子どものときに激しい虐待を受けると、脳の一部がうまく発達できなくなってしまう。そういった脳の傷を負ってしまった子どもたちは、大人になってからも精神的なトラブルで悲惨な人生を背負うことになる。
ーマーチン・H・タイチャー 小児神経科医・精神科医
子どもの虐待は、近年注目を浴びるようになってきました。しかし大半の人にとって、虐待する親は、自分とは遠い隔たりのある“モンスター”でしかありません。よもや自分自身が気づかないうちに虐待に加担しているかもしれないとは思いません。
また、虐待された子どもが体に消えない傷を負ったり、心にトラウマや愛着障害を抱えたりすることはよく知られています。しかし、脳という“器質”にいやされない傷が生じることを知っている人はどれだけいるでしょうか。虐待は脳を萎縮させ何十年も破壊的な傷跡を残すのです。
いやされない傷―児童虐待と傷ついていく脳(2011年新版)を通して、科学が明らかにした子ども虐待の実態を考えてみたいと思います。
もくじ
これはどんな本?
この本の著者、友田明美先生(@a_tomoda)は、小児慢性疲労症候群(CCFS)の研究の礎を築き、三池輝久先生と共に不登校外来ー眠育から不登校病態を理解するを執筆された方です。
現在は小児神経科医として福井大学医学部附属病院子どものこころ診療部(特殊診療施設)で子どもの問題に向き合っておられます。
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友田明美先生は、かねてより三池輝久先生から「子どもの“こころ”の医療にとって、脳科学は不可欠である」と励まされていました。2003年から2005年には、ボストンのマクリーン病院発達生物学的精神科学教室に留学し、マーチン・H・タイチャー医師と共に研究しました。
そこで出会ったのは、大人たちのエゴイスティックな行動のせいで、子どもたちのその後の人生が何年も、何十年も、もしくは一生涯変化してしまうかもしれない、というショッキングな事実でした。
出版社による本書の紹介文はこちら。
虐待―知られていないその実態
近年、虐待の問題は注目を浴びていますが、その破壊的な実態についてはほとんど知られていません。この本では、脳画像解析に基づいて、“いやされない傷”の実情が明らかにされています。
虐待は身体的なものだけではない
虐待というと、多くの人は身体的虐待(フィジカル・アビュース)、性的虐待(セクシャル・アビュース)を思い浮かべます。
しかし、暴言などの精神的虐待(バーバル・アビュース)やネグレクトも同じほど悲惨な傷を刻みます。親から日常的に暴言を受けてきた子どもは、会話・言語・スピーチなどを担う聴覚野に異常が見られました。(p81)
見過ごしてはならないのは、「DVを目撃させることも心理的虐待にあたる」とされていることです。虐待を受けた期間が長ければ長いほど、左の一次視覚野の容積が小さかったことがわかっていますが、DVを目撃した子どもの視覚野も20.5%小さかったのです。(p73,87)
さらに一般にしつけの一環として良い動機で行われてきた厳格な「体罰」、たとえば継続的にほおを平手打ちされたり、ベルトや杖で尻をたたいたりすることでも、脳が打撃を受けます。感情や理性をつかさどる前頭前野が19.1%も小さくなっていたのです。(p91,132)
虐待は連鎖する
子ども時代に虐待を受けた被害者が、親になると加害者になりやすいことが知られています。被虐待者の実に67%が虐待者になってしまうという世代間連鎖がみられるそうです。
これはラットの研究レベルでも見られます。虐待は脳に消えない傷を残し、受け継がれていってしまうのです。(p8)
ウィスコンシン大学のハーロウが行った有名な実験によると、“ぬいぐるみ”の母に育てられた子ザルは、本当の母に育てられた子ザルに比べ、社会的に異常な行動をとるようになり、大人になるとひどく攻撃的になりました。(p67)
生涯にわたる精神的なトラブルを生む
虐待を受けると、うつ病、心的外傷後ストレス障害、パニック障害、解離性同一性障害、境界性パーソナリティ障害、摂食障害、薬物依存・濫用になる可能性が高いことが分かっています。(p12-45)
特に、生後5歳ごろまでに虐待を受けた場合、76%が愛着障害を発症し、多動性行動障害、解離性障害、大うつ病性障害、境界性人格障害などに発展していくと言われています。
虐待された子どもは記憶をつかさどる左半球の海馬が12%小さくなっていました。また左の扁桃体の大きさが9.8%小さくなっていました。海馬や扁桃体は、うつ病や境界性パーソナリティ障害と深く関係しています。(p57,62)
この本には書かれていませんが、虐待の問題は、慢性的な疲労感を特色とする慢性疲労症候群や、慢性疼痛を訴える線維筋痛症の患者にとっても無縁ではありません。
小児期の虐待は、慢性疲労症候群および線維筋痛症の発症や症状の程度に関連があるというニュースが報道されているようです。
特に性的虐待、精神的虐待、感情的ニグレクトを幼年時代に受けた経験は、慢性疲労症候群と密接に結びついていることがわかった。そうしたトラウマは、成人後に慢性疲労症候群になるリスクを6倍高めていることもわかった。
幼少期の虐待経験が慢性疲労症候群の原因に、米大学研究報告 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
慢性疲労症候群(CFS)と幼少期の虐待|「うつ」の心に癒しを。
Chronic fatigue syndrome linked to stressful childhood – health – 06 November 2006 – New Scientist
Biological link connects childhood trauma and risk for chronic fatigue syndrome
九州大学大学院医学研究心身医学の吉原一文先生も疲労・倦怠感および慢性疲労症候群の病態の中でこう書いています。
CFSの原因は,現在のところ特定されていないが,CFSの病因や危険因子として,遺伝的要因,ウイルス感染,心理社会的ストレス,幼少期の虐待・ネグレクトなどが挙げられている.そのため,CFSは,これらの複合要因による可能性が考えられる.
…幼少期の虐待・ネグレクトは,CFS発症の危険因子であるため,幼少期からの成育歴の聴取は重要である.
シナプスの刈り込み現象
それにしても、虐待された子どもにこのような脳の変化が生じるのはどうしてでしょうか。
虐待によって子どもの脳が変化するのは、シナプスの刈り込み現象のせいです。子どもの脳は2歳ごろまで、シナプスの数が急速に増え、多めに形成されます。その後16-24歳ごろまで、不要なシナプスを刈り込み、神経伝達の効率を高めていきます。
このシナプスの刈り込み現象によって、子どもの脳は思春期ごろまで柔軟性に富みます。何か不具合なことがあれば、それに対応することができるのです。これは神経回路を柔軟に作り変える可塑性として知られています。(p51-52,98,125)
ここで疑問が生じます。子どもの脳に柔軟性があるのなら、虐待を受けても、それに対応できるのではないでしょうか。
悲しい適応、悲しい進化
そのとおりです。
友田先生は虐待によって脳に変化が生じる意味をこう説明しています。
われわれからみたら、虐待というのは非日常的で普通ではない状態である。しかし被虐待児は「日常的で普通の生活」を経験したことのない者がほとんどであるから、たとえそれがストレスフルな状況であっても、その環境を疑うことができない。
ゆえに、耐え難い苦痛や恐怖の中でも、何とかして生きていく術を身につけていく。…これは戦争体験などにはみられない、特異な反応の仕方である。 (p108)
DVを目撃しつづけた子どもの視覚野が小さくなっているのは、被害を受けているもう片方の親がひどい目に遭わされるショッキングな光景を見ないでよいように脳が適応した結果です。(p76)
親から日常的に暴言虐待(バーバル・アビュース)を受けてきた子どもの聴覚野に発達の変化があるのは、聞くに堪えないののしりを聞かないで良いように脳が適応したからです。(p131)
海馬が萎縮するのは、ひどい状態に対処しようとして、ストレスホルモンであるコルチゾールを多量に分泌した結果です。扁桃体が過敏になるのは、生き残るために“逃走か闘争か”に徹した結果です。(p40,61,127)
虐待を受けた子どもの脳に見られた異常は、避けられないストレスにあらがい、普通でない日常を生き抜こうとして、脳の柔軟性をフルに用いた成果なのです。
海外の研究成果でも、被虐待児の脳と、戦争でPTSDになった兵士の脳とが酷似していて、さまざまな精神疾患の原因となっているというユニバーシティ・コレッジ・ロンドンのマクロリー教授の見解がBBCで報道されていました。
虐待受けた子どもとPTSD兵士の脳が類似=研究 – BBCニュース
友田先生はこう結論しています。
虐待による脳の変化は、冷酷な世界を生き抜く“適応”ではないのだろうか。
…ホルモンの量がわずかに変化し、子どもの脳神経の配線を“適応”という形で永久に変えてしまう。そして他人の不幸を喜ぶような冷酷な世界でも生きていけるように適応していけるのである。(p127)
身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法によると、マーチン・タイチャー先生は、サイエンティフィック・アメリカン誌で、こう述べたそうです。
幼少期の虐待に関する研究は、それとは異なる結果を示している。すなわち、幼少期の虐待は、脳の発達に永続的な負の影響を及ぼすのだ。
私たちの脳は、幼少期の体験によって形作られる。虐待は鑿(のみ)であり、不和に対処するように脳を彫刻するが、それには、深く永続的な傷が伴う。
児童虐待は人が「乗り越える」ようなものではない。(p249)
“いやされない傷”≠“治らない傷”
虐待は子どもの脳に深い傷を刻みますが、友田先生は「この『脳の傷』を不可逆的であると結論づけてしまうのは早計であろう」と述べています。
愛情遮断症候群の子どもの場合、患者を劣悪な環境から切り離すことで急速に改善することが知られています。成人の場合も、慢性疲労症候群の研究では、認知行動療法によって、可視化された脳の異常が改善されることが確認されています。(p93)
トラウマへの対処:
特に効果的な心理療法として子どもの場合はポストトラウマティック・プレイセラピー、成人後は長時間曝露療法や 眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR)が挙げられています。(p106-112)
そうした心理療法は、トラウマ記憶を物語記憶に作り変え、辛い経験を解釈し直すのに役立ちます。
必死に忘れようとしている体験を思い返すのは苦痛を伴いますが、「トラウマの体験を忘れてしまうのではなく、乗り越える力を身につけていってもらうことが必要」なのです。(p109)
EMDRについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
愛着形成:
虐待された子どもは普通の家庭を経験したことがないので、高い確率で愛着障害を抱えます。
「辛い体験にじっと耳を傾けてくれるスタッフ、同じような苦しい思いをしても一生懸命に支え合って生きようとする仲間」の存在によって、愛着(アタッチメント)形成を試みます。
「近くにいる他人というのは基本的に安心してよい存在だ」と認識する必用があるからです。(p112-113)
虐待と愛着障害との関連については以下の記事もご覧ください。
愛着障害と発達障害に関する友田明美先生の研究はこちら。
薬物療法:
用いられる薬はSSRIやベンゾジアゼピン系ですが、少量にとどめ、慎重に用いることは欠かせません。
ほかに脳の興奮を取るのに効果的な抗アドレナリン作動薬クロニジン(カタプレス)や、ADHDに適応があるアトモキセチンが使われます。(p107)
レジリエンス:
慢性的なストレス環境で生活していても、うまく適応できる力、レジリエンス(精神的弾力性)を持っている子どもたちがいます。
その子どもたちが持っている保護因子(良好な気質や家庭の温かさ、社会ネットワーク)の研究がカギを握っている可能性があります。
子どもたちの笑顔を取り戻す
いやされない傷―児童虐待と傷ついていく脳は非常に重い内容を扱っていますが、科学的なデータの提供と分析に終始しています。比較的読みやすい反面、そのデータ一つ一つが物語っている事実に思いを馳せるなら、悲しみに圧倒されます。
最近、脳脊髄液減少症の高橋浩一先生が、はじめて虐待の子どもを見たときのショックについてガラスの階段 – Dr.高橋浩一のブログ で書いておられました。こうした問題をデータとして知っているのと、実際に自分の目で見るのとではまったく衝撃が異なるでしょう。
本書の著者の友田明美先生も、序文の中で、研修医時代に、初めて虐待された子どもを見たときのショックを回想しておられます。
わたしは病気になってから、言語に絶する悲惨な状況に置かれている人たちと大勢出会いました。
一分一秒生きることが拷問に等しい痛みを抱える人や、骨と皮にやせ細った摂食障害の人、目を動かすことしかできない筋萎縮性側索硬化症の人など、わたしよりはるかに重症な人たちに出会ってきました。ただただ絶望するしかないかに思える状況です。
友田先生も、この世の中の異常な現実のうちの一つ、子どもの虐待という最も悲惨な部分を、ずっと身近に見てこられた方です。しかし、それでも絶望するのではなく、「生きる喜びにあふれた、子どもたちの笑顔を取り戻すこと」を目指しておられる姿には胸を打たれます。
生きる意味、生きる目的が容易に見いだせないような世の中でも、生きる価値は必ずある。いやされない傷―児童虐待と傷ついていく脳は圧倒される暗闇に一筋の光芒を感じさせてくれる書籍です。どんな現実に直面しようと、あきらめないことの大切さを教えてくれます。
付録
▼関連書籍
■子ども虐待という第四の発達障害
p133では、杉山登志郎先生の有名な本子ども虐待という第四の発達障害 (学研のヒューマンケアブックス)に言及されています。虐待された子どもが発達障害に似た症状を示す点を扱った書籍です。このブログでの解説はこちらをご覧ください。
■子どものPTSD
友田明美先生と杉山登志郎先生は、この書籍のあと、協同で子どものPTSD 診断と治療という本を編纂しておられます。
虐待など、子供時代のトラウマ経験が脳の発達に影響を及ぼすという研究は、「発達性トラウマ障害」(DTD)という概念に要約されています。詳しくはこちらをご覧ください。
発達性トラウマ障害の概念をより理解しやすく一般向けに説明した本としては、小児期トラウマがもたらす病 ACEの実態と対策 (フェニックスシリーズ) がおすすめです。
▼関連資料
■講演の原稿
公開講演のPDFにある「コウノトリのゆりかご」と「命がけのゆりかご」の話は、多くの人にぜひ読んでいただきたい、とても考えさせられる内容です。
University of Fukui Repository (UFR): 児童虐待による脳への傷と回復へのアプローチ
■研究論文
以下は熊本大学のほうに残されている資料です。
Kumamoto University Repository System: いやされない傷 - 児童虐待と傷ついていく脳 –
■スライド資料
法務省の「若年者に対する刑事法制の在り方に関する勉強会」において、友田明美先生、八木淳子先生らが発言されたときの議事録とスライド資料。
■動画
愛着障害の影響について解説されているTED動画
▼テレビでの放送
■2015/2/9 NHKクローズアップ現代
NHKのクローズアップ現代で取り上げられました。
■2016/7/17 日本テレビNNNドキュメント
NNNドキュメントで取り上げられました。
食べて 吐いて~塀の中の摂食障害~|NNNドキュメント|日本テレビ
福井大学子どものこころの発達研究センターの友田明美先生、藤澤隆史先生によると、摂食障害の子どもたちは心理的な虐待、言葉の暴力という不適切な養育を受けていることが多く、行動や感情を抑制する部位である、脳の左右の下前頭回の容積が減っているとのこと。
■2017/2/6,20 NHKあさイチ
いじめの脳への影響についての説明で、友田先生の脳萎縮の研究が紹介されていました。
だいたい9時台の企画 “いじめ後遺症”反響編|NHKあさイチ
夏目漱石が、うつ病の克服のために小説を書き出したように、つらい経験を日記やブログで第三者に伝えることもできるとのこと。周りにいる大人が「あなたは悪くない」と被害者に伝え続けることが大切。
■2017/03/06 NHK 視点・論点
NHKの「視点・論点」で、「虐待と脳 回復の手だては」が扱われました。内容は、放送後の解説アーカイブスで読むことができます。
「虐待と脳 回復の手だては」(視点・論点) | 視点・論点 | NHK 解説委員室 | 解説アーカイブス
▼関連ニュース
虐待を受けた子どもの傷 遺伝子にはどのように残るのか/ WSJ日本版 – jp.WSJ.com – Wsj.com
子どもの頃に受けた虐待はおそらくその後の人生にも影響する。その悪影響がDNAにまで及ぶらしい。最近発表された2つの研究によって、虐待を経験した人の遺伝物質に変化が生じたという証拠が発見された。
いじめや虐待を受けた子どもは老化が早いとの研究結果 | Menjoy! メンジョイ
DNA分析を行った結果、2種類以上の暴力を受けたことのある児童は、テロメアが短くなるスピードが著しく速いことが分かりました。健康状態や体重、性別や社会経済的地位を考慮しても、その違いは明らかでした。
朝日新聞デジタル:虐待の痕、臓器にも残る? 白血球が増加 鹿児島大調査
重い外傷ややけどだけでなく、繰り返し虐待を受けた人も好中球が増え内臓に何らかの障害を及ぼしている可能性がある
世間一般では、虐待する親はモンスターのイメージだろう。「しつけのつもりだった」。虐待の報道が流れるたびによく聞く親の言葉も、聞き苦しい言い訳だと受け流されがちだ。でも、「発達障害児の育てにくさを直視せずに虐待は防げない」
幼い脳、悲しい防衛本能 性的虐待、言葉の暴力で萎縮 / 医療・健康 / 西日本新聞
思春期を迎える前の11歳までに性的虐待を受けた人の方が、萎縮の割合がより大きかった。この萎縮によって、注意力や視覚的な記憶力が低下するなどの影響が考えられるという。
つなごう医療 中日メディカルサイト | 診療は育児見守る場 福井大子どものこころの発達研究センター 友田明美さん
成人の脳を虐待された経験の有無で比較。4?12歳で言葉の暴力を受け続けた人は、聴覚をつかさどる脳の一部が、性的虐待を受けた人は視覚をつかさどる部分が、それぞれ変化していた。
「脳は、過酷な環境に適応するようになる」と説明する。
長期間、体罰を受けてきた人も、感情や意欲にかかわる前頭葉の一部が20%ほど小さくなる。
「そういう人はキレやすい。衝動的な行動を取りやすく、非行を繰り返す」と体罰の発達段階への悪影響を指摘する。
DV目撃すると子どもの脳萎縮「心の病」との関連も 福井大など共同研究 – MSN産経ニュース
直接虐待を受けたことはないが夫婦間のDVを目撃してきた18~25歳の男女22人と、目撃経験のない同年代30人の脳を磁気共鳴画像装置(MRI)を使って比較したところ、右脳視覚野にある一部は目撃経験のある男女が平均約6・1%小さく約6・5%薄かった。
左脳視覚野の一部も約6%薄かった。影響を受けやすい年齢は11~13歳で、暴力より暴言の方が深刻な影響を与えることも分かった。
うつ病やストレスが「老化の加速」につながる=研究/ WSJ日本版 – jp.WSJ.com – Wsj.com
UCSFによる研究で、短くなったテロメアはうつ病や子どもの頃のトラウマ、またほかの心理状態に関係があることが発見された。
くらしナビ・ライフスタイル:虐待で脳に深刻ダメージ 福井大「子どものこころの発達研究センター」・友田明美教授に聞く- 毎日新聞
特に強調したいのは「脳の傷は決して治らない傷ではなく、心のケアで癒やされうる」ということです。虐待を受けても、精神的なトラブルを発症するかどうかは、遺伝子や脳機能などの生物的要因のほか、周囲の環境要因が複雑に関係します。社会的な支援を得ることでつらい体験を克服し、健やかで穏やかな人生を送る人もたくさんいます。
虐待で「脳が傷つく」衝撃データ 2割近い萎縮も 〈AERA〉|dot.ドット 朝日新聞出版
(1)激しい体罰による前頭前野の萎縮──幼少期に激しい体罰を長期にわたり受けると、感情や理性をつかさどる「前頭前野」が約19%萎縮する。
(2)暴言虐待による聴覚野の拡大──幼少期に暴言による虐待を受けると、会話や言語をつかさどる「聴覚野」の一部が約14%拡大する。
(3)性的虐待による視覚野の萎縮──幼少期に性的虐待を受けると、視覚をつかさどる「視覚野」が約18%萎縮する。
(4)両親のDV目撃による視覚野の萎縮──幼少期に頻繁に両親のDVを目撃すると、視覚野の一部が約6%萎縮する。
虐待受けた子 うつ傾向 : 地域 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
「親の不在」ではマイナス0・01から0・07、「親の反社会的行動」で0・00から0・07と、関連性のない「0」に近いか、改善傾向が強い値だったの に対し、「身体的虐待」は0・17、「精神的虐待」は0・16とうつ傾向が強く見られた。
だが、虐待を受けた子でも、誰かとの信頼関係や絆が培われていた 場合はマイナス0・32、自尊感情がある場合も同0・49と、うつ傾向が改善しうることがわかった。
(フォーラム)小さないのち 虐待問題、読者の声:朝日新聞デジタル
脳の変化により、行動にも支障が出ます。たとえば激しい体罰を受けた人の脳は、集中力や共感などに関わる部分などが減少しているため、うつ病の一種である感情障害や、非行を繰り返す素行障害などにつながる可能性が高くなります。
友田教授は「脳は20代後半まで成熟が続くため、早い段階で安心できる環境に移り、専門的な心の傷の治療やケアを受けられれば脳の傷は回復する」と話しています。
J-STORE(~愛着障害治療剤 友田 明美 特願2013-264454~)
児童虐待・ネグレクトによって高頻度に発症する愛着障害(Reactive Attachment Disorder: DSM-IV-TR 313.89)は、他の重篤な精神疾患へ推移することがよく知られている。
すなわち情動機構が完成する生後5歳程度までに虐待を受けた場合、76%が愛着障害を発症し、多動性行動障害、解離性障害、大うつ病性障害、境界性人格障害等に推移する(非特許文献1)。
また、被虐待者の67%が虐待者になるという虐待の世代間連鎖も生じる。
J-STORE(~愛着障害の判定方法 友田 明美 特願2013-264455~)
しかし愛着障害に関する確定診断は、専門医の行動観察と患児の問題行動に対する聞き取り調査により行っているのが通例であり、国内の愛着障害専門医が少ない上に、愛着障害の症状、特に愛着障害患者の呈する多動衝動性障害が、注意欠陥多動性障害(Attention Deficit Hyperactivity Disorder;ADHD)などの発達障害の症状と酷似しているため、愛着障害の早期発見や鑑別診断は非常に困難な状況にある。
虐待とトラウマ(1)親と引き離し安全確保 : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)
虐待とトラウマ(2)世代超えた連鎖断ち切る : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)
虐待とトラウマ(3)性の対象 やり場ない怒り : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)
虐待とトラウマ(4)自助グループ 思い共有 : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)
虐待とトラウマ(5)PTSD 恐怖の記憶整理 : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)
虐待とトラウマ(6)Q&A 地域・学校で子ども見守る : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)
自由民主党政務調査会「虐待等に関する特命委員会」で本学の友田 明美教授が意見陳述をしました。 | 福井大学
友田 明美教授は、親から十分な養育が行われないことが要因として引き起こされる愛着障害やDVによる子どもの脳への影響について、近年の研究成果から子どもの虐待防止のみならず養育者支援をさらに推進するための法整備などが必要だということを強調しました。