Switchが発売された直後から話題になっていた、Switchのジョイコンをお絵描き用の左手入力デバイスとして使うアイデアを、わたしもやってみました。本当に使いやすくて泣きそう(笑) WindowsのPainter使いなので、その設定をメモしておきますが、他のペイントソフトでももちろん使えます。
Switch持ってないしゲーム機ほしくないけど、片手用デバイスだけほしいよね、って人でも、右か左どちらか自分に必要なほうのジョイコンだけを単品買いして、サード製の充電キット(たとえば公式の拡張バッテリーや非公式の充電グリップ)を買えば、本体なしで使うことができます。(ジョイコンは普通本体に接続して充電するので、単品だと充電装置が必要。本体に接続するとBluetoothが切れるため、本体を持っていてもこの用途であれば充電キットがあったほうがいいかも)
もくじ
(i)ジョイコンのペアリング
まずは、PCのBluetooth接続で、ジョイコンをペアリング。ジョイコンは左右二つありますが、利き手はもちろんペンを持つので、非利き手の側のジョイコンを使用。右利きの人はジョイコンL、左利きの人はジョイコンR。どちらを選んでも、ボタン数は変わらないので快適です。
PCのスタートメニューの歯車マークをクリックして、「Windowsの設定」画面を起動。その中の「デバイス」を選び、「Bluetoothまたはその他のデバイスを追加する」から、Bluetooth周辺機器の接続へと進みます。
ジョイコン側のペアリングボタンは、ジョイコンの側面(本体との接続面)の中央付近のある小さなでっぱり。それを長押しすると、ジョイコン側面に並んだ黄緑色のライトが点滅し始め、ペアリングモードになり、PCに認識されるので接続。
(ii)JoyToKeyでボタン設定
このままではまだジョイコンのボタンがソフトに対応していないので、JoyToKeyというソフトをダウンロード。無料ダウンロードできますが、気に入ったらライセンス購入するよう勧められています。
JoyToKey 公式ホームページ – 最新版をダウンロード
解凍するだけでインストール無しで使えます。アプリケーションを起動するショートカットアイコンをスタートアップフォルダに入れておけば、次回から自動起動できます。
JoyToKeyを起動したら、ジョイコンのボタンを適当に触ってみる。そうすると、押したボタンに対応した設定パネルが反応するのがわかるはず。あとは、ひとつずつ好きなキーを割り当てていくだけです。
ジョイコンのボタンは、片手だけで15種類設定できます。オプションで斜め入力も別ボタンとして設定できるようにできますが、誤操作しやすいですし、斜めがなくても十分すぎるボタン数だったので、斜めなしで使っています。
(そのままの設定だと斜め入力されたとき十字方向だと認識されて誤作動しやすいので、あえて「斜め入力を別ボタンとして使用」をオンにして、何も設定せず無効にしておくのを推奨。そうすることで、上下左右しか反応しなくなります)
Macの場合はJoystick Mapperというのを使うらしいです。
Joy-Con(L)とMacで絵描き向け片手デバイスを作った | やわらかい不安
Androidは接続はできるものの、おそらくゲームコントローラーとしての使用ができるのみ。iOSは全く認識してくれないようです。
(iii)ジョイコンのショートカットキー設定のコツ
以下は、わたしが使っているPainter用のボタン設定です。自分の使っているソフトのショートカットキー一覧を見ながら、ふだんよく使う機能はどれか考えて、使いやすい場所に割り振っていくといいと思います。
絵描きさんが一番よく使うショートカットキーは多分Ctrl Zの取り消しだと思いますが、わたしの場合は、それはペンのサイドスイッチ上に割り当てているので割愛。右クリックも同じくサイドスイッチ下に割り当てています。
それ以外のよく使う機能をジョイコンに割り当ててみましたが、それぞれのボタンごとに、どこにどんな機能を割り振るのがいいか、ちょっとしたコツを書いておきます。
(1)LR/ZLZRボタン
まず、コントローラー上部にある人差し指で操作するボタン2つ。L or Rボタンと、ZL or ZRボタンですね。ここはとても使いやすいので頻繁に使う機能を割り振ることになりますが、特に「押しっぱなしにする」操作に適しています。わたしの場合は、手のひらツールと回転ツールに割り振ってみました。ボタンを押したまま移動させたり回転させたりするのが楽です。
Lボタン Space Alt 回転
ZLボタン Space 手のひら
(2)アナログスティック
次はアナログスティック。LRボタンの次に操作しやすいボタンです。ジョイコンLとRでスティック配置が違うので、使いやすさは右利きか左利きかで若干異なりますが。
アナログスティックは、デフォルトでは上下左右の四方向(オプション設定で斜めも追加できる)と、押し込みの計5つの入力に対応しています。しかし押し込み入力は、同時に方向入力が生じやすいので、誤操作に注意。
わたしの場合は、とりあえず上下方向に拡大と縮小だけ割り振っておきました。
上 Ctrl Space 拡大 (またはCtrl +)
下 Ctrl Space Alt 縮小 (またはCtrl -)
右
左
押し込み
Painterの場合、このショートカットキーだと、拡大、縮小するたびに、ボタン入力だけでなくペンのタッチが必要です。ボタン入力のみにするには、左クリックを追加すれば可能ですが、ラグが生じるのと拡大場所を指定できないのとで、このキー設定にしました。
この拡大縮小のショートカットキーは、一段階ずつ拡大縮小する通常のズームツールです。ボタンを押している間 連続で拡大し続けたり、縮小し続けたりするアニメーションズームツールにしたい場合は、Photoshopと同じショートカットキー(拡大はCtrl + 縮小はCtrl – ※+はテンキーのプラス 、あるいはマウスホイール)でできます。
(3)十字キー
Switchの十字キーは、事実上ABXYボタンと同様のものなので、4種類のキーストロークに割り当てることができます。アナログスティックに比べると、入力しやすさは劣りますが、そのぶん、すべて独立したボタンなので、誤操作の心配がありません。わたしの場合は、ブラシツール関連に割り振りました。
上 B ブラシ
下 N 消しゴム
右 Alt スポイト
左 Ctrl Alt ブラシサイズ変更
(4)特殊ボタン
続いては、ジョイコンの上部と下部にある特殊なボタンです。上部にあるのはプラスボタンorマイナスボタン、下部にあるのは、キャプチャボタンorホームボタンです。左右で位置の違いはありません。どちらも少々押しにくい位置にありますが、独立したボタンなので誤操作の心配はありません。時々しか使わない重要な機能に割り当てるのがいいでしょう。
わたしの場合は、上部のマイナスボタンは、近くにあるLボタンを回転ツールにしている関係から回転リセットにしました。下部のスクリーンショットボタンは、保存ボタンにしてみました。Painterはわりとクラッシュしやすいので、意識して上書き保存するのが大事です。普段ゲームでスクショ保存するのと同じような感覚なので、我ながらいい割り振りだと思ったり(笑)
スクリーンショットボタン Ctrl S 保存
マイナスボタン space Alt 左クリック 回転リセット
(5)側面SLSRボタン
最後は側面にあるSLとSRボタン。ジョイコン片方だけを一人用コントローラーとしておすそ分けプレイで使うときに、LRボタンに使用する部分ですね。片手持ちのときは使わないボタンなので、最も押しにくい位置にあります。ジョイコンストラップをつければ多少押しやすくなりますが、あまり使わない機能に割り振っておくのがよさそうです。
わたしの場合は、絵のバランスを見るときにだけ使う、左右反転とガイド表示に割り振ってみました。
SLボタン Ctrl Alt Q 左右反転(個人キー設定)
SRボタン Ctrl ; ガイドの表示/非表示
この左右反転のショートカットキーは、もともとPainterに存在するものではなく、自分でキーコンフィグしたものです。Painterは、デフォルトでショートカットキーがない操作でも、「編集」→「環境設定」→「キー設定」で自由にキーコンフィグできるので、それを利用しています。この機能を使えば、ふだんよく使う機能なら何でも、コントローラーのボタンに割り振ることができます。
ウェブブラウジングなど他の用途にも使い分けできる
JoyToKeyにある「アプリケーションとの関連付け」機能を利用すれば、ジョイコンをお絵描き以外にも流用することもできます。ゲーミングPCのコントローラーに使うのはもちろんのこと、インターネットブラウザのショートカットキーを割り振って快適にブラウジングすることも。
例として
画面スクロール(↑と↓。自動連射機能をオンにして1秒間に10回くらいにすればスムーズ。マウスホイールとして設定してもいい)
戻る(Backspace)
右タブ切り替え(Ctrl PageUpとCtrl PageDown。PageUpキーはFn↑、PageDownキーはFn↓でもOK)
新しいタブ(Ctrl T)
タブを閉じる(Ctrl W)
ブックマークを表示(Ctrl B)
検索バー(Ctrl K)
ページ内検索(Ctrl F)
再読込(Ctrl Shift R)
リンクを新しいタブで開く(Ctrl押しながらクリック)
などのショートカットキーを登録しておけば、かなり役立つのではないでしょうか。
接続デバイスの切り替え
唯一の課題点は、デバイスの切り替えができないこと。PCに登録したジョイコンは、Switchに装着すると、自動的にSwitchと再接続されます。周辺機器を買わない限り、この方法でしかジョイコンは充電できません。
Switchと再接続されたジョイコンを再びお絵描きで使うには、Bluetoothの再接続をやり直す必要があります。PCのBluetooth設定を開いて、ジョイコンのプロファイルを削除し、再度ペアリングします。10秒もかからないので、大した手間ではありませんが、ちょっとだけめんどくさいですね(苦笑) それでも認識されない場合は、タスクバーの通知領域にあるJoyToKeyのシステムアイコン(常駐アイコン)を右クリックして「ジョイスティックを再検出」でつながります。
他の方法があるのかもしれませんが、わたしが調べた限りではわかりませんでした。充電や再接続がめんどくさいなら、いっそPC専用にジョイコン片方と充電スタンドをひとつ買う…という手も(笑)
PCがWiiUっぽくなる楽しさ
以上で、Painterの操作デバイスにジョイコンを登録する方法の説明は終わりです。使ってみるとわかりますが、とんでもなく便利です。ワコム液タブの使いにくいボタンで頑張っていたのは一体何だったのか、と思うほど。いかにゲーム会社のコントローラーづくりがプロフェッショナルか実感しましたね。もちはもち屋だ(笑)
一番うれしかったのは、ニンテンドーのコントローラーの物理キーで操作することで、さんざんお世話になったWiiUのような操作感が味わえることです。お絵描きソフトが一気に絵心教室っぽい感触になりますから。Switchを持ってる方は、せっかくだから色々とジョイコンの可能性を探ってみると楽しめるのではないでしょうか。
▽さらに改良して絵心教室っぽい操作感にカスタマイズしてみました。