わたしは絵が下手です。自由自在に描けるようなうまさはありません。未だに即興で描くと、棒人間と変わらない絵になります。
でも絵が好きです。だから、絵を描くためには、下手さを補う工夫をしなければなりません。わたしが工夫している点を7つ紹介します。
■1.ゆらぎのある線で描く
わたしはまっすぐな線を引くことが苦手です。輪郭をきれいに描くことができません。
この問題の解決策の一つは手ぶれ補正機構のあるソフトを使うことです。しかしそうした機能を使っても、線の入り抜きなど、技術が求められる部分は多くあります。
それでわたしは、全体を手書き風にすることで、ゆらぎのある線にマッチするような塗り方をしています。アニメのような絵であれば、すっきりした輪郭線が必要ですが、手書き風の絵ならば、線がいくらかぶれていても味になるからです。
2.絵本風に描く
人物デッサンや写実的な表現が苦手です。人体の構造を把握したメリハリのある形を描くことができません。練習あるのみですが、そんな気力もありません。
それで、写実的に描くのを捨てて、絵本風に描いてしまうことで、絵にそれなりの説得力を持たせています。絵本風であれば、くびれのない人体を描いても、あまり問題になりません。
絵にはいろいろな表現方法があるので、きっちりとリアルに描くことだけがすべてではないと思っています。
■2.虹色を使う
わたしは色選びが苦手です。色のセンスがあまりありません。特に細かい色の違いを活かすことができません。適当に色を選んで描くと、ちぐはぐな絵になりがちです。
それで、多くの場合、虹色のグラデーションをアクセントに加えることで、華やかな見た目にしています。虹色だと、色を選ぶ必要がないにもかかわらず、とても目を引く色使いになります。
■3.斜めの構図にする
なかなかインパクトのある構図が描けません。パースの表現が苦手だからです。
それで、奥行きのある絵を描きたいときには、斜めの構図を使っています。斜めにすることで、縦幅と横幅が対角線の長さになるので、横にも縦にも広い絵になります。水平線が斜めに配置されることで、一見したときの印象が変わります。
■4.キャンバスサイズを固定する
絵を描く体力があまりありません。大作を描くような体力がないと同時に、じっくり描くような根気もありません。
それで、キャンバスサイズを1800×1000、解像度を200に固定して描いています。細かすぎず、だいたい一日で描き終わる大きさです。はがきに印刷するとき、下にメッセージスペースをとれる横長ワイドなサイズです。
じつはこれは使い慣れた絵心教室のキャンバスサイズです。縦横比が固定されていることで、構図を考えるのも楽になります。自由度がある程度制限されているほうが、何もかも自分で決めるより楽だと思います。
■5.キャラクターを固定する
アイデアが湧きません。いつもアイデア不足と闘っています。絵を描きたいのに、描くものが思いつかないという、致命的な弱点を抱えています。
それで、キャラクターを固定することで、アイデアの不足を補います。たとえば、下の絵だと、海辺の貝殻を思いついただけです。それだけでは、魅力的な絵にするには要素が足りません。
でも、いつも描いている双子とネコのキャラクターを組み合わせることで、物語が生まれます。それだけでは絵にならないような単発のアイデアでも、固定されたキャラクターと組み合わせれば絵にすることができます。
極端な話、ただの風景写真の模写であっても、そこに自分のキャラクターを配置すれば、オリジナリティが出ます。
■6.アイデアをストックしておく
固定されたキャラクターを使ってもなお、アイデアは不足します。アインシュタインは、メモ帳を持ち歩き、何かアイデアをひらめいたらすぐメモしていたそうですが、ふだんからアイデアをストックしておくことは大事です。
ひとつめに使っているのはアナログのノートです。下書きやアイデアを描きためておきます。
ふたつめに使っているのはPinterestです。ブックマークレットを登録しておき、ネット上で良い画像を見つけたらブックマークしてためておきます。
いざ絵を描くときにアイデアを探すより、こうしてふだんから描きたいものを集めておいたほうが、描くものに悩まくてすみます。
■まとめ
本当は、こうした小手先の工夫に頼るのではなく、地道に練習したほうが、画力は向上すると思います。たとえば、色選びが苦手なら、色彩コーディネートについて学ぶなどすればいいはずです。人体を描くのが苦手なら、筋肉の構造を学んでデッサンします。
でも、わたしはプロではなく、趣味で描いているだけです。趣味であれば、苦しいことはしたくありませんし、目的は楽しむことです。
もちろん、これから何年も描き続けたら、絵の描き方を学ぶ機会もあるかもしれませんし、画風も変わるかもしれません。
大事なのは、絵を描き続けることであり、そのためには楽しく描けることが不可欠です。
それで、今のところ、こうしたいろいろな工夫で、弱点を補って、楽しく描くことは大事だと思っているのです。