2016年の気になる本のリスト

2016年発刊の、わたしが関心を惹かれた本の一覧です。

気になる本のリストですので、内容を確認していないものも多分に含まれます。翌2017年のリストはこちら。

2017年の気になる本のリスト
2017年の気になった本のリスト。

2016年の気になる本

■12/26 NHK きょうの健康 2017年 1月号
…「全身の痛み 線維筋痛症」の特集があります。

■12/24日経サイエンス2017年2月号
…腸内細菌の特集号

■12/23 失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織
…失敗を否認してしまう心理と、失敗をプラスに活かすための研究。

■12/20 睡眠・食事・生活の基本
…赤ちゃん学で理解する乳児の発達と保育 第1巻 (出版社による目次)

■12/16 すべての疲労は脳が原因 2 <超実践編> (集英社新書)
…食事、睡眠、生活環境において、疲労を予防・解消する具体的な方法

第一章は前巻の内容の疲労研究の復習、第二章からは、食事、睡眠、環境についての実際的な疲労大作のアドバイス、という構成からなっています。

読みやすくわかりやすい反面、限られた裏づけにもとづく短絡的なアドバイスが多く、ちまたのライフハック本に似た軽薄な印象を受けます。そういう考え方もあるか、と話半分に受け止めておくのがいいかもしれません。

実践編と言うだけあって、前巻よりも具体的な記述が多いですが、全体として見れば重複している内容がほとんどで、同著者の本をすでに一冊読んだことがあるなら、改めて読むほどではないように思います。

■12/12 児童心理 2017年 01 月号 [雑誌]
…ポジティブ心理学や防衛的悲観主義について載せられている

■12/12 PRESIDENT (プレジデント) 2017年 1/2号 [雑誌]
…「大敵はストレス!じわじわ心を蝕む国民的病気」で慢性疲労症候群が取り上げられている

■12/1 マイクロバイオームの世界――あなたの中と表面と周りにいる何兆もの微生物たち
… 人間の体内に棲む何兆もの微生物群(マイクロバイオーム)について学びたい人のための基本書

■11/24 メンタライゼーションでガイドする外傷的育ちの克服
…境界性パーソナリティ障害の治療として注目されているメンタライゼーション療法(MBT)の本

■11/23 臨床場面での自己開示と倫理―関係精神分析の展開
…岡野憲一郎先生による精神分析における治療者と患者の関係性についての論説

■11/18 愛着障害の克服~「愛着アプローチ」で、人は変われる~ (光文社新書)
…愛着障害の専門家の岡田尊司先生による、愛着の治療の解説本。

感想:愛着障害の岡田先生の最新の本で、治療法に焦点が当てられた本、なのですが…子どもの症状は家族の病理の反映であることも多く、本人だけでなく、家族もケアして愛着関係を安定させていくのが有効、という「愛着アプローチ」の解説。 しかし語り口に くどさや押し付けがましさを感じることがあり、今までの本に比べて何か違和感が…。

特に、成人済みの人や孤児など、まわりに家族もいないのに、症状に悩まされている人の場合には通用しないので、あくまで家庭内のゆがみによる不安定な愛着にのみ通用する話である気がします。 本来の意味での愛着障害に対するアプローチについては、トラウマ研究の専門家の本のほうが役立つように思えました。

■11/16 つながる脳科学 「心のしくみ」に迫る脳研究の最前線 (ブルーバックス)
…理化学研究所が送る、脳と心に関する9つの最新研究

少し内容が難しく、実験室の中の話ばかりなので ピンとこない部分があるものの、興味もそそられる話題もそこそこ点在している本でした。

話題としては記憶の仕組みに間するものが最も多く、そのほか特定の脳の疾患や愛着に関する章が少し。

記憶については恐怖記憶の生成についての部分が、青斑核から出るノルアドレナリンが、扁桃核や前頭前皮質での記憶の生成に関わっているなど、PTSDやトラウマといくらか関係していて興味深く思いました。

また愛着については、内側視索前野(MPOA)や分界条床核菱形部(BSTrh)が重要な役割を担っていて、その仕組みが機能しないことが虐待と結びついていそうです。抱っこして歩くと子どもが泣き止む輸送反応は、子どもの側が運ばれているのを固有知覚で感じられてはじめて成立するというのは、自閉症などの子の扱いにくさと関係しているかもしれません。

双極性障害のメカニズムを解き明かしていく章はこの本の中で最も興味深く、ミトコンドリア病と似ていること、眼瞼下垂が現れること、特に松果体や手綱核のミトコンドリアの働きに問題があることなど、もしかするとこのブログで見てきた慢性疲労や愛着障害、睡眠障害ともつながっているのかもしれません。

全体的に実験結果を細かく読み解いていくボトムアップ型の本なので、いったいそれがわたしたちの日常にどう関係してくるのか、という身近さが感じにくく、共感して読めるタイプの本ではないですが、基礎知識として知っておくとどこかで役立つかなと思いました。

■11/7 週刊ダイヤモンド 2016年11/12号 [雑誌]
…特集「疲労の正体」で、疲労研究や慢性疲労症候群などが扱われています。

■11/5 生きるための哲学 (河出文庫)
…愛着障害の専門家の岡田尊司先生による、歴史上のさまざまな著名人が想像を絶する逆境を乗り越えた考え方を分析していく本

岡田先生の本は、近年の本はわりと読ませていただいていますが、この本はその中でも屈指の名著だと感じました。他の愛着障害などのメンタルヘルスを売りにした本と違い、地味で目立たない本ですが、そのぶん医者としての立場や、治療という目的にとらわれない、純粋な作家としての岡田先生の筆致が楽しめます。

「あいまい性耐性」―逆境のもとで新しい価値観を見つけ自分の人生を歩み出す力
あんまり現実というものが苦しいので、絶えず瞑想のうちに逃れていたが、これはどうやら無駄なことではなかったらしい。 今、僕は以前思っても見なかった望みや希(ねが)いを持っています。

■11/5 脳はいかに意識をつくるのか―脳の異常から心の謎に迫る
…意識とは何か、という問いから、 統合失調症における「世界‐脳」関係の崩壊などまで考察されている

■11/4 スッキリ! 体と脳の疲れが消える本 (PHP文庫)
…疲労研究者の梶本修身先生による一般向けの疲労回復法の本