豊かな自然を「味わい知る」方法ーわたしが食べた北海道の山菜・野生ハーブ・キノコの見分け方と利用方法まとめ

どもの頃、ひどい好き嫌いがありました。野菜も果物も大嫌いでした。親戚の家に預けられて以降、何も食べなくなったそうなので、何かのトラウマの影響かもしれません。

学校の給食では特に苦労しました。食べるまで居残りさせられ、水や牛乳で無理やり飲み込みました。食べることが大嫌いで、あの太宰治と同じく、空腹という感覚を感じたことがありませんでした。

加工食品やお菓子が大好きでした。家の中に引きこもってゲームばかりしていました。虫がいると大騒ぎしました。飼い犬や猫に触れることも怖くてできませんでした。

そのわたしが、今では毎日、森の中を歩き回って、野草を観察し、山菜やキノコを見分けて採ってきて、胡麻和えにしたり、乾燥させたり、ジャムにしたり、シロップにしたり、ハーブティーにしたりしているなんて、信じられない思いです。

どうして変わったのか自分でもわかりません。わかっているのは、森歩きがとても楽しく、大自然の中で採ってきたものは美味しい、ということです。

思えば、病気になってから飲んだ漢方の生薬は、効果は実感できなかったとはいえ、どれも「美味しい」と感じました。人類が長年親しんできた自然界の食物の味は、化学調味料と違って、わたしに合っていたのでしょうか。

この記事では、わたしが道北に引っ越して以降、森を歩き回って採取し、味わってみた山菜や木の実やキノコなど数十種を五十音順にまとめました。自然に親しみ、じっくり観察するのに、味わうことがなぜ大切かも考えたいと思います。

もくじ

なぜ自然に親しむために味わうのが最適か

まず始めに、自然界の植物を味わうことのメリットを5つ挙げましょう。

特定の山菜やハーブについて知りたくてこのページに来た人は、前置きを飛ばして、上の目次から項目にジャンプできます。([ ]がついているのは、見つけたものの食べるに至っていない項目です  )

1.「味わい知る」とは経験によって実感すること

「味わい知る」という言葉があります。単に「知識として知る」より、ずっと奥深く「経験として知る」という意味です。

現代社会には、インターネットをはじめ、文章や動画を介しての知識はあふれています。学校ではそうそうたる科学者たちが積み重ねた発見の要旨を学べます。

しかし、それらはどれも、実際に触ったり味わったりできない、表面的な知識です。 以前の記事で書いたように、「地に足がついていない」薄っぺらいものにすぎません。

頭で覚えただけの知識は簡単に忘れます。一方、体で経験したことは決して忘れません。 ジークムント・フロイトフロイトがこう述べていたように

「こころは忘れてしまう。でもからだは忘れない―ありがたいことに」

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現代社会では「生きている実感が希薄だ」と感じる人が増えているようです。どうして現実感に乏しい人が増えているのか、どうすれば、もっと生き生きとした充足感を感じることができるのか、ソマ

森に生えているものを味わってみると、さまざまな発見があります。 その野性味あふれる独特な風味は、化学調味料で味付けされた加工食品とはまったく異なる味わいです。時を越えて、何百年、何千年前の人々と同じものを味わっているのです。

昔の人々が食物を得るために、どれほど知識を蓄えていたかを知ると驚きます。現代人は文明以前の人々をばかにしがちですが、現代のわたしたちより、はるかに自然界について詳しく、鋭い観察眼があり、濃厚な味わいを楽しんでいたはずです。

化学調味料に増して味わい深いギョウジャニンニク、栽培物とは比較にならない香り高い野生のウド、複雑でエキゾチックな味わいのホオノキの実のお茶。

舌で味わってみると、それぞれの植物により親近感がわき、記憶に定着します。マルセル・プルーストが名著失われた時を求めてで紅茶に浸したマドレーヌから幼い日々に思いを馳せたように、味や匂いといった感覚は、より強力な記憶に直結しています。

現代の人々はつながりが希薄だと言われます。過去の祖先とのつながり。この地球とのつながり。現実世界とのつながり。自然を味わい知るなら、それらのつながりが修復されていきます。

古代の人々と同じ大地を踏みしめ、同じものを味わい、同じ時の流れの中に生きていることが感覚的にわかってきます

地面に生えたものを自分で採取し、調理し、味わうとき、自分が架空のバーチャル世界の住人ではなく、現実の地球に地に足をつけて生きている動物であることを実感します。

山菜の味は強烈な「生きている」という感覚を呼び覚まします。 ですから「味わい知る」ことは、自然界に親しみ、古代の人々の豊かな知恵に触れ、生きている実感を味わう優れた方法の一つだとわたしは思います。

2.慎重にじっくり観察しないと食べられない

自然界の植物を「味わい知る」には地道な観察が必要です。わたしもそうでしたが、現代人のほとんどは、身近な野草や、家の前に生えている街路樹の種類すら、見分けることができません。

いざ森の中に入ってみると、自分たちを取り巻く自然界について、唖然とするほど何を知らないことに気づきます。 多種多様な植物やキノコが生い茂っているのに、どれも同じようにみえて、ただただその量に圧倒されるだけです。

まるで言葉が通じず、知り合いも誰もいない異国の大都会に来たかのように。以前の記事で書いたように、植物と叡智の守り人はでは「種の孤独」と表現されていました。

自然を愛する感受性豊かな人にどうしても勧めたい一冊の本がある
自然が身体にいいのはわかっている。必要なこともわかっている。でもどう自然と関わっていいのかがわからない。そんな人に、ぜひ読んでほしい本、ネイティブアメリカンの血を引く植物学者ロビン

わたしは、この3年、特にコロナ禍が始まってからの1年は、頻繁に森に通って、地道に観察を続けてきました。

週に何度も森の中を歩けば、どの植物も花が咲いている瞬間に出くわします。 花の写真を撮ることができれば、文明の利器であるGoogle Lensを使って、かなりの精度で種類を特定できたり、候補を絞り込んだりできます。

その上で、その地域の植物図鑑や山菜図鑑と照らし合わせれば、ほぼ確実に名称にたどり着くことができます。

たとえば、有名な山菜であるユキザサ(通称アズキナ)は、まだ葉が開いていない芽のころに採取します。

しかし、過去2年間、全然見つけることができませんでした。花が咲いている時なら気づけても、芽の時期に見つけるのは簡単ではありません。

それで、夏の間、ユキザサの花を見つけるたびに、その位置を記憶しました。また、形がよく似ているオオアマドコロや、毒草のホウチャクソウも、花の時期に場所を記憶しました。

その上で、翌春、覚えていた場所に見に行くと、それらしい芽が出ているのが分かりました。

図鑑やインターネットの情報をよく調べつつ、山菜としてのユキザサはどれか、毒草であるホウチャクソウの芽とどうすれば見分けられるか、慎重に観察して採取できました。

自然界は時として危険な場所です。野山に生えているものを食べるのはリスクがあります。

トリカブトやドクゼリのような猛毒の植物は、ごく普通に自生しています。キノコに至っては、もっと恐ろしい毒性をもつものが知られています。たとえば下の写真のドクツルタケがそうです。

こうした危険があるので、野山のものは食べるべきではない、と主張する人もいます。

しかし、以前の記事で書いたように、それは極端な意見だと思います。スーパーで売られているものもまた、農薬や食品添加物で汚染されていて、健康に安全だとは言い難いからです。

大切なのは、野山に生えているものであれ、スーパーで売られているものであれ、それが安全な食品かどうか確かめることです。

わたしは買い物するときはも、必ず裏側を見て、原材料表示を確認します。同じように、森や河川敷で山菜採りするときも、それが本当に食べられるものなのか、じっくり調べます。

幸い、自然界に自生している植物は、現代人が思っているほど危険ではありません。猛毒のある野草はごく一部です。

山菜図鑑を見れば、紛らわしい毒草がある山菜は、注意が喚起されているので、はじめのうちはそれを避けて、安全そうなものからチャレンジすることもできます。

今では先に挙げたGoogle Lensや、ネット上の詳しいサイトなど調査ツールが充実しているので、じっくり観察する気さえあれば、植物の名前を調べるのは、そんなに難しいことではありません。

でも、さらにもう一歩踏み込んで、「これは食べることができるのか」という目で調べると、より慎重に、より深く調べることにつながります。

単にきれいな花を咲かせる山野草、というだけでなく、山菜として食べることができる、ハーブティーとして楽しめる、アイヌ民族やネイティブアメリカンが利用していた、ということがわかってくると、より親しみが湧きます。

自分の口に入れるわけですから、本当に、間違いなく、100%見立てが合っているか、見分け方を詳細に調べるようになります。茎のつき方、全体に生えている薄い毛、根っこの方向といった特徴を覚えます。そこまで詳しくなれば、もう間違うことはありません。

近くに誰も教えてくれる人がいないから無理だ、と感じる人もいると思います。わたしもそうでした。

確かに教えてくれる先生がいれば、とは思いますが、そのような縁はありませんでした。せいぜい地元の友人から、森に入る時の服装と、ウドなど数種類の山菜について教えてもらえただけでした。地元の人々もそれ以上知らないからです。

そのほかは全部、自分で森を歩き回って観察し、Google Lensや図鑑やインターネットを駆使して、自分で調べました。徹底的に調べて、この植物で間違いない、と確信してから、口に入れるようにしました。

そうして確信できた植物を採取し、味わってみると、思いのほか美味しかったり、歯ごたえがよかったり、独特の香りだったりして、親しみが湧きます。

去年味見してみた山菜やハーブを今年も採りに行くリピーターになります。どこに自生しているか記憶に刻まれます。

ですから、味わうことを目的に自然観察すると、ただ自然を眺めるよりも、はるかに深く調べ、印象に残ります。

3.「見る」以外の「嗅ぐ」「触る」「味わう」といった五感を使う

現代社会で育ったわたしたちは、五感のうち、おもに視覚に偏って暮らしているものです。

学校のテストも、ほとんどが視覚だけで判断する筆記試験で、ときどき聴覚のリスニングが加わる程度です。そのせいで、自然界を「テスト」する際も、視覚だけに頼りがちになります。

自然観察を始めたころ、ヨモギとトリカブトを見分けるのが苦手でした。知っている人からすれば全然違う野草なのですが、切れ込みのある葉っぱの形が似ています。つまり、視覚だけに頼っていると、似ているように見えてしまいます。

しっかり観察すれば、ヨモギは表面に細かい毛が生えていますし、葉の付き方も違います。慣れれば視覚だけでも十分見分けることはできます。

でも、より確実なのは「匂いを嗅ぐ」ことです。ヨモギの葉を揉むと、独特のハーブの香りがします。真夏にヨモギを揉んで顔のそばにぶら下げれば、虫除けにもなります。匂いの記憶は強烈なので、一度覚えれば、もう判断に迷わなくなります。

高級山菜として著名なギョウジャニンニクも、若芽の段階では猛毒のスズランとよく似ていると言われます。確かに写真で確認すると、遠目に見たときの雰囲気がよく似ています。

しかし、現地で採るときには、匂いを確認すれば間違えようがありません。ギョウジャニンニクは、切り取ったときに切り口を嗅ぐと、強いニンニク臭があるからです。

現代人はまた「触る」ことも苦手です。山菜採りのときはもちろん手で触って採りますが、指先に神経を集中して、じっくり形状を確認することは、あまり思い当たらないものです。

たとえば、ユキザサ(アズキナ)とよく似たホウチャクソウという毒草があります。どうすれば、これらを見分けることができるのか。

ひとつの手がかりは茎の形状が違うことです。指で茎をつまんで形を見れば、ユキザサは円柱形なのに対し、ホウチャクソウはかくばっていて引っかかりを感じます。

「見る」だけでなく「嗅ぐ」や「触る」を駆使するなら、より詳しく違いを観察することができます。

そして、それが食べることのできる山菜だと分かれば、最後に「味わう」によって、もっと深くその植物のことを知ることができます。

4.瞬間的な観察ではなく、継続的な観察が物を言う

自然界に親しむとき、まるでクルーズ旅行で出会った異性に一目惚れするかのように、つかの間の恋を楽しむ人もいます。有名な景勝地を訪れ、大自然の写真をパシャパシャ撮って、満足して帰っていくような人がそうです。

しかし、山菜採りをしようと思ったら、そんな一目惚れの恋ではうまくいきません。少なくとも数年間にわたる結婚生活のように、毎日毎日じっくり観察し、自然と親密さを深めないなら、いつどこに何が生えてくるか見当もつかないからです。

羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季に書いてあったことが思い出されます。

湖水地方にずっと住んでいた著者の祖父について、「祖父の自然との関係は、旅行先での束の間の恋というよりも、長期にわたるタフな結婚生活という感じだった」と書かれていました。(p107)

一方、旅行客は行楽日和の季節にしか訪れません。その違いは、「若いころに出会った美人の女の子への感情と、何年もの結婚生活を経たあとの妻への感情の違いに似ているかもしれない」と描写されています。(p128)

自然界のものを味わうという特権は、行きずりの旅人ではなく、長年、辛抱強く絆を育み、森に親しんだ人にのみ開かれます。

先ほど書いたように、春の芽出しの時期に植物の種類を見分けるのはとても困難です。一方、花が咲いている時期なら種類を調べるのは簡単です。しかしその頃はもう食べるには遅すぎます。

それで、自然のものを味わいたいなら、一年中何度も自然の中に通って、どこにどんな花が咲き、どんな種類の植物が自生しているかを観察する必要があります。

場合によっては真夏に汗だくになりながら森に入り、花を見つけます。そうやって頭の中に自生地マップを作っていきます。

森に通い詰めていると意外な出会いもあります。まったく知らない花を見つけ、名前を調べてみると、じつは若芽のころには食べることができるとか、葉っぱをハーブティーにできる、という経験談やレシピが見つかることがあります。

それが分かれば、次に春がめぐって来たときに同じ場所に探しに行って、芽出しの時期に見つけることができます。場所さえわかっていれば、どれほど地味で目立たない芽でも、図鑑を頼りに探し当てることができます。

しかし、いつ花が咲き、いつ芽が出るか、知る方法はありません。図鑑にはおおまかな時期は書かれていますが、地域によってずれます。そして山菜は、わずか一週間や数日のずれでも、時期が早すぎるか遅すぎることがよくあります。

ですから、できるだけ毎日、毎週、自然の中に足を運んで観察する必要があります。自然に親しめば親しむほど、そこに自生している植物の生態系や、動物たちの暮らしについてわかってきます。

自然との関わりに、「時短」という言葉はありません。夏に見つけた植物を味わうには翌春まで待たなければなりません。時期を逸すれば次は一年後です。

夫婦生活と同じです。どれだけ時間をかけて寄り添ったかが結果に現れます。時間をかけたぶんだけ、新しい発見があり、味わえる山菜や木の実も増えます。近道がないからこそ、努力したぶんが努力しただけ返ってくるからこそ、自然観察は楽しいのです。

5.自然を守りたい、大切にしたいという気持ちが育まれる

自然豊かな場所に住んでいても、誰もが自然界を愛しているわけではないことを痛感させられます。無思慮にゴミを捨てたり、自生地を踏み荒らしたり、木々を伐採したりする人々も跡を絶ちません。

明らかに、大自然のそばに住んでいれば、自然を愛するようになるわけではありません。レイチェル・カーソンがセンス・オブ・ワンダーで書いていたとおりです。

どれほど美しい自然がそばにあったとしても、「見ようと思えばほとんど毎晩見ることもできるために、おそらくは一度も見ることがないのです」。(p31)

現代人は、どこに住んでいても現代人です。どんなに辺鄙なところに住んでいようが電気が通じ、テレビを楽しむことができ、車でスーパーやネット通販で買い物できます。大自然の中に住んでいても、自然のことなど何一つ知らないまま生きることができてしまうのです。

わたしは、自分が大都会で育ち、自然のことを何も知らないまま大人になって、実はよかったのかもしれない、と感じることがよくあります。そのおかげで、自然があることのありがたみがわかるからです。

親の愛に恵まれて育った人の多くが、普通の家庭で育つありがたみを全然理解していないように、自然界に包まれて育った人の多くも、豊かな自然のありがたみを自覚していません。

わたしは、この記事を書いている時点で、まだ道北に来てまだ3年目です。というより、自然観察を始めて3年目です。それまでは自然とはまったく無縁の暮らしをしていました。

でも、そんなわたしでも、もうここに住んでいる人たちの上位5%に入るくらい自然に詳しいと思います。わたしがすごいわけではなく、現代人はどこに住んでいようが、自然界についてほとんど知らない人ばかりだということです。

 あなたの子どもには自然が足りないのこの言葉を思い出します。

いたるところに、しみか汚れのようなブルドーザーの痕が残っている。保護されていると思われているところでさえも、同じだった。

「こういう生態系の破壊はたいがい、私利私欲と無知からなされるんです」

彼女によれば、人々は名前を知らないものには価値を認めない。

「植物の名前を知るたびに何か新しいものに出合った感じがする、と言った生徒がいたわ。名前をつけるということは、その存在を知ることなのよ」(p60)

名前を知らなければ、存在しないも同じなのです。自然豊かな場所に住んでいても、何一つ植物の名前も知らない人は、平気で環境を破壊します。たとえ数種類の山菜を知っている人でも、他の大多数の植物については存在しないも同じで、愛着も持っていません。

しかし、自分で足しげく森に通い、あらゆる植物に興味を持ち、ひとつひとつ調べた人は、そんな過ちには陥らないでしょう。日毎に移り変わるすべての原生の植物が愛おしく感じられます。

たった数種類だけではなく、何十種類もの山菜やキノコやハーブを味わい知るまでには、数え切れない命との出会いがあります。

人知れずひっそりと咲く、目立たない樹木の花ですら、何度も何度も目にします。一つ一つの木々の個性を知り、生活に役立てる方法も学びます。

自然のあらゆる面に親しみ、森とともに生きるようになれば、最初は背景としてしか見ていなかった雑草や雑木でさえ、多様で個性ある生命だと気づきます。無造作に傷つけたり、乱獲したり、踏み荒らしたりするなんて、考えられなくなります。

いかに21世紀の文明社会で生きていようと、自分が地球という大自然のゆりかごの中で生かされていることをわきまえ知るようになります。

「インターネットさえあれば生きていける」などと言う人もいます。でも、わたしたちはデータではなく、バーチャルな存在でもありません。

インフラが整備された現代社会では、巧妙に隠されてはいますが、わたしたちはもとより動物にすぎません。地球が生み出す食物を食べ、地球を取り巻く大気に包まれ、自然すべてと共生しなければ生きていけません。

自然界のものを観察し、調べ、味わい知るなら、現代人が忘れてしまった事実、すなわち自分が地球に依存している一個の動物であることを思い出すことができます。だからこそ、豊かな自然を大事にしたい、守りたい思えるのです。

食べてみた山菜とハーブまとめ(五十音順)

ここからは、過去の自然観察日記をもとに、これまで味わった山菜・ハーブなどを五十音順に整理したいと思います。

この記事のトップにある目次を使えば、各項目にジャンプするのが楽です。([ ]がついているのは、見つけたものの食べるに至っていない項目です  )

観察はしたものの、食べるまでには至らなかった植物も参考までに掲載しています。今後、食べてみたものが増えたら、追記する可能性があります。

わたしもまだ経験が浅いので、この記事に書いてある情報はすべて正しいとは限りません。参考にする場合は、さまざまな情報源を複合的に調べるようになさってください。

また、どの植物を採取する場合でも、以下のような点を確認してください。

・山菜の採取が禁止されていない場所かどうか。
・その植物の特徴を一つだけでなく複数確認できているか。
・参考資料として複数の情報源を調べたか。
・ヒグマ、マダニ、アブ、スズメバチなどの対策をしているか。
・1/3以上採ってはならない、という原則に従っているか。

アキタブキ/フキノトウ

言わずとしれた、非常に有名な山菜アキタブキ。

フキは地下茎を伸ばして繁殖する植物なので、茎は地下に埋まっていて見えません。 早春に出てくるフキノトウは花芽、つまりつぼみです。

都会だと高級食材のように扱われていますが、自然豊かなところだと、雪解けとともに、道路脇でも畑のふちでも川沿いでも森の中でも、無限にボコボコと萌え出てきます。

あまりに多く生えるからか、ほとんど見向きもされず、食べる人はほとんどいません。

都会のスーパーで販売されているフキノトウは、かなり大きくなって花が開き始めたものを売っていることがありますが、自分で摘んで食べるときは、つぼみ(正確には苞)が開く前の段階のものが、苦味が少なく香り高いです。

だいたい手のひらにすっぽり収まるくらいのサイズなので、手で根元を掴んでひねるようにすると、うまく採取できます。

どこにでも生えますが、道端のものは避けたほうがいいでしょう。個人的には森の中の腐葉土から出てきたものが苦味が少なく美味でした。

フキノトウには雄花と雌花があり、どちらを食べても構いません。ネットで調べたら、雌花のほうが苦みが少ないという意見もあったので、少し苞をめくってみて、雌雄を確かめるのもよいかもしれません。

雄花は星型の花を咲かせるのに対し、

雌花は糸状の雌しべが目立ちます。

フキノトウは地下茎から生えるので、群生している場合はひとつの株から出ている花芽である場合がよくあります。つまり、雄花の近くには雄花が多く、雌花の近くは雌花ばかりです。

一方、フキは地下茎から生える葉に相当します。地上に伸びる茎のように見える部分を食べますが、実際には葉についている柄(葉柄)にあたる部分を食べています。

フキはどこにでも生えますが、道端に生えているものなどは茎(葉柄)が赤く変色していることがよくあります。

一般に「赤ブキ」はまずいとされているので、茎(葉柄)がみずみずしい薄緑色をした「青ブキ」を選んで採取するのがいいでしょう。

どのフキも若いころは茎が青いのに、成長とともに変色しはじめます。まだサイズが小さく、青ブキが多い時期に採ってくるのも手かもしれません。

青ブキだと思っても、切ってみたら、内部が変色しかかっていたり、泥を吸い上げたりしているものもあるので、一つ一つ確認してから採るべきです。

なぜ葉柄が赤く変色するのかは、調べても十分な根拠のある情報がなく、わかりませんでした。わたしとしては、傷んだり、勢いが弱ったり、頻繁に刈られたりしている株に多いようには思います。

また、上の写真のようにフキの葉は一箇所から複数生えますが、真ん中の太いものを「中ブキ」、外側に中ブキにかぶさるようにして生えているものを「外ブキ」といいます。

根元の葉柄の重なり方を見れば、どちらが中でどちらが外か判別できます。

一般に、個体の保護の観点から、「外ブキ」のほうを採取し、「中ブキ」は残すと良いと言われています。外ブキのほうがシャキシャキして美味しいともされます。詳しくはアイヌ生活文化再現マニュアル 食べもの【春から夏へ】のp42参照。

フキの調理方法については、ネット上にたくさん情報があるので割愛します。農林水産省の資料によると、ピロリジジンアルカロイド類を含んでいるため、しっかりアク抜きして食べるほうがよいようです。

イワツツジ

山道の岩場などに生えるツツジ科の花。あまり目立たないので、運良く花が咲いている時期に見つけないと、見逃しがちです。

このイワツツジは登山道の脇の苔むした岩壁に群生していました。

赤く丸い実をつけ、甘酸っぱい味がします。積極的に採って食べるほど多く見かけるものではないので、山菜等の採取が許可されている登山道で見かけたときに、一粒口に含んでみるくらいです。

ウツボグサ

6月下旬以降、雑草として、公園でも道端でも森の中でも、さまざまな場所で見かける植物。有用なシソ科のハーブのひとつ。

葉っぱを普通に山菜として食べることもできるますし、花をハーブティーにすることもできます。

夏の終わりごろに枯れかけて褐色になった花穂は、夏枯草と呼ばれて、生薬として使われています。利尿作用、消炎作用、眼球の痛みなどに効能があるそうです。

肝心のハーブティーとしての味や香りはほとんどなく、他のハーブとブレンドして利用しました。

とりたてて美味しいものではありませんが、どこでも見かけるので、ちょこちょこ集めて、乾燥させてストックしておくと冬にハーブティーが楽しめます。

ウド

高級山菜の代表のようなウド。道北では、森の中に立ち入らなくても、山道の道路沿いに普通に生えていたりするので、見分け方を知ってさえいればお手軽な山菜です。

スーパーなどでは軟白栽培の白ウドが売られていることもありますが、野生のウドに比べると香りも味も劣ります。

同じウコギ科の山菜としては、タラノキやハリギリがあります。他にエゾウコギ、コシアブラ、タカノツメなどもありますが、道北では見ません。

タラノキとハリギリの二種は「木」なのに対し、ウドは「草」です。いずれも5月中旬に芽が出ますが、木であるタラノキやハリギリは出てすぐの芽を食べるのに対し、ウドは地面から生えた芽がある程度成長してから食べるので、およそ二週間程度、旬の時期は遅れます。

採り頃は、図鑑によると地面から30cmくらい伸びたころとされていましたが、近所の人たちは60cmから80cmくらいになってから食べるのが好きなようでした。大きくても普通に柔らかくて美味です。

地面から太くて長い茎がにょきっと生えていく様子は、オオハナウドや、エゾニュウなど、大型のセリ科植物とよく似ているので、初心者は混同するかもしれません。(「エゾニュウ/アマニュウ/オオハナウド」の項を参照)

しかし、茎が緑色で毛深いこと、切った時にウド特有の香りが非常に強いことなどから、見分けは容易です。間違えると危険な毒草もありません。

また、オオハナウドやエゾニュウの芽は、4月の雪解け直後の他の植物が全然ない時期に生えてくるのに対し、ウドは木々が青々と茂った5月半ばに生えてくるので、時期がまったく違うことからも区別できます。

芽出しの時期のウドを探すのは、慣れるまでは難しいかもしれません。一方、夏には背丈よりも高く生い茂ったウドが、打ち上げ花火のような豪華な花をつけます。

そして秋には色とりどりの実に変化します。

この時期のウドは、車を運転しながらでも、道端に頻繁に見つけられるほど目立ちます。それで、花や実の時期に群生している場所を覚えておいて、翌年の5月末ごろに見に行けば、確実に採取できるでしょう。

調理するときは皮を剥きますが、こちらのページで解説されているように、5分くらいかけてしっかり茹でてから皮を剥くと、手で簡単に剥けます。太い茎の場合は、そこそこ厚めに剥くと筋なく食べられます。

一本のウドでも、茎の部分は酢味噌和え、若葉や芽は天ぷら、というように様々な方法で利用できるので、調理の工夫しがいのある山菜でもあります。わたしは全部天ぷらにしてしまうことが多いですが。

[エゾイソツツジ]

亜高山帯の山地に生えるにも関わらず、イソツツジという名前がつけられてしまったツツジ。

エゾツツジがなまってイソツツジになったという説があり、だとすると、エゾイソツツジは、エゾエゾツツジという意味になり、ひどく混乱しています。

葉っぱに芳香があり、アイヌがお茶に利用していたことで知られています。

残念ながら、今のところ採取が制限されている場所でしか見たことがないので採取できていません。近所の高めの山に登れば普通に生えていそうですが、体力的に自信がありません。

エゾイチゴ(ラズベリー)

森の中に自生しているラズベリー、真夏の8月ごろに森を歩けば、運が良ければキイチゴを食べることもできます。

茎(幹)に細いトゲトゲの毛が密生しているので、実がなっていない時期でも見分けやすいです。冬にスノーシューで歩いていると、さえぎるものが何もないので思わぬところに見つかります。

北海道にはエゾイチゴのほか、クマイチゴ、エビガライチゴ、クロイチゴ、ヒメゴヨウイチゴなど色々なラズベリーが自生していますが、葉の形や茎のトゲの様子で区別できます。

アイヌのごはん―自然の恵みを読んでいると、アイヌはエゾイチゴの茎と葉をお茶に利用したとの記述がありました。アイヌのお茶は美味しいものが多いので、試してみることにしました。(p98)

エゾイチゴの葉は、下の写真のような三出複葉(3枚セット)の形で、トゲトゲの茎も確認すれば、間違うことはありません。写真は若葉の段階です。

森の中でエゾイチゴの群生地を見つけたので、たくさん葉っぱを採ってきて、干してお茶に淹れてみました。

飲んでみた感想としては、期待したほどの味ではなく、少し青臭さがあります。

とはいえ、調べてみたら、西洋でも「ラズベリーリーフ」と呼ばれ、生理痛などに効くハーブティーとされているそうです。少し品種は違うでしょうが、アイヌが利用していたのは事実なので、しばらく飲み続けてみたら愛着も湧くかもしれません。

エゾイラクサ

何も知らずに触れると、ひどい痛みに襲われるイラクサ。イラクサの漢名は「蕁麻」で、漢字のとおり触れたところが蕁麻疹のように腫れることに由来しているようです。

イバラやハリギリのように、物理的に鋭いトゲがあるわけではなく、肉眼で見ると葉や茎が細かい毛に覆われているだけに見えます。

しかしこの毛は刺毛と呼ばれ、注射針のような構造になっています。触れると皮膚に毒液が注入されてしまい、痛みや発疹に襲われてしまいます。

これだけ知ると、やっかいな有害植物のようですが、実際にはイラクサは非常に優秀な山菜またハーブです。

イギリスではネトル(針を意味するNeedleが由来)と呼ばれ、春にはヨモギ摘みならぬネトル摘みの習慣があり、スープにしたりお茶にしたりと愛されています。

有用なシソ科のハーブのひとつなので、見た目はシソの葉に似ています。しかし、よく葉と茎を観察して、刺毛があればイラクサです。

また、横から茎を見たとき、茎の分岐点に白っぽい双葉のような托葉(2つ上の写真を参照)がついていることからも判別できます。

面白いことに、イラクサの刺毛は、茹でるか乾燥させるかすると無力化されます。

茹でればほうれん草のような癖のない野菜として、乾燥させれば効能豊かな緑茶のような香りのハーブティーとして楽しむことができます。

さらには虫を落とすためにイラクサを水に漬けておいたり、調理するために茹でたりすると水が赤っぽく変色しますが、この汁は畑の有機液肥としても使うことができます。

食材として採取するのは、春先の4月末ごろ、ほとんどまだ緑がないころに枯れ葉の中から出てきた、芽出し後すぐのものを採取します。

慣れれば様々なところで発見できますが、河川敷など日当たりのよい開けた場所に多く、すさまじい数が群生しています。

採り頃のサイズとしては、下の写真のような手のひらより小さな時期が望ましいです。

次の写真くらいの、手のひらより大きいサイズになってしまうと、茎に筋が出てきてしまい、野菜として食べると気になってしまうかもしれません。しかしハーブティーの茶葉としての利用は可能です。

イラクサを採取するときは、手全体を覆ったゴム手袋をつけ、全身を覆うウィンドブレーカーなどを身につけるべきです。布の手袋や、メッシュ加工のもの、薄い服などは刺毛が貫通します。イラクサは群生するので足も長靴、長ズボンがいいでしょう。

ある程度育ったイラクサの場合、チョウの幼虫などが住んでいることもあるので、中心部の芽や、葉っぱの裏側に虫がついていないか見ながら採ります。野草だから虫が多い、というわけではなく、無農薬野菜の場合と同じく新鮮な証拠です。

採ってきたイラクサはしばらく水に漬けて虫を落としてから、手袋をつけたまま水洗いします。鍋に投入して茹でるか、干して乾燥させるかすると、素手で触っても問題なくなります。

茹でたイラクサは冷凍すれば、長期保存ができます。冬場に青野菜がなくなった時のために保存しておくと、とても便利です。

本場イギリスの方法に倣ってネトルスープすると、濃厚なコクのあるスープに仕上がり、とても美味でおすすめです。

乾燥させて茶葉にし、ハーブティーを淹れると、緑茶のような香りと味わいで、とてもリラックスできます。

抗ヒスタミン成分が含まれているため、花粉症などアレルギー性疾患に効くとされており、他にもさまざまな効能が期待できます。

イラクサは刺毛があって多少扱いにくいため、敬遠されがちですが、もしトゲがなかったら絶滅していたかも、とさえ言われるほどの有用性の塊です。

美味しい上に、健康にもよく、大量に群生して、他の山菜採りの人と競争になる可能性もまったくないため、わたしは春の山菜採りの際には、イラクサ採りを一番楽しみにしています。

なお、イラクサには複数の種類があります。ここで書いたエゾイラクサは葉が左右対称につく(対生)のが特徴ですが、ムカゴイラクサ、ミヤマイラクサといった葉が左右交互につく(互生)種もあります。

東北地方でアイコと呼ばれて親しまれているのは、このミヤマイラクサのようです。

いずれにしても、茎に細かいトゲがあるという共通点があり、どのイラクサでも美味しく食べることができます。

道北ではムカゴイラクサをよく見かけますが、芽出しの時期が遅く、すでに他の植物が茂っていて見つけづらいため、利用したことはありません。

秋になると茎の脇にむかごをつけるのが特徴です。ネットで調べても食べることができるものなのか分からなかったのですが、アイヌのごはん―自然の恵みには、食用になるとの記述があります。(p87)

エゾエンゴサク

長い冬が終わり、雪解けともに真っ先に咲き始める花々は、スプリング・エフェメラル(春の儚いもの)と呼ばれます。

4月に一斉に花を咲かせて野山を彩り、5月にはすっかり消え去ってしまいます。

道北では、エゾエンゴサク、キタミフクジュソウ、キバナノアマナ、アズマイチゲ、ヒメイチゲ、ニリンソウ、カタクリなどがスプリング・エフェメラルの代表種。

このうち、最も頻繁に目にし、山菜として食べることもできるのがエゾエンゴサクです。 エンゴサクという奇妙な名前は漢名に由来しており、近縁種の地下茎が薬草として使われていたそうです。

毒草が多いケシ科の近中で、エゾエンゴサクは珍しく全草が食用になります。

見分けるのはまったく難しくなく、花が少ない時期に寒色系の小さな花を穂のようにたくさんつけます。花は奥行きのある細長い独特な形で、葉は丸いマメ科のような形です。

全盛期には他のスプリング・エフェメラルとともに、堤防、公園、畑のふち、森の中など、あちこちに一斉に咲き乱れ、春の訪れを告げます。

早春の花の時期には簡単に見つけられますが、背が低い草のため、花が終わると非常に見つけにくくなります。

味わうなら花が咲いている時期に、群生地から数本まるごと採取するのがいいでしょう。

アイヌ民族は根茎も食べて、保存食にしていたことで知られていますが、わたしは食べたことがありません。保護の観点からも、根は残しておくほうが良いと思われます。

気をつけるべき類似した毒草としては、同じケシ科キケマン属の、エゾキケマンやムラサキケマンがありますが、どちらも花の色や葉の形が全然違うので、そうそう間違わないでしょう。いずれも死ぬほどの猛毒ではなく、吐き気や下痢程度のようです。

わたしの住んでいるところではムラサキケマンはまだ見ていません。エゾキケマンはまれに見ますが、エゾエンゴサクほど大量に群生していません。

エゾエンゴサクの花の色は、下の写真の4色(水色、紫色、ピンク色、まれに白色)なので、エゾキケマンのような黄色や、ムラサキケマンのようなツートンカラーの紫ではありません。

料理の仕方は、おひたしや天ぷらなどにできます。茹でると退色しますが、彩りとして添える程度には残ります。天ぷらにするともちもちとして美味しいです。特に味はないので、他の山菜に添えるといいでしょう。

エゾゼンテイカ(エゾカンゾウ)/ヤブカンゾウ

夏に橙色の鮮やかな花を咲かせるユリ。別名エゾカンゾウ。

道北では、サロベツ湿原に一面に咲き乱れる様子が有名ですが、普通の河川敷や草原にも時々生えています。

4~5月ごろの若芽や、6月ごろのつぼみや花を食べるとされますが、わたしはつぼみしか食べたことがありません。

あらかじめ生えている場所を知っていれば、特に似た植物はないため、つぼみは簡単に発見できます。徐々に開花するので、すでに咲いている花が近くにあって、見つける手がかりになることもあります。

つぼみは、特に味はありませんが、アスパラの芽の先端のような歯ごたえがあります。簡単に茹でて味付けしてトッピングするだけけでも、料理のアクセントになります。茹ですぎると食感がなくなるので注意。乾燥保存もできるそうです。

近縁種のキスゲは、花がもっと黄色っぽく、夕方から咲き始めることで区別できます。

また、やはり近縁種のヤブカンゾウは、花が八重咲きで、葉の幅がやや広いことで見分けられます。道端に普通に生えていることも多いです。道北ではエゾゼンテイカが終わった後の8月ごろ見かけます。

いずれもエゾゼンテイカと同じように食べることができます。

中国では、これらの花の近縁種ホンカンゾウのつぼみが、中華料理の高級食材「金針菜」として知られているそうです。

近縁種でも味は変わらないと思うので、本場の高級食材が身近に手に入ると思えば、かなり嬉しい野草かもしれません。金針菜で調べれば本格レシピも出てくるので、調理の参考にできます。

[エゾニュウ]/[アマニュウ]/オオハナウド

道路脇や河川敷など、色々なところに生えている巨大なセリ科植物。大きいものは3mを超えます。

多年草ですが、木ではなく草なので、春に芽を出して数ヶ月でその大きさになるのが驚異的です。

北海道にはオオハナウド、アマニュウ、エゾノヨロイグサ、オオカサモチ、オオバセンキュウなど、数mの巨大セリ科植物が多いですが、その中でも最大を誇ります。

真夏に爆発するかのように大量の花を咲かせるのが圧巻です。

若い葉や葉柄を食べることができ、アイヌが利用していたそうです。しかし、アクが強く、苦味も強いそうなので、挑戦する気になれません。

下の写真は4月下旬の雪解け直後に出てきたエゾニュウの芽です。葉が開く前の段階で採取し、柄の部分を食べるそうです。若い葉は天ぷらにすれば食べられると改訂新版 北海道山菜図鑑 (ALICE Field Library)にありました。

近縁種のアマニュウは、その名のとおり比較的甘く食べやすいようです。しかし、大型セリ科植物はどれもよく似ていて、近くで葉の形を調べないと判別できないので、なかなか発見するのが困難です。

エゾニュウの若芽は、人間が食べるというより、ヒグマの大好物として知られていて、時々かぶりついた痕跡を見つけます。

エゾニュウと比べると少し小型のオオハナウドも、若芽や若い茎を食べることができるそうです。

オオハナウドの若芽は下の写真のように毛深くてウドに似ています。

しかし、オオハナウドが雪解け後すぐ、木々がまだ葉もつけていない4月下旬には芽を出すのに対し、ウドは森が青々と茂って鬱蒼としてきた5月半ばまで出てきません。 またオオハナウドは茎の内部が中空ですが、ウドは中身がつまっています。 

改訂新版 北海道山菜図鑑 (ALICE Field Library)によると、5月の若い芽や茎、アイヌのごはん―自然の恵みによると、5月下旬の若い茎を採るとされています。

一度、試しに若い茎を採ってきたことがありますが、すでに時期遅れなのか、硬くて酸っぱくて無理でした。挑戦するなら上の写真のような芽出し直後が無難でしょう。

しかし、あまり美味しいという経験談を見ないため、どうやって食べたらいいのか、よくわかっていません。

エゾニワトコ

北海道では、セイヨウニワトコ(エルダーフラワー)の親戚であるエゾニワトコが、あちこちに生えています。

大木にはならず、独特のうねりがあるしなやかな枝ぶりや、大きな芽を左右対称につける冬芽などから、冬でも見分けやすい木です。

春になると、かなり早い段階で葉と花芽が芽吹くので、よく目につきます。

この段階の芽を茹でたり天ぷらにしたりして食べることができます。花芽はブロッコリーのような歯ざわりで、特有の味わいもあります。

しかし、食べ過ぎるとお腹を壊すので、芽を食べるにしても2、3個までにとどめておくのが無難だとされています。他の山菜を食べるときのトッピングにする程度の利用がいいでしょう。

エルダーフラワーの親戚ということで、花をハーブティーなどに利用できるかと期待しました。しかし残念なことにエゾニワトコには肝心要の香りがなく、利用できませんでした。

赤く熟した果実は、果実酒にできるとも言われますが、わたしはお酒を飲まないので試したことはありません。

ほかに、近縁種のニワトコが、漢方の生薬として、茎と葉は7~8月に取り、花は開花直前に採取し、陰干しにして利用するとありました。ほかに根も利用されるようです。

花と葉は薬用茶にできるようなので試してみるのもいいかもしれません。アイヌも風邪や腹痛の治療に飲んでいたそうなので、エゾニワトコも同様に利用できそうです。

ウワミズザクラ/[エゾノウワミズザクラ]/[シウリザクラ]

サクラの仲間でありながら、ほとんどのサクラが終わったころの5月半ばなに花を咲かせ、しかも穂のような咲き方をする不思議なサクラ。雄しべが長くブラシの木のような花に見えます。

ウワミズザクラは北海道は南西部のみ自生しています。道北にはもともと自生していない種類ですが、公園樹をはじめ、あちこちに植栽されていて、半野生化したものも見かけます。

8月末に黒く熟す実を食べることができ、少しえぐみがあるものの、甘く美味でした。

新潟では、ウワミズザクラのつぼみや未成熟果を杏仁子と呼び、塩漬け、醤油漬け、天ぷらなどにして食べるようです。わたしも咲く直前のつぼみを、天ぷらにして食べてみました。

少し苦味がありますが、ほんのりと桜餅っぽい香りがして、クマリンが含まれていることがわかります。おそらくクルマバソウと同じく、大量に集めて調理すれば、香りが引き立つのだろうと思いました。

よく似た近縁種に、青森県以北に自生するエゾノウワミズザクラと、本州中部以北に自生するシウリザクラがあります。花穂の長さ、雄しべの長さ、葉っぱの基部の形、咲く時期などが微妙に違います。

次の写真がエゾノウワミズザクラです。道北にも自生していて、川沿いなどで時々見かけます。ウワミズザクラと違って雄しべが短く、ブラシっぽさがありません。花も1.5倍は大きく迫力があります。

わたしの住んでいるところでは、エゾノウワミズザクラのほうがウワミズザクラより1週間程度早く咲きます。

ロシアでは、サクラといえばこのエゾノウワミズザクラを指し、「チェリョームハ」と呼ばれているそうです。

この実を大量に収穫し、挽いたものがチェリョームハ粉としてパンや焼き菓子などに利用されているとのこと。

シウリザクラは、雄しべと花弁の長さがほぼ同じで、エゾノウワミズザクラとウワミズザクラの中間のような見た目の花です。

北海道森林管理局の説明によれば、葉っぱの付け根がハート型にくぼむこと、冬芽が鋭くとがることなどが区別点とされます。ほかに新芽の芽吹きが赤く紅葉しているように見える特徴もあります。

わたしの地域では、他の二種より数週間遅れで、6月上旬に咲いくので、見分けるのは難しくありません。しかし、数が多い木ではなく、これまで数本しか見たことがありません。

エゾノリュウキンカ(ヤチブキ)

北海道の春の非常に代表的な山菜エゾノリュウキンカ。有毒植物の多いキンポウゲ科の中で珍しく毒がなく、「ヤチブキ」と呼ばれて親しまれています。

都市近郊では近年数を減らしているようですが、道北では川沿いや道路脇などに頻繁に群生している非常に身近な花で、早春の景色を彩ってくれています。

雪解け後すぐの時期に、季節外れなほど鮮やかな緑色をした葉っぱがこんもりと萌え出てきて、似た植物もないため、見分けは容易です。つぼみも目立つので、一度覚えれば間違いません。

たくさん生えているといっても、他の人が採っていないような場所で、葉を間引くように採るのがよいでしょう。

若い葉、茎、つぼみなど、全体を食べることができます。 同時期に生える、エゾエンゴサクやギョウジャニンニクなどと一緒に煮物や天ぷらにすると、互いが互いを引き立てて、とても美味です。

面白いことに、アイヌ生活文化再現マニュアル 食べもの【春から秋へ】によると、アイヌ民族は、エゾノリュウキンカも根を保存食として食べていたらしく、わたしも一度だけ試してみました。

森の中に根を張っている植物の根を掘り出すのは、畑の野菜を掘り出すよりはるかに骨が折れました。

植物と叡智の守り人に、森の土を掘るというのは、地球の皮膚の内部を見るということだというエピソードがあったのを思い出しました。(p299)

スコップを突き入れるというのは肌にメスを入れるのと同じで、地球の血管をブチブチ切ってしまうこと。 アイヌ時代は、保存食として根を食べなければ生き延びられなかったかもしれませんが、今は違うので、山菜の根を掘り出すのは、あまり望ましく気がしました。

このように掘り出したエゾノリュウキンカの根のうち、食べられるのは白くて太い根っこだけです。茶色い根や、白い根についている細い糸状の根も苦いので取り除くとのことでした。

後で知りましたが、アイヌのごはん―自然の恵みによると、掘り返したその場で新しい根だけ切り取り、古い根は残したまま埋め戻せばよかったようです。(p81)

根っこなので、噛み切れない繊維のような食べにくいものかと思っていましたが、意外なことにとても柔らかい触感でした。ゆり根とかふかし芋に近いでんぷん質です。

しかし味と香りは強烈でした。山菜としてのエゾノリュウキンカは独特の癖のある味わいですが、それを10倍に濃縮したかのようです。酒のつまみにされるような、いわゆる珍味の類でした。

[エゾフユノハナワラビ]

8月ごろに森の中などで目立つようになり、胞子嚢穂(花穂のようなもの)を伸ばすシダ植物。

三角形の手のひらサイズくらいのワラビのような複葉を一枚と、シダにしては珍しい花穂をつけるため、「ハナワラビ」の名で呼ばれています。

サイズはあまり大きくないので、注意して歩かなければ踏んでしまっているかもしれません。しかし特徴的な姿なので、慣れればよく見つけられます。

アイヌのごはん―自然の恵みの本によると、アイヌ民族は、葉を刻んで煮魚にふりかけたり、煎じて疲労回復薬にしたりと利用したそうです。(p88)

オリヴァー・サックスがオアハカ日誌で、ハナヤスリ科ハナヤスリ属のシダをお茶にする地域があることに触れていますが、エゾフユノハナワラビはハナヤスリ科ハナワラビ属と多少近いので、似たところがあるのかもしれません。そのうち試してみたいです。(p33)

エゾマツ/ヨーロッパトウヒ

北海道には、植林された針葉樹林が多く、おもにトウヒ属のエゾマツ、アカエゾマツ、ヨーロッパトウヒ、モミ属のトドマツ、そしてカラマツ属のカラマツの5種類のマツ人工林をよく見かけます。

見分け方はそんなに難しくなく、冬になると葉っぱが落ちるのがカラマツ、幹が滑らかでひび割れていないのがトドマツです。この二種類は、葉先が尖っていないため、触ってもチクチクしません。

その他のトウヒ属の3つのマツは、樹皮がうろこ状にひび割れていて、一年中葉をつけている常緑樹で、葉の先が尖っていてチクチクするという共通点があります。

見分けるには葉の形や樹皮の色が参考になりますが、ここではトウヒ属としてひとまとめに扱います。

ネットで調べているときに、ふと見つけたフィンランドの話によると、北欧やヨーロッパではトウヒの新芽を食用にしているとのことでした。

なんと生のままむしりとって食べることもでき、シロップに漬け込んだり、ジャムにしたりできる、とされていました。

試しにわたしも、トウヒ属のエゾマツの新芽をむしって食べてみたら、とても爽やかな強い酸味が口の中に広がりました。新芽は柔らかくて、簡単に噛み切ることができ、オカヒジキのような食感でした。

エゾマツでコーディアル作っている人もいるようなので、わたしも試しにたくさんエゾマツの新芽を摘んで、シロップにしてみました。

エゾマツの新芽を袋いっぱいに採ってきたら、それを水洗いし、沸騰したお湯に入れて、葉っぱの色が変わったら、一晩置きます。色が抜けると下の写真のようになります。

次の日、できたシロップをこして葉を取り除き、水1リットルにつき400gくらいの砂糖を入れて溶けるまで煮詰めます。

こうしてシロップ完成。こした葉っぱはコンポストに捨てて、有機物として再利用します。

このシロップを炭酸で割るなどして飲むと、ちょっと酸っぱさがある、爽やかな風味。癖がなくて美味しいです。作ってすぐはえぐみがあるかもしれませんが、冷蔵庫で一晩置くと消えます。

エゾマツ以外の2種類のトウヒ属には、幹が赤みを帯びていて、芽出しが少し遅いアカエゾマツ、そして垂れ下がった葉が特徴のヨーロッパトウヒがあります。

おそらくヨーロッパトウヒは、フィンランドで食されているのと同一種かなと思います。 新芽を食べてみた限りでは、どれも似たような酸っぱい味わいでした。

日本では昔からさまざまな種類のマツやスギの葉が塩漬けなどで食されてきた習慣もありますし、特に毒のあるマツがあるという話は聞かないので、どれでも大丈夫だろうとは考えています。

しかし、モミ属のトドマツは、新芽をかじってみるとトウヒのような酸味ではなく、薬品のような味がしました。

トドマツは独特な香りから精油にされていますし、血糖値を下げる薬効もあるらしいので、有毒ではないと思いますが、シロップには向いていなさそうです。

エゾヨモギ/ヨモギ/オトコヨモギ

春を代表するハーブとして有名なヨモギ。北海道には、数種類が自生しますが、どれも葉の裏面に白い毛があり、揉むと特有の香りが漂います。

下の写真のように、芽出しの時期は全体が白い毛で包まれていて、薄緑色に見えます。これくらいの時期が摘むのに適しています。

成長するとともに毛は減り、葉裏だけが白さが残ります。 

北海道に多いエゾヨモギは、別名オオヨモギ、ヤマヨモギとも呼ばれ、その名のとおり丈が大きく成長するのが特徴です。夏には人の背丈より高くなることも珍しくありません。

秋にはノボロギクのような花びらのない地味な花を一斉に咲かせ、ヨモギ・ブタクサ花粉症の原因になります。

ヨモギ摘みで危険なのは、猛毒のエゾトリカブトと葉の形が似ていることです。河川敷や森の中で摘もうとすると、同じ場所に混生していることもあります。

おそらく下の写真はトリカブトで、

次の写真は左がヨモギで、右はトリカブトかニリンソウかと思いますが確証はありません。すべて同じ日に同じ場所で撮った写真です。

トリカブトはかなり自然度の高い場所にしか生えないので、町の近くだと、ヨモギと混生している可能性は低いです。

いずれにしても、白い毛で覆われていることや香りを確認すれば間違わないでしょう。

食用ではなく、よもぎ茶のようなハーブとして利用する場合は、成長してから採取しても問題ありません。

わたしはアイヌ生活文化再現マニュアル 食べもの【春から夏へ】を参考にして、森に入るときに、道端のヨモギの葉を拝借して、揉んで虫除けに使っています。(p31)

春に摘んだヨモギを、重曹でアク抜きし、冷凍保存しておき、秋に餅つきをした時に混ぜて、よもぎ餅も作りました。

エゾワサビ/オランダガラシ(クレソン)

アブラナ科には、〇〇ガラシ、〇〇ワサビと名のついた草が多くあります。いずれも葉や茎や根に辛味があるのが特徴です。

エゾワサビは初夏に渓流沿いや登山道などにたくさん生えているワサビの仲間。葉っぱは500円玉くらいで、背丈も低いので、とても地味な草です。

ふちに軽く切れ込みの入った丸みのある葉が特徴。羽状複葉ですが、ほとんど頂葉しか目立ちません。 アブラナ科らしい白い4弁の花をたくさんつけます。

写真のように、まだ花がつぼみの時期に見分けて採取します。案外に根が浅いので、そっと地面から引き剥がすように引っ張れば、土を掘らなくても根茎まで採取できます。

葉、茎は柔らかく、根はカリコリした食感で、すべて食べることができます。花が咲いてからだと茎が硬くなってしまい、食べられませんでした。

改訂新版 北海道山菜図鑑 (ALICE Field Library)には、茎や葉は熱湯に浸すと辛味が出、根茎もピリッとした辛味があってワサビと同様に用いるとありましたが、わたしはほとんど辛味を感じませんでした。

同じアブラナ科のオランダガラシは、クレソンの別名で、ステーキなどに添えられる有名な野菜です。

非常に強力な外来種で、道北の森の中までも広がっているので、見つけ次第採っても大丈夫です。鳥の羽のような形になる羽状複葉の葉っぱが目印です。

これもアブラナ科らしい4弁の白い小さな花をたくさん咲かせるので、葉っぱの特徴さえ押さえておけば見分けやすいです。

エンレイソウ

3枚の葉と3枚の花びらが印象的で、とても美麗な春の花エンレイソウ。 厳しい冬を乗り越えながら、15年近い歳月をかけてやっと花を咲かせる忍耐強い花です。

一度咲くと何十年も生きるそうなので、もしかすると目の前の花はわたしより年上かもしれません。

小型の様々な色の花をつけるエンレイソウや、

大型の白い花をつけ、雨の後には透明になるオオバナノエンレイソウ、

そしてうつむき加減に花を咲かせ、時にピンク色を帯びるミヤマエンレイソウなど、さまざまな種類かあり、春の森歩きを楽しませてくれます。

若葉は水に十分にさらせば食べることができるそうですが、茎の下部と根に毒があるとのことで、注意が必要です。わたしは食べたことはありません。

一方、夏以降に熟す実は、甘くて、生のまま食べることができます。実の形がソバの実に似ていることから、地方によってはヤマソバと呼ばれて親しまれているそうです。

森歩きをしながら、大きく膨らんだ重そうな実を見つけたら、虫食いがないか確かめてから味わってみるといいかもしれません。

ベリーのような種が多いため、積極的に食べるようなものではありませんが、クワの実と同じように、歩きながらちょっと楽しむにはちょうどいい果実です。

オオアマドコロ

釣り竿のような茎を伸ばし、提灯のようにたくさんの花をぶら下げる面白いユリ科の花。根茎がヤマイモのトコロに似ていて、甘味があることから、その名がつきました。

近縁のナルコユリもよく似た形状の花で、こちらは長い竿に多数の花がぶら下がる様子が、鳥よけの農具である「鳴子」に例えられています。

見た目が非常に美しく面白い花ですが、オオアマドコロもナルコユリも、若芽の段階では山菜として食べることができます。

問題は、ホウチャクソウという毒草と見た目が似ていることです。死ぬほどの猛毒ではないようですが、下痢やめまいを引き起こすとされています。

ホウチャクソウはイヌサフラン科であるにも関わらず、ユリ科のオオアマドコロと葉っぱの雰囲気がよく似ていて、花の形も類似しています。

下の写真は、一枚目がオオアマドコロの花、二枚目がホウチャクソウの花です。形こそ似ていますが、ホウチャクソウのほうは花弁が上から下まではっきり分離していることで見分けられます。

花が咲いた後は、オオアマドコロは球体の実をつけ、ホウチャクソウは楕円形の実をつけます。一枚目がオオアマドコロ、二枚目がホウチャクソウです。どちらも熟すと青くなります。

山菜として採る春の若芽のころも見た目が少し似ていて、慎重に見分ける必要があります。

オオアマドコロは、5月始めごろに芽が出て、茎が太く、開けた明るい場所を好みます。

茎はかなり角ばっていて、六角形鉛筆のようです。(花がそっくりで、芽出しのころに食べることもできるナルコユリは、茎が円柱状で角ばっていません)

ホウチャクソウは、芽出しが少し遅く、茎はほっそりしていて、森の中のような暗い場所を好みます。

茎は多少角ばっていますが、オオアマドコロほど太くなく、角も多くありません。

 

ホウチャクソウは茎が分岐するという特徴がありますが、若芽の場合、必ず確認できるとは限りません。また、切ると不快な匂いがするとも言われますが、わたしはわかりませんでした。

たまたま摘んだのが花芽をつける株であれば、葉を開いて中を見ればつぼみの形が違うので区別はできます。

より確実なのは、少し茎の根元の土をよけて、根っこを確認してみることです。食用になるオオアマドコロやユキザサは、下の写真のように、横に伸びる根茎があります。ホウチャクソウにはこのような根はありません。

一度同定して覚えれば、生えている場所や、茎の太さ、角ばっている度合いだけでもわかるようになってきます。実際、太さの印象だけでもかなり違います。

ほかに、同じユリ科であるユキザサやオオバタケシマランとも似ていますが、ユキザサの項に譲ります。ユキザサは山菜として食べられますし、オオバタケシマランは食用とはされませんが毒ではないようです。

オオアマドコロの芽は、不思議な甘さと苦さがあり、他に似た山菜が思い浮かばない味です。後味が苦いので、よく水にさらすなど、調理を工夫する必要があるかもしれません。ネットを調べればレシピは出てきます。

茎、葉、苞のそれぞれで食感が異なっていて、わたしの場合は、茎が一番好きです。角ばっていますが、筋のようなものはなく、苦味も弱くて、アスパラガスの食感に似ています。

オオイタドリ

オオイタドリは、道内全域に呆れるほど群生していて、見かけない場所はないといってもいいほどです。普通の町の中や、民家の庭や、道路脇、そして森の中にも、どこにでも生えます。

成長すると2mを超え、森の中では3mを超えるほど巨大になることもあります。 近縁種のイタドリはオオイタドリより小型ですが、海外では日本由来の侵略的外来種として忌み嫌われていて、世界の侵略的外来種ワースト100にも指定されているほど繁殖力旺盛です。

そんなイタドリですが、各地で山菜として利用されていて、若芽の時期に茎の部分を食べることができます。

北海道に自生しているオオイタドリは、芽出し直後の高さ20cmくらいの時期に採取します。旬はほんの1週間ほどしかなく時間との勝負です。わたしの住んでいる場所では5月中旬です。

太さは親指くらいまでが理想。それより大きく成長すると、筋っぽくなり、食感が悪くなります。

根元からハサミなどで切り、葉っぱをその場で落とし、茎だけを採取します。

採ってきたら、まず水にさらして虫を落とします。

それからフキと同じように手で皮を剥きますが、あまり水にさらしすぎないほうが、つるりと剥きやすい気がします。ハサミで切った切り口側(根元側)から爪で剥がして剥くとスムーズです。(お湯につけて温めると剥きやすいとネットに書いてありましたが、特にこの方法で苦労していません)

皮を剥いた後、茹でて水にさらすなどして、多少のアク抜きをします。

様々な料理に合いますが、甘辛く煮たりすれば、しこしこした食感と酸味が美味しいです。

意外にも、イタドリはジャムに向いていて、甘酸っぱい果物のような味に仕上がります。

イタドリはタデ科で、やはりジャムに加工されるルバーブの親戚です。そのため、ネット上に数多くあるルバーブジャムのレシピをそのまま使えます。

味もルバーブジャムによく似ていて、ルバーブジャムより好みだと言ってくれた友人もいました。

オオイタドリは、エゾイラクサと並んで、わたしが大好きな山菜の一つです。どちらも大量に生えて、自生地の保護を気にせず気兼ねなく採れる上、旬の時期さえ逃さなければ、驚くほど美味な食材に変身するからです。

オオウバユリ

アイヌ民族の主食として知られるオオウバユリ。若芽の時点で食べることができますが、それよりも塊茎を掘り出してデンプンを抽出する利用がメインです。

わたしが住んでいる地域では、河川敷でも道路脇でも森の中でも普通に見られる植物で、夏に咲く巨大な花は圧巻です。

オオウバユリは芽を出してから7年くらいかけて栄養を溜め込み、花を咲かせて一生を終えますが、ゆり根(鱗茎)を採るのは花を咲かせない株(アイヌ式に言うとメスのオオウバユリ。「トゥレプ」と呼ばれる)です。

今年花を咲かせる株(アイヌ式に言うと「オスのオオウバユリ」)は、子孫を残してくれるので採取しません。そもそも花を咲かせるために全エネルギーを使うので鱗茎が小さくなっているそうです。

若芽のころは、くるくると巻いた葉が可愛らしい見た目です。似た植物はないので見分けるのは簡単です。おそらくこの段階で食べることができるのだと思いますが、まだ試してみたことがありません。

デンプンを採る場合は春か秋に株を掘り返します。花が咲かない株を選んで掘るためには秋のほうが望ましいでしょう。 花が咲く株は独特の巨大な花茎を伸ばすので見分けるのは簡単です。

下の写真のように、一箇所に群生していることもしばしばで、花茎を伸ばした株のまわりを探せば、花を咲かせない株も見つかりやすいです。

花を咲かせない株は、光沢のある広い葉の様子がヒメザゼンソウの葉に似ているとされます。わたしはまだヒメザゼンソウを見つけたことがありませんが、こちらのサイトで写真が比較されていました

いくつか違いはありますが、オオウバユリの葉は、葉脈が赤みを帯びることで区別できそうです。

なお、アイヌのごはん―自然の恵みによると、ヒメザゼンソウの葉も食用になりますが、生のままだと毒があり、乾燥させたり茹でたりする必要があるそうです。(p82)

デンプンを採る際は、葉だけのオオウバユリを根っこから掘り返します。

アイヌ生活文化再現マニュアル 食べもの【春から夏へ】によると、それ専用の堀り道具が使われていたようですが、スコップでも代用できます。

掘り起こした根は、ひとつひとつ丸洗いして泥を落とします。このゆり根は鱗茎、つまり鱗が重なり合ったような形をしているので、洗いながら一枚一枚をパリッと剥がして、分解していきます。

それから、細かく分解した鱗茎のかけらを、杵と臼で、ひたすらすりつぶして砕いていくと、次第に粘り気が出てきてて、とろろ芋のような半液体状になってきます。水はまったく加えていません。この作業はかなり大変です。

砕いてドロドロになったものは、水と混ぜて、何日も置いたり、発酵させたり、繊維を濾し取ったりするのを何度も繰り返して、高品質のデンプンを分離させます。詳しくはアイヌ生活文化再現マニュアル 食べ物【春から秋へ】を参照。

採取したデンプンは、輪っか状にして吊るして乾燥させることで、冬の保存食として用いられます。

乾燥させた輪っかは、刃物で削って、お湯でもどして、おかゆや汁物に入れるなどして食べるようです。

また、ドロドロになったデンプンは、フキの葉に包んで焼いたり、

イタドリ(クッタル=中が空洞の意)やヨブスマソウ(ワッカククッタル=水を飲む筒の意)の茎に詰めて蒸し焼きにしたり、色々な用途に使えます。

味は、癖も苦味もなく、白米やパンを食べたときの印象に似ています。しっかり越したものでなければ、繊維質が多いです。

ほかに、採取した鱗茎を剥がして、ゆり根と同じように茹でて調理することもできるようですが、試したことはありません。

オオバタネツケバナ/コンロンソウ

別項のエゾワサビと同じ、アブラナ科の植物。〇〇カラシ、〇〇ワサビなどの名前がつく植物の近縁種で、特有の辛味があります。 いずれもアブラナ科なのでよく似た花びら4枚の白い小さな花をたくさん咲かせます。

オオバタネツケバナとコンロンソウも葉の形が全然違っていて、見分ける手がかりになります。 オオバタネツケバナは、わたしの住んでいる場所だと5月半ばに咲きます。

葉っぱは羽状複葉で、先端の小葉が大きく、その下に小さな小葉が羽のようにつきます。

やはりアブラナ科である野菜のルッコラを思わせる形状です。(ルッコラの葉の形にはバリエーションがありますが)

コンロンソウは、オオバタネツケバナより少し遅れて、5月下旬に咲いていました。

葉っぱの形は、5枚か7枚セットの羽状複葉で、とても整った形をしています。森の中を歩いていると早春からよく目立つので、すぐコンロンソウだとわかります。

これらの植物は、若芽、若葉、つぼみなどを食用にできますが、花が咲いている時期だとすでに硬すぎました。一度しか試していないので、あまり印象がありません。

エゾワサビも地味でしたし、いくらでも採っていい外来種のオランダガラシ(クレソン)があるので、積極的に採るような野草ではないと思います。

オドリコソウ

ちょうどイラクサ採りの旬が終わった5月半ばごろに、堤防や森の中などにこんもりと茂ってくる、同じシソ科の有用ハーブ。

葉っぱの雰囲気はイラクサとよく似ていますが、かがみこんで横から茎を見てみると区別しやすいです。

まず茎が細くひょろひょろしていて、イラクサのような白い托葉や、全体を覆う刺毛がないことで区別できます。

また、オドリコソウは、早い段階から小さなつぼみを葉っぱの付け根に輪状につけているので、判別の手がかりに利用できます。花を2段以上咲かせる株、最上段だけ咲かせる株、まったく花の株があります。

若葉だけでなく花まで食べることができますが、花が咲いてしまうと虫が入りやすいので、わたしはつぼみの時期に、なるだけ花が咲かない株を選んで採取するようにしています。

採取したオドリコソウは、イラクサと同じように利用できます。 茹でればほうれん草のような癖のない野菜になります。

わたしはイラクサを大量に採って冷凍保存してあるので、ハーブティー用に乾燥させることが多いです。

ハーブとしてのオドリコソウは、婦人疾患や泌尿器系疾患に効能があるとされ、イラクサ(ネトル)と同様ね幅広い健康促進効果があります。あまり味はないので、他のハーブとブレンドするといいかもしれません。

似た仲間として、外来種であるヒメオドリコソウも道ばたなどに大量に群生します。オドリコソウより葉がかなり小さく、オドリコソウの葉が確認できるころにはピンク色の花が満開なので、区別に迷うことはないと思います。

ヒメオドリコソウもハーブとして利用できるとのことですが、おもに道端や畑のあぜ道に生えていて、わたしが山菜採りするような場所にはないので、試したことはありません。

ヒメオドリコソウは外来種でどんどん増え広がるため、身近にあるようなら、遠慮なく採ってしまって大丈夫だと思います。

[オニシモツケ]

ひと夏で巨大葉っぱになる草本シリーズの一つ。カエデを思わせる形の葉ですが、大きさが桁違いで、アキタブキの葉ほどもあり、余裕でお面にできるサイズです。

実はこの葉は、非常にわかりにくい羽状複葉で、葉の茎を見ると、とても小さな小葉があることがわかります。

茎を挟み込むハサミのような形の托葉とともに、オニシモツケを見分ける手がかりになります。

6月中旬以降に、真っ白な細かい花をたくさん咲かせ、夏場に霜を付けているかのように見えます。

だから「シモツケ」かと思ったらそうではなく、栃木県の古名下野国(しもつけのくに)に由来するそうです。

仲間のシモツケソウや、元々の由来になった樹木のシモツケも、花の形は似ていますが白い花とは限りません。

意外なことに、アイヌのごはん―自然の恵みによると、オニシモツケは頂上の若葉の部分を食用にしたり、根を煎じて薬用にしたりと利用していたそうです。

ということは、下の写真のように、春の芽出しの時に山菜として食べることができるのか?と思うのですが、いかんせん情報が少なすぎて試すことができていません。

オニユリ/[クルマユリ]

食用のユリ根の原料としても知られるオニユリとクルマユリ。どちらも普通に道端などに自生していますし、花壇や庭にも植えられています。

互いに花がそっくりですが、クルマユリは名前のとおり葉が車輪のように輪生します。

オニユリも葉が180度ぐるりとつきますが、輪生はしておらず、互い違いにつく互生で、螺旋階段のようになります。葉の付け根にむかごができるのも特徴で、むかごのないオニユリはコオニユリと呼ばれ区別されます。

このむかごが食用になるということで一度茹でて食べてみましたが、かなり苦くて後味がよくありませんでした。大量にあるので残念ですが、二度と利用することはなさそうです。

オニユリ、コオニユリ、クルマユリはいずれも鱗茎をユリ根として食用にできますが、まだ試したことはありません。

ネット上の情報によると、オニユリよりコオニユリの鱗茎のほうが苦味が少ないそうです。クルマユリは、アイヌが鱗茎を利用していたとも伝わります。

カキドオシ

5~6月ごろ道ばたや土手、野原などに生えるシソ科有用ハーブのひとつ。

小さな紫色の花と、丸みを帯びた波型模様の可愛らしい葉っぱが目印。シソ科なので十字対生に葉っぱがつきます。

同じシソ科のイラクサやオドリコソウと同様、食用になるだけでなく、解熱や咳など、さまざまな症状に効く薬草でもあります。

英名は「アイビー」と呼ばれていて、各地でハーブとして愛されているそうです。

カキドオシ(垣通し)の名前は、垣根の下をくぐりぬけて侵入することから名づけられたとありました。

その名のとおり、匍匐状のつるが地面を這っていて、引っ張ると芋づる式にたくさんついてきますが、根こそぎ採ってしまわないよう注意が必要です。

採取すると、ハーブらしい芳香があって、ミントなどに負けないくらい強いクールな香りがします。しかし残念なことに、乾燥させてお茶にすると香りはなくなり、あまり味も感じられません。

味や香りというより、他のハーブとブレンドしたり、効能を期待したりして利用するハーブといえそうです。

カタクリ

本来、鱗茎がカタクリ粉の原料になっていた花。今ではカタクリ粉はじゃがいもなどから作られていて、カタクリは希少な植物となっています。

春先に咲くスプリング・エフェメラルの一種で、エンレイソウやギョウジャニンニクと同様に、咲くまでに7年以上の歳月がかかります。そのため、野生のカタクリの鱗茎を採取するのは控えるべきでしょう。

明るい林などに群生し、他のスプリング・エフェメラルが開花するのと同じ4月中旬から末ごろ、美しい赤紫色の花を一斉に咲かせます。花の奥に刺繍のような繊細な模様があり、見ていてとても美しい花です。

つぼみ、花、葉も含めた全体を食用にできますが、少量を彩りとして味わうにとどめるのが無難です。お浸しや天ぷらなど、何にでも使えます。

[オニノヤガラ]

オニノヤガラは、ランの仲間の腐生植物(菌従属栄養植物)で、地面にぶっ刺さった巨大な矢のように見えるのが名前の由来です。

菌従属栄養植物ということで、光合成をせず、完全に菌から栄養をもらっているため、葉が1枚もありません。ナラタケ菌と共生関係を結んでいるそうです。

アイヌ植物誌によれば、オニノヤガラはアイヌ時代からよく知られていて、塊茎はその形から別名ヌスビトノアシとも呼ばれ、サツマイモやジャガイモのようで食べやすいそうです。

たとえば松浦武四郎の石狩日誌に、オニノヤガラ(ヌスビトノアシ)の塊茎を「アイヌのサツマイモ」として、焼いたり味噌汁にしたりして、ごちそうになったエピソードなどが伝わっています。

アイヌ語名ウニンテプは、「そろって姿を消すもの」の意味だと考えられていて、気まぐれな腐生植物のランらしく、一箇所にとどまっていないことを指すとのことです。ただ、数年経てば同じ塊茎からまた花が出ることもあるそうです。

わたしがオニノヤガラを見つけたのは2度で、まったく別々の場所でした。一本だけ突っ立っているので掘り返すのも忍びなく、まだ塊茎を味わうことはできていません。

カラハナソウ

セイヨウカラハナソウはビールの原料のホップとしてよく知られています。在来種のカラハナソウは、苦味や香りづけに使うには弱いようですが、花の様子などはよく似ています。

ビールの原料になるのは、セイヨウカラハナソウの松かさのような形の毬花(雌花が変化したもの)ですが、在来種のカラハナソウも秋に同様の毬花をつけます。

北海道には昔からカラハナソウが自生していて、アイヌはカラハナソウを「コサ」と呼んで、例のごとく根を食用にしていたそうです。果実を発酵させて麹を作ったという記述もありました。

カラハナソウはツル植物で、葉っぱの縁に非常にはっきりとしたギザギザがあるので、比較的見分けやすいです。(時には3から5枚に裂けて手のひら状になる葉もあるそうです)

面白いことに、カラハナソウは芽出しの時期に食べることができます。

セイヨウカラハナソウの芽は、海外では英語でホップシュート(hop shoots)イタリア語ではブルスカンドリ(bruscandoli)、と呼ばれ、珍重されているとの情報がありました。

特に有名なのはビールの生産地ベルギーのホップの芽で、旬の食材としてレストランでも供されるとのことです。 日本のカラハナソウの芽も同様に食べることができ、ネット上にも利用している記述が散見されます。

わたしが住んでいる場所では、5月初頭に、自生地の地面からもやしのように生え出てきます。

左右対称につく葉が少し開きかけていれば、カラハナソウであると見分けやすくなります。

採取するときは、芽の先端の柔らかい部分(15cmくらい)だけを手で折り取って摘むといいそうです。自然にポキっと折れるところまでが柔らかく食べやすいということでしょう。

画像に写っているように、ツル植物であるカラハナソウは、からみつくために茎がザラザラしていますが、2分ほど長めに茹でれば気にならなくなると書かれていました。

わたしが採ったのはごく少量なので、胡麻和えにするとこんなに少なくなりました。

 

食感は普通にシャキシャキして美味しいです。これと似た山菜がないので、オンリーワンの魅力があります。

オムライスやポーチドエッグに入れたりすると合うらしいですが、野生のカラハナソウをそれだけの分量を採取するのは難しいかもしれません。

キクイモ

かつて栽培されていたものが、あちこちで野生化しているキクイモ。畑のふちに多いですが、河川敷や堤防にも生えています。

繁殖力が強い上、根茎が救荒食糧として優秀で、オリヴァー・サックスの「色のない島へ」では、子どもの頃、庭にシダ園があったのに、「第二次世界大戦が始まるとキクイモの栽培が奨励されたため、シダは根こそぎ抜かれてしまった」と回想されていました。(p237)

他の鮮やかな花がすべて枯れてしまった9月から10月ごろ、最後に花を咲かせるのが最大の特徴です。その時期に目立つ花はもうキクイモくらいしかないため、見つけるのは簡単です。

下の写真のアングルではわかりにくいですが、背の高さは2mを超えることもあり、近づいてみると大きさに驚きます。

大型のキク科の黄色い花という点で、北海道で大繁殖している外来種のルドベキア、オオハンゴンソウと似ているところもあります。

しかし、オオハンゴンソウがほとんど枯れた後に、キクイモが咲きますし、葉っぱの形が全然違います。

類似した植物に、キクイモモドキ(ヒメヒマワリ)がありますが、葉の付き方で区別できます。

キクイモは葉が下のほうは対生(向かい合ってつく)、上のほうは互生(互い違いにつく)なのに対し、キクイモモドキは上から下まで対生です。つまり、上のほうの葉が互生ならキクイモです。

いずれにしても、引き抜いてみて芋があればキクイモで、特に似た毒草もないので、安心して食べることができます。

引き抜く時に芋が地中に残りがちですが、来年以降そこからまた芽が出るので、気にせずに次々に引き抜いて、採れた分だけ持ち帰ればいいでしょう。

普通のイモと同じように、煮物にしたり、スープにしたり、味噌汁にしたり、ポテトチップスにしたりと、何にでも使えます。低カロリーなので、血糖値を下げる健康食にもなります。

キハダ

内皮が黄色く染料として使われていたことから名付けられたキハダ。

アイヌはこの実を「シケレペ」と呼び、香辛料として使っていました。様々な薬効もあり、樹皮が生薬として利用されています。

キハダは奇数羽状複葉の葉が対生につく樹木で、わたしの住んでいる地域だと、このような葉の付き方をする木は他にヤチダモとニワトコしかありません。

ヤチダモとニワトコは樹形も冬芽もかなり特徴があるので、どの季節にも見分けやすい木です。それで、キハダもすぐに見分けられるかと思っていましたが、なかなか見つかりませんでした。

地元でネイチャーガイドをしている人に尋ねたら、昔はあったけれど今は見ないとのことでした。

しかし、冬にスノーシューで森を歩き回り、冬芽を観察してみたら、あっちにもこっちにもキハダの若木がありました。キハダの冬芽は馬の蹄鉄のようなわかりやすい形です。

それで、実際にはキハダの木がないわけではなく、背が高くて花や実が見えないため、気づかれていないのではないか、と推測しました。若木の量からすると、かなり多いはずです。

その後、翌年の秋にキノコ狩りをしながら歩いていると、実が落ちているのも発見でき、近くにキハダの木を何本か見つけました。実ははじめのうち緑色で、表面に凹凸があり、さながら極小のミカンのようです。

ほかにも、あまり人が訪れない道路沿いに、キハダの木が群生しているのも見つけたので、たくさん実を採取することができました。注意深く探せば、意外とあるものです。時期は10月半ばでした。

キハダの実は、同じミカン科のサンショウを思わせる、まさに香辛料といった強い風味で、はじめはびっくりするような味です。

しかし、他の香辛料と同じで、何度も食べているうちにやみつきになります。

アイヌの料理ではかぼちゃと一緒に炊くのが美味と言われます。試してみると、かぼちゃの甘ったるさと、キハダの実の苦味と爽快感がうまくマッチして、互いを引き立て合う相乗効果がありました。

キハダの実は乾燥させて保存することができます。乾燥させたほうが、カリカリとした食感が生まれるので、料理に使ったとき、味だけでなく食感にもアクセントを添えられます。

キバナノアマナ

スプリング・エフェメラルのエゾエンゴサクやアズマイチゲと同時期、早春の4月下旬ごろから咲き始める黄色い小さなユリ、キバナノアマナ。

近年、都市近郊では数を減らしているそうですが、わたしが住んでいる場所では河川敷の堤防に、エゾエンゴサクなどと一緒に一面に咲き誇って壮観です。

名前のとおり、薄緑色の細い葉っぱを、甘みのある菜っ葉として利用することができます。

根茎も食用になりますが、自生地が減っているとのことなので、葉っぱを利用するにとどめるのが無難です。

独特のほんのりとした甘味があるので、お浸し、胡麻和え、天ぷらなど、いずれの調理方法でも、春の味わいが楽しめます。

近縁種に小型のヒメアマナ、葉が茎を抱くエゾヒメアマナがあるそうですが、意識して違いを観察したことはありません。この二種は自生地がまれとのことなので、おそらくそうそう見ないでしょう。

ギョウジャニンニク

数ある山菜の中でも特に愛されているギョウジャニンニク。

アイヌも「キト」(プクサ)と呼んで活用していて、各地にギョウジャニンニクの群生地を意味する「キトウシ」のような地名が残っています。

4月から5月にかけて、森や渓流沿い、河川敷など、多少湿り気のあるところに生えているのを見かけます。一箇所に固まって群生していることもしばしばですが、同じ場所で採りすぎないよう注意が必要です。

成長が極めて遅い野草のひとつで、北の健康野菜―行者ニンニクの薬効とその秘密によると、発芽して5-10年でやっと食べられるようになります。根を残して葉だけ採った場合、再生はしますが、3-4年かかるようです。(p20,31)

葉が1枚、2枚、3枚のものがありますが、1枚葉のものはこれから成長する株、3枚葉のものは今年花を咲かせて子孫を残す株なので、2枚葉のものだけを選んで採ります。しかし2枚葉も取り尽くさないよう注意します。

特有の辛味と薬効を楽しみたいなら、アリシンの含有量が多い芽出し直後のものがよいと言われます。しかし、わたしは贅沢すぎるように思えて、その段階では採ったことがありません。(p19)

一方、アイヌのごはん―自然の恵みによると、アイヌ民族は、6月から7月ごろに、かなり成長した後の、ミが入って食べごたえのある大きな葉を食べたそうです。(p120)

わたしも、うちわくらいの長さに成長した葉をよく採りますが、アイヌが食べたのはさらに大型と思われます。

大きな葉は、味が少しマイルドで、食べやすく感じます。刻んで醤油漬けにして、餃子やチャーハンの具にすると極上の美味しさです。 同時期に採取できる、エゾエンゴサク、エゾノリュウキンカ(ヤチブキ)、ニリンソウなどと一緒に天ぷらにして、春の到来を味わうのが毎年楽しみです。

採取するときは、猛毒のスズランとの見分けに注意します。

スズランは日当たりのよい草地に自生するので、ギョウジャニンニクが生えているような場所にあるのは見たことがありません。しかし、遠くから見た群生の様子は、ギョウジャニンニクと似ています。

近くで見た場合も、スズランやドイツスズランは、根元に赤みを帯びたはかまがついている点がギョウジャニンニクとよく似ています。

自生地で間違うことよりも、庭にギョウジャニンニクとスズラン(またはドイツスズラン)を同時に植えていて間違うことのほうが多いかもしれません。庭に植える花では、イヌサフランの芽もよく似ていて、しばしば誤食事故が起こっています。

一番わかりやすい確実な区別点は、ギョウジャニンニクは切るとニンニク臭がするのに対し、スズランは無臭だということです。採取するときに、切り口を匂ってみる癖をつければ間違いません。

しかし、庭に植えている場合は、ギョウジャニンニクの香りが薄くなっていることもあり、間違える可能性もあるそうです。

ギョウジャニンニクを育てる場合は、スズランやイヌサフランを植えないようにするのがいいと思います。

キンミズヒキ

夏に黄色の花穂をつけ、森を明るく彩るキンミズヒキ。

奇数羽状複葉でありながら、小葉と小葉の間に、もっと小さな葉がはさまってつくという非常に特殊な形の葉をしているので、若葉のころから見分けるのも簡単です。

近縁種にヒメキンミズヒキとチョウセンミズヒキがありますが、共に道内では南西部にのみ生え、小葉が3~5枚しかないことで区別できます。キンミズヒキは写真のように小葉が5~9枚と多いです。

5月初頭、イラクサ採りをする時期に、キンミズヒキも若葉も出ていて、食べることができるとのことだったので試してみました。アクがあるので、塩を入れた熱湯で茹でます。

しかし、食感がパサパサして、後味が嫌な苦さで、食用に向いているとは思えませんでした。味付けをしたところで美味しくなる気はしません。

キンミズヒキは、薬草としても知られていて、漢方の生薬では「龍牙草」「仙鶴草」などと呼ばれており、口内炎に効き、整腸作用もあるそうです。

近縁種のセイヨウキンミズヒキは、学名Agrimoniaからアグレモニーと呼ばれ、やはりハーブとして利用されています。

それでお湯を淹れてエキスを抽出してみると、黄色っぽいハーブティーになりました。 食べたときと同じく、あまり好きではない苦味はありますが、後味が残ってしまうことはありません。

漢方薬を美味しいと思える人なら普通に飲みたい味かもしれませんが、美味しいと不味いの紙一重的なところに位置する味でした。

クサソテツ(コゴミ)

食用とされる三大シダの芽の中でも、わたしが一番好きなのがクサソテツ(コゴミ)です。

ゼンマイやワラビと比べ、アクもないので下処理の必要がほぼなく、どんな料理にも合い、乾燥・冷凍保存することもできる万能食材です。

唯一の欠点は、収穫適期が非常に短いことです。わたしが住んでいる地域では、5月のゴールデンウィークごろの一週間が勝負です。

クサソテツは、他のシダの仲間と同じく、くるくると巻いた芽(フィドルヘッド)の形状で出てきます。

シダの種類はかなり多種多様なので、シダの見分けに慣れていないと、どれがコゴミの芽なのか、わかりにくく感じるかもしれません。

まず、上の写真のように茎が深緑色で、すべすべしているのが特徴です。

かつお節のような鱗片をマフラーのようにまとっていますが、茎そのものは毛深くありません。

下の写真のように、茎の色が緑っぽくても少し色味が違っていたり、茎が毛深かったりすれば違うシダです。(写真はジュウモンジシダ。食用にされることもあるらしい)

また、クサソテツの芽は、茎の内側に凹みがあります。下の写真は茹でた後ですが、茎の断面がU字型になっていて、はっきりくぼんでいるのがわかります。葉っぱが成長した後もこの凹みは残るのでクサソテツの判別に役立ちます。

一方、次の写真のように、茎の色合いがクサソテツに似ていても、茎の内側が凹んでいない芽は違うシダです。(写真はおそらくオオメシダ)

基本的に、この2点を押さえておけば、他のシダの芽と間違うことはありません。

クサソテツは、少し湿り気のある林内や川沿いに群生します。林道や山道を走っていると、しばしば大群落も見かけるので、覚えておけば、たくさん採ることができます。

秋に胞子葉という独特の形状の葉を伸ばして繁殖し、翌春まで残っているので、クサソテツの群生地の目印になります。

この胞子葉が鳥のガンの足に似ているため、「ガンソク」という異名があります。

このような形状の胞子葉を立てるシダは、北海道にはガンソク(クサソテツ)とイヌガンソクの二種類しかありません。

下の写真がイヌガンソクですが、胞子葉が少し小さめで、芽はクサソテツより緑色がずっと薄く、あまり似ていないので、山菜採りの時期に間違うことはないでしょう。

ちなみに、アイヌのごはん―自然の恵みによると、アイヌ民族はクサソテツの胞子葉の中から出る黒い小さな胞子「スクスク」と呼び、ふりかけのように米に加えて炊いて食べていたそうです。特に味はないらしく、見た目を意識したトッピングのようです。(p31,125)

クサソテツの芽は円陣を組むように生えてきます。採取するときは、すべて採るのではなく、間引くように数本を採取するようにします。

背の高さは20cmくらいに伸びたものが理想ですが、ひとたび芽を出すと驚くようなスピードで成長し、すぐに下の写真のように成長しすぎてしまいます。

これはまだギリギリ採取できるサイズですが、先端のほうを手で折り取って、自然に折れる場所までなら、柔らかくて食べることができます。

採取に適した時期は、芽が見えてから数日後で、一週間もすれば遅すぎます。自生地によって成長の度合いは違うので、川沿いなど少し成長が遅れる採取スポットを見つけておくと役立ちます。

群生地はたくさんあるので、時期が合えば大量に採取できます。

天ぷらやお浸し、油炒めなどにすれば、他の山菜にないカリコリとした食感が楽しめます。

また、茹でてから冷凍したり、干して乾燥させたり、醤油漬けにしたりすることで、保存食として活用できます。

保存しておけば、同じく大量に採れて癖のないイラクサと同様、冬の青野菜がない時期の食材として重宝します。

クサフジ

5月半ばに葉を出し、6月から7月に花を咲かせるマメ科のツル植物。町の草地、林のそば、河川敷などどこにでも生え、紫色の花が咲くと長く目立ちます。

若葉や花を食べることができるとのことで試してみましたが、葉っぱは若くても筋っぽさがありました。

花のほうは、特に味はなく、見た目がきれいなので、さっと茹でて料理の彩りに添えるのに向いています。かなり長い時期にわたって採取できるのも便利です。

クルマバソウ

晩秋から初夏にかけて、林内に群生して、小さな美しい花を楽しませてくれるクルマバソウ。

桜と同じクマリンが含まれているので、乾燥させると桜餅の香りがします。

ドイツではヴァルトマイスター、アメリカではウッドラフと呼ばれ親しまれているそうです。 日本でも、函館ではクルマバソウの香りをプラスしたアイスクリームが売られているというニュースもありました。

国内情報ではシロップの作り方がわかりませんでしたが、「wie macht man waldmeister」というキーワードでGoogle検索すれば、ヴァルトマイスターの作り方という意味になり、本場ドイツのレシピを探せました。

クルマバソウを摘むときは、咲く直前のつぼみくらいのがいいとされます。しかし、花が咲いてしても咲き終わっていても、香りはあります。

採取する量は、手でわしづかみにした時、二束くらいあるとよいようです。採ってみるとこれがかなりの量ですがクルマバソウが自生している場所なら、問題なく生えているでしょう。

そのままだと香りがしないので、洗って虫を落としてから、しばらく乾燥させます。1日か2日くらいおいておけば、ほんのりと桜餅っぽい香りが立ち込めてきます。

それから、1リットルの水を沸騰させ、1kgくらい砂糖を溶かします。わたしは甘さ控えめできび砂糖を700gにしました。

そこにクルマバソウ二束を投入し、一晩くらい放置してから濾します。

クルマバソウは青臭さがあるので、それを取るためにレモン汁やクエン酸を少々入れます。入れすぎるとせっかくのクルマバソウの香りが負けるので少しだけです。

出来上がったシロップを炭酸で割って飲んでみると、ちょっと青臭さがありますが、飲み終わると、ふわっと桜餅の後味が残るのが美味しいです。

このシロップはきび砂糖のせいで色がついていますが、クルマバソウ自体は色が出ません。

本家ヴァルトマイスターのように緑色にするには茎葉をミキサーで刻んで入れる必要がありますが、青臭さが強くなりそうでためらいます。

トウヒ(エゾマツ)のシロップとともに、非常に爽やかな初夏の味で、もはやなくてはならない季節の飲み物です。

なお、クルマバソウには、非常によく似たクルマムグラやオククルマムグラという植物があります。

特に毒性はないようですが、香りの抽出の点では、クルマバソウだけ採ってきたほうがよいようです。

wikiによると、オククルマムグラにはクマリンが含まれないとありました。実際にオククルマムグラらしい草を摘んで乾燥させてみましたが、青臭い匂いしかしませんでした。

クルマバソウは輪状についている葉が6~10枚と多いのに対し

クルマムグラやオククルマムグラは、ほぼ6枚で固定されているので、葉の枚数を見れば区別できます。クルマムグラの葉の枚数が少なめだからか、太ましく丸みを帯びて見えます。

また花が咲く時期が少しずれているようで、5月から6月にクルマバソウが咲くのに対し、クルマムグラは入れ替わるように6月から7月に咲いている印象があります。

そして花の形状にも違いがあります。上から見ると白い小さな4弁花でまったく同じに見えます。しかし横から見ると、クルマバソウは漏斗状の立体的な花ですが、

クルマムグラは平べったく見えます。

ゲンノショウコ

非常に薬効がはっきりしているため、「現の証拠」と呼ばれるようになった野草。胃腸の不調によく効くとされます。

葉っぱの形は3つに咲けた逆T字型ですが、切れ込みが大きい場合もあり、トリカブトに似ていることがあります

7月から8月に紫の線が入った白い花をつけるので、その頃に採ると間違いません。

薬草ではあるものの、普通にお茶として飲むことができます。 乾燥させて茶葉にし、お湯を淹れて、しっかり味が出るまで放置してから飲むと、色がかなり黄色っぽくなり、薬草茶らしい味が出ておいしいです。

もともと人家の近くに生える草で、すぐ採ってきて使えることで有名なので、見かけるたびに摘んで常備しておくと便利です。

花が終わると、棒状の実がつき、バナナのようにめくれて弾けます。その様子からミコシグサという異名もあります。秋になると真っ赤に紅葉する様子も見られます。

[コウライテンナンショウ(マムシグサ)]

いまだ食べたことがなく、今後も食べないであろう植物ですが、見た目は面白くて好きなので、参考までに記載しておきます。

いかにも毒々しい茎や実、奇怪な花、そしてマムシグサという異名。どう考えても危険な有毒植物で実際そうなのですが、なぜかアイヌが食用にしていました。

同じくサトイモ科のコンニャクなどと同様に、シュウ酸カルシウムの針状結晶を根や実に含むため、そのまま食べようものなら激しい痛みに襲われます。

茎、葉、花、実、すべてがユニークなので、自生地では見つけるのは簡単です。わたしが普段歩いている場所にも相当数生えていて、春の芽出しから秋の実りまで、奇妙な姿を楽しませてくれます。

春の芽出しは5月上旬。下の写真のように、ササの芽のような鋭い棒状で地面から突き出してきます。緑色のものも、赤いものもありますが、いずれもマムシグサ特有のマムシの皮膚のような模様ですぐ判別できます。

しばらくすると、あたかもヘビが脱皮するかのように、茎の中から葉がぬるりと現れます。

5月末にはもう葉を展開させて、異称「ヘビのたいまつ」の由来となっている奇妙な形の花を咲かせます。根が痩せていると葉だけだったり、小さな雄花をつけたりします。根が十分肥えていれば大きい雌花をつけます。

 

雌花と雄花は花の大きさのほか、花の下のほうに出口があるかどうかで区別できます。雄花だと隙間が空いていて虫が脱出できますが、雌花は脱出口がないので、受粉させた虫は出られず死んでしまいます。

葉のつけ方も非常に独特で、いわゆる鳥足状複葉で、まるで中心の茎を取り巻く環のように葉をつけます。あまりいい写真がなかったので、ネット上の挿絵などのほうがわかりやすいかもしれません。

夏にはトウモロコシのような実をぎっしりつけ、一見美味しそうに見えますが…、

秋には毒々しいほど真っ赤に熟してよく目立ちます。シュウ酸カルシウムの針状結晶を実にも含むので、間違って食べると一週間は口が腫れて痛むそうです。

こんなに危険な植物ですが、アイヌは赤い実を腹痛の薬として利用していました。口に触れると針状結晶で痛むので噛まずに飲み込んでいたそうです。

また、やはり針状結晶を含む根っこを食用にしていたそうです。アイヌのごはん―自然の恵みによると、実が色づく頃になると、毒成分が塊茎の中心部に集まって黄変します。

蒸し焼きにすると、中心の黄色い部分は毒性が強く食べられないものの、周辺部は「くりとさつまいもを足したような味」のようで食べられるとされていました。挑戦する度胸はありません。(p91)

ちなみに名称の「テンナンショウ」は、この白い塊茎を天南星(カノープス)に例えたそうですが、緯度の関係から北海道では見えません。

ゴゼンタチバナ/[エゾゴゼンタチバナ]

山道沿いなどにたまに咲いているミズキ科の花。地面すれすれに咲く草花ですが、樹木のミズキやヤマボウシによく似た花を咲かせます。しわのある葉がよく目立ちます。

秋に赤い実をつけ、食べることもできますが、非常に酸っぱいです。

一方、高山地帯には、近縁種のエゾゴゼンタチバナという花が咲きます。葉っぱが十字対生になり、花の中央が黒い、気品のある姿です。

わたしの知り合いのおばあちゃんが子どものころ樺太に住んでいて、エゾゴゼンタチバナの実をよくおやつ代わりに食べたと話してくれました。「ヤマジンタン」と呼ばれていたそうです。熟すと甘くて美味しかったといいます。

残念ながら、エゾゴゼンタチバナは、日本では北海道の一部にしか自生しておらず、準絶滅危惧種に指定されているため、実を味見することはかないません。

自宅で育てている人や、海外の自生地近くに住んでいる人は、ヤマジンタンを味わってみてください。

サルナシ(コクワ)/マタタビ

ヒグマが大好きなことで知られるサルナシ(コクワ)の実。キウイフルーツの親戚でもあります。

わたしが住んでいる場所には、サルナシ、ミヤママタタビ、マタタビの3種類が自生していて、どれもよく似ているツル性樹木です。

このうち、サルナシとミヤママタタビは、よく似ていて利用しやすいですが、マタタビは実の形が違っていて、味も劣ります。

サルナシ、ミヤママタタビ、マタタビは、いずれもツル性の樹木で、秋に小型のキウイフルーツのような実をつけます。

大きさはミニトマトくらいですが、切ってみると中身はキウイです。

サルナシのつるが絡みついた木は、太いツルが地上から伸び、細かい枝が絡み合っているので、特に冬場に発見しやすいです。

人間では届かない高さの場所に実をならせていることもよくあります。近くの木を見ると、ヒグマがよじのぼった爪痕が見つかったりします。

同じような太いツル性樹木にはヤマブドウがありますが、ツルの色が違います。ヤマブドウはほぼ黒に見えますが、サルナシなどのツルは、下の写真のように薄い茶色です。

どちらもパリパリと樹皮が裂けてめくれますが、ヤマブドウのほうが激しいです。(ヤマブドウの項目参照)

幹の色合いはツルアジサイに似ていますが、サルナシは幹そのものがツルになって樹木に絡みつくのに対し、ツルアジサイは気根という根を出して樹木に付着しているので、近くで見れば違いは明らかです。(ツルアジサイの項目参照)

7月初頭に咲く花をたよりに、サルナシのつるを探すこともできます。ただし、雌雄異株なので、実は雌株(両性株)にしかつきません。花の中心部に雌しべがあるかどうか見れば、雄花か雌花(両性花)かは判別できます。

手の届く高さに実をならせてくれるサルナシやマタタビの木は貴重です。発見したら、場所を覚えておくといいでしょう。秋に取りに行く場合は、熊鈴などを対策を忘れずに。

サルナシ、マタタビ、ミヤママタタビはどれも似ていますが、葉の雰囲気が異なっていて、上の写真のようにくしゃくしゃと波打っているのはサルナシだけです。

ミヤママタタビは、冬芽も実の形もサルナシとよく似ていますが、下の写真のように、葉がところどころ白や紅になります。

マタタビもやはり葉が白くなりますが、上の写真のように紅が入るのはミヤママタタビだけのようです。全体を見て、白い葉があるもの、赤みを帯びた葉がない場合は、マタタビかもしれません。

冬芽の形も違っていて、サルナシとミヤママタタビは、下の写真のように、葉痕(葉のついていた痕)はありますが、芽は埋まって見えません(隠芽)。両者は冬芽では区別できませんが、ミヤママタタビのほうは枝が赤銅色なことで区別できます。

一方マタタビは、葉痕は同じですが、芽が見えています(半隠芽)。上下の写真を比較すれば、サルナシ・ミヤママタタビの隠芽と、マタタビの半隠芽の違いが一目瞭然です。

そして、サルナシとミヤママタタビは、前に挙げた写真のように丸みを帯びた太ましい実の形ですが、マタタビだけは、下の写真のように細長い傾向があります。

サルナシ、ミヤママタタビ、マタタビは、どれも実を食べることができますが、一番美味なのはコクワだとされています。ミヤママタタビも甘酸っぱくて美味ですが、マタタビはあまり美味しくないようです。

こうして比較すると分かるように、名前に反してミヤママタタビは、マタタビよりサルナシのほうに似ています。ネコもマタタビには反応しますが、ミヤママタタビには反応しないようです。

いずれも手でつまんでみて、柔らかければ食べごろで、生で食べることもできますし、ネット上のレシピを参考にジャムにしてもおいしいです。

サンカヨウ

雨に濡れると透明になる花として名高いサンカヨウ。森の奥深くに咲くので、未だに透明な状態は見たことがありません。

フキのような葉っぱに白い花が咲くため見分けやすく、一箇所に群生することもあります。

あまり知られていないのは、花が咲き終わった後の藍色の実が食用になること。そのまま生で食べることができます。

しかも味が甘くてかなり美味なので、山歩きをしながら、サンカヨウの群生を見つけたら、ひとつ実を頬張ってみると、いい思い出になります。

シャク

別名ヤマニンジン。早春、まだ畑の野菜がないころに萌え出てきて、ニンジンの葉っぱのような葉を青々と茂らせます。

あまり見向きもされませんが、河川敷や道端などに群生し、とても利用しやすい山菜です。他の野菜や山菜が不足する時期に自然のものを味わうにはぴったりです。

問題は、似ている毒草が存在すること。

1つ目はドクニンジンで、ソクラテスの処刑に用いられたとされるほど猛毒です。もともと日本にない外来種で、わたしは見かけたことがありませんが、近年、野生化して広がっているらしいので注意が必要です。

茎の下のほうに、「ソクラテスの血」と呼ばれる赤紫の斑点があることや、切ったときに悪臭がすることから区別できるそうです。

2つ目はフクジュソウ。早春に花が咲いている時は似ていませんが、花が終わった後の葉は少し似ています。下の写真は花が終わって実になったものです。

フクジュソウは日本には4種類ありますが、北海道に自生するフクジュソウとキタミフクジュソウは、いずれも茎が中実(中心に空洞がない)で無臭(嫌な匂いがあるという人もいる)です。

一方、シャクの茎は中空(中が空洞)で、揉むとセリ科らしい爽やかな香りがあります。

3つ目はムラサキケマンですが、エゾエンゴサクの項に書いたように見たことがありません。かなり葉が似ているという経験談があったので、気をつけたほうがよさそうです。

ただ、シャクは葉っぱの形以外にも見分けるポイントがあるので、それを押さえておけば大丈夫だと思います。

たとえば、外側の茎がさやのように内側の茎を抱みこんでいて、白い膜と毛に覆われています。

また、ヤマニンジンと言われるだけあって、根元の土を少しよけてみると、根っこがニンジンのように太いです。こちらのサイトに掘った後の写真もありました。 この根は食用にもなるそうです。

6月初頭くらいに似ているセリ科植物の中で真っ先に花を咲かせます。

小さな花の集合ですが、花びらの大きさが少しいびつで、外周部の花びらが大きくなります。迷う場合は、花の時期にしっかり特徴を確認しておいて、来年採ればいいと思います。

シャクの葉は、茹でて食べるとニンジンの葉と同じように、野菜として利用できます。茹でてから干せば乾燥保存もできるそうです。

シラカバ

説明の必要がないほど著名な白い樹皮の木シラカバ。

実はダケカンバやウダイカンバといった近縁種も複数あり、葉っぱの形や実の付き方で見分けられますが、ほとんど同じと考えて差し支えありません。

有名なシラカバも、複数の方法で「味わう」ことができます。

1つ目の利用方法は樹液。友人が自分の山を所有していて、シラカバ林もあったので挑戦してみました。

春の雪解けのころ(3月末あたり)に森に出かけ、シラカバの樹皮にリングオーガーで直径1cmくらいの穴を開けます。(穴を開ける際に木の保護のためにアルコール消毒をしたほうがいいという意見もあります)

そして、ホームセンターで買ってきたほぼ同サイズのホース連結器を差し込み、ホースをつないで、ポリタンクの中に入れます。

虫やゴミが入らないように、タンクの開口部をビニールなどで覆います。(上の写真ではタンク全体を覆っていますが、開口部を覆えたら十分です)

2日後くらいに見に行くと、樹液が溜まっています、最初のうちは少量です。

4月の上旬ごろ一週間だけ大量に樹液が採れる時期があるので、その頃は毎日見に行く必要があります。暖かくなってくると発酵が進むので、採取した樹液はすぐ冷蔵・冷凍保存するのが望ましいです。

全盛期は、1本の木から1晩で数リットルもの樹液が採れるので、個人で楽しむ目的なら、シラカバが1本あれば十分すぎるほどです。

樹液はほんのりと甘味がありますが、ほとんど水と変わらないので期待しすぎるとがっかりします。でも、コーヒーを淹れるときに使うと、なぜか甘みが引き立ち、苦くなくなります。

樹液を採取し終えたシラカバは、同じシラカバの枝などで穴に蓋をしておけば、しばらく経てば傷が癒えて固まっています。

2つ目の利用方法はシラカバ茶。

5月始め、新芽が出たら若葉を摘みます。低い枝があるシラカバ林を発見できれば、たくさん採取できます。

採取した若葉は、乾燥させれば茶葉として利用できます。お茶を入れてみると、少し苦味がありますが、嫌な苦さではなく爽やかな苦さです。単独で飲んでもいいですし、他のハーブとブレンドしてもよく合います。

調べてみると、様々なところでシラカバ茶が販売されていて、抗酸化作用や花粉症予防などの効果が謳われています。買うと高いですが、近所の森から採取できればとても手頃で美味しいお茶です。

タラノキ

山菜の王者とも言われるタラノキ。

5月半ばごろに出る新芽をもいで、天ぷらなどにして食べると、もっちりした食感と風味が抜群です。

コシアブラ、ハリギリ、タカノツメ、ウドなどと同じウコギ科で、いずれも食用になります。

森の中や林道脇などに若木が乱立していて、手の届く高さであれば、採取することができます。

若木はたいてい枝がなく、地面に刺さった一本の杖のような形をしています。見通しのいい冬にスノーシューで森歩きをすると発見しやすいので、場所を覚えておいて翌春に採りに行くことができます。

類似した見た目の木として、同じウコギ科のハリギリがあります。ハリギリも若木は枝がなく、杖のように一本立ちしていますが、タラノキよりトゲが鋭いことで区別できます。先端についている冬芽の形や色も異なります。

ハリギリの芽も同じように食べることができ、アク抜きすればタラノキの芽とほぼ変わりません。ハリギリのほうが数が多く、採る人もめったにいないため、たくさん味わいたいならタラノキよりハリギリ狙いがおすすめです。

ちなみに、同じように一本立ちして、先端から芽が出ているのに、トゲのない滑らかな肌の木を見つけることがあるかもしれません。

地域によっては同じウコギ科のコシアブラかもしれませんが、わたしの住んでいるところではまずオニグルミです。食用になると書いている人もいましたが、わたしは試したことがありません。

下の写真のように、オニグルミ特有の動物の顔のような葉痕があるので見分けは簡単です。

タラノキの芽を採取するときは、15cmくらいに伸びたものを根元からもぎ取ります。幹を折らないよう注意し、芽にもトゲがあるので手袋もつけておくといいです。

最初の芽をもぎ取っても、脇から二番芽が出てくるので、一度採取するだけなら、木が死んでしまうことはありません。しかし、誰か別の人が二番芽を採ってしまうとまずいので、できるだけ自分以外の人が採らない場所で採取すべきです。

タラノキの葉は樹木の葉としては珍しい2~3回羽状複葉で、小さな芽が巨大に枝分かれした葉に成長します。そして秋にはその葉がまるごとバッサリ落ちます。冬季にはほぼ杖のような姿になってしまうのはそのためです。

タラノキの芽ひとつひとつには相当なエネルギーが込められていることを忘れず、乱獲しないよう注意して、感謝して味わいたいと感じます。

チシマアザミ

トゲトゲの葉っぱのアザミは、意外にも、昔から各地で食用にされてきた歴史があります。

庭に雑草として生え、分厚い手袋なしでは抜けないトゲトゲのアザミは、外来種のセイヨウオニアザミ。

一方、北海道に自生するのは、もっとマイルドな柔らかいトゲの、チシマアザミ、エゾノキツネアザミ、エゾノサワアザミなどてす。道内には10種類以上アザミがありますが、どれも若芽を食べることができるそうです。

まだ他の山菜や野菜が少ない4月下旬、真っ先に芽を出すアザミは昔から貴重な食糧だったのでしょう。

素手で触れないこともありませんが、一応、手袋をして根元からハサミで切ります。

多少トゲがありますが、天ぷらにするか、5分くらい長めに茹でるかすれば、魚の小骨程度に気にならなくなります。2回食べてみましたが、天ぷらが無難で、一番美味しいと思います。

チシマザサ(ネマガリダケ)

北海道にはタケノコ(モウソウチク)はありませんが、代わりに美味なササノコがあります。

道内でタケノコと呼ばれるのは、チシマザサ(ネマガリダケ)という、やや高い山に生える種類のササの芽です。

道内のありとあらゆる場所に生えているササは、クマイザサという種類で、残念ながらチシマザサの芽ほど味わい深くありません。

クマイザサの芽(笹竹)なら、どこにでも無限に出るので、食べ放題なのですが、試してみたら細くて筋っぽく、あまり美味しくありませんでした。とはいえ、食用にできないほど不味いわけでもありません。

 

また、クマイザサでも、若葉を乾燥させてササの葉茶にするなど、利用方法はあります。

一方、チシマザサ(ネマガリダケ)は、もう少し標高の高い場所に生えます。

クマイザサの背丈がせいぜい人の高さくらいなのに対し、チシマザサは余裕で2mを超え、茎も太くなります。

クマイザサが下のほうから分岐するのに対し、チシマザサは上のほうでしか分岐せず、別名ネマガリダケの名のとおり根元が曲がってしなるので、より多雪地域に適応した種だと言われます。

チシマザサの群生地に行くと、6月初頭ごろから、クマイザサの芽の何倍も太い芽がにょっきりと生えています。これを根元から折り取って採取します。

チシマザサの群生地は、ヒグマの生息域と重なっている上、ササやぶの背が高すぎて、むやみに入ると遭難の危険があります。必ずヒグマ対策をして、複数人で位置を確認しながら採取すべきです。

採取したタケノコはすぐ劣化するので、現地で採ってすぐ焚き火であぶって食べるのが極上だそうです。

それはなかなか難しいので、できるだけ早く皮を剥いて、茹でて下処理します。タケノコごはんにしても、天ぷらにしてもおいしいです。

アイヌのごはん―自然の恵みによると、数年に一度採取できるるチシマザサの実も混ぜご飯などに利用されるそうです。わたしはまだ見つけたことがありません。(p89)

チョウセンゴミシ

夏には白い小さな花を咲かせ、秋には真っ赤な実をならせるツル植物。自生しているツル植物の種類は多くないので、見分けるのは難しくありません。

8月ごろに実がなり始めますが、真っ赤に熟するのは9月末から10月ごろの秋です。キノコ狩りをしていると、真っ赤な実がひときわ目を引きます。

この時期には、マムシグサ(コウライテンナンショウ)のような毒草も真っ赤な実をつけますが、ツル性ではなく、地面から伸びて穂のような実をつけるので全然違います。

ほかには、ナナカマド、ニワトコ、ミヤマガマズミなど、いくつかの樹木の実も真っ赤ですが、いずれもツル性ではありません。わたしの住んでいるところでは、ツル植物で真っ赤な実をつけるのは、チョウセンゴミシだけです。

チョウセンゴミシの実は、下の写真のように大きさにばらつきがあることが多いです。(左がチョウセンゴミシ、右は折れて下を向いた有毒植物のマムシグサ)

チョウセンゴミシはそのまま生でも食べることができます。

「五味子」の名は、採取時期や場所によって味にばらつきがあることからきているようですが、わたしはいつ食べても、アスコルビン酸をなめているかのように酸っぱいことしかわかりません。

漢方の生薬としても使われていて、慢性疲労症候群の人にも時おり処方される人参養栄湯に含まれているなど、わたしも過去に知らず知らずお世話になっていた時期があるようです。

お茶やお酒にすることもでき、わたしはもっぱら乾燥させて五味子茶として利用しています。ほのかに赤みを帯びたお茶はいかにもビタミンCが豊富そうな酸っぱさで、疲労回復に役立ちます。詳しくはアイヌ民族博物館の資料も参照。

ツルアジサイ/イワガラミ

森歩きを始めて驚いたのは、カラマツなどの樹木に太いツルが巻き付いて、アジサイの花が咲いていることでした。

その名もツルアジサイといい、ガクアジサイに似た花を咲かせます。

普通のアジサイの葉は有毒ですが、ツルアジサイの場合は若芽や若葉を摘んで食べることができます。5月初頭ごろ、新緑の時期に生え出てくるので、すぐ見つかります。

特にこれといって美味しくもまずくもありませんが、他の山菜のついでに採取して、バリエーションを増やすことができます。

ツルアジサイは、ツルから気根を出して幹に貼りつくタイプのツル性樹木です。ツルをよく見れば、根っこのようなもので幹に付着しています。

非常によく似たイワガラミは、萼片(花びらのような部分)が4弁ではなく1弁しかないことで区別できます。それ以外はツルアジサイとほぼ同じなので、若葉も同様に食べられます。

同じく気根で樹木に貼りつくツル性樹木としてはツタウルシがあり、触れるとかぶれるので危険です。

しかし、ツルアジサイは対生の丸みのある葉が2枚向き合って出てくるのに対し、ツタウルシは3枚セットの葉が互い違いにつきます。

わたしはツタウルシの新芽を見たことがありませんか、ネットで見る限り色も形も違うので間違わないと思います。

ほかに、ツル性樹木には、サルナシ、マタタビ、ミヤママタタビ、ヤマブドウなどがありますが、気根はないのですぐ見分けられます。

ツルニンジン(トドク)

真夏の8月ごろに、釣り鐘形の美しい花をたくさんぶら下げて咲かせるツル植物、ツルニンジン。

花の形からもわかるようにキキョウ科ですが、根っこがチョウセンニンジンに似ていて食用にされることが名前の由来です。

花が終わった後には、これまた面白い五角形の実をならせます。花や実の時期に探せば、見つけるのが楽です。

ツルニンジンは花の中の斑点をそばかすに見立てて、爺さんのそばかす「ジイソブ」との別名がありますが、近縁種に小型の婆さんのそばかす「バアソブ」ことヒメツルニンジンがあります。

見た目で区別するのは困難ですが、実ができていれば、内部の種の形が全然違うので、見分けられるようになるそうです。

ツルニンジンは韓国ではトドクと呼ばれ、おもに根が高級食材として親しまれているそうです。ドラマの「チャングムの誓い」にも登場したとありました。

若芽も山菜として食されるとあったので、5月にツルニンジンの芽を見つけたときに試してみました。

花がなくてもツル植物であることと、4枚セットの葉があることから見分けられます。茎を切ると白い乳液が出てきて悪臭がしますが、成分としては体にいいそうです。

若芽は茹でてお浸しにしてみましたが、採ったのが少量すぎたので、こんなに少なくなってしまいました。

味も食感も普通の野菜っぽく、味付けをしないで食べると青臭く、美味しいものには思えませんでした。やはりツルニンジンは葉ではなく根を食べてこそなのかもしれません。

残念ながら、ツルニンジンは自生している数があまり多くなく、根を掘り返して食べる気にはなれません。食べたければ本場の韓国の栽培品を購入しかなさそうです。

トクサ/スギナ

じめじめした場所なら、どこにでも生えているシダ植物。

棒そのものな見た目が印象的で、太古の昔の石炭紀に反映したロボクのような巨大シダ植物の仲間です。わたしたちが使っている石炭はトクサの仲間のシダ植物の成れの果てです。

原生のシダ植物としては、トクサ科トクサ属のスギナ(ツクシ)が近いです。

アイヌ植物誌によると、表面がザラザラしているので、アイヌ民族は「シプシプ」と呼んでヤスリや歯ブラシとして使ったとされています。

それ以上の使いみちはないと思っていたら、オリヴァー・サックスのオアハカ日誌を読んでいたとき、「血液の病気の治療や利尿薬として使われる乾燥したトクサ」に触れてあって、興味が湧きました。(p50)

調べてみると、乾燥させたものは木賊と呼ばれて薬用にされ、目の疾患に用いられるほか、利尿作用、収斂作用などの効能がありるらしく、サックスの記述と一致しています。

トクサをお茶として飲んだ人もいるようだったので、わたしも試してみましたが、特に味わいは感じませんでした。冬に採ったので、6月ごろの新芽のほうがよかったかもしれません。

スギナと近縁なので、スギナ茶と同じような効果があるのかもしれません。

ニリンソウ

春一番に咲くのはエゾエンゴサクやアズマイチゲなどのスプリング・エフェメラルですが、それらより少し遅れて咲き始め、森に華やかさを増し加えてくれるのがニリンソウ。

イチリンソウとサンリンソウもありますが、名前のとおりの花の数になるわけではなく、ばらつきがあります。

イチリンソウは北海道に自生せず、サンリンソウは自生するとはいえ多くありません。ニリンソウは葉っぱに柄がありませんが、サンリンソウは葉っぱに柄があることで区別できます。

 毒の多いキンポウゲ科の中では、優秀な山菜のひとつで、樺太では「フクベラ」と呼ばれて、汁の実など普段の食事に利用されていたそうです。

癖がなく美味な野草ですが、唯一にして最大の問題は、葉っぱが猛毒のトリカブトに酷似していることです。 次の写真は花があるので確実にニリンソウですが、

下の写真はトリカブトだと思いました。とはいえ、トリカブトの葉はバリエーションが多いので、葉っぱだけで確実に見分けることはわたしはできません。

しかし花が咲いてしまえば、明らかに区別できるので、ニリンソウを山菜として気軽に利用できるようになります。

ニリンソウは5月に白い花をつけますが、トリカブトはずっと成長してから、8月から9月ごろにやっと下のような花を咲かせるので、間違いようがありません。

トリカブトの親戚のエゾレイジンソウという植物も葉っぱが多少似ています。6月初頭にクリーム色の花を咲かせますが、やはり花の形は全然違うので、花で見分ければ問題ありません。

ニリンソウを採取するときは、白い花を確認して、白い花がしっかりつながっている葉っぱだけを採るようにすれば大丈夫です。

また、ニリンソウと同じ時期に、同じキンポウゲ科の、アズマイチゲ、ヒメイチゲ、エゾイチゲ(ヒロハノヒメイチゲ)などの白い花が咲きます。

それらにはおそらく軽い毒がありますが、ニリンソウとは葉の形が全然違うので、区別することができます。

文章で書くと、やたらと毒のある植物との区別が必要な危険な花であるかに思えますが、実物を観察すれば、決して見分けにくい野草ではありません。

お浸しや天ぷらなど、どんな料理でも美味しいです。 ニリンソウは大量に群生して親しみ深い上、まれに緑色のミドリニリンソウが咲くので、見て美しく、探して楽しく、食べて美味しい野草です。

ハリエンジュ(ニセアカシア)

ハリエンジュは北アメリカ原産のマメ科の樹木ですが、街路樹や砂防目的で植えられた結果、野生化して増え広がりました。

わたしが住んでいる場所では、さすがに森の中には生えていませんが、公園をはじめ、道路沿い、植林された林などでしばしば見かけます。

名前は、同じマメ科のエンジュやイヌエンジュに似ていて、枝に鋭いハリ(とげ)があることに由来します。

別名ニセアカシアは、アカシアに似ているという意味の学名から来ています。 6月半ばごろ、美しい白い房状の花をたくさんつけるので、よく目立ちます。

花以外には毒があるとも言われますが、「どの植物種にもあり得る性質を強調しているだけ」との説もあります。

ハリエンジュの花は、天ぷら、汁の実、おひたし、ホワイトリカー漬け、シロップなど、さまざまな食べ方ができます。わたしの場合はシロップを作りました。

収穫する時は、花の房ごとちぎります。それを水で洗ってから、茎の部分を手で持って、下に指をずらすようにすれば、花だけを簡単にしごき取ることができます。花を取った茎はコンポストへ。

花を摘んで下処理していると、まるでジャスミンのような強い香りが漂いはじめます。かなり個性の強い香りです。

シロップの作り方は、らニセアカシアのコーディアル作っている方がいたので、それを参考にできます。

最初、水に花を入れて煮込んでみたら、香りがぜんぶ飛んでしまって無味無臭に近くなってしまいました。

そうではなく、先にお湯を沸騰させておいて、そこにハリエンジュの花を入れて2晩ほど置くと、色がほんのりと赤みがかって、香りもしっかり抽出されました。

シロップの香りや味は、意外にも桃のようにフルーティーでした。炭酸で割るなどして飲むと、非常に良い香りがして美味です。

作ってすぐの段階では青臭さがありましたが、冷蔵庫で一晩置くと、青臭さが消えて飲みやすくなりました。

ハリギリ

タラノキ、コシアブラ、ウドと同じウコギ科の山菜。「タラノキ」の項でも解説しています。

タラノキは成長しても高さ4mほど、ウドはそもそも木ではなく毎年枯れる草ですが、ハリギリは高さ10~20mにもなる大型の樹木です。

しかし、若木の段階ではタラノキとよく似ていて、森の中に地面に刺さったステッキのように生えています。てっぺんに手が届く高さであれば、タラノキと同様に芽を採取できます。

タラノキよりトゲが鋭いですが、トゲとトゲの間に隙間があるので指で幹をつかみやすく、てっぺんの芽そのものにはトゲがないので、採取も楽です。

採取する際は、手で芽をつかんで、ひねりとるようにしてもぎ取ります。タラノキと同様、採るのが一回だけなら、二番芽が出てくるので木が死ぬことはありません。

大型の木に成長して種子をばらまくからか、タラノキよりも若木がずっと多いように感じます。脇芽もかなり出やすいので、てっぺんに手が届かない場合でも、脇芽を採取して食べることが可能です。 下の写真は左がハリギリ、右がタラノキです。

タラノキは他の山菜採りの人にも狙われやすいですが、ハリギリはノーマークのことが多いので、好きなだけ採れることが多いです。本数も多いので、少々時期がずれても採り頃の芽を探しやすい利点もあります。

少しアクが強いですが、しっかりアク抜きすれば、タラの芽とほぼ変わらない食感や風味を楽しめます。

あらかじめ重曹を入れたお湯で茹で、水にさらせばアク抜きができます。天ぷらほか、ホイル焼き、バター炒めなど、さまざまな料理に使えます。

ハリギリは成長すると大木になり、巨大なカエデのような形の葉をつけます。しかしカエデの仲間は対生なのに対し、ハリギリは互生なので区別できます。秋には黄葉が美しいです。

ハンゴンソウ

北海道では、夏にオオハンゴンソウというキク科の外来種がいたるところで咲きますが、それとは別にハンゴンソウという在来種があります。どちらもキク科ですが、花はあまり似ていません。

オオハンゴンソウが黄色いルドベキアなのに対し、ハンゴンソウはキオンやの仲間で、アキノキリンソウに似た黄色い小さな花をたくさん咲かせます。

ハンゴンソウは写真のように、葉っぱの先が手のように分かれていて、この形を死者の魂を呼び寄せる手招きにたとえて、反魂草の名がつけられたという説があります。真偽はともかく、覚えるのにわかりやすいです。

花の時期に群生地を覚えておき、翌春に採りに行きます。若芽のころに山菜として食べることができますが、やはりこの葉の形が見分けるのに役立ちます。

5月上旬には、地面から赤い茎が伸びていますが、小さな葉の先がすでに分かれています。

20~30cm程度の大きさの芽を根元から折り取って採取しますが、アクが非常に強いので、手袋をはめ、他の山菜とは別の袋に入れるようにします。

重曹をまぶしてから、茹でて水にさらし、一晩置いてアク抜きし、茎の皮を剥いて調理します。しかし、天ぷらにする場合は、そのままでも大丈夫なようです。

わたしの場合は、一応アク抜きしてからまるごと揚げました。天ぷらにすると苦味が和らいで、意外なほど美味しいです。ウドに似たような風味があり、茎も筋がなくカリッとした歯ごたえがあります。

ヒトリシズカ

5月下旬に、森の中で可憐な白い花を咲かせるヒトリシズカ。花弁のない雄しべだけの花ですが、十字形の光沢の葉っぱも相まって、他の花にはない清々しい雰囲気があります。

アイヌ植物誌、およびアイヌ生活文化再現マニュアル 食べもの【春から夏へ】によると、アイヌ民族はヒトリシズカを「イネハム」と呼び、葉っぱをお茶として利用していました。(p54)

ヒトリシズカは花の時期に目立ちますが、花が終わって実をつけた後、7~8月ごろに、もっと大きくなった葉を採取します。植物は子孫を残すことができ、人間は大きな茶葉が手に入るので一石二鳥です。

ヒトリシズカの葉を干して乾燥させてお茶にすると、漢方薬のような苦味になります。

冷やして飲むほうが苦味が和らぐとありますが、わたしにとってはこの苦味が極上です。冬のあいだ、ひたすら温かいヒトリシズカ茶を飲んでいました。

人によって好みが分かれるとは思いますが、好きな人はめっぽう好きな味でリピーターになると思います。

ホオノキ/コブシ

ヒトリシズカに続いて、これもアイヌ民族がお茶にしていたことで知られている植物。

ホオノキは背の高い樹木ですが、高い場所に赤い実がなり、その殻を乾燥させてお茶にします。

6月上旬に巨大な白い花を咲かせますが、高い位置に咲かせるので、意識して探さないと、見逃してしまうかもしれません。

この花の中央部が熟して赤い実になり、10月ごろに採取できます。高い場所に実がなることが多いため、高枝切りバサミなどがないと採取は困難です。

内部にたくさん実が詰まっていますが、人間が食べることはできません。

アイヌ民族は、地面に落ちて、動物たちが実を食べた後のホオノキの殻を利用しました。 高枝切りバサミがなくても、この方法に倣うこともできますが、落ちた後で、比較的保存状態のよいホオノキの実を見つけるのはなかなか難しいです。

ホオノキの実を運良く採取できたら、しっかり乾燥させ、その後アイヌ民族博物館の資料のように、殻ごと煮出してお茶にします。

内部に赤い実が詰まっていますが、殻だけでも十分香りが抽出できます。わたしは乾燥させた殻をバラバラに分解して、ビンに入れて保存しました。

お茶を飲みたいときに、少量の殻のかけらにお湯を注ぐと、不思議なエキゾチックな香りが漂います。日本のものとは思えない異国情緒のあるスパイシーな香りです。

味はほとんどありませんが、この香りが一級品で、何度も飲みたくなるすばらしいお茶です。

ホオノキの樹皮は「厚朴」と呼ばれ、わたしも自立神経失調症に伴いがちな のどの違和感(梅核気)があったころに、半夏厚朴湯を処方されたことがありました。

ちなみに、ホオノキはモクレン科モクレン属で、モクレンやコブシの近縁種です。北海道にはコブシも自生していて、コブシの花芽をお茶にすると、ホオノキのお茶の香りによく似ています。

コブシは、枝を折っただけでも、独特のスパイシーな香りがします。アイヌはコブシの樹皮も煎じて飲んだそうですが、試してみると、香りはすばらしいものの、味が苦すぎて飲めませんでした。樹皮は有毒とする記述もあります。

その点、花芽を使えば、すばらしい香りはそのままに、味は苦くなく、ホオノキの実に匹敵するお茶を淹れることができます。下の写真のふさふさしたのがコブシの花芽です。

冬芽なので冬じゅうずっとついていますが、春になると膨らんで咲きます。わたしは、咲く直前くらいのものを数個手に入れて、ハーブティーにしました。

しかし、コブシの場合もホオノキと同じ問題がつきまといます。花を咲かせるのは通常かなり高い枝なので、採取が容易ではありません。

森ではなく、個人宅の庭に生えているようなコブシがあれば、背が高くならないので、花芽を採るのも楽です。

コブシはホオノキの小型版のような実をつけますが、同じように利用できるのかは不明。情報がないことからすると、樹皮と同じように苦くなってしまうのかもしれません。

マユミ/コマユミ/ニシキギ/ツリバナ

いずれもニシキギ科ニシキギ属に属する落葉低木。道北には、マユミ、コマユミ、ニシキギ、ツリバナが自生または植栽されています。

花は総じて地味で、マユミ、コマユミ、ニシキギは4弁の黄緑色です。

ツリバナのみ唯一5弁で、ほんのり赤みを帯びた可愛らしい花で、和菓子のようにも見えます。

そのせいか、ツリバナのみ花に着目した名付けで、マユミは木の材質、ニシキギは紅葉の美しさに着目した名付けです。

どの種類も、花よりも色とりどりの殻をつけた実のほうが印象的。マユミはピンク。

コマユミ、ニシキギは赤。

ツリバナは赤。しかし、いずれも内部の仮種皮に毒があるので食用にできません。

改訂新版 北海道山菜図鑑 (ALICE Field Library)によれば、マユミの若葉は「コクのある味は木の芽の中で最高とする人もいるほど。とくに菜飯は、ウコギご飯と双璧ともいわれる」とまで絶賛されています。(p190)

5月半ばごろ、マユミだと思っていた低木の芽が出てきたので、ご飯に混ぜて食べてみました。

しかし、特に香り高くもなく、ただの菜飯になってしまいました。

あとになって気づきましたが、採取したのはマユミではなくコマユミでした。

すぐ隣にマユミがありましたが、実がない時期の違いは葉っぱの大きさ(マユミは10cm、コマユミは5cm程度)だけで、特に芽出しの時点では区別しにくく、混同してしまいました。

どの種類も若葉は食べられるようですが、マユミだったら、コクのある味だったのかどうかは不明です。来年覚えていたら試してみたいです。

ニシキギ科の木々は、どれも冬芽が対生で個性的なため、冬にスノーシューで歩きまわって冬芽を観察していると発見しやすいです。特にツリバナは森によく自生していて、ドリルのような鋭い冬芽で唯一無二です。

同じニシキギ科ながら属の違うツルウメモドキは、花や実の性質こそ似ていますがツル性樹木です。実の殻の色はオレンジ色。ネットで調べてみると、食用になるという記述もありましたが、他のニシキギ科のような毒が無いのかは不明でした。

ミツバ

5月半ばごろから、森の地面をはじめ、湿り気のある場所でよく見かけるようになりミツバ。ミツバゼリとも呼ばれ、セリ科なので、摘んだときに爽やかなセリの香りがします。

3枚の葉が三角形につく3枚セットの葉(三出複葉)で、それぞれの小葉はさらに細かく裂けて切れ込みが入ることもあります。特に下の写真のように、真ん中の小葉に細長い柄があって間延びしているように見えます。

6月末には花を咲かせますが、食べようと思えば、まだまだ柔らかい葉を選んで採取することは可能です。

かなり長い期間、食用にできるので、森を散歩するついでに何枚か採ってきて、その日のおかずに添えるといった使い方ができます。

卵とじなどの料理に使うのも、香りが引き立って美味しいです。

注意点として、同じセリ科のウマノミツバと少し似ているように見えることがあります。

ウマノミツバは、毒はありませんが不味いと言われています。人間が食べるものではない、という意味で「ウマノ」がついています。

ウマノミツバも名前どおり3つに分かれますが、裂け目が多くて手のひら状になっていることが多いです。ミツバも時々、裂け目が多い葉があり、下の写真のように近くに生えていると、いささか似ています。(左がウマノミツバ、右がミツバ)

しかしウマノミツバは、葉の質感が硬そうに見えますし、摘んだときに茎を匂ってみるとミツバ特有の爽やかな匂いがしないので、そうそう間違うものではありません。

また、先ほど書いたように、ミツバは3枚セットの真ん中の葉に細長い柄があるように見えますが、ウマノミツバの場合はそのような特徴がないので、慣れれば簡単に見分けがつきます。

[ヤブマメ(ツチマメ)]

地上部と地中の両方にマメをつける不思議な植物。

アイヌ民族は地中のマメを「アハ」と呼んで、炊き込みご飯などに利用していました。アイヌ生活文化再現マニュアル 食べもの【春から夏へ】に詳しいです。(p22)

ツル性の一年草で、3枚セットの葉をつけていることから見分けられます。近所の道路脇に生えていましたが、誰も気づかないほど地味です。

発見したのは9月下旬でしたが、よくよく見てみると地上部がにマメがなり始めていました。しかし、かなりの小型で、食用にはなりません。

食べるのは地中にできるほうのマメで、直径1cmくらいの球体がたくさん埋まっているそうです。秋か春に地面を掘り返して収穫します。

わたしが見つけた場所はうっそうとしていて、ヤブマメのツルがどこの地面につながっているのか判別するのが難しく、堆積物も多かったので、掘るのを断念しました。別の場所でヤブマメを見つけることがあれば再チャレンジしたいです。

ヤマグワ

クワの実はマルベリーとも呼ばれ、生で食べるほか、ジャム、シロップなどさまざまな用途に使われています。また若葉をお茶にして、桑の葉茶を淹れることもできます。

5月に葉が出ると同時に花が咲きますが、目立たない花のため、いつもすっかり忘れていて、見逃してしまいます。

ヤマグワは雌雄異株なので、実がなるのは雌株だけです。実がなるのは7月下旬の真夏です。背丈が低めなので、手の届く高さに実がなる木も多いです。

実をたくさん摘めば、ジャム、シロップ、果実酒などにできるようですが、つぶれやすいので持ち帰るには周到な準備が必要です。虫の多い暑い時期に集めるのは大変なので、わたしは歩きながらつまみ食いしかしていません。

実のない時期の葉はハート型に近く、シナノキやオオバボダイジュと紛らわしいです。

冬はジグザグの枝にタケノコのような見た目の小さな冬芽をつけるので、慣れると見分けやすくなります。

ハルニレに似ていますが、ハルニレの冬芽は、葉痕に維管束痕の穴が3つあり、顔のように見えるので区別できます。(下は一枚目がヤマグワ、二枚目がハルニレの冬芽)

ヤマブキショウマ/[トリアシショウマ]

6月に細い糸のような花穂をつけ、森の景色に爽やかさを添えてくれるヤマブキショウマ。

北海道には〇〇ショウマという似た植物がたくさん自生していて、最初のうちはややこしく感じられます。

具体的には、ヤマブキショウマ(バラ科)、トリアシショウマ(ユキノシタ科)、サラシナショウマ(キンポウゲ科)、ルイヨウショウマ(キンポウゲ科)の4種があり、どれも芽出しの時期が似ていて、穂のような白い花をつけます。

しかし、どれも科が全然違いますし、花を咲かせる時期もバラバラです。成長してしまえば、花や葉の形もかなり違うので、見分けるのは簡単です。

4種類の〇〇ショウマのうち、山菜として利用されるのはヤマブキショウマとトリアシショウマの芽です。

しかし、わたしが住んでいる地域ではトリアシショウマは見たことがないので、ヤマブキショウマについてだけ書きます。

ヤマブキショウマは渓流沿いの水辺に多く、ときどき畑の用水路などにも生えています。 名前の由来は、葉の形が同じバラ科のヤマブキに似ていることで、先が尖って葉脈がはっきり並行しています。

葉は、2回3出複葉(茎が3つに分岐し、その先に3枚セットの葉がそれぞれつく)だとされます。しかし下の写真のように、3枚ではなく5枚や7枚セットの葉もしばしば見かけます。

調べてみたら、5枚セットにもなりうるという記述があり、広義のヤマブキショウマ属の説明にある2~3回羽状複葉という表現には当てはまります。

山菜としては、5月初頭、芽を出してすぐに採取します。しかしかなり見つけにくいので、あらかじめ花が咲いているときに群生地を覚えておき、春に見に行くのがいいでしょう。

下の写真のように、群生地にすでに開いている葉もあれば、判別の参考になります。

採取するときは、葉が開きかけか、まだ開いていないもの芽を採ります。

・葉がほぼ2回3出複葉(3つに分岐している)
・葉脈がはっきりしていてヤマブキの葉に似ている
・複葉が互生(茎が互い違いに出ている)
・茎は緑色でほぼ毛がない

などを確認できれば大丈夫でしょう。下の写真では、茎が緑色で毛がなく、葉の茎が互い違いに分岐しているのがわかります。

葉が開いておらず、茎も伸びていない芽は、まるでタラノキの芽のようにも見えます。一部地域では「イワダラ」と呼ばれているそうですが、この見た目に由来するのかなと思いました。

ネットで調理の仕方を調べてみたら、アクが強いので、さっと茹でてから一晩水にさらすとよい、と書かれていました。食感が重要な山菜なので、茹ですぎず水にさらすと良いようです。

わたしは茹でた後、切れ込みを入れ、約1日水に漬けてから刻んで、胡麻和えにして食べてみました。

すると、苦味はまったなく、クニャクニャ、シコシコなどと表現される弾力性のある噛みごたえがとてもユニークで、かなり美味な山菜でした。

後日、天ぷらでも食べてみましたが、ユニークな食感がなくなってしまいました。山菜はどれも天ぷらが合うものですが、ヤマブキショウマだけは天ぷら以外の調理方法がおすすめです。

注意点として、キンポウゲ科のルイヨウショウマが、ヤマブキショウマとほぼ同じ時期に芽を出します。おそらくキンポウゲ科ということで多少の毒があるかもしれません。芽の形も少し似ていました。

しかし、写真からわかるとおり、茎の色や、葉の形などは全然違うため、前述の項目をしっかり確かめれば間違わないと思います。

ヤマブキショウマと同じく山菜として食されるユキノシタ科トリアシショウマは見たことがありませんが、調べたところでは、

・茎が褐色で赤みを帯びている
・茎に毛が多数生えている
・葉が3回3出複葉
・葉は楕円形でギザギザがある(画像検索)

といった特徴があり、ヤマブキショウマやルイヨウショウマとの区別は難しくないでしょう。

ヤマブドウ

さまざまな樹木に太い黒いツルを巻きつけているツル性樹木。10月ごろ熟した実を食べることができます。(写真は12月まで残ったままだった実)

太く黒いツルが目印で、冬にスノーシューで森を歩いていると見つけやすいです。パリパリと剥がれた樹皮は、編みかご作りなどに利用されます。

幹の色や剥がれ方だけでも、他のツル性樹木との区別は簡単ですが、巻きひげを出して絡みつくという特徴も見分けるポイントになります。

5~6月ごろ、若い葉や若いツルを採取できれば、食用になるそうですが、試したことはありません。秋に森の中でたまたまブドウがなっているのを見つけたら食べてみる程度です。

ユキザサ

山菜アズキナの名で広く親しまれているユキザサ。茹でると小豆のような香りがして、ほのかに甘味があることで人気がありますが、見分けられるようになるまで、時間がかかりました。

オオアマドコロの項で書きましたが、同じユリ科に容姿が似た近縁種が多く、ユキザサ、オオアマドコロ、ナルコユリ、オオバタケシマランなどは、葉っぱが酷似しています。

そして一番の問題は、イヌサフラン科の毒草ホウチャクソウが、芽や葉の見た目が酷似しているということです。

花が咲いていれば違いは明らかで、ユキザサは葉の上側に白い雪のような小さな花を咲かせ、赤く熟する実を多数つけるのに対し、

ホウチャクソウは、葉の下側に、お寺の宝鐸のような形の花をぶら下げ、徐々に熟して群青色の実になります。

ですが、写真からもわかるように、どちらもササのような葉がよく似ていて、花をつけない個体だと見分けが困難です。

他の山菜と同じように、花が咲いている時期に群生地を覚えておいて、翌春見に行く方法が有効ですが、どちらも森の中に生えることが多いため、混生している場合もあります。

それで、ユキザサの自生地なら安心、というわけにもいかず、採取するときに違いを確かめる必要があります。幸い、慣れれば見分けは難しくありません。

ユキザサの芽は、わたしが住んでいる地域だと5月上旬に生えてきます。ホウチャクソウは芽出しが2週間程度遅い印象があり、区別する手がかりになります。

一箇所に群生することが多く、下の写真のように、葉が開きかけ程度のものまでが旬です。

一方、下の写真はホウチャクソウの芽です。上に載せたユキザサの芽と比較すると、確かに雰囲気が似ています。

ユキザサは茎が分岐しないのに対し、ホウチャクソウは茎が分岐し、枝分かれすることが多いという違いもあります。しかし、若芽では枝分かれしていないこともあるので、確実に見分ける手がかりにはなりません。

ホウチャクソウは摘んだとき悪臭がするとの記述もありますが、試してみてもよくわからなかったので、これも確実ではありません。

採ったのがたまたま花芽であれば、内部に花芽があるため、区別は簡単です。ユキザサの場合は、下の写真のような花芽で

ホウチャクソウは次の写真のような花芽です。

しかし、全部の株が花芽をつけるわけではありませんじ、群生地の保護という点では花を咲かせない株を採ったほうがいい(多少葉が開いていれば、花芽があるかどうか見える)ので、以下の3つの手がかりから見分けるほうがいいと思います。

1つ目のポイントは、オオアマドコロの項でも書いたように、山菜として食べることができるオオアマドコロやユキザサは、どちらも根が横に走るという点です。ホウチャクソウの根は横に伸びません。

それで、根元を軽く掘ってみて、横走する根が見つかれば、食べても大丈夫です。

2つ目のポイントは、ユキザサは全体に粗毛があるのに対し、ホウチャクソウは無毛だという点です。

下の写真のように、ルーペで見ると、茎にも葉裏にも、細かいうぶ毛があります。肉眼でもわかりますが、拡大鏡を使うほうが確実です。

ただし、茎に毛があっても、下の写真のようにまばらな毛の場合は、オオバタケシマランです。毒はないようですが、食用になるという話は見つかりませんでした。

3つ目の特徴は、茎を指で触ってみると、ユキザサの茎は丸い円柱形なのに対し、ホウチャクソウは多少角ばっていて稜角があるという点です。

茎に毛がなく、角ばっている場合は、毒草ホウチャクソウの可能性がありますが、山菜として食べられるオオアマドコロもそうなので、さらなる違いを調べる必要が出てきます。詳しくはオオアマドコロの項にて。

以上の3つのポイントを確かめれば、ユキザサだとわかります。慣れてきたら必ずしも根っこまで見る必要はなく、全体に粗毛があることを確認すれば十分だと思います。

最初のうちは見分けにくい山菜ですが、目が慣れてきたら、今まで気づいていなかった場所にも、かなりたくさんのユキザサの芽が生えていることに気づくようになりました。お浸し、サラダ、天ぷらなど、さまざまな料理に合います。

ヨブスマソウ(ボウナ)

ヨブスマソウは、夏には2mから3mになり、ユニークな三角形の葉をつけるので、とても覚えやすい植物です。

ヨブスマとは、夜衾(よぶすま。夜寝るときの布団)のことで、コウモリの羽に例えているそうです。

森の中、河川敷、道路脇など、わりとどこにでも生えている植物で、夏のうちに、たくさん生えている群生地を見つけておくと便利です。

同じキク科コウモリソウ属の近縁種がかなり多い植物で、イヌドウナをはじめ、ほとんど食べることができるようです。

おもに葉の形で見分けられ、わたしの住んでいる場所では大半が三角形の葉のヨブスマソウです。

山菜としては、5月上旬ごろに出てくる芽を採ります。

芽の段階では、葉っぱが折りたたまれていまず、ちょうど紙飛行機のような形になっているだけで、広げてみれば三角形です。

茎の内部は空洞になっていて、棒状に成長することからボウナ、折ったときにポンと音がするからボンナといった地方名がいろいろあるようです。

茎が赤いものもありますが、同じヨブスマソウです。改訂新版 北海道山菜図鑑 (ALICE Field Library)には、「茎の色と苦味との関係は不明」とありました。

見た目がよく似ていても、茎に毛が密生しているようなものはヨブスマソウではありません。

下の写真は、おそらく近縁種のタマブキと思います。食べることは可能なようですが、たぶんヨブスマソウのほうが美味しいです。

ヨブスマソウは主に茎を食べ、ウドとフキの中間のような味から、ウドブキとも呼ばれます。ウドの野性味あふれる味がきつい人にはちょうどいい山菜かもしれません。

茎をおひたし、あえもの、汁の実などにするほか、天ぷらにすると若い葉も食べやすく、もちもちとして美味しかったです。干して乾燥させて保存することもできます。

ワラビ/ゼンマイ/ヤマドリゼンマイ

食べることができるシダの芽として、特に有名なのはワラビとゼンマイです。子どものころ、一回だけ山菜採りに連れて行ってもらったことがあり、その時採ったのがこの二種でした。

ワラビは近所にも普通に群生していて、5月半ば以降に採取できます。茎は薄緑色で、他のシダのような目立つ毛や鱗片はありません。先端が3つに別れ、握りこぶしののように丸まっているのが特徴です。

成長するとかなり背が高くなり、遅れて葉が開いていきます。下の写真はアングルのせいで高さが分かりませんが、わたしの胸くらいの背丈があります。

葉が開いた後のワラビの姿を知っている人はあまりいませんが、とても細かく切れ目の入った3回羽状複葉で、巨大な三角形の葉を開きます。

秋には下の写真のように紅葉するので、翌年春に群生地に行ってみると、赤みを帯びた枯れ葉が地面に敷き詰められています。ワラビの葉は防虫効果があり、オアハカ日誌によると、ローマ人は馬小屋の寝藁として敷いていました。(p83)

ワラビはかなりメジャーな山菜ですが、アク抜きが大変なので、自分で採る気にはなれません。

前出のオアハカ日誌によれば、複数の神経毒や発がん性物質が含まれていて、シダ界の毒婦とあだ名されています。(p83)

アク抜きしても、発がん性物質は完全には取り除けないことがわかっているため、積極的に食べるべき山菜ではないでしょう。わたしは同じシダでも、コゴミのようにアクの少ないもののほうが好きです。

アイヌのごはん―自然の恵みによると、アイヌ民族はワラビを「トゥワ」と呼び、なんと塊茎からデンプンを採って用いていたそうです。(p85)

ワラビと並んで有名な食用シダであるゼンマイは、北海道では日本海側に多く、わたしの住んでいる場所は分布範囲の境界域です。

そのため、自生していないと思っている人もいるほど数が少なく、わたしも新芽の時期のゼンマイは見つけたことがありません。

しかし、葉が開いてしまうと、シダ植物にしては珍しい、普通の植物の葉っぱのような形状なので見つけやすくなります。森を歩いていると、ところどころにぽつんと一株ずつ点在しているのを見かけます。

名前が似ていて食用にもされるヤマドリゼンマイは、道内全域に広く自生しているようです。

わたしの住んでいる地域では、山登りの道中の水辺や湿原に、ときどき生えています。日当たりのよい川沿いを好むらしく、わたしがよく行くような鬱蒼とした森では見かけません。

芽の段階ではゼンマイによく似ていて、オレンジ色の綿毛に覆われています。この綿毛は手で触ると取れます。他の多くのシダのような毛や鱗片はなく、綿毛を剥がすとつるつるしています。

ゼンマイと同様、栄養葉(普通の葉)になる芽と胞子葉(胞子をつける葉)になる芽が混じって生えています。(一般には胞子葉=男ゼンマイ、栄養葉=女ゼンマイと呼ばれる)

胞子葉になる芽は、渦巻部分の中心が分厚く黒っぽいので、なんとなく見分けがつきます。子孫を残してもらうためにも、できるだけ胞子葉は残して、栄養葉を採るようにします。

下の写真は左が栄養葉の芽、右が間違って採ってしまった胞子葉の芽。基本的に胞子葉のほうが先に伸びるので、短い芽を採るようにすれば、このような間違いは避けられます。

採取した芽は、綿毛を手で取り除いてつるつるにしてから、重曹を少量入れて茹で、乾燥させて干しゼンマイにします。時々手で揉んで繊維を柔らかくすると良いそうです。詳しい方法は普通のゼンマイと同じなので割愛します。

ヤマドリゼンマイは、芽の段階ではゼンマイに似ていますが、葉が開くと似てもにつきません。大型シダらしい雄大な葉を広げ、金色の胞子葉がよく目立ち、秋には美しく黄葉します。

食べてみたキノコまとめ(五十音順)

次に、食べてみたキノコを五十音順に載せます。キノコは植物よりも格段に見分けが難しいので、まだ食べてみたのはごくわずかです。

アカモミタケ

9月下旬から10月にかけて、トドマツ林で頻繁に目にしたキノコ。傘から柄に至るまで、全体がサーモンピンク。傘に同心円状の環のような模様(環紋)があります。

環紋があるのは、チチタケ属のキノコの特徴で、ハツタケ、チチタケなどが親しまれていますが、食べられないキノコも多いです。

似たようなキノコはいくつかありますが、傷ついたひだからオレンジ色の乳液が出れば、アカハツタケかアカモミタケだとわかります。どちらも食用になるキノコです。

さらにそれが30分くらい経って青く変色すればアカハツタケ、オレンジ色のままだったらアカモミタケです。

わたしが採ったのは変色しなかったのでアカモミタケでした。アカモミタケはトドマツ林に出ることとも一致します。アカハツタケはアカマツ、クロマツなどの松林に出るようです。

もし乳液が出なかったり、乳液の色が違ったり、ひだや柄の色が違ってサーモンピンクでなかったりしたら別のキノコです。

アカモミタケは、水につけると旨味成分である乳液が出てしまうと書いてあったので、軽く洗って、ゴミをはけで落とします。

調理すると食感は鮭みたいに見え、ボソボソしていますが、近縁のアカハツタケやチチタケ同様、だし汁を取るのに向いています。スープや炊き込みごはんの旨味を出すのにいいそうです。

タマゴタケ

濃いオレンジ色の見た目が毒毒しく、同じテングタケ科には恐ろしい猛毒キノコも多数あるにも関わらず、なぜか無毒で非常に美味しいタマゴタケ。

地面から出てくてすぐの幼菌は、本物のタマゴのようにも見えます。タマゴタケの幼菌は、なんとマッシュルームと同じく、世にも珍しい生食できるキノコのひとつとされます。

独特のトゥルンとした食感と旨味から、実に高級食材らしくお得感たっぷりのキノコです。意外と多く生え、見分けもそんなに難しくないのが嬉しいところ。

とはいえ、同じテングタケ科には猛毒も多いので、しっかり特徴を押さえておく必要があります。

・傘が赤からオレンジ色である
・傘のふちに放射状の線(条線)がある
・柄が黄色っぽい
・柄につば(ヨーロッパの貴族が胸につけているヒラヒラみたいな部分。ジャボ)があること
・柄の内部が空洞であること

これらの点を押さえれば大丈夫です。図鑑によっては、軸にダンダラ模様があると解説されていますが、道北のタマゴタケではダンダラ模様がない場合も多いです。セイヨウタマゴタケもダンダラ模様がないそうです。

似ている要注意キノコとしては、まずスーパーマリオのキノコのもとにもなった毒キノコ、ベニテングタケ。食べても死にはしないようですが、痙攣、錯乱、幻覚などが生じると言われます。

傘の色は似ていますが、表面にイボ状の白いかけらがついています。しかし、雨で洗い流されて、白いイボがない場合もあるため注意。

その場合でも、柄が白いのでタマゴタケと区別できます。

この写真のように大きく育ったものなら柄が見えやすいですが、幼菌の場合は傘しか見えないため、イボがないとタマゴタケと間違うかもしれません。しっかり内部も確認することが大切です。

ヒメベニテングタケは、傘の色がタマゴタケによく似ていて、条線もはっきりしているため、森歩きの最中に見つけるとタマゴタケに錯覚します。

ベニテングタケのような白いイボはありませんが、傘と同じような色の鱗片があります。写真の傘の中央のうろこ状の部分がそれです。

しかし、写真だと似ているようでも、実物はあまり似ていません。サイズ感が全然うからです。タマゴタケが20cm以上あるのに対し、ヒメベニテングタケは10cmくらいです。

タマゴタケモドキは、一番細心の注意を払わなければならない猛毒キノコです。食べると一週間拷問のような苦痛が続いた末に死に至るそうです。

タマゴタケと同じく幼菌のときはタマゴのようですが、傘の色が赤やオレンジ色ではなく黄色です。

そして最も重要な違いは、傘のふちに放射状の条線がないことです。幼菌時であれ、成長してからであれ、条線が見つからなければ採ってはいけません。

もし傘が黄色くても、条線があれば、キタマゴタケという食べられるキノコだそうですが、危険は冒さないのがいいでしょう。あくまで上のリストすべてに当てはまるものだけを食べれば安全です。

ほかに、ミヤマタマゴタケという種類を何度か見たことがあり、ネットでは食べたという報告もありますが、本当に安全なのか自信がないので手を出していません。

ヌメリスギタケモドキ

9月から10月に、おもにヤナギの木の幹に生えるヌメリスギタケモドキは、見分けるのがかなり容易な食用キノコです。

ヌメリスギタケモドキは、枯れ始めたヤナギの幹に生えることが多く、かなり上のほうを見ながら歩くと見つけやすいです。ハンノキなど他の木々にも生えますが、特にヤナギに多いので別名ヤナギタケと呼ばれています。

スギタケという名前は、スギタケ属から来ていますが、由来など調べ始めると非常にややこしいです。しかも、スギタケ、スギタケモドキ、ツチスギタケ、ヌメリスギタケ、ヌメリスギタケモドキといった親戚がいて、非常に面倒です。

このうち、問題なく食べられるのは、ヌメリスギタケとヌメリスギタケモドキであり、どちらも地面ではなく木から生え、傘の表面にぬめりがある、ということを覚えておけば十分です。

つまり、ヤナギなどの木の幹に、写真のようなキノコが生えていて、傘の中央にささくれがあり、触ってみた感じがぬめっていれば食べることができます。

ヌメリスギタケは柄もぬめっているのに対し、ヌメリスギタケモドキは柄はぬめっていないという違いがありますが、どちらも食べることができます。

石狩振興局のサイトにもヌメリスギタケモドキの見分けるポイントが書かれています。

食べるときは、そのぬめっている笠部分だけを食べ、柄は捨てます。大きくなっているものだと、ひだの中に虫が入り込んでいることが多いので、十分水にさらしたり、ひだを下処理で取り除いたりします。

ナラタケ(ボリボリ)

ナラタケは採取するときの感触や歯ごたえなどからボリボリと呼ばれ、広く愛されているキノコです。しかし一種類ではなく、多数のキノコの総称です。

ナラタケはその名前のとおりブナ科の木など、広葉樹林に生え、倒木、木の根元、地上などに発生します。

北海道だと、ミズナラの木が多いので、その根本を探して歩くとよく見つかりますが、他の種類の木や針葉樹にも生えることがあります。

見分けるための特徴はおもに次の3点です。

・かさの中央付近に黒いぶつぶつがある
・かさの端に、放射状の条線がある
・柄の上のほうにつばがついているorつばの痕跡がある

これも石狩振興局のサイトの解説図がわかりやすいです。

「ナラタケ」には様々な種類がありますが、これらの特徴が共通していて、どれも食べられます。

(3)の特徴である、「つば」がなければナラタケモドキかもしれません。ナラタケモドキも食べることができますが、味は劣るといわれます。

種類が多いがために、木から生えたり、地上に生えたり、柄が中実だったり中空ぎみだったりするので、毒キノコとの見分けが難しいこともあります。

特にコレラタケ(ドクアジロガサ)やドクササコという猛毒キノコが危険だと言われています。上の特徴をしっかり観察すれば大丈夫だと言われますが、少しでも怪しければ食べないのが無難です。

ノボリリュウタケ/クロノボリリュウ

9月から10月にかけて、近所の森に次から次に出てくるのがノボリリュウタケ。裂けるチーズのような柄に、鞍のような形にひしゃげた傘と、かなり特徴的な形をしています。

ノボリリュウタケは一般に食用とされていますが、微量のギロミトリンという毒性成分が含まれることがわかっています。

これは加熱すると、発がん性が疑われているモノメチルヒドラジンという成分に変化します。

しかし、モノメチルヒドラジンは水溶性かつ、沸点が低く、揮発性が高いため、沸騰した湯でしっかり茹でて、茹で汁を捨てて洗えば、無毒化できるようです。

毒を含む、というと危険を感じますが、同じノボリリュウタケ科(※今はフクロシトネタケ科に移されたらしい)に含まれるシャグマアミガサタケという猛毒キノコには、この成分がはるかに高濃度に含まれています。

そしてフィンランドでは、このシャグマアミガサタケを長時間茹でたり干したりすることで、無毒化して食用にしています。(下の写真は近所の森に出た近縁種のオオシャグマタケ)

シャグマアミガサタケが食用になるなら、ノボリリュウタケははるかに安全で、10分間煮沸すれば、99%以上無毒化できることがわかっているそうです。一般に食されているワラビのほうが、アク抜きしても発がん性が残るので、おそらくずっと危険です。

通常のノボリリュウタケは全体が白ですが、色違いのクロノボリリュウもあり、(なぜか食不適としている文献もあるようですが)同じように食べられます。

しかし、姿が似ているアシボソノボリリュウというキノコは食べられないとされています。名前のとおり、柄が細いので見分けは簡単です。

また、わたしは見たことがありませんが、ヒグマアミガサタケ(トビイロノボリリュウ)というキノコは食べられないとされています。これも、写真で確認すると、柄が円柱形で裂け目がないので区別できます。

よって、ノボリリュウタケを見分ける際は、鞍が白か黒であり、オレンジ色や茶色(とび色)ではない、柄が裂けるチーズのように激しく凹凸がある、ということを確認するといいでしょう。

ノボリリュウタケは10分加熱しても非常に弾力性のある食感で鶏肉のようです。特に香りや味はないので、スパゲッティなどに入れて味付けすると美味しいです。

体験談によると、シャグマアミガサタケを毒抜きして食べた場合も、やはり弾力性のある肉のような食感があるとのことでした。わたしは基本的には動物の肉を食べない生活なので、精進料理のようで気に入っています。

ハナイグチ/シロヌメリイグチ

ハナイグチはラクヨウとも呼ばれ、カラマツ(ラクヨウマツ)の林に出る人気のあるキノコです。まるで地面に落ちているどら焼きのような見た目で、見つけるのも楽です。

ハナイグチを含む、イグチ科に属するキノコは、傘の裏面が通常のキノコのようなひだではなく、管孔と呼ばれるスポンジ状の構造になっています。

ハナイグチが出る期間は8から10月で、他のキノコ類同様、最低気温が15℃を下回ったころに出始め、雨上がりに多いとのこと。その時期に雨上がりのカラマツ林を見に行けば、大量発生している日もあります。

若い幼菌の時期は下のように、きれいなレモンイエローで、ケーキのスポンジのように締まっています。老菌になってくると網目状に穴が広がって、汚くなっていくので、できるだけ出てすぐの若いキノコを採ると美味しいです。

またもう少し幼菌のものだと、柄につばの痕跡が残っていて、傘の色が似ているチチアワタケと見分ける助けになります。とはいえ、チチアワタケもまれに軽い中毒を起こすとはいえ、普通に食用キノコです。

シロヌメリイグチというキノコも、しばしばカラマツ林にハナイグチと一緒に生えます。誰かが先にハナイグチを採ってしまっても、シロヌメリイグチは残っていることが多いです。

ハナイグチに比べると傘の色が薄く、色あせたような薄茶色で、傘の裏の管孔は白やグレーの無彩色です。

写真で見ると、ひどく苦いとされるニガイグチと多少似ているのかなと思いますが、ハナイグチと同様、幼菌は柄につばが残っているので区別できます。

ハナイグチやシロヌメリイグチを見分けるポイントは、石狩振興局のサイトにも載っています。

ハナイグチとシロヌメリイグチは、巨大ななめこみたいな食感です。高級感はありませんが普通に美味しく、味噌汁などの具材によく合います。

利用できるか不明なもの

[シナノキ/オオバボダイジュ]

夏に良い香りの花を咲かせるシナノキと、それを大型化したかのようなオオバボダイジュ。

夏は葉や苞の大きさで区別でき、冬は冬芽の毛で区別できます。大きくて毛があるのがオオバボダイジュです。

近縁種のセイヨウボダイジュは、葉や花が有名なリンデンと呼ばれるハーブとして利用されています。国内ではハチミツの採取に利用されていますが、葉や花を使っても大丈夫なのかは不明。

アイヌも内皮の繊維を利用したという記述しか見つかりませんでした。

堀田先生のブログによると、オオバボダイジュやシナノキも関係なくハーブとして利用されているようにも読めますが、他には情報がありません。

トウバナ/クルマバナ

真夏の7月ごろに森の中で見かけるシソ科特有の十字対生の花。

いかにもハーブらしい見た目をしているので、利用できるのか調べてみました。

トウバナ属の花のうちトウバナそのものは北海道にありませんが、イヌトウバナ、ミヤマトウバナ、クルマバナ、ミヤマクルマバナなどが自生しています。 それぞれ違いが非常に見分けにくいです。

ハーブとして栽培されるカラミンサの近縁のようですが、特にハーブらしい香りもなく、ハーブとして利用できる旨の記述もありません。

試しに採ってみた人はちらほらいるようですが、具体的な利用報告は見つかりませんでした。

わたしも乾燥させてお茶にしてみましたが、特に香りも味も感じませんでした。

イラクサやオドリコソウのように、効能がはっきりしているならまだしも、調べてもよくわからない以上、わざわざ採るようなものではなさそうです。

[ルイヨウショウマ/サラシナショウマ]

まぎらわしい〇〇ショウマのうち、毒草が多いキンポウゲ科に属する2種。ほかの〇〇ショウマは、ヤマブキショウマ、トリアシショウマ共に山菜として普通に食べられます。

サラシナショウマは〇〇ショウマの中では一番遅く、8月半ば以降の暑い時期に咲きます。

7月ごろに生えてくる若芽が、その名のとおり、さらし菜として食用にされてました。茹でた後、長時間水にさらさなければならないようで、積極的に食べるようなものではないと感じます。

しかし、根茎が生薬「升麻」として利用されており、慢性疲労症候群に効果があるとされる漢方の補中益気湯にも含まれているため、実はわたしが過去にお世話になっていた植物です。

ルイヨウショウマは、サラシナショウマの葉に似ている(類葉)ことから名付けられました。サラシナショウマとは逆に〇〇ショウマのうち最も早く咲き、5月末には開花しています。

ヤマブキショウマの項に載せた写真のように若芽の時期が他の〇〇ショウマとかぶりますが、食用になると記述は見かけません。

ネイティブアメリカンが、同じキンポウゲ科のアメリカショウマの根を、ブラックコホシュという薬草として利用していたようです。婦人病などに効能があるとされています。

[ルイヨウボタン]

ボタンに似た葉ということで名付けられたメギ科の植物。5月末ごろ、ボタンとは似ても似つかない小さな黄緑色の可愛らしい花を咲かせます。

夏になる実は、最終的に藍色に熟しますが、熟す早さにばらつきがあるのか、その過程がとてもカラフルです。

利用できるとの記述はまったくないのですが、ネイティブアメリカンが、非常によく似た外見のアメリカルイヨウボタンを、ブルーコホシュというハーブとして利用しています。

しかし、近縁だからといって利用できるとは限りませんし、ブルーコホシュには危険な副作用があるとの報告もあるので、花や実を愛でるだけにするのが賢明に思えます。