みなさんはこのような悩みはありませんか。
◆講演ノートをマインドマップできれいに取ろうと、カラーペンを何色も使っていたら、話に置いていかれた。
◆講演に置いていかれまいと、一色だけでマインドマップを走り書きしたら、あまり見栄えのしないマインドマップになってしまった。
このエントリでは、そんな悩みに応えて、マインドマップを手早く書くことと、見栄えがするようにきれいにかくことを両立する方法を提案したいと思います。
そもそも、マインドマップって何? という方は以下の記事をご覧ください。
表裏一体の悩み
はじめに挙げた、2つの場面は表裏一体の悩みです。わたしたちはときおり、マインドマップを時間制限がある中でかくことがあります。たとえば、講演のノートを取ったり、議事録をメモしたり、TVやラジオの内容を速記したりするときです。そのような場合、カラーペンを使ってカラフルに書いていると時間が足りませんし、かといって走り書きすると、あまり見返したくないマインドマップになりがちです。
しかし、ゆっくり時間をかけてかくアイデア出しのマインドマップより、講演ノートなど時間制限のもとでかくマインドマップのほうが、あとで復習する機会が多いのではないでしょうか。そうであれば、できるだけきれいなマインドマップを取りたいと思うはずです。きれいなマインドマップのほうが、復習する意欲が湧きやすいからです。
さらに、時間制限がない場合でも、手軽にきれいなマインドマップをかくことができれば、体力の節約につながります。これは、わたしのように体力が損なわれる病気を持っている者には、これはたいへん重要な問題です。時間も体力もない、けれども見栄えのするマインドマップをかきたい、そんな方へのヒントとして、わたしがマインドマップをかく際に使っているテクニックをご紹介したいと思います。
見栄えのいいマインドマップを手軽にかく方法
一般に、講演ノートなどの速射マインドマップを見栄え良くする方法としては、もう一枚書きなおす、という方法が取られます。乱雑な速射マインドマップを整理し、改めて一枚のマインドマップに清書するのです。
この方法はたしかに望ましいですが、時間と体力がなければ難しいうえに面倒です。それでわたしは、速射マインドマップを書きなおさず、そのまま手直しして見栄えよくする、という方法をとっています。具体的な手順を紹介しましょう。
以下に例としてあげるのは、2012年7月5日に、FNNで報道されたニュース番組、「あなたの頭痛大丈夫?ー原因不明は“髄液漏れ”か」をリアルタイムで速記したときのマインドマップです。
1.セントラルイメージをかく 30秒くらい
(ⅰ)タイポグラフィを使う
絵を描いている余裕は無いので、タイポグラフィ的な手法を用います。講演タイトルや、TV番組のテーマのうち、キーワード部分の文字を大きなフォントで、少し絵画的に書くのです。
この場合、「髄液漏れ」という最も大事なキーワードのみ色と大きさを変えて、躍動的に書いています。ここで用いているカラーペンはマインドマップに適していると言われる三菱鉛筆 ピュアカラーです。
(ⅱ)カラーペンで囲む
次に、そのまわりを別の色で囲み、セントラルイメージを完成させます。簡単な絵を入れても良いかもしれません。下記の場合は、人の横顔のつもりなのですが…急いで描くとよくわかりませんね。しかし何かしら絵を入れたということが、視覚的なアクセントになるでしょう。
この段階で、セントラルイメージには、黒を除いて、最低二色以上のカラーペンを使います。
マインドマップを速記する
さて、いよいよ講演や番組が始まります。この時点でカラーペンはしまいましょう。内容を速記していくことになるので、カラーペンを使う余裕はありません! 使うのは3色ボールペンのみです。
下記のように、内容をひたすら速記していきます。
ここで意識したポイントは以下の4つです。
◆キーワードを厳選する
なんでかんでも書くのではなく、本当に大切なキーワードのみを書くようにします。マインドマップを初めたころは、あまり重要でない単語をたくさん拾ってしまったり、文章を書いてしまったりして紙面がごちゃごちゃしがちです。しかしマインドマップを書き続けていると、しだいに重要なキーワードを選定する能力が培われます。はじめからすっきりしたマインドマップが取れなくてもあきらめないでください。
◆キーワードの大きさを意識する
あとあと見栄えの良いマインドマップに仕上げるために、とても大事なポイントです。中心に近いキーワードほど意識して大きく書きます。意識するのはこれだけで十分です。中心から遠ざかるほど小さく書く、という点は、余白がなくなってくるので、しぜんにできるでしょう。例に挙げているわたしのマインドマップは、もう少しメリハリをつけたいですね。
◆キーワードの色を変える
三色ボールペンを使うので、キーワードの内容によって色を変えます。たとえば、覚えておきたい重要なキーワードは青、注意すべきキーワードは赤、といった具合に使います。しかし、速記でマインドマップをかいていると、文字の色を変える暇もないことが多いので、余裕があれば、で構いません。わたしはなかなかできませんが、しっかりキーワードの色を変えることができれば、見返したときに、より内容を把握しやすくなるでしょう。三色というのは、赤と青でなくても構いませんが、四色以上を使いこなすのは難しいと思います。
◆キーワードすべてをブランチ(枝)に載せない
すべてをキーワードとブランチ(枝)だけでかいていると、単調なマインドマップになり、しかも枝が長くなりすぎて余白を圧迫しがちです。わたしの場合、数値データや、誰かのセリフは吹き出しに入れることにしています。また、絵で表現できる場合は積極的に図式化しましょう。文字で書くより多くの情報を凝縮できるので、紙面がすっきりします。矢印もときどき使うと効果的です。
例に挙げたわたしのマインドマップでも、これら4つの点を確実に実践できているわけではありません。速記中は本当に忙しいので、これらを意識しながらかくには、かなりの慣れが必要です。
これで、速記部分は終了です。
手直しする 5分くらい
ここからは、講演の休憩時間や、家に戻ってからの自由時間に行う作業です。この手直しの過程は、内容の復習にもなります。
(ⅰ)カラーペンでなぞる
まず、各ブランチをピュアカラーでなぞり、有機的でカラフルな曲線にします。濃い色でなぞると、ボールペンでかいた線は見えなくなり、気になりません。同時に、BOI(メインブランチのキーワード)もなぞっておきます。BOIは、本に例えると、各章の見出しに相当します。
これでずいぶん見栄えが良くなります。わずか1分ほどの作業です。
(ⅱ)ボールド体にする
BOIの直下のキーワードを黒のピュアカラーやボールペンでなぞり、ボールド体にします。ここでボールド体にするのは、あくまでも分類において大事なキーワードであり、心に残ったキーワードではありません。本で言うと、副見出しにあたるようなキーワードを機械的にボールド体にしていきます。
わたしの例では、速記でかいているため、直下にあまり大切でないキーワード「美馬Dr」がきていたため、もう一つ下のキーワード「症状」「原因」「髄液」を強調しています。しかし、できれば視覚的には二番目のキーワードを強調するほうが望ましいといえます。
(ⅲ)色を塗る
最後に色鉛筆を使って、セントラルイメージの背景を塗ります。すると、マインドマップの約束事どおり、セントラルイメージが三色以上のカラフルなものになります。
また、吹き出しの枠や、口絵にも色を塗っておきます。なおここで用いている色鉛筆は、ぺんてる マルチ8です。たった一本で8色使えるので、使い方に慣れると重宝します。二本持っていれば、色鉛筆全色に加え、扱いづらいものの、三色ボールペンもカバーすることができます。
いかがでしょうか。ずいぶん見栄えのするマインドマップになったと思われませんか。
何度も見返したくなるマインドマップをかこう!
このブログに掲載しているマインドマップの大部分はこの方式でかいたものです。たとえば、以下のような、読書のまとめにも用いています。
もちろん、どんなマインドマップをかくときにもこの方法がふさわしいわけではありません。たとえば、アイデア出しのときには、はじめからカラフルにかいたほうが効果的です。しかし、体力や時間が限られているときには、まず3色でかいて、あとからカラフルに手直しするほうがはるかに楽です。
わたしは、こうしてかいたマインドマップはすべてスキャンして保存しています。Evernoteに入れておけば、Ctrl+7、Ctrl+F11、F10のショートカットキーを押せばサムネイルビューで一覧表示ができます。写真管理ソフトで整理するのもいいでしょう。
あとから見返したくなるようなマインドマップを手軽にかくことができれば、復習がスムーズになり、学ぶことが楽しくなるに違いありません。ぜひみなさんも、トライしてみてください!