わたしの家族がWindows8の32bit搭載のタブレットPCME400を買って、設定を手伝ったので、ちょっとした感想を書いておきたいと思います。
もくじ
なぜWindowsタブレットを買ったか
はっきり書くと、現時点でWindows搭載のタブレットは魅力に乏しいといえます。タブレットPCとしてのユーザーインターフェースは明らかにiPadに劣りますし、ネット閲覧が目的であれば、アンドロイドタブレットのほうが安価です。
しかしわたしの家族は、ずっとWindowsを使ってきたので、慣れ親しんだユーザーインターフェースのほうが良いと考えたようです。また、使えるアプリケーションが限定されていて、これまで使ってきたフリーソフトが使えない点を危惧したり、単にネットブラウジングだけでなく、パソコンとしての用途にも使いたかったり、といった理由から、Windows8タブレットにしたようです。
わたし自身は、Windows7の時代から、Eee Slate EP121というワコムデジタイザペン対応のタブレットPCを使っているので、ME400ではなく、その上位種でワコムペンが使えるVivoTab TF810Cのほうを推したのですが、金銭的余裕から、ME400になりました。
よって、わたしの感想は、Eee Slate EP121と比べての使い勝手、ということになります。
総評 良かった点と悪かった点
まだ買ったばかりなので結論を出すには早すぎるのですが、良かった点、悪かった点を書いておこうと思います。
良かった点
処理速度:心配していましたが、今のところ問題なく、非情にスムーズに動いています。
新鮮さ:独特なスタート画面やチャームによる操作はいろいろ言われていますが、1日もあればなれることができ、スムーズな処理速度とあいまって、楽しめます。
軽さ:重量は軽く、携帯性はかなり良いと思います。
画面の回転:画面の回転は比較的スムーズで、縦持ち、横持ちでも使いやすく思いました。
ソフトウェアキーボード:外付けキーボードがなくても、意外に不自由しませんでした。
悪かった点
ユーザーインターフェース:メトロモードそのものはなれると面白いのですが、デスクトップモードと乖離しているため、とても使い勝手が悪いです。
タッチ操作:ペンかマウスがないと操作のしようがない場面があり、ストレスになります。
開発が追いついていない:Evernoteなど有名サービスのWindows8用アプリがまだ発展途上です。おそらく今後使いやすくなると思いますが、今の時点では、何をするにもかなり不自由です。
2つのシステムが同居している奇妙さ
しばらく設定を手伝って感じたのは、そのシステムの奇妙さです。
Windows8というと有名なのはメトロモードです。メトロモードでは独特のスタート画面からはじまり、Windowsストアからアプリをインストールして使います。
それ自体は斬新さがあり、可能性を感じさせてくれるのですが、肝心のデスクトップモードとの互換性がまるでないことがいただけません。
デスクトップモードとは従来のWindowsと同じシステムです。しかしタブレットPC用に最適化されていないため、マウスだとストレスなく操作できていたユーザーインターフェースが、指だと細かい操作ができせず、とてもイライラします。
そのため、タブレットPCに最適化されたメトロモードをおもに使うことになるのですが、メトロモードには、これまでWindowsで経験していたような自由さがまるでないのです。
たとえば、わたしの家族はLast passでパスワードを管理しているようなのですが、メトロモードのIE10では、指で操作しやすい代わりに、拡張機能が使えません。Firefoxのメトロ版としてNightlyも試してみましたが、事情は同じでした。Chromeのメトロ版はまだ使い物になりません。
※追記:USのWindowsストアでLastpassがありましたが、使い方がわかりません。
そのため、指での操作を楽にしたいがためにメトロ版を使うと機能面で不自由になり、機能面での利便性を求めてデスクトップ版を使うと指での操作は不可能に近いという厳しい選択を迫られます。
※メトロ版のブラウザは、IEやFirefox Nightly、Google Chromeを規定のブラウザに設定し、スタート画面から起動させると使えるようです。各ブラウザの設定から切り替えもできます。
そのほか、EvernoteやSkitchも、従来版とWindows8版(タッチ版)があり、操作のしやすさは、タッチ版のほうが抜群に良いのですが、機能的には、かなり制限があるため、魅力が削がれています。
例えばSkitchのタッチ版は写真撮影から編集までこなせる優れものですが、Windows8の機能制限のせいでスクリーンキャプチャができないという残念な部分があります。
つまり、Windows8は、極端な言い方をすれば、デスクトップ用の「Windows7」と、タブレット用の「WindowsRT」というまったく別のOSを同梱して、「Windows8」というパッケージで売りだしたものであるかのように感じます。
その2つは内部でまったく融合しておらず、設定の手間や管理が二重になっている分、混乱します。パソコン上級者ならばうまく扱えるのかもしれませんが、わたしたちのような初心者では道具が二倍になっては戸惑うばかりです。
ソフトウェアキーボードは使いやすい
ME400はBluetooth4.0対応とのことですが、EP121に付属していたタイプのMicrosoft Bluetooth Mobile Keyboardが問題なく使えました。(コントロールパネル、カテゴリ表示の「デバイスの追加」から接続)
しかしグーグル日本語入力を導入したところ、意外とソフトウェアキーボードが使いやすかったので、人によるとは思いますが、外付けキーボードは必須ではないと思います。一応のところ、純正のキーボードも先日発売されました。
ペンかマウスは必須
問題はペンのほうです。デスクトップモードでは、ペンかマウスがなければ、到底操作できないような部分がたくさんあります。ネット閲覧時も、IE10は画面を拡大するサポート機能がわりと使いやすく練られていますが、それでもツールバーのアイコンなどは小さいままで、指では操作しにくく感じます。
前述のように、わたしの家族は、どうしてもデスクトップモードの拡張機能を使いたかったので、メトロモードは当座のところあきらめ、デスクトップモードのIE10を使っています。
そのままでは指操作はかなり苦しいですが、デスクトップ画面で、右クリック(長タッチ)して、「個人設定」→「ディスプレイ」の設定から、画面の表示の大きさを「小」→「中」にすることができます。
根本的解決ではありませんが、これでアイコンや各種ボタンが心持ち大きくなり、かろうじて使えるようになりました。
今後、スマートフォン用のスタイラスペンが使えるかどうか試してみるとのことです。しかしスタイラスペンの使いやすさや、細かい操作のしやすさの点では、上位機種であるワコムデジタイザのスタイラスペン対応のTF810Cに一日の長がありそうです。
スマートフォン用スタイラスペンで操作しやすければいいのですが、それが難しいならマウスを使うことになるでしょう。しかしマウスとタッチ操作の両立は、手を動かす範囲の点で面倒だと思うので、できればスタイラスペンで済ませたいところです。
ちなみに、EP121では買ってからずっとマウスは使っていません。ワコムデジタイザスタイラスペンとタッチ操作は相性がよく、両方があってはじめて、Windows7のタブレットPCが実用に足るレベルになっていると思います。
▼追記
スタイラスペンを購入しました。お菓子の袋で自作しようかとも思ったのですが、評判の良かった百円均一Can★Doのタッチペンを購入。使い心地は割りと良く、タッチペンがあるかないかでは操作しやすさがまったく違います。このレベルであればマウスは不要です。
目的はしぼるほうがいい
結局のところ、タブレットPCにはネット閲覧などの優位性があり、デスクトップPCには作業における優位性があると思います。どちらもよくばった結果、中途半端な状態になっているのがWindows8タブレットの現状といえます。
Windowsになれ親しんでいるから、Windows8のタブレットPCを、という考えはあまり意味がなかったかもしれません。結局タッチ操作をしたければ、メトロモードというまったく別の操作を覚える必要があるからです。慣れ親しんだデスクトップモードはおまけです。
もちろん、開発されるアプリの使い勝手はどんどんよくなっていくでしょうから、今後に期待したいところです。また、わたしたち自身も、Windows8に触れて間もないので、思いちがいをしているところがあるかもしれません。使い勝手をよくする方法を探っていきたいと思います。
そして、今になって感じるのは、わたしが使っているEee Slate EP121は、Windowsタブレットのプロトタイプ的な存在であるとはいえ、絶妙なバランスを保っているということです。値段もそれなりにしましたが、Windows7でありながら、快適なタッチ操作を味わえていることは嬉しい限りです。ただし重いため、持ち運びには向きません。
ASUSはEP121やB121、TF810Cなど、ワコムデジタイザ対応のWindowsタブレットを他社に先駆けて作ってきたので、今後もその技術と経験を活かし、手頃な値段で実用に耐えうるWindowsタブレットが出てほしいと思います。
▼追記
■明るさが自動で変わるのを解除する
画面の明るさが突然明るくなったり暗くなったりするというので、下記を参考に設定を調整しました。
[VAIO_PC] 画面の明るさが自動で変化する | Q&Aページ | サポート | VAIO | ソニー
Win8CP タブレット PC で設定した画面の明るさが予期せず変更されます。 – マイクロソフト コミュニティ