「もう少しだよ、ハナ。ほら、あそこに明かりが見える」
すっかり日が暮れなずんだ夕闇の道。男の子の指差す先に、ぼんやりと街並みが浮かび上がってきました。「ほんとだ、ソラ! あれが新しい街なのね」
星明かりの下、道なりに続く街灯が、はるか先のお城まで照らし出しています。夜のとばりを背景に輝くそのすがたは、きらびやかに装ったお姫さまのようでした。うっとりする夜景を目に焼き付けた二人は、新たな冒険へと心を躍らせ、夜の城下町の門をくぐります。
近況報告
引き続き体調が思わしくなく、久々の新作になりました。このサイトだけでなく、他のブログなども更新が滞って、SNSもぜんぶやめてしまい、各方面に心配をおかけして申し訳ありません。
この一ヶ月も、また高熱を出して立ったまま意識を失って倒れたり、痛みが強くなったり色々ありました。あまり絵を描けるような体調ではないんですが、こうやって少しでも描けるだけで今は嬉しいです。
本当は描きたい絵も、書きたい話もたくさんあるんですが、体力的余裕がまったくなく、やりたいことばかり溜まっています…。色々手は尽くしてますが、好転する見込みがなさそうなのが辛いところです。今回ばかりはもうだめかもしれないですね。いざ近況書こうとすると、何を書いていいのかわからない…。
城下町の夜景
寝たきりに近い状態でも、絵のイメージはいくつか思いついていました。体調が体調なので、もっと悲しげな絵を描こうとしてたんですが、変に感傷的な絵を描くより、もっと楽しい絵を描きたいなと思い、夜の城下町を描くことにしました。最近の空花物語は辺鄙なところを冒険しまくりだったので、まともな街に帰ってきたのはいつ以来だろう(笑)
もともとは夜の街で雪祭りが行われている絵のつもりだったんですが、なぜか雪がまったく降ってもいない、夜景メインの絵になってしまいました(笑) すでに星空、明かり、水面と要素が盛り沢山な絵なので、ここに雪を追加すると手に負えなくなりそうだったので。夜の雪はさすがに難しい…。
お祭り要素のほうは、ランタンや街灯で幻想的な雰囲気を出すだけにしました。夜の城下町でお祭りやってる絵は、空花物語の初期に描いたので、今回はこれでよかったかな。当時と比べるとかなり雰囲気が変わってますね。以前は画材が水彩ツールだったのもありますが。
手前が橋で奥に城下町がある、という絵は、ずっと前にゆめまな物語のほうで描いたことがありました。いつの間にか似たような構図になってましたが、よく見ると、こちらも今とはずいぶん描写が違いますね。
どっちの絵も、今の自分から見てもお気に入りです。水彩ツールならではの表現がやっぱり好きです。空花物語シリーズではあえて油彩ツールを使って、気分転換とスキル向上をはかっているんですが、のびのび描けてるのは水彩のほうだなーと思います。
街のディテールとかもけっこう描き込んでるんですが、ディスプレイによってかなり見え方変わりますね。iPodで見え方を確認したら、PCで見たときよりコントラストが強めになって細かいディテールが見えづらくなってました。紙に印刷してみると暗い部分が潰れてうまく印刷できないことも多い。油彩で暗い色使いの絵を描くと、こういうことがよくあります。水彩の淡い色使いだと、それほど変化ないんですが。
油彩厚塗りは立体感を出すのがいまだに苦手で、完成まで迷走することが多いです。だけど、水彩には出せない重厚さを出せるのは厚塗りの魅力なので、これはこれで楽しいですね。
気持ちの整理もついてない状況ですが、動けるうちはペースは遅くとも絵を描き続けたいと思っています。