若年性線維筋痛症の子どもをもつ親の会として「きずなの会」というものが発足したことを知りました。以下のサイトです。
わたしの周りにも、線維筋痛症を抱えておられる方が幾人もいます。その中には、比較的若い方も珍しくありません。 そのサイトを読ませていただき、わたしが銘記しておきたいと感じた3つの点をまとめておきたいと思います。
小児慢性疲労症候群(CFS)の場合、家族や学校関係者の理解の不足が大きな問題となります。本人はどれだけ努力しても身体が動かせないのに、周りの人たちから見ると、勉強嫌いに見えたり、怠けているように思われたりしがちです。挙句の果てには、手のかかる不登校児としてのレッテルを貼られてしまうことも少なくありません。
特に、子供に場合、自分の身に起きていることをうまく表現できないことが大きな障害になります。慢性疲労症候群(CFS)は、大人の患者でさえ、症状をどう言い表せば良いのか困惑する病気です。子供の場合はなおさらでしょう。この病気についてよく知っている大人のサポートが必要不可欠です。
若年性線維筋痛症を扱う「きずなの会」も、そのような目的のために発足したのだと思います。ホームページを読ませていただいて、丁寧な情報の提供に感心させられました。以下に、わたしが銘記しておきたいと思った3つの点を抜粋します。
心身両面からのアプローチが必要
個々の例には発症の原因となる事態があり、子どもにとって強力な「心的ストレス」が発症の契機になっていると思われます。
若年性線維筋痛症は、特定の発達時期にある特異な性格傾向の子どもに、不可避的な心的ストレスが加わって生じたものと考えることができます。
“心的”とはいえ、疼痛は実際に生じており、圧痛点という共通の所見があり、所謂“心因性疾患”とはいえず、脳内環境の生化学的な変化が推定されます。
わたし個人の意見として慢性疲労症候群 ー体の病気? それとも心の病気?というエントリを書いたこともありますが、このような重大な疾患の場合、精神的、身体的ということにこだわらず、どちらにも原因があるものだと考えて治療に取り組むのはとても大切だと思っています。
「心的要因がある」ということは、弱さを認めるようで、本人にとっても、親にとっても受け入れがたいことです。しかし、そのような点もしっかり書いておられて、真剣に子供たちの力になりたい、と考えておられることが伝わってきました。
向精神薬は用いない
(抗うつ・抗不安・抗てんかん薬について)上記の薬剤のいずれも小児には使いにくいものであり、効果が乏しく、副作用に苦しむ場合が少なくありません。
こどもに比較的安全に適応できるのは、
アセトアミノフェン
ノイロトロピン
還元型コエンザイムQ10(慢性疲労に有効)などです。ノイロトロピンは小児には安全性が高く、しかも疼痛緩和の効果が期待できます。
この問題は、6月13日に放映されたNHK「クローズアップ現代」の特集「“薬漬け”になりたくない~向精神薬をのむ子ども~」でも取り上げられていました。
子供のころから、向精神薬を服用することの害は、わたしもよく知っています。しかし、このように公に取り沙汰される機会はなかなかなく、子供にも抗うつ薬を投与するのが当然、というのが一般的な認識であるように感じていました。事実、現状の医療現場ではあまり認知されていないことも事実で、何のためらいもなく、子供に向精神薬を処方する医師は驚くほど大勢います。
ですから、自衛のためにも、大人の線維筋痛症の治療に使われる薬と、子供の線維筋痛症に使われる薬との違いを知っておくことは必要だと思いました。なお、還元型コエンザイムQ10は慢性疲労症候群(CFS)の臨床で、現在導入が検討されていて、痛みに効果的であることがわかっています。
学校関係者の理解の不足
若年性線維筋痛症のこどもたちや、保護者の方が、学校の友達や、先生、保健室の先生までもが、この病気の症状の辛さを理解してくれず、“怠け者”や“仮病”と見なされることがとても辛い、と少なからず訴えます。
これは急を要する問題だと思います。子供が多くの時間を過ごし、自己実現に取り組む場は学校です。学校は、子供たちのために存在しているはずです。ところが始めに書いたように、こうした聞きなれない病気を発症した場合、多くの場合、子供たちの訴えは理解されません。学校が子供たちをサポートするどころか、苦痛を増し加える敵に変わってしまうのです。
学校関係者の方には、子供の成績が悪かったり、不登校に陥ったりする場合、単にその子が怠けていると考えてほしくはありません。注意欠陥・多動性障害(ADHD)やアスペルガー症候群、小児慢性疲労症候群(CCFS)、そして若年性線維筋痛症など、その子供自身がどうにもできない問題に苦しんでいる可能性もあることを知っておいてもらいたいと思います。多くの場合、それらの病気や障害は外見からはわからないので、なおさら、学校関係者の方々が知識を持っているかどうかが大切なのです。
以上、3つの点について、手短に感想を述べました。こうした患者と家族の集まりが良い環境をもたらし、幼いころから耐えがたい苦痛を抱えて闘病している子供たちの未来に、明るい光が差し込むよう願ってやみません。