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もくじ
2022/09/16金
今日のキノコ。クロラッパタケ,チャナメツムタケ等
朝から疲れが出ていて、あまり体調がよくありません。畑の肥料をもらいに行ったり、直売所に行ったりしましたが、ずっと頭痛がひどく、低調でした。頭痛は常にあって辛いのですが、今日は普段に増して悪い状態でした。
それでも、他に日にちもないので、森に少し散歩に行きました。急遽、明日を休養日にすることに決めましたが、明日は雨予報なので、自然観察は今日やっておくべきでした。
森の入り口にあるツリバナの木。6/23に花が咲いているのを見て、4弁花だと思ったので、普通のツリバナではなくヒロハツリバナではないかと思っていたもの。
実がなっていたら判断できるので見に行ってみたら、なんと普通のツリバナの実でした…。ヒロハツリバナだと実に4つの角があるので、明らかに違うはずです。
実をひとつもぎ取って来ましたが、やはり普通のツリバナの実。くす玉のように5つに割れる裂け目が入っています。
割ってみると、中にはそれぞれ部屋があり、朱色の果実が格納されていました。
なぜ6月に観察した時は4弁花ばかり写っていたのか謎。花期の終わりごろだったとかで、花びらを落としていたものが多かった? だとしても一つでも5弁花があれば無印ツリバナだと判断したはずなのですが…。
それから森の中を散歩しましたが、キノコはほとんど出ていませんでした。ここしばらく暑さが揺り戻し、雨も少なかったからかもしれません。
今日は体調が良くないので、森全体を巡り歩くことはせず、ショートカットできる場所に車を停めて、2箇所のキノコ地帯を直接見に行きました。
以下今日のキノコ。
(1)クロラッパタケ
まず、トドマツ・ミズナラ林の端、クロラッパタケが出るあたりに赴き、クロラッパタケをたくさん見つけました。
前に見つけた場所よりかなり手前にも、じっくり地面を見るとたくさん生えていました。もしかしたら予想外に群生しているのに見落としているだけ? でも、じっくり見ればどこにでも生えているというほどではなさそうでした。
とにかく非常に地味で、大きさも小さめなため、よほど意識して探さない限り、普通に気づかずに踏み潰してしまいます。
しかも、これらのクロラッパタケは最近発生したものではなさそうで、かなり傷んでいる個体ばかりでした。他のキノコと同じく、ここしばらくは中休み状態なのだと思います。ボロボロになっていると余計に背景に同化しがちです。
今日採ったクロラッパタケ。もっとたくさん生えていたのですが、傘が傷んでいるのか多かったため、かろうじて形を保っているものだけ採取するようにしました。
老菌が多いからか、前回に比べると、香りが弱いのが多かったです。そのせいか、焼いて食べてみても、前回ほどの旨味は感じられませんでした。クロラッパタケは多少老菌でも食べられるとはいえ、できれば新鮮なほうがいいですね。
(2)キイロイグチ
前回9/12(5)でキイロイグチを確認した倒木の場所から数メートル離れた地点に、別の新しいキイロイグチが出ているのを見つけました。
遠目には黄色いベニタケ科キノコに見えたので、ウコンハツか何かだろうかと疑うような見た目でした。
横から傘の裏側を覗き込んで、黄色い内被膜が垂れ下がっているのを見るに及んで、やっとキイロイグチだと気づきました。同定は簡単なので、採取して確かめることはしませんでした。
(3)ブナハリタケ
同じく9/12(6)で、キイロイグチ根元に生えていた倒木の上に生えていた謎キノコのその後。前回は幼菌でしたが、少し成長していて、予想したとおりハリタケの仲間であることがわかりました。エゾハリタケでしょうか?
大きさは株全体でまだ5cm程度と、エゾハリタケだとしたら小型です。通常は傘1枚で5~10cmになるようです。
とても美しい花びらのような肌色のキノコですが、傘の裏側が針状です。ハナビラタケという似たような姿と色のキノコもありますが、そちらの裏側は針状ではありません。
裏側の針状のヒダの拡大写真。先日見た幼菌の時は微妙なイポのようでしたが、今でははっきりと針状に成長しています。
似ているキノコはブナハリタケくらいしかないと思いますが、ブナ林ではないので、エゾハリタケかな、と安易に考えました。もう少し真面目に調べたほうがいいかも。
(追記 : 9/21(9)でブナハリタケと判明したので、採取して食べてみました)
エゾハリタケもブナハリタケも食用キノコで、紛らわしいものがないはずなので、採ってもいいかな、と思いました。でも調べてみると、エゾハリタケの食べ方は老菌を塩漬けにするなど非常にややこしく、どうしたものか考えあぐねます。
幼菌の時はそのまま普通に食べることができるとの情報もないことはないのですが、老菌を食べる情報に比べて少なく、かなり謎の多いキノコです。
(4)倒木に生える毛の生えた小さな側生キノコ
その同じ倒木から生えていた小さなキノコ。例年ムキタケが生えるので、今年も生え始めたのだろうか、と思いました。
ムキタケの幼菌にしては傘の雰囲気が違いますし、柄ではなく傘に微細な毛が生えているのが奇妙。
そういう特徴をもつ側生キノコが何かないかと調べたところ、クリゲノチャヒラタケという種が候補に挙がりましたが、毛の色や質感が違うように見えます。
(5)チャナメツムタケ
そこから少し歩いたところの草地に2本だけ生えていたキノコ。すぐに1年ぶりに再会したチャナメツムタケだと気づきました。去年もここに少量ながら生えていたからです。
傘に白い鱗片がたくさんついているのが特徴。この鱗片がない時だと、別のキノコと混同する可能性があるので、採取できません。
柄にツバはなく、白い地に茶色い繊維状のささくれがあります。
ヒダは白く密、柄に対して直生(やや湾生)しています。去年覚えた特徴そのままだったので、確信して採取することができました。
やや傷んでいて、虫も入っていましたが、今年は群生地に行けないため貴重なチャナメツムタケ。食べられそうな部分だけ切って食べることにしました。
(6)キチャハツ?
チャナメツムタケの近くに出ていた傘が肌色のベニタケ科キノコ。
8/29(15)のカレバハツのような色のカワリハツと似ていましたし、出ていた場所もほぼ同じだったので、カワリハツに違いないと思って持って帰りました。
傘の大きさは5cm程度ですが、柄は太く長く10cmくらいあります。
ヒダは、白~ややクリーム色で、やや密、直生。
これはカワリハツに違いないと思って硫酸第一鉄FeSO4をかけてみたら、意外や意外、柄もヒダも、明るいピンク色に染まってしまいました。カワリハツだと青っぽい灰色になるので、絶対に別のキノコだとわかりました。
橙色の傘のベニタケ科は、カレバハツ、カワリハツの他に、キチャハツや、クサハツの仲間があります。
改めて特徴を調べてみると、傘のふちに非常に薄いながら粒状線があるのがわかりました。
また、ヒダを匂ってみると、かなり不快臭がありました。しかし、過去に匂ったクサハツほど強い不快臭ではありませんでしたし、クサハツモドキのような良い香りでもありませんでした。
それに、クサハツの仲間だとすると、傘色が薄すぎ、粒状線も不明瞭すぎます。ということは、消去法で考えてキチャハツでしょうか。
確かに9/4(3)で見たキチャハツの変色反応の色と似ています。類似種のFeSO4の変色性については、キチャハツ、クサハツモドキはピンク色、ニセクサハツは無変色、クサハツは褐色と書かれていました。
香りは明らかにクサハツモドキの杏仁臭ではなかったので、単に不快臭がある、と書かれているキチャハツが最も可能性が高そうに思えます。
公園に生えるようなキノコが森の中に生えているのはややショックですが、タマゴタケのようにどこにでも生えるキノコなのかもしれないし、森の中といっても出口付近で、ほぼ林道路傍といって差し支えないところなので、意外ではありません。
(7)傘が黄褐色の材上生のキノコ
帰り際、普段は見ない場所の倒木から生えていたキノコ。場所としては池のそばで前にアシグロタケを3つ採取した場所の近く。
遠目にも分かるほどはっきりと、黄褐色の傘のキノコが生えていたので、近くまで見に行ってみました。
採取せずに観察しましたが、傘のサイズは4cmくらいでやや小型。
指でめくってみて裏側を軽く見た限りでは、ヒダはやや疎で湾生、傘と同じ黄褐色。柄は黒色でうっすら毛が生えている? 左下にまだ幼菌らしきのも生えています。
きちんと採取して分解いないので、色みなど間違っている可能性もあります。
名前はわかりませんが、この種のキノコは去年も別のヤナギ林で遠くから見て名称不明だった記憶があります。おそらくさほど珍しいキノコではないので、なんとか科だけでもわかれば良いのですが。
ヒダが疎であったり、上生ぎみだったり、柄が黒くて毛が生えているように見える点など、エノキタケっぽい点もあります。
しかし、傘のつやの無さ、幼菌の傘の形、ヒダが傘と同色に見えた点が異なります。最後の点については、単に下から見上げて影になっていたせいかもしれないので、案外、採取してみたらエノキタケだった可能性はありますが…。
2022/09/17土
クロスズメバチを襲撃するオオスズメバチを観察
今日は休養日に当てていました。最近また体調が優れなくなっていて、あちこちひずみが出ています。おそらく、わたしの体力に対して忙しすぎるのだと思います。
社会が普通の速度で動き始めてしまうと、この体では付いていけないことがわかってきました。コロナ禍のさなかの余裕があった頃が恋しいです。
今日は意図的に休んだおかげで、ちょっとは気分が楽になり、リラックスできました。これからは意識してそんな日を作っていかなければならないなと思います。
一日中雨の予報でしたが、少しだけ森歩きにも出かけました。休養にあてると言っても、家にいるより森に出かけるほうが休まると思ってのことです。
雨上がりの森の中はとても色鮮やかで美しく感じました。
でも、少し歩いた感じでは、キノコは一本も生えていなくて、空が曇っているせいで薄暗かったので、今日は入り口付近だけで引き返してきました。
おそらく今はキノコ発生の中休みの期間なのかもしれません。この雨で再び活気づけば、近日中にまた大発生の時期が訪れるので、今は無理することはありません。
ところで、森の入り口付近で、やたらと大きなスズメバチがホバリングしている場所があるのに、2回前くらいから気づいていました。ちょうど以前アカヤマドリを一本見つけたあたりの地面です。
今日は他にやることもなかったので、そのスズメバチの正体を観察してみようと思いました。
毎回、車を停めるのがスズメバチがいる場所から10mかもう少し離れているくらいの場所なのですが、今のところ威嚇されたことはありません。
それでも念のため、車の中から望遠レンズで観察してみることにしました。すると、やはりかなりの大きさで、見た目はスズメバチで間違いなさそうです。目測では4~5cm程度ではないかと思われます。
どうやら地中に巣があるのではないでしょうか。大きなスズメバチが少なくとも4羽はホバリングしていて、その他に小さな白黒のハチが行ったり来たりしていました。
どういう状況かよくわからないのですが、大きいほうのハチはオオスズメバチでのようです。コガタスズメバチも姿は似ていますが、このサイトの図を参考に、腰のあたりの黒い模様を確認すると細いので、オオスズメバチに見えます。
一方の小さな白黒のハチは、オオスズメバチの働きバチか何かだと思っていたのですが、そういう小さな個体は存在しないようです。むしろクロスズメバチという別の地中性の小型スズメバチに思えました。
そうだとすると、オオスズメバチが地中性のクロスズメバチの巣を襲撃している場面だと考えると納得できます。ネットで調べると、そうした動画が複数出てくるので、意外なことではなさそうです。
日本一凶暴とされるオオスズメバチのわりには、人間が近くにいても襲ってこないのは不思議だなぁ…と思っていたのですが、すでに他の獲物を襲っている最中だったとは…。
可哀想に、クロスズメバチの巣は皆殺しにされるでしょう。まるで巨人に襲われる村みたいで怖い。ダーウィンが虫の世界の残虐性に動揺して進化論に傾いたのが分かる気がします…。
公園にまたいたエゾリス。謎の黒変したベニタケ科
それから一応公園にもキノコの状態を見に行きました。そろそろハツタケ、ヌメリイグチ、キンチャヤマイグチなどが発生しても不思議ではないからです。
しかし、森と同じく、今はキノコの中休みなのか、新しいキノコはただの一つも見当たりませんでした。
その代わりに、今日もいたエゾリス。池のそばを歩いていると地面に降りているのに遭遇。いつもの「ビョビョビョビョビョ」という警戒声?をあげて近くのカラマツに登って行きました。
しかし、木に登ったらかえって逃げ場がないと思ったのか、隙を見て降りてきて、一目散に芝生を駆け抜けて遠くに行ってしまいました。
ここってこんなにエゾリスに出くわす場所だったっけ?と思うほど頻繁に遭遇しています。いつもはこの時期、森のキノコ狩りで忙しいため、おもに晩秋以降に公園に来ていたのかも。
公園の池のスイレン。これは毎年見ているので、必ずしもこの時期に公園に来ていないわけではないと思うのだけど…。
しっかり熟したウワミズザクラの実。一粒食べてみたら、とても甘くて美味しかったです。公園樹なのでそれ以上採るつもりはないですが、どこか身近に自由に採れるのがあればジャムなどにいいかもしれません。
何のキノコもないな、と思って帰る途中、シラカバ林を歩いていると、黒い切り株のそばに気になるものが。一見すると切り株の一部としか思えないのですが、微妙に光沢が違う気がしたので、キノコかもしれないと思いました。
よく見ると予感的中。切り株と同じ焦げ茶色をしたキノコです。
傘の大きさは5~6cm、おそらく傘に条線はなし。
裏返すと、ヒダは薄茶色~焦げ茶色、密、離生。キノコは縦に裂けにくく、形からしてもベニタケ科と思われます。
柄は傘と同じ焦げ茶色で、内部は中空。
その近辺を歩いてみると、同じようなキノコがたくさん発生しているのがわかりました。
これもベニタケ科ですが、上のと同種かというと…。ヒダの色がこちらは完全に黒ですし、ヒダとヒダの隙間が広く疎に見えます。
いずれもベニタケ科だと思うのですが、こんな黒いベニタケ科は見たことがありません。ベニタケ科で黒っぽいのはクロハツの類ですが、ここまで黒くはないはずです。
だとすると、元々は違う色だったベニタケ科が劣化して変色したのかもしれません。そういえばこのシラカバ林には、先日から謎のベニタケ科の赤いキノコが点々と生えていたのを思い出したので、それの成れの果てと思われます。
もしかしたら、ベニタケ科のキノコは皆、古くなると このように黒変して朽ちるのだろうか?と思いましたが、おそらく違うでしょう。
森の中のベニタケ科は、古くなって褐色になって乾燥していることはあれど、ここまで黒くなっているのは見たことがありません。
だとすればこれは一体? ベニタケ科 黒変、と調べてみ何も出てきませんし、Google Lensも役に立たないので、結局わかりませんでした。
2022/09/19月
過去にも何度かあったように、辛い気持ちを吐露するための日記
もう体中あちこち苦痛だらけで辛いです。今に始まったことではなく、子供の頃からずっと抱えているものですし、引っ越し前の寝たきりに近い状態から比べれば少しはマシで、延命できているとは感じますが、それでも辛いものは辛い。
特に、周りの普通の人生を送っている健康な人と会話するたびに、どうして自分の人生ばかりこんなに苦痛ばかりなのか、ただ一日一日を生きるということだけで、なぜこんなに苦悩しなければならないのか、と嫌になります。
他の人と比べるのは良くないことなんか百も承知しているし、逆に重症の線維筋痛症の人とかALSの人とか、わたしよりもっと一刻一刻が苦しい人がいるのもわかっていますが、それでもやり場のない気持ちにさいなまれる時はあります。
体じゅうどこも健康な場所がありません。起きるのも、寝るのも、歩くのも、息をするのも、苦痛や不快感がつきまといます。
ここ数日も、あちこち苦しくて夜眠れず、過去に書いた自分の記事を思い出しました。自分の内側に藁のような異物が詰まっているような感覚になるという記事です。いまだに体調が悪化するとそういう状態になります。
森を歩いている時や、キノコを観察している時はすべてを忘れて楽しめますが、一日中そうしていられるわけではありません。特に今年は、森が片方閉鎖されている上、コロナ禍が終わって仕事が忙しくなってしまったので、リラックスする機会がなかなか持てません。
わたしにとって頭の中を虫が這い回るような不快感や頭痛は日常的なものです。体は自分の体のようではなく、石膏の人形に無理やり埋め込まれているかのような痛みや気持ち悪さがあります。
ここ数年、自然と触れ合うようになって、そうした感覚を忘れられる時もありました。でも完全になくなったわけではありません。体調が悪い周期に陥ると、以前のように、その苦痛に思考がとらわれ、生きているのがひどく嫌になります。
こうした絶え間ない苦痛を経験したことがなく、のうのうと生きている人たちに怒りを感じる時もあります。普段はどんな人とも笑顔で話していますが、誰とも何も話したくなくなります。
できるなら、今すぐ死ぬたらどんなにかいいだろうと、繰り返し思います。でも、わたしは残念なことに理性を保ってます。
病的な希死念慮をもつ人は衝動的に自殺できますが、理性を保っている人は死ぬことはできません。
これは誇張や想像で書いているわけではなく、過去に薬の副作用で一週間だけそういう状態になって窓から飛び降りる激しい衝動に駆られて、もう少しで大怪我するところだったので、どういう感覚かは知っています。
生きれば生きるほど、今よりさらに体が崩壊していって、苦痛が増し加わることを思うと、できるだけ早く人生を終わらせるのが賢明だと、子供の頃から何度も考えてきました。
発達性トラウマを抱えて生きるとはそういうことです。最初から自分の体ではなく、何も満足に機能せず、絶え間なく続く苦痛に耐えながら生き、時限爆弾が作用するごとに苦痛が増し加わって体が壊れていくということです。
セラピーを受ければ、対処する方法は学べます。でも運命が変わるわけではありません。ここでいう運命とはオカルト的な意味ではなく、子供の時に生じたエピジェネティックな遺伝子の変異によって崩壊していく身体という末路のことです。
そんな中でも、わたしは理性を保ってしまっているので、衝動的に死ぬことはできませんでした。代わりに少しでも苦しみの総量を減らして、喜べることを見つけようとあがいてきました。
東京にいた頃は、ほとんど寝たきりの暗闇の世界まで追い詰められて、もう死ぬしかないところまで来ていました。しかし、ギリギリのところで打開策ないしは延命策を発見し、こうして今、かろうじて喜びを見つけて生きることができています。
でも、これから先、どれほど楽しいことがあるとしても、苦痛を終わらせることに勝る喜びは、わたしには考えられません。たとえ100の喜びと1の苦痛がある人生でも、わたしは喜びも苦痛も0になるほうが良いと思っています。
わたしには将来やりたいことがたくさんあります。楽しみたいこと、挑戦したいこと、研究したいことも無数にあります。でも、それらすべてを合わせたよりも、将来のすべてを犠牲にしてでも、苦しみを終わらせたいという気持ちのほうが強いです。
それは子供の頃から変わりません。わたしが中学生の時に心惹かれた言葉は「厭世観」でした。今も根底は変わっていません。
もし、スイッチを押すだけで苦しみなく死ねる方法があったら、わたしは自分をとどめられないでしょう。そういう機会がないのが、自分にとって良いことなのか悪いことなのか、わたしは知りません。
苦しみを終わらせたいといっても、苦しんで死ぬのは嫌です。だからわたしは、愚かなことに今日もささやかな喜びを見つけて生き続けます。願わくば、その決定が、「愚かなこと」でなければいいのに、と思わずにはいられません。
将来のことは誰にもわかりません。わたしは、自分の将来が、今よりずっと暗くなっていき、苦痛だけが待ち受けていると考えていますし、それは確実な予測だと思っています。
ヴァージニア・ウルフや芥川龍之介のような人が死ぬことを選んだのも、同様の予測によるものだと思っています。もう少し生きようと思えば生きることもできましたが、これから先もっと悪くなるのを予期して、まだコントロールできるうちに人生を終わらせたのではないかと。
でも、わたしは行動経済学の研究から、人の予測はどれほど自信を持っていても当てにならないことも知っています。自分の思考も信用していません。
だから、わたしはかろうじて生きながら、自分の予測が外れることだけを願っています。幸い、まだしばらくは延命できる気がします。あちこち異常まみれですが、耐えられないほど追い詰められてはいません。
こういう気持ちになる時も、少し休んで、気持ちに余裕を取り戻して、また大好きなキノコを探しに行けばいいはずです。今年は片方の森が閉鎖されていますが、どうすればもっと秋を楽しめるかよく考えて、楽しめることを見つけたいです。
2022/09/20火
今日のキノコ。カバイロタケ,ヒメホコリタケ,トガリツキミタケ等
病院のついでに公園を散歩しました。とても涼しく自然観察にうってつけの日で、こんな素晴らしい日に朝早く起きて病院に付き合わないといけないのは、とても残念でした。
少しずつ紅葉が進んでいて、サクラの赤い葉も目立つようになりました。
公園の散歩はまずまず楽しかったですが、やはり都会の公園ともなればゴミが多いのが気になりました。ゴミの数は人間の数に比例しますね。改めて自分の住んでいる場所の素晴らしさを認識しました。
公園の池にいたカルガモ。近所のマガモは近づくとすぐ飛んでいくのに、カルガモは人馴れしているのか、あまり警戒しません。
ヤマブドウのツルにはたくさんの実がなっていて、今年は豊作のようでした。
以下、公園で見かけたキノコ。数は少ないながら、印象に残るものがちらほらと。
(1)ツルタケ
公園の草地にたくさん生えていたキノコ。
一見すると、条線も長く、柄にはツバがなく、典型的なツルタケのように思える姿をしています。
ところが、半数くらいの個体で、傘にイボが残っていました。イボがない個体もあり、それはツルタケに酷似していましたが、この雨でイボが洗い流された可能性があるでしょう。
近くにあった幼菌も、外皮膜の名残りであるイボをつけていました。普通のツルタケで、外皮膜のかけらをつけているのを見たことがなかったので、これにはかなり違和感を覚えました。
古くなった老菌も見つけましたが、傘のふちが花びらのように裂けていました。これも森の中のツルタケでは見たことのない変化です。
柄はよく見ると、薄いささくれによるダンダラ模様。
根元にはさや状のツボ。
傘に外皮膜の破片が残るツルタケということで、テングツルタケの可能性を考えました。
しかし、テングツルタケの画像を見てみると、外皮膜の破片はもっと細かく、灰色であるようでした。根元に明瞭なツボはなく、糸くず状の不完全なものが観察できるだけだそうです。
今回のキノコは外皮膜のかけらが大雑把で、色もやや灰色を帯びているとはいえ、白いのもあり、地色は白であることがうかがえました。さらに白い明瞭なツボがある時点で、テングツルタケではありません。
調べてみると、普通のツルタケでも、外被膜の破片を付けることがあると説明されていました。傘にイボがある=テングツルタケ、ではなく、傘に黒褐色の細かいイボがありツボがない=テングツルタケ、とみなす必要があるようです。
ということで、今回の群生していたキノコは、普通に無印ツルタケだと考えられます。
(2)カバイロタケ
公園を歩けど歩けど全然キノコがありませんでしたが、やっと草やぶの中の埋もれた木の隙間に、鮮やかな煉瓦色の新しいキノコを見つけました。
その色合いや、傘に残っている白いササクレから、すぐ図鑑で覚えていたカバイロタケだと考えました。
傘の大きさは3cm。赤とオレンジの中間のような独特な赤茶色で、蒲色(樺色)の名を冠するとおり、ガマの穂の色とよく似ていますが、それより少し明るく鮮やかです。
モエギタケ科らしく、傘のふちには白い被膜の破片であるササクレのようなものつけています。
図鑑で見ると食用のチャナメツムタケにも似ているのかな?と思っていましたが、傘色が特徴的な蒲色なので実物はあまり似ていません。傘の大きさに比べ、柄が非常に長い点も見た目の印象が大きく違う理由かもしれません。
柄は、全体に白いササクレがあります。柄の地色は上部は白、下部に行くにつれて蒲色にグラデーションしていきますが、ササクレの色は変わらず白いままです。
本来はツバのあるキノコですが、まだ発生して間もない幼菌と思われ、傘裏のヒダは内皮膜で覆われていました。これがのちのち分離してツバになるのでしょう。
断面を見てみると、ヒダは白色で幅は狭い形状。ヒダのつき方は、一見すると直生に見えますが、柄に縦に伸びている痕跡が見えるので、垂生か湾生とも取れます。カバイロタケは図鑑では直生または湾生とされていました。
内皮膜を細い枝で破ってヒダの様子を見てみると、ヒダは白くやや密でした。
図鑑によると、やや疎となっていましたが、やや密とやや疎は観察者によって変動するので一致とみなしてよいでしょう。色は白色→暗紫褐色に変化していくそうです。
カバイロタケはやや珍しいキノコなのか、ネット上の情報はほとんどありません。
なぜこのキノコを知っていたかというと、去年10/5(2)で森の中で見つけた謎のキノコが、傘に白い皮膜の破片があったためカバイロタケの可能性があるかもと思っていたからでした。
しかし実物をいざ目にしてみると、傘の色は鮮やかな蒲色で、柄はササクレで覆われていたので、当時見たキノコとは別物だと感じました。今回見たのは幼菌、当時見たのは老菌でしたが、たとえ成長を見守ったとしても違う気がします。
今回のカバイロタケはや少し珍しいキノコので、できれば成長を経過観察したいものですが、場所が都会の公園だけに、通えないのが残念です。
(3)黒く変色したベニタケ科?
ここの公園にも、たくさん朽ちた黒いベニタケ科らしいキノコが転がっていました。地元の公園と一緒。やはりベニタケ科は古くなると黒く変色するのでしょうか? それとも公園の生える特定の種類の特徴?
しかし、ベニタケ科でいくら調べても黒変するといった特徴は書かれていません。公園などで多いとすればドクベニタケあたりかと思いますが、やはりそうした記述はなく謎が深まります。
もし古くなると黒く変色するなら、アカヤマタケのようにそう記述されていそうなものですが…。
(4)ヒメホコリタケ
公園の芝生に今年も出ていた白いホコリタケこと、ヒメホコリタケ。通常のホコリタケに比べてかなり小さく、0.5cmほどしかありません。
表面には普通のホコリタケのようなトゲトゲはなく、ルーペで観察するとシワが見えるだけです。
ひとつ抜き取って割ってみると、内部は普通のホコリタケにそっくり。まだ白いの食べることができそうですが、一応食毒不明扱いなので食べないほうがいいでしょう。
ホコリタケなので柄があるはずですが、とても小さいので地面から抜く時に柄がちぎれてしまいました。どのみちかなり細く小さいようで、普通のホコリタケのようなはっきりとした目立つ柄は持たないようです。
(5)カバベニタケ?
ここからのキノコは地元の公園にて見つけたもの。帰りにせっかくだから近所の公園にも寄って引き続きキノコを探してみました。やはり地元の公園のほうが人もおらずゴミもなくて落ち着きます。よく管理されていると思います。
まず、シラカバ林の草地で見つけたキノコ。よくみると傘にシラカバの種が落ちています。
傘は部分的に褐色がかっていますが、ほとんど白。一見すると、(4)と同じホコリタケの仲間のようですが、
なんと普通のヒダ状のキノコでした。ヒダは白くやや密。傘もヒダも柄もすべて白いキノコです。
断面。まだ傘が開ききっていないのでよくわからなかったのですが、ヒダのつき方は直生、上生、離生のいずれかになると思われます。
きれいに縦に裂けないタイプのキノコだったので、もしかしてベニタケ科? でもベニタケ科の白いキノコでこんな小型で傘も滑らかなものはあっただろうか?
シラカバ林に出ることからすると、シロカラハツタケが候補に挙がりますが、毛もないし乳液も出ないので違います。
大きさなどから考えると、白いベニタケ科で当てはまるのはカレバハツしかないように思えます。
カレバハツは傘がひび割れ、中心部だけ褐色がかっていて、柄が長いのが特徴ですが、いずれも当てはまりません。しかし幼菌の時は、傘がやや褐色がかる以外は他の特徴が薄いようです。それならこのキノコに当てはまるかもしれません。
(追記1 : 9/25(5)で同じ場所で似たキノコを観察しましたが、カレバハツではなく、ヒビワレシロハツではないかと感じました。
追記2 : さらに10/8(4)の観察で、国内では未報告かもしれないカバベニタケではないか、という可能性が浮上しました)
(6)トガリツキミタケ
公園の端っこの誰も行かないようなあたりにカラマツ林地があり、ハナイグチなどが出ていないか探しに行ってみましたが、何もありませんでした。その代わりに見つけたキノコが一本だけ。
傘の中心が尖っている、美しい光沢のある黄色っぽいキノコ。過去に森の中で見た記憶があり、アカヤマタケの黄色いバージョンのアキヤマタケでは?と直感しました。
傘のサイズは3.5cm、傘は光沢のあるベッコウ飴のような色。中央は濃くなっていて、山型に盛り上がっています。
柄は傘と同色の光沢のある黄色で、ヒダはやや黄色がかったクリーム色。密度は普通。
縦に簡単に裂くことができ、柄の内部は中空。ヒダは離生。断面も光沢があってとても美しいキノコ。
この美しい質感はアカヤマタケで覚えがあるので、確かその黄色バージョンだったアキヤマタケだろうと思いましたが、調べたらアキヤマタケは傘の中央が逆に凹むとのこと。そういえば去年もこれで悩んだような…。
ならアカヤマタケの傘中央がとがったままで黄色バージョンのキノコはないのだろうか、と調べると、トガリツキミタケというのがヒットしました。
ややこしいですが、アキヤマタケの類似種には
●アキヤマタケ…上生。柄に粘性がない。中央部がややくぼむ
●ツキミタケ…上生~湾生。柄に粘性がある
●キヤマタケ…垂生。小型。
●トガリツキミタケ…離生。常に円錐形
という違いがあるらしく、完全にトガリツキミタケが当てはまりました。去年10/14(1)でも、傘の中央が尖ったアキヤマタケらしきキノコを発見していて、1年ぶりに名前を知ることになりました。
(7)シロカイメンタケ? ヒラフスベ?
まだ生きているミズナラの木に生えていた謎のオレンジ色のキノコ。
傘の大きさは8cmくらいで、形はかなり不規則で、どう表現したものか悩みます。
下部はツリガネタケのような形状ですが、その上にコブ状に盛り上がっている部分もあり、たまたま現時点でツリガネタケに似ているだけのようで、おそらくサルノコシカケ型に成長するのではないかと思いました。
傘の裏側はとてもきめ細やかな管孔で、穴を目視することはできず、上等のカステラのように滑らかです。触ると弾力性があるものの柔らかく、もしかするとこれは食べられるキノコでは?と感じました。
帰ってから調べてみましたが、まず頼みの綱のGoogle Lensは役立たず。
自分の記憶を頼りに、カンゾウタケやマスタケの仲間ではないかとも考えましたが、色も形も違うようです。
色が最も似ているのは、マスタケの近縁種のアイカワタケですが、幼菌の形も似ているかというと微妙。アイカワタケは不定形の塊で発生するヒラフスベ型という形態をとることもありますが、それもあまり似ていません。
幼菌のシロカイメンタケもよく似ているという記事があり、写真も載せられていて、下のからのアングルの写真の管孔の雰囲気がかなり似ている印象を受けました。確かにカイメンタケの幼菌なら、奇妙な形も説明がつくかも…。
シロカイメンタケは木をかじるような食感だとか、噛んでも噛んでも呑み込めないと表現されるので、毒はなくとも食べられないそうです。
このキノコは単生で、しかも傘の表面がゴツゴツしていることからしても、おそらくシロカイメンタケのほうであり、残念ながら食べられないでしょう。
2022/09/21水
今日のキノコ。キツムタケ?,キナメツムタケ,オシロイシメジ等
今日も引き続き涼しい日。天気は雲ひとつない快晴。
残暑厳しい今年でしたが、ここ数日ですっかり秋になりました。本来この地域はお盆を過ぎると秋だと言われていたのですが、今年はそれが一ヶ月も遅かったです。温暖化が相当進行しているように感じます。
昨晩はゆっくり寝られたので、気持ちを切り替えて森歩きを楽しんできました。
キノコの本格的なシーズンがついに到来したのに、森歩きできる範囲に制限があるのは返す返すも残念でなりませんが、どうしようもないことなので、できることに目を向けるしかありません。
大雨が明けて2日目ですが、まだキノコが出てくる兆しはなく、もう数日待たねばならないようでした。森全体を歩き回っても、新しく生えてきたキノコはほぼ皆無でした。
(1)傘が赤く管孔が白い小さな硬質キノコ
まず見つけた硬質キノコ。ナラタケやムキタケが発生することもある朽木なので、おそらくミズナラ? そこに小さな赤と白のツートンカラーのキノコが大量発生していました。
傘はオレンジ色~朱色、裏面は白。まだ幼菌のようで、管孔面はシワ状になっていて、整った姿ではありません。
大きさは非常に小さく、おのおの2~3cm程度です。
色合いからするとツガサルノコシカケなのですが、大きさははるかに小さく、生えている木もおそらく針葉樹ではなく広葉樹なので違うでしょう。
もう少し成長を見守っていれば分かる…? と言いつつ、他の成長を見守っている硬質キノコはいまだに正体不明ばかりです。
(追記 : それから成長を待ったものの、最後までこの姿のままでした。レンガタケかと考えましたが、レンガタケは針葉樹に発生するキノコなので違うようです)
(2)キツムタケ
いつもニカワホウキタケが生える道端に埋まった丸太に生えていたテカテカした傘の黄褐色のキノコ。
ニカワホウキタケが生えていたことから針葉樹の丸太と思われ、当然このキノコも針葉樹生でしょう。
傘はみたらし団子のようなオレンジ色で光沢があり、チャナメツムタケやエノキタケに近いです。傘の大きさは2cmくらい。
倒木から生えている小さな黄色系のキノコなので、初めはニガクリタケかと思ったのですが、それにしては赤みが濃いことが気になりました。
また、よく見ると近くに幼菌も生えていたのですが、そちらは茶色に近い黄褐色で、明らかにニガクリタケではありません。赤みが強い傘ならクリタケの可能性も出てきますが、そこまで赤みが強いというわけでもなく、どちらとも違うようです。
成菌をひとつ採取して裏側を確認してみました。傘のくにゃりとした質感はクリタケっぽくもあるのですが、
裏返すと、ヒダの色はやや黄色がかっていて、褐色に変色しているところもありました。
クリタケならヒダの色は紫がかっているはずなので、やはりクリタケではありません。また、ヒダはやや密で、クリタケやニガクリタケほど密には見えません。
ヒダのつき方をよく観察してみると、かなりはっきりした湾生でした。
柄は部分的に傘の色を帯びていますが、基本的には白で、縦に避けやすい繊維状で、内部は中空でした。
クリタケやニガクリタケと少し似ているけれど違っていて、材上生のキノコ、ということで、なんとかツムタケではないかと推測。傘の色からチャツムタケかキツムタケを調べてみると、特徴が一致しているようでした。
チャツムタケとキツムタケは、どちらも針葉樹から生えるキノコ。キツムタケのほうがやや大きく、今回見たキノコは大きさからすると小さいほうのチャツムタケに近いですが、傘色は黄みがかっているのでキツムタケに近いです。
両方ともヒダは直生となっていますが、キツムタケはやや垂生ぎみともされていました。このキノコは湾生なので、キツムタケのほうが近いことになります。
また柄は傘と同色とされていて、ネットの写真で見るとチャツムタケはもっと茶色っぽい柄になるそうです。今回のキノコは黄色がかっている柄なので、やはりキツムタケのほうが近いです。
ヒダがクリーム色→褐色になる点や、柄が中空である点は図鑑と一致しています。他に似たようなキノコがなければキツムタケかなと思います。
(3)オシロイシメジ
懐かしい顔と再会した気分になるオシロイシメジ。傘に段差ができる白いキノコで、アイヌが食べていただけあって、毎年秋になると必ずあちこちで見かけるキノコの一つです。
1本だけ観察しようと引っ張ったら、ごっそり抜けてしまいました。たくさん束生しているのもオシロイシメジの特徴のひとつ。それにしても意外と柄が長い。
柄もヒダも白く、ヒダは幅狭く、垂生、密。柄は中実でした。
断面を見ると、さほど垂生ではないこともわかります。直生~やや垂生状と表現されるオシロイシメジの特徴と一致します。
ちょっと離れた場所には幼菌っぽいのも出ていました。
去年調べたように、似ているキノコが大量にあり、シロシメジ、シロケシメジ、シロケシメジモドキ(シロゲカヤタケ)などが挙げられます。しかし、このうち垂生なのはシロケシメジモドキのみで、他は上生です。
シロケシメジモドキは名前のとおり傘に微細な毛が生えているため除外できます。
いずれにしても、傘が化粧品を塗ったような独特の光沢で、段差があり、やや垂生で、柄が中実、という特徴からして、オシロイシメジで合ってるはずです。
(4)ニガクリタケ
毎年ムキタケが生える広葉樹の倒木に、今年もたくさん生えていたニガクリタケ。今日はほとんど新しいキノコは見ませんでしたが、ニガクリタケだけは新しく発生している群生が多数ありました。
ニガクリタケにしても、ドクツルタケにしても、どうしてこんなに猛毒キノコばかり大量発生するのでしょうね…。
(5)キナメツムタケ
それから、いつものトドマツ・ミズナラ林を歩いてキノコを探しましたが、クロラッパタケは出ていませんでしたし、そもそもキノコ自体が見つかりませんでした。たまにドクツルタケがあるくらい。
その中で唯一見つけた、新鮮なキノコ。
黄色っぽい傘で中央のみ色が濃く、傘の大きさは4cm。地面から生えているのか埋まっている落枝から生えていたのかは不明。印象としては、採取する時に落枝から生えていたのかも、という手応えは少しありました。
裏側をみると、ヒダはクリーム色、やや密、直生。
柄は傘と同じ黄色がかっていて、キノコ全体は縦に裂けやすく、柄はおそらく中実。
何のキノコだろう?と思ったのですが、さっきかなり離れた場所で見たキツムタケと似ているような…。
でも縦に割いた時の柄の断面がかなり違っていて、さっきのキツムタケは内部に色がついていて中空だったのに対し、このキノコは内部に白い肉が詰まっている中実に見えました。
調べたところ、おそらく同じモエギタケ科のキナメツムタケかもしれません。
キツムタケと名前は似ていますが、キツムタケはモエギタケ科チャツムタケ属の◯◯ツムタケの仲間であるのに対し、キナメツムタケはモエギタケ科スギタケ属の◯◯ナメツムタケの仲間です。
そう考えてみると、傘の雰囲気は、みたらし団子っぽいチャナメツムタケが黄色くなったバージョンに見えなくもありません。
本来なら、キナメツムタケはチャナメツムタケと同じく、傘に鱗片がついているはずですが、大雨の後ですし、消失していても不思議はありません。
ヒダが直生である点や、柄が中実である点、地面に埋まった腐朽木から生える点などはチャナメツムタケと共通していて、このキノコの観察結果とも一致しています。
また断面からわかるヒダの幅や肉の形状などは、去年9/30(9)に見たチャナメツムタケの断面とよく似ているようです。これは重要なポイントなので、キナメツムタケだと同定する強力な証拠といえます。
時期的にも、すでにチャナメツムタケを前回発見しましたし、キナメツムタケやシロナメツムタケが出てきてもおかしくない頃合いです。
(6)ハナビラダクリオキン?
トドマツ林を歩いている時に倒木から生えていたオレンジ色のキノコ。針葉樹林ならハナビラダクリオキン、広葉樹ならコガネニカワタケですが、見つけた場所からして前者かと考えました。
色みとしては、ハナビラダクリオキンのほうが赤みが濃いオレンジ色、コガネニカワタケは黄色っぽいオレンジ色のようですが…、肉眼では判断つきかねます。
(7)ミヤマトンビマイ
9/7(9)で経過観察していたミヤマトンビマイと思われるキノコのその後。すっかり傷んで変色していました。もっと長持ちするキノコだと思っていたので意外。
大きさは直径20cmを超えています。キノコが花のようなものだとすれば、ほんのわずかな期間、これほど巨大な花が現れて消えていくのは、ラフレシアみたいなものなのかもしれません。
古くなっても、黒っぽい縁取りや放射状の模様があって、在りし日の美しさを思い出させてくれます。この模様のパターンはネット上の写真とも同じなので、このキノコがミヤマトンビマイであることは間違いなさそうです。
裏側はきめ細かい滑らかな管孔でとても美味しそうだった記憶がありますが、すっかり見る影も無くボロボロになってしまっていました。
発生直後の滑らかな管孔を見ているので、さっきのリンク先のサイト等で、管孔が迷路状になっている写真が載せられていて戸惑っていたのですが、劣化とともに迷路状~やや針状に変化していくようです。
手持ちの図鑑によれば、ミヤマトンビマイは「管孔は丸いが後に多角形~不安定」と書かれていて、このような変化を念頭に置いたものだったのかもしれません。
チャミダレアミタケのようなキノコが、「子実層托は管孔状~迷路状~ひだ状」といった表記がされていて、そんなに変化に富むのはなぜだろうと不思議に思っていたのですが、このミヤマトンビマイの変化を見るとさもありなんと感じました。
(8)ハタケシメジ
前回9/16(5)でチャナメツムタケを発見したあたりの草地に、まさかのハタケシメジが生えていて驚きました。いつも別の場所で見つけているので、ここで発見したのは初です。
もうすでに傘が開ききって、色も茶色っぽく間延びしています。この傘色だと、この場所で何度も見かけているクサウラベニタケと非常に紛らわしいですが、なんとなくハタケシメジっぽさは感じました。
確認のために裏返してみると、ヒダは赤みを帯びておらず、傷んでいるといえども黄色系統の褐色だったので、ハタケシメジだと確認できました。柄に傘と同じ色がついている点もハタケシメジです。
でも、さすがに古すぎたようで、ヒダの変色が激しいので、悩んだ末に持って帰るのはやめました。食べられないこともなさそうでしたが、ここまで茶色くなっているとさすがに…。あと数日早ければというところ。
そのあと、この森を後にして、いつも墓地横の広葉樹林のほうに見に行ってみると、出口付近の坂道を降りたやぶの中にまた発生しているのを見つけました。
こちらも傘が開ききって色が間延びして薄くなっていましたが、
ひっくり返してみると、ヒダは真っ白で、非常に状態がよかったので持って帰りました。2本しかなかったのは残念ですが、キノコ狩りが低調な今年には貴重な収穫です。
ほかに、いつもキノコ狩りをしている広葉樹林も行ってみましたが、何一つキノコは見つかりませんでした。
もう一つ、ほぼ公園扱いになっていて、キノコを採るのははばかられるため、めったに行かない別の森にも自転車で向かってこましたが、やはりキノコは皆無でした。まだ先日の雨が染みて次のキノコが発生するまで数日かかるのかも。
ついでに、ここの森の入り口で、なぜか大量繁茂しているヤブガラシの観察もしてきました。本来、道北にはない植物のはずですが、なぜか大量発生しているのを先日見つけたものです。ある意味侵略的外来種にならないことを祈るばかりですが…、
今回確かめたかったのは、巻きひげの出方。アマチャヅルと似た鳥足状複葉のため、ブログに違いを掲載しておきたいと思っていました。
アマチャヅルは葉の葉腋から巻きひげが出るのに対し、ヤブガラシは、葉と対生して巻きひげが出ます。その特徴をはっきり観察できたのでブログに反映しておこうと思います。
とてもすがすがしい晴天だったので、夜は、星空を見に行きました。いつも見に行っている山奥が工事で回り道しないと行けないので、すぐ近所の公園の裏の街灯がない場所で妥協しました。ここでも天の川がはっきり見えます。
夜中は今季最低気温まで落ち込み、ほぼ0℃まで下がったようです。それでも9月の最低気温は更新できなかったみたいですが、冬の足音が遠くから少しずつ迫っています。
ブナハリタケを初めて食べてみた
さて、さっきのキノコ観察のさなかで改めて見つけたブナハリタケについて。
(9)ブナハリタケ
9/12(6)で幼菌を見つけて、9/16(3)ではエゾハリタケだと思い込んでいた、倒木に出ていたキノコ。発見から10日目となる今日見ると、さらに成長していて、じつはブナハリタケだったと判明しました。
ブナハリタケというからには、ブナ帯に出るキノコかと思って、道北には存在しないのかと思っていましたが、普通にイタヤカエデやミズナラなどの広葉樹にも発生するそうです。
大きさは一つの株全体で6cmくらいで、さほど大きな印象は受けません。
大きく変化したのは裏面の針で、前回よりもさらに長くなっていて、ネットなどで見たエゾハリタケの容貌と全然違っていました。
針の部分を接写レンズで撮った写真。9/16(3)では裏側が明確に針状になっていましたが、それよりもさらに長く伸びて、不規則に分岐していることもわかります
もしかしてヤマブシタケ?とも思ったのですが、後で調べるとヤマブシタケはそもそも傘に当たる部分が無く、ほぼ全面から白い糸のような針を垂れ下がらせるそうです。
写真を調べてみると、エゾハリタケではなくブナハリタケのほうに近いことがわかりました。しかし、針が分岐するといった情報はどこを調べても載っていませんでした。
一方、ブナハリタケは甘い香りが強い、という特徴があるらしく、それははっきり確認できたので、少し疑問は残るものの、ブナハリタケとみなしました。
疑問が残ってしまうのは、ルーペなどを使って詳細に観察しているサイトがないせいですが、裏を返せば厳密に観察しなくても見分けられるわかりやすいキノコだともいえます。
似ている毒キノコはないようでしたし、この機会に採取して食べてみることにしました。
今日の収穫はブナハリタケの塊2つと、ハタケシメジ2本。
手持ちの小学館の図鑑NEOによると、エゾハリタケは傘同士が基部でつながっているのに対し、ブナハリタケはつながっていないとされています。
しかし、奇妙なことに、今回採取した個体はどちらも、ひとかたまりがすべて基部でつながっていました。しっかり基部をナイフで切ったので、樹皮ごと採ってしまったわけでもないはずです。
だとすれば、やっぱりエゾハリタケなのか?と思いそうにもなりますが、香りを含め、他の特徴はすべてブナハリタケを指し示しています。他に似ているキノコもありません。
ネットで画像検索してみると、ブナハリタケでも複数の傘が基部でひとつにつながっているような写真はありました。
そもそも、上記の鑑別点はその図鑑にしか書かれていいなかったので、必ずしも確実な情報ではないのかもしれません。
他に似ている類似したキノコとして、図鑑に載っているエゾハリタケ、ヤマブシタケのほか、サンゴハリタケ、アセハリタケ、フサハリタケがあるそうです。
このうち、ヤマブシタケとサンゴハリタケは傘がなく、エゾハリタケは肉質が強靭、残り2種はとても珍しいキノコで、アセハリタケは香りが弱く針も短めで、フサハリタケは傘表面に毛が生えているようです。
この中だと、明らかにブナハリタケが一番似ていますし、他の種類も毒キノコではないようです。
ということで、ブナハリタケだと判断して、調理。
まず塩水に浸けて虫出し。このキノコは細かい虫がたくさんつきやすいようです。採取した時に振り落として、息を何度も吹きかけたので、ほとんどいなくなっているとは思うものの、一応。
そういえば、採取した時にコメツキムシっぽい少し大きめの虫が何匹も飛び出てきて、なんだか虫のすみかを奪ってしまったようで心苦しかったのですが、そもそも先に発見したのはわたしですし、森には他にも似たようなキノコはたくさんあるでしょう。
その後、ゴミを落として、細かく切り分けて、ネットで調べたお勧めレシピにしたがって、ハタケシメジと一緒に炒めご飯に混ぜてみました。
独特の甘い香りがまだ残っていて、キノコらしい弾力ある食感と合わせて、なかなか美味しかったです。針の部分は昔食べた栽培品のヤマブシタケに似た感触。
甘い香りはかなり強く、今回の分量なら良いものの、大量に入れたら食べにくかったかもしれません。その時は茹でこぼすと香りが薄れるそうです。
香りがユニークで食感もよく、さまざまな料理に合いそうなキノコなので、今後も見かけたらぜひ採りたいですが、この地域ではそうそう発生するキノコではなさそうです。
(追記 : 軽く調べた限りでは、エゾハリタケやヤマブシタケには甘い香りがするとの記載はなかったので、香りが強かったことをもってブナハリタケと同定する根拠としたのですが、後からよく調べてみると、エゾハリタケでも甘い香りは強いそうです。
エゾハリタケを学名Climacodon septentrionalisで検索してみると、全体の見た目がかなり違う印象を受けます。目立つのは傘が並行に並んでいることで、今回のキノコのように不規則な方向を向いているわけではありません。
また、エゾハリタケとブナハリタケの違いとして、ブナハリタケは柔らかい肉質のため傘のふちが波打つ、ブナハリタケの傘の表面は無毛で滑らかなのに対しエゾハリタケは微毛がある、といった鑑別点があり、今回のものはブナハリタケとみなせます。
できればエゾハリタケの幼菌の写真も見てみたかったですが、特に載せているサイトがないようだったので、比較はできませんでした)
2022/09/24土
雨上がりの森。チョウセンゴミシの実が色づく
また全身のかゆみが再発してきて、皮膚科に行くかどうか迷っている状態です。湿疹の数は劇的に減りましたが、まだ小さな湿疹によるかゆみがひどく、またもや夜眠れなくなっているので、かゆみ止めがほしいです。
全身のかゆみというと、腎臓など内臓疾患も不安になりますが、その場合、湿疹など無いのにかゆみだけ生じるそうです。今のところ、かゆいと感じる部分には、必ず小さな湿疹があるので、内蔵とは無関係であってほしいなと思います。
今日も寝不足になってしまって、体調も機嫌も悪かったのですが、ほかに日にちもなさそうだったので、雨上がりの森に散歩に出かけました。
長雨で地面に落ちたカラフルな落ち葉が道を彩り、どこを見てもわくわくさせられる艶やかな景色でした。
すぐに目に入ったのは赤く色づいたチョウセンゴミシの実でした。今年はホオノキの実が不作で一つも採れない可能性が高いですが、チョウセンゴミシのほうはたくさん収穫して酸っぱい五味子茶を味わえそうです。
前にヌメリツバタケを採った倒木を見に行ってみると、少量ながら新しく発生しているのが見つかりました。まだ傘のサイズが小さいので、数日様子を見てから採取するかどうか決めようと思います。
もしかしたら最盛期を過ぎているので、このサイズのまま大きくならないのかもしれません。
道を歩いていくと、ところどころに黄色く色づいた花穂のような、エゾフユノハナワラビの胞子嚢穂を見つけました。特にこの写真のものは今まで見た中で最大サイズと思えるほど大きく、高さ30cmを超えていたかもしれません。
新しいキノコはちらほらと生えていましたが、期待したほど見当たりませんでした。雨上がりで地面が湿り、色とりどりだったので見つけにくかったことも関係しているかもしれません。
雨水を傘に受けて赤いぷるんぷるんのゼリーのような質感に見えるベニタケ科キノコ。
大量発生していたキハツダケ。これが美味なキノコだったら…と思わずにはいられません。
雨に濡れてつややかな傘のツルタケ?
湿っているせいで別物に見えますが、傘の周囲に長い条線が薄く確認できました。
白いツボに黄土色の皮膜のようなものがついていました。柄に痕跡がないことから、脱落したツバではないだろう、と思います。おそらくツボの一部?
ヒダはルーペで確認してみると、ふちが粉状でした。
ツボが黄土色ならカバイロツルタケの可能性もありますが、部分的に黄土色がついているだけで、ツボの基本的な色は白色に思えました。傘の色からしても無印ツルタケかなと思うのですが、やや中間っぽさも感じます。
2022/09/25日
公園のキノコ。チシオタケ,ベニテングタケ等
9/20以来の都市部に出かけたので、例の公園で見つけたカバイロタケがどうなっているか探しに行きました。
ところが、すでにカバイロタケは一本も見当たりませんでした。確か10本程度は近くに生えていて、まだツバが破れていない幼菌が多めだったのに、たった5日で消えてしまうとは…。しかし大雨も挟んだことですし、ありえないことではありません。
その代わりに、同じ木のうろの中に、赤紫色の傘の小さなキノコが群生していました。傘がほぼ平らに広がっているので成長しきった個体群と思われますが、傘の中央が盛り上がっているのが特徴です。
(1)チシオタケ
うろの中まで手を突っ込んで採取する気になれなかったので、周辺を探してみると、別の赤紫色のキノコが生えているのを見つけました。まるで血の滲んだ肉のような色むらのこのキノコは…、
大きさは傘が3cm、柄は10cmくらいありました。全体が赤紫色で、傘のふちには条線があります。
ヒダはピンク色を帯びた白で、やはり血が滲んだような色合い。ここまで見て、チシオタケだと確信しました。
傘を割いてみると、ヒダは直生~離生、疎。柄は中空で、傘の傷ついた部分から赤黒い血のようにものが滲み出しました。去年はよく見かけたチシオタケですが、今年はこれが初めての、久々の再会となりました。
最初に見たうろの中に群生していたキノコがチシオタケだったかはわかりませんが、色合いが赤紫色っぽい点は似ています。チシオタケの傘が平らに開いたとき中央が盛り上がるのかどうかは不明ですが、それっぽい写真はありました。
(2)カバベニタケ?
続いて帰りに寄った家の近所の公園にて。同じく9/20(5)で見つけたカレバハツ疑いの白いベニタケ科に似たキノコ。見つけた場所も同じシラカバ林です。
傘の中央部だけ黒っぽい色がついている外見から、ハイイロシメジだと思って採取してみたのですが、裏側を見るとベニタケ科だったので困惑しました。
傘のサイズは3cmくらいの小型で、ヒダは密、傘に対して直生。ヒダも柄も白色でした。乳液は出ません。
奇妙だったのは、傘が非常にうっすらと赤みを帯びていることです。ヒダ全体が赤みを帯びているならケショウシロハツなのですが、赤みを帯びているのは傘であり、ヒダは普通の白色です。
また傘のふちには、これもかなり薄く条線が見えました。
調べてみると、カレバハツは傘のふちに条線があるという記述はなさそう…、と思いきや、傘のふちに条線があると書いているサイトもありました。しかし、柄がさほど長くないので、カレバハツらしい外見ではありません。
同じく傘のふちに条線があるとされるのはヒビワレシロハツやツギハギハツですが、これらは傘の1/2まで達するような長い条線があるそうです。
さすがに今回のキノコの条線は短いので違うだろう、と思いましたが、1枚目の写真を見ると、傘の1/2程度まで条線があるように見えます。そもそもの傘のサイズが小さいため、条線が短く思えても相対的に長かったようです。
ヒビワレシロハツとツギハギハツの違いを調べると、前者は傘の中心が褐色を帯びているのに対し、後者はそうではなく、また後者の条線は溝状だったり粒状だったりして、よりはっきりしているようでした。
ということで、この2者のうち近いのはヒビワレシロハツです。
図鑑によると、カンバ類含む各種広葉樹林に出るとのことで発生環境は一致。
ヒビワレシロハツは傘のサイズが4~6cmとされシロハツと名前がつくわりに小型。今回見たのは小さすぎますが、かけ離れているというほどではありません、
名前のとおり傘がひび割れますが、それは成熟してからなので、傘が滑らかでも不自然ではありません。
ヒダは密で直生~やや上生~離生とされ、基本的には直生であることが読み取れるので、ここも一致。
また、特筆すべき点として、傘、ヒダ、柄に赤褐色の染みを生じやすいとありました。今回、傘が赤みを帯びていたのは、その変色性によるものだったのかもしれません。
特に否定する理由はなく、カレバハツよりも近く思えるため、ヒビワレシロハツと同定しておきます。
なおヒビワレシロハツは、今回は調べ忘れましたが、硫酸第一鉄FeSO4では反応が弱く、淡いサーモンピンクに変色するそうです。次回見つけることができれば試してみたいです。
(追記 : その後10/8(4)の観察で、カバベニタケの可能性が出てきました)
(3)ベニテングタケ
この公園で去年大発生していたベニテングタケ。今年もすでにちらほらと姿を店始めていました。
白い外被膜を破って出てきたばかりの幼菌もありました。
去年見つけたのは10/3で、時期的にはほぼ同じです。かなり晩秋に発生していた印象でしたが、もう今年もいつの間にかキノコ狩り終盤なのですね…。いつもの森に行けない上にキノコの発生が悪く、全然晩秋という感じがありません。
縞のないシマヘビ発見? キハダの実も採取できた
その後、公園を歩いている時、普通の芝生にいたヘビと出くわしてびっくりしました。
向こうも驚いたようで、すぐ逃げて行ったので、追っていくと石壁のところの岩と地面の隙間の小さな穴に潜っていきました。そこが家だったのかもしれません。
じっくり動画も撮れたのですが、ひとつ疑問が。いったいこのヘビは何者? よく見かけるのはアオダイショウですが、このヘビの色合いは黄土色。アオダイショウのオリーブ色タイプなのだろうか、とも思ったのですが…。
望遠レンズで動画を撮ったので、顔もよく撮れていましたが、その顔つきを見る限り、このヘビはシマヘビで間違いありません。眼球が赤色であること、目の上がせり出していることが根拠です。
シマヘビにしてはトレードマークであるはずの縞模様がまったくないのが奇妙ですが、縞のないシマヘビもいるらしいと知りました。ヘビ類は体色や模様は変異が多いため、他の特徴で見分けたほうが良いということも。
だからこのヘビはきっと縞なしシマヘビなのでしょう。もしかしたらレアな出会いだったのかもしれません。
今日は他にも、9/10に発見したキハダの実も採取してきました。
まだ黒くなっていないので採るべきか迷ったのですが、一部地域のアイヌは実が緑色のうちに枝ごと採って吊るしておいたと書いてあったので試してみることにしました。
ミカンも青いうちに採る場合がありますし、同じミカン科なので大丈夫なのかもしれないと思いました。採る時期によって味が変わる可能性もありますが、誰も書いていないので、自分で試すしかありません。
2022/09/26月
雪虫が飛び始めた森。チョウセンゴミシを採取
前回見つけたチョウセンゴミシの実を採取しようと思って森へ。毎年晩秋にホオノキ、チョウセンゴミシ、ノボリリュウタケなどを同時期に採るのですが、今年はチョウセンゴミシしか採れない寂しい秋になりました。
すっかり赤く色づいたマムシグサの実。
驚いたことに、もう雪虫(トドノネオオワタムシ)が飛び始めていました。早いような気がしたのですが、去年の日記を見ると、9/26だったので、寸分違わぬ同時期でした。早い気がするのは全然秋らしくなく暑いからでしょう。
雪虫が飛び始めるのは一体何で判断しているのでしょうね。植物の場合、日照時間と気温を手がかりにしていそうですが、雪虫の場合はいつ前の卵が産まれたかに左右されるのでしょうか。
今年のような日照時間が短くなっても気温が高い秋の場合、日照時間に対する反応と気温に対する反応の時期がずれるのか、森の生き物の反応がちぐはぐに見えます。樹木は葉を落としているのに色づいていなかったりキノコが少なかったり。
雪虫は飛んでいましたが、すぐに雪が降る可能性は乏しそうです。これから急に秋めいてくる可能性もありますが、天気予報を見る限り、初雪はずっと先でしょう。
今日森の中で採ってきたもの。お目当てのチョウセンゴミシの実と、また少し発生していたヌメリツバタケ、そしてミツバ。チョウセンゴミシとミツバは採ろうと思えばもっと大量にありましたが、なんだか疲れていたので少量だけにしました。
今日のキノコ。ザラエノヒトヨタケ,ムキタケ,クリタケ等
今日見つけたキノコ。上に乗せたヌメリツバタケは採取前の写真を取らなかったので除外して、その他のキノコたち。
(1)ザラエノヒトヨタケ
林道の草地に一本だけ生えていたヒトヨタケっぽいキノコ。傘は開いておらず、この状態での直径は1cmくらい、柄の長さは5cmくらい。
ヒトヨタケは普通は群生するので、単生なのはおかしいな、と思って接写レンズで拡大すると、傘の表面が普通のヒトヨタケとは違って、白い毛のようなもので覆われていました。
断面を見てみると、柄の表面にも白い毛か粉のようなものがついています。ヒダは普通のヒトヨタケと同じように密で黒くなるようです。
傘の雰囲気からすると、去年見つけたザラエノヒトヨタケでしょうか。
傘が開くとガラス細工のように美しいキノコなので、この状態で採取してしまったのはもったいなかったかもしれません。さりとて傘は元々損傷していましたし、再発見できる可能性はなかったので、観察する以外の選択肢はなかったでしょう。
ザラエノヒトヨタケの特徴は、おもに傘にある白い毛のようなささくれなのに、なぜザラエという部分が名付けで目立っているのかは謎。ササクレヒトヨタケは別に存在していて、確かにそちらのほうが立派なささくれなのですが。
(2)ムキタケ幼菌
全然キノコが生えていませんでしたが、森の奥の倒木地帯に着くと、毎年ムキタケが生える倒木に、今年も小さな幼菌が生え始めているのを見つけました。
まだ指先サイズですが、たくさん生えそうなので、近々採取できるのが楽しみです。
(3)ムササビタケ? センボンクズタケ?の近縁種
同じくムキタケが生えることもある倒木に出ていたキノコ。傘が赤茶色なことからするとクリタケの幼菌?
傘の直径はまだ1cmくらい。もしクリタケなら、直径が3~8cmまで大きくなるはずです。
この倒木はニガクリタケが大量発生するので、周囲を囲まれて混生しています。ニガクリタケのほうは、ここに生えるのは小型で最大でも1.5cm程度。とはいえ、図鑑などでは5cm級になるともされているので油断は禁物。
もう少し成長を見守ってみて、はっきり周囲のニガクリタケと区別できるようなら食べてみたいところですが、そうでなければかなり危険に見えます。
(追記 : 後日確認してみると、これより大きくはなっておらず、ヒダの特徴などから、ムササビタケやセンボンクズタケの近縁種の何かではないかと思われました)
(4)クリタケ老菌?
トドマツ林の苔むした倒木に群生しているのを見つけたキノコ。この林はいつも歩いているのに、ふちのほうだったせいか、今まで発見できていませんでした。
見たところ材上生の束生するタイプのキノコで、傘の表面にはスギタケ属っぽい鱗片が見えます。チャナメツムタケを思わせる鱗片ですが、チャナメツムタケは地面の埋没木から生えるキノコのはず…。
傘は赤れんが色で、傘の大きさはそこそこ大きく5cmくらいでした。
柄の上方は白く、下方は茶色を帯びていて、ささくれがあり、ややダンダラ模様のようになっています。これもチャナメツムタケに似ている点。
傘の周囲には内被膜の痕跡がありますが、チャナメツムタケのような繊維状ではなく膜状です。
ヒダは整然と密に並んでいて、薄茶色。微妙に薄紫色がかっているようにも見えるので、もしかしてクリタケではないかという疑惑が…。
断面。ヒダの幅は比較的狭く直生。ルーペで見ると、微妙に湾生。このヒダの形状は、参考にしたサイトでクリタケではないかとされているキノコとそっくりです。
柄の下部には柄とほぼ同色のささくれがあり、柄の内部はっきりと中空でした。チャナメツムタケは中実なので、これもクリタケらしいといえる点です。
クリタケを観察した経験値が乏しかったので、帰ってきて写真を分析するまで気づきませんでしたが、もしかして典型的なクリタケなのでは?
そういえば去年の10/7にも、このあたりの倒木にクリタケ老菌を見つけました。時期的にはほぼ同じであることからして、同じ倒木だったのかもしれません。
年の日記を見ても、やはりチャナメツムタケに似ていると書いていましたが、ヒダの色でクリタケだと見分けていました。
今回のも見たところ老菌になりつつあり、新鮮そうには見えなかったので、もしその場でクリタケだとわかっても採らなかったでしょう。しかしもう少し観察眼を養って、クリタケをすぐに判別できるようになっておきたいです。
木から束生して生えている赤茶色のキノコだから、クリタケはかなり見分けやすい部類のはずなのに、こんなに惑わされるのはなぜなのだろう…?
2022/09/27火
残暑を感じるものの紅葉は進む
畑仕事に出かけて、パンダ豆や花豆を収穫。
去年は素晴らしい紅葉だった道中のエゾヤマザクラ。今年もすっかり赤く色づいて、すでに散り始めていました。エゾヤマザクラの紅葉は鮮やかですが、非常に短く、雨が降ると一気に散るので、見頃は一週間くらいしかありません。
今年は残暑が厳しいせいか、他の木々の黄葉のタイミングもまばらで、あまり色づかないうちにサクラが散ってしまい、赤系統の紅葉がナナカマドしかないという状態になりそうです。
2022/09/28水
体調面での失敗と進展。気持ちがちょっと前向きに戻った
馬鹿なことをしてしまいました。ここ最近の調子の悪さから、どうしても打開策を見つけたい切迫感に追われてしまい、意味もないのに近隣の病院に行って、無駄金を浪費してしまった…。
受診したのは耳鼻科。昔から鼻づまりがひどく、それが頭重感の一因になっていると思われます。このごろ特にひどくなっていたので、何か手がかりが得られないかと思いました。
前々から疑っているのは慢性上咽頭炎です。昔わたしが調べてブログにまとめた頃は、数ある不確かな代替療法の一つのような印象でしたが、コロナ禍で注目を集めて、全国的に再評価の機運が高まっていました。
特に道北の旭川医科大学の先生が論文まで出していて、うちの近所の病院が旭川医科大学の耳鼻科と緊密に連携していると謳っていたので、相談してみる価値があるように思えたのです。
ところが、いざ受診してみると、そこの担当医は懐疑派で、話がほとんど通じませんでした。わたしは大学に行ったこともないので分かりませんが、同じ系列の医者でも内部で反目し合っているものなのですね。
最初から旭川に通えばよかったのですが、今のわたしにとってはハードルが高いです。激痛を伴う治療なので、行きはともかく、帰りの運転が難しいと思われるからです。友人に頼むにしても回数が多すぎます。
それで近所でもしEAT(Bスポット)を受けられるなら一考の余地ありと思っていたのですが、あえなく断念。無駄に高額の検査代など取られただけでした。
これまでの経験から、医者なんて9割がどうしようもない人間ばかりだと知っているのに、同じ轍を踏んでしまうとは情けない。
同時に、なかなか治らない手足の湿疹の再診で皮膚科も行きましたが、相変わらず頼りにならない医者で、どうしていいかわからないようでした。前に効いていたほうの塗り薬に戻してもらったので、それで治まればよいのですが。
さんざんな病院通いでしたが、良いこともありました。待合室で、かなり久しぶりに、とある知り合いと出会って、声をかけてしばらく話すことができました。
その人は消化器内科を受診していましたが、精神科の薬を大量の服用している副作用で肝臓が悪くなったそうです。また背骨に人工関節を入れているということも聞き、座っているのも辛そうでした。
ここしばらく、わたしは自分ばかり苦しんでいるような自己憐憫に駆られ、9/19に書いたように、周囲の健康な人たちのことを恨めしく感じていました。
でも、自分ばかりではなかった、もっと辛い状況にある人がこんなに身近にいて、それでもあきらめずに頑張っているのを見て、胸を打たれました。
今のわたしの体調は決して良いとは言えませんが、かつてのわたしよりも活動できているのは事実です。常にうっとうしい幾つかの不調がまとわりついていますが、昔よりずっと自由に暮らせています。
視野が狭くなって、自分に生じている悪いことにばかり注目するモードに入ってしまっていましたが、もっと空を見上げて生きよう、と思いました。
最近後ろ向きになっていた理由の一つは、今この瞬間の体調が非常に悪いから、というよりは、全体的な体調の推移に不安を感じていたからです。色々問題が頻発したので、このまま下り坂を転げ落ちてしまうのではないかと予測して辛くなっていました。
人がうつ病になるのは未来を想像できる生き物だからだと言われます。今この瞬間に集中している動物は、たとえ体調が悪くてもうつ病にはなりません。未来のことを思い煩うことで人は重荷を増やしてしまいます。
改めて考えてみると、わたしの目も、今この瞬間から未来へと逸れてしまっていました。将来に備えることも必要ですが、必要のない思い煩いを抱え込むのはよくありません。もっと今の良いことに目を向けようと思います。
結局、慢性上咽頭炎の治療は受けないことになりましたが、進展がなかったわけではありません。一昨年から続けている鼻うがいの方法を改善できました。
鼻うがいを初めてからこのかた、ずっと片方の鼻から水を入れて、もう片方の鼻から出す方法になっていて、のどを洗うことができずにいました。どうすれば口から出せるのかまったくわかりませんでした。
でも落ち着いてじっくり考えてみると、鼻うがいをする時の声の出し方にあると気づきました。耳管に水が入らないよう「あー」と声を出しながら鼻うがいしていたのですが、その発声だと、のどと鼻の通り道がふさがっています。
それで、のどの形を意識して、息が鼻に抜けるような声の出し方をやってみたところ鼻うがいで口から出すことに成功しました。言葉にするのは難しいですが口を開けたまま「くー」と言うような感じ?
さらに、ネットで調べた点にしたがって、うがい薬に消炎作用のある水溶性アズレンを少量混ぜてみることにしました。こうした工夫によって少しでも症状が和らぐといいなと思います。
そのほか、体調面での変化について。
理由は不明ですが、ここしばらく、光過敏症が悪化している気がします。日中、屋外にいると、サングラスをしていても普通以上に明るいような感覚があります。
しかし、光過敏症の悪化というより、やや現実感を喪失している状態に近い気もしています。感覚統合に乱れがあるのではないでしょうか。このあたりが漠然とした先行き不安や切迫感につながっているのかもしれません。
できることはといえば、基本に立ち返って、グラウンディングをしたり、安心できる感覚に戻ってきて、今ここに意識を集中することです。ここ2年くらい、なまじ回復傾向だっただけに、基本がおろそかになってしまっていました。
もうひとつ、腰痛のほうは一進一退ですが、悪くなってはいません。就寝時のマットを高反発に替えた効果が出ています。体の状態に応じて、高反発と低反発を併用していますが、今のところかなり良さそうです。
また、毎日の室内の運動(リングフィット)も再開してみました。ストレッチはしていましたが、もう少し負荷が強いほうが感情面で良い気がします。体を動かさずにいると悪いことばかり悶々と考えてしまいやすいです。
病院の話ばかり書きましたが、今日はただ病院に行った無益な一日だったわけではなくて、仕事をしたりキノコを観察したり、良いことも色々ありました。
帰りに涼しい森を歩きながらキノコを観察していると、なんだか楽しいなという純粋な感情がこみ上げてきました。ここしばらく変な不安にとらわれて、忘れかけていた感情に思えました。
翌朝も、目覚めた時の涼しい空気に、ふと心地よい幸せを感じました。大好きな秋や冬の感触がよみがえってきて、どうして今まで忘れていたんだろう、何を焦って前のめりに生きていたんだろう、と我に返りました。
できないこと、悪いこと、不安なことに心を奪われすぎて、目の前にある喜びが見えなくなっていました。でも病院で知人と出会って吹っ切れたことで、再び今を感じられるようになったのかもしれません。
吹っ切れるための代金としては、今日の病院代はちょっと高かったかも…。耳鼻科の検査と無価値な診察は4000円くらいかかりました。でも、それで本当に憑き物が取れたのなら、カウンセリング代としては悪くなかったか。
生きている限り、時々思い詰めたり、どうしていいかわからなくなったりすることは避けられません。前に学んだはずのことをすっかり忘れて路頭に迷う繰り返しですが、そのたびに今ここの感覚を思い出したいです。
キノコのないカラマツ林、シラカバに止まるオオアカゲラ
待ち時間に寄った公園ではマユミの実がすっかりピンク色に色づき、ちらほらと割れ始めていました。マユミの葉もニシキギを思わせるほど赤く色づいていました。
公園にはトチノキの実もたくさん落ちていて、友人からいくつか持ってきてほしいと言われていたので、拾って帰りました。春になって芽が出たら庭に植えてみるそうです。
別の公園の奥の広大なカラマツ林にも立ち寄ってみましたが、まったくキノコが出ている形跡がありませんでした。ハナイグチやシロヌメリイグチの残骸さえありません。今年はキノコの発生が全体的に少ないのかもしれません。
それから涼しくて天候も心地よかったので、近所の墓地横の広葉樹林にも寄りました。ここでは次項に書くように、少ないながら、そこそこキノコ観察を楽しむことができました。
キノコを探していると、森の奥から、何か音が響いてきました。一瞬、その大きさからヒグマがいるのではないかと警戒しましたが、よく耳を傾けるとキツツキの音です。それも比較的大きな打撃音。
周囲を探してみると、近くのシラカバの木をつついているオオアカゲラのオスが見えました。シラカバの白い幹、黄葉しつつある広葉樹林を背景にしたオオアカゲラの美しいことといったら。
瞬膜が閉じているバージョン。まばたきするかのように、時々クチバシ側から灰色の瞬膜がせり出して目を覆っていました。
近くで見ていても、全然逃げるそぶりはなく、少しずつ上に登っていき、最後には青空を背景にシラカバのてっぺんへ。シラカバはすでに枯れていて、たくさんツリガネタケが生えていて、キツツキの穴だらけでした。
途中からは近くのキノコを観察していたこともあって、あまり真面目に動画は撮りませんでしたが、少しだけ。
今日のキノコ。チャムクエタケモドキ,ウラベニガサ? クサウラベニタケ老菌?等
その広葉樹林で見つけたキノコたち。
(1)サマツモドキ
地面から生えていたキノコですが、傘の色と雰囲気はサマツモドキっぽいです。地面に木材か何かが埋まっていたのかもしれません。
傘は黄色っぽい地に赤い鱗片で覆われ、大きさは5cm。
ヒダはクリーム色で密。ヒダの付き方は直生~やや上生。
柄はクリーム色っぽい地に、傘と同じく赤い細かい鱗片で覆われていて、縦に溝線が入っています。
傘の色合いが赤より黄色に近いので、キサマツモドキの可能性も考えました。キサマツモドキのほうが寒冷地に分布するそうなので、道北なら普通に生えるでしょう。
とはいえ、図鑑をみると、サマツモドキもヒダは黄色、キサマツモドキは黄金色となっていて、今回のキノコはそこまで黄色みが強くは見えません。
傘が通常のサマツモドキより黄色っぽいのは、傘が成長して間延びし、地肌が多く見えているせいかもしれません。
(2)チャムクエタケモドキ?
押しくら饅頭をするように3つ固まって生えていた黄褐色のキノコ。
傘はまだ開ききっていないように見え、現時点の大きさは2.5cmほどで、かなり小さめです。
傘のふちを拡大してみると、うっすら条線のようなものが見えました。乾き具合によって条線が出たり消えたりするキノコかもしれません。また傘のふちの部分だけが白くなっており、◯◯ムクエタケではないかと思いました。
傘を上から見た時は、まだ傘が開ききっていない幼菌かと思いましたが、裏側を見ると、かなり老成しているようにも見えました。
ヒダはやや褐色を帯びている薄茶色で、やや密。
ヒダはすでに柄から千切れていましたが、もともとの付き方は直生だったようです。
柄は赤茶色で、頂部には黄褐色の細かい粉のようなものが付着しています。根元に白い菌糸をまとっていて、柄の内部は中空でした。
図鑑と照合してみたところ、大きさ、傘の色、柄の特徴、根元の菌糸など、いずれもチャムクエタケモドキで間違いなさそうでした。5月下旬~6月下旬の初夏のほかに、9月上旬~下旬にも出るとされていて時期はぴったりです。
(3)ホコリタケ
ホコリタケ(キツネノチャブクロ)は、今日最も多く見たキノコで、森の中のあちこちに生えていました。
まず見つけた白っぽいの。キツネノチャブクロは成長段階に応じて白→黒褐色に変色していくので、白みが強いのを見つけたら幼菌の可能性が高いです。(もともと黒いクロホコリタケもまれにあるそうですが)
球体に見えますが、根元を見ると、ちゃんと柄がついているのがわかります。
こちらはもっと成熟したと思われる茶色っぽいキツネノチャブクロ。
色合いからして別のキノコの可能性も考えましたが、抜いてみると柄がついていたので、やはりのキツネノチャブクロっぽい。
(4)ハタケシメジ老菌?
いつもハタケシメジが生える草やぶの坂道を探しに行くと、一本だけ謎のキノコが生えていました。ハタケシメジの老菌?とも思ったのですが…。
傘は黄土色で、中央は膨らんでいますが、ふちが水平になっていてツバ付き帽子のような形に開いています。ふちの部分は白く条線があるようにも見えますが、単に傷んでシワが寄っているだけかもしれません。
裏側。ヒダはやや密で、色は基本的には白色で、古くなったことで薄い褐色を帯びているように見えます。写真だと判別しにくいですが、肉眼で見る限り赤系統ではなく黄色系統に変色しているように見えました。
柄は白~クリーム色。
断面を見ると、ヒダは直生~やや上生。柄の内部は中実。肉は白色で、縦にとても裂けやすいキノコでした。
去年10/14(6)で見たハタケシメジ老菌と思われるキノコの、傘の色合いや断面の写真と比較してみると、おそらくこれもハタケシメジの老菌だろうな、という感想になります。
一本だけしか生えていなかったり、柄にほとんど色がついていなかったり、悩ましい点はあるものの、最も可能性が高いでしょう。ただ、これほど特徴があいまいだったら絶対にハタケシメジとみなして採取することはないでしょうね。
(5)ウラベニガサ?
オオアカゲラを観察していたら、足元に生えているのを見つけたキノコ。久々に見つけた立派なキノコだったので、オオアカゲラそっちのけで観察していました。
傘の大きさは5cmくらい。色は茶褐色で、てかてかとした光沢があり、中心が盛り上がっていて、放射状の繊維紋に覆われているのが特徴。ウラベニガサや◯◯シメジを思わせる模様。
横から見ると、傘は山型に開いていますが、傘の中央の膨らみはさほど突出しているわけではありません。成長してもネズミシメジのように突出したままなのか、平たくなるのかは不明。
柄はかなりがっしりしていて、8cm強あります。柄の表面にも縦に繊維模様が走っています。
柄の断面は明白な中実。
重要な特徴として、柄の基部が球根状に膨らんでいました。テングタケ科やフウセンタケ科ではしばしば見かける特徴ですが、このような傘のキノコでは見たことがないです。地中に手を入れると、簡単に球根部からすくい取れました。
ヒダは白色、密。とても整然と並んでいます。今後変色するのかどうかは不明。
断面を 見ると、ヒダは上生~離生。状態がよく、いずれの特徴もかなりはっきりと観察できました。
以上の特徴からこのキノコの正体を考えると、まず最初に思いつくのは最初に書いたとおりウラベニガサです。
Google Lensでも、傘の写真だけでなくヒダの写真でもウラベニガサと判定されました。傘の模様、ヒダが密で離生であること、柄に繊維紋があり中実であることなど、ウラベニガサを示唆する特徴はとても多いです。
しかし、地上から生えていたことが不可解です。また柄の基部が球根状になっていて、手で簡単にすくい取れたことも、もともと地上生のキノコなのではないかと疑わせる点でした。材上生とされるウラベニガサとは食い違います。
ウラベニガサにそっくりなのに地上から生えているため疑問が残る、という同じ悩みは何度か過去にも直面したことがありました。その都度、ウラベニガサ科を調べるのですが、相当するキノコはないように思えました。
今回見つけた付近は、ハタケシメジが出ることもあり、地中に腐朽木が埋まっている可能性があります。それにウラベニガサはおが屑からでも生えるそうです。
だとすれば、地面から生えているように見えて、実際には埋没した腐朽木から生えていたのかもしれません。
しかし、柄の基部が球根状だったことはどう説明すればいいのでしょうか。
調べたところ、ウラベニガサの柄の基部が太くなるのは一般的な特徴だそうです。ウラベニガサの学名pluteus cervinusで検索すると、根元が球根状に膨らんでいる写真も出てきました。
通常は材上に生えるので、球根状の膨らみがあまり顕著でないだけで、地中のおが屑などから生えると、根元の膨らみが目立っているように感じるだけなのでしょうか。
少し疑問が残りましたが、ほとんどの特徴はウラベニガサを示しており、微妙な点も個体差の範囲内とみなせそうです。
(6)クサウラベニタケ老菌?
上のキノコのすぐそばに生えていたキノコ。かといって同じキノコの別段階というわけでもなく、まったくの別物でした。
上から見ると、のっぺりとした光沢の乏しい平べったい傘で、イグチの仲間を思わせます。色も赤黒い珍しい色合いで、見たことのあるキノコの中ではアメリカウラベニイロガワリを想起させました。
傘のふちには条線はありません。かすかに放射状のかすれ模様があるかなという程度です。
傘だけ見るとイグチの仲間を疑う雰囲気でしたが、横から見ると裏側は管孔ではなくヒダでした。
採取してみたところ。傘は反り返っていますが、平たいとしたら6cmくらいか。柄は7~8cm程度で、白い光沢があり、縦にたくさん条線が走っています。
断面を見ると、柄の内部は中空でした。
ヒダは黄褐色でやや密、ヒダの付け根をルーペで見ると、かなりはっきりとした湾生でした。
見たことのない配色のキノコですが、細部を調べていて、なんとなく思ったのは、これってクサウラベニタケでは?ということ。色は違うものの、傘、ヒダ、柄それぞれの雰囲気がそっくりです。
特に、ヒダがやや密でルーペで観察すると明らかな湾生であること、傘のふちが波打つこと、柄に白い光沢や条線があり内部が空洞なことなど。
ヒダの色は、通常のクサウラベニタケなら薄いピンク色なのですが、調べてみると、老菌では黄褐色~赤褐色レベルまで色が濃くなるようです。
うまく言葉で表現しにくいですが、ヒダの妙な不揃い具合も、クサウラベニタケらしい点。たくさん見てきたキノコなので、なんとなくそれっぽいという雰囲気が感じられるようになっているかもしれません。
だとしても、クサウラベニタケの傘がこれほど赤黒くなるとは予想外。傘だけ見たら、何のキノコか絶対わからなかったでしょう。人もキノコも外見に惑わされないのが大事。
2022/09/30金
今日のキノコ。ヌメリツバタケ,ムキタケ,チャナメツムタケを採取
秋らしくなってきた森。そろそろ晩秋のキノコも出てくるかもしれないと期待して見に行ってみました。
(1)サカズキカワラタケ
まず見つけたのは落枝に生えていたサカズキカワラタケ。去年も8/23(6)などで、この森で見た懐かしのキノコ。
縞瑪瑙のような椀状態から、貝殻のような傘が生え出てくるユニークなキノコ。
傘の裏側は、管孔というより、やや迷路状に見えました。どのみち非常に小さいので、ルーペを使っても判別は難しいです。成長段階で変わるのかも謎。図鑑によると管孔は角型で1mmとあるので、若い時はもっと締まっているのかも。
(2)アカヤマタケ?
例の草藪の中の倒木が積み上がっている場所の近くの落枝から生えていた黒っぽいキノコ。足場が悪いやぶの中だったので撮影するのは面倒でしたが、珍しい種類だったので、しっかり記録しました。
傘は2cm程度の小型。微妙に紫色がかった黒色で、傘のふちは白っぽく縁取られています。傘を拡大してみると、地色と同色の細かいささくれのようなものが見えます。
横から見たところ。傘は山型に開いていて、柄は傘とほぼ同色。
ヒダも傘と同色ですが、角度によっては白っぽくも見えます。
ヒダの付き方は、離生~隔生で、柄は中空でした。
全体的な黒い色調と、ヒダが離生であることから、そんなに同定は難しくなさそうに思えますが…。
まず考えたのはイッポンシメジ科ですが、傘が黒くてヒダが離生なのは、図鑑に載っている範囲だと、コンイロイッポンシメジのみ。しかし大きさが3~7cmらしく、地面から生えるとあったので違うようです。
より小型のヒメコンイロイッポンシメジやコキイロウラベニタケは、いずれもヒダが直生で地面から生えるので、やはり違います。
もちろん、木材にコケなどが生えて、地面と同じような組成になり、地上生のキノコが生えるケースもあるようなので、材上生だからといって、必ずしも除外できるとは限りません。
そう考えてみると、一番似ているのは、アカヤマタケの古くなって黒く変色したものではないか、と思い当たりました。柄の断面が黄色っぽいことも、変色前の名残を残しているように感じます。
(3)キララタケ?
その倒木地帯から林道に出る際、草やぶの向こうにある切り株に生えているのを、望遠レンズで撮ってみたキノコ。
明らかにヒトヨタケ科の何か。色からするとイヌセンボンタケに見えるのですが、どう見ても千本出ていませんし、近くで観察したわけではないものの、サイズもやや大きめに見えます。
色合いと量からすると、キララタケの可能性が高いかも。色が若干薄めですが、傘の白い鱗片が落ちたら、こんな見た目かもしれません。
(4)材上生のシロシメジ近縁種?
それからぐるりと回って、いつものトドマツ・ミズナラ林のほうに合流する道の倒木に生えていた白いキノコ。見たところオシロイシメジにそっくりなのですが、材上生という明白な違いがあります。
傘は真っ白で段差がついているところが、オシロイシメジっぽく見える点。
サイズは最も大きいものでも2.5cmほどしかなく、かなり小型です。
ヒダは真っ白で密。やはりシロシメジなどの仲間を思わせる整然さ。
柄の頂部には白いささくれのような綿毛がたくさん付着。
断面を見ると、ヒダの付き方は直生~やや上生。柄は中実?
図鑑を見てもシロシメジの近縁種で材上生のものが見つからず、同定は難航。もしかすると、(2)のアカヤマタケ疑いのキノコと同様、倒木の上でありながら、苔むした土壌のような組成になり、地上生のキノコが生えているのかもしれません。
(5)マメホコリ
トドマツ・ミズナラ林に到着して、いつもムキタケやニガクリタケが生える倒木についていた黒い豆のようなもの。大きさからしてキノコではなく、以前にも見たマメホコリでしょう。成熟して黒くなった個体群。
大きさは各0.5cmほど。
ルーペで拡大すると表面は粉かイボのようなもので覆われているようでした。せっかくだから断面を見てみてもよかったのになと今になって後悔。去年10/5には表面を破ってみて、中の粉も観察しています。
(6)ムササビタケかセンボンクズタケの近縁種?
そのニガクリタケが出ていた倒木に、赤茶色の幼菌が出ていたので、これはきっとクリタケに違いないと思ったのですが…。
傘は赤茶色でふっくらと丸みを帯びていて、クリタケの幼菌っぽさがありますが、実際にはもっと小型で、ニガクリタケと同じくらいの1.5cm程度のサイズしかありません。
傘の表面には細かい繊維が残っていました。
ヒダは薄茶色。整然と密に並んでいて、上生。
柄は傘より薄いクリーム色で、中空でした。
この特徴からすると、明らかにクリタケの幼菌ではなくナヨタケ属のキノコと思われます。
傘の色からすると、おそらくムササビタケかセンボンクズタケの幼菌?と思ったのですが、両者ともヒダは直生であるとされる点が異なっています。
ムササビタケに似ているとされるアシナガイタチタケは上生~直生だそうですが、地上に出るキノコなので違います。
ヒダが密であること、幼菌時は灰褐色であること、柄が中空であることなど、他の特徴は一致しているので、その近縁種であることは間違いないと思います。
(7)ムキタケ
3日前にムキタケ幼菌が生えていた倒木を見に行ってみると、嬉しいことにもう採取に適した大きさまで成長していました! 毎年生えてくれるので今年も楽しみにしていましたが初ムキタケとなりました。
その倒木だけでなく、付近の他の倒木にもちらほらと生え始めていました。
そこの茂みの奥にはさらに同種の広葉樹と思われる倒木が積み重なっていて、去年はナラタケが大発生していました。今年は発生しませんでしたが、もしやムキタケが生えるのでは?と思い、トドマツの若木をかきわけて侵入してみました。
すると、すでに大きく成長したムキタケがたくさん! 外からは陰になって見えない位置に大量に生えていて、驚きました。こんなに発生するポイントだったなんて。大発見です。
足場が非常に悪いところで、採取するのは一苦労ですが、そのぶん絶対誰も知らない自分だけのポイントであることは明白。しっかり音を立てて周囲を警戒しながら、たくさん採取できました。
まだまだ小さな幼菌もたくさん生え始めていて、今後がとても楽しみです。数日おきに見に来たいと思います。
(8)チャナメツムタケ
その周囲の茂みの中の地面を見ると、別の地上生のキノコが多数生えていることにも気づきました。黄褐色の傘色で、10cmくらいあり、いったいなんだろう?と思いました。
しかし、周囲にはまだ傘の開いていない若い個体もあり、その傘を観察したところ、白いささくれがついていたことで解決。チャナメツムタケだとわかりました。
裏側にはまだ繊維状のツバが残っていました。観察した時点では、チャナメツムタケが繊維状のツバをもつことは知らなかったのですが、帰って調べてみると、確かにその特徴があるとされていて、写真も一致しました。
また、巨大に開いた傘でも、傘と同色の鱗片で覆われていることから、チャナメツムタケだと判断できました。去年も驚いた記憶がありますが、チャナメってこんなに大きくなるキノコなのですね。幼菌ばかり採っているせいか意外に感じます。
去年の時点では、カキシメジなどとの区別のため、傘に白いささくれが残っている幼菌のみを採るようにしていましたが、今回は確実に見分けられたので、白いささくれがなくても傘裏がきれいなものは持って帰りました。
チャナメツムタケは意外と近所でたくさん出るキノコなので、見分け方を覚えておけば頻繁に収穫できそうです。そのために幼菌以外の姿でも判別できるようになりたいと思います。
(9)モリノカレバタケ近縁種?
前回来た時から気になっていたキノコ。トドマツ・ミズナラ林のふち、前にクロラッパタケを見つけたあたりに点々と複数生えていました。
傘は白~クリーム色ですが、中央部分たけ濃い赤茶色なのが特徴。傘は薄く、見たところ落ち葉から生えるモリノカレバタケの近縁種のような雰囲気があります。
ヒダは傘と同色のクリーム色でやや密。ルーペで確認すると湾生。
柄は傘の中央部分と同色の赤茶色で、ねじれていて、内部は中空でした。
そして、特筆すべき点として、とても良い香りがありました。匂いを表現する語彙に乏しいので、良い香りとしか表現できないのが残念ですが、菌臭でも果物臭でもなく、キノコにしては珍しいレベルの爽やかな心地よい香りでした。
モリノカレバタケの近縁種で調べてみたら、ニンニク臭がするニオイマツオチバタケというキノコがあり、発生環境も見た目も似ているのですが、ヒダは直生、柄は毛が生えていて中実とされているので、細部の特徴は違うようです。
カブベニチャも画像で見ると似ているのですが、去年実物を見た際はもっと黄色みが強かった記憶があります。それにカブベニチャは基本的には材上生のキノコだそうです。
そもそもモリノカレバタケの仲間で湾生というキノコが見つからなかったので、全然違うカテゴリのキノコの可能性も…。
(10)ニガクリタケ幼菌?
上のキノコのすぐ近くの地面に生えていた黄金色の極小キノコ。
傘は明るいオレンジ色で、柄はクリーム色。
傘の大きさは、最も大きいものでも0.7cmくらいしかありませんでした。
ヒダはクリーム色でやや疎。小さすぎて、ヒダの付き方までは観察できませんでしたが、この写真だと直生っぽく見えます。きちんとヒダ状であることからズキンタケは除外できます。
幼菌時は繊維状の内被膜でヒダが覆われていたようにも見えます。
この時点では正体不明でしたが、後日10/7にここを訪れてみると、ニガクリタケが生えていました。地面から生えていると思っていたのですが、ニガクリタケが生えていた時点で、地中浅くに木片が埋まっていたということになります。
改めて見比べてみると、この謎の幼菌はニガクリタケだったようにも見えます。ニガクリタケも幼菌では繊維状の内被膜をつけている写真がありました。
ニガクリタケにしてはヒダが疎だったので違う気もしたのですが、単に幼菌の時点でヒダの密度を見るのが難しいだけなのかもしれません。疑問は残りますが、他に候補も思いつかないので、現時点ではニガクリタケ幼菌だった説が有力としておきます。
(11)ヌメリアカチチタケ?
トドマツ・ミズナラ林の出口のほうに生えていたベニタケ科。以前ツチカブリやチチタケ、ミツバなどを採取していたあたり。2本並んでいたので、1本だけ採取して、つぶさに観察してみました。
傘は赤紫色で、ふちに条線はなく、すぐに思いついた候補はカワリハツでした。それならFeSO4で同定できるので、とりあえず持って帰ってみて調べることに。
傘の大きさは7cmくらいで、ところどころにクレーターのようなくぼみがあるのが気になります。そういえば以前、こんなキノコに関する文献を読んだことがあるような…。
裏側のヒダは黄色みが強く、密。もともと黄色かったのか、変色したのかは不明。
しかし、ヒダをよく見てみると、白色の乳液が染み出しているのが見つかりました。この時点でカワリハツの可能性は消え、チチタケ属だと判明。乳液の変色性はよくわからず、しばらく目を離すと消えてしまいました。
断面を見ると、ヒダの付き方は直生~上生。
柄は傘と同色の赤紫色で、やはりあばたのようなくぼみがある質感でした。
試しに硫酸第一鉄FeSo4を柄に振りかけてみると、焦げ茶色に濃く変色しました。
ヒダも同じように、FeSO4で焦げ茶に変色しました。
記憶を頼りに候補として思いついたのはヌメリアカチチタケ、アカシミヒメチチタケ、無印アカチチタケなどでしたが、いずれもヒダが垂生とあったので違うように思えました。
画像検索で調べると、キハダチチタケとコキハダチチタケもやや似ていますが、今回のキノコはそれらより赤みが強く感じます。
写真を拡大してみても、このキノコのヒダを垂生とみなすのは困難ですが、全体の雰囲気およびトドマツ林に生えていた点は、ヌメリアカチチタケに最も近いので、現時点ではそう同定しておきます。
(12)アカモミタケ
トドマツ林内を歩いて帰る途中、環紋が目に止まったものの、カラハツモドキかと思ってスルーしそうになったキノコ。しかし、せっかくだからと足を止めて確認すると、なんとアカモミタケでした。こんなに色の薄いキノコだったっけ?
採取して傘を改めてよくみると、確かに中心部の鮮やかなオレンジ色からアカモミタケらしさを感じました。落ち葉で中央が少し隠れていたせいで惑わされたのかも。
裏側を見ると、鮮やかなサーモンピンクで、オレンジ色の乳液もにじんでいるので、同定は簡単です。
今年はアカモミタケ群生地に入れないので、一本も食べられないかと思っていただけに、一度は出会うことができて嬉しかったです。この森にもちらほら散発するのは知っていましたが、ランダム性が強すぎて確実に見つかるとは限りません。
(13)ミヤマタマゴタケ
トドマツ林の端のほう、ミヤマトンビマイなどが出ていたあたりに生えていた、立派なミヤマタマゴタケ。ここ最近は小粒にキノコが多かったので、この巨大さは圧巻。
傘のふちに短い条線があるのもミヤマタマゴタケの特徴。
横から見ると、柄には立派なツバがあり、その下方は激しくささくれています。
拡大してみると、部分的に灰色を帯びていて、ダンダラ模様になっていました。
後で調べたところ、ツバが灰色なのは、近縁のドウシンタケの特徴でしたが、ドウシンタケなら灰色がもっと濃く、柄も灰色の繊維で覆われているという特徴があるようなので、おそらく違うと思います。
柄を折らないように、根元のツボごとすくい上げてみました。高さは20cm以上、傘は10cmはありそうです。
柄は指よりも太く、ツボも大きく、卵くらいのサイズがあります。
ヒダは白色で、整然と密に並んでいます。
ヒダのふちはルーペで拡大すると粉状。
久しぶりに見たミヤマタマゴタケで状態も良く、食べる人は食べるんだろうなと思いつつ、やっぱり手が出せません。
(14)謎の材上生のオレンジ色の傘のキノコ
最後に広葉樹林地帯のほうも回ってみましたが、キノコは全然出ていませんでした。その中で、唯一落枝から出ていた謎の黄褐色の傘のキノコ。
傘はオレンジ色で、3~4cm。条線など特になし。
ヒダは薄茶色で密。柄はベージュ色。
ヒダの付き方については、かなり分かりづらいですが、柄に残った痕跡からすると、微妙に垂生~湾生に見えます。しかし、断面からは直生ともみなせます。
柄の内部は空洞。
手がかりが少なすぎて、何のキノコかまったく不明。オレンジ色の傘のキノコは特に似たのが多くてわかりづらいです。最も大きな手がかりは材上生ということですが、そのうち図鑑を見ている時に何かヒントがあれば。
以上が今日見かけたキノコ。同定率が低すぎて疲れました。もっと詳しくなりたいけれど、圧倒的な種類の数を前になすすべがありません。年に新しいのを10~20覚えているとしても、全然先が見えず、知らない種類ばかりです。
今日採ってきたキノコ。ムキタケ20枚、チャナメツムタケ3本、ヌメリツバタケ8本、アカモミタケ1本。上々の収穫でした。いよいよムキタケが本格的に生えてきて、残暑の厳しかった今年も晩秋の入り口です。
9月のまとめ
今年はいつもキノコ狩りしている森にヒグマが出没して立ち入り禁止になってしまっているので、つまらない秋になるかなと思っていましたが、意外と充実したキノコ狩りが楽しめた9月になりました。
ハナイグチ、アカモミタケ、ノボリリュウタケなど例年の定番キノコこそ採れませんでしたが、代わりにヌメリツバタケ、キンチャヤマイグチ、アミヒラタケ、キハツダケ、ブナハリタケ、クロラッパタケを初めて食べることができ、食べてみたキノコは30種に到達しました。
キハツダケは苦味がどうしても抜けませんでしたが、他のは美味しかったです。ヌメリツバタケは量が採れるため、来年以降も期待できそう。クロラッパタケは群生する時期にたくさん集めて料理に使いたかったところ。
植物のほうも、ギンリョウソウモドキの実を観察できたことに加え、去年からの宿題になっていたヒシの実の採取と料理もできました。ヒシの実はむくのが大変でしたが、非常に美味しかったので、来年もぜひ採取したいです。
生き物の観察も、ミドリヒョウモンの暗色型、何度も見ることができたエゾリスや、かなり近くから動画を撮れたオオスズメバチ、縞模様がないけれど目の色で判別できたシマヘビなど、幾つも良い経験ができました。
体調は先月より良くなりましたが、引き続きあちこち不調が多く、特に鼻づまりに耐えかねて病院に行くも無駄足に終わるなど、残念な結果になりました。
でも、体調不良は今に始まったものではないので、気持ちを切り替えて、これまでどおり受容して付き合っていくほうに舵を切ったことで、少し楽になりました。ようやく涼しくなったのも気持ちが上向いた理由かも。
世の中の情勢は、コロナに関しては全数調査をやめることになって、終息ムードになってきました。感染者数が減ったわけではなく、後遺症問題も考えると、蓋をしただけで何も解決していないようにも思いますが。
ロシア情勢のほうは、進展が見られるとしたら9月以降、とは思っていましたが、徴兵が始まるなど、確かに状況は変化しつつあるようです。現地の人たちのことを思うと辛いですが、何かしら近いうちに大きな動きはありそうです。
この時期に、もっと多くのことを行いたいという気持ちはありますが、無理をしても仕方がないことを学びました。気持ちははやっても体力はついていきません。
無為に時を過ごすと、自分に甘くしている気がして居心地が悪いですが、開き直って休むことも必要です。
前に書いたように、居心地が悪いのは内なる自分に責められるからであって、実際に周りの誰かがそう思っているわけではないのです。
あるいは、これも前に書いたように、自分の体のシグナルを十分に感じ取れていなくて、無理をしている状態がベストだと思い込んでしまっているからでもあります。
過去に書いていた記事を思い返すと、またあんな考察をしてみたいと常々思うのですが、それができない自分にももどかしさを感じます。この悩ましさから早く解放されたいものです。
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