光の物語 The Story of the Bright Morning Light

重たい闇が地を覆い
濃い暗がりがつつむ時

人も獣も天仰ぎ
嘆きの こだまが響く時

大地に骸が重なって
大海 涙で染まる時

その物語をひもとけば
永き封印 いま融ける

閃光 闇を切り裂いて
光芒 果てまで突き抜けて

明るい希望の架け橋を
時を超えて描き出す

ぼくらを未来へ連れていく
それは光の物語

暗い世界に差す明るい光

やっと今年も絵が描けました。友人への挨拶のため、毎年一枚は絵を描かなければならないので、ノルマを達成できてホッとしています。

今年は温暖化のせいか、雪の降り始めが妙に遅いですが、真冬の到来を前に終わらせることができました。これから晴れ晴れとした気持ちで冬を楽しめると思います。

今作はイメージは比較的早く湧き出て、9/23の時点で、「中央で本を開いてかかげて、中から鳥や平和な光景が輝き出して驚いている。周囲の暗い光景との対照 」というコンセプトをメモしていました。

そして、11/4に描き始めて11/25に完成しました。数週間かかったとはいえ、去年は2ヶ月もかかったことを思えば、スムーズな進捗でした。

今年も暗いニュースが多かったので、暗い陰鬱な世界の様子と、それを吹き飛ばすような輝く光の物語とを対比する絵にしてみました。

去年の絵とは違って、特にこれといってモチーフがあるわけではなく、昔のようにすべてイメージだけで描いた絵です。本当はもっと遠景に動物を描いたりもしたかったのですが、入れるスペースがなくて断念しました。

描く時に気をつけたポイント

一年に1枚しか絵を描かないので、腕の劣化は致し方ないところ。今回も描きながら描き方を思い出す感じになりました。

以下、描く時に意識したポイントについてメモしておきます。

・絵心教室の教えを思い出した建物群の塗り方
特に手前の建物群を描き込んでいる時が一番苦労して、少し路頭に迷いかけました。わたしは昔から正確な絵を描くのが苦手で、整然と並ぶ建物のような人工物は特に苦手とする分野です。

自然の風景は、多少線が曲がったところで問題なく、むしろ有機的でランダムな曲線のほうがそれらしく見えます。一方、都市の風景は少しでも歪むと違和感が生まれてしまいます。

今回の絵の近景は、しっかりした現実の風景というより、あくまでイメージや象徴なので、厳密に正確である必要はありませんでしたが、苦手は苦手でした。

でも、過去に「空花物語」シリーズで、整然とした風景を描くことにも挑戦していた時期がありました。その時の経験値が残っていたおかげで、時間はかかったものの、なんとなく描き進めることができました。

人工物を描く時に苦労する点のひとつは、いかに立体感を出すかです。光の当たる面や影になる面で、適切な明度や彩度の色を選ぶ必要があります。

今回も、途中で、これはいったいどうやって塗ればいいんだろう…?と途方に暮れそうになりました。

しかし、絵心教室で練習していた頃のビンス先生の教えを思い出し、基本に立ち返ることで乗り越えることができました。

その基本とは、まず下塗りをして、次に影になっている部分を濃く塗って、最後にハイライトを入れることです。基本となる色→暗い色→明るい色の順に塗ることで、全体のバランスを見ながら、それっぽい立体感を出せたと思います。

それでも、意外と苦労したのは、手前ではなく奥の遠景にぽつりぽつりと建っている建物群でした。

キャンバスを拡大して、それっぽく描き込んでも、キャンバスの大きさを元に戻すと、形や歪んでいたり影がおかしいことの繰り返しでした。

完成した絵でも、じっくり見ると変なのですが、修正にも限度があるので、多少の違和感は許容するしかありませんでした。

・手前と奥のコントラストでインパクトを出す
絵を描く時、細かい部分の明暗だけでなく、絵全体の明暗、つまりコントラストを意識するのは大切です。

去年の絵は、当時の記事に書いたとおり、いわゆる低コントラスト症候群に悩まされて完成が遅れました。絵全体を同じような明るさで描いてしまっていたので、のっぺりとした魅力に乏しい絵になってしまっていました。

森林は光り輝く The Forest Shouts for Joy
燃え立つような紅葉の森でキノコ狩り

その点、今回の絵は、構想の段階から、手前の暗い憂鬱な風景と、奥の明るい爽やかな風景を対比させようと決めていました。

過去にも以下の絵などで使っている手法です。手前の風景を目一杯暗くすることで、奥の風景の魅力が際立ち、劇的な印象が生まれます。

峠を越えて Beyond the Steep Hill
険しい山を超えた先に…

2年前の絵でも、似た手法を使っていて、周辺部の憂鬱な風景を非常に暗くすることで、メインの部分の美しさを際立たせています。

希望を胸に Hold the Hope
暗闇に差し込む希望の光

一枚の絵の中で、絶望と希望を描いて対比させることができるので、物語性のある絵を描く場合には、お手軽で便利な手法です。

ほとんど頭を使わずにコントラストの配置を決めることができるので、今回は楽でした。完成までそこそこ早かった理由だと思います。

・メリハリのある配色
今回の絵でやや苦労したのは、全体の配色のほうでした。

去年の絵が、全体の配色(手前から奥に虹色のグラデーションをかける)がすぐに決まっていたのに、コントラストのほうが全然決まらなかったのとは正反対です。

わたしは色彩センスが皆無なのを自覚しているので、絵の配色は感覚ではなく理論でいつも決めています。わたしの絵の色が好きだと言ってくれる人もいますが、それは感覚で濡れないぶん、全体の配色をしっかり考えているからです。

意識する点は、おもに以下の3つ。

・どこかに虹色のグラデーションを入れる。虹色は誰でもきれいだと感じるから。

・空気遠近法を意識する。手前は暖色(=前進色)、奥は寒色(=後退色)にすることで、立体感が出る。

・強調したい場所は補色の対比を使う。

今回は、もともとは手前の暗い近景を赤紫色にして、徐々にグラデーションしつつ、遠景の青空につなげたいと思っていました。

でも赤紫から虹色にグラデーションすると、赤紫→赤→橙→黄→緑→青→紫となります。最後のほうの順番が困ったもので、遠景の山を青っぽく描くと、空は紫色にしなければなりません。

突き抜けるような青空をイメージして、紫色を含むグラデーションにしてみたり、いっそ太陽が輝き出ているかのように黄色~オレンジ色で塗ってみたり、色々と試してみたのですが、他の部分との調和がとれません。

悩んだ結果、空は空で、別の虹色のグラデーションを入れることにしました。

派手になりすぎるので、普段なら絶対にしないような配色なのですが、今回は近景が陰鬱なぶん、遠景を派手にしても釣り合いがとれるかな、と思いました。

描き上げた今でも、空の配色については、もっと魅力的に見える色があったのではないか、と感じていますが、わたしの技量では思いつきませんでした。

空気遠近法については、近景(陰鬱な都市の景色)は冷たい印象を与えたかったので、今回は寒色メインにしてしまいました。しかし、遠景(自然豊かな景色)については手前に暖色、奥に寒色がくるように配置しています。

補色の使い方は、最も強調したい中央の本の周りを黄色に輝かせることで、周囲に陰鬱な紫色の風景と対比させ、インパクトが出るようにしてみました。

今回の絵は近景と遠景で別の印象を与える複雑な構成だったので、配色は一筋縄では決まりませんでした。これで最適解だとは思っていませんが、試行錯誤して、そこそこ納得のいく配色にはたどり着けたと思っています。

明日で「ゆめまな物語」記念日9周年

ところで、初めて「ゆめまな物語」シリーズの絵を描いたのは、2013年11/26でした。偶然ですが、その記念日の前日に、今年の絵を完成させられたことを嬉しく思います。

コスモス見つけたよ I Found A Cosmos!
コスモスを見つけて喜んでいる姉弟です

ちなみに絵心教室スケッチを買って、絵を描き始めたのは2013年の10/8でした。3DS新絵心教室をDLC含めて全部履修したのは、それよりさらに前ですが、記録は残っていません。(調べたら画像のファイル作成日で分かるかもしれませんが)

いずれにしても、本格的に絵を描き始めて、ちょうど9周年くらいです。思えばあれからずいぶん月日が経ったものです。

年に一度しか絵を描いていないので、上達はほとんど見込めませんが、今年も完成させることができたという事実に達成感を感じています。これからも、細々と絵を描くことは続けていきたいです。

投稿日2022.11.25