ソマティックフェスタでハコミセラピーを体験してきた。感性が鋭い人におすすめ?


ソマティックフェスタに行ってハコミセラピーを体験してきました!

…と言っても、何のことだかわからない人も多いと思います(笑) わたしも数日前までソマティックフェスタというものを知らなくて、木曜日にライフハッカーに出ていたこの記事を読んで、いきなり「行ってみよう!」と思い立ったのでした。

心と身体がつながっている「ソマティック」の概念を通して心身の健康を取り戻す方法 | ライフハッカー[日本版]

「ソマティック」とは何なのか、上の記事でわかりやすく説明されていますが、簡単に言えば、ソマティックとは「身体の」「身体志向の」という意味です。

最近、この「ソマティック」 という概念と心理学を組み合わせた「ソマティック心理学」(身体志向の心理学)というのがアメリカを中心に注目されていて、聞いたところによると、新宿の紀伊國屋書店でソマティックフェアというのもやっていたらしい。

たとえば、最近よく聞くマインドフルネスとかヨーガとかは、このソマティック心理学の影響を受けています。どちらも、身体の動きを意識して、心を整える方法ですよね。

なんでわたしがこれに興味を持っているかというと、過去記事でも取り上げてきたHSPみたいなわたしの認知特性とよく関係しているからです。

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HSPの人は感覚が鋭いぶん、心身が不安定になりやすいんですが、そんなとき、普通のカウンセリングとかは全然役に立たない。普段から考えすぎるくらい深く考えているのがHSPの人なので、今さら自分のことを何も知らない人と言葉を交わしたところで気づきなんてなくて、かえって気落ちしてしまうばかりです。

それに対して、近年、HSPみたいな人に向いていると言われてるのが、ソマティック心理学からのアプローチ。特に、芸術や創作に使う敏感な感性を生かして、自分の内側を探っていく方法が効果的。

わたしももっと自分の体調を安定させたいな、と思って色々と本を読んでるうちに、この分野に出会っていたので、今回「ソマティックフェスタ」なるものを知って渡りに船と思い、早速行ってみたのでした。

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ソマティック心理学との出会い

ソマティック心理学は、ここ日本では全然メジャーじゃなくて、あまり真剣に扱われていない学問です。最近やっと、マインドフルネスとかが注目され始めているけど、言葉ばかりが独り歩きしてしまって、スピリチュアルな話だと誤解されていることもしばしば。

わたしが一番最初に耳にしたソマティック心理学のキーワードは、たぶん「アレクサンダー・テクニーク」だったと思います。これはF・マサイアス・アレクサンダーという人が、自分の発声の障害を改善していく中で見つけた心と身体の関係を整えるスキルです。

わたしも愛用する あのマインドマップの開発者、イギリスの教育家のトニー・ブザンがアレクサンダー・テクニークの達人だということを知って、ちょっと興味をもった次第。なんでもアレクサンダー・テクニークを意識しているおかげで、一挙手一投足が優雅でビシっとしているのだとか(笑)

当時たまたま読んでいたブログ主さんもアレクサンダー・テクニークをやっていて、こういうのって日本でもやってるのかーと漠然と思いはしたんですが、そのときは深く考えませんでした。

それから自分の心身の凍りつきを何とかするために色々本を読んでいて、去年出た 神経生理学者ピーター・リヴァインの身体に閉じ込められたトラウマ:ソマティック・エクスペリエンシングによる最新のトラウマ・ケアという本を読んでいると、何年かぶりに、アレクサンダー・テクニークと再会することになりました。

わたしがただの姿勢のトレーニングだと思っていたアレクサンダー・テクニークは、じつは心と身体の不一致を抱えている人たちの治療にも取り入れられているらしい。

失礼な話ですが、以前はどことなく怪しい雰囲気を感じていたのだけど、最近はしっかり科学的な裏付けもされている手法へと様変わりしているのも知りました。

そして、1973年、ノーベル生理学・医学賞のコラース・コペンハーゲンは、聴衆の予想に反して、自らの研究テーマである自然環境での動物について話題にしなかった。

彼は生きているヒトのからだに観察されること、ストレス下でのヒトのからだの機能と機能不全について語ったのだ。

私はアレクサンダー・テクニークに関する彼の観察に衝撃を受けた。

…アレクサンダー・テクニークの名前は、F・マサイアス・アレクサンダーに由来している。

彼は1890年から1900年の間にその原理を最初に観察し、定式化した人物である。

アレクサンダー・テクニークは、個々人の身体的状況および精神的状況全体を阻害している。誤った姿勢の習慣を軽減させるアプローチである。(p32)

神経生理学者ピーター・リヴァインは、このノーベル賞受賞者と連絡をとり、これまでのあやふやな心理学ではなく、実験で立証されている生理学に基づいた身体志向のセラピーを完成させます。それはソマティック・エクスペリエンス(SE)として知られています。

ソマティック・エクスペリエンス(SE)は、最近読んだ 子どもの敏感さに困ったら読む本: 児童精神科医が教えるHSCとの関わり方という本の中でも、HSPの人に効果のあるものとしてちらっと触れられてました。

アレクサンダー・テクニークはソマティック・エクスペリエンスの土台となり、今日のソマティック心理学にもつながっているんですが、この分野に含まれるセラピーはかなり多種多様。

たとえば トラウマと身体 センサリーモーター・サイコセラピー(SP)の理論と実際という本では、ハコミセラピーや、それを発展させたセンサリー・モーター・サイコセラピーについても知りました。

こうした本を通して、わたしが長年抱えていた身体の不調が、じつは凍りつき(Freezing)という生理学的問題だということがよくわかりました。

Misslinは、凍りつくことを「警戒としての不動」と説明しました。そこでは、呼吸と目の動きを除くすべてのものは完全に停止します。

…動物においては、ひとたび捕食者を見つけると、凍りつきは支配的な防衛反応になります。人間においては、凍りつきでは、筋肉が固く張ったようになり、心拍数が上がり、感覚の鋭さが増加するような交感神経系の高度な関与がみられます。(p130-131)

「親の要求を用心深く待ち、迅速で従順な反応をし、そして以前の警戒状態に戻る」という「凍りついた用心深さ(frozen watchfulness)」を示す子どもの例に示されているといえます。(p132)

この本を読むと、これでもか! と生物学、脳科学、動物行動学などの最新の発見が盛り込まれていて、スピリチュアルどころか、科学的根拠でガチガチに固められた学問だとわかります。

というか、この分野の専門家の本を読むと、ふつうの心理学者とか、精神科医の書いてる本が、たわごとレベルだと思ってしまうようになります(笑) 

あれこれ想像をふくらませて心とは何か考えることは、学者じゃなくても作家にだってできます。でも、神経生理学の証拠をもとに心を分析するのは、ソマティック方面の学者じゃないと無理です。

いつの間にかソマティック心理学の世界に足を踏み入れたことで、これまでの自分の問題とか、対処法が少しずつ理解できるようになりました。マインドフルネスのような、ちらほら耳にしていたキーワードも、どこがどうつながっているのか、やっと整理されてきた。

そして、生活の中でも学んだことを当てはめるようになりました。最近ボルダリングを始めたのはその一環です。

ボルダリングやダンスのような全身を使うスポーツは自然にマインドフルな状態をもたらす身体を使ったトレーニングです。

マインドフルネスは、ただ「今、この瞬間」に集中して注意を向けるトレーニングですが、クライミングのヒーローであるアラン・ロベールは、ナショジオのインタビューで、クライミングは「一番生きていると実感するもの」だと言ってました。

【インタビュー】Webナショジオ・インタビュー アラン・ロベール | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

わたしはこの感覚が希薄です。いつも生きているのか死んでいるのか、現実なのか夢なのかよくわからない。ものすごく鮮明な夢を見るから、現実よりも夢のほうが本物らしいという。昔の記憶が本物なのか夢だったのかわからなくなることがよくあります。

マインドフルネスやボルダリングだけでなく、アレクサンダー・テクニークも、生活の中で使い始めて、効果を実感しています。

これまでだと、外出しているときとか、大勢で集まるミーティングのときとかは、疲れ果ててぐんにゃりした姿勢を取っていました。おかげで注意がさまよって空想に入り込むことばかり。

だけど、正しい姿勢(背筋をビシっと伸ばすのではなく無理なく自然な姿勢のこと)を意識するようになると、現実から意識がそれず、「今、この瞬間」に注意を向けられるようになってきました。そうすると、不思議なことに、身体の疲れも違います。

ヒトを含めた生き物って、姿勢と神経系の働きは相関しているものです。警戒しているときは身体が緊張しますが、逆に身体を意識的に緊張させると感覚が研ぎ澄まされ心拍数が上がります。

落胆すると手が垂れ下がり、背中が丸まって打ちのめされた姿勢になりますが、その逆もしかり。授業中とかミーティングとかで、打ちのめされたようなだらりとした姿勢を取っていると、どうやっても内容に集中することはできません。

全力で走っているときにじっくり考えることはできないし、横になって休んでいるときに生き生きとスピーチすることもできない。姿勢に意識を向けて、その場その場にふさわしい態度を選択することの大切さを学びました。

踏み出せなかった理由

そんな いきさつでソマティック心理学と出会いましたが、ほとんど本を読んで実行していたものが多くて、実際にセラピーを体験したことはありませんでした。

体験に踏み出せなかった理由はいくつか。

まず、この分野って、やっぱりセラピストの質はピンキリなんです。ソマティック心理学は、本当は神経生理学や脳画像研究の裏付けがある学問なんだけど、そうした根拠を理解せずにスピリチュアルヒーリングと混同している人が治療者側にもすごく多い。

スピリチュアルヒーリングを否定するわけじゃないけれど、ちゃんとした根拠を理解していないやり方は、セラピストの主観によって成り立っているわけで、やっぱりどこかで問題を引き起こします。

極端な話、ときどき無免許で医療している人がとんでもないことをやらかしてニュースになることがありますが、医学的知識のないセラピストも、もっと小さいレベルで確実に問題を引き起こしています。

ソマティック心理学のセラピーは本人の深いところに踏み込んでいくので、注意しておかないと、意図せずトラウマを掘り起こしてしまうこともある。だから、ソマティック・エクスペリエンスとかでは必ず安全な場所を確立するワークを最初にするんですが、その必要性を理解してない人もいる。

ちゃんとした根拠ではなく、直感に基づいたセラピーは取り返しのつかない問題を引き起こしがちです。

たとえば、ひと昔前はショッキングな事件を経験した直後にカウンセリングするデブリーフィングという手法が盛んに使われてました。大変な目に遭った人の話をすぐ聞いてあげる、というのは、一見とてもいいことのように思える。でも近年デブリーフィングはPTSDを悪化させるという統計が出ています。

反対に、ショッキングな出来事のすぐ後は、誰かに話すのではなく、テトリスなどのゲームをするとPTSDの発症が抑えられることもわかっている。こんなことって、ちゃんと根拠を調べてる人じゃないとわからないですよね。直感にすごく反してるので。

でも、ソマティック心理学の生理学的な部分を勉強しておけば、なぜデブリーフィングがだめでテトリスがOKなのかが理解できるようになります。

PTSDは記憶の条件付けによって生じるので、事件直後に詳しく話してしまうと記憶の結びつきが強化されてしまいNG。正しく記憶の処理をするには、結びつきを弱める視覚的タスクが必要で、テトリスとかEMDRが役立つ。

ソマティック心理学の分野は、意外とこういう直感に反する発見が多いです。わかってみれば、なるほどなーと腑に落ちるんだけど、知らない人はとことんわからないはず。だから迷走しやすい、知識が不足している部分の穴埋めをスピリチュアルに頼っている人は、勉強不足で要注意だということになる。

しかも、ソマティック関係のセラピーって、日本では医療処置として認められてない自己負担だからやたら高いです。何も知らずに下手にセラピーを受けても、お金がもったいないだけ、ということで、なかなか機会がありませんでした。

でも、身体を使ったセラピーな以上、紙面で理解するだけじゃなくて、どこかで味わってみないと、と思っていたのも事実。どんなにおいしいと評判の料理でも、じっさいに身体で味わってみないと実感は湧かないものです。

ソマティックフェスタへ

そうしているところへ、ソマティックフェスタなるものがある、ということを知って、早速調べてみると、いろんな先生方の授業やデモンストレーションを選んで受けられるらしい。

これなら信頼できそうなのを選べるし、それほど深入りせずに雰囲気を感じられるかな、と思って、行ってみることにしました。

講座一覧を見ると、怪しげなものからしっかりしてそうなものまで色々ありましたが、とりあえずわたしの興味のある分野、ということで、セラピー関連のをピックアップ。

だけど、これって本来、参加の事前予約をするもので、ソマティックフェスタについて知ったとき(開催前日)には、もう事前予約は締め切られちゃってました。当日券が残っているものならOKらしいけど、希望する講座が余ってるかは行ってみないとわからない。

本当は、午後のほうに受けてみたい講座がちらほらあったんですが、昼過ぎに行っても絶対当日券余ってないですよね(笑) かといって朝はやく行って、午後遅くの講座まで待つ体力もないしなーということで、とりあえず午前中のハコミセラピーの講座狙いに決めました。

ハコミセラピー自体はそれほど興味があるわけではないけど、さっきのトラウマと身体 センサリーモーター・サイコセラピー(SP)の理論と実際の翻訳者がハコミ関係の人だったし、センサリー・モーター・サイコセラピー(SP)の起源がハコミらしいから知っておいて損はないなと。

まえがきを見たところ、SPの開発者のパット・オグデンはハコミの開発者のロン・クルツの当初からの仲間の一人で、SPを開発した後も彼が亡くなるまで連携していたのだとか。

パット・オグデンがなぜハコミセラピーから分かれて新しいSPの概念を作り上げたのかはわかりませんが、翻訳者の感想を読んだ感じだと、ハコミのほうはあまり科学的裏付けがなされていなかったのかなと。

経験論的に構築されたハコミセラピーを神経生理学などの観点から再構築したのがSPなのかなと思います。

はしがきの中で、あのトラウマ研究の権威のヴァン・デア・コークが、「この分野の3人の優れた先生」が心に思い浮かぶとして、SPのパット・オグデン、SEのピーター・リヴァイン、そしてアル・ペッソ(たぶんペッソ・ボイデン精神運動療法の人)の三人を挙げているのだけど、たぶん医学的にしっかり確立されているのは主にこの3つなのかも。

そういう意味ではハコミセラピーは物足りない可能性があったけど、そういうのを一日限定で受けられるのがソマティックフェスタのいいところなんだと思いました。当日券余ってるかどうかはドキドキでしたが(笑)

ハコミセラピーの講座を受けに行く

道に迷いながらも講座の30分前にはたどりついて、なんとか当日券をゲット。その次の枠の別の講座の分も買っておこうかと思ったけど、とりあえず体験してみないと、費用対効果に見合うような出費かわからないわ、と思って手を出さず。

このあたりが超慎重なHSPなんだなーと自分でも思ってしまう(笑) ケチなわけじゃないんだけど、本当に必要かどうか慎重に検討してからお金を使う主義です。その代わり必要だと判断したら、液タブみたいに質がかなりいいものを買う。

講座の会場は和室で、だいたい20人前後の少人数でした。講師の方が受講生に、これまでハコミセラピーを体験したことがありますか?と聞くと、ほとんど手が上がらず、反対にマインドフルネスは?と聞くと、全員手が挙がったのが面白かった。

てっきりこういうところに来るのは、セラピー何度も受けてる人かと思ったら、わたしみたいに興味はあるけど、体験したことはないという人ばかりだったみたいです。前日に開催を知ったわたしがいきなり行くのは場違いかな、と思ってただけに、これでちょっと緊張がほぐれた。

最初はまずハコミセラピーの起源などについてちょっとした講義が。正直いって、やっぱり概念論寄りで、あまり参考にならない内容だったんですが、ところどころ興味深いものも。

たとえばハコミというのはアメリカの先住民ホピ族の言葉で、「あなたは何者ですか?」の意味。…というあたりまでは知ってたんだけど、命名に困ってるときに夢で見たアイデアから来ているというのは知らなかった。

あと、ソマティック心理学の起源として、フロイトの弟子のヴィルヘルム・ライヒの名前が出てきたのは新鮮でした。

フロイトはみんな知ってる精神分析の始祖となったすごい人ですが、途中から人間心理を性的欲動と結びつけすぎる迷路にはまりこんでしまいました。だけど、カリスマ的な存在になったせいで盲信され、現代までの精神医学に良くも悪くも多大な影響を及ぼした人物。

わたしはフロイトではなく、その周辺の人たちの考え方が好きで、たとえばフロイトの反感を買った精神科医のピエール・ジャネとか、敏感な人について最初に研究したフロイトの弟子カール・ユングは、すばらしい観察眼をもっていたと思います。

ジャネはヴァン・デア・コークが「ヒーロー」と呼ぶほど尊敬している人だし、ユングはHSPのエレイン・アーロンのイチオシでもある。

だけど、そこにもう一人、フロイトの弟子ヴィルヘルム・ライヒの名前を加えるべきかもしれない。ライヒのことは、SEのピーター・リヴァインの身体に閉じ込められたトラウマ:ソマティック・エクスペリエンシングによる最新のトラウマ・ケアにも出てきていました。

オーストリア生まれの精神分析家、ヴィルヘルム・ライヒは、二つの根拠から彼の師がひどい間違いを犯していると確信した。

…ライヒはまた、ネガティブな感情の抑圧も喜ばしい感情の抑圧も身体的な現実であり、筋肉の慢性的な固さや痙攣に現れるということも信じていた。

これらの身体的な制限によって、呼吸の制限やぎこちなく調和の取れていないロボットのような動きが生じる。(p367)

ライヒは、フロイトと違って、心と身体のつながりをしっかり認識していました。たとえば、本人が意識していない抑圧された感情が、筋肉の慢性的な固さや痙攣、姿勢などに現れると考え「性格の鎧」と名付けたのだとか。

このあたりはジャネの着眼点とよく似ていますし、マサイアス・アレクサンダーが、心理学者たちが語る無意識とは結局身体のことなのだ、と気づいていたこととも一致しています。

フロイトは無意識を探るのに夢分析や自由連想に頼りましたが、それよりも身体の動きを観察することのほうが無意識にアプローチする近道なんだ!、ということに、これらフロイトと同時代のあまり目立たない人々は気づいたのでした。

こうした考え方は、昔は単なる経験に基づく直感だったけど、最近になってアメリカのアラン・ショア博士が、脳科学の観点から無意識とは言語劣位半球の働き、つまり言葉にならない身体感覚のことだと立証して、再認識されつつあります。

そんなわけで、ちょっと前までは、フロイト系の主流派精神医学から鼻で笑われていた身体志向のアプローチが、現代の脳科学の進歩にともなって主役交代しつつある、というのが近年の海外でのソマティック心理学の盛り上がりだと思います。日本ではさっぱりなんですけどね!(笑)

…というようなことを解説してくれてもいいのになーと思いながら、ハコミセラピーの講義を聞いてました。けっこう長い時間説明してたわりに淡白な内容すぎて、はっきり言って眠かった。

やっぱり人前で話す人はスピーチの腕前を鍛えたほうがいいですよね…。自分の話を録音して聞いてみるとか、キャッチーな構成を考えるとか。

マインドフルネス

そのあと、ようやく実践編に。

長かった。話だけで時間が終わったらどうしようかと思ってしまった。

まずはマインドフルネスをやってみる。マインドフルネスに入った状態で語りかけを聞くと、心や身体がどう変化するかを探ってみると。たとえば、意識していなかったストレスに気づいたり、自分が本当にやりたかったのに抑圧していた感情に気づけたりするかもしれない。

ここでみんなマインドフルネスを経験済みの人たちばかり、ということで、マインドフルネスの手法は特に説明もなく、意識を呼吸に集中して解釈や批判をオフにするというオーソドックスな方法がとられました。

だけど、じつは、わたしはマインドフルネスが苦手で…。家でやるときでも、マインドフルネスで意識がクリアになって切り替わるまでにだいたい10分から20分かかるんですよ。

だから、今回の講座でも、とりあえず実践した時間内では、十分にマインドフルネスへ移行できず、壁を感じました。これは練習不足というわけではなく、後で触れるように、わたしの意識に生理的にストッパーがかかっているためだと思われる。

ほかの人たちは、口々にマインドフルネスで感じ方が変わったとか、逆にまったく変わらなかった、とか言っていましたが、わたしの場合は、感じ方が変わりかけるんだけど、身体に抵抗があって、その変化をなかなか受け入れてくれない、という状態です。

言い換えたら、なかなか寝ついてくれない赤ちゃんに似ている。マインドフルネスによって泣き止ませようとするんだけど、なかなか泣き止んでくれないので、抱っこして落ち着かせるのにかなり時間がかかる、みたいな感じでしょうか。

ちなみに、マインドフルネスはよく誤解されますがリラックス法とはちょっと違います。わたしは昔、自律訓練法や筋弛緩法もやってましたが、あちらは身体の力を抜いて、ゆったりリラックスしていく方法。

それに対し、マインドフルネスは、意識を「今、この瞬間」に固定する方法です。自律訓練法だと最終的に眠くなっていきますが、マインドフルネスだと頭がクリアになって、周囲のさまざまな感覚を無批判に感じられる状態になります。

そこらへんの違いは、ネットの記事とか週刊誌に載っているお手軽な説明じゃなくて(マインドフルネスが商業化されすぎて、本来の形式を逸脱して宣伝されていることはこちらの記事でも書かれている)、考案者のジョン・カバット・ジンの著書を読むなどすればわかってくるはず。

なんかマインドフルネスを実践してます!って人を見てると、理解が間違っているせいで、マインドフルネスじゃなくてマインドワンダリング(意識がさまよってリラックスしている状態)になっている人が少なくない気がする。

ペアワークを通して感じたこと

この次にやったのは、二人ペアになって実践するセッション。

まずセラピーを受ける側の人は横になって、マインドフルネスの状態になり、身体の各部に注意を向けて感覚をサーチします。そして、気になる部分に手を当ててもらう。

横になっている人は手を当てている人に対して、手を当てる場所や、力の入れ方など注文をつけて、一番しっくりくるやり方にしてもらう。

そして、手を当てている側が、「この手はあなたに何を言っているように感じますか?」といったことを尋ねて、横になっている側は、そのとき浮かんだ言葉を伝える。手を当てている人はその言葉を繰り返してあげる。

さらに手の当て方とか言葉のかけ方に注文をつけて、その変化とともに、自分のからだの感覚がどう変わっていくかを探索していく、というワークでした。

二人一組になってからだの動きからフィードバックを得るのはフェルデンクライス・メソッドに似ているし、感じたことを実際の他者から語りかけてもらったりするのはペッソ・ボイデン精神運動療法とも似ている。このあたりの要素は、ソマティック心理学に含まれるいろんなタイプのセラピーに共通してますね。

わたしの場合、やってみる前はたぶん「大丈夫だよ」といった声をかけてもらいたいだろうなーと思ってたら、凍りついている部分に手を当ててもらうと、まったく別の言葉、「落ち着いて」とか「焦らないで」という言葉が浮かんできました。

予想外だったけど、過去にもそういうことはあったので、後で考えてみると意外ではなかったんですが、驚いたのはその時の身体の反応。

今まで筋肉が凍りついて固まっていた部分が、手を触れられて、同時に声をかけられると、ぐぐぐっと弛緩していきました。あまりに劇的だったので、そこでセラピーを中断してもらいました。もう効果は十分だったということで。

じつは、こういう反応って、一人でマインドフルネスやってるときにも出てくるんですが、30分くらいやる必要があるんです。それが今回はものの数分だったはず。

講師の方が、ハコミセラピーのセッションでは、わりと簡単にマインドフルな状態に入っていけると言ってた気がしますが、ペアワークという形をとるだけでこんなに違うとは衝撃的だった。

なんでいつもそんなに時間がかかるのかというと、さっきちょっと書いたように、どうも無意識のロックがかかっているぽいです。医学的にいうと健忘障壁みたいな。何か危険物を意識から隔離してるので、厳重にロックされているんですね。

トラウマセラピーでは、この部分のロックを解くのが危険だから、細心の注意を要するし、だからこそ安全な場所のワークとか、危険な記憶が表面化したときの封じ込めのワークとかに熟達したセラピストじゃないとリスクが高いです。

わたしの場合、一人でマインドフルネスやってロック解除していくと、身体の凍りつきがほぐれはじめるころには強烈な視覚イメージが出てきてなんだか恐ろしくなる。だからいつもそこで引き返してその先には進めていません。

だけど今回はそこへものすごいスピードで到達しちゃったのでちょっと怖くなってセッションを切り上げたのでした。

そもそも、わたしは普段何をやっても、効果を実感できない体質です。例えばこれまでマッサージを受けたり鍼灸を受けたり、アロマテラピーや自律訓練法や筋弛緩法をやったりしても身体の凍りつきは絶対に緩まなかった。

どうもプラセボやノセボが出にくい体質みたいで、効かないものはうんともすんとも言わないんですね。薬やサプリでもプラセボが出たことがないので。

逆に、確かに効果のあるものは強く反応するのではっきりわかります。数週間で効果が消えるとされるプラセボと違って数年単位で効果が持続するし、QOLもがらりと変わるし。

身体の凍りつきはそのたぐいのもので、今まで、これを緩める手段は、30分以上かけた丁寧なマインドフルネスしかなかったんですが、今回は数分で反応したので、やっぱりこの系統の問題なのだな、と再認識したわけです。

ソマティック心理学に注目したことは間違ってなかったんだと思うと同時に、それが何を意味するかも知っているので、慎重に取り組んでいかなければいけないな、とも気を引き締めました。

さっきのトラウマと身体 センサリーモーター・サイコセラピー(SP)の理論と実際に書いてあるこの状態ですね。

しかし、もしクライエントが思い出した素材を統合する能力を欠いていれば、クライエントは急速に不安定になってしまいます。

そうではなく、クライエントは「ゆっくり進めば、早く目的地にたどり着く」というアプローチに専心するよう促されます。(p337-338)

センサリーモーター・サイコセラピーは、ロックを解くことよりも、「ゆっくりとしたペースで記憶への反応における今の体験の組織化を調べるようはたらきかけ、クライエントが耐性領域にとどまることを最優先と」するとのこと。

今回みたいに、ロックが外れかけて耐性領域外に飛び出そうになったら、無理にそこを探索する必要はなく、耐性領域内に戻ってきて、時間をかけて取り組んでいったほうがいいということです。

まあ普通は、ここまで色々考える必要はなくて、ハコミセラピーをやっても意識してなかったストレスに気づけたとか、身体の声に耳を傾けれたとかいう感想になると思うんですけど(笑)

もっと身体で感じてみたい

今回、いきなりソマティックフェスタに行ってみて、最初は不安もあったけど、結果的に思わぬ発見もあったので、行ってよかったと思いました。

ペアワークの効果増幅は予想外だったけど、それ以外の部分は、これまでの理解の方向性でよかったことを確認できたのも収穫。

ハコミセラピーのあとは、EMDRから派生したらしいブレインスポッティングという手法の講座があったので、ぜひ行ってみたかったんですが、当日券はSOLD OUTになってました。残念。

午後の部のローゼン・メソッドとかフェルデンクライス・メソッドの講座も興味があったんだけど、体力のことを考えると、午前中で引き上げたほうがいいかな、と判断して、今回はこれまで。

わたしが思うに、HSPの人に必要なのは、体験の量ではなく質なんだと思います。ちょっとしたことで深い気づきを得るのがHSPなので、あまりたくさん体験しすぎず、刺激の量は意識して少なくしたほうがいいと思う。

わたしの場合、いまだに、学生時代に受けた箱庭セラピーと絵画セラピーの気づきに支えられています。どっちもたった一回限りの経験だったけど、今に至るまで影響が残っている。たぶん今回もそうなるんだと思います。

今回のハコミセラピーの体験は、抑圧された部分に迫るものでもありましたが、それとは別に、自分の創作を見つめ直す機会にもなりました。

最近、あまり絵を描けていないのは、じつはイメージが湧きにくくなっているせいなのだけど、その原因が何かわかった気がします。先月も2枚絵は描き進めていたんですが、結局どちらも完成しないまま月が終わってしまいました。

そちらの気づきについては、また長くなっちゃうまで記事を改めて書こうかな、と思います。

わたしが今回の経験を機にハコミセラピー受けに行くかというと、それはないでしょう。同じことを繰り返して「量」を増やしても仕方ない。

その代わり、今回受けられなかった他の講座を体験してみたいという気持ちが強いです。きっといろんなセラピストのやり方を経験し、さまざまなワークに触れることのほうが、自分を多角的に見て気づきを得る近道だろうから。

次回のソマティックフェスタの日時はしっかりチェックしておいて、予定が合いそうだったらまた行ってみようかなーと思っています。こんどはちゃんと事前予約して!(笑)

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