大渦のさなかへ Into the Maelstrom


「見えたっ! ソラ! あそこ!」
「ああ! しっかりつかまってて! ハナ!」

最果ての海には伝説がありました。
年に一度、雷鳴り響く大嵐の日に、大渦のさなかに、いにしえの城が現れる。
かつて伝説を追い求めて多くの冒険者たちが挑みましたが、だれも いにしえの城までたどり着けませんでした。

「それでも…」男の子は言いました。
「今のぼくらなら、きっとたどり着けるはずさ」
これまであまたの苦難を乗り越えて、伝説の宝を手にしてきた二人。
女の子は言いました。
「行こう、ソラ! わたしたちならできるはず!」

意を決して雷が降り注ぐ嵐の海へと船出した男の子と女の子
そして今まさに、大渦のさなかに封印された城が姿を現しました。
幾千年も海の底に閉ざされた伝説のお城には、はたして何が待ち受けているのでしょうか。

嵐の夜に、大渦のさなかに現れる伝説の城を目指すソラとハナを描きました。

「メエルシュトレエムに呑まれて」

ようやくのびのびと描けた前回の絵に引き続き、今回の絵もとても楽しく描くことができました。

たいへん遅ればせながら、になりましたが、「空花物語」二周年おめでとう!  もう一周年から一年経っちゃったんですね。

この絵の構想は、去年末ごろにはすでに描きたいリストに入っていたのですが、最近まで絵を描く気力があまりなかったので、今になってようやく形にできました。

元ネタは、エドガー・アラン・ポーの「メエルシュトレエムに呑まれて」。学生時代に、ポーにはまっている時期があって、ポー小説全集を買い揃えて全部読んだのですが、そのときひときわ印象に残ったのが、巨大な大渦に呑み込まれた漁師の脱出劇を描いたこの短編小説でした。

何が印象的だったかというと、大渦の中から見た景色の描写で、文章でここまで生き生きと、色や質感や暴力的なまでの迫力、そして荘厳さを描写できるのか! と驚いた記憶があります。ポーが描写した金属質の光沢を放つギラギラした大渦の内壁のイメージは、記憶にしっかり焼き付いていて、いつか絵に描いてみたいと思っていました。

ポーの「メエルシュトレエムに呑まれて」と違い、ソラとハナは、大渦から脱出するどころか、果敢にも大渦に飛び込んでいきます。今までのソラとハナの冒険の中でも、随一のスリルを感じる場面ですね。最初はソラに手を引かれて冒険しているだけだったお姫さまが、これほど勇気あふれる冒険者になるなんで、わたしも想像してませんでした(笑)

わたしは端正で細かい絵は描くのが苦手なんですが、動きのある躍動的な絵は、なぜか昔からわりと得意なので、今回みたいなアクションは描いていて楽しいです。せっかくハナがアクションもこなせるようになってきたので、今後はもっとスリリングな冒険も増えるかな?なんて思ってます。

しばらく絵以外のことを頑張っていましたが、やっぱり絵を描くのって楽しいですね!  やっぱりわたしのやりたいことはこっちだったんだなーと実感して、なんだか生気を取り戻しつつあるこの頃です。自分の居場所に帰ってきた!