慢性疲労症候群の実態調査のの結果がNHKで報道されていました。別の報道機関のニュースも見つけたら順次追記しています。
時事ドットコム:患者の3割が寝たきり=慢性疲労症候群、初の実態調査-厚労省
慢性疲労症候群、患者の3割が介助必要 日常生活に支障:朝日新聞デジタル
原因不明・治療法なしの「慢性疲労症候群」、厚労省が初の実態調査-集中|MEDICAL CONFIDENTIAL
「慢性疲労症候群」の実態とは 周知と支援不可欠|カナロコ|神奈川新聞
患者の3割寝たきり 慢性疲労症候群の調査で 重い症状、生活に支障も – 産経ニュース
慢性疲労症候群の患者、3割が寝たきり 厚労省調査 :日本経済新聞
「慢性疲労症候群」で日中の大半寝たきりが3割 : 科学 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
この調査は、昨年実施された厚生労働省の研究班、聖マリアンナ医科大学大学院難病治療研究センターの遊道和雄教授のグループによるもので、全国の11歳から84歳までの患者251人のデータが集まりました。
その結果、以下のようなことがわかったといいます。
■全部で241人
■男性が22%、女性が78%
■11歳から84歳
■平均年齢42歳
発症時の年齢と期間
■平均31.0歳で発症。
■就学時に発症した患者61人のうち、通学を続けられたのは26人のみで、57%が通学を続けられない。
■平均6.3年症状が続いている。
発症の原因(複数回答)
■「感染症」76人(30.3%)
■「発熱」68人(27.1%)
■「思い当たらない」も51人(20.3%)
重症度
■30.2%が寝たきりで、家から出ることができない重い状態。
■最も重い「常に介助が必要で、終日寝たきり」は21人。
■「日中の半分以上寝たきり」は55人。
■介助は不要でも軽作業に困難を感じる中等度(PS6-7)の患者が35.1%
■家事の負担は55%が母、35%が配偶者、15%がヘルパーに頼んでいる
■週に数日以下の休息が必要な軽症患者(PS5まで)は31.5%。
■自宅勤務も含め働いているのは3割弱。
現在の症状
■「肉体的精神的疲労」の88.8%を筆頭に、「回復に24時間以上かかり悪化傾向」「広汎な筋肉痛」「集中力低下」「睡眠障害」「体温調節障害」などが多かった。
■重症患者は「歩けない」が15.3%、「10m以内」が27.8%。これは全体の18.9%にあたる
痛み
■75%が、眠れないほどの激しい痛みや強い痛みを感じている。
■63%が痛みの影響で眠りが浅い状態。
症状を悪化させる事柄
■「無理をせざるを得ない」「気圧季節の変化」「ストレス」が過半数。
■家事の後に症状が悪化する人は94%。
■重症者の96%が通院後に寝込む。
困りごと
■「症状が耐えがたい」「専門医がいない」「社会的孤立」の順。
社会福祉制度の受給状況
■障害年金…全体の35%(重症の70%、中等症の25%、軽症の10%)
■障害者手帳…全体の15%
行政に望むこと
■「病気の研究」「病気の認知」「医療費助成」など。
■地域格差の問題。実態調査に参加した人は、関東49%、近畿16%、中部13%、東北3%だった。
遊道和雄教授は
「海外での報告と同じくらい、日本にも重症者がいることがわかった」
「頭痛、全身の筋肉・関節痛などの耐えられない痛みを常時感じていることが分かった。睡眠障害もあり、7割が睡眠導入剤を使っていた」
「重症患者はトイレくらいにしか行けないということです」
(発症の原因として)「著しい消耗症状が起きていたことを確認した」
「患者さんは、専門医がいないこと、治療法が確定しないこと、病気への無理解や社会からの孤立を訴えている状況。行政にはサービスを受けやすくしてほしい」
と述べているそうです。「困りごと」として挙がったのは、「症状が耐えがたい」「専門医がいない」「社会的孤立」の順だった。「行政に望むこと」では、「病気の研究」「病気の認知」「医療費助成」などが並んだ。
まず、かねてから1/4ほどと言われていた重症の寝たきりの患者は、30%という数字が出て、1/4より少し多めとなっています。
意外だったのは、75%もの人が強い痛みを感じているという点。線維筋痛症との合併例がかなり多いということなのでしょうか。
また発症の原因として、発熱や感染症が意外に多かったのも、実は少ないのでは?と言われていた感染後CFSがやはり多い可能性を示唆しているといえます。
最少年齢が11歳で、就学時に発症した患者のことが触れられている点からすると、小児期発症の慢性疲労症候群患者のデータも含まれているようです。そのうち半数以上が不登校になっていることがわかります。(後に時事通信の記事で61人のデータだったことが分かりました)
最高齢が84歳というのは、驚きましたし、相当辛い日常を送っておられるのではないかと感じました。
もともと100人を目指しているとのことでしたが、(診断済みでない人も含まれていると聞きましたが)ずいぶん集まったようですね。
報告会に参加されたmoana_laniさんが詳しくまとめてくださっています。
【メモ】平成26年度厚生労働省「慢性疲労症候群 患者の日常生活困難度調査事業」報告会|「慢性疲労症候群(ME/CFS)」と「制度の谷間」界隈の備忘録