米オックスフォード大学の神経科学者・時間生物学者ラッセル・フォスターの主張に基づいて、学校の始業時間を10時に変える試みがなされているという記事がありました。原文のほうはドイツ語なのでちょっと読めませんが、睡眠不足の害などがしっかり書かれているようです。
10代にとって朝は辛いので学校の始業は10時から 米英の学校で導入開始 | 恋愛・結婚 | マイナビニュース
biorhythmus: teenager mussen langer schlafen – New Scientist
思春期では体内時計が2時間遅れている
体内時計に関する彼の研究によると、思春期では体内時計が2時間遅いそうです。この状態は女子では19.5歳まで、男子では21歳まで続きます。
ホルモンの影響が関係しているとされていますが、この点は起立性調節障害(OD)の研究でも指摘されていました。
思春期の子どもにとって朝7時に起こすことは5時に起こすようなもので、“grausam”つまり「残酷な」ことなのだそうです。十分な睡眠時間が確保されないので、学生は無気力になったりイライラしたりします。
睡眠不足を補うために、多くの学生はカフェインや甘いもの、さらには喫煙にも手を出しているので、教師はそれらの作用で精神的に不安定になった学生を相手にしなければならない、といったことも書いてあるようです。
そのためいくつかの学校が授業の開始を朝10時に遅らせたところ、学生のポテンシャルが向上したといいます。
学生が慢性的な睡眠不足にあるというデータは日本でも出ています。
そしてそれがイライラやうつ状態に関わっているという研究もあります。
さらに思春期の早起きが慢性的な睡眠不足をもたらし、睡眠相後退症候群(DSPS)や慢性疲労症候群(CFS)という深刻な害を引き起こす場合があることは、このブログでたびたび書いてきました。
研究によると、夜型・朝型というのは、生まれたときに遺伝情報によって決まるものなので、極端な夜型の遺伝子を持つ子どもの場合、思春期に早起きを強制されるのは体にかなりの負担をかけます。
不登校の子どもの多くがDSPSやNon-24のリズムを示すという事実は、体内時計の周期が長い子どもほど、朝型の学校社会からダメージを受けやすいことを物語っているのかもしれません。
体内時計の性質がしっかり理解され、社会のリズムをそれに合わせようとする動きが出てくるなら、そうした問題がいくらか減るのではないでしょうか。
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