パートタイムの仕事ができるまでに回復していた、わたしのCCFSの友人が、頭痛がひどくなって再度病院にかかることになりました。改めて慢性疲労症候群と頭痛は関係が深いことを感じました。
頭痛は腹痛と並ぶ、子どもの主要な訴えのひとつです。
子どもの頭痛は、だれにでもよくある精神的なもの、と見過ごしてよいのでしょうか。それとも、より大きな問題、特に長期的な不登校に発展する可能性があるのでしょうか。頭痛薬が効かない場合、どのように治療することができるのでしょうか。
子どもの頭痛は不登校の前兆
このブログのリンク集で紹介している友田明美先生のスライド小児の心身症としての頭痛では、子どもの頭痛と不登校、特に睡眠障害との関わりについて分かりやすく説明されています。
子どもの頭痛は器質的な異常がない場合は、「気のせい」「精神的なもの」としてその場しのぎの対応になることが多いといわれています。中学生の5%が慢性頭痛を抱えていますが、しばしば仮病と誤解されるそうです。
しかし頭痛は決して軽く流してよいものではありません。不登校の子どもでは、睡眠異常、集中力障害の次に頭痛が多いというデータがあります。3つすべて合併している子どもは42%にもなり、3つともない子どもはわずか3%に過ぎません。
頭痛のある子どもはよく眠れず疲労しています。睡眠障害が頭痛を悪化させ、頭痛が睡眠障害を悪化させる悪循環が生じます。
頭痛による睡眠障害には、不眠だけでなく、過眠や睡眠の断片化も含まれるそうです。片頭痛の子どもは睡眠相後退症候群になりやすいことも示唆されています。
こうしたデータから、
頭痛→睡眠障害→記銘力・集中力低下→疲労→頭痛→…
というサイクルで、子どもの体調が悪化し、不登校につながることが説明されています。
頭痛の治療は睡眠障害から
子どもの頭痛は睡眠障害と深く関わっているので、両方を同時に治療する必要があります。「睡眠障害をコントロールしないと、頭痛のコントロールは困難」なのです。
友田先生のスライドでは、抗うつ薬や頭痛薬が無効な場合でも、睡眠障害の治療によって頭痛と疲労が改善されたという子どもの例が書かれていました。
子どもの頭痛と睡眠障害について、友田明美先生が説明しておられることをまとめると、以下の図のようになります。
子どもの頭痛の原因はさまざまですが、すべて睡眠障害と相互に関係しています。この図に含まれていないより重大な疾患が潜んでいることもありますから、訴えを真剣に受け止めて専門医を受診すべきでしょう。
まとめると、以下の3点に要約されます。
◆不登校児に多い症状は、頭痛、睡眠障害、記銘力・集中力の低下の3つ
◆頭痛の原因はさまざまだが、不登校=精神的な頭痛と決めず、適切な診断と治療が必要
◆頭痛の治療に睡眠・生活リズムの改善は不可欠
友田先生の論文小児の頭痛-診断・治療の進歩 小児慢性疲労症候群,起立性調節障害と頭痛の抄録にはこう書かれていました。(小児内科2008年 Vol.40 №5 小児の頭痛-診断・治療の進歩に掲載)
小児はさまざまな心理的ストレスで頭痛が増悪し,難治化・長期化することにより不登校となることがある。
特に起立性調節障害や小児慢性疲労症候群(CCFS)の病態が長期的に続くことが大きな誘因となる
頭痛の初期に対処すれば、重症化した起立性調節障害や小児慢性疲労症候群になるのを防げることが分かります。
頭痛というと、疲労と同様、よくある症状として聞き流してしまいがちですが、病気の前段階を知らせる予兆、シグナルとして、注意深く対処する必要がありそうです。
子どもの睡眠障害の治療についてはこちらもご覧ください。