自閉症の患者は、腸内細菌叢の状態が定型発達者と違うそうですが、マウスの実験では、腸内細菌叢を改善することで行動にも改善が見られたというニュースがありました。
ニュース – 科学&宇宙 – 自閉症、腸と脳のつながり明らかに – ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト(ナショジオ)
自閉症を持つ子どもに最も多い健康上の訴えは胃腸障害だそうですが、自閉症児の腸内細菌の種類は極めて乏しく、定型発達者と比べると腸内細菌の種類も数が大きく異なることが判明しているそうです。
自閉症様症状を呈する仔マウスを調べると、腸管壁浸漏という、腸内細菌によって作られた分子が血流に入り、脳に到達する可能性もある状態だったようです。実際にマウスの血液を調べたところ、 腸内細菌が作り出す4EPSと呼ばれる分子が46倍も多く含まれていることがわかりました。
そこで、マウスの胃腸障害に効果が認められているバクテロイデス・フラジリスを餌として与えたところ、5週間後には腸管壁浸漏は解消し、行動の一部も改善されたそうです。
人間の場合にどれほど当てはまるのかはわかららないとされていますが、脳機能の問題とされている症状の原因は、腸管壁浸漏にある可能性がある、ということを示しているといえます。
腸管壁浸漏は腸管壁浸漏症候群(リーキーガット症候群:LGS)として知られていて、治りにくい病気に関係しているとも言われていますから、興味深い研究といえます。