2022年10月の道北暮らし自然観察日記

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2022年9月前半の自然観察を中心とした記録
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2022年9月後半の自然観察を中心とした記録

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2022年11月の自然観察を中心とした記録

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もくじ

2022/10/01土

みんなを湿原ガイドするサービスデイ。クロノボリリュウタケも

前々から計画していたとおり、友人たちと7人で松山湿原に行ってきました。もともと9人の予定で、2人参加できなくなりましたが、これまでで最高人数かもしれません。これだけいればヒグマも気になりません。

懸念したいた天気は雨マークが完全に消えて、なんと夏みたいな気温まで上がるという想定外。別の地域ですが、この時期の北海道としては初めて30℃を記録したそうです。せっかく涼しい季節を狙ったのに…。

幸いにも亜高山帯なので、さほど暑さが気にならず、むしろ上に登るにつれて風が心地よくなっていったのは良かったです。

みんなで出かけると、当然ながら、わたしはガイド役になるので、ゆっくり自然観察することはできません。それはそれでフラストレーションが溜まりますが、年に数回は友達サービスデイと決めているので、仕方ないと割り切っていました。

撮れたものといえば…、道中で見かけたコシアブラとおぼしき葉。おそらく2020年8/21に見つけたのと同じ若木だと思います。ほかには一切見つけたことがないので、いまだになぜ生えているのか、どれくらい分布しているのか謎な樹木。

ほかには、湿原近くで黄葉していたゼンマイの葉の写真。すぐそばにはヤマドリゼンマイもたくさん生えていました。ゼンマイ2種が混生することってあるんですね。

あまりじっくり観察できませんでしたが、写真で見る限り、特に小羽片の付け根が細いとも思えないので、おそらくヤシャゼンマイではなく無印ゼンマイでしょう。

道中の道は、もっと黄葉が進んでいるかと思いきや、あまり色づいているようには見えませんでした。オオカメノキやナナカマドも、真っ赤なのが少数ある程度で、ほとんどはまだらで、依然として緑色のさえありました。

展望台からの景色。よく晴れていて気温も程よく、山歩きにはちょうど良い気候だったと思います。

てっぺんの湿原の沼の風景。今の時期ならトンボがいるかなと思いましたが、何全然いませんでした。小型の猛禽類とおぼしき鳥(ハイタカとか?)が目の前を鋭く飛んでいったくらい。初めて来た人たちは独特の景色を楽しめたと思います。

今年は全然山に登っていませんし、近所の森も通行止めなので、体力が落ちているかもしれないと心配でしたが、普通に息切れもしなかったので一安心です。

帰りに見て回った天竜沼の黄葉。こちらもぱっとしない景色でしたが、風に波立つ水面が美しい雰囲気でした。

帰り道に現れたエゾシカ。もう冬毛になっています。今日は妙にシカばかり出てくる日で、帰り道だけで8頭も見ました。そろそろシカたちが群れで活発になる時期なので気をつけねばなりません。

最後に寄った雨霧の滝。水量が春と比べると半分くらいになってしまっていましたが、十分迫力がありました。

途中で見つけた採取したクロノボリリュウタケ5つ。毎年このあたりによく生えていて、今年も発見できて嬉しかったです。

みんなをガイドするのは気を遣いますが、たまには良いでしょう。わたしが友人のためにできることといえば、こうして自然を案内したり、山菜採りに連れていってあげるくらいしかできないので、こうした機会を大事にしたいと思っています。

クロノボリリュウタケは後日、他のキノコと一緒に炒めごはんにして美味しくいただきました。

2022/10/02日

公園のハラタケ、友人とキハダの実を採取する

朝から出かけた後、帰りに寄った近所の公園で見つけた白いキノコ。裏返してみたら。傘が崩れましたが、見覚えのある薄茶色の密なヒダだったので、それだけでハラタケだとわかりました。

食べることもできる野生マッシュルームですが、盛大にナメクジが穴を開けていましたし、微妙に毒成分があるらしいのでやめておきます。状態の良いのをたくさん見つけたら、一度試してみてもいいかもしれませんが…。

公園のサトウカエデのほうが、昨日歩いた山道よりもずっと虹色に紅葉しているのは、ちょっと複雑な気持ちになります。近場で紅葉を楽しめるのは良いことですけれど。

夕方には、キハダの実が好きな友人と一緒に、キハダ並木まで採取しにいきました。以前に分けてあげたのがとても気に入ったそうで、キハダの実があればカボチャの煮物を無限に食べれると話していました。

友人が高枝切りばさみを持っていたので、棒の先に結わえたものを即席で作って、2人がかりで、キハダの実を採取。いつもは手で採れる場所だけしか見ていませんでしたが、高枝切りばさみがあれば採れる範囲が広がって楽しい。

この3年間ずっと採取している山の上のキハダ並木と、9/10に見つけた堤防沿いのキハダの両方をまわって、夕暮れでシルエットしか見えなくなるまで採取しました。

そのせいで、採ったキハダの実の写真を撮ることはできませんでした。自分が食べるぶんはこの前採ったので、採取したのはすべて友人にあげてしまいましたし。紹介した山菜を好きになってリピーターになってくれる人がいるのは嬉しいです。

2022/10/03月

今日のキノコ。クリゲチャヒラタケ,チャナメツムタケ幼菌,フミヅキタケ等

この前9/30(7)で発見した茂みの中のムキタケがそろそろ大きくなっているかな、と思い、また森に出かけてみました。

(1)クリゲノチャヒラタケ
前にアミヒラタケが発生していた枯れ木の幹に生えていた、謎の側生キノコ。

大きさは3cmくらいで小さめ。

傘はクリーム色で、赤い細かい鱗片に覆われていました。知っている範囲内ではサマツモドキに近い雰囲気の傘。

下から見たところ。裏側はヒダ状でヒダの密度は普通。採取していないのでヒダの色ははっきりしませんが、クリーム色くらいに見えます。

柄はほとんどなく側生。柄がまったく無いタイプか、発生環境によっては少し伸びうるタイプかもしれません。

おそらく食べることのできない種類の側生キノコだろうと推測。チャヒラタケの仲間ではないか、と図鑑を調べたところ、クリゲノチャヒラタケというそれっぽい種類を見つけました。

広葉樹に生え、傘は1~3cm、地色は黄白色で、表面に褐色の綿毛を密生する、といった特徴は合っています。

図鑑によると、ヒダが密とされ、その点は当てはまりませんが、ネット上の写真を見るとこの程度の密度だったので、食い違うというほどではありません。ヒダの密度は、明らかな密や疎でない限り、各々の主観の観察になるので、あまりあてにならないのかもしれません。

成長すると、傘の鱗片は少なくなるとあったので、発生してさほど日にちが経っていないものなのでしょう。ヒダも虫食いなどなくきれいでした。

(2)クロサイワイタケ
その近くの苔むした切り株に毎年生えているヒジキのようなキノコ、クロサイワイタケ。別名カノツノタケですが、特にシカの角に似ていないので、せめて黒という特徴が入っているクロサイワイタケの名のほうが気に入っています。

毎年同じ木に群生していて、ややこしい類似種もないため、姿を確認すると安心できるキノコです。

(3)チャナメツムタケ老菌?
その近くの道の端に埋まった倒木のあたりに生えていたキノコ。

傘は褐色で、パリパリした鱗片のようなもので覆われている質感に見え、ユニークながら、見慣れない雰囲気です。

横から見てみると、純白の美しい柄で、ささくれに覆われています。

ヒダはやや薄茶色を帯びていて、直生。それに加え、この柄の白さと、部分的に茶色く毛羽立っている雰囲気は、チャナメツムタケでは…?と気づきました。

改めて傘を見てみると、大きさは7cmくらいと大きく、表面は褐色で、それと同色の鱗片に覆われているのが確認できました。

確かにこれはチャナメツムタケの特徴。幼菌時についている白い綿毛はないものの、傘を覆う平たい鱗片も特徴りの一つです。

柄の内部は中空。チャナメツムタケは普通は中実ですが、去年の観察から、老菌になると中空になる傾向があるのは知っていました。

断面の様子。チャナメツムタケにしては傘の肉が薄いとか、ヒダが波打ちすぎているようにも思います。

しかし、他のほとんどの特徴はチャナメツムタケらしいですし、チャナメツムタケが老菌になると、かなり雰囲気が変化することは、これまで何度も観察してきたことなので、これもそうなのかも。

どのみち、ここまで古くなっていると、採取して食べるわけにもいかないので、確実に同定できずともよいでしょう。

(4)ムキタケ
肝心のムキタケは、倒木の裏側の死角になっていた位置に多数発生。さらに、先日見つけた茂みの中にも採り頃のが幾つもあって、収穫することができました。

(5)ウラベニガサ?
ムキタケが生えていたあたりの倒木に生えていた材上生キノコ。

茶褐色の傘色、放射状の繊維模様と、つやのある光沢、といった傘の外見から、ウラベニガサの可能性が高いと考えました。

傘の大きさは5~6cm程度。

美しいキノコで採るのがはばかられたため、採取せずに観察。肝心のヒダの色が赤みを帯びているかどうか、という点は確認しきれず。

しかし柄が白く、縦に繊維紋があり、傘と似た光沢がある点から、ウラベニガサで合っているでしょう。

(6)ムササビタケ近縁種?
9/30(6)で見たムササビタケ近縁種のようなキノコ。前回じつはクリタケの幼菌かと思っていたのですが、数日経っても小さいままだったので違うことがはっきりわかりました。

しかし、前回観察したとおり、ヒダが上生なので、ムササビタケそのものではないことは確かです。

近くの倒木、さらには地面にも類似したキノコが生えていて、どれも同じ種類か近縁種だろうと感じました。いずれも傘はやや赤みのある茶色で、非常に細かい白い繊維のようなもの(外被膜の名残?)が放射状についています。

裏側を見ると、この整然とした密なヒダは、確かにイタチタケや、その近縁種であるムササビタケ、ムジナタケなどを思わせる点。特に、ムササビタケのヒダが灰褐色→暗褐色へと変化するとされていて、よく当てはまります。

柄が白く、光沢があり、中空である点も、やはりイタチタケに似ている点。

ただ唯一、ヒダが上生であることだけが、相変わらずイタチタケの仲間と食い違っているため、いまだに種類がわかりません。

(7)チャナメツムタケ色々
ムキタケがたくさん生えた倒木がある草やぶの中で多数見つけたチャナメツムタケたち。

幼菌の傘にある白い綿毛が消失しているものばかりでしたが、他の特徴および前回9/30(8)でもここでチャナメツムタケを見たという状況証拠から、チャナメツムタケだと判別できました。

さっき道端の埋もれ木のそばに生えていた(3)のキノコとよく似た傘の質感のものもありました。傘色が褐色で、傘と同色の平たい鱗片に覆われています。

このキノコも、周囲に生えていたチャナメツムタケと比較すると、同種であるという確信が持てました。やはりさっきの(3)のキノコもチャナメツムタケだったのでしょう。傘のぬめりがとれて乾燥するとこんな質感になるようです。

通常のチャナメツムタケと、上記の傘がパリパリした個体との中間状態にあると思われる束生。傘の大きさは6cmくらいあり、しっかり成長して大きくなった個体です。

傘のクラゲのような柔らかみのある波打ち方は、普段見るチャナメツムタケに近いですが、傘のぬめりが乾いて、表面の傘と同色の平たい鱗片がくっきり見える点は珍しい状態です。

それでも、裏側を見てみると、白く密に整ったヒダと、純白のささくれのある柄、それが長く伸びて曲がりくねった形が特徴的で、チャナメツムタケらしさを感じられました。

ヒダは少し古くなっているせいで、薄茶色を帯びていますが、カキシメジのような染みはありません。ヒダの付き方は、ルーペで見ても、柄に対して直生しています。これも、チャナメツムタケらしい点。

近くには、まだ傘が開ききっていないチャナメツムタケも散生していて、貴重な幼菌を観察できる機会となりました。こちらは、まだ微妙に傘に白い綿毛が残っていて、チャナメツムタケだと同定する強力な根拠になります。

しかし、傘が開いていない幼菌に近い個体でも、白い綿毛があまり残っていないものが多く、他の特徴もしっかり見て判断することを余儀なくされました。

傘に白い綿毛がなく、赤茶色をしているせいで、一見する近縁種のクリタケにそっくりに見えるものさえありましたが、他の細かい特徴(ヒダが白く、柄が中実であることなど)から、チャナメツムタケだと判別できます。

その中で興味深かったのは、裏側にまだ内被膜が残っていたことです。記憶が正しければ、去年からチャナメツムタケの幼菌はしばしば観察しているにもかかわらず、これほど良い状態の内被膜を見たのは初めてです。

内被膜は、膜状ではなく白い繊維状で、綿を引き伸ばしたかのように隙間が空いています。

かなりユニークなので、本当にチャナメツムタケだろうか? これほど顕著な特徴を今まで知らなかったなんてことがあるだろうか、と現地では不思議に疑いましたが、帰ってから調べてみると、チャナメツムタケで間違いありませんでした。

むしろ、この幼菌時の内被膜を確認できたことで、チャナメツムタケであることを疑う余地はまったくなくなったといえます。

今回観察できた傘と同色の平たい鱗片や、綿の繊維のような内被膜は、今後チャナメツムタケを同定する上で重要な知見なので、ブログのほうにも追記しておきました。

去年は、カキシメジとの区別に怖気づき、白い綿毛のある個体しか採取できませんでしたが、こうして他のさまざまな特徴も知ったことで幼菌以外でも採取できるようになってきました。もちろん慎重であることは大切です。

(8)傘の中央が盛り上がったキノコ
ムキタケとチャナメツムタケが生えている草やぶの奥の地面に、1本だけ生えていた別種のキノコ。

傘の大きさは5~6cmで、薄い褐色。放射状に薄く繊維紋があります。

中央部分が盛り上がっていて、イッポンシメジ科、アセタケ科、フウセンタケ科のいずれかのキノコではないかと思わせます。

イッポンシメジ科を強く疑ったのですが、ヒダは白っぽく、特に赤みを帯びているようには見えませんでした。どちらかというと、赤系統より黄色系統の色味に思えました。

ヒダの密度はやや密。柄に直生していますが、拙者してみると微妙に垂生してもいて、これもイッポンシメジ科らしく感じた点です。

柄は傘と同じ薄い褐色。柄の頂部のほか、中ほどなどにも、白い粉や繊維のようなものがついていました。

断面を見ると、ヒダは直生で、柄の内部は中空でした。

調べても、それらしいキノコは見つかりません。

ヒダが赤みを帯びていないのでイッポンシメジ科は除外。

傘のサイズがそこそこ大きいので、アセタケ科の多くは除外、オオキヌハダトマヤタケは傘の質感が異なる。またヒダが直生である点も、アセタケ科の多くの種類とは異なる点。

アセタケ科と近縁のフウセンタケ科て外見が特に似ているのはトガリニセフウセンタケですが、ヒダの密度や付き方が異なっています。

ほかに傘の中央がとがるとなると、ネズミシメジやハエトリシメジもありますが、あまり似ている気がしません。

というか、チャナメツムタケに混じって生えていた別のキノコ、とみなしたのですが、もしかすると、これもチャナメツムタケだったり? 断面がチャナメツムタケと似ている気がするので、傘が乾ききった老菌の可能性が…?

(9)フミヅキタケ
一見テングタケ科みたいな姿をしているけれど、別の科に属すると思われるキノコ。上記のムキタケなどを見つけたすぐ近くの、トドマツ林横の草地に生えていました。

傘は3cmくらいと小型。表面は薄い黄土色で、傘のふちには、茶色い細い繊維のようなものがついています。

柄は傘と同色で、薄く黄土色がかっています。

特筆すべきはツバがあること。これがパッと見のテングタケ科っぽさにつながっています。しかしツバの形はテングタケ科に多いジャボのような形ではなく、リングのようです。またツバには放射状の条線があります。

また、根元に白い綿のような菌糸がはっきり認められるのも特徴的で、同定する大きな手がかりになりそうです。

ヒダの色は薄茶色。傘がどの程度まで開くのかわかりませんが、現時点では密に見えます。

ヒダの付き方は、意外にも、元々は上生~直生のようです。傘が開くととも柄から分離して離生になっているようにも見えます。

また、柄の内部は中空でした。

明らかに初めて見たキノコで、かなり特徴がはっきりしているので、ぜひ名前を知りたいと感じました。

現時点で最も近いと思うのはフミヅキタケです。傘の色、ヒダの付き方と色、ツバに条線があること、柄が中空であることなど、多くの点で特徴が一致します。

フミヅキタケはトドマツなど針葉樹林の林地や草地に生えるとされていて、その点も状況に合っています。

さらに細かい特徴を見ると、基部に白い菌糸の束がつくという特徴も記載されていました。

傘の周囲についていた茶色い繊維は謎ですが、傘のふちに内被膜の破片が残るという説明と関係しているのかもしれません。ヒダがまだ内被膜で覆われている段階の写真を見ると、傘のふちについている内被膜が茶色い繊維っぽく見えるので、その名残である可能性がありそうです。

しかし、フミヅキタケは、名前のとおり文月(旧暦7月)ごろに出るキノコ。時期が合わないなと感じましたが、現在の暦では8月中旬~9月中旬に相当するとのことで、それなら半月ほどしか時期がずれていません。

8月中旬~9月中旬なんて、さまざまなキノコが発生する時期なのに、どうしてこのキノコだけ月名を冠しているのかは謎。

フミヅキタケは一般的には3~8cmとされていて、この個体がそうだとすると最低サイズです。小型のコフミヅキタケという種類もあり、そちらは1.5~4cmなので、より近く思うですが、ヒダが垂生~湾生と記載されているので当てはまりません。

キノコは時期がずれると小型化する傾向があると思うので、ちょっと時期外れの無印フミヅキタケだから小さめなのかもしれません。

 

今日採取したキノコ。ムキタケ18枚と、チャナメツムタケ8本、ヌメリツバタケ5本。

ムキタケは、いつもお世話になっている近所の友達にプレゼントしました。うちが食べるぶんは、この前十分に採れたし、おそらく今後もまだ採れそうだったので。

毎年ハナイグチをあげているのですが、今年はいつものカラマツ林に入れず、採れそうになかったので、ムキタケを代わりに差し上げることができてよかったです。ムキタケを食べるのは初めてだそうですが、気に入ってくれるかな。

その後、庭のコンポストの埋め替えを行いました。以前は一日仕事で大変だった記憶がありますが、手慣れてきたのか、夕方から初めて日が暮れるまでに終わりました。穴もこれまでになく深々と掘れたと思います。これで冬は乗り切れそうです。

2022/10/05水

公園のキノコ。ヌメリイグチ,シロヌメリイグチ,ハナイグチ等

今年はハナイグチが多分採れないだろうと一昨日書きましたが、なんと一日にしてたくさん手に入れることができました。

昨日は一日中雨でしたが、今日はパラパラと降った後は、青空がのぞく良い天気。朝早くから仕事で出かけましたが、気温もとても涼しく秋らしくて気分が良くなったので、そのまま近所を探検することにしました。

まず、堤防の一昨年キクイモを採ったスポットへ。去年は花を咲かせる株が少なく、一本も掘りませんでしたが、今年も残念ながら勢いは回復していませんでした。

大きな芋をたくさん掘ってしまったせいなのだろうか…? 群生全体を掘り起こしたわけではないので、別に理由があるような気がするのですが…。

キクイモそのものは、道端に大量に生えているのですが、確実に誰かの土地ではないとみなせる場所で発見するのが難しく、この場所は貴重だったのですが残念です。

(1)ベニテングタケ
それから近所の公園に寄って、キノコが出ていないか歩き回ってみました。最初のうち、見つかるのは去年の晩秋にも出ていたベニテングタケくらいでした。日記を見てみると、10月上旬の同じ時期に生えていたようです。

少し色が黄色っぽいベニテングタケも見つかりました。半熟卵のようにツヤツヤで、とても美味しそうな色合い。食べられないのが残念。

昨日一日中雨だったわりには、イボがたくさん残っているのが不思議。あまり雨脚が強くなかったのかも。

(2)ヌメリイグチ
続いて、去年10/13(8)でヌメリイグチやハツタケが発生していたアカマツ林の横に行ってみると、今年もついにヌメリイグチが発生し始めていました。

ヌメリイグチは本来は北海道では発生しないキノコで、本州産の二針葉マツの周囲に発生します。この公園には本州のアカマツが植林されているため、北海道でもヌメリイグチが採れるというわけです。

去年見つけた時は食べられるキノコなのか確信がなかったため採らなかったので、ぜひもう一度出会いたいと思い、先月から足繁く通っていた甲斐がありました。

ヌメリイグチはハナイグチと比べると、傘の色がやや薄く、一見するとシロヌメリイグチのような灰褐色に思えました。去年見つけたのはもっと蜜柑色だったので、それよりも何故か色あせていて、最初はシロヌメリイグチかと思いました。

しかし、傘の裏側を見ると、引き締まった薄い黄色、レモンイエローの管孔でした。シロヌメリイグチなら、管孔の穴がもっと大きく肉眼で見えるので、明らかに別種です。

観察経験が少ないため、すぐにヌメリイグチだと判別できたわけではありませんが、管孔が薄い黄色で、管孔の穴の目が細かいイグチはヌメリイグチとチチアワタケくらいです。

そして、ツバがあるので、チチアワタケではなくヌメリイグチだと判別できました。また、若いチチアワタケなら管孔を傷つけると乳液が出ますが、このキノコは半分に切っても乳液は出なかったのでチチアワタケではありません。

去年見たヌメリイグチよりも傘の色がくすんでいるのは、単純に成長段階の違いです。去年のは傘の大きさが6cm以上ある成菌でしたが、今回のは4cmくらいで少し小型で、若干早く発見できたようでした。

とはいえ、ハナイグチと同じく、傘の色は個体差が大きいそうなので、たまたま色の薄い個体だった可能性も。

周囲には同じキノコの幼菌がたくさん出ていましたが、すでにナメクジに傘をかじられているのが多く、食べられる状態で成長してくれるのがあるかどうかは怪しいところ。

それから、この公園でイグチ系キノコが出ていたことに味を占めて、近くのちょっとした森にも出ているのではないかと探しに行ったところ、後述するハナイグチに混じって、ここでもヌメリイグチが出ているのを見つけました。

やはり傘の色が薄く、みたらし団子のような色のハナイグチに混じって、ちょっと白っぽい傘色だったので、やはりシロヌメリイグチかと一瞬思いました。

しかし、裏返してみると、またもや引き締まったレモンイエローの管孔でした。ハナイグチのような鮮やかな黄色ではなく、シロヌメリイグチのような穴の大きい灰色でもない。明らかにヌメリイグチ管孔です。

しかも柄にはツバがあるので、やはりチチアワタケの可能性を除外できます。どうしてここにヌメリイグチが…?と重って周囲を見回してみると、案の定そこにも二針葉のアカマツが植栽されていたのでした。

というわけで、今日のは2本のヌメリイグチを手に入れられたわけですが、本当にどちらも同じヌメリイグチなのかどうか、念のため、半分に切って確認してみました。

すると、どちらも同じ薄いクリーム色の肉、それよりやや濃い黄色の管孔という、同じ配色の断面だったため、両方とも同種だと確認できました。乳液も出てこなかったので、ヌメリイグチで間違いないでしょう。

また、特徴の一つとして、白い地色の柄には、細かい赤い粒点が散りばめられているのを確認できました。去年も確かめたとおり、これも見分ける有用な手がかりです。

こうしてヌメリイグチだと確認できたので、今回は持って帰りました。嬉しいことに、食べてみた32種類めのキノコになりました。

シロヌメリイグチ、ハナイグチと混ぜて調理してしまったので、特にヌメリイグチ特有の感想はありませんが、普通に美味しいキノコです。

(3)シロヌメリイグチ
その後、去年10/13(15)で、シロヌメリイグチのフェアリーサークル(菌環)ができていた場所に行ってみると、なんとすでにシロヌメリイグチがたくさん発生していました。

確か数日前にも見に来た記憶があるのに、いつの間にこれほど大きくなってしまったのか、もうすでに巨大なブヨブヨ状態になっている個体さえありました。

それでも、大量発生していたおかげで、まだ食べられそうなシロヌメリイグチはたくさん見つかりました。写真で確認すると全部で9本採ってきたようです。

今年はシロヌメリイグチは食べられないかと思っていましたが、去年の記録を頼りに何度も通った甲斐がありました。結果的に同じ場所に発生しましたが、去年より一週間早い発生だったので、早めに見に行くよう心がけて正解でした。

驚いたのは、帰って調理する時に、柄を切ってみたら、青く変色したことです。シロヌメリイグチに変色性があるとはまったく知らなかったので、目を疑いました。

手持ちの図鑑2種にはシロヌメリイグチの変色性についての記載はなく、いったいどういうことだろう?と調べてみたら、ネット上には複数のサイトに記述されていました。

どうやら、「若い時に柄の下部の部分に傷がつくと、うっすらと青緑色に変色」するとされていたので、たまたま柄の下部を切断したおかげで観察できたのかもしれません。

「うっすらと」というよりかなり鮮やかな青に見えるのですが、成長段階などで濃さが変化するのでしょうか。面白い特徴のひとつとしてぜひ覚えておきたいと思います。

(4)ハラタケ
その周囲にちらほせと出ていた白い傘のキノコ。傘がしわしわで、見たことのないイグチかと思ったら、裏返してみると、普通のヒダでした。

ヒダの色は薄い茶色で、すぐにハラタケかと気づきました。ハラタケの傘はもっとみずみずしいマッシュルーム似だと思っていたので意外でしたが、古くなるなどするとシワが寄って別物に見えてしまうようです。

ヒダの付き方は離生、密で、ハラタケの特徴と一致しています。しかし今年は今のところ状態の良いハラタケが見つかりません。

(5)ハナイグチ
この公園でヌメリイグチとシロヌメリイグチが出ていたことに味を占めて、ということは近所のカラマツ林にも出ているかと思って行ってみることにしました。

他にも利用者がいる場所なので、普段は行かない里山なのですが、いつも通っているカラマツ林に入れないので、今年はそこで我慢するしかありません。

そのカラマツ林では、やはり誰かがすでに採取しているのか全然見つからない…かと思いきや、カラマツ林内ではなく、森のふちの用水路沿いの道を歩いていた時に、たくさん発生しているポイントを発見。

待ちに待ったハナイグチです。ほとんどが幼菌でしたが、状態が良いほうが美味しいので、ある程度の大きさ以上のはすべて採取しました。

今年はこの美しいハナイグチの幼菌の引き締まった黄色の管孔を見ずに終わるだろうと思っていたので嬉しい。

前述の2本目のヌメリイグチもここで採取しました。他にも利用者がいる場所とは言っても、さすがに森のふちの通路のような場所は盲点だったようですね。

こうして公園および里山の横の通路で発見したキノコはかなりの数になりました。シロヌメリイグチが9本、ハナイグチが15本、ヌメリイグチが2本と大収穫。今年は無理だろうと思っていたのでとても嬉しかったです。

そこの通路に咲いていた外来種のキク、ネバリノギク(ニューイングランド・アスター)。ユウゼンギクと並んで勢力を増している要注意な外来種だそうですが、初めて見たので記録。色は赤紫色でいかにも園芸種っぽいです。

カラマツ林のキノコ。ホテイシメジ,エセオリミキ,カラマツシメジ等

しかし、それで話は終わりません。もう一箇所、入れそうなカラマツ林に心当たりがあったからです。近所のスキー場の森がカラマツ林で自治体の運営なので、自由に入っていいはず、ということで行ってみることにしました。

少し坂道を登って、しばらくカラマツ林を歩きましたが、最初のうちは何も見つからず、期待外れでした。1本たりとも見つからないのは想定外でがっかり。諦めて引き返しましたが、帰りは草が生い茂るやぶも探してみました。

すると嬉しいことにハナイグチ発見! 一帯がすべてカラマツ林であるにもかかわらず、ほんの一箇所だけにまとまって生えていました。イラクサやエゾイチゴが生い茂る中に生えていたので、採取するのはちょっと苦労しました。

少し離れた場所にも1本だけ見つけて、合計14本採取できました。これで今日見つけたハナイグチは29本になりました。もっとカラマツ林を探せばあったかもしれませんが、気軽にアクセスできる場所は他に思いつきませんでした。

(6)ホテイシメジ
さらに、そのカラマツ林で思わぬ発見が。ハナイグチが生えていたすぐそばに違うキノコが生えていて、よく見てみると、なんとホテイシメジでした。今年はカラマツ林に通えなさすぎて存在すら忘れていたので、旧友と思いがけず再会した気分でした。

ホテイシメジは全部で3本生えていて、ありがたく全て持ち帰りました。傘の色は灰褐色で傘の中央は杯型のようにくぼむのではなく、平らだったので、カヤタケなど毒性のあるキノコとも区別できました。

お酒と一緒に食べると中毒するキノコですが、お酒を飲まないわたしには関係ありません。味が濃い魚肉のような美味しいキノコです。

(7)エセオリミキ
そのすぐそばに出ていた黄褐色の傘のキノコ。ハナイグチと似ている色でしたが、ひらひらとした薄い傘の質感には見覚えがあり、エセオリミキだろうと気づきました。

モリノカレバタケの仲間ながらボリュームがあるので、普通に食用になるキノコなのですが、いつもなんとなくで見分けていることが多いため、まだ食べてみる気になれません。晩秋の他のキノコが出なくなってきた頃によく見る気がします。

ヒダは白くやや密、柄は傘と同じような色で下方に向かって太くなり中空。

状態は良かったので、食べてみるならチャンスだったかもしれませんが…。「姿が変化に富むため自信を持ってエセオリミキと判断するのが難しい」ともあるので、やや二の足を踏みます。

個人的には、そんなに見分けづらいキノコと思わず、むしろ簡単にそれっぽさを感じられるキノコなのですが、それだけに安易に判断しそうで危険なので、厳密に判別できる特徴を調べたいところです。

でも調べても、他に役立ちそうな手がかりが見つからないんですよね、ヒダが上生~離生で、柄に条線があり、しばしば柄がくの字に屈曲するという点くらいか。あまり決め手にならなそう。

(8)カラマツチチタケ
これもまたその周辺に出ていたキノコ。傘の大きさは4cm。

うっすらと環紋の現れたオレンジ色の傘ということで、一見するとアカモミタケを思わせるのですが、ここはカラマツ林。アカモミタケがあるはずはなかろうと思い、調べてみました。

すると案の定、ヒダは白っぽいクリーム色で、アカモミタケでないことがはっきりしました。これは過去にも何度か騙されたカラマツチチタケだろうとすぐに気付けました。

ルーペで見てみると、白色の乳液がすでに染み出ているのが見えました。勝手に染み出ていたものなので、すでに時間が経っていると思われ、変色性がないこともわかりました。カラマツチチタケの特徴と一致しています。

その近くにも、もう一つ同じカラマツチチタケが発生していました。傘の大きさは、3.5cmほど。カラマツチチタケは図鑑によると2.5~5cmなので、どちらも典型的な大きさだと思います。これも薄く環紋が浮き出ています。

裏側はやはり、ヒダはクリーム色で、垂生、密。乳液が滲み出ていました。柄は傘より薄い肌色で、アカモミタケなどと同様、若干のクレーターがありました。

今年は見る機会がないかなーと思っていたキノコの一つで、カラマツ林はどこでも同じなのだなぁと妙に懐かしい気分になりました。

(9)カラマツシメジ
しかし、今までカラマツ林で見たことのない謎のキノコもたくさん発生していました。

傘はオレンジ色~褐色でザラつきがあり、2.5cmくらい。しかし、これはまだ幼菌に近く、もっと大きく成長するようです。

裏側のヒダは白っぽいクリーム色で、密度は普通、特筆すべきはヒダが明らかな湾生であることです。この時点でも、なんとなくシメジっぽさを感じました。

柄は頂部は白く、それより下は傘と同じ褐色で、表面も傘と同じくザラつきがあります。

さらに周囲を調べると、大小さまざまの似たキノコが見つかりました。同種なのかどうかわかりませんでしたが、傘の色や質感は似て見えます。

一番大きいのを調べてみたところ、傘の大きさは6cm。裏側のヒダはクリーム色の地に、赤褐色の染みがたくさん生じていました。

しかし、ヒダが湾生であることや、柄の頂部だけ白いことなど、他の特徴はさっきの小さな個体と同様でした。

柄の表面は、さっきの小さな個体と同じ、小さな粒点のようなものがあり、ザラついています。

断面を見ると、やはりヒダは湾生、肉はやや肌色がかった白色、柄の内部は中実でした。

そして、両者の中間程度の個体。傘の大きさは3cmくらい。

ヒダはクリーム色で、少し赤褐色の染みができかかっており、湾生。柄りの頂部だけ白いことなどが共通しています。このことから、いずれも同じキノコの異なる成長段階だろうとみなすことができました。

ではこのキノコは何なのか。カラマツ林に生え、ヒダが湾生でシメジっぽいという特徴を手がかりに調べると、その名もカラマツシメジというぴったりな名前のキノコがあることがわかりました。

図鑑によれば、傘は3~5cm、表面は淡褐色で細かい鱗片に覆われる。肉は白~黄褐色。ヒダは湾生で、やや疎、白~クリーム色だが、古くなると褐色の染みができる。柄は傘と同色の小鱗片に覆われる。とあり、観察した全ての特徴と一致しました。

カラマツ林に特有のキノコだそうで、去年まであれだけカラマツ林に通ったのに発見していなかったのが不思議。あるいは発見していたものの同定に至っていなかっただけなのだろうか。この機会に顔見知りになれてよかったです。

最後に、今日みのスキー場のカラマツ林で採取したキノコ。ホテイシメジが3本、ハナイグチが14本。ここにエセオリミキも採っておくべきだったかと後ろ髪引かれますが、まあいいでしょう。

ホテイシメジの写真が少なかったので、傘が見える角度のものも。傘の中央がほぼ平らに開いていることが見てとれます。

ハナイグチ、ヌメリイグチ、シロヌメリイグチなどは、定番のお味噌汁にしていただきました。やはりこの時期のイグチの味噌汁は他には代えがたい魅力に満ちあふれていますね。

ホテイシメジのほうは、先日のクロノボリリュウタケなどと合わせて炒めご飯にしました。今年は無理かと思っていたキノコ三昧を楽しめて、本当に充実した一日でした。

2022/10/07金

ムキタケとチャナメツムタケが大収穫

今日は農作業の予定がありましたが、その前にちょっと森にムキタケの様子を見に行きました。するとやっぱり大量発生中。前に見たのが大きくなっている上、小さいのもたくさん発生していました。

中くらいの大きさのはもうしばらく成長を待ってから採取しても良かったのですが、明日が雨予報だし、時間が取れるかもわからないので、小さいもの以外は採取しました。

中くらいのサイズでもヒダを見ると傷んでいるのもありましたし、採るタイミングは難しいですね。悩めるだけ贅沢というものですが。

地面に目をやると、チャナメツムタケがたくさん発生していました。ムキタケとチャナメツムタケが大量に生えるびっくりするようなポイント。他の場所にはそんなに生えないのに、この一角だけなぜ?

時間がなかったので、ゆっくり写真を撮れなかったのが悔やまれますが、10cm級のチャナメがあって、どうせこれは傷んでいるだろうとヒダを見てみたら、白くきれいな状態でした。かなり大きくても意外と食べられるものです。

10cm級で白い鱗片も残っていないとなると、毒キノコのカキシメジとの区別が必要になってきます。ネットで写真を見ただけでは似ているように見えてしまいます。

見慣れた人が書いた記事によるとそんなに似ていないそうですが、わたしはカキシメジを見たことがないのでなんとも。

区別点の一つに、カキシメジは古くなったの手でヒダに触れたりすると、赤褐色の染みができるという点があります。今回採取したのは全部きれいな白っぽいヒダで、下処理のためにヒダに触れたり洗ったりしても変色しませんでした。

別のポイントとして、チャナメツムタケは激しくぬめりますが、カキシメジは濡れると少しぬめるというだけのようです。採取する時も洗う時もひたすらツルツルするのは、チャナメツムタケ特有なのでしょうか。

また確かめませんでしたが、カキシメジは不快臭があるともされていました。ここ最近は、傘に白いささくれのない成菌を採ることも増えているので、今後は念のための採取時や調理前に匂ってみる癖をつけたほうがよさそうです。

採取したキノコ。写真で確認するとムキタケは約40枚、チャナメツムタケは10本となりました。大収穫です。

その後出かけた農作業では、ミニトマトおよびモロッコインゲンの最後の収穫と、支柱アーチ解体、それから藁集めなどをしました。着々と片付けて畑が寂しくなっていく様子に冬の訪れを感じます。

畑でできたヘチマとヒョウタン。どちらも巨大。ヘチマは手触りがふわふわして柔らかく、ヒョウタンは硬くて思いです。

2022/10/08土

公園のキノコ。カバベニタケ?,ハナイグチ,シロヌメリイグチ等

今日はなぜかひたすら眠くて、なかなか出かける気になれず。でも今日森に行っておかないと、次に行けるのは月曜になりそうだったので、無理にでもダイナミックストレッチして眠気を飛ばして外出しました。

ところが珍しいことに、いつもの森に団体さんが来ていて、静かに観察できそうになかったので断念。もう一つの里山にも行ってみましたが、そちらにも大勢の人。いったい何事?

まるで人間を遠くから見かけるや、そっと逃げるヒグマのようなありさま。クマも肩身の狭い思いをしてるんだなぁ…と同情してしまいました。

それで、墓地横の広葉樹林に久々に様子を見に行ってみることに。そろそろ新しいハタケシメジでも出ていないかと期待していたのですが、そのタイミングで今度は雨。けれども小雨だったので、そのまま観察を続行しました。

(1)傘が鱗片に覆われたキノコ
広葉樹林の遊歩道を歩いていくと、ホコリタケはたくさん見つかるのですが、それ以外のキノコが皆無、しかしその中で、ひとつだけ違うのが見つかりました。

一見すると、黄褐色のホコリタケにも見えなくもない傘の丸さと鱗片でしたが…、

傘は3.5cmくらいで、傘の表面は、〇〇スギタケとでも名前がついていそうな放射状のささくれでびっしり覆われていて、特に中央部分のささくれが大きめです。

裏側がヒダだったので、ホコリタケの仲間である疑いは晴れました。ヒダはクリーム色でやや密。断面を見ると、ヒダの付き方は直生。

柄は傘より薄いオレンジ色を帯びていて、内部は中空でした。柄の頂部のみ白い微細なささくれのようなものが付着していました。

〇〇スギタケの可能性を考えたいところでしたが、それにしては柄がなめらかすぎます。コバヤシアセタケは柄が中実である点が異なりますし、表面の鱗片の雰囲気もあまり似ていません。

図鑑のモエギタケ科の項を調べてみましたが、それらしいのは見つかっていません。

(2)ベニテングタケ
全然キノコが出てない中、遊歩道の端のほうまで歩いていくと、遠くから、赤いキノコが見えました。一瞬タマゴタケに見えましたが、時期的に違うだろうと思ったら、やっぱり立派なベニテングタケでした。

その後、公園に寄った時も、あちこちにベニテングタケが生えていました。ベニテングタケはどの成長段階でも絵になる稀有なキノコ。食用にならないからか、生えてもそのまま放置されているので心ゆくまで楽しめます。

幼菌もちらほらと生えていて、去年も肌寒くなった頃に大発生していたのが思い出されます。

(3)巨大ニガクリタケ? クリタケモドキ?
話を少し戻し、広葉樹林の遊歩道にて。全然キノコが生えていなかったのですが、引き返す帰り道で、ふと茂みの中を見ると、シラカバの朽ち木の根元にものすごい光景が!

何か黄褐色のキノコが大量に生えています。その数すさまじく、数十本~百本はあるかもしれません。イヌセンボンタケやセンボンクズタケを思い浮かべましたが、どうも違う感じ?

やぶの中のかなり入りづらい場所にあったので、少しためらいましたが、これだけ大量発生しているキノコを調べずにはおれません。多少の不快さには目をつぶって茂みに入り、座り込んで調べてみました。

傘の色はオレンジ色で、最終的には平たく開くようで、条線はありません。サイズは5cmくらいまで成長するようです。

傘がまだ開ききっていない個体も数多く、ふちには内被膜の破片と思われる白い綿毛のようなものがたくさん残っていました。

傘の裏のヒダは密、色は傘と同じ黄褐色ですが、角度によっては若干、グレーや紫色が入っているようにも見えます。ということはこれはクリタケの仲間でしょうか?

ヒダの付き方はルーペで観察しても、断面を見ても、かなりはっきりとした湾生です。

柄はとても長く曲がりくねっていて、上方は白く、下方は褐色の繊維で覆われています。柄の内部は中空でした。

全体的にクリタケに似ているのですが、傘の色が赤くない点のみが違っています。それで黄色っぽいクリタケであるクリタケモドキだろう、と考えたのですが、残念ながらクリタケモドキは針葉樹に出るキノコです。

今回のキノコが生えていた枯れ木はシラカバでした。じつはトドマツの見間違えだったとかなら話は簡単なのですが、写真にツリガネタケも映っているので、シラカバの枯れ木で間違いありません。

それにクリタケモドキにしては、ヒダが黄色っぽいのが気になります。クリタケやクリタケモドキなら、ヒダはもっと紫みが強いはずですが、このキノコの場合、黄色みのほうが強く感じます。

とはいえ、黄色いと言っても、典型的なニガクリタケのように硫黄色のヒダでもなく、薄茶色に見える程度です。

しかし、クリタケ→傘とヒダの色が違う、クリタケモドキ→生えている樹種が違う、ニガクリタケモドキ→束生しているので違う、となると、残りはニガクリタケしかないのも事実。

表面にぬめりがないことから、ナメコやチャナメツムタケは除外できるし、ツバがないので、センボンイチメガサも違う。

サイズ的にはニガクリタケの上限5cmと一致しているので、巨大なニガクリタケ?

でも、今まで見てきたニガクリタケとあまりに違いすぎるので、全然納得はいきません。何かの事情でクリタケモドキがシラカバに生えているほうが、まだ納得できるレベル。

(4)カバベニタケ?
それから雨が止んできたので、公園にも寄ってみました。

公園のシラカバ林に最近よく生えている謎の白いベニタケ科。先月も何度か見かけて、ヒビワレシロハツではないかとみなしていましたが、どうも怪しいことがわかってきました。

まず、先月見た時も確認したとおり、傘は真っ白ではなく、部分的にほんのり赤みを帯びています。

傘の大きさは4~5cmで、傘の周囲には目立つ条線があります。

ヒダと柄は白色ですが、柄は傘と同じく、一部赤みを帯びている箇所が確認できます。ヒダは密で離生。

とりあえず硫酸第一鉄で変色性を確認しようと思って持って帰ってきたのですが、驚いたのは傘の色が変化していたことです。当初はほぼ白だったのに、いつの間にか全体が薄いピンク色になってしまっていました。

これだけ赤みがあれば、もはやヒビワレシロハツとみなすことはできなくなります。

柄に、硫酸第一鉄を塗布してみると、最初は変化がないかに思われましたが、ゆっくりと色が出てきました。

やがて、ほんのりと赤いピンク色になりました。

いつのまにか変色していた傘の色と比較。柄がまったく同じ色に変わったことがわかります。傘のほうは試薬をつけていないので。なぜ変色したのか不明。カゴに入れて持ち歩いていた時の振動や衝撃によるものでしょうか。

ヒダのほうにも試薬を垂らしてみたところ、かなりわかりにくいですが、やはり同じ薄いピンク色に変色したように見えました。

このキノコは一体何? ほんのりした赤みからケショウハツか思いつきましたが、調べてみると、条線はありませんし、変色性もなく、全然違うキノコのようでした。

少なくとも手持ちの図鑑には、それらしいキノコは載っていません。かなり面白い性質を持つキノコなので、不明種のまま終わらせるのは残念なのですが…。

追記 : Google Lensのファインプレーで名前が判明しました。その名もカバベニタケといい、シラカバの木と共に育つベニタケ科キノコだそうです。

一応、和名があるにはあるのですが、日本では報告されていないのか、情報が無きに等しく、学名Russula betularumで調べるほかありません。こんな珍しいキノコがたくさん出るなんて、さすが道北。日本じゃないみたい。

というか、学名で調べてもwiki以外にまともな情報がないのが謎。変色性やFeSO4での変色反応についての記載も見つかりませんでした。

しかし、画像検索で出てくる写真は、非常に似ているので、発生環境がシラカバ林であることからしても、カバベニタケの可能性は高いでしょう。

(5)ヤマドリタケ
ヤマドリタケをまた発見。去年、最初に見つけたシラカバのあたりです。去年の日記を見ても今ごろ発見しているので、まだ発生する可能性があるかもしれません。

(6)シロヌメリイグチ
公園内のかなり遠い位置にある数本のカラマツ。一日に数人歩くだろうか? というレベルで過疎っている場所ですが、去年、シロヌメリイグチが出るスポットだと判明し、10/5にも採取できたので、また行ってみました。

すると、前回採取した場所は老菌の残骸ばかりでしたが、少し離れた場所に大量の小さな子実体が群生しているのを発見。ナメクジに食われていないのを選んでたくさん採取できました。

小さくてもナメクジに食われることは多いので、まだ傘が黒っぽい幼菌でも、数センチ程度あれば採ることにしました。

今回も根元からナイフで切りましたが、前回発見したように、柄の断面が青く染まるのがありました。しかし、全て青変したわけではなかったので、確実に認められる特徴ではなく個体差があるのかもしれません。

(7)ハナイグチ
広い公園内には、そのほかにもカラマツが点在しているので徒歩で巡ってみました。絶対誰もいかないような場所にカラマツもダメ元で行ってみたら、驚いたことに、非常にきれいなハナイグチが数本。

傘の色と模様が微妙にハナイグチっぽくなく感じたのですが、普通にハナイグチでした。前々から思っていましたが、傘の色や質感はかなり変異が大きなキノコですね。

しかしどんなハナイグチでも、裏側を見れば、鮮やかな黄色の管孔とツバのおかげで、100%見分けがつくのはよいところです。

公園内のカラマツを巡ってみましたが、意外なことに一番たくさん出ていたのはかなり目立つ場所にある一本のカラマツの樹下でした。もう朽ちているのも多かったので、誰も採りに来ていなかったようです。灯台下暗し?

朽ちているのもあれば、ナメクジに食われているのも多かったですが、管孔がきれいなのも10本以上見つかり、ありがたくいただきました。

(8)ヌメリスギタケモドキ
公園と川の境目のヤナギ並木に、ヌメリスギタケモドキが出ているのも確認できました。場所的に高枝切りばさみがないと届きそうにありません。

毎年この時期になると、ヌメリスギタケモドキ、キハダ、ホオノキのためだけに高いお金を出して高枝切りばさみを買うべきか悩みます。他にヤマブドウやコクワなど大量に採れるスポットがあるなら考えてもよいですが…。

公園で採ったキノコ。かなりの量になりました。ハナイグチ16個、シロヌメリイグチ20個、ヤマドリタケ1個。今年はハナイグチは食べられないと思っていたのに、これほどの収穫になるとは公園も侮りがたし。

2022/10/09日

ヌメリイグチ,アオネノヤマイグチ発見。ホオノキの実も採取

朝から出かけたけれど、頭痛いし調子が今ひとつ。それでも、帰りに公園など寄って、意外と楽しい発見が色々ありました。

まず、都市近郊の公園のカラマツ林に寄ってみたら、かなり雑草だらけでヒグマも出そうな場所なのに、すでに誰かがキノコ狩りをしたような形跡がありました。やっぱり今の時期のカラマツ林はそう甘くないか。

しかし、ハナイグチは採り尽くされているのに、相変わらずシロヌメリイグチは残っていて、かなりの量が採れました。きれいな傘なのに、抜かれてそのまま放置してあるのもあって、ありがたくいただいて帰りました。

おそらく今朝くらいに誰かが採りに来たものの、ハナイグチ(ラクヨウ)以外のキノコは知らない地元の人だったのでしょう。シロヌメリイグチはハナイグチと同等なので、採らないのはもったいないです。

その後、帰り道で、久しぶりに山道を通って帰宅する際に、偶然見つけたキハダの木。市営牧場の少し手前にありました。

3本のうち2本は高枝切りバサミがあれば採れる高さに枝があり、これまで見たことがないレベルの豊作に実っていました。例にキハダ好きな友人の家の近くなので、この場所をぜひ教えてあげたいです。

そして、昨日、大量にキノコを見つけた近所の公園に行ってみたら、まだまだ採れそうなキノコがありました。ここでも、おそらく今朝ごろ誰かがキノコ狩りに来た形跡がありましたが、どうせラクヨウ以外は知らない人のようです。

まずアカマツ林の横に出ているヌメリイグチ。ラクヨウを探す人はカラマツ樹下しか見ないので、二針葉マツ樹下に出るこのキノコはノーマークなのでしょう。たくさん生えていました。

最大10cm程度の大きさになるキノコであることは知っていますが、公園のはナメクジに食べられて傷みやすく、幼菌でもすでにボロボロになっているのも多いです。それで、3cm程度の幼菌でも傷んでいなければ採取してしまいました。

初めて見た、ツバが形成される前の内被膜が残っているヌメリイグチ。

内被膜を破ってみれば、内側に薄いレモンイエローの美しい管孔が見えました。内被膜が破れていないのにすでに虫が入ったような跡があり、公園に生えるキノコがいかに虫に狙われやすいかを物語っています。

そのヌメリイグチに混じって、ヤマイグチも生えていました。傘が黄褐色に近いので、キンチャヤマイグチかな?と思ったのですが、傘のふちがひさしのようにはみ出る特徴がなかったので、無印ヤマイグチのほうです。

ヤマイグチの傘の色は黄褐色~灰褐色~暗褐色とされていて、ネットで写真を見ると、黄色がかっている個体も普通に多いようです。キンチャヤマイグチはその名のとおり金茶色なので、金色成分が不可欠なのかも。

ヤマイグチは森で見つけても公園で見つけても虫に食われるのが早く、なかなか食べる機会が乏しいキノコ。すでに管孔がボロボロでした。

でも、かなり小さいながら、まだ虫食いのないヤマイグチを発見できました。これも傘がかなり明るい色ですが、キンチャヤマイグチではありません。

傘のサイズは2.5cm程度で、ヤマイグチとしては小型。

傘がまだあまり開いておらず、管孔面は美しい真っ白で、膨らんでいなくて平らです。

傘のふちがひさしのようにはみ出ていないことから、キンチャヤマイグチではないと判断できます。

柄はびっしりと黒い鱗片で覆われていて、ヤマイグチの仲間であることがひと目で分かります。

さて、これがただのヤマイグチではないと気づいたのは、持って帰った後になって、切断した根元の断面が、青く変色しているのに気づいた時でした。もしかして、名前だけ知っているアオネノヤマイグチでは?

改めて調べてみると、無印ヤマイグチでも、根元が青く変色することはあるそう。しかし、肉には変色性がないそうです。

一方、アオネノヤマイグチは、根元が青く変色するだけでなく、肉はワイン色に変色するとされていました。

それで、試しに半分に切断してみると、最初は白かった肉が…、

数分後にはワイン色に変色していました。また根元の青い色も、より濃くなりました。一本のキノコの上部と下部で変色性が違うというのは初めて見たので興味深かったです。

傘の内部の肉は変色せず、柄の部分だけ薄く赤みを帯びて、根元のみかなり濃い青色が出るという、非常に面白い性質でした。図鑑などで説明されているアオネノヤマイグチの特徴と一致します。

公園などで採ってきたキノコ。シロヌメリイグチ14本、ハナイグチ2本、ヌメリイグチ7本、アオネノヤマイグチ1本。そこそこの分量が採れて満足のいくキノコ狩りでした。

その後、さらに二匹目のドジョウ…ならぬ二杯目のキノコを求めて、家の近くのスキー場のカラマツ林に登ってみました。先日きれいなハナイグチがそこそこ採れたので期待していたのですが、なんとすでに誰かが採った跡が…。

今日はこんなのばかりですね。この時期のカラマツ林は甘くないことを思い知らされました。地元の人が知っているキノコといえば、ほとんどラクヨウしかないので、さすがに競争率は激しいようです。

やはり、キノコ狩りにしても山菜採りにしても大事なのは、いかに他の人が知らないものまで知っているか、競合しないものをターゲットにできるか、ということだと思います。そのほうが資源を取り尽くさずにすむので自然にも優しい。

その後、反対側の誰も入っていなさそうなカラマツ林も行ってみたら、なんと、実をたくさんつけたホオノキを発見! しかも斜面を下っていけば手の届くところに実っていました。

今年は友人宅のホオノキが実らなかったので、ホオノキ茶は飲めないと思っていましたが、こんなところで発見できるとは。

森の斜面を下るのはちょっとスリリングでしたが、滑り落ちるような角度ではなく、単に深いやぶになっているだけだったので、慎重に移動することで、問題なくゲットできました。リスクなく採れそうな2つだけ選んで採取。

ほかに、ひっそりと生えていたハナイグチも3本発見することができました。他人と競合しないもの、競合しない場所を探せるのも、日ごろからの深い自然観察のたまものです。今年も美味しいホオノキ茶が楽しみです。

2022/10/11火

今日のキノコ。クリタケモドキ,ウスキモリノカサ,サナギタケ等

昨日は一日中大雨で森歩きできず。今日も断続的な雨。しかも、出かけた都市部で思わぬ待ちぼうけを食らわされて、なかなか家に帰れずイライラしました。

待っている間に都市部の公園も散歩してみましたが、つまらない…。ちょっとキノコがありそうな草やぶのほうに行くと、ゴミが捨ててあったり、注意書きの看板があったりして興ざめでした。

その点、地元の公園は、非常に広いにも関わらず、ゴミは全然なくきれいで、どこでも入っていけるので、雲泥の差です。原因はもちろん10倍の人口差でしょう。人が多ければマナーの悪い人もそれだけ多くなるのが悲しいです。

(1)ツチスギタケモドキ
都市部の公園では、例年、こればかり大量に生えるツチスギタケモドキ。ちょうど幼菌が生え始めていました。

幼菌は小指サイズで、まるでエビフライの衣のような鱗片で覆われていて、とても美味しそうです。昔は食用にされていたようですが、今は微毒があるとされていますし、そもそも食べた人によると美味しくないそうです。

見るぶんにはユニークでとても楽しいキノコ。

(2)キララタケ?
別の公園の茂みにあった朽木の切り株に生えていた材上生のキノコ。

傘が黄土色で濃淡があり、柄が真っ白で光沢がある、という特徴から、イタチタケかなと思いました。

でも、イタチタケの重要な特徴である傘のふちにぶら下がる内被膜の破片は見当たりません。それに今はイタチタケのシーズンではなさそう。

裏側を見ると、いよいよイタチタケらしくないことに気が付きました。まず、傘のふちには内被膜が残っていましたが、イタチタケのような膜状ではなく繊維状です。

また、ヒダの色も、イタチタケならピンク~薄茶色がかっていることが多いですが、このキノコは真っ白。イタチタケも最初は白いですが、このサイズまで白いままということはないはず。

極めつけは、ヒダの付き方が上生~離生。イタチタケは直生なので明らかに異なっています。

何のキノコか悩みましたが、おそらくキララタケ? 1枚目の写真の開いた傘はヒトヨタケ科らしい雰囲気があります。ヒダが白く離生であること、柄が白いことなども当てはまります。

傘のふちに付いていた繊維状の被膜については、キララタケにも同じような被膜かあることを示す写真があったので、有力な手がかりとみなせます。

すぐにキララタケが思い浮かばなかったのは、傘のイメージが異なっていたからです。キララタケなら傘のふちに目立つ条線があるはずですが、このキノコの場合、それが目立ちません。

けれども、もしかすると、雨に濡れたせいでわかりづらくなっているのかもしれません。キノコは濡れると印象が大きく変わるので、大雨の後は特にわかりづらいです。

(3)草地に生えていた黄褐色のキノコ
同じ公園の草地に生えていた、雨に濡れてテカテカになっていた黄褐色の傘のキノコ。

傘の大きさは4cmくらい。傘は平らに開き、ふちに短い条線あり。

弱っていたのか、抜こうとすると、柄はちぎれてしまいました。

ヒダは薄茶色、上生、やや密。

そばにもう少し小型の2cmほどの同種のキノコもあったので、そちらも抜いて、柄を調べてみることにしました。

傘の大きさに比べて、柄がかなり長い印象。柄は薄茶色で、ツバはなし。

柄の頂部に粉や条線のようなものがわずかに見えますが、ヒダを湾生とみなすほどのものには思えません。

断面を見ても、やはりヒダは上生のような気がしました。

公園に生えることからして、シバフタケやハタケキノコが思い当たりましたが、ヒダの密度や付き方が異なっていました。

結局、何のキノコかわからず。乾いている状態も見てみたかったところ。

(3)ムキタケ
それから、ようやく帰宅できて、まだ日が暮れるまで少しだけ時間があったので、森へ出かけました。

しかし、雨がまた突然降ってきたので、あまりじっくり観察することはできず、とりあえずムキタケ地帯にだけ行って、成長した個体を採取することにしました。

雨に濡れたムキタケは、あたかも宝石のような深い光沢を放っていて、おもわず見とれてしまうほどでした。

新しく発生しているのもたくさんあり、かなりの量を収穫できました。小さいから成長するまで待とう、と思って残しておいたものが、そのまま成長せず朽ちていることもたびたびあって、採取するタイミングはなかなか難しいです。

(4)クリタケモドキ
その近くの倒木に出ていた謎のキノコ。一見するとムキタケに似ていますが、柄があったので別物だとわかりました。そもそもムキタケが出ない倒木なので、木の種類が違うと思われます。おそらくトドマツ?

傘の大きさは7cmくらいあり、中央が濃い黄褐色で、条線などはないようでした。

横に生えているのは時期的にエノキタケにもそっくりですが、柄を観察したところ違うように見えました。

今日は雨が降っていたので、採取して確認することまではせず、詳しい同定は次回以降に試みることにしました。

そして、翌日、改めて観察した結果、クリタケモドキだと判明しました。ムキタケが出ない針葉樹から発生していたこととも一致しています。詳しくはそちらの日記にて。

(5)ウスキモリノカサ
前にクロラッパタケが生えていたあたりの、トドマツ・ミズナラ林の端に生えていた白い綿のような傘のキノコ。てっきりヒダが長く垂生する、◯◯イヌシメジなどのキノコだと思っていたら…、

引き抜いて確認すると、まだ傘が開いていない幼菌でした。悪いことをしてしまった。

傘の大きさは現時点で4cmくらいですが、開けば8cm程度にはなったでしょう。傘のふちに条線はなし。傘色は若干黄色を帯びている白。

ヒダは綿のような内被膜で覆われていて、柄は白く、上部がやや赤みを帯びていました。配色が面白く、フェルト細工のような質感も相まって、とても可愛らしいキノコです。

もう引き抜いてしまったものは仕方ないので、正体を探るために断面も確認してみることにしました。

すると、ヒダはテングタケの仲間のような離生で、全体的に柄の上部と同じ赤みを帯びていました。また、柄は表面のみ薄い赤や黄を帯びていて、内部は中空でした。

ヒダが赤みを帯びていることからして、テングタケ科ではなくハラタケ科のように思えます。記憶の中で思い当たったのはウスキモリノカサ。

調べてみると、傘が淡黄色、ヒダが若い時は赤みを帯びて、のちに黒くなる、そして綿くず状のもこもこした内被膜といった特徴から、ウスキモリノカサで間違いなさそうです。

柄の上部がピンク色だという記述は特にないのですが、ネット上の写真で確認するとその特徴がみられるようです。胞子の色なのかなと思いますが、内被膜がまだ剥がれていないのに、柄に色がつくのは奇妙なので地色なのでしょうか。

かなり美しいキノコなので、知っていれば抜かずに経過観察したかったところです。また来年以降出会った時のために記憶にとどめておきたいです。

しかし、同種のハラタケやマッシュルームと同じく食用キノコだそうで、採取した段階では食べることもできたようです。次回幼菌に出会った食べるか成長を見守るか選択を迫られるのも悩ましいところ。

(6)サナギタケ?
その知覚のトドマツの根元に生えていた超極小の鮮やかなオレンジ色のキノコ。サナギタケ、スリコギタケ、ナギナタタケなどかな?と観察。

ルーペで見ると、先が丸く、細かい鱗片で覆われているようでした。この形と質感からしてサナギタケでしょう。

この下に虫の死骸が埋まっていると思うとちょっと気持ち悪い…。虫好きな人なら掘って確認するでしょうが、わたしはまだそのレベルに達していません。

(7)ズキンタケ
そのすぐ知覚に生えていた、海産物のような生々しいもの。一見すると軟体動物のような奇妙な外見ですが、傘の形と緑っぽい色から、以前にも見たことがあるズキンタケだろうと見当がつきました。

これもサイズは極小レベルで、傘の幅は0.5mmくらいしかなく、本当はもっと生えているのに気づいていないだけかもしれません。

ルーペで拡大してみると、濃い青緑色の傘と、薄いベージュの柄。柄には細かい粒々がありますが、キノコの一部なのか、小さな虫なのかは不明。

配色からすると、アオズキンタケの可能性もありますが、柄の色が青みを帯びていないので、アカエノズキンタケの柄の色が少し薄くなったものにも見えます。

しかし、柄の色からすると、最も近いのは無印ズキンタケです。調べてみると、無印ズキンタケは古くなると傘が暗緑色に変化するということなので、おそらくズキンタケの老菌と思われます。

柄の粒々については、もともとズキンタケの柄には、微細な淡色の鱗片がついているそうで、これ(柄を指すのか鱗片を指すのかは不明)も傷むと、ゆっくり暗緑色に変色する性質があるそうです。

だとすると、柄についている傘と同色の粒々は、やはり古くなって傷んだことで変色したものだとみなせるかもしれません。

最後に、今日採れたキノコ。雨が降る中での採取だったので、ちょっと小さめのも採ってしまったのは良くなかったかもしれませんが、ムキタケが37枚、チャナメツムタケが5本。そして次項で書くフキサクラシメジが1本でした。

初めて生臭いフキサクラシメジを食べてみた

(8)フキサクラシメジ
さて、トドマツ林で見つけたもう一つのキノコがフキサクラシメジ。去年も10/5(7)10/13(4)で発見しているので、晩秋にトドマツ林に出るキノコといえます。

まず傘が薄い桜色なのが特徴。似たキノコに近縁のハダイロガサがありますが、ハダイロガサは写真でみると肌色というより黄褐色なので、この色合いはフキサクラシメジです。

また、ヒダが明らかに疎であることから、ヌメリガサ科であることがうかがえます。ヒダの付き方は、後で断面を確認したところによれば、直生~やや垂生で、フキサクラシメジの特徴と一致していました。

また柄は、曲がりくねっていて中実であることも、ヌメリガサ科らしさが感じられました。

そして、同定する大きな手がかりとなったユニークな特徴が、柄の基部が黄色いことです。採取した段階(上の写真)でもやや黄色っぽい傾向がありましたが、帰って水洗いしていると、非常に濃く明瞭に変化しました。

採取した時にはあまり目立たなかった面の柄も黄色っぽさが現れていました。

柄の表面は名前のとおりぬめりがあります。中央部分が濃い色で鱗片のようなものも確認できましたが、特に図鑑等には記載がありませんでした。

柄の上部には、去年も確認したように、微細な白いささくれがあります。これは他のシロヌメリガサなど近縁のヌメリガサ科でも確認できる特徴。

フキサクラシメジの最大の特徴はその匂いだとされますが、そのままヒダあたりを匂ってみても、特にわかりませんでした。

しかし半分に切って断面の匂いを嗅ぐと、ものすごく生臭い…! 生魚っぽい不快臭があり、同定の強力な根拠となりました。

近縁種には、サクラシメジ、アケボノサクラシメジなどがありますが、まず傘の色からフキサクラシメジの可能性が濃厚で、さらに根元が黄色であること、そしてこの不快臭があることから、フキサクラシメジと同定しました。

しかしそれでも、フキサクラシメジは食用キノコ。一度は味見しておかねばと思い、茹でてみました。

多少は匂いがありますが、ネットで書かれているほど強くはありません。フキサクラシメジの匂いは、ヌメリツバタケと同様に地域差があり、このあたりのものはさほど匂いも苦味も強烈ではないのかもしれません。

しかし、食べてから少し経つと、なんだか嫌な生臭い後味が。確かにこれは積極的に食べたいとは思わないキノコです。

しかし、もしかすると生魚に似ているということは寿司にすれば美味しいのでは? わさび醤油でご飯と一緒に食べてみたら案外いけたりするかもしれません。それでも、キハツダケと同様、次にまた採取することに抵抗を感じますが…。

2022/10/12木

ウエンシリ岳周辺で見た生き物と植物

今年は家の近所で山登りができず物足りなかったので、再びウェンシリに挑戦してみようかと思い、二度と来ないだろうと思っていた山へ向かいました。

去年、途中の峰まで登ったものの、あまりに道のりが長く険しかったので、もう二回目は無理だろうと思いました。今回も登頂する気はさらさらなく、より険しいとされるキャンプ場ルートを途中まで登ってみたいと思っていただけでした。

道中で驚いたのは、牧場のあたりを通った時、道のど真ん中に巨大な牛が立っていたこと。牧場の人も、どかせる気はさらさらないようで、道の端を徐行して横をなんとか通り抜けました。

それから奥へ進むと、冬毛に換装してもこもこになったキタキツネと遭遇。まだあどけなさの残る顔で、等身も低かったので、今年産まれの子どものキツネかもしれません。

警戒心も薄く、近くで写真を撮っていても、逃げることも近づいてくることもなく、とてもマイペースにあたりをうろうろしていました。

山道を走って、まずは中央登山口で到着。前回はここから登りましたが、今日はもう一つ奥のキャンプ場登山口の様子を見るのが目的です。もう来ないつもりでしたが、こうして森の入り口に立つと登りたくなってしまう魅力があります。

さらに山道を進んでいくと、途中で分岐点がありましたが、間違った方角に進んでしまいました。そちらには下草の少ないカラマツ林や広葉樹林があり、キノコ狩りに良さそうでしたが、家の近所でないと通えないので活用できそうにありません。

引き返して分岐路を正しいほうに進み、ついにキャンプ場登山口へ。氷のトンネルを見に来て以来、3年ぶりにやってきました。

入林届ボックスはあるものの、いったいどこから登るのだろうと見回すと、すぐ横に信じがたいほど急斜面の細い道がありました。

写真に撮ったものの、目で見る傾斜は全然伝わりません。入り口から少なくとも30度の傾斜の坂が続いています。

行ける場所まで行ってみようと思い、登り始めましたが、昨日の雨で地面の落ち葉が濡れていて、わずか10mくらい歩いたところで、滑って登れなくなってしまいました。そこから降りるのも怖いくらいの傾斜で、どうあがいても無理。

まさかこれほど険しい道だとは思ってもみませんでした。もし登るとしたら、数日間は晴れの日が続いている頃でないと無理ですね。来年改めて来たいけれど、わたしの体力がどうなっているやら。

残念でしたが、ひんやり冷たい奥山の空気を満喫できただけでも価値はありました。さすが秘境の中の秘境とも言うべき、澄み切った空気とうっそうとした密林の雰囲気には、わくわくさせられました。

帰り道でも嬉しい出会いがたくさん。

山道を運転中に、ふと大きめのハトではない鳥が視界に入った気がして止まってみると、エゾライチョウでした。自分の観察眼を自画自賛したくなります。

真冬に見ることが多い鳥なので、秋の紅葉を背景に立つ凛々しい後ろ姿は新鮮な印象です。

喉が黒いことからオス。冠羽も逆だっていて立派です。相変わらずの丸々としたフォルムで、枝の上をのっそのっそと歩いていました。いつ見てもユーモラスで魅力あふれる鳥で大好きです。

道路に飛び出してきたエゾシマリスも発見。しばらく立ち止まって固まっているところを写真に撮れました。エゾリスより小さくすばしっこいので、これほどはっきり見れるのは珍しいことです。

すぐに茂みに逃げ込むかと思いきや、ジグザグに道路上を走って奥へと進み、しばらくの間、その可愛らしい姿を見せてくれました。

山道を運転していると、複数の見慣れない植物が生えているのに気づきました。まずは、成長したアスパラのような、青々とし茂った細い植物。アスパラに似ているということはキジカクシかなと思いましたが…。

近づいて見てみると木質化していました。ということは草ではなく木なので、キジカクシではありません。

葉をみると三出複葉でした。それにこの形は、エニシダでは? 似た植物はないはずなので、間違いないでしょう。どうして外来種のエニシダが、こんな奥地で、山道沿いに大量に生い茂っているのか…。

さらにまた、見慣れない低木を発見しました。マメ科らしい丸い葉で、これも三出複葉のようです。Google Lensではマルバハギと出ましたが、北海道には分布していないはずです。ということは普通にヤマハギ?

しかし、ヤマハギにしては葉が大きすぎないでしょうか。写真からすると、4×2.5cmくらいあります。しかし、調べてみると、ヤマハギのほうがマルバハギより葉の最大サイズは大きいようで、このくらいは中程度でした。

冬芽の写真も撮ってみましたが、まるでヤマザクラの冬芽をミニチュアにしたかのような、多数の芽鱗につつまれている外見は、ネット上に載せられているヤマハギの冬芽と一致しています。

実は平べったく先端が尖っている水のしずくのような形。

これもヤマハギの特徴と一致しているので、普通にヤマハギで合っているようです。花の時期以外に全然観察していませんでしたし、冬芽も見たことがなかったので良い機会でした。

もう一つ、謎の低木が道路脇にたくさん。葉っぱはハリエンジュに似ていますが、明らかに背が低いですし、トゲもありません。すでに実をつけているので若木ではなく、これが成木なのでしょう。

葉は細長い楕円形の羽状複葉で、小葉の数は最大で15対くらいあり、かなり多いです。小葉には短い柄があります。

その葉がすっかり落ちてしまって、軸だけ残っている個体もありました。葉柄も最終的には落ちるのでしょうが、小葉だけ先に落とすのは意外な特徴です。

花は穂や房のように大量に咲かせるようで、無数の小さな実が並んだ花穂がついていました。

これだけでは花穂がどのように咲いていたのかはわかりませんが、少なくともハリエンジュのように下向きにぶら下がる房ではなく、イヌエンジュのように上向きに咲いていた可能性が読み取れます。

一つひとつの実はナッツのような形です。

葉柄の付け根には冬芽がついていましたが、非常に小さく0.3mmくらいでした。今後成長するのか、このまま冬越しするのかはわかりません。

調べたところ、この木はイタチハギという北アメリカ原産のマメ科らしいです。花穂は上向きにつき、黒っぽい紫色で、雄しべが黄色というエキゾチックな花のようでした。

どうして、こんな奥山の山道にこんなにも外来種が生えているのか不思議でしたが、エニシダやイタチハギは砂防用に植栽されるとあったので、がけ崩れ防止のためかもしれません。

それにしても、そのような役割に適した在来種ではなく、外来種を植えるというのは、浅はかに思えてなりません。

最後に、道沿いの実をつけていたタラノキ。まだ葉は青々としていて、タラノキにしい虹色の紅葉になっていません。

よく目立つ赤い果柄に、ウコギ科らしい黒いつややかな実が輪のようについています。今年はハリギリの実が裏年のようですが、あちこちでタラノキの実は見つけるので、相関関係はないようです。

キノコ大収穫。キクラゲ,ムキタケ,チャナメツムタケ等

結局、ウェンシリは登山口を見ただけで帰ってきて、物足りなかったし時間も余っていたので、いつもの森を散歩に出かけました。こちらもぬかるんでいそうだったので、湿地帯を避ける大回りするルートで一周しました。

入り口付近でチョウセンゴミシの実の様子を見ていたときに見つけた、ツリバナの実。今まで見つけたことのない場所でしたが、ツリバナはあちこちに生えているので、どこで見つけても不思議ではありません。

(1)キクラゲ
森の入り口で、去年、キクラゲが生えていた枯れ木を見に行くと、今年もたくさん生えていたので、ありがたく採取しました。

(2)ムキタケ
森の奥へ続く林道を歩いていると、しばらく前に、わたしが片付けて道の脇に寄せたエゾヤマザクラの倒木に、ムキタケが生えているのを発見。あの時は重くて面倒でしたが、まさかムキタケが出るなんて片付けて良かったです。

いつものムキタケのポイントに到着すると、新たに色の濃い茶色~紫色っぽいムキタケがちらほらと生えていました。もしやオソムキタケ?

そして、いつものやぶの中に入って、たくさんある倒木を物色していたら、今まで見逃していた奥のほうの倒木の裏側に、大量のムキタケを発見しました。

(3)クリタケモドキ
昨日謎だったムキタケの横の倒木に出ていたテカテカのキノコ。改めて1つ採取して詳しく観察してみました。

小さいほうを採取しましたが、傘は5~6cmくらい。

傘の裏側を見るとすぐ謎が解けました。ヒダは明らかに薄く紫色を帯びていて、これはクリタケの特徴。しかし傘はクリタケのような赤茶色ではなく黄色がかっているので、これはクリタケモドキに違いありません。

ヒダは直生~やや垂生。柄は頂部のみ白く、それより下は茶色で繊維状のささくれに覆われています。

そして柄の内部は中空、ということで紛れもなくクリタケの近縁種であることを示す特徴を備えています。

さらにクリタケが広葉樹に出るのに対し、クリタケモドキは針葉樹に出ますが、この倒木はムキタケが出ないことからしておそらく針葉樹、見た目からするとトドマツであることも、クリタケモドキを支持する根拠になります。

(4)チャナメツムタケ
ムキタケを採取している時に、ところどころに生えていたチャナメツムタケ。ムキタケが生えているのと同じ倒木上に生えていてました。

通常、チャナメツムタケは地面に埋まった腐朽木から生えることが多く、そのため地上に生えるキノコとみなされがちで、わたしのキノコの記事でもそう書いていました。だから、木から生えている姿には違和感があり、最初は別のキノコかと疑いました。

しかし、傘の白い鱗片など、もろもろの特徴はチャナメツムタケそのもので、改めて調べてみると、普通に材木上にも生えるとあったので、チャナメツムタケだと確定できました。写真は材木上にも生えるという資料用に撮りました。

今日採ったキノコ。かつてない大漁となりました。キクラゲ少々、ムキタケ約40枚、チャナメツムタケ17本、ヌメリイグチ9本、ハナイグチ3本、ヒトヨタケ7本。

これほどの量だと、下処理も大変でしたが、食べきれないぶんは冷凍保存。しばらくは美味しいキノコ料理を楽しめそうです。

赤く変色するヌメリイグチ? 初めて食べてみたヒトヨタケ

(5)ヌメリイグチ
森に行った後、公園にも散歩に行ってみると、ここでも食用キノコがたくさん出ていました。採ったのはヌメリイグチ、ハナイグチなど。

そのうちヌメリイグチについて、不可解な点があったので書いておきます。

ヌメリイグチを採ったのは、いつもアカマツ林の横。先日から散発的に生えていて、今日が一番たくさん採れました。

上の写真にも写っているように、ほとんどは白い柄とツバが確認できたため、ヌメリイグチと確実に判別できました。

しかし、4本ほど、傘の色がやや濃い個体があり、柄にツバが残っていませんでした。おそらく同じ場所に固まって生えていた個体群だと思います。

それらも上の写真に写っていますが、遠目に見る限り、ほぼ同じキノコに見えます。傘の色が違うのも、ツバがないのも、すぐそばにあった別の個体群より、成長段階が少し進んでいる影響によるものだと考えるのが妥当です。

ツバがないとはいっても、よく見るとツバの痕跡っぽい跡もなきにしもあらずで、もともとツバがないと断定できるほどではありませんでした。

疑問をもったのは、去年同じ場所で、やはり傘の色が濃く、ツバのない個体群を採取して、その時はチチアワタケだと判断したことでした。

今回もその可能性を考えて調べましたが、まず乳液は出ませんでした。しかし調べてみると、チチアワタケでも乳液が出るのは幼菌だけとされていたので、決め手にならないことがわかりました。

その時、半分に切った断面の様子も比較しましたが、ヌメリイグチだとはっきりわかる個体と、断面の肉の色、ヒダの色ともに同じで、区別できませんでした。

さすがに違う種類だったら、断面には少し違いがあるだろうと思ったので、この段階でチチアワタケではないと判断し、茹でることにしました。

ところが、茹でてみると、半分に切ったもの(つまり、チチアワタケを疑っていた、やや傘の色が濃い4本)のみ、柄の下部が赤く変色するという奇妙な変化が確認できました。

正確には、チチアワタケと疑っていなかった個体も、うっすらと赤くなっているものがあったのですが、疑っていた個体は例外なく濃く変色しました。

不思議に思って、ネットで調べてみましたが、ヌメリイグチもチチアワタケも、変色性があるという記述は見当たりませんでした。

近縁の食用キノコであるアワタケは、茹でると全体が赤く変色するそうで、一方のチチアワタケは変色しないので見分けることができる、とも書かれていました。

とすると、変色したからといって、チチアワタケの可能性が再浮上するわけではなさそうです。むしろ、変色したことにより、チチアワタケの可能性が除外されたともとれます。

しかし、肝心のヌメリイグチに関しても、茹でると柄が赤くなるという記述がない以上、疑問はぬぐえません。

どうするべきか考えてみましたが、少なくともイグチの仲間で、ヌメリイグチに似ていて、赤く変色する毒キノコはありません。仮にチチアワタケだとしても、危険な毒ではなく、時々、お腹がゆるくなる人がいる、というレベルです。

それで、このキノコが変色したからといって危険視する必要はないと考え、普通に鍋物にして食べました。美味しいキノコでしたし、数日経っても体調に異変はありませんでした。

今後もしヌメリイグチを採る機会があれば、茹でると変色する性質が普遍的なものなのかどうか、注意して観察したいと思っています。

(6)ヒトヨタケ(オオカバイロヒトヨタケの可能性も)
公園のシラカバ等の広葉樹地帯に今年も生えていたヒトヨタケ。去年と同じ場所に大量に群生していたので、この機会にぜひ食べてみようと思い、状態の良さそうなのを数本採取してきました。

ヒトヨタケはホテイシメジと同じく、アルコール脱水素酵素を阻害するコプリンを含むキノコ。お酒を飲む人にとっては禁忌ですが、わたしは飲まないので食べることができるはずです。

どうやって食べるのか調べてみたら、ヒダが白~グレーくらいなら食べることができ、黒く変色していたら食べないほうがいい(おそらく毒という意味ではなく、味がよくないという意味)とされていました。

帰宅後も、下処理するキノコが大量にあったため、ヒトヨタケはしばらく放置していたのですが、なんと採取後もヒダの黒化が進むということ。慌てて半分に切ってみたら、どれもこんな断面になっていました。

仕方なく、ヒダの黒くなっている部分を切り落としたら、かなり少なくなってしまいました。ヒトヨタケは採ってきたらすぐ下処理して茹でるなり焼くなりすべきキノコのようです。

油ものと相性がいいとあったので、とりあえずバター炒めにしてみたところ、魚の切り身のようで食感かよく、なかなか美味しいと感じました。

念のため、初日は一口食べるだけにして、残りは後日食べましたが、体調に問題はありませんでした。後日食べたほうが、味がなじんでいて、より美味しくなっていました。

今後も状態の良いヒトヨタケかキララタケを見つけたら食べてみたいです。

…と思ったのですが、次の副見出しに書くように、このキノコはヒトヨタケではなく、近縁のオオカバイロヒトヨタケである可能性が浮上。おそらく性質は同じなので、毒性はないでしょうが、もう少し観察の経験を積む必要がありそうです。

2022/10/14金

公園のキノコ色々。ハクチョウのV字編隊も飛来

畑仕事の予定でしたが、友達がベニテングタケを見たいというので、公園を案内しました。

去年も今頃、同じようにベニテングタケを見せてあげたなぁと思い出します。この一年は「経験する自己」には長く感じられましたが「記憶する自己」にとっては早かったです。

公園は黄葉が美しい時期でしたが、季節外れの陽気のためか、なぜか若葉が芽吹いているシナノキもありました。去年の秋にもフキノトウが出ていたりしたので、普通のことだと思いたいですが、気候変動の影響かとすぐ心配になります。

以下見つけたキノコ色々。

(1)ベニテングタケ
公園では嬉しいことに、ちょうど、さまざまな成長段階のベニテングタケを観察できました。

まだ顔を出したばかりで外被膜に覆われている幼菌。

少し外被膜が裂けてきて、赤い傘が見え始めた幼菌。

さらに傘が膨らんで、外被膜がイボ状に裂けた、典型的な若いベニテングタケ。

もう少し傘が大きくなって、マリオのキノコを思わせる一番美しい時期。

傘がほぼ平らに開いてキノコ生の盛りを迎えた壮年ベニテングタケ。

そして老菌になって朽ちたベニテングタケに止まるアカトンボ。胸の部分の模様がわからない角度なので、確実な同定はできませんが、普通にアキアカネかもしれません。

(2)ヒトヨタケ近縁種
12日に食べてみたヒトヨタケと思っていたキノコ。ヒトヨタケっぽいことは間違いないのですが、ヒトヨタケにしては溶けるのが遅く長持ちしています。傘もヒトヨタケにしては褐色みが強すぎるような…。

開ききっていない傘を上から見ると、丸い模様が見えます。そういえば以前、このような特徴をもつヒトヨタケについて読んだことがあるなと思い、調べてみたら、オオカバイロヒトヨタケの可能性が出てきました。

裏側はヒトヨタケの仲間らしく真っ黒に変色していますが、普通のヒトヨタケのように一晩で朽ちてしまうことはなく、数日以上は原型を保っています。どちらかというとキララタケに近い性質なのかもしれません。

このキノコをヒトヨタケだと思い込んで食べてしまったというのが衝撃の事実…。最近、同定が甘くなっているのでは…? 非常に危険です。

もちろん、明らかにヒトヨタケ似のキノコに危険なキノコがないことは確認済みですが、確実性のない亜種を食べてしまうのはあまりよくありません。

(3)シロヌメリイグチ
もしかしたら、ハナイグチ等が出ているかと思い、公園の外れのカラマツ林も見に行ってみました。

すると、すさまじい量のシロヌメリイグチが発生していましたが、どれも傘がブヨブヨに成長してしまっていて、数本しか採取できませんでした。ほかにハナイグチも数本ありましたが、同様でした。

この秋、何度も繰り返し見に行っていたのに、あれほどの量を見逃してしまうなんて、残念でなりません。いつも観察していたポイントから、やや離れていたせいで気づかなかったのかもしれません。

ちょうどカラマツ林を挟んで、いつも見ていた場所の反対側で、ずっと何も出ていなかったので、そこには出ないと思いこんでいました。環を描くように菌環が発生する以上、反対側もすべて注視しておくべきでした。

ショックだったのか、写真を撮る気持ちの余裕もありませんでした。

もう今年はそろそろ終わりなので、来シーズンのために、しっかり覚えておきたいです。少なくとも、公園でも十分な量にシロヌメリイグチを繰り返し採取できるとわかったのは、今年の収穫でした。

(4)カラマツシメジ
その近くにこれも大量発生していたキノコ。

傘はオレンジ色で3cm前後。傘と柄は細かい粒々で覆われています。

裏側はヒダで、湾生、やや疎。柄は下部が太くなっている、といった特徴からカラマツシメジだとすぐ判明しました。

(5)カバベニタケ?
例のシラカバ林に生える白いベニタケ科がまだあるか探したところ、それっぽいキノコの老菌がちらほらとありました。
傘は白く、部分的に薄い茶色を帯びていて、傘のふちには目立つ条線。

ヒダは離生で密、茶色く変色していました。

カバベニタケにしては傘の赤みが薄すぎるようにも思います。しかし、他の候補であるヒビワレシロハツやツギハギハツのように傘がひび割れているわけでもなく、やはり同定に困るキノコです。

(6)ヤマイグチ
同じくシラカバ林に時々生えていたヤマイグチ。新鮮な個体は見つからず、すでに管孔が膨らんで汚くなっているものばかりでした。

いずれにしても、柄の黒い鱗片のおかげで見分けるのは簡単です。

断面。友達はふわふわのパンのようで美味しそうと言っていました。肉の部分は白いので食べられなくもなさそうですが、管孔の変色が気になります。

それから、畑仕事に行って、ジャガイモの畝2列を掘り出しました。そして、そのうちいくらかを、越冬させるために、藁をかぶせて土の中に埋めました。

昔は道北では必須の知識だったそうですが、近年は野菜の越冬方法を知る人も減っているそうです。

その後は、ビニールハウスでミニトマトの最後の収穫をしてから、アーチを解体して撤去。作業をしていると、頭上から聞き慣れた鳴き声が。ビニールハウスから出て見上げると、ハクチョウのV字編隊が通過していました。

今年もついに、ハクチョウが帰ってくるのを目撃。秋が終わりを告げようとしています。

2022/10/15土

今日のキノコ。スギエダタケ等。ヒメマイマイもいた

昨日の時点では今日は雨予報でしたが、今朝見てみると予報が変わっていて、0~10%となっていました。どんよりとした空模様を見て、本当に正しいのか疑問でしたが、せっかく止んでいるので森に出かけました。

森の中は、かなり黄葉が進んで、秋らしい景色になっていました。…が、いかんせん天気が悪く、あまりきれいに見えません。

まだ夕方でもないのに暗く、どんよりと曇っています。あまりじっくり見て見て回る余裕はなさそうだったので、林道に車を停めて、キノコ地帯までショートカットしました。

キノコを探して地面を見ながら歩いていると、カタツムリがいるのに気づきました。珍しく顔を出していました。殻の模様からサッポロマイマイだろうかと思いましたが、妙に透明感のある姿で、違和感を覚えました。

北海道のカタツムリで調べてみると、ヒメマイマイという地上性のカタツムリのようでした。サッポロマイマイなら樹上性なので、森の地面で見つけたことと合致しています。小さくて可愛らしく、ヒメの名がよく似合います。

以下は今日見つけたキノコ。

(1)スギタケモドキ?
トドマツに生えていた、鱗片で覆われたキノコ。

傘は黄色~オレンジ色で、トゲのような鱗片で覆われています。知っている範囲のキノコではヤナギには生えるヌメリスギタケモドキに似ているので、これも◯◯スギタケという名前かなと思いました。

傘の大きさは5cmほどで、よく見ると、同種の小さいキノコがすぐ横に生えていて、束生するタイプらしいことがわかりました。

採取はせずに、横からのぞくだけにしましたが、柄も密にささくれで覆われていることがわかりました。柄の上部にはツバらしきものも見えます。

調べてみたところ、候補になるのは、無印スギタケ、スギタケモドキ、ハナガサタケの3種。

このうち、スギタケモドキは傘の鱗片がトゲ状で、色も若干薄いという違いがあり、それに従えばスギタケモドキのほうだということになります。

しかし、困ったことに、スギタケとスギタケモドキは広葉樹生、ハナガサタケは針葉樹生のキノコでした。今回のキノコはトドマツの根際に生えていたことからすると、ハナガサタケが近いようにも思えます。

スギタケに関しては、まれに針葉樹にも生えるとあるのですが、スギタケモドキについては、そのような記述が見当たりません。

よって、キノコの姿からは、スギタケモドキの可能性が高いのに、発生環境からはスギタケかハナガサタケのほうが近いという、しっくりこない状況。もしかしたら、選択肢に上がっていない別のキノコかもしれません。

(2)スギエダタケ
トドマツ・ミズナラ林に生えていた小さな白いキノコ。

ヒダは白色で、やや疎。柄は薄い黄土色でした。

ヒダの付け根部分を拡大すると、ヒダは不規則に波打っています。そのせいで、柄に対する付き方は判別しにくいですが、上生~離生のように見えます。

柄の内部は、はっきりとした中空。

調べてみると、トドマツ林などの落枝に発生するスギエダタケだとわかりました。ヒダの密度はさまざまで、今回は疎に見えましたが、密のものもあるそうです。

傘にも柄にも微毛があるのが特徴と書かれていましたが、非常に小さなキノコなので、そこまでは観察できませんでした。とはいえ、他の特徴からしてスギエダタケであることは確かでしょう。

(3)オオイヌシメジ? イヌムラサキシメジ?
トドマツ・ミズナラ林に生えていたカヤタケ型のキノコ。

傘は肌色で、直径は4cmくらい。

横から見ると、カヤタケ型でヒダが垂生しているのですが、注目すべきは傘がほぼ平らであること。カヤタケのような漏斗形にはなっておらず、ホテイシメジのような逆円錐形です。

傘と柄は同色で肌色を帯びていますが、ヒダは白。

柄の頂部には、白い微毛がありました。

内部は中空に見えましたが、傷んでいたので、もともとそうだったのかは不明。

傘が平らであることから、オオイヌシメジの可能性を考えました。大きさが4cmなのは、オオイヌシメジとしては小さすぎるか、と思いましたが、図鑑によると名前に反して2.5cm~10cmと大きさに幅があるそうです。

またオオイヌシメジは普通はシナ・カエデ類の林に出るものの、トドマツ林内にも発生するとあり、状況は一致しています。

しかし、オオイヌシメジの柄は忠実なので、もしこのキノコが元々中空だとすれば、オオイヌシメジではないことになります。また、オオイヌシメジの柄の頂部に微毛があるのかどうかは図鑑では不明でした。

(追記 : トドマツ・エゾマツ林内に発生する似たキノコとして、イヌムラサキシメジがあるようです。傘色かが薄紫色とされますが、写真で見る限り、今回のキノコの色とよく似ていて、可能性が高いと感じました)

(4)ヒロハアンズタケ?
さらにもう一つ、近くで見つけたカヤタケ型のキノコ。

傘の色は黒っぽくなっていて、サイズは7cmくらいで、そこそこ大きな印象を受けます。傘の中心はくぼんでいて、さっきのキノコとは異なり、漏斗形なので、別種と思われます。

抜いて観察してみようとしたら、かなり傷んでいたのか、柄が分離してしまいました。

柄の内部は明らかに中空。これくらいはっきりしているなら、元々中空だったに違いありません。

ヒダの色は、傘と同じくグレーを帯びています。

近くにあった、別の個体を見ると、傘の色は元々は褐色のようです。

横から見ると、その段階からすでに、ヒダは黒っぽい色を帯びているようでした。

カヤタケにしてはがっしりしすぎていますし、カヤタケの大型種であるオオジョウゴタケほどの大きさはありません。そもそもそれら2種はヒダが密ですが、このキノコは普通程度の密度に見えます。

もともとの色が褐色で、傘が漏斗形で波打つこと、柄が中空であることは、なんとなくドクササコを思わせて不穏。ドクササコもヒダが密とされますし、そもそも北海道では発生が確認されていないキノコなので違うとは思いますが…。

もともとの色が柄の内部と同じ明るいオレンジ色でだとすると、カヤタケの仲間ではなく、ヒダハタケ科のヒロハアンズタケかもしれません。去年も晩秋に見た記憶があります。

ヒロハアンズタケは主に針葉樹林の地上に群生し、傘が2~9cm、漏斗形になってふちが波打つという点がよく似ています。

柄については、ヒロハアンズタケは中実としているサイトと中空としているサイトがあり、図鑑にはどちらとも記載されていないので、なんとも言えません。

また、ヒロハアンズタケのヒダは密ですが、カヤタケやドクササコほど密ではなありません。このキノコくらいのヒダであれば、ヒロハアンズタケの可能性はあるでしょう。

さらに、ヒダの色が傘や柄の色と同じであることも重要なポイントです。このキノコが、もし古くなって変色したものなら、傘だけでなくヒダも黒っぽく変色したことになるからです。

近縁種に、コゲチャヒロハアンズタケという名の種もあり、いかにもそれっぽいのですが、トドマツ等の倒木上に生えるキノコなのでおそらく違うでしょう。今回のキノコは地面から生えていました。

もっとも、トドマツ林であったことからして、地面にトドマツの腐朽木が埋まっている可能性もないとはいえません。

もしヒロハアンズタケでないとしても、同じヒダハタケ科の近縁種である可能性は十分にありそうです。

(5)フキサクラシメジ
トドマツ林のちょこちょこ生えていたフキサクラシメジ。お寿司にしたら美味しいのかも、とは書きましたが、あまり積極的に採る気になれません。

他のキノコが何もない時ならいざしらず、チャナメやムキタケがあるなら採らなくてもいいか、と思ってしまいました。

(6)ムキタケとチャナメツムタケ
いよいよムキタケ地帯までやってきて、じっくりあちこち観察しようかと思った矢先、雷がゴロゴロと鳴り始め、大雨が降ってきました。降水確率10%は間違いだったようです。

でも、そろそろ傷んできているムキタケも多かったので、いくらか採取して帰りました。一緒に生えていたチャナメツムタケも少々。

以下は採取してきたムキタケとチャナメツムタケ。…の下処理後の画像。いつものようにテーブルの上に広げて写真を撮ろうとしたのですが、並べただけで写真を撮ったと思い込んでしまい、記録していなかったという痛恨のミスでした。

ムキタケの数は不明。前回小さかったので残しておいた個体群がありましたが、そのまま大きくなる気配がなく、ヒダの色を見ると変色していました。もうこれ以上成長しないようだったので、それらも全て採りました。

チャナメツムタケは全部で4本でした。前回同様、地面ではなく木から生えているものばかりでした。

エセオリミキを食べてみた。白身魚みたい?

そしてもう一種類、採取してきたキノコがありました。初めて食べてみることにしたそのキノコは…、

(6)エセオリミキ
一番奥のトドマツ林で見かけたキノコ。オレンジ色~黄土色の傘で、また同定が面倒そうだと思いましたが、抜いてみると、すぐにエセオリミキだと気づきました。晩秋のカラマツ林やトドマツ林でよく見かけるキノコです。

傘は5cmくらいで、なめし革のような微妙な透明感のある光沢。傘のふちが波打つように反り返っていることや、傘の周囲が白いのも特徴です。

ヒダは白く密。かつてはモリノカレバタケの近縁種とされていて、落ち葉から生える点もよく似ているのですが、モリノカレバタケよりヒダの幅が広く、柄も太いことで見分けがつきます。

ヒダの色は白く、上生~離生。

ヒダのふちがやや鋸歯状とされていたので接写してみましたが、確かにギザギザ。でも、古くなって傷んでボロボロになったようにも見えるので、幼菌を観察してみたいところです。

柄はどれも、傘と同じ黄土色で、下にいくほど太くなる末広がりです。今回採取したのは、どれも柄がまっすぐでしたが、近縁のエルネハルシメジのようにL字型に曲がっていることも多いそうです。

柄の表面には非常に薄い縦の条線が入っています。

柄の根元には、白い綿毛のような菌糸をまとっていました。

そして、柄の内部は中空~髄状。

エセオリミキは個人的にはかなり見分けやすいキノコだと思っているのですが、ネット上には「姿が変化に富むため自信を持ってエセオリミキと判断するのが難しい」との記述も見られました。

確かにモリノカレバタケの仲間には、判別に困るものもしばしばあるのですが、よく観察して上記のようなポイントを確認し、明らかにエセオリミキだと判別できたものは食べても大丈夫でしょう。

モリノカレバタケの類で毒キノコは特に図鑑には載っていませんが、ネットによると、ドクカレバタケという名の種があるそうです。しかし、具体的にどのような毒性があるのかは調べても出てきません。

毛のないアマタケっぽいキノコらしく、そういえば8/4(7)で、アマタケだと思って採取したものの、毛がなかったので食べなかったキノコがあったのを思い出しました。もしかするとあれがそうだったのか…? 食べなくて良かったです。

いずれにしてもエセオリミキとはそんなに似ていませんし、上記の特徴を詳細に観察すれば大丈夫そうです。

今まで食べて見なかったのは、あまり食用価値は高くないという記述が多かったためです。美味しくもまずくもない水っぽいキノコ、という程度の感想が多いようでした。

初めて食べるキノコなので、まずは茹でて、酢醤油で味見。

すると、意外にもこれが美味しい。白身魚の肉を食べているかのようでした。最近食べたキノコが、キハツダケ、フキサクラシメジなど色物ばかりだったので、この淡白さがかえって気に入りました。

念のため、少しずつ食べて体調に変化ないか様子を見ましたが、全然問題ありませんでした。今後もエセオリミキを見かけたら、典型的なものであれば採ってきたいと思える、なかなか良いキノコでした。

2022/10/18火

今日のキノコ。まだ採れたヌメリツバタケ,アカモミタケ,エノキタケ等

連日色々あって疲れていましたが、降水確率10%だったので、森に出かけました。今日出かけないと、ほかにゆっくり観察できそうな日はなさそうでした。

森に入ると、色とりどりの落ち葉の絨毯! ヤチダモ、シラカバ、サクラなどはもう散っていますが、ミズナラやイタヤカエデの紅葉が最盛期を迎えていて、とても見頃でした。

森のどこを見ても、色づいた木々を背景に絵になる景色ばかり。天気が悪く、ずっと曇っているのが残念ですが、涼しい気候も手伝って、今季いちばんの紅葉狩りの爽やかな森歩きでした。

これほど落ち葉が堆積しているので、地面のキノコは発見しにくい状態でしたが、おもにいつも回っているキノコ地帯を中心に、そこそこの数を観察できました。

(1)ヌメリツバタケ
まず、ヌメリツバタケ。意外にもまだ、例の森の入り口あたりの木に新しいのが生えていました。かなり息の長いキノコです。

晩秋のヌメリツバタケは、初秋のものよりも、傘の褐色みが強く感じられました。まるでクルミ餡を包んだ団子のようで、とても美味しそうです。

裏側を見ると、疎なヒダ、タートルネックのようなツバ、薄い褐色を帯びた硬い柄といった特徴から、ヌメリツバタケだと確実に判別できました。傘の美しさもさることながら、ヒダの状態もよく、ごく最近発生したもののようです。

(2)ヒメキクラゲ?
少し歩いた場所の落枝についていたヒメキクラゲ。

極小のキノコで、ルーペで拡大しても形がわくわかりません。クロハナビラタケかとも思いましたが、この不定形かげんはヒメキクラゲで間違いないでしょう。

(3)キクラゲ
さらに進んだところで、先日もキクラゲを採取した枯れ木。新しいキクラゲが生え始めていて、もう一度くらい採取できそうでした。雨に濡れて色鮮やかになったキクラゲはとても新鮮に見えました。

(4)キララタケ
それから、ぬかるみ地帯を越えて、森の奥へと歩いていき、倒木地帯の草やぶの中へ。秋が深まるにつれ、生い茂る草のボリュームも減って、少し歩きやすくなっていました。

9/30にも観察した切り株に生えているキノコ。その時は遠くから望遠レンズで撮り、数本生えていただけでしたが、今回は量が増えていて、近くまで行って観察できました。

雲母状の鱗片は残っていませんが、傘の雰囲気と色からして、キララタケでしょう。ヒダはもう黒くなっていて、傘の表面にも黒っぽさが透けています。こうなってしまっては食べることはできません。

若干鱗片が残っているように見える個体もありましたが、ただのゴミかもしれません。

前回9/30に見つけたと思われるほうの古い個体群も脇に生えていましたが、傘が黒くなっていました。去年もこういう状態の謎のキノコを何度も見かけて、調べた末にキララタケだと判明したのを思い出します。

(5)エノキタケ
その同じ切り株の下方にみえたテカテカした傘のキノコ。チャナメツムタケにも見えますが、これはもしや…と横から見てみました。

すると、黒っぽい柄が見えたので、エノキタケに違いないと思って採取。確かに柄は焦げ茶色の毛で覆われていて、今季初めて見るエノキタケでした。残念ながら、ヒダはかなりボロボロになっていましたが、せっかくなので持って帰りました。

柄の付け根を見ると、柄の焦げ茶色の毛、毛が剥がれた部分の褐色の地色と表面にある縦の条線、上生のヒダ、ヒダが古くなってできた褐色の染み、といったエノキタケを判別するためのポイントをすべて確認できました。

もう晩秋なので、たくさん生えている頃ですが、今年は群生地に入れないので出会えるかどうかはわかりませんでした。こうして一本だけでも採取できたのは嬉しかったです。探せばまた見つかるかもしれません。

(6)ムキタケ
各地点の倒木を回ってみると、ムキタケもまだそこそこ発生中。特に、今シーズンまったく発生していなかった倒木に、遅れて発生しているのをよく見かけました。

先日、林道脇に片付けた山ヤマザクラの倒木に、新しい厚いムキタケが多数発生しているのを確認。

いつもの森の奥のムキタケ地帯でも、今シーズンニガクリタケばかり発生していた倒木に、やっと発生を確認。雨に濡れてテカテカ輝いて、とても美味しそうな見た目でした。

さらに、帰り道、雨が降っている暗い中で通りかかった、広葉樹林の近くの倒木にもムキタケが複数生えていたので採取しました。

去年も採った倒木でしたが、今年は全然出ないので、もう生えないのかと思っていましたが、単純に遅かっただけのようです。生えるのが遅いからといって、オソムキタケではありませんでした。

いったいなぜ、晩秋にならないとムキタケが生えない倒木があるのか…。木の種類が違うのか、菌の性質が違うのか。

(7)フキサクラシメジ
トドマツ林の数カ所に出ていたフキサクラシメジと思われるキノコ。前回見たものと同じかもしれません。

大きさは各5cmくらい。雨に濡れて、いつもより傘がテカテカして、表面はぬめりが強くなっていました。

横から見た姿。太く曲がった柄の様子がヌメリガサ科らしく見えます。

(8)エセオリミキ
今日もトドマツ林にたくさん生えていたエセオリミキ。前回食べたので、今後も確実に見分けられるものなら食べて良いと判断して、きれいそうなものを持ち帰りました。

(9)アカモミタケ
トドマツ林の端の、ほぼ林道との境目あたりに出ていたアカモミタケ。さほど大きくないためか、表面の環紋が目立ちませんでしたが、もしやと思って裏返してみたら、やっぱりアカモミタケでした。

ヒダ側の様子。写真の上部に、オレンジ色の乳液も少しだけ写っています。このトドマツ・ミズナラ林では、アカモミタケが散発的に発生しますが、この場所では初発見でした。これで今季2本目です。

(10)サクラタケ?
トドマツ・ミズナラ林の中央部分で見つけた謎のキノコ。遠目にはエセオリミキに見えたのですが、よく観察すると、傘の条線が目立つ、まったく別のキノコでした。

傘の大きさは3~4cm。赤茶色で、長い条線があり、外周部が輪のように白くなっています。

ヒダの密度は普通で、白っぽく、おそらく離生。ヒダのふちは、やや波打っているように感じました。

柄は白く、少し光沢があり、根元で折り曲がっていました。なぜか断面の写真を撮っていませんでしたが、中空の可能性が高そうな見た目です。

傘の周囲が白いこと、ヒダの密度や付き方など、やはり少しエセオリミキに似ている点はありますが、傘の条線や柄の色など、明らかに異なる点も多数あります。

傘のややピンク色っぽい色からすぐに思い当たったのはサクラタケで、濡れると傘に長い条線が現れるという点もよく似ています。しかし、ヒダが離生で柄が白いことは、サクラタケには当てはまりません。

しかし、図鑑によると、ヒダは湾生、柄は傘より淡色になることもある、とも書かれていました。そうみなしても、この写真の特徴をサクラタケとみなすのは無理がある気もしますが、今のところ他に候補を思いつきません。

(11)ヒロハアンズタケ?
トドマツ・ミズナラ林で見たウスタケっぽいキノコ。前回歩いたあたりなので、10/15(4)とまったく同じキノコの可能性があります。

色といい、ヒダの密度といい、ウスタケっぽさを感じたのですが、ウスタケなら、もっと根元までヒダが伸びているはず。

上から見たところ、中央部はくぼんでいますが、ウスタケほど深くはありません。ということは前回考えたようにヒロハアンズタケの老菌なのでしょうか。

(12)オオイヌシメジ?
これも近くで見かけたもので、前回10/15(3)と同様と思います。

このキノコを発見した時、すぐ近くに縦に半分に割いたものがあって、一瞬、誰かがここでキノコ観察をしたのだろうか? しかしキノコを半分に割くような人が来ているのに、ムキタケが大量に残っているのは不可思議だ…と考えこんでしまいました。

ということは普通に過去の自分の仕業? でも記憶がはっきりしていない…。と帰ってから写真を見ると、確かに割いた証拠写真がありました。ほかに誰かが来たわけでなくて良かったです。

記憶があいまいなのは、ここしばらく写真の整理がまったく追いついていないせいでした。しっかり写真を日記にまとめて注釈をつけていれば、知識が上積みされていくのですが、それが追いついていないと何も頭に残らないことがよくわかりました。

さて、このキノコですが、前回観察したように、やはり傘のてっぺんが平らで、柄に白い細かい毛が生えているという特徴が共通しています。

内部は虫に食い荒らされていて、今さら中空か中実かはわかりません。しかし、この虫食いの感じだと、中心部にも壁が残っているので、もともとは中実だったのかもしれません。

前回はイヌムラサキシメジの可能性があると書きましたが、今回見た限りでは、全然紫色っぽい要素がありませんでした。柄に微毛っぽいのがあるのも、ここのサイトの写真を見ると、オオイヌシメジのほうが近いのかなと思います。

今年も虹の季節がやってきた。ホオノキの実も追加で採取

森でキノコ観察している時、ふと森の奥のほうから、ものすごい甲高い何かの鳴き声が聞こえました。おおよそ聞いたことがないほどの迫力で、エゾシカのいななきか、クマゲラなど大型の鳥の声のように思いました。

2回続けて鳴いたので、録音しておこうと思い、スマホを取り出しましたが、それ以降は鳴きませんでした。いったい何だったのか…。大きな声とはいえ距離が離れているように感じたので、身の危険は感じませんでした。

しかし、その後、まだ明るい時間帯にも関わらず、みるみる暗くなって、視界が悪くなり、雨が振り始めました。広葉樹林地帯のほうもキノコ観察したいと思っていましたが、帰るしかありませんでした。

帰り道、車に乗って少し走ったところで明るい日が差したので、もしかしたら虹が出ていかもしれないと思って、停車して振り返ってみました。すると…。

見事な虹が出ていました。うっすらと二重の虹も架かっていました。思えば4年前に引っ越してきたのも今頃の時期で、雨が振ったり止んだりして、頻繁に虹が出ていました。今年もまた虹の季節が巡ってきました。

家に帰るころには、また明るくなってきたので、先日ハナイグチとホオノキの実を採ったスキー場横の森に登ることにしました。確かまだ採れそうな実があったはず…。

道沿いのカラマツ林も観察しながら歩きましたが、ハナイグチやシロヌメリイグチは見当たりませんでした。もう晩秋なので発生する時期は終わったのでしょう。

ホオノキのところでたどり着くと、まだたくさん赤い実をならせていました。どれも高い位置にありましたが、山の斜面に生えているので、上側から斜面を下れば、枝に手が届きそうです。

足元に気をつけて枝や落ち葉が堆積した斜面を下り、まず一つ、実がなくなって黒っぽく変色した実をもぎ取りました。すでに鳥が実を食べた後のようですが、殻を利用するので問題ありません。

足場が不安定なので、手を空けるために、採取した殻は降りてきた道にほうり投げました。後で回収するつもりでしたが、草やぶの中に落ちたようで、結局発見できずじまいでした。

一方、そこから少し下ったところに、2mくらいの高さの赤い実もありました。枝に手をかけて引き寄せれば、ギリギリ届きそうです。不安定な足場で背伸びして危険でしたが、紙一重のところで成功し、きれいな実を入手できました。

その後、まだ明るかったので、公園へ。

公園のカラマツ林を回ってみたところ、またシロヌメリイグチが追加発生した痕跡がありましたが、すでにブヨブヨに膨らみ、裏面はナメクジに食われているのばかりで採取できませんでした。

2日前くらいに見に行っていれば採れたでしょうが、雨だったし、忙しかったので仕方ありません…。来年への教訓としておきます。

以下は、その他に観察したキノコ2種。

(13)ヒトヨタケ近縁種
例の試食してみたヒトヨタケ科のキノコ。もう新鮮なものはなく、傘が黒ずんで変色していました。

この色合いは森の中ではキララタケに近いので、やはり同じ褐色系のオオカバイロヒトヨタケなのかもしれません。あるいは、このサイトでヒトヨタケのシノニム扱いされている褐色っぽいタイプなのかも。

傘はふちから順にゆっくりと黒化、液化しているようで、傘の中央は褐色みが強く、ひび割れていました。

中には、傘が溶けてしまって、柄だけ残っているのもあり、これは非常にヒトヨタケらしい雰囲気です。ネットで見ると、普通のヒトヨタケでも完全に溶けているわけではなく、これくらい溶ければ十分にヒトヨタケらしいといえます。

おそらく、キララタケだと、こんなに溶けないはず。だから、溶けている時点でヒトヨタケ認定してもよいと思います。でも、一般に言われているより溶けるのが遅いのが気にかかるので、純粋なヒトヨタケじゃないかも?とは思います。

(14)シロカラカサタケ
カラマツの周囲にまだハナイグチがないものか、と探してみたら、白い傘のキノコが多数。ハラタケかなと思いましたが、裏返してみるとヒダが白かったので、シロカラカサタケでした。

ヒダは離生、柄はやや肌色を帯びていますが、基本的には全身真っ白なキノコです。去年も秋の終わりによく見たので、おそらく晩秋のキノコなのでしょう。

柄の下部には白い塊があるはずですが、うまく地面から抜けずに千切れてしまいました。少なくともツボはなかったので、猛毒のドクツルタケなどは形からも時期からも除外できます。

柄にはツバがありますが、ドクツルタケのようなジャボ型ではなく、リングのような形で、柄から独立して上下に動かせます。

カラカサタケの仲間の特徴である可動式のツバ。

ハラタケと同様、食べられるキノコのはずですが、やっぱり猛毒キノコに姿が似ているというだけで怖くなってしまいます。絶対に違うと言い切れるにもかかわらず、忌避感が働いてしまうので、今後も食べそうにありません。

食べてみた感想など調べてみようとしても、近縁の有毒種、オオシロカラカサタケの情報ばかり出てくるのもネック。

今この文章のように、たいていセットで記述されるせいで、オオシロカラカサタケを除外検索すると、シロカラカサタケの情報が書かれたページまでヒットしなくなってしまうのも困ったものです。

今日採取したキノコなど。

ムキタケ38枚くらい、エセオリミキ5本、ヌメリツバタケ3本、アカモミタケ1本、エノキタケ1本、ホオノキの実1つでした。晩秋にしてはなかなかの収穫量で大満足です。

2022/10/19水

今日のキノコ。ミイノモミウラモドキ? シロナメツムタケ? ヌメリガサ科?等

朝から用事で出かけましたが、あいにくの雨で空振り。仕方なく一度家に帰ることにし、その途中に墓地横の広葉樹林に寄ってみました。ちょうど紅葉が見頃で、素晴らしいカラフルな小道が現れていました。

林内には、晩秋のキノコが色々と生えていましたが、全然名前がわからないものばかりで困り果てました。けっこうキノコ観察の経験を積んだと思うのに、一つも名前がわからないなんて、自分にがっかりしてしまいます。

(1)ミイノモミウラモドキ?
傘の中心があからさまに突出している焦げ茶色のキノコ。

傘の大きさは3cmくらい。中央ほど色が濃く、外周は白っぽくなっています。傘の中心が突出している特徴から、イッポンシメジ科かアセタケ科らしく感じますが、ヒダが赤茶色なので、イッポンシメジ科の可能性が高そうです。

ヒダは赤茶色で、はっきりとした湾生。密度は普通。クサウラベニタケに似たヒダの雰囲気で、この点からもイッポンシメジ科の可能性が高いとみなせます。

柄は赤茶色で、縦に白い光沢のある条線が入っていて、内部は中空のようでした。

図鑑を見ると、イッポンシメジ科で最も見た目が近いのは、ミイノモミウラモドキというキノコでした。

同じくイッポンシメジ科の、アカ(キ/シロ)イボガサタケに近いキノコらしく、名前のとおり傘の中央がイボのように突出します。さらに青色タイプはアオイボガサタケ…ではなく、ソライロタケという名だそうです。ややこしい。

また名前の「ミイノ」の部分は、滋賀県三井寺で発見されたことに由来するらしく、これも非常にまぎらわしくややこしい名前です。

モミウラは、樹木のモミとはまったく関係なく、紅花で染めた絹布の「紅絹」(もみ)のことで、要するにクササウラベニタケのウラベニと同じ意味。どうして統一してくれないのか…。さらになぜ「モドキ」がついているのかも謎。

もうコゲチャイボガサタケとか、コゲチャウラベニガサでいいのでは…?

早春または晩秋のキノコとされるので、今の時期に生えていることに不思議はありません。

図鑑などによると、ヒダが離生となっている点が食い違っていますが、断面の写真をみると湾生ではなく離生にも見えるので、観察者の裁量の範囲でしょうか。

(2)シロナメツムタケ?
一本だけ生えていたキノコで、傘が白っぽい黄土色で、表面がぬめっているのが特徴。傘の大きさは4cmくらい。いかにもシロナメツムタケっぽさを感じるのですが…。

ヒダは赤茶色。染みのように見えるのはよく見たら小さな虫でした。柄は中空に見えるけれど、古くなっているので判別が難しいです。

ヒダの付き方はルーペで見ると、わずかに湾生ですが、あまりにも微々たる湾曲なので直生とみなすべきでしょう。

断面でヒダを見ても、直生といえそうです。

この断面の写真を、過去のチャナメツムタケの断面の写真と比較してみると、ヒダの形や幅が似通っていました。だとすると、やはりシロナメツムタケで合っているのかもしれません。

ヒダが変色していることや、柄が中空っぽく見えたことが疑念を生んでいましたが、かなりの老菌のようなので、劣化による可能性があるでしょう。

(3)傘のふちが波打ち、叢生するキノコ老菌
ハタケシメジが生えるように道の端に重なり合って叢生していたキノコ。すでに老菌であることがうかがえますが、名前は分かるでしょうか。

傘は斑点のある肌色で、ふちが波打っていて、大きさは5cmくらいです。

横から見ると、いかに激しく傘が波打っているかがわかります。

ヒダは褐色がかっていて密、意外なことに柄に長く垂生しています。

柄の表面には白い繊維がみられますが、元々の特徴なのか、傷んだ結果なのかわかりません。ツバはないように見えます。柄の内部は中空のようでしたが、老菌なので虫に食われた可能性も。

形状からクサウラベニタケを疑っていましたが、ヒダの色が食い違っているように感じます。クサウラベニタケなら、もっと赤系統のピンク色を帯びますが、このキノコは黄色系統の褐色で、ハタケシメジのほうに近い色合いです。

また、柄の頂部の垂生している痕跡は、クサウラベニタケにも見られる特徴ですが、ヒダの付き方は湾生ではなく、明確に垂生しています。よって、クサウラベニタケではなさそうです。

ハタケシメジ老菌の可能性も考えてみましたが、個々の特徴がハタケシメジに似ているとは思えません。その近縁の◯◯シメジ系も、図鑑を見る限り、特に似ていると感じるものはありませんでした。

(4)クサウラベニタケ?
一方、こちらは、まだ傘にみずみずしさが残っているキノコ。

傘は焦げ茶色。ふちが反り返っていますが、中央は若干盛り上がっています。大きさは4cmくらい。

ヒダはやや密で、少し赤みがかっています。柄の光沢といい、クサウラベニタケっぽさを感じさせる裏面です。

ルーペで拡大してみると、ヒダは直生~微妙な垂生、あるいは微妙に湾生で、これも過去に見てきたクサウラベニタケの特徴とよく似ています。

柄は、白い光沢とかすれた縦の条線が見られます。いずれもクサウラベニタケらしい点。

傘の形、ヒダの色や付き方、柄の質感は、いずれもクサウラベニタケっぽく見えるのですが、唯一傘の色だけはクサウラベニタケらしくありません。もっと黄土色っぽいはずです。

しかし、クサウラベニタケは見た目の変異が激しいと言われますし、こんな濃い焦げ茶色の個体もありうるのかも…? あるいはイッポンシメジ科の近縁種の可能性も。

(5)ヌメリガサ科?
最後に、今日見たキノコのうちでは、もっとも多く、新鮮な状態のものが見つかった小さなキノコ。点々と複数生えていました。

傘は肌色~やや桜色で、傘の中央部分が明らかに濃い色なのが特徴。サイズは3cmくらいで小型。

傘の色には個体差があり、赤系統に見えるのも黄色系統に見えるのもあります。

表面をよく見ると、細かい鱗片があるようにも見えます。傘に不規則な濃淡があるように見えるのは、チャナメツムタケと同様、傘を覆う鱗片のせいかもしれません。

横から見ると、柄には白い膜の破片のようなものが見える個体もありました。膜質のツバの名残かもしれません。

ヒダの密度は普通、色は肌クリーム色~薄茶色。ヒダの付き方は直生~微妙に上生。

柄は傘と同じ色で、赤茶色を帯びています。柄の頂部に白い粉か毛のようなものがあり、柄の内部は中空でした。

この不思議なキノコはいったい…?

傘の雰囲気から、チャナメツムタケなどの仲間である可能性も考えましたが、特に似ているキノコはありません。それに、やはり柄が中空である点が食い違います。

傘のぬめりや、奇妙な濃淡から思いつくのは、ヌメリガサ科のサクラシメジ、サクラシメジモドキなど。晩秋に新鮮な状態で生えている点もヌメリガサ科のキノコらしさを感じます。

小型なので、ヒメサクラシメジ、ブナヌメリガサ、シモフリヌメリガサ(フユヤマタケ)、コケイロヌメリガサなどが候補に挙がります。

柄が中空である点は、ヌメリガサ科らしくなく感じますが、シモフリヌメリガサなどは中実~中空とされているので、必ずしもヌメリガサ科なら中実というわけでもなさそう。

むしろヒダの付き方が微妙に上生なのが気になる点で、ヌメリガサ科はどれも直生~垂生であって、上生になる種類はないように思います。

しかし、現時点では、他に候補もなく、ヌメリガサ科の何かの可能性が最も高く感じられます。かなりユニークな見た目のキノコで、新鮮な状態で複数観察できたので、ぜひとも正体を突き止めたいのですが…。

2022/10/21金

今年最後の湿原へ。さまざまな地衣類を見つけた

今月初めにも湿原に行きましたが、他にも行きたいという友人がいたので、もう一度登ることにしました。夏のあいだ農家をされている方たちなので、時間ができるのは今の季節しかなく、この機会を逃すと一年後になりそうでした。

計画したものの、予報によると天気は雨マークで、降水確率80%だったので、これは無理だろうとあきらめていました。ところが、今日が近づくにつれ予報は良くなり、結局、日中はまったく雨が降らず、青空が見えるほど好天でした。

道中はミズナラやイタヤカエデの晩秋の黄葉が見頃で、混交林の山も多く、彩り豊かな風景を楽しむことができました。

あと一週間もすれば湿原へのゲートが閉じられるからか、無人入林届はもう片付けられていて、他の登山者も誰もいませんでした。ひっそりとした気配から、ヒグマが出そうな不安に駆られましたが、幸い杞憂に終わりました。

ふもとにはクロノボリリュウタケが生えているのも確認できましたが、同行者がいたため、ゆっくり観察したり採取したりはできませんでした。軽く見たところでは、あまり新鮮でなく変色しているのも多かった印象です。

登山道の植物はすっかり枯れていて見る影もなく、同行者に解説してあげられることはわずかしかありませんでした。友人はコケや地衣類に興味があったようでしたが、わたしにさほど知識がなかったのが残念です。

確かに植物の多くが枯れている中、地衣類やコケは比較的元気そうでした。ヨロイゴケ科と思われるナメラカブトゴケに似た、とても濃い鮮やかな緑色の美しい地衣類には思わず目を奪われました。

湿原に到着した後も、これまで気づいたことのない地衣類が、非常に厳しい環境下のアカエゾマツの枝にくっついているのを見つけました。近づいて撮ることはできず、遠目の観察でしたが、ヨコワサルオガセでしょうか。

上の地衣類に似ているようにも見えますが、同種なのかさえ、遠目にはよくわからなかったもの。

湿原の地表のミズゴケの上にも謎の地衣類の塊が。トナカイゴケのようなものかもしれません。同行者がいる手前、立ち止まってじっくり観察するわけにもいかず、ひと目見て通り過ぎただけです。いつかまた見る機会があれば。

てっぺんの湿原は、ワタスゲなどが、すっかり色褪せて黄色っぽい景色になっていましたが、青空や雲との相性が抜群でした。

友人は近所に住んでいるものの初めて来たそうで、壮大な景色に感動していました。身近な異世界のような風情があります。

道中の登山道は汗ばむほどでしたが、吹きさらしの高層湿原は、今の時期ともなるとさすがに寒く感じました。汗が冷えてしまうので、あまりゆっくりすることはできず、一周回っただけで帰ってきました。

普通に歩いている限りでは、キノコ類も全然見かけませんでした。でも少しの合間にしゃがんで地面を観察してみると、ところどころに小さなキノコは点々と生えていました。

そのうちの一つがこれ。地面から一本だけ生えていたキノコ。

傘は黄褐色で、濡れているのか、中心部と周囲で色の濃淡があり、ニガクリタケなどを思わせます。傘のサイズは3cm程度。

裏側を見ると、なんとヒダは紫色を帯びていました。やはりクリタケの仲間を思わせる色合い。しかし、ヒダは幅広く、疎で、肉眼でも確認できるほど明白な湾生。

柄は白い光沢を帯びていて、上部にツバの名残のような痕跡があり、内部は中空でした。

図鑑によると、モエギタケ科には、クリタケ類の他にも、ヒダが紫色を帯びるキノコは幾つかあるようでした。しかし、ヒダが疎で、なおかつ幅広く、上生に近い湾生、という条件に合うものが見つかりませんでした。

特徴が多いので、何かのきっかけで正体が判明するかもしれませんが、現時点では不明と言わざるをえません。

下山してもまだ時間があり、天候も良かったので、いつものコースで近所の2つの滝も見に行きました、渇水の時期ですが、それなりに水量も多く、楽しんでもらえました。

滝を見に行く道中では、標高が低いからか植物もまだ残っていて、友人が見たがっていたツタウルシを発見できたり、ヤマブドウの実を食べたり、ハナヒリノキの面白い形の実を見せてあげられたり、そこそこガイドできるポイントもありました。

滝の川床の柱状節理の岩盤が、一番関心を惹いたようで、湿原よりも感動してもらえました。ツアーの締めにはぴったりでした。

別れ際にふと空を見上げると、ワシのような鳥が悠然と滑空していました。その場で望遠で確認した限りではトビのように見えたので何も言いませんでしたが、帰宅後あらためて写真を整理してみると、オジロワシのように見えます。

もしや、とは思っていましたが、やはり今年ももうオジロワシが来ていたのですね。去年はこれくらいの時期にオオワシも見ました。

意外にも、ほかに動物はぜんぜんいませんでした。今年は今日が最後の機会でしたが、ヒグマどころか、シカやキツネすらも見ない珍しい日でした。一度もヒグマを見ない一年だったのは、少し寂しいものの内心ホッとしてもいます。

友人たちは、初めての湿原ツアーを楽しんでくれたようです。冬が訪れる直前の滑り込みでしたが、最後に務めを果たせたようで肩の荷が下りました。

2022/10/22土

今年のキノコシーズンも終わり

時間があったので森へ。今日は意外と暖かく、真夏とほぼ同じ格好で出かけたにもかかわらず、かなり汗をかいてしまいました。もう虫避けの顔網がいらないと思っていたのに、虫も再出現していて厄介でした。

しかし、森の中の風景は、すっかり晩秋の装いで、広葉樹の葉はほとんど散ってしまい、もう黄葉も店じまい直前に見えました。

地面は色とりどりの絨毯で、キノコ類も発見しづらく、冬の手前でも見かけるアシナガタケなど一部の地味なキノコを別にすれば、もう何も生えていないかに見えました。

いつもキノコがたくさん生えているミズナラ・トドマツ林も、気になるキノコは全然なく、ただカラフルな落ち葉のグラデーションに目を奪われるだけでした。

そういえば去年は晩秋にオニナラタケやクダアカゲシメジ?などを見たはずですが、今年は見かけませんでした。それどころかあっという間に晩秋が終わってしまったような…。

(1)ニガクリタケ
その中で、まず遊歩道の端の埋もれ木に生えていた、かなり傷みが激しいキノコ。現地では何だろうと思って写真を撮っていたのですが、後から写真を見る限り、普通にニガクリタケのようですね…。

傘は色の濃淡が生じていて、中心部は濃いオレンジ色。周辺部はやや紫色。

裏側のヒダはほぼ直生で、やや紫色がかっていました。ニガクリタケにしては黄色みが薄い気もしますが、個体差の範疇? あるいはニガクリタケモドキだったりするかも。

柄はニガクリタケらしく、傘と同色で中空でした。

(2)オソムキタケ
途中のエゾヤマザクラの倒木から生えていたムキタケ。新しく幼菌が生えてきたのかとも思いましたが、濃い焦げ茶色の小さいのが多く、おそらくオソムキタケが混じっていると思われます。

いつものムキタケ群生地でも、やはり同じような小さな濃いムキタケが多数生えていました。先日見た時も、小さいのがたくさん出ていましたが、それから成長した気配はありませんでした。

食べるに値するサイズのものはわずかしかなく、小さいのは全て採らずに残しておきました。来年以降の胞子をまいてくれたらいいなと思います。

帰りに立ち寄った広葉樹林近くの倒木にも新たに少し生えていましたが、やはりサイズは小さく、それ以上成長する様子はなく、すでに傷んでいるようでした。これをもって今年のムキタケの季節は終わろうとしているのを悟りました。

(3)ムササビタケ近縁種?
ムキタケ群生地の倒木に生えていた別のキノコ。ニガクリタケが大量発生していますが、それに混じって、別の茶色いキノコも生えていました。

傘の大きさは2.5cm。傘の条線はなく、均一な茶色。

ヒダはクリーム色で、上生、密でした。

柄は白い光沢があり、内部は中空、ということでイタチタケの仲間らしい雰囲気をまとっていました。

特徴から調べてみると、ムササビタケやセンボンクズタケが似ていますが、ヒダが上生な点や、ヒダが白っぽい点が異なる…、と考えていたら、9/30(6)でもまったく同じことを書いていました。

どちらの時もまったく同じキノコについて観察しているようで、ヒダが上生である点が個体差などたまたまでないのは明らかです。また根元で多数が束生しているわけではないことから、センボンクズタケは除外できるでしょう。

イタチタケの仲間という固定観念にとらわれず、別の種類を調べたほうがいいのかも。

ちょうどこのキノコを観察しているあたりで、シマエナガの群れの声が聞こえましたが、姿を見つけることはできませんでした。

(4)シロカラカサタケ
森の中には全然キノコが見つからず。以上でおしまい。その後、公園にも寄ってキノコを探してみましたが、こちらもこれといって収穫はありませんでした。

最も見かけたのは、去年も晩秋に各地に出ていたシロカラカサタケ。ハラタケかもしれないと思ってひっくり返すのですが、いずれも白いヒダばかりで、猛毒テングタケ科と似ているため、食べる気になれませんでした。

もっとも、傘の雰囲気も、根元にツボがない点も、テングタケ科らしさは特にないのですが。

(5)キツネタケ
アカマツの近くにハツタケが生えないか、何度も見に行っていたのですが、今年はどういうわけかまったく見つかりませんでした。

見逃したとは思えないので、そもそも生えなかったのかもしれません。同じ場所に生えるヌメリイグチやキンチャヤマイグチも去年よりはるかに少なく、今年のキノコは各地で不作の傾向でした。

そこにひときわ目立つ鮮やかなオレンジ色のキノコを見つけましたが、観察してみると、キツネタケのようでした。しばらく雨が続いたことで生えたのかもしれません。

今年は、去年キツネタケを頻繁に見かけた森に入れなかったので、おそらく確実にキツネタケらしいキノコは初観察となりました。

傘は2cm程度で、濡れているのか濃淡はありません。

オレンジ色の不定形の傘に、ところどころ白い光沢のある柄。

ヒダは白っぽく、やや疎で、柄に対して直生~湾生でした。

柄の内部は中空。見る人を化かすほど変化に富むキツネタケですが、これはその不安定な形状も含めて典型的なキツネタケだったようです。

(6)ヒトヨタケ近縁種
最後に例のヒトヨタケ。先日食べてみたものですが、ヒトヨタケにしては早く溶けないことから、純粋なヒトヨタケではなく近縁種のオオカバイロヒトヨタケなどを疑ったキノコです。

今日見に行くと、さすがにもう姿を保っているものはまったくなく、すべて傘が黒くなって干からびていました。しかし、傘は溶け切っておらず、原型をとどめていました。

10/18(13)で見た時には、軸と溶け残った傘の一部が残っていました。しかし、今回のものは、傘が溶け残ったというよりは、単に乾燥して縮んだだけに見えます。まったく溶けなかったのかもしれません。

このヒトヨタケの仲間は、傘が必ず溶けるわけではなく、何か条件があるのでしょうか。そもそも無印ヒトヨタケもじっくり観察したことがないので、謎が多いです。

今日採れたムキタケはこれだけ。小粒ながら身が引き締まっていて美味しそうですが、いよいよシーズン最終でしょう。今年もたくさん楽しませてくれた森の恵みに感謝です。

今年のキノコシーズンを振り返ってみると…、もっと頑張りたかったなと思う反面、現状の自分の体力では限度だったなと痛感します。腰痛や皮膚疾患や慢性鼻炎に悩まされながら、よくやったほうでした。

もう来年の夏まで、ほとんどキノコを見かけなくなるのは寂しい気持ちはあれど、ようやくゆっくりできるとホッとする気持ちもあります。写真の整理や日記も追いついていなかったので、これ以上は無理でした。

色々新しいキノコを食べてみた挑戦的なシーズンになりましたが、いまだに知らないキノコばかりなのがもどかしいです。もっと進歩したかったけれど、これが精いっぱいだったという現実を受け止めなければなりません。

公園のカケスやエゾリス、晩秋の夕焼け

それから、公園のほうにもキノコが出ていないか見に行ってみました。結論から言うと、何も見当たりませんでした。楽しみにしていたハツタケは今年はついに発生しませんでした。

キノコはなくとも、見頃を迎えているヤマモミジがとても鮮やかで、青空がよく似合っていました。

池の周りには、白い穂をつけたススキが生い茂って秋たけなわの様相。…でも宴半ばというには、もう遅いので、晩秋最後の輝きといったところでしょうか。

拡大して見ると、しっかり鋭く尖ったノギがあるのが確認できます。ススキにノギあり、オギにノギなしです。オギは見たことがないですが、今ごろ河川敷を歩けば見つかるのかも。

池のそばのイチイの茂みから飛び出してきたミヤマカケス。カラスの仲間の大型の鳥なので、公園で見かけると迫力があります。カラフルな色ですが、自然の風景の中では全然目立ちません。

同じく公園にいたエゾリス。遠くから見つけたので望遠レンズで撮ってみました。

以前に見た時より黒さが増しているように思ったので、これが冬毛?と思ったのですが、黒いエゾリスは夏毛のようです。イヤーマフの耳毛も生えていないので、まだ夏毛のエゾリス? もう雪が降るのに?

近づくと、バビャビャビャビャといういつもの特徴的な警戒声を出して、近くのプンゲンストウヒに登りました。

下から見上げると目が合い、また警戒声を発しては上の枝に登ることを繰り返し、やがて常緑の葉に遮られて見えなくなってしまいました。

最後に、川の橋から眺めた夕日。秋らしいダイナミックで壮大な光景。

地平線に沈むまでもう少し時間があるかもしれない、と思い、展望台まで車を走らせましたが、その時にはもう分厚い雲の狭間へと沈んでしまっていました。いよいよ冬が近そうな侘しさを感じさせる物静かな夕暮れでした。

2022/10/23日

天塩川の親子連れオオハクチョウ

天気は小雨。気温は冷え込んできて、これから一週間ほど最低気温マイナスが続き、最低はマイナス7℃くらいになる予報です。しかし、天気は晴れ続きで、まだ雪は降りそうにありません。

都市部に出かけたついでに、橋の上から天塩川を見下ろすと、遠くに白い塊が見えました。望遠で拡大して見てみると、やっぱり思ったとおりハクチョウでした。しかもグレーの子供連れです。川にいるのは少し珍しいかも。

それから沼にも寄ってみましたが、すっかりヒシの葉は枯れて、水中へと消え失せてしまっていました。小雨が降っているとはいえ、雲は薄く、青空がのぞいていて、湖面に映る様子は鏡のようで壮大でした。

頭上では二羽のトビが円を描くようにずっと飛びながら鳴いていました。つがいだろうか、と見ていると、三羽目がやってきて、なごやかに飛んでいたので、単に旧交を温めていただけかもしれません。

湖にはハクチョウはほとんど帰っておらず、代わりに遠くのほうにカモの群れがいました。近づくと気配を察して、どんどん逃げていってしまいました。

その近くの畑や水田には、あちこちにハクチョウの群れが。まだ各地で食事をしている時間だったようです。くちばしの模様を確認するとオオハクチョウの群れのようでした。

群れの中にはやはり、頭の黒い幼鳥が混じっていました。もっとじっくり観察したかったけれど、近くで肥料をまいているようで、臭すぎて長居できず。ハクチョウたちは嗅覚は大丈夫なのでしょうか…。

帰りは山道を通りましたが、ほかに車はだれもおらず、黄色く色づき始めたカラマツ林をゆっくり眺めて運転できました。カラマツは最後の色づく木。葉が散り始めると、雪が降り始め、いよいよ冬が訪れます。

2022/10/24月

引っ越してきて4周年

今日で引っ越してきて4年になりました。

特に記念日にしているわけではなく、今日も都市部に用事で出かけて、帰りに畑で越冬白菜を埋める穴を掘ったくらいで、これといって何もしませんでした。

それでも、毎年この時期が来るたびに、引っ越してきた当初の感覚を思い出して感慨深くなります。澄み切った冷たい空気、虹色のミズナラ並木、猫の毛のようなふさふさしたオレンジ色のカラマツ。

あの頃は見るものすべてが新鮮でしたが、今ではすっかり顔なじみになりました。考えようによっては目新しいものがなくなり、驚きが減ったとみることもできます。忙しい日常に追われることもあります。

でも今年感じたように、まだまだ知らないことだらけですし、行ったことのない謎の道を探検する楽しみも失われていません。この時期に初心を思い出すと、意外とこの4年で変わっていないことに気づきます。

周りを見回してみると、いまだに新鮮な驚きが無数にあります。すべて分かったと思っていても、次の日になると、次のシーズンになると、新しい出会いが待っています。

まだまだマンネリ化したと感じることはなく、次の1年も、その先も、きっと楽しめるに違いありません。

懸念があるとしたら体調面をはじめ、この先、何を目標にやっていこうかということ。そろそろ何か新しいこと、違うこともやってみたいと思いつつ、何をすべきかまだ定まっていません。

植物観察、山菜採り、バードウォッチング、キノコ観察とやってきて、どれもそこそこは形になりました。このまま自然と向き合う活動を掘り下げていくか、それとも、以前のように学問にも立ち返るか、あるいはまったく別のことに取り組むか、もう少し自分の幅を広げてみたいです。

【気になったニュース】
アルコールや医療用麻薬鎮痛剤オピオイドへの依存症治療に使われるジェネリック医薬品ナルトレキソンが、慢性疲労症候群およびロングCOVIDに低用量で用いられて、効果を上げているとのこと。

焦点:長引くコロナ後遺症、依存症用薬が効果か 米で本格治験 | ロイター

同薬は、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)という、ロング・コビッドに似た複雑な感染後症候群の治療で、一定の効果を発揮してきた。ME/CFSの主な症状には、思考力の障害や重度の倦怠感などが挙げられる。

記事によると、他にも、線維筋痛症、多発性硬化症、慢性ライム病など、類似した症状を呈する疾患にも処方されているそうです。

ナルトレキソンの名は初耳でしたが、調べてみると、報酬系に作用する薬だそうで、依存症治療に使われていることからしても、わたしが前に服用していたブプロピオンに多少とも近い位置にある薬なのかも?

現在は治験中のようですが、個人輸入で購入もできるようでした。以前のわたしだったら試してみたかもしれません。今でも試してみたい気がないわけでもないですが…

この情報をシェアしたら役立つような友人が複数いるのですが、わざわざ輸入代行で買うようなことはしないと思うし、伝えるだけ無駄な気がしてしまって、結局ここにメモするだけで終わりそうです。虚しい。

2022/10/25火

ついに霜が降り、冬の気配

今朝はマイナス5℃程度まで冷え込み、ついに霜が降りました。昨日、畑に残っているシシトウなどを最後の収穫で集めておいてよかったです。

連日忙しかったので、一日中休養に当てるつもりでゆっくりしていましたが、そんな日に限って、外は快晴でした。居ても立っても居られなくなったので、夕方ごろに近所をサイクリング。

思えば、引っ越してきた時もこうしてサイクリングして、町の様子を見て回ったものでした。4年前と同じようにミズナラ並木が虹色に色づいています。この4年でミズナラの若木たちも少し大きくなりました。

長引いた残暑が嘘のように、すっかり気温も寒くなってきて、鼻腔に流れ込む冷気が心地よく感じられます。

何か面白い発見でもないかと思い、小さな川沿いの堤防を走りました。夏場は草で覆われていましたが、今となっては自転車で走れるくらいには草が減っています。

去年の春に、このひっそりとした堤防沿いでヤチダモの花を見た記憶があり、今回も冬芽をたくさん見かけました。ホオノキやキクイモがないかと探しましたが、見つかりませんでした。暗くてうっそうとしているので、日が暮れる前には一周して引き返してきました。

それから、近所の公園にも足を運びました。公園の片隅の木材置き場に、何かの陰が飛んでくるのがチラリと見え、立ち止まって観察するとヤマゲラでした。いよいよ冬に見かける馴染み深い鳥たちが身の回りに増えてきた印象です。

公園の自然林の林床には、小さな赤い葉の低木が生い茂っていて、紅葉を楽しませてくれました。見た目からして、マユミの仲間ではないかと思いましたが…、

ほんのわずかに実をつけていて、枝に翼がないことから、コマユミだとわかりました。この公園にニシキギが植栽されているのは知っていましたが、こんなにコマユミがあったとは。いまだに色々発見があるものです。

公園の一角にある巨大なアズキナシの木。あたかも真っ赤に紅葉しているかのように見えましたが、もう葉は落ちてしまっているはず。ということは…。

葉ではなく、すべて赤いアズキナシの実でした。今年はやけにアズキナシの実があちこちで目につくな、と思っていましたが、過去一番の豊作なのかもしれません。ハリギリの裏年とはいえ、今年も鳥たちの食料は十分にありそうです。

夜は再びマイナス気温まで冷え込み、2日連続で霜が降りそうな気配です。空気の澄み渡った寒空に、星たちが瞬いていて、プレアデス星団すばるが自然と目に飛び込んでくるくらいには、はっきりと見える星空でした。

2022/10/26水

快晴の寒空に冬を告げる鳥たち

今朝も最低気温はマイナス6℃を下回り、2日連続で霜が降りました。用事があって朝から出かけましたが、真っ青な雲ひとつない空から、朝方の放射冷却を感じることができました。

帰りに墓地横の広葉樹林に寄ってみると、鮮やかな煉瓦色の落ち葉が敷き詰められていて、これ以上ない素晴らしい歩き心地でした。

キノコは何も見当たりませんでしたが、どこかで木をつつく音が聞こえ、しばらく立ち止まって探していると、シラカバの木に止まるオオアカゲラのメスを見つけました。青空がブルーバックになってくっきり映ります。

その帰り道、たまにハクチョウが来ている近所の畑に寄ってみると、10羽ほどのオオハクチョウの一家が訪れていました。ハクチョウの中にも大きな群れを好むものと、少数で行動したがるものがいるのかもしれません。

グレーの体の子供たちもいましたが、違うのは毛色だけ。体の大きさはもう大人たちと遜色ありません。極東からの長旅をすでに経験したことを思えば、立派な体つきなのも当然かもしれません。

せっかくの好天なので、昼から近所の森にも行ってみました。一応、キノコ用のカゴも持っていきましたが、成長が止まってヒダも傷んだ小さなムキタケが多数あるくらいで、特に採りたいものは見つかりませんでした。

そして、ここでもまたオオアカゲラに遭遇。ここ最近、よくいるアカゲラより、希少なオオアカゲラのほうが遭遇率が高いのはなんとも不思議です。普通のアカゲラはもっと都市部に出かけているのかもしれません。

しかも、こちらのアカゲラも頭の赤い模様がないことからするとメスのようでした。

ふとガサガサっとトドマツの常緑の茂みから飛び出してきたミヤマカケス。地面に落ちている何かをついばんでいました。しきりに飛び回って茂みに入ったり枝に止まったりを繰り返していましたが、保護色が驚くほど効果的で、何度も見失いました。

ほかには帰り道に道路を素早く横切るシマリスを見かけたのみ。あまり目ぼしいものはありませんでしたが、おかげでひんやりとした気持ちのよい森の心地よさを味わいながら歩くことができました。ようやく静かな時季が訪れます。

ギンリョウソウモドキの種

せっかく森に行ったので、ギンリョウソウモドキのその後も観察してきました。2日連続で霜が降ったこともあり、そろそろ蒴果が破裂しているかもと思ったのですが…、

あの真っ白な水晶のように澄み切っていたギンリョウソウモドキが、なんと真っ黒になっているのは驚きました。前に見た時は、茎や子房は白かったはずですが、そこも含めて全体が黒くなるとは驚きです。

茎を触ってみると、とても硬くがっしりとしていたので、単に枯れて朽ちつつあるせいで変色しているわけではなさそうでした。

一見したところ、蒴果になった子房部分は、まだ何も変わらない姿のままに見えましたが、

よく見ると完全に実が閉じているものだけでなく、

実の子房の部分が、花びらのように開きかけているものもありました。どうやら、乾燥すると、花のように開いて種を飛ばす蒴果のようです。

これなら内部を観察できるかもしれないと思ったので、試しに、花びらのような隔壁をひとつ剥がしてみると、中から大量の細かい粉が飛び散りました。きっとこれがギンリョウソウモドキの種に違いありません。

ルーペで拡大しても芥子粒にしか見えないほど小さな種です。同じく菌類と共生する植物であるランの種によく似ています。どちらも菌類から栄養をもらえて自前の燃料タンクは必要ないので、種は小さくても大丈夫ということでしょうか。

今年初めて見た菌従属栄養植物のギンリョウソウでしたが、秋に花を咲かせているところから種を飛ばすところまでを見ることができ、一気に親しみ深くなりました。来年も生えてくれれば嬉しいです。

ところで、家で10年くらい育てているハオルチア。東京に住んでいたころに一度日差しで焼けて死にかけた株が、数年ぶりに花を咲かせてくれました。丹念に世話できているわけではありませんが、復活してくれてよかったです。

2022/10/28金

まだ少し出ているムキタケ、天気雨の後の虹

朝は晴れていましたが、すぐに曇ってきて、道北の秋らしい天候。

それでも降水確率10%を信じて森に出かけてみましたが、どんよりとした空模様。広葉樹はすっかり葉を落としてしまい、後は雪が降るだけ、と感じさせる寂しい景色でした。

キノコはもうほとんど残っていませんでしたが、ニガクリタケやムササビタケの近縁種?などの小さなキノコは、まだ倒木にたくさん群生していました。

さらに、ムキタケがまだ出ていて、特に比較的発生が遅かった倒木には、今ごろになってたくさん生えているのもありました。

たくさん生えているといっても、小さな傘がほとんどで、採取するほどのものではありません。来年以降のために胞子を飛ばしてもらおうと思います。

降水確率10%は当てにならず、すぐに空が黄色く曇ってきて、通り雨が降り始めました。いわゆる狐の嫁入りの天気雨で、太陽が見えているのに勢いが強まってきたため、引き返さざるを得ませんでした。

けれども、天気雨、ということはもしや虹が出ているかも?と思って振り返ってみると…、

立派な半円形の虹が空高く架かっていました。今秋2度目の虹であり、前回10/18と見た場所は同じです。森に行って雨に降られて帰ってくる途中という同じシチュエーションでした。

虹は毎年この季節、晩秋の風物詩。ここに引っ越してくるまでは、虹はどの季節でもたまたま見えるもの、と思っていましたが、太陽高度や天候が関わっているので、発生しやすい季節があることを知りました。

引っ越してきた日に車窓から見て以来、毎年何度も楽しませてもらっている晩秋の虹。今年も同じように発生して、時の巡りを感じるとともに、異常気象の時代にも変わらない風物詩にどこかホッとした気持ちになりました。

2022/10/29土

葉を散らしたイチョウ並木。やっと日記が追いついた

今日は健康診断で朝から外出。子供の頃から体調はずっと悪いのに、血液検査などのデータではいつも健康体です。かつては異常が出ないことを恨んでいましたが、今では他に厄介な病気を抱えたくないので、異常なしを素直に喜びます。

久々に図書室にも寄ってみてみました。医療関係の本もちらっと見ましたが、どうしても以前のような興味は湧いてきませんでした。どちらかいうと忌避感を覚えてしまいます。

時々、昔のような考察記事を書きたい気持ちも湧くのですが、これではとても再開できそうにありません。解離、トラウマ、神経科学の分野なら、まだ興味も持てそうですが、今は立ち戻るべき時ではなさそうです。

道中で見かけた、すっかり葉を落としたイチョウ並木。こんなにすっきり落として、真下に葉が積み重なっているのは不思議な光景。風が強い日がなかったのかも。

本当なら美しく感じられる景色なのでしょうが、晩夏にまるで落ち葉のように積み重なるクスサンの死骸を何度も見たのを連想してしまって、複雑な気分です。

ところで、今日、やっと10月の日記の抜けていた部分を書き終えることができました。今年はキノコ観察の記録が停滞し、最大で7日分くらい書く日記が遅れていましたが、これでやっと現在に追いつきました。

写真の整理は3ヶ月くらい放置しているので、それが追いつくのはまだしばらく先になりますが、一週間もあればなんとかなるでしょう。

これからの季節は、もうほとんどキノコは出ませんし、日記の内容も簡潔になっていくはずなので、ひとまずはホッとしています。11月はどうしても来年の絵を描かなければならないので、それまでに少しでも余裕を作りたいです。

2022/10/30

今日もまた虹が架かる

今日もまた降水確率10%なのに、一日中小雨が降っている道北の秋らしい天気でした。時々太陽が見えて光が差し、そのたびに虹がぼんやりと空に現れます。

一度、晴れ間がのぞいて、とても明るい日差しが差す瞬間があったので、急いで家の外に見に行くと、くっきりとした見事な虹。家の前だと電線などがかぶってしまうため、とっさに近くの開けたところまで走りました。

一瞬のうちに現れて、一瞬のうちに消える虹ですが、全速力で走ったので、くっきり見えたままの状態で間に合いました。晩秋の雨が降るたびに素晴らしい虹を見られるなんて、贅沢な場所に住んでいるものです。

ほんの数分後に家に帰ってきた時も小雨が降っていましたが、もう虹は薄くなっていました。自然界の現象はタイミングが大事。虹にしても雪にしても、同じ表情は二度と現れず、機会を逃さないようにすることを学びました。

とても久々に全速力で走って、意外と衰えていないものだ、と感じて嬉しくなっていたのですが、翌日、太ももや腰にひどい筋肉痛が…。やはり日ごろの運動不足は否めなかったようです。

2022/10/31

友達が案内してくれた50年ぶりの池。エノキタケも発見

今日は素晴らしく晴れた日。地元の友人が去年教えてくれた、子どもの頃に遊んだという秘密のスポットに、一緒に行ってみることにしました。

初めは去年の秋に行こうと思ったのですが、道が封鎖されていました。でも役場の人に聞くと、自己責任で入っていいとのこと。

それで春頃、行けるかどうか途中まで一人で探索してみましたが、草が生い茂っているほかは大丈夫そうでした。というわけで、道を阻む草が減る晩秋のタイミングで、一緒に行ってみることにしました。

そこは友人が子どもの頃、釣りをしたり、泳いだりして遊んだ池ですが、今はアクセスする道がありません。航空写真で見ると、確かに周囲から隔絶された池があることがわかりますが、行く方法がありませんでした。

まるで、学校の怪談にあるような、外から窓は見えるのに、入れるドアのない部屋のような状態。町のすぐ近所なのに、生い茂った森に隠され、道もないせいで、誰も知らない池があるなんて、わくわくします。

唯一そこに行く方法は、ボロボロになった橋を渡って、廃線跡を通っていくことでした。

橋から見下ろした川。大きな橋ではないとはいえ、見下ろすと5mくらいの高さはあり、もし足場が崩れたら大怪我ではすまなさそうです。

幸いにも廃線跡は、ほとんど雑草が生い茂っておらず、藪こぎせずとも歩いていくことができました。町のそばとはいえ、ヒグマや野生動物がいても不思議でない場所なので、警戒は怠らず。

友人の50年前の記憶にしたがって進んでいくと、生い茂った草木のはざまから、不意に大きな池が姿を現しました。まさかこんなに近くに、こんなに大きな池があったとは…。

普段、この周囲を自動車で走っているにもかかわらず、四方が森に囲まれているせいで、決して気づけませんでした。この地域は、川は多いけれど池は少ないので、とても貴重なスポットです。

水面をよく見ると、コガモの群れが休んでいました。人の気配に驚いて奥へ逃げていきましたが、誰もこないと思って油断していたようです。人間はここに池があることに気づかなくても、鳥のほうはずっと昔から知っていたのでしょう。

昔はここで釣りをしたそうですが、もう草木が無秩序に生い茂っていて、しっかり装備を整えないと、湖面まで近づけそうにありませんでした。

あたりには幾つもの獣道ができていたので、それを利用して、すぐ横の高台に登ってみましたが、そこも高すぎて釣りには向いていません。しかし、青空が反射して、まるで美瑛の青い池を思わせるような深みある色を見せてくれました。

すぐ横を流れる川も見に行くことができました。川のほうは別の方向から近づくこともできますが、その奥にこんな池があるなんて。地元の人でなければ知りようがありません。

1月に雪のなか見に来た堰堤。その時は対岸から見て、あの奥に池があるんだよ、と説明されただけでした。こうして10ヶ月越しに反対側に来ることができて、友人にも思い出の風景を見せてあげることができ、ひとつ宿題を終えた気分です。

周囲にたくさん生えていたガガイモの実。もうすでに実の中身がなくなっているものもありましたが…。

まだたくさん種が入っているのもありました。いつ見ても整然と入っているマッチ棒のような実は美しいですね。

嬉しいことに、すぐそばの獣道に横たわっている倒木に、エノキタケが生えていました。晩秋も晩秋であること、傘がテカテカ光ってぬめっていることから、十中八九エノキタケだろうと思いましたが、一応特徴を確認。

横から見ると、黒いビロード状の微毛が生えた柄だったので、間違いないでしょう。しかし、見てのとおり、かなりヒダが傷んでいるのがほとんどで、採取して食べるのは難しそうでした。

近くに、一見すると地面から生えているような束がありましたが、落ち葉をかき分けてみると、ちゃんと倒木がありました。かなり良い状態に見えましたが、横から見ると柄が黒くないような…。単にはげているだけ?

状況証拠から、これもエノキタケだろうと判断して、他のきれいだったものと合わせて6本ほど採取してきました。虫出ししてから確認すると、普通に柄が黒いことがわかりました。どうやら柄が乾いて薄い色になっていたようです。

ヒダを見ると、明らかに上生で、褐色の染みも確認できました。

柄は黒い微毛が生えていて、それがはげている場所は縦の条線が走っていました。香りも確かめてみましたが、いずれの特徴も間違いなくエノキタケであることを示していました。

採取したエノキタケはラーメンに入れて食べました。さすが野生の風味。今年はエノキタケを食べる機会が先日の1本だけで終わりそうと思っていたら、思わぬところで採取できてとても嬉しかったです。

10月のまとめ

先月までと違って、時間が飛ぶように過ぎたと感じた10月。涼しくなって、ストレスが減ったのかもしれません。夏はとても長く感じ、冬はあっという間に過ぎさります。

今年はいつもの森に入れないため、あまりキノコが採れないだろうと思っていましたが、晩秋を迎えて、まさかのキノコ三昧を楽しむことができました。

もともと晩秋にそこそこは採れるだろうと思っていたムキタケは、茂みの奥の大群生を見つけてしまったので、思った以上の収穫量に。ついでにチャナメツムタケも多数。

いつものカラマツ林に入れないから無理だと諦めていたイグチ類については、意外にも公園を中心に思いのほか採取できました。ハナイグチ、シロヌメリイグチ、ヌメリイグチ、そしてホテイシメジもちょっとだけ。

ほかにも、アオネノヤマイグチ、フキサクラシメジ、エセオリミキ、ヒトヨタケという3種のキノコを初めて食べることに挑戦でき、これまた今年は採れないと思っていたホオノキの実も採取できました。

その中で、友人とキハダの実を採りに行ったり、二回にわたって湿原ガイドを務めたり、幻の池の探索も実行できたり、交流も良好。予想よりずっと充実した晩秋でした。そのおかげで特に時間が過ぎるのが早く感じたのかも。

体調のほうは、鼻炎や腰痛は少し収まりましたが、頭痛が強い日が多く、今年4月に痛めた腕は全然治る気配がなく、あまり好調とは言いがたい経過でした。

月末に部屋の給気口の存在に気づいて、掃除してみたら、びっくりするほど汚くて、給気口の開閉もままならず、難儀しました。地区25年、これまで一度も掃除されていなかったに違いありません。

安いフィルターを入れておきましたが、これで少しは何かが変わるのか。花粉症の時期などに、効果があればいいのですが。

忙しすぎたキノコシーズンが終わって、ようやく日記は追いつきましたが、写真の整理が2ヶ月ぶん1500枚ほど終わっておらず、写真アルバムも春以降更新できていない始末です。冬の間に追いつきたいところ。

11月は来年のための絵も描かねばならず、今からすでに先行き不安です。去年も産みの苦しみを経験しましたが、今年もきっと苦しい旅になりそうです。

でも、忙しい自然観察のシーズンを終えて振り返ってみると、まあまあ頑張れたのではないでしょうか。もっとやりたかったという思いはあれど、今のわたしの体力で、もっとやれたとはあまり思えません。ベストは尽くせたと思います。

ゆっくりとした進歩ですが、まったく進んでいないわけではなく、着実に経験値は積み重ねています。これからも、あきらめずに日々できることに目を向けてやっていきたいと思います。

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2022年9月前半の自然観察を中心とした記録
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投稿日2022.10.04