色、直生、密。全体に不快臭。柄にしわ状の縦線が多い。傘、ヒダ、柄は傷つくと次第に赤褐色に変色し染みになる。

いずれもよく似ているため比較が難しいですが、オキナクサハツでないことは明らか。

柄の写真を撮り忘れていたので、ニセクサハツかどうかの判別が難しいですが、傷ついた部分にできる赤褐色の染みのようなものはありませんでした。

さらに、ヒダが離生らしく、密とはいえず、不快臭があったことから、無印クサハツの可能性が高そうに思いました。

 

(18)ツルタケ
広葉樹林の林道に生えていたキノコ。今季2回目の目撃の普通のツルタケ。針葉樹・広葉樹どちらの地面にも生えるそうです。

傘は完全に平らには開ききっておらず、4cmほどと小さめ。

柄はツバの痕跡はまったくなく、粉やささくれも見当たらないすらりとした姿で、典型的なツルタケ。

根元にはさや状のツボがはっきりと確認できました。

これほど典型的なツルタケなら食べてみても大丈夫なのでは…という気持ちもありますが、やはりテングタケ科は怖いので、タマゴタケ以外に手を出す気になれません。それくらい慎重でないとキノコ観察はやっていられません。

(19)ケショウハツ? ニオイコベニタケ?
同じく広葉樹林に出ていたベニタケ科キノコ。赤系統の傘ですが、妙に色が淡いのが珍しく感じました。傘の大きさは4cmと小型。

傘のふちには条線があり、やや粒状。

傘の表皮がふちから1mmほど短くて、下の白い肉が見えているのが気になります。これはチギレハツタケの特徴?

しかし大きさ、傘の色、ヒダの色いずれもチギレハツタケとは異なっているので、他のベニタケ科でも見られうる特徴なのかもしれません。

ヒダはクリーム色、やや密、離生。柄は白色、中空。

傘の色合いからすると、少しぼかしが入るケショウハツかニオイコベニタケの可能性があります。サイズ的にはどちらの可能性もあります。

(20)チギレハツタケ?
一方、こちらは同じく広葉樹林に出ていて、チギレハツタケらしく見えるキノコ。

傘色はカワリハツやウスムラサキハツとも似ていますが、サイズが10cm弱と大きく、傘の条線がはっきりしていることからチギレハツタケとみなしました。

ただ、ここで見るチギレハツタケ似のキノコについて毎回書いていることですが、ヒダだが褐色になっているのが疑問点。本来のヒダ色は白とされているので、老菌になってここまで変色するのかは不明。

傘のふちに条線はあるものの、傘の表皮が引っ込んでいる特徴や、傘のふちが放射状に裂ける特徴が見られないので、チギレハツタケらしい特徴をあまり備えていません。

判別するには、もう少しベニタケ科について詳しくなる必要があります。

2022/08/06土

真夏の森の中。ミドリヒョウモンが飛び回る

久しぶりにショートカットを使わずに森の中を歩いてキノコ群生地へ向かいました。おかげで道中でも少し目新しいキノコを発見できました。

去年、一昨年と2年連続でこのルート上にオニノヤガラが発生していたので期待していましたが、今年は目につく場所には生えていませんでした。時期的に今 見つからなければもう生えないでしょう。

森のあちこちで見つけたミドリヒョウモンのオスとメス。ノラニンジンやヒヨドリバナの蜜を吸っているようでした。スミレ類を食草とし、毎年一回、夏に羽化するそうで、確かに夏場を代表するチョウだと感じます。

地味なミゾソバの花が、トウバナやキツネノボタンに混じってたくさん咲いていました。市街地の畑では作物のソバの白い花も満開です。

足元の物陰にひっそりと咲き始めていたツルリンドウ。

色が変わってカラフルになっていたルイヨウボタンの実。

キノコ地帯であるトドマツ・広葉樹林に近い地面に散らばっていた謎の実。

どれも色は薄緑。球体の実ですが、必ず短い柄がついていました。

拡大すると短い毛に覆われています。何の実だろう? シナノキの実に少し似ていますが、まだ花期なので実をつけるには早すぎますし、普通は苞がついているはずでしょう。ニワトコは色が違うし、ミズキは形が違うし…。

絶対知っている木の実のはずですが、思いつきません。そのうち思い当たるかも。

森の近くの道路に、前にも見かけた2匹の若いキツネがいました。写真には1匹しか映せませんが、必ず2匹でいるので今年生まれの兄弟かも、とやっぱり感じます。無事に育ってくれるといいけれど、好奇心旺盛だし危なかっしいです。

今日のキノコ。ツエタケ,ヒメコナカブリツルタケ等

ここからは見つけたキノコについて。今回も数が多いので省略気味で書きます。森に行くたびに見つけるキノコが多すぎて、レポートが追いつきません。

(1)ツエタケ
ぬかるみ地帯の端に生えていた珍しい傘のキノコ。すぐ近くにある木はトドマツでしたが、広葉樹もたくさん生えていて、近くにオニノヤガラやナラタケも出ていた場所あたりです。

傘の大きさは5cmくらい、色は褐色。

ユニークなのは、傘の表面にある独特のシワです。中央が濃い色で、そこから放射状に立体的なシワが伸びています。周辺部になると、シワは細かくなります。

ヒダは幅広く疎で、前に見たヒロヒダタケと似たパリッとした見た目でした。断面を見ると、柄にはっきりと垂生しています。

傘に比べて柄が長く、傘の直径3つ分くらい、つまり15cm近くありました。拡大すると、表面には褐色の鱗片のような模様があり、内部は中実でした。

調べてみると、ツエタケの仲間だとわかりました。傘に表面にシワが寄っているという独特な特徴があるので、すぐ見分けられます。まっすぐな柄が長く、地中深くまで伸びている点も特徴です。

多くの細かい種に分かれているキノコで、ヒダの付き方、柄など、その他の特徴はあまり安定していません。図鑑にも載っていないので、細かい同定まではできませんが、ツエタケの仲間であることは間違いありません。

食用になる美味しいキノコだそうですが、量を集めるのは至難の業でしょう。それに変種が多いとのことで、全種に毒性がないとは断定できないので、食べないほうが良いと思いました。

このキノコを観察したことで、7/24の(5)で見た謎のキノコもツエタケの仲間だったと気づきました。

今回のキノコに比べると傘色がずっと薄いですが、ツエタケの仲間らしい放射状のシワがありました。また幸運なことに、今回はちぎれてしまった偽根がしっかり写っていました。

両者はかなり外見が違うので、同じ種ではないですが、広義のツエタケに属する仲間であることは確かでしょう。

(2)ヒメコナカブリツルタケ
ぬかるみ地帯を越えた先の地面に生えていた、小型のテングタケ科キノコ。

傘は5cmくらい。特徴的だったのは、傘に細かい鱗片があり、ふちにはテングタケ科にしては珍しい粒状の条線があったことです。全体的に粉をふいているため、触ると手袋に白い粉がつくのが写っています。

傘も柄もかなり傷んでいて、触るとフニャフニャで、すぐに裂けたり外れたりしてしまいました。柄にはツバはなく、とても滑らかでした。

ヒダは白くやや密、離生。ヒダにも白い粉がついています。テングタケ科にしては珍しく連絡脈があるように見えました。

そもそもテングタケ科ではないのでは? とも思いましたが、調べてみると、小型のテングタケ科であるヒメコナカブリツルタケだとわかりました。

情報の少ないキノコで、調べてみても、粒状の条線とか連絡脈については記載されていませんでした。学名で調べた外国語のサイトにもなかったので、見間違えだった可能性が高いです。

粒状の条線に見えたのは、傘に付着している灰色の粉の塊だったのかもしれませんし、連絡脈に見えたのは白い粉だったと思われます。

いずれにしても、外見その他の特徴は完全に合っているので、ヒメコナカブリツルタケであるという同定は間違いないでしょう。

(3)アマタケ
遊歩道のふちに生えていたアマタケ。8/4もトドマツ・ミズナラ林でたくさん見かけましたが、この時期には森のあちらこちらに普遍的に生えているようです。

前回見つけたものは、柄の微毛がはっきり観察できず、アマタケ?と疑問符がつきましたが、今回のはルーペではっきり観察できました。これくらい微毛が明確で、しかも若いアマタケを発見できれば、味見してみてもいいかも。

(4)ニカワホウキタケ
遊歩道の端に埋まっている横木に、たくさん発生していたニカワホウキタケ。おそらく7/5に観察したのと同じ場所と思います。去年8/12に見つけたのも同じ場所かもしれません。どれもかなり小さく、枝分かれも少なめでした。

(5)ニオイアミタケ?
その近くの倒木から生えていた小さな側生キノコ。サイズはわずか2cmほどしかありません。Google Lensだと、ツガサルノコシカケと出るのですが、小さすぎるので別種では? それとも生えてすぐは小さかったりする?

(9)項のコフキサルノコシカケ疑いのキノコ同様、成長途上の外縁部は赤や白で、成長が終わった中心部は黒くなるようです。

(後に8/15(5)で改めて観察し、ニオイアミタケではないかと考えました)

(6)アミヒラタケ
ワクチン接種前だった去年8/24に初めて発見し、その後、採取時期は逃したものの経過観察できたアミヒラタケ。

また去年と同じ木に発生していましたが、立派で巨大な成菌になっていて、またもや採取時期は逃しました。一枚しか生えていないので、たとえ幼菌時に見つけても採るのはためらったかもしれません。

wikiによると朽ちたニレやカエデに生えるそうです。残っている樹皮からすると、ハルニレかオヒョウニレでしょうか。

手のひらサイズの大きさで、15cm級。大きいものは50cmを超えるそうなので、これでもさほど大きくないというのが恐ろしい。

傘の表面には大きな鱗片がたくさん散りばめられています。ふちは裂け目が入り、花びらのように波打っていました。

下から見上げると、とても立派。一度は幼菌を食べてみたいですが、去年見た幼菌はもちろん、成菌の美しさもなかなかのものなので、採取するのは惜しまれます。もっとたくさん生えてくれれば、悩まなくてすむのだけど。

調べてみたら、スイカっぽい香りがあるらしく、次回見つけた時は試してみたいです。残念ながら足の早いキノコなので、この子実体は次に見に行く時には朽ちているでしょう。

(7)イヌセンボンタケ
7/5に大量のイヌセンボンタケが出ていた倒木。今季2回目の大発生を確認できました。ナラタケと同じく、一シーズンの複数回大発生するようです。

一つひとつのキノコのサイズはこれほど小型。一般的な傘サイズは0.5~1.2cmくらいとのことですが、それよりまだ小さく見えるので、発生して間もないのかもしれません。

(8)溢液現象を起こしているキノコ
去年ムキタケを採っていた近隣のトドマツの倒木に生えていた小さなキノコ。手を添えて撮るのを忘れていましたが、4cmくらいだったかと思います。

まだ幼菌なので、何のキノコなのかわかりませんでしたが、よく見ると、見事な溢液現象を起こしていて、露玉がキラキラと光り輝いていました。

(その後、経過観察したら、(9)のキノコと似てきたので、コフキサルノコシカケの幼菌だったのかもしれません)

(9)コフキサルノコシカケ
その同じ倒木の裏側に生えていた白いキノコ。サイズは6cmくらい。傘が白い、硬質の側生キノコですが、中心部が黒い塊になっているという特徴があります。

Google Lensで調べてみたら、自信を持ってコフキサルノコシカケだと回答されました。縁部の成長中の部分は白く、古くなった部分は茶色→黒になるそうです。

しかし、この種のキノコについては、まともに調べたこともないので、間違っている可能性も十分あります。今後、図鑑を流し見している時などに何かわかるかも。

(10)ドクツルタケ
トドマツ林のふちに生えていたドクツルタケ。2年前8月に、初めてドクツルタケを見た場所に近いです。傘が開いていない美しい幼菌だったので解体したりせず、根元を掘り返してツボを観察するだけにしました。

ヒダはまだ確認できませんが、柄にとても立派なダンダラ模様があるので、シロタマゴテングタケではなくドクツルタケで間違いありません。

根元には丸い卵型の立派なツボが埋まっていました。

小さなクモが隙間にいることから、ツボは柄と癒着しておらず、隙間があることがわかります。よって、最近ゆく見かけていたニオイドクツルタケではなく、無印ドクツルタケだとわかりました。

恐ろしい猛毒キノコであるとはいえ、とても美しいキノコであり、キノコを観察し始めたころにすっきり同定できた思い出深いキノコなので、また同じ場所で出会うことができて嬉しかったです。

(11)ツチカブリ
前回8/4にツチカブリ?扱いだったシロハツ類似のキノコたち。改めて特徴をよく観察してみました。

まずトドマツ林横に出ていたほう。今回も同じ場所にたくさん出ていましたが、どれも傘サイズは6cmくらい、傘色は白地に黄土色の汚れたような染みがあり、この時点でツチカブリらしい特徴が揃っています。

前回、傘をルーペで観察した時、綿毛状の毛のようにも見えて、ケシロハツモドキの可能性が排除できませんでした。しかし、改めてよく見ると、これは毛ではなくシワのようでした。ツチカブリの傘にはシワがあるとされていたので、これも一致。

ヒダは密。やや褐色に変色していました。

そして傘を割ってみると、大量の白い乳液が染み出してきて、変色性はありませんでした。これらの点から、ツチカブリと確定して良いでしょう。

そして、そこからずっと離れた広葉樹林に生えていたほう。見たところ、傘が褐色を帯びるベニタケ科のように見えて、カレバハツか?と思い手に採ったのですが…。

ヒダを割いてみると、大量の乳液が出てきて、これもツチカブリだとわかりました。ツチカブリの傘にできる黄褐色の染みってこれほど顕著になるものなんですね。

別々の2箇所で見つけましたが、どちらも大量の乳液が出る様子など特徴は同じでした。前回8/4に同じ場所で見つけた2つのグループも、両方ともツチカブリだったとみなしてよいでしょう。

(12)カバイロツルタケ
トドマツ林の地面を覆うツルアジサイの間に生えていたカバイロツルタケ。

傘は褐色を帯びていて、サイズは通常のツルタケと同じくらいの傘6cm程度、傘のふちに長い条線あり。

柄はツバがなくすらりと伸び、傘と同色のささくれがダンダラ模様を作っていました。カバイロツルタケの柄は「平滑~粉状鱗片あり」なので、ダンダラ模様が見られるのはかなり鱗片が濃い個体のようです。

ヒダはルーペで観察すると、微細なギザギザの鋸歯がありました。前回7/20にカバイロツルタケを見つけた時ネットで調べて、この特徴があると知ってはいましたが、その時はヒダの詳細まで確認していなかったので、初確認でした。

よって、かなり典型的でわかりやすいカバイロツルタケのようでした。

(13)ドクツルタケ?
8/4にトドマツ2本の間に出ていたドクツルタケらしきキノコ。今回も再発見できましたが、なぜか根元から折れていました。

テングタケ科でこのように根元から折れているのはあまり見たことがありません。誰かがここでキノコ観察した? でも他に抜かれたキノコはなかったので違うでしょう。なら動物が倒していった?

むしろ、折れた柄の内部が黄色なことに答えがあるのでしょうか。ドクツルタケの肉は白のはずなので、内部から傷んでいたのかも。ヒダも黄色っぽい点が気になりますが、そのような特徴を持つ種類があっただろうか。

前回確認できなかったツバがあり、柄にささくれのダンダラ模様もあり、写真には写っていませんが、柄が折れた場所にツボもあったので、十中八九ドクツルタケだろうとは思います。

硫酸第一鉄(FeSO4)でベニタケ科の同定を試みる

(15)チギレハツタケ
ベニタケ科判定に役立つ試薬、硫酸第一鉄(FeSO4)を買ってみたので、試しにそのへんのベニタケ科を持って帰って試してみることにしました。10%水溶液で試薬を作るとありましたが、とりあえず少量を適当に溶かして液体にしました。

まず最近よく見るこの紫色のキノコ。傘は8-9cm、採取場所はトドマツ・ミズナラ林の広葉樹が多いあたり。

図鑑を見る限り、候補になるのは、カワリハツ、チギレハツタケ、カシタケ、ウスムラサキハツの4種。

8/4の(20)と同じものなら、劣化するとヒダが急速に褐色に変色するはずですが、前回は試薬がまだなかったので、同じものかどうかわかりません。

チギレハツタケではないかと考えている理由は、傘のふちに明確な条線があるから。カワリハツは条線がないか、ほぼ目立たないようです。カワリハツのそっくりさんであるカシタケは北海道には分布していないようです。

チギレハツタケは傘の表皮が肉より短いという特徴があり、過去に観察したものはその特徴が出ていましたが、今回のキノコでは見られません。図鑑によると、この特徴はない場合もあるようで、これをもってチギレハツタケではないとみなすことはできません。

ウスムラサキハツとの区別は、チギレハツタケのほうが大型なので、7cmを超えていればチギレハツタケの可能性が高いと思われます。このキノコは8-9cmあったので、チギレハツタケではないかと考えました。

試しにFeSO4液をかけてみたところ…、

見事に変色した! ヒダも柄も、液体がかかったところは赤茶色にはっきりと変色しました。

海外サイトによると、チギレハツタケ(Russula Vesca)は、FeSO4でこすると、急速に深いサーモン色またはさび色に変化するとされていました。他のサイトではピンクがかった茶色に変色するとも表現されていました。

ほかにグアヤクでは急速に青色に変化するようですが、乾燥した標本では変化しなかったともあり、正確にはわかりません。

グアヤクは、時間をかけると全てのベニタケの柄が青緑になるという記述もありました。長期的には全て陽性になるので、早い段階で反応をみる必要があるそうです。どのみちグアヤクチンキを手に入れる方法はなさそうです。

一方、カワリハツ(Russula cyanoxantha)は、硫酸第一鉄でほぼ変色しないものの、よく観察すると、柄がゆっくりとわずかに青緑色(灰緑色)に変色するという全く違う特徴があるので、カワリハツの可能性は完全に排除できました。

ウスムラサキハツ(Russula lilacea)については情報が少なくわかりませんが、学名で検索したところ、ドイツ語サイトにFeSO4で明るいピンクに、グアヤクでオリーブグリーンに、フェノールでワインブラウンに変色するという記述がありました。別サイトでは桜色(blassrosa)とありました。(この3種の試薬はベニタケ科によく用いられるらしい)

変色した色を見る限り、明るいピンクや桜色というより、深いサーモン色やさび色に近い気がします。他の特徴(大きさなど)もチギレハツタケを指し示しているように思えます。

チギレハツタケであろうが、ウスムラサキハツ、カワリハツ、カシタケであろうが、どれも食用にはなるようです。でも本当にこの4種しか候補がないのか、まだ確信が持てないから、食べてみるのはまだ無理そう。

日本語サイトの情報でベニタケ科の試薬による変色性の情報は非常に少ないのですが、ドクベニタケについては、硫酸第一鉄、グアヤック、フェノールそれぞれ載せてくれているサイトがありました。

それによると、ドクベニタケのヒダに試薬をかけたところ、グアヤクは直ちに緑褐色(本来は黄褐色らしい)に変わり、FeSO4は少し経ってから淡いピンク色に、フェノールも少し経ってからワインレッドに変色したとのことでした。

これを見ると、今回のように、「ただちに」赤茶色に変色するのは、かなり特徴的で、チギレハツタケと同定する強力な根拠になるかもしれません。

(16)シュイロハツ
2つ目のベニタケ科は、かなり小型で傘は4cm程度で真っ赤。どちらかというとトドマツが多いあたりだった気がしますが、写真にはミズナラの葉も写っています。

ヒダははっきりと黄色がかっていて、やや密。対照的に柄は白でした。おそらくシュイロハツかと思います。シュイロハツはミズナラなど広葉樹林に出るキノコです。

このキノコは、FeSO4では全く変色しませんでした。数分後に、白い肉の部分がほんの少しだけ黒ずんだ気もしましたが、目の錯覚か、単に濡れたせいでそう見えただけかもしれません。

シュイロハツ(Russula pseudointegra Arnould & Goris)の変色性については学名で調べても有力な情報が見つかりませんでした。シュイロハツっぽいキノコについて、FeSO4で非常に薄いピンクに、 グアヤクで汚褐色になったとしているサイトはありました

もしそれが正しいとすると、非常に薄いピンクに変化しなかった点が異なっていますが、見た目からして最も近いのはシュイロハツです。

(17)ヤブレベニタケ
3つ目のベニタケ科は中程度のサイズで、かなり小型で傘は4cm程度で真っ赤。採取場所はよく覚えていませんが、写真からすると広葉樹林のようです。

ヒダはややクリーム色。柄は白ですが、片面だけ赤みを帯びていました。それよりも目立つのは、赤い傘色が、ヒダの縁にはみ出していて赤い縁取りのようになっている点。これはヤブレベニタケでは?

ヤブレベニタケは、図鑑によると、ミズナラなど広葉樹林に発生し、傘は5-11cm。ヒダはクリーム色、密。柄は白または淡紅色を帯びる。とあるので、すべての特徴が一致しています。これはイージーモード。

FeSO4をかけてみると、柄の白い面が、薄いピンク色に染まりました。チギレハツタケほど濃い赤茶色ではなく、肉眼で判別はできるもののかなり薄い色です。

ヤブレベニタケ(Russula lepida)について学名で調べてみると、FeSO4では黄色がかったピンクに変色するとのこと。

別サイトによれば、FeSo4では、非常にかすかなピンクにゆっくりと変化、 グアヤクは30 秒で青みがかった緑に変化。フェノールはほのかな茶色に変化とのこと。

ゆっくりと薄いピンクに変化した点が一致しているので、ヤブレベニタケで間違いないでしょう。

2022/08/10水

道北で地震があったが全く揺れず

一昨日、大雨が降ったので、そろそろ新しいキノコが出ていることを期待して、畑仕事の合間を縫って、森に行ってみました。あまりに熱くて活動限界時間が短いので、ショートカットできる場所に車を停めました。

いつものキノコ群生地2箇所を歩き回りましたが、期待したほどキノコは出ていませんでした。今年いちばん気温が高い日が続いているので、キノコからすると真夏認定でお休みの時期なのかもしれません。

あちこちに咲いているオオヤマサギソウは満開を迎えていました。

一方、そういえば一本だけエゾスズランがあったなと思い出して、トドマツ林の端に見に行ってみたら、いつの間にか花が散って実になりかけていました。ヒグマ出没中で入れないもう一つの森に多いランなので、今年は見る機会がありません。

前回から、広葉樹林の地面に大量に落ちていることに気づいた謎の実。今日も至るところに大量に落ちていました。場所によっては、手のひらで囲えるほどの範囲に数十個あるレベル。

何か手がかりがないか調べていると、果柄で2つつながっているのを発見しました。この形は、やはり前に実の色から感じたとおりシナノキでは?

周囲をよく見てみると、果柄につながっているものこそなかったものの、シナノキの苞がところどころに落ちているのを見かけました。

しかし、シナノキだとしたら、今年の実はまだ熟していないはずです。ということは、この大量の実は去年のものということになります。

最近、突然現れたように感じましたが、もっと前からあったのかもしれません。このあたりの広葉樹林でキノコ観察を初めたのが先月末なので、気づいていなかっただけ?

同じく広葉樹林に落ちていたもの。残念なことに現地で写真を撮り忘れましたが、こんな緑色のイガイガの姿で地面の枯れ葉の間に落ちていました。

何だろう?と拾い上げてみると、未熟なドングリの実でした。まるでネットに入れられたナシのような姿で、とても初々しい。今年もそろそろミズナラの実が膨らみ始めているのですね。

暑さのせいですぐ疲れてしまい、1時間半くらいしかキノコ観察できませんでしたが、夏場なので十分でしょう。この時期にもキノコ観察ができるのが嬉しいです。

その後、真夜中にスマホや町内放送で緊急地震速報がかかって叩き起こされました。でろでろでろんというゴジラ+アイヌの発想で開発されたらしいメロディの肝を冷やされながら、とりあえずベッドに逃げ込みましたが、幸いにもまったく揺れませんでした。

ネットでニュースを見ると、NHKが名寄付近で震度5強という震度分布図を出していて目を疑いましたが、よく調べると、震源は中川町。

速報とはいえ、無責任な情報を流すのはやめてもらいたいです。おかげで心配のメールがたくさん来てしまいました。去年の冬も、記録的な大雪とかいう謎ニュースを流していましたが、人が住んでいない秘境だと思って報道機関も勝手なことを言い過ぎ。

そのくせ、去年の夏の酷暑&大干ばつなんて全くといって良いほど報道していなくて、今頃農作物高騰が波及していると聞きます。ニュース機関も正しい情報を伝えるよりも、センセーショナルな見出しで視聴率を稼ぐことが目的なのかも。

中川の地震は珍しいですが、昔から恐竜の化石が発掘される場所なので、地殻変動も活発なのでしょうか。地震が多い豊富・幌延のサロベツ断層帯も近いので、そちらの影響もあるのかもしれません。地層研究センターの影響はないと思いたい。

震度5を超える地震でも、相変わらず、北見山地のほうの自治体は全然揺れておらず、鉄壁の様相でした。日本海側は小樽とかまで揺れているのに、オホーツク海川は地震波が迂回しているかのような震度分布図。さすが日本で一番地震が少ない地域。

後で幌延の友人にもメールしてみましたが、緊急地震速報に驚いたくらいで、特に被害はなかったようです。さすが普段から備えのできている地域。全国ニュースになって心配もされましたが、大きな問題にいたらなくてよかったです。

今日のキノコ。ハイイロカラチチタケ,クサウラベニタケ,サマツモドキ等

(1)ウスタケ
まずはトドマツ・ミズナラ林へ。入ってすぐのツルアジサイに覆われているトドマツ林床に生えていたウスタケ。7/25にも見たのと同じ場所でした。今回は採取せずに観察。相変わらずチクワっぽい。

大きさは傘4cmほどですが、これから開いていくので、あまり参考になりません。

(2)ニオイドクツルタケ?
同じくトドマツ林手前に多く発生している、いつものニオイドクツルタケっぽい個体群。

手振れの結果、面白い映像効果みたいになった写真。

根元を掘ってみると、ツボではなく球根状だったので、ニオイドクツルタケと判定しました。

このすぐ隣にあった、傘が山なりになっていた個体。普通は卵型に開くものなので、こんな形だとテングタケ科だとわかりません。たまたま隣に普通の個体があったのでわかりましたが…。

傘が大きく、柄が短く細い印象がありますが、これがドクツルタケ系列であれば、8/4の(14)の謎のテングタケ科としたものも、ドクツルタケ系列だったのかもしれません。

傘が水平に開いて、2つ並んでいたので、遠くからでも白く輝いて目立っていた個体群。

横からのぞいてみると、ヒダに2つとも大量のコバエ?がたかっていてびっくりしました。今までこんな状態のは見たことがありません。

片方の根元を掘ってみましたが、やはり典型的なツボではなく球根状だったので、ニオイドクツルタケかなと考えました。

手で触れると、コバエはすべて飛び立って、とてもきれいなヒダとツバが見えました。

柄のササクレは控えめでしたが、一応は確認できるので、シロタマゴテングタケではなくニオイドクツルタケかな?と思います。

ただ、この機会に根元を匂ってみましたが、ニオイドクツルタケの特徴であるとされる薬品臭はわかりませんでした。肉も匂うらしいので、柄を折ってみましたが、やはり匂いはわからず。

(3)ハイイロカラチチタケ?
トドマツ林のふちに生えていた見慣れないベニタケ科キノコ。場所は前にモミジタケを見たあたり。見た目は最近多いツチカブリかなと思ったのですが…。

傘は淡褐色の染みがある汚れた白。特に毛やシワは見当たりませんでした。ツチカブリやケシロハツではなさそう。

柄も同じ色ですが、ヒダは卵色で、やや密、垂生。

柄は髄状で肉は白。

ヒダを割いてみると、少ないながら乳液が出ました。

驚くべきは、傘を割いてみると白い乳液が染み出してきて…、

なんと10~20秒ほどでサーモンピンクに変色したことです。

こんな変色性は初めて見ました。下の写真のうち、左側は割いたばかりの状態、右側は割いてしばらく経ち、サーモンピンクに変色した状態。

この変色性を手がかりに調べてみたところ、ハイイロカラチチタケかその近縁種が候補に上がりました。

肉だけ変色すれば、ウスイロカラチチタケのようですが、写真で確認する限り、乳液も変色しているようなので、ハイイロカラチチタケのようです。

手持ちの北海道のキノコ図鑑2種にも載っているので、珍しいキノコではなさそうですが、いずれの資料でも広葉樹林に出るとされているのが謎。ただ、最も近いのはトドマツだっとたとはいえ、写真のように、周りに広葉樹林の葉も落ちている場所でした。

(4)ドクツルタケ
これでもかと大量に生えているドクツルタケ。最強の猛毒キノコなのに、珍しくもなく、見かけるキノコの半数がドクツルタケかその近縁種という状態。

傘の中央がほんのり赤くて、アケボノドクツルタケか?という雰囲気ですが、後で見たもっとそれっぽい個体よりは白いし、柄のささくれも立派なので無印としました。上から見た傘が半熟卵のようで美味しそうですが、死の誘惑です。

無印はアケボノより大型で、柄のささくれが顕著とされているので、ここまで毛羽立っていたら無印でしょう。8/4の(14)の謎のテングタケ科もササクレが目立っていたので、意外と無印ドクツルタケだった可能性が高まりました。

立派なツバもしっかり確認できました。

別のドクツルタケ。アケボノドクツルタケらしきものの近くに生えていて、ササクレもそれほど目立ちませんが、傘の赤みはなく、ツボが確認できるので無印。特徴は個体差が大きいようです。

そして最後に立ち寄った広葉樹林のほうにも生えていた立派なツボのあるドクツルタケ。本当にどこにでも生えすぎです。

(5)ハナホウキタケ
ハナホウキタケのその後。7/12に発見したものなので、発生後1ヶ月になります。キノコにしては長寿なほう。かなり大きく褐色みも帯びて貫禄があり、もし食用なら美味しそうなのになぁと思ってしまいました。

(6)フチドリベニヒダタケ?
トドマツ・ミズナラ林の端、ミズナラ林地帯の地面に、なぜか抜けて転がっていた謎のキノコ。ものすごく美味しそうな見た目をしていましたが何者? そもそもなぜ抜けていたのか…。

傘は茶色で、拡大すると脳のようなシワが刻まれています。

ヒダは下から見ると暗褐色に見えるのですが、

傘を割いてみると、なぜか白でした。ということは暗褐色の縁取りがあるという面白い特徴があるようです。ヒダの付き方はまだ傘が開いていなかったのでわかりづらく、直生、上生、離生のいずれかでしょうか。

柄はナスのように下にいくにつれて太くなる形。地はクリーム色で、細かい茶色の粒点に覆われていました。

柄の内部はかなりはっきりした中空。

果たしてこのキノコはいったい? Google Lens先生が無力だったので手がかりさえ得られず。キシメジ科かフウセンタケ科? 見当もつかないので、今後、図鑑を眺めている時に答えがわかるのを期待するしかありません。

(追記 :8/15(20)で観察したものが同じ種類のキノコなら、おそらくフチドリベニヒダタケだと思われます)

(7)サガリハリタケ
ミズナラ林の落枝に生えていた美しいサガリハリタケ。どの図鑑にもミズナラ落枝に発生するとあるので、この枝は十中八九ミズナラでしょうが、地衣類とサガリハリタケに覆われていて元の姿が不明レベル。

大きさはこの程度。かなり小さく、ふちがイボゴケなど地衣類の下生菌糸とも似ているので、地衣類の仲間のように見えるほどです。

しかし、ルーペで拡大してみると、肌色のたくさんの針状のヒダに覆われていることがわかります。

針の先は褐色ぎみのものと白っぽいものがあり、二又に分かれているのもありましたが、図鑑等に特にそれを示唆する記述はありませんでした。

んなり針が長いものもあり、地衣類と合わせて見ると海底のイソギンチャクのようです。個人的に極めて美しいキノコだと思うのですが、まったく珍しくないキノコらしく、頻繁に見られるのは嬉しいことです。

(8)カワリハツ
最近よく見る赤紫色の傘のベニタケ科のうち、傘のふちに条線がないタイプ。7/25の(4)や、8/4の(4)がこのタイプのキノコです。

しかし、チギレハツタケらしきキノコとの違いは、その条線の有無のみだったので、別のキノコだと断定する決め手に欠けていました。しかし今日は、試薬の硫酸第一鉄FeSO4があります。

ヒダは密、柄と同色でほぼ白。柄は白ですが、もともと薄い褐色の染みがついていました。

ヒダはよく見ると多少の分岐がありますが、多くはありませんでした。

すぐそばに出ていた、同じキノコの老菌と思われるもの。

裏返すと、古くなったヒダは褐色に変色していました。

硫酸第一鉄の試薬をふりかけてみたところ、一見すると変色性がないように思えました。チギレハツタケらしきキノコは、一瞬で赤茶色に変色したので、この時点で別のキノコだという確証が得られました。

でも本当に変色性がないのでしょうか。上の写真は、単に試薬で濡れているだけにも見えますが、薄くグレーに変色しているように見えなくもありません。

しばらく待ってから、よく観察したところ、柄のもともと薄い褐色を帯びていた部分が、特にグレーっぽく見えることに気づきました。

先日、変色性がわからなかったシュイロハツ?らしきキノコの柄と比べると、単に濡れているだけにしては、グレーが濃く出すぎているように思います。

また、ヒダのほうも、液を垂らしたところはグレーに変色して見えました。

カワリハツは、硫酸第一鉄に対して無反応と書かれているサイトもあれば、わずかに青変すると書かれていることもあります。

実際に変色している写真を載せているサイトがありましたが、今回の観察結果と非常によく似た色合いに見えます。

この変色性の弱さなら、単に濡れただけに見えて無反応としてしまう人がいるのもわかりますし、実際にはグレーなのに周囲の色との比較で青変と表現されることもわかります(静脈が青く見えるのと同じ理由)。

というわけで、これまで謎だったキノコですが、硫酸第一鉄の力を借りて、カワリハツらしいと判別することができました。

今回の観察で大きかったのは、カワリハツらしきこのキノコも、古くなるとヒダが褐色になることや、ヒダに若干ながら分岐があるとわかったことです。

これまでヒダが変色しているからチギレハツタケかもしれないとか、ヒダが分岐しているからカワリハツではないかもとか考えていましたが、今後はその可能性を除外できます。

特にカワリハツは緑色系の場合、ヒダの分岐があればウグイスハツであるとされることがありますが、カワリハツでも若干は分岐がある可能性があるとわかりました。目立って分岐が多いのでなければ、ウグイスハツと断定はできなさそうです。

(9)レンガタケ?
その近辺の倒木に生えていたキノコ。種類はやはりトドマツか、ミズナラなどの広葉樹。見た感じからして針葉樹生のレンガタケのようなので、かなり幹が朽ちたトドマツのなのかもしれません。

傘りサイズはほんの2cmくらいで、傘の中央部が赤茶色、周辺部は純白です。レンガタケで合っているとしたら最小サイズくらいです。幼菌なのかも。

拡大するとこんな雰囲気でしたが、ピンぼけ。

裏側は管孔状。この写真は約20倍ルーペで拡大したものですが、レンガタケにしてはやや管孔が大きいのではという疑問があります。

レンガタケの管孔は1mm間に3個とされていて極小のはずです。傘の端から端まで2cmとすると、60の管孔があるはず。写真は傘裏全体が写っているわけではありませんが、数えてみると、それほどかけ離れてはいないようにも見えます。

倒木の反対側に出ていた白い側生キノコ。上の個体群と同じものかは不明。サイズと管孔の雰囲気からすると同じキノコにも見えますが、傘の中央が上のキノコほど赤茶色ではありません。

こちらの写真はしっかり全体が入っているので、もし端から端まで2cmとすると、管孔の数はレンガタケと合っています。

レンガタケの性質についてよく知りませんが、もしサルノコシカケ等と同じく、成長を終えたところの色が変わるのであれば、傘の中心がまだ白っぽいのは幼菌なのかもしれません。

(10)アケボノドクツルタケ
さっき書いたアケボノドクツルタケと思われるキノコ。場所はトドマツ・ミズナラ林を少し戻ったところで、三年前に初めてドクツルタケを見た場所に近く、今年は大型ニガイグチやコガネテングタケなどを見ているあたり。

根元を確認したくて少し掘ってみたら、倒れてしまいました。

傘の中心は、さっき無印ドクツルタケのところに載せた個体のような「ほんのり」ではなく「明らかに」サーモンピンク色を帯びています。

上から見ても、その色づき方は明白。

さっきのほんのり色づいていた個体は柄のささくれが顕著でしたが、今回のは柄のささくれが控えめで、アケボノドクツルタケの特徴に合っています。

根元もしっかりしたツボがあり、ニオイドクツルタケでないことは明らか。というわけで、アケボノドクツルタケ初確認といってよいでしょう。猛毒であることは差し置けば、名前も美しく見た目も引けを取らない風流なキノコです。

(11)クサウラベニタケ
そのすぐ横の草地に生えていた、ウラベニガサ科もしくはイッポンシメジ科らしいキノコ。以前もここで何度かヒダがピンク色のキノコを見ているので出やすい場所なようです。

念のため、テングタケ科ではないことを確かめようと地面を掘ってみたら、ツボはなく、白い菌糸が地面を覆っているようでした。

傘のふちは波打っていますが、最も長い部分の直径は8-9cmほどと、やや大型。

傘には光沢があり、薄い黄土色に白いかすれ模様があります。去年も見た覚えのある風合い。

ヒダは密でも疎でもなく、ピンクみを帯びているのが最大の特徴。

手の大きさと比べたところでは、柄の長さは10cmくらい。ツバはなし。

ヒダは接写すると、ふちがギザギザ。この鋸歯状の不規則なヒダがクサウラベニタケの特徴のひとつだと書くサイトもありますが、普遍的な特徴かは不明。

ヒダの付け根はよく見ると湾生になっていました。一般にクサウラベニタケは直生~上生~離生としているサイトが多いのですが、直生~上生後湾入としているサイトもあったので、個体差の範疇か。(湾入上生というものらしい)

しかし、柄に対して「長く垂生」レベルの湾生なので、図鑑がこれを直生~上生とするはずはないと思えるのも疑問が残るところ。かといってクサウラベニタケ以外の候補が思いつかないのですが。

とはいえ、断面を見ると、これは直生~上生にしか見えないのも事実。ルーペでじっくり観察しなければ湾生とはわからないでしょう。

ちなみに過去日記を調べてみると去年10/14に見たのも全く同じで、ルーペで観察してやっと分かる湾生でした。

柄は中空ではないものの髄状で、つまむと弾力なく潰れました。傘や柄の特徴からして、そっくりさんのウラベニホテイシメジではないでしょう。そもそもウラベニホテイシメジは手持ちの北海道の図鑑2種に載っていないので分布していないかも。

いずれの特徴もクサウラベニタケっぽく、他に候補はないので、合っているはずです。変異の多いキノコとされますが、典型的なタイプであれば、かなり見分けやすいと感じます。

(12)ワサビタケ
去年ワサビタケが何度か出ていた倒木に、今年も生えてきているのを発見。秋が近いのを感じます。

波打つ薄茶色の傘。そして、

ヒダを拡大すると細かい連絡脈があり、いかにもワサビタケでした。

(13)コガネヤマドリ
その近くのやぶの中、よくナラタケが大発生するあたりに生えていたコガネヤマドリ。かなり大きめで、目を疑いましたが、この傘の色と整った姿からするとコガネヤマドリかと推測。

傘の大きさは15cm級。

裏返してみると予想通りの管孔。

柄の上部にはわずかながら目立たない網目が確認できました。なかなか食べられる状態のコガネヤマドリに出会えませんが、そもそも食べるというより見た目を愛でるキノコかもしれません。

(14)コフキサルノコシカケ幼菌?
8/6に溢液現象を観察できたキノコ。もう露玉のような液体はついていませんでしたが、まだほとんど成長しておらず、何のキノコかはわかりませんでした。(追記 : 後日成長を観察したところではコフキサルノコシカケの可能性が出てきました)

(15)倒木から生える謎のキノコ
同じあたりの倒木についていた白いキノコ。オシロイタケなどの仲間かなと思ったのですが…。表面が部分的に褐色を帯びること、管孔の細かさなどからすると、下の(16)の謎のキノコと同一種かもしれません。

まさかの傘の表側に管孔があるという謎。

(16)トドマツの朽木から生える謎のキノコ 
7/25(24)で溢液現象を起こしていたキノコ。オシロイタケかと思っていましたが、さらに成長して、かなり濃い褐色に色づいていました。

この姿はどこか見覚えが…。2020年9/22に見たカイメンタケの幼菌では? (追記 : 後日経過を観察したところでは、この状態ですでに成菌だったようで、カイメンタケではなかったようです)

前にカイメンタケの幼菌を見た時は、さらに褐色でしたが、このもこもこしたパンのような雰囲気は一致しています。前はカラマツ、今回はトドマツということで、針葉樹の根際に出るという特徴も一致。

もしカイメンタケだとしたら、これから平べったくなって扇形に成長していくので、継続観察していればわかるでしょう。それにしても、発生してすぐの幼菌の姿からは想像もつきませんでした。

(17)シロサカズキタケ?
少し引き返して、以前バライロウラベニイロガワリを見たあたりのトドマツ林。ツルアジサイのグラウンドカバーで覆われているあたり。

まるで枯れ葉やツルアジサイのドライフラワーのような色のものが落ちていましたが、今の時期にはないはずなので…、

よく見るとやっぱりキノコでした。枯れ葉のような傘に見えましたが、漏斗状に開いていて、裏側は柄に長く垂生。…これは7/29(19)で見た謎のキノコ。去年にも見かけて結局わからず、シロサカズキタケ疑いになっているキノコのようです。

傘は7cmくらい。今まで見たものはもっと白っぽい色でしたが、老菌になっているのか枯れ葉のような色で放射状の線が入っています。

前回観察できたとおり、枯れ葉から生えていて、白い菌糸が根元にまとわりついています。この点からしてもやはり同じキノコのようです。

横から見たところ。ヒダは白ですが、柄は薄く褐色に色づくのも、去年と今年に見た同種らしいキノコの特徴でした。シロサカズキタケのその近縁種の説明を見ると、大きさおよび色合いなどの特徴が当てはまっているように思います。

似ているキノコとして他にユキラッパタケがありますが、ヒダがもっと疎だとされるので違うようです。しかし、シロサカズキタケは非常に情報が少ないので、こんなに頻繁に見かけるものなのか謎。

もっと一般的なもので似ているキノコといえば、シロノハイイロシメジですが、去年公園で見た感じでは、ここまでヒダが長く垂生していませんでした。また、ヒダは成長するとクリーム色になるらしく、このキノコが老菌なのにヒダが白い点と食い違っています。

(18)コクサウラベニタケ?
広葉樹林のサクラの朽木のそばに出ていたキノコ。前にせんべいのようなガンタケを見た場所。

傘の大きさは4cmくらい。ついさっき見たような薄い黄土色の傘にかすれ模様。

そして裏側のヒダはピンク色を帯びていて、やや密。柄にはツバはなく傘と同色。これはクサウラベニタケでは?

傘の断面。一見上生に見えますが、よくよく見ると、やっぱりわずかに垂生しています。しかし、垂生している部分が破れているので、上生~離生ともみなせます。

柄は忠実とまではいかない髄状。クサウラベニタケは中空とされますが、つまんでも硬く締まってはいないという意味では、中空に近いと感じます。

地上から生えていて、この見た目なら、ほぼクサウラベニタケだと思いますが、大きさがやや小さく傘が5cm以下なので、コクサウラベニタケかもしれません。

(19)サマツモドキ
その近くの別の苔むした切り株のそばに出でいた赤褐色の傘のキノコ。この切り株は別の角度から見ると、やはりエゾヤマザクラのようでした。

そのすぐ近くの枯れ葉の下に、もっと小さな同種のキノコが埋もれていました。

大きいほうの傘のサイズは4~5cm。

傘は褐色の鱗片でびっしり覆われているため、赤褐色に見えます。

裏返すと、とてもよく目立つ黄色いヒダ。この時点で、キシメジやシモコシの仲間ではないかと思い当たりましたが、去年10/10に公園で見た写真を振り返ると、こんなに傘や柄の色が濃くありませんでした。

残念ながらピンぼけ画像になっていましたが、柄は傘と同色で、同じように褐色の鱗片か繊維で覆われています。これもキシメジやシモコシの特徴とは一致しません。

ヒダの付き方は直生、柄ははっきりした中空でした。

もろもろの特徴をあわせて考えると、このキノコに最も近いのはサマツモドキでした。ほとんどの特徴が一致しますが、一般にサマツモドキは針葉樹の切り株から発生し、柄は中実だとされています。

この切り株はエゾヤマザクラだと思ったのですが、軽く表面の模様を見ただけで判断したので、間違っていたのかもしれません。

柄については明らかな中空であり、どう見ても中実とはいえません。サマツモドキの近縁種のキサマツモドキは髄状~中空だそうですが、これをキサマツモドキとみなすには赤すぎます。

ただ、ネットはともかく、手持ちの紙の図鑑では、3冊いずれにも、サマツモドキの柄について中実とも中空とも書かれていませんでした。個体差があるのかもしれません。

いずれにしても、他の特徴があまりにも一致しているので、サマツモドキとみなすほかありません。

(20)チギレハツタケ老菌?
その近辺の広葉樹林で朽ちていた大型のベニタケ科。このあたりで観察したものといえば、チギレハツタケなので、その成れの果てなのかも。確かに傘のふちがちぎれていますし。試薬は持ち歩いていないので鑑定はできませんでした。

(21)チチタケ
トドマツ・ミズナラ林のほうで見つけて採ってきたチチタケ。とても状態がよかったので、ぜひ食べてみたいと思って干しておいたのですが、残念ながら手違いで紛失されてしまいました。本当に残念です。

裏側。とても新鮮な乳液が滲み出ていました。それよりも特徴的に感じたのは、柄の付け根に黒いゴミのようなものがこびりついてる点です。

しかし、ゴミかと思ったら粘り気があり、簡単には取れません。チチタケの乳液は乾くと褐色の染みになる、という特徴があるのでそれなのかもしれません。だとしたら、今後チチタケを見分ける際の手がかりの一つになるでしょう。

 

2022/08/11木

晴れた日のいわし雲(巻層雲)

夕方に空を覆っていたいわし雲(巻層雲)。もう少し大きければ羊雲(高層雲)ですが、これは高度が高そうでした。パノラマ写真で撮っているので扇形に広がっているように歪んでいますが、実際は一方向に並んでいます。

前線が来ると、まず巻積雲→高積雲→積雲と高度が低くなっていって雨雲に至るはずなので、天気が変わりつつある兆しかもしれません。

2022/08/12金

畑の草にくっついていたコエゾゼミ

畑の草にくっついてお亡くなりになっていたコエゾゼミ。死骸とはいえ、とても美しい模様だったので撮ってみました。頭部の黄色い横線が途切れているのはエゾゼミではなくコエゾゼミだそうです。

エゾゼミの模様を見てると、アイヌの彫刻家の砂澤ビッキの作品を思い出します。彼の作品をはじめアイヌの芸術は、身近な自然のデザインをよく観察して生まれたものだったのだなぁと感じます。

2022/08/13土

全身あちこちの痛みが限度を超えてきた

ここ数年、動ける程度の体調になったのは良いものの、身体の怪我が絶えない状況にありました。一昨年スキーで手首を痛めたことに始まり、肩(二の腕)や膝など、あちこち傷めては治ってを繰り返してきましたが、今年は限度を超えているようです。

4月初頭に前触れなく傷めた両二の腕(肩)は、左側はほぼ回復しましたが、右側はまだ傷めたままで、動作によってはまだかなり痛みが強いです。

それだけでなく、先月あたりから、ニンニク彫りの重労働で、中学生時代からの古傷の腰の痛みが出ていましたが、とうとう座っていられないほどの痛みになってきました。おかげで仕事に支障が出でいますし、こうしてブログを書くのも大変です。

場所は背中と腰の間で、表面ではなく内部が痛みます、立っている状態では大丈夫ですが、前屈や後屈で痛むというのが最初の症状でした。ここ数日は悪化し、座っているだけで痛いありさまで、立っていても負担を感じます。

場所的にはほぼ腎臓の位置で、腎臓や脊椎の病気が絡んでいないか心配ですが、軽く調べたところでは単に使いすぎによる腰痛と思われます。激しい痛みやしびれ、血尿などはありません。

しかし、この感じはおそらく、かなりよくない傷め方で、回復するまで時間がかかるだけでなく、頻繁にぶり返すような気がします。とても困りました。

そもそも痛みがあるのは、単に腕や腰だけでなく全身あらゆる場所なのです。

この前、ある友人と話していた時、「頭痛を経験したことがなからわからない」と言われて驚きました。頭痛なんて誰もが四六時中あるものと思っていましたから。わたしは頭痛のない瞬間というのが眠って意識のない時以外ありません。

また、体じゅうに小さな湿疹ができているのですが、それも普通の人はないそうですね。高校生の時の全身の貨幣状湿疹以来か、それ以前からだったかは分かりませんが、何か普通とは違うことが起こっているみたいです。

疲労感にしたって、さまざまな不快感にしたってそうですが、あまりに子供の頃から当たり前なので、それが異常だと認識できなくなっている自分がいます。

過去にもそうしたテーマについてブログで取り上げてきましたが(例えば無秩序型愛着の記事や、発達性トラウマの記事など)、ここまで根深いものだとは…、わかっているつもりでわかっていなかったかもしれません。

特に、体全体の痛みは子供の頃からありますが、アロディニアのような激痛ではないので、異常ではないと思い込んでいました。でも、もしかしたらわたしは、慢性疲労症候群の診断を受ける前でも、若年性線維筋痛症の診断を受けられたかもしれません。

線維筋痛症の診断基準に、全身の18箇所の圧痛点の痛みがあります。わたしはその診断基準にずっと昔から不思議だったのですが、その圧痛点の場所は、押さえて痛いのは当たり前じゃないの?と感じていました。

誰でも痛い場所なので、定義された4kgの強さで押した時に相当痛いのでなければ普通なのだと。でも今あらためて考えてみたら、普通の人は圧痛点の場所を押しても痛くないのでは?

線維筋痛症というと、想像を絶する痛みの患者さんの経験ばかり取り上げられがちです。ペインビジョンでどんでもないレベルの痛みが出るとか。だから、わたしは自分程度の痛みは全然普通のものなのだと思ってしまっていました。

でも、診断基準の定義からすれば、重症ではないものの、線維筋痛症とは十分診断されうるのでは?とふと思いました。今さら専門医がいる病院に行く機会などないと思うので、診断されることはないでしょうが。

ともあれ、発達性トラウマを背景にもつ人なら、これくらい全然普通というか、ありふれたものなのかも、慢性疼痛はじめ、全身のさまざまな違和感や異常は決して珍しいものではないですから。

今さら自分がどんな症状か他人に言ったり、医者に確証してもらったところで何の意味もないので、これ以上追求する気はありません。でも、自分の出自は死ぬまでつきまとうのだなと改めて感じます。

異邦人としての生まれは、決して誰にも理解されないし、死ぬまで体に刻み込まれているのだと。それはもう変わりようのない事実で、受け入れるしかないのだと。

だから、今考えるべきは、自己憐憫に陥ることよりも、どうやってうまくやっていくか、打開策を見つけることです。今までもそうでした。

とりあえず、この2日間は、できるだけ横になって、腰の回復に努めてきました。

また、ベッドのマットレスを変えるべきか悩んでいて、今月始めに腰痛がかなり悪化し始めた頃に、線維筋痛症の人たちの意見を調べてみました。すると、エアウィーヴのマットレスがいいと言っている人がいました。

初耳のメーカーだってので調べてみると、確かに良さそうでした。もともと全身の痛みから低反発マットレスを使っていたのですが、腰痛対策には高反発がいいと聞いていたので、適合するのを探していたのです。

マットレスは高額でしたが、ちょうど先月の臨時収入で買えそうな範囲でした。お盆前に買ったので、発送は8/16となっていましたが、もうすぐです。返品保証の期間があるので、とりあえずダメ元で試してみようと思っています。

もし体に合いそうなら、今使っている低反発も長時間寝なければ心地よいので、両方を並べて使い、夜中に移動するのもいいと思っています。

せっかくある程度動けるようになっているので、高望みはせず、現状維持ができる方法を探したいです。

暑かった夏も、日に日に少しずつ和らいできて、夜はもう秋の虫たちの大合唱。8月も半ばを過ぎれば、かなり涼しくなることが予想されます。せっかくいい時期なので、なんとか体の不調をうまくかわして、キノコ観察など楽しみたいです。

2022/08/15月

コベニスジヒメシャクが飛ぶ森の中。ツルニンジンやアオミズはつぼみ

この2日間、ゆっくり寝て腰を休めたので、晴れた合間を縫って、森に出かけてきました。

最高気温は27℃くらいで、相変わらずカが異常に多く、手袋のメッシュ部分から刺されまくりました。面倒臭がらずに、そのへんに生えているヨモギをむしって挟み込んでおくべきでした。そろそろ秋らしくなってきたと油断していました。

森の入口で咲いていたツユクサ。…といっても全然珍しくもなく、うちの庭にも雑草として自生しています。でも爽やかな青い花びらがとても涼しげなので好きです。

森の中でよく見かけた気がする白いガ。白いガにはいろいろな模様の種類がありますが、今回のは赤い一筋の線が入っているガでした。調べたところ、コベニスジヒメシャクかその近縁種のようです。

食草はタデ科。このあたりに生えているものだと、ミゾソバが可能性が高そうです。

いつものぬかるみを抜ける時に、珍しい足跡があることに気づきました。写真ではどうしても立体感がわかりにくいですが、左上にひとつ、右下にひとつあります。

いつもここで見かけるのはシカの足跡ですが、蹄の跡がないようにみえたので、現地で観察した時には、ヒグマの後ろ足?と思いました。周囲は草で覆われていて、他の足跡を見分けるのは困難でした。

でも今あらためて見ると、右下の足跡のほうは、蹄にも見えますね。左上のは、シカの群れが何頭か同じ場所を踏んだとかで蹄の跡が消えただけかもしれません。

シカにしては大きいと思いましたが、何頭かの足跡が合わさっているとすれば不思議ではありません。逆にクマだとしたら小さい気がしますし、もっと大きな前足らしい痕跡が見当たらなかったのが不可解です。

今年もたまたま発見できたツルニンジンのつぼみ。ふつうに多年草ですが、あまり毎年決まった場所で観察できません。なぜだろう。萼がぴったり閉じた折り紙の風船のような姿のつぼみがお気に入りです。

萼が開いているのもありましたが、中の花びらが同じようにぴったり閉じているのも面白い。これって萼が花びらになれば省エネなのでは?と思ってしまいますが、そうする道を選んだキンポウゲ科のようになっていないことに何か理由があるのでしょう、きっと。

アオミズ地帯に差し掛かるとかなり成長していましたが、まだ葉腋に花は咲いていませんでした。去年の日記だと9/1に咲いていたので、まだこれからです。花が咲く一ヶ月半前の7月半ばにはもう茂っていたというのが今年の驚き。

葉腋をよく見ると、小さい芽のようなものが出てきていました。きっとつぼみに違いありません。

帰り道、広葉樹林地帯を通っている時に、サラシナショウマのつぼみも発見しました。この森はサラシナショウマがあちこちに生えるので、必ずどこかのタイミングで発見できるでしょうが、今年も見つけることができてよかったです。

とにかく今日はキノコだらけで、目に入るものすべてを観察していたら身がもたないレベルで発生していたので、程よいところで打ち切って引き上げてきました。雨の後というのもあるでしょうが、季節的にもキノコラッシュを迎えそうです。

今日のキノコ。フチドリベニヒダタケ,ヤグラタケ,ウツロイイグチ等

(1)カヤタケ?
森に着いてから、いつもの手袋を忘れことに気づき、なんとかなるかと思って別の手袋をはめて撮影しかけましたが、このキノコを撮るのにも苦労したため、一度引き返しました。家からほんの5分なのはありがたい。

森の入り口付近、ぬかるみ地帯の手前に生えていたカヤタケ系の小さなキノコ。

傘は中央が凹んでいて、色はオレンジ色に近い褐色。3cmくらいと小型。

横から見ると明らかな垂生で、漏斗形になっています。傘と柄は同色で、ヒダの色は薄い色です。

断面をみると漏斗状なのがはっきりわかります。柄の内部は空洞でした。

カヤタケにしては小さすぎるとおもいましたが、より小型のコカブイヌシメジやシロヒメカヤタケにしては色が濃すぎます。標準より小さなカヤタケかな、としか言えません。これから傘が成長すると標準サイズになるのかも。

(2)ヒメコナカブリツルタケ
上のカヤタケっぽいキノコと混生していたヒメコナカブリツルタケ。

傘サイズは6cmくらい。柄は離生。

相変わらずの粉っぽさと傘のもろさでした。前回8/6(2)で見た時は、傘が簡単に壊れた時は傷んでいたからかと思いますが、単に本種の特徴なのかもしれません。

傘の周囲の条線。図鑑等に記述はありませんが、やはり前回同様、粒状の条線に見えました。この粒状の膨らみはある場所とない場所がありましたが、粉の塊がついているというわけでもなさそう。

(3)去年も見た傘がささくれる謎のキノコ
少し進んだぬかるみ地帯の前後どちらかで見た、とても悩ましい謎のキノコ。去年8/29に見たのと絶対に同じ種類でしょう。記憶では場所も近いので、同じ菌核から生えたものかもしれません。

歩きながら傘だけ見つけた時は、てっきり何かの老菌の痛んだ傘かと思ったのですが、

裏返してみると、この整った美しいヒダ。色は白っぽく密。

去年見たのと同じ木キノコなら、もっと成長するとやや赤みを帯びるのかもしれず、ウラベニガサ科やイッポンシメジ科を疑う根拠になりました。

改めて見ると、傘が不規則に波打っている点もイッポンシメジ科らしい雰囲気? でもキシメジ科のクマシメジなども傘のふちが波打っていたりするので種を絞り込むほどにはならないか。

採取しなかったほうを横から見た姿。茎の光沢やねじれ方が、イッポンシメジ科のクサウラベニタケを彷彿とさせます。

なんと言っても特徴的なのはこのシワシワの傘で、これほど明白な特徴を持ちながら、似たキノコが図鑑に見当たらないため迷宮入りになっています。既存のキノコではシシタケなどに似ている傘ですが、シシタケのヒダは針状なので全く違います。

傘の大きさは10cmくらい。立体的なシワで覆われ、ところどころ茶褐色のササクレがついているので、濃淡のグラデーションが生じています。

断面。ヒダは上生~離生。現時点ではヒダは赤みを帯びておらず、クリーム色でした。

柄はツバはなく、光沢があり、縦に繊維状のささくれが少し付着しています。柄の内部は中実~髄状。

去年見つけた時も種類がわからず、Google Lensで多少なりとも似ていたササクレウラベニガサ?を候補に挙げていましたが、改めて学名Pluteus ephebeusで検索してみても違うように見えます。

そもそもPluteus ephebeusは傘のサイズが最大で10cm程度とされています。今年見かけたものですら10cm、去年のは15cmあったので、ササクレウラベニガサにしては大きすぎます。

今年は無印ウラベニガサも見ましたが、近縁種どころか違う科に見えます。

これほど特徴的なのだから、Google Lensが似たキノコの写真を拾ってくれても良さそうなものなのに、なぜか役に立ちません。

とはいえ、去年今年と2回観察できたことで、去年見た傘のひび割れが老菌になってから生じたものではなく、若い時からの特徴だと判明しました。

まさか新種や珍種ではないと思うのですが、キノコは普通にそれがありうるのが困る。

(4)ウスヒラタケ
6/29の(1)とと7/5の(1)にも見たウスヒラタケと思われるキノコ。まったく同じ倒木に出ていました。夏の間に何度も発生するようです。いまだにあまり見分け方がよくわかっていないので、こんなに発生しているのに食べるのは及び腰です。

真っ白でなく、中央部が灰色や褐色がかっていればスギヒラタケの可能性はないとみて良いのかな。今回の写真ではわかりづらいですが、前回以前の観察では傘が真っ白でないことを確認ずみです。

柄があればウスヒラタケらしいのですが、前に書いたとおり、発生環境のせいか柄がないため他の特徴でしか同定できません。ウスヒラタケは広葉樹、スギヒラタケは針葉樹という違いもありますが、混交林の苔むした倒木なので不明。

(5)ニオイアミタケ?
8/6(5)にも見つけて、Google Lensでツガサルノコシカケの幼菌か?と言っていたキノコですが、全然成長しないし、傘は1~2cmで明らかに小さすぎるので別物でしょう。

傘をつなぐ黒い柄のような部分があるのが特徴。そのせいでツガサルノコシカケが類似画像として引っかかりましたが、他にも同じようなキノコがあるはず。

このサイズのキノコにしては管孔はやや大きめ。

改めて図鑑をみていたら、針葉樹に出るニオイアミタケが似ているのでは?と気づきました。サイズも1cmからあるそうで、学名Gloeophyllum odoratumで検索してみたら、ここの写真などは非常に似ているので、可能性は高そうです。

(6)ツエタケの仲間
そこからかなり進んで、タニタデが多い倒木地帯にさしかかって見つけた大型キノコ。傘の模様から、すぐに8/6(1)でも見たツエタケの仲間だとわかりました。

立派で美しいキノコでしたし、すぐ正体がわかったので、採取しませんでした。下から見上げるだけで幅広の疎なヒダも観察でき、ツエタケだという確証が得られました。

大きさは、傘が10cm程度。

柄の長さは地上部だけで20cm以上ありました。

きれいなツエタケなら、採取して食べてみるという選択肢もありましたが、今夏は心身共に余裕がなく、未知なる挑戦は荷が重いです。

(7)キツネノカラカサ
そのツエタケのすぐ近くにまばらに生えていた小型キノコ。

中央だけ色が濃くボタンのように飛び出ている褐色の傘。この時点で見覚えがあり、去年もこのあたりにたくさん出ていたキツネノカラカサだとわかりました。

傘の大きさは3cmくらい。傘を拡大してみると、中央が濃い褐色なだけでなく、同心円状に鱗片がついているのがわかります。

ヒダは疎でも密でもなく、白色。カラカサタケの仲間らしく隔生。かろうじてツバの名残がありました。

これからもこの場所で頻繁に見ることになりそうです。

(8)アミヒラタケ老菌
8/6(6)で観察したアミヒラタケのその後。去年もそうでしたが、これほどの大型菌でヒダが網目状のキノコとしては驚くほど足が早く、もう朽ちていました。近縁のハチノスタケはまだ同じ姿のまま見かけるのに。

(9)イヌセンボンタケ
8/6(7)で二回目の大発生を見せていたイヌセンボンタケのその後。傘が0.5~1cm程度まで大きくなりました。

(10)ビロードベニヒダタケ?
シラカバの落枝から生えていた小さな材上生キノコ。

傘は灰褐色でドーム型。大きさは2~3cm。

傘の中央に濃い色の部分がありますが、へこんだり出っ張ったりはしていません。周囲に薄い条線があり、湿ると目立つタイプかも。大きさや形の印象はヒメアジロガサモドキに似ていますが、色やツバの有無が異なります。

ヒダは白ですが、うっすら赤みを帯びていて、上生。柄は白く中実でした。

地味なキノコですが、シラカバから生えている点で同定できるかと思っていましたが、甘くなかったようです。

(追記 : 8/22(1)でも同じキノコを見つけて、ビロードベニヒダタケの可能性が出てきました)

(11)クサハツモドキ?
さらに奥に進み、クマゲラの食痕がある近くに生えていたキノコ。朽ちかけていましたが、色合い及びふちの粒状の条線からクサハツらしく見えました。

サイズが大きく柄もがっしりしています。

8/4にまとめた特徴を再掲。

・クサハツ…6-15cm、湿っている時ぬめる。粒状線あり。ヒダはクリーム色、やや疎、離生。全体に不快臭。
・クサハツモドキ…5-9cm、湿っている時ぬめる。粒状線あり。ヒダはクリーム色で、やや密、垂生~上生。柄の下部が太め。杏仁に似た香り。
・オキナクサハツ…5-10cm、著しいシワと放射状の溝線あり。ヒダは汚灰色、褐色の縁取り、離生、やや密。多少の臭気。
・ニセクサハツ…4-6cm、湿っている時ぬめる。粒状線あり。ヒダはクリーム色、直生、密。全体に不快臭。柄にしわ状の縦線が多い。傘、ヒダ、柄は傷つくと次第に赤褐色に変色し染みになる。

サイズおよび傘の特徴から、オキナクサハツとニセクサハツは除外。ヒダはやや密、上生に見えますし、柄の太ましさからしてもクサハツモドキらしく思えました。でもクサハツだったら本当に臭いため、匂いは確認せず。

(12)トドマツの朽木から生える謎のキノコ
これまで何度も撮ってきたトドマツ朽木のカイメンタケ疑いキノコの経過観察。(追記 : カイメンタケ幼菌ではなかったもよう)

(13)溢液現象のキノコ1 (追記 : コフキサルノコシカケ幼菌?)
8/6の(8)で溢液現象を起こしていたキノコ。一度きりなのかと思っていたら、今日もまた露玉をまとっていて驚きました。とても絵になります。

(14)溢液現象のキノコ2。コフキサルノコシカケ?
そして驚くべきは、その裏側に生えている、8/6の(9)で観察したコフキサルノコシカケらしきキノコ。こちらはそこそこ大きいので、とっく溢液現象を起こす時期は終わったと思っていたのですが、このとおり。

大きさは5~6cmくらいなので、コフキサルノコシカケとしてはまだまだ幼菌なのかもしれません。大雨が降った後なので、トドマツの材木が湿ってしまい、それを吸い出すことで水分調整しているのかも。

(15)ドクツルタケ or アケボノドクツルタケ
相変わらずたくさん生えているドクツルタケ。前にアケボノドクツルタケを見た近くで、傘の色もややアケボノっぽいですが、色もささくれも無印との中間程度の印象。姿だけ見るとタマゴタケっぽくて美味しそうなのが怖い。

(16)ヤグラタケ&クロハツモドキ?
今日のハイライトのひとつ。

森の端っこのドクツルタケがたくさん発生するあたり、そのさらに奥に茂みの中に生えていたキノコ。去年ナラタケやコガネヤマドリが生えていた場所のやや近く。

なにか白いキノコのようなものが見えましたが、よく見ると、朽ちた大きなキノコの上に別のキノコが生えている! すぐに図鑑で見たことのあるヤグラタケだと直感しました。存在は知っていましたが、見たのは初めて。

珍しいものかもしれないので、様々な角度から写真を撮ってみました。根元には白い菌糸が目立ち、ルーペで見るとふわふわした綿でくるまれているようにも見えます。

傘の大きさはそれぞれ0.5~1cmと小型でした。

土台となっていたキノコ。

ベニタケ科であることはわかりますが、種類までは不明。

しかし、一般にクロハツ、クロハツモドキに発生しやすいそうで、確かに傘が黒ずんでいて、ヒダと柄は白く、ヒダは垂生で密、という点から正体が推測できそうです。

無印クロハツはヒダが疎なので除外。一方、モドキはヒダが密とされるのでそちらの可能性大。さらに、クロハツとクロハツモドキは、ヒダや柄が傷つくと黒変するそうで、この写真でも部分的に黒ずんでいるのが確認できます。

よって土台になっているキノコはクロハツモドキの可能性が高そう。しかし、クロハツモドキは今まで見たことがないので、本当にそうかはわかりません。

(17)ツルタケ
その付近のミツバなどが生えている草地の近くに生えていたキノコ。どこか見覚えがある雰囲気だけど、何なのかわからない、という印象でしたが、おそらく傘が開いていない小さめのツルタケかなと思いました。

傘のふちには非常に目立つ長い条線。

ヒダは離生、柄は白でツバはなし、ということでツルタケの可能性が高そう。

(18)ツチカブリ
これも同じ場所、森の端のミツバが生えている付近で見かけたキノコ。生えている場所、汚れた白い傘からして、最近この付近でよく見るツチカブリでは?

傘は8cmくらい、柄は10cm以上と、ツチカブリにしては妙に大型。しかし調べると、ツチカブリはそれくらいのサイズもなくもないキノコで、傘は最大18cmにもなるそうでした。

ヒダは古くなって変色していて、たくさんの白い乳液が出ていました。8/4に調べたとおり、ツチカブリのヒダは古くなると赤褐色の染みができるとされています。

ヒダのふちがたくさん分岐している点もツチカブリを支持する要素か。妙に柄が長いとはいえ、多くの手がかりがツチカブリであることを示しているので、ツチカブリとみなして良いでしょう。

(19)チチタケ老菌
その近くに生えていたチチタケ。遠くから見ると鮮やかなオレンジ色の傘が紅葉した枯れ葉のようでしたが、まだ落葉の時期ではないため、キノコだとわかりました。

傘は10cm近くありましたが、光沢のないビロード状で、いかにもチチタケらしさがあります。8/4の(12)で老菌を見たことがある経験も、すぐ判別するのに役立ちました

横から見ても大きい。乳液はもう枯れてしまったのか、傘を割いても出ませんでした。しかし、柄の付け根に茶褐色のネバネバがついていて、8/10の(21)で見た特徴とも合致しています。おそらく変色した乳液なのでしょう。

もう老菌だったので、食べれるものなのか不明でしたが、8/10に採ってきたものが紛失されてしまったため、仕方なく採取してきて、試しに乾燥させてみることにしました。

(20)フチドリベニヒダタケ
そこからトドマツ・ミズナラ林内に入って見つけた謎のキノコ。しかし、傘のシワシワ具合、ヒダのふちが褐色を帯びていること、太い柄の質感からして、8/6の(6)で見たキノコと同じ種類なのではないかと思っています。

傘は10cmくらいで、著しいシワとひび割れに覆われています。このような特徴をもつキノコの代表例はカサヒダタケですが、大きさも見た目も違います。

ここまで特徴がはっきりしているのに、やっぱりGoogle Lensでは類似キノコが出てこないのが困った点。幾何学的な模様は苦手なのかも。

傘のふちには脳のようなシワと目立つ条線まであるという、特徴を全部乗せした見本市のようなキノコです。

ヒダは一見すると、単なる白色でやや密ですが、

ルーペで拡大してみると、ヒダのふちが茶褐色に縁取られていることに気づき、8/6の(6)で見たキノコと同一なのではないかという疑いを持ちました。ただし同じ森ながら、発見場所は10メートルくらい離れています。

ヒダの付き方は離生、あるいは上のルーペの写真を見ると、厳密には湾生かもしれません。

柄は白い地が茶色いつぶつぶで覆われていて、断面も中空だったので、やはり8/6の(6)で見たキノコと特徴が同じです。

これほど特徴が豊かなのに種類がわからないのか、と途方に暮れていましたが、図鑑で調べると、最も近いのはフチドリベニヒダタケです。

傘の表面に著しいシワができ、なおかつヒダのふちに黒い縁取りがあり、柄の全面に茶色い鱗片があって、柄は中空、という特徴が図鑑に書かれていて、大きさも11cm以下と一致。当てはまらないのは、材上生という点だけです。

これほどユニークな特徴をもつキノコが他にあるとは考えにくいので、埋もれた材木から発生していたと考えるのが自然でしょう。

(21)ウツロイイグチ
ミズナラ・トドマツ林の中にぽつんと生えていたイグチ。傘と柄は同色で茶色。傘はビロード状。

柄は茶色で、傘との境目が白色。また写真に微妙にしか写っていませんが、根元も同じように白色です。まったく網目模様はなく、縦に軽く線が入る程度。

管孔はクリーム色で、傷つけると茶褐色に変色。直生~やや垂生。

断面の肉は白で、変色性なし。

全体の特徴としてはクリイロイグチに似ていますが、管孔に変色性がある点が異なっています。

他に似ているキノコを調べたところ、名前だけは知っていたウツロイイグチの可能性が!

クリイロイグチと似たような配色ながら、管孔が傷つくと濃い色に変色し、肉には変色性がない点が異なります。また、柄の上部と基部が白くなるという特徴も図鑑に書かれていて、その特徴ははっきり観察できました。

発生場所はミズナラが交じる林内らしく、トドマツ・ミズナラ林なので条件を満たしています。

一応食用キノコだったようですが、まれに毒があるとしている情報源もあり、食べてよいものか不明。今回のは虫食いが多かったため、食べるのは無理でした。

後日、8/22(14)でもウツロイイグチらしいキノコを観察でき、名前のとおり成長するにしたがって色が移ろい変わるという特徴を知ることができました。

(22)モミジタケ
同じトドマツ林の中で見つけたモミジタケ。先月も見つけていますが、まったく別の個体でした。

個々の裂片は1cmくらい。よくみると表面に横向きの縞模様のようなものが見えました。

(23)チギレハツタケ?
トドマツ林の端っこ。バライロウラベニイロガワリを見たよりもさらに端の、ほぼ林道に出るあたりで見つけたキノコ。

傘が10cm級のかなり大型のベニタケ科で、ふちには粒状の条線がありました。

傘のふちに粒状線があれば、クサハツの仲間を疑うのですが、これは隣にあった同種と思われるキノコが赤紫色を帯びていたので、前によく見かけたチギレハツタケではないかと思いました。ふちが千切れていますし。

とはいえ、チギレハツタケは老菌になったら、もっとヒダが変色していた印象もあり、別物にも思えます。さすがにこれほど傷んでいるのを持って帰って試薬で検査する気にはなれませんでした。

(24)アケボノドクツルタケ
広葉樹林に入ったあたりで見つけたドクツルタケ。場所は前にガンタケやハナウロコタケを見た近く。

(15)のドクツルタケは無印かアケボノか迷いましたが、これほど顕著に中央部が赤ければ、アケボノドクツルタケと断定してよいでしょう。

傘が開ききっていないためツバは見えませんが、柄にはささくれ、根元には立派なツボもあり、典型的なアケボノドクツルタケかと思われます。とても美しい色合いです。

(25)ススケヤマドリタケ?
あまりにも観察したキノコが多くなりすぎたので、広葉樹林地帯は泣く泣くスルーして帰途に。

しかし途中の林道で思いがけずイグチ発見。ジンヨウイチヤクソウ群生地の少し奥の場所で、この場所でキノコを見つけるのはかなり異例。

傘は濃い焦げ茶色で6cmくらい。裏返してみると、柄に網目模様があったものの、管孔が白かったので、これはニガイグチの仲間だろうな、残念、となりました。しかし詳しく観察してみたかったので持って帰ってきました。

柄の網目はマスクメロンのように明瞭で、柄の上部では茶色い地に白い網目がよく映えます。柄の中程からは網目の色は地色と同色になり、目立たなくなります。網目が確認できたの柄の上部~中部まで。

管孔を傷つけてみましたが、変色性はなし。というより、管孔だと思っていたのは白い菌糸で覆われていた部分のようで、内側に本物の管孔が現れました。

断面。なんと管孔の色はニガイグチらしいピンクではなく、ヤマドリタケモドキらしい黄色でした。肉は真っ白で、管孔、肉ともに変色性はありませんでした。

管孔はやや垂生。

ここまで観察して、もしかしたら、これは有名な美味しいキノコ、ススケヤマドリタケなのでは?と気づきました。場所もトドマツ林なので、発生環境は一致しています。

ただし相違点が2つ。

ススケヤマドリタケは柄の全面に網目があるのに対し、このキノコは中部より上のみ。しかし、図鑑の写真などを見ると、明瞭な白い網目をもつのは柄の上部のみで、中部より下は地色と同じ網目だったりして、あまり目立たないようでした。

また、ススケヤマドリタケは管孔が直生~上生、のちに離生と書いているサイトもあり、今回のキノコの管孔の付き方と異なっています。とはいえ、管孔がまだ菌糸に覆われているほどの若い菌だったので判断はしにくいところ。

少なくとも、変色性がないことから、ドクヤマドリやミカワクロアミアシイグチのような猛毒菌は除外できるので、もしススケヤマドリタケでなくてもニガイグチなだけ。

ということで、食べれそうなところをスライスして干してみました。ヤマドリタケだったらいいな。

(26)テングタケ?
そこから少し歩いて、ジンヨウイチヤクソウの群生地のあたりにあったキノコガーデン。種類の違う大小のキノコがより集まって生えているのは珍しく、おしゃれな雰囲気だったので、採取はせずに観察しました。

よって同定できる可能性は低いかも。

まず一番大きく傘を開いていた水玉模様のごときキュートなキノコ。傘のイボイボと形状からテングタケ系であることはわかります。ただテングタケにしてはやや違和感を感じるのは単に傘が開ききっていないから?

傘は8cmくらい、傘のふちには条線があります。

傘のイボはあまり立体的ではなく、綿毛のような質感なので、イボテングタケは除外できそう。

柄も綿毛のようなもので覆われていて、もこもこしています。柄の中部より少し下にツバがついていますが、ルーペで拡大してみるとフェルトみたいな質感。またツバの形はマント型ではなくリング型です。

近くにあった幼菌。傘を覆っていた膜が裂けて、綿毛のような破片になって付着しているのがわかります。テングタケのイボが生成される様子は、まるでパンゲア大陸が裂けて、今の大陸が形成された時のようですね。この世界はフラクタル。

ではこのテングタケは何なのか。図鑑を頼りにまとめようとしたけれど、ややこしかったので若干適当。

白いイボ
・テングタケ…5-12cm。イボは白色で平坦、傘の15%の長さの放射状の溝線。柄の白い繊維状のダンダラもよう。ツバは柄の上部、ツボは複数のリング状。広葉樹林生
・イボテングタケ…8-16cm。イボは白色で立体的なピラミッド型。傘の30%の長さの放射状の溝線。ヒダに粉状の縁。ツバは柄の上部で落ちやすい。ツボは複数のリング状。針葉樹林生。
・テングタケモドキ…3-15cm。イボは灰褐色から黒褐色で繊維状、溝線なし。ツバは柄の頂部。記載少なし。
・テングタケダマシ…3-9cm。イボは白色~淡褐色で円錐形、放射状の溝線。ツバは柄の中部より下につきふちが茶色。
・ガンタケ…6~18cm。全体が赤っぽい。ヒダにも赤褐色の染み。

暗色のイボ
・テングツルタケ…4-7cm。イボは暗色。条線あり。ツバなし
・コテングタケ…3-6cm、イボは暗色、ない場合も。ツバあり
・ヘビキノコモドキ…4-12cm、イボは暗色。柄は褐色の鱗片によるダンダラ模様。
・コナカブリテングタケ…3-7cm。イボは暗色、わたくず状やピラミッド型。全体的に粉に覆われる
・ハイカグラテングタケ…上記の超大型種。

傘が暗褐色で条線なし
クロタマゴテングタケ…3-6cm。
クロコタマゴテングタケ…上記と同じ程度の小型。ツバが黄色
コテングタケモドキ…5-13cm。

イボがなく条線あり
・ツルタケ…ツバがない。
・カバイロツルタケ…ツバがない。褐色
・オオツルタケ…ツバがない。大型で柄にダンダラ模様
・ツルタケダマシ…ツバがある
・アカハテングタケ(タマゴテングタケモドキ)…上記とそっくりだがヒダが赤い
・ドウシンタケ…大型。条線が長い
・ミヤマタマゴタケ…大型。条線が短い

とりあえず、白いイボのタイプと思われますが、ツバが柄の中部より下についているので、テングタケダマシ一択? しかし、画像検索すると、そうそうそれだけで区別できないようにも思えます。

それよりも傘のイボが角錐型でない点のほうが重要な特徴に思われるので、無印テングタケかもしれません。

(27)ヒメコナカブリツルタケ?
その隣に生えていた小さめののキノコ。抜いていないので確証はありませんが、条線が目立つ傘の雰囲気と柄にツバがない点からするとヒメコナカブリツルタケかも。

(28)コショウイグチ?
その横のさらに小さいキノコ。小型ではあれど、全体的にオレンジ色で、傘が脳のようにしわしわで、柄に縦線があってねじれているという、やや特徴的なキノコ。

しかし前に調べたとおり、オレンジ色で傘に鱗片があるタイプは種類が多くて難しい。このキノコの場合、鱗片ではなくシワですが、そのうち分かればいいなという状況。

(後日8/29(27)で、同種と思われるキノコを見つけ、裏側が管孔だったことがわかりました。もし同種なら、傘のシワや大きさから、ハナガサイグチかコショウイグチあたりと思われますが、傘に綿毛状の鱗片はないのでコショウイグチとみなしておきます)

(29)ヤマドリタケモドキ?
最後に公園に寄って、歩いていた時に見つけたキノコ。場所は去年ヤマドリタケモドキを見つけた場所から10~20m離れたイタヤカエデ樹下。

傘は8cmくらいで薄茶色、細かいひび割れ。

管孔は黄色で非常に細かく、変色性はなし。肉は白。

柄は少し膨らみがあって、全面に白い網目模様。

柄と管孔から見るに、かなり傷んでいましたが、これはヤマドリタケモドキでは?

そこからしばらく歩いて、去年ヤマドリタケモドキを撮った場所の近くで、また同じキノコを発見。

柄は虫食いでボロボロでしたが、管孔はかなりきれいで、傘の内部までは虫食いが及んでいないように見えました。

柄の頂部には白い明瞭な網目模様。虫食いのせいで全面に網目があるかはわかりませんでしたが、少なくとも中部まで確認できますし、さっきのと同種なら全面にあるはずです。

管孔の変色性はなし。

断面は予想以上にきれいで、変色性なし。管孔は上生。

これくらい内部がきれいなら食べれるかもしれないと思い、これもスライスして干しておくことにしました。

ススケヤマドリタケらしきキノコ同様、青変性はないので猛毒菌を除外できますし、管孔もピンクではないので、ニガイグチの可能性も低そう。もしヤマドリタケモドキであっていれば、乾燥したらよい香りがするはずです。

今日採ってきた3種の謎イグチ。キノコの知識に浅い頃なら、全部同じキノコだとみなしてしまいそう。おそらく左からヤマドリタケモドキ、ウツロイイグチ、ススケヤマドリタケだと思うのですが…。

管孔の様子。順番変わって、左からヤマドリタケモドキ、ススケヤマドリタケ、ウツロイイグチと思われるキノコ。

 

 

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投稿日2022.08.06