精神疾患は脳の可塑性が関係している脳の機能障害

ネグレクトや、境界性パーソナリティ障害などの精神疾患を分子神経メカニズムの観点から研究し、論理的な基盤を与えようとしている研究者、横浜市立大医学部、先端医科学研究センターの高橋琢哉教授のインタビューが掲載されていました。

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インタビューでは精神疾患は、脳の可塑性が関係している脳の機能障害であり、心の弱さではない、と説明されています。

かつては精神疾患を「精神面の弱さ」や「性格の問題」とみなす風潮があった。脳科学の研究が進み、脳神経の機能低下によって引き起こされていることが分かってきた。

たとえば生後間もないラットを隔離したところ、学習や記憶、社会への適応に重要な役割を果たすタンパク質が少なくなり、痛みを感じにくくなり、増加したストレスホルモンがタンパク質の移動を阻んでいて、脳の可塑性が低下してることが分かりました。

同様に、ネグレクトによって母親やほかの子どもとの関係が絶たれた環境に置かれた子どもの脳でも異変が生じ、社会への適応が困難になる重篤な精神疾患につながる可能性があると書かれています。

それに関連して、境界性パーソナリティ障害やパニック障害などの病名も挙げられています。

現在、精神疾患は医師の直感で診断されていますが、神経メカニズムの研究が進めば、客観的に診断する基盤ができ、脳の可塑性をコントロールして治療にもつなげられるのではないかと展望されています。