あなたの家族や友人には病気を抱えた方がいらっしゃいますか? きっとその方の力になりたいと思っておられることでしょう。
しかし、何気ない言葉が、病気の人の心を傷つけてしまうことがあります。
このエントリでは、病気の人を気落ちさせてしまう、かけてはいけない言葉を3つ取り上げます。
「なんで…」
「なんでそんな病気になったの」
「なぜもっと健康に気を遣わなかったんだ」
病気の人に、「なぜ」「なんで」という言葉をかけて、苦しみに追い打ちをかける人がいます。「なぜ」「なんで」と言われると、非難されているように感じるのです。
書籍いつも目標達成している人の「人の心を動かす」NLP会話術には、「なぜ」「なんで」という言葉は他の人に対して使うべきではないと書かれています。
「なぜ」「なんで」は、自分について使うなら、「わたしは…です。なぜなら…」というように、説得力を増し加える強力な言葉です。しかし、他人に対して使うと、相手に言い訳を探させてしまい、問題点を覆い隠してしまいます。
代わりに使うと良いのはどんな言葉でしょうか。「なぜ」「なんで」と言いたくなったら、その言葉を「何が」「どのように」に変えてみましょう。つまり、以下のように声をかけてあげてください。
「どのようにして体調を悪くしたんだい?」
「いったい何があったんだい?」
声の調子にもよりますが、言葉を変えるだけでも、ずいぶん非難がましくなくなります。
「○○していればよかったのに」
「もしあのときもっと健康に気をつけていれば、病気にならなかったんじゃないの」
病気の人に「○○していればよかったのに」と指摘する人がいます。確かにそうかもしれません。不健康な習慣が病気の一因になってしまうことはあります。
しかしいったいどれほどの人が、普段から非の打ち所のない健康的な生活を送れるでしょうか。意志の強さという問題もありますし、生まれ育った環境や食生活は、たとえ好ましくないものだったとしても、大人になるまではどうすることもできません。
「後悔先に立たず」と言われるように、過ぎてしまった事柄、発症してしまった病気に「○○すればよかった」はありません。「○○すればよかった」と言われると、病気の人は、過去の自分の行いを責められているように感じます。その人が過去にできなかったことではなく、今できていることに目を留めて、こう褒めてあげてください。
「病気という難しい状況でも○○して、よくがんばっているね」
たとえ小さな点であっても褒めてもらえると、その人は元気づけられて、病気に懸命に対処していきたいと思うようになるでしょう。過ぎてしまった過去を悔やむのではなく、未来に生きるよう励まされるのです。
また、似たフレーズとして、「○○すればいい」というのも避けるべきです。多くの場合、病気の人が望んでいるのは話を聞いてもらうことであって、解決策を提示してもらうことではないからです。
これらの点については、苦しんでいる人を思いやる3つの方法も参考になるでしょう。
「だれにでもよくあること」
「体が痛いとか疲れるとか言うけど、だれにでもよくあることだよ。みんな痛いところやしんどいところがあってもがんばってるんだ。それくらいで弱音を吐くな」
慢性的な病気の人は、しばしば「だれにでもよくあることだよ」と言われて傷つきます。たとえば、慢性疲労症候群の人は、疲労について訴えると、たいてい取りあってもらえません。疲労や痛みは、健康な人も日常的に経験するので、病気の人との程度の違いがわからないのです。
疲労について言うと、ふつうの疲労と慢性疲労症候群の疲労とは、火花と稲妻ほどの違いがあります。まぶたを動かすことさえ苦痛に感じるほどの深刻な疲労、あるいはヘドロがまとわりつくような不快な疲労を想像してみてください。
病気の人の疲労や痛みは、それほどのもの、いえそれ以上のものです。しかしそれほどの苦しみを表現する方法がわからないので、「疲労」や「痛み」と言うしかないのです。
ですから、病気の人の話を聞くときには、「だれにでもよくあること」と考えるのではなく、こう言ってあげてください。
「辛かったね。きっとわたしには想像もつかないほど大変な体調なんだろうけど、よく辛抱していると思うよ」
自分にはわからない、という気持ちを正直に伝えるなら、その謙虚さは病気の人の琴線に触れるでしょう。
あなたの言葉は貴重
病気の人は社会で、また家庭で見下げられることが多く、心ない言葉をかけられがちです。そのような中、温かい言葉をかけて、理解を示してもらえると、とても助かります。温かい言葉をかけてくれる人は、わたしたちにとって本当に貴重な存在なのです。
このエントリを最後まで読んでくださったあなたに、病気を患う者の一人として、心から感謝いたします。これからも、身の回りの弱い立場の方たちを、優しい言葉をもって支えていただけるなら、これに勝る喜びはありません。