一般にASD(自閉スペクトラム症)のある人は共感性が乏しいと考えられてきましたが、同じASDを持つ人が相手について考えるときには、共感や自己意識と関連する脳部位が活動していることがわかったそうです。
京大、自閉スペクトラム症患者同士は共感し合うことを明らかに | サイエンス – 財経新聞
自閉症スペクトラム症の人は同じ症状の人に共感する – 京大が確認 | マイナビニュース
京都大学の米田英嗣特定准教授らによる研究によると、ASDの成人が、「ASDの特徴がある人物の行動パターン記述文」を読むとき、共感に関係する脳の腹内側前頭前野が有意に活動することが分かりました。
特にASDの傾向が高い人ほど、脳の活動が活発になり、ASDの特徴を持つ人物に対して強く共感していることも示唆されたそうです。
このことから、ASD傾向の強い人ほど、ASDがある人への援助者にふさわしいかもしれないとされています。
前に読んだ自閉症という謎に迫る 研究最前線報告(小学館新書)のなかで、自閉症スペクトラムの子どもたちと、ある健常者の大学生が話したとき、健常者の大学生のほうが、空気を読めない人に見えた、と書かれていました。
もしかすると、健常者か障害者かという問題ではなく、多数派か少数派かの問題なのではないか、という疑問が提起されていました。
もしASDの人が多数派になる社会があれば、いわゆる定型発達者のほうが、共感できない人とみなされる可能性があるのです。
今回の研究はまさにその点を考えさせるものだと思います。