国立精神神経センターの三島部長らの研究チームが、体内時計の周期を皮膚で測定する方法を開発したそうです。
体内時計のリズムを皮膚で測定 国立精神・神経センター :日本経済新聞
時事ドットコム:体内時計、皮膚細胞で測定=睡眠障害診断に応用期待-国立精神センター
「体内時計の周期を簡単に測定」 NHKニュース
夜型か朝型かわかる
プレスリリースにはこの研究の意義についてこう書かれていました。
1.人の皮膚細胞を用いて個人の体内時計の周期を簡便に測定する手法を開発しました。
2.体内時計周期の長短がクロノタイプ(朝型夜型)や休日の睡眠習慣(体質にあった睡眠時間帯)と相関することを確認しました。
3.生体リズム障害の診断精度の向上のほか、社会的時差ぼけを改善し個人にあった睡眠プログラムを提供するなど、実地臨床への応用が期待されます
つまり、その人のクロノタイプが生まれつき朝型なのか夜型なのか、そして概日リズム睡眠障害を発症していないかどうかが簡単に検査でわかるようになったということのようです。
「体内時計周期は24時間8分程度の人が多く、24時間30分より長いと睡眠習慣が夜型となり、朝に遅刻を繰り返すなどの問題が起きやすい」ことがわかっています。
特に体内時計の周期が長いと、概日リズム睡眠障害の睡眠相後退型や、フリーラン型のリスクも増えるとされています。
体質に合った生活環境を
この研究では、本来は夜型なのに、「平日は出社や登校など社会時間による縛りがあるため、個人の体質にマッチしない時間帯(人為的な睡眠習慣)で就床・入眠している人々が多い」ことも明らかになりました。
「夜型体質による覚醒困難、夜勤に伴う体調不良など個人の体内時計と求められている社会時間とのミスマッチから生じる社会的時差ぼけを判定し、個人の体質にマッチした合理的な睡眠プログラムの提供につながることが期待」されると書かれています。
不登校になる子どもの中には、生まれつきの体内時計の周期が長く、生来の夜型であるにも関わらず、朝練や朝課外のため睡眠時間が削られ、体調を崩す子どももいるようです。
検査で簡単にクロノタイプがわかるようになれば、生来の夜型の人に関する理解が深まり、もっと能力を活かすための時間配分について検討されるようになるのではないでしょうか。
体内時計の検査法については、毛髪から調べる方法や、血液検査から体内時刻を読み取る分子時刻表法がここ数年の間に開発されています。血液検査と一緒に体内時計も測定できるようになる日も遠くないのかもしれません。
その後、細胞内のタンパク質定量法「MS-QBiC(MS-based Quantification By isotope-labeled Cell-free product)」による体内時刻の測定技術も開発されています。
新規タンパク質定量法「MS-QBiC」による体内時刻の測定 | 理化学研究所
神戸新聞NEXT|全国海外|科学・環境|体内時計の時刻をズバリ
24時間周期で増減するたんぱく質 理研、マウスで特定:朝日新聞デジタル
これまでの研究で明らかにされたmRNAおよび代謝産物の量的情報に加え、タンパク質の量的情報も体内時刻を正確に指し示すことが分かったため、これらの情報を複合した、より正確な体内時刻の測定方法の開発などにつながると期待できます。