慢性疲労症候群(CFS)をはじめ、化学物質過敏症や起立性調節障害などは、治療が難しい慢性的な病気です。
適切な医師にかかり、自分に合った薬やサプリメントを見つけることはもちろん大切ですが、あとは手をこまねいて、効き目が現れるのを待っているしかないのでしょうか。
そのようなことはありません。このブログでは、これまで、疲労と闘うさまざまな対策を取り上げてきました。それらは、一つ一つの効果は小さいとはいえ、組み合わせることでQOL(生活の質)を向上させることができます。
このエントリでは、慢性疲労症候群(CFS)・起立性調節障害(OD)・化学物質過敏症(CS)という、互いに関わりのある三種類の病気についての書籍から、慢性的な病気と闘う30のテクニックを紹介したいと思います。
慢性的な病気と闘う30のテクニック
これから取り上げる30のテクニックは、別々の書籍からの引用のため、互いに重複もありますが、学べることが数多くあります。その多くは、特定の病気だけでなく、慢性的な病気すべてに応用できるテクニックです。
薬やサプリメントのように即効性はないので、ハードルが高いように、あるいは地味なように感じるかもしれませんが、慢性的な病気の場合「急がば回れ」との言葉は真実です。地道な対策の積み重ねが、生活の質(QOL)を向上させるのです。
これらのテクニックはスーパーでの買い物に似ています。すべてを買い物カゴに入れる必要はありません。自分に合っている、試してみたい、というものをぜひ、実践してみてください。
慢性疲労に対する有効な対処法
まず取り上げるのは、慢性疲労症候群(CFS)の治療に認知行動療法(CBT)を導入されたことで知られる、大阪大学 精神医学教室の岩瀬真生先生らによる疲労対策リストです。
その研究に基づき、東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 精神神経科の山寺亘先生らが、「慢性疲労に対する有効な対処法」としてまとめられました。
簡潔な言葉遣いで記されていますが、このブログで取り上げている対策の多くを含む、重要なリストとなっています。副見出しのみが引用部分です。
1.オーバーワークを予防する
最近、サンフレッチェ広島の優勝に貢献された森崎浩司選手は、慢性疲労症候群(CFS)と似たオーバートレーニング症候群を発症していました。慢性的な病気の人には疲れをマスクして、限界を超えて働いてきた人もいるので、オーバーワークを予防することは欠かせません。
具体的には、以下のエントリに引用している「できるできないリスト」を作るのがいいかもしれません。量や時間の要素を考慮に入れて、あらかじめ自分の限界を分析しておくのです。
これは、トラックの積載量を知ることに似ています。トラックは一台一台積載量が異なります。わたしたち慢性的な病気を抱える患者も同じです。自分の場合であれば、どれくらいの“荷”を担えるか、吟味しておきましょう。そうすれば、できることにはYesと、できないことにはNoとはっきり言うことができます。
2.一日の仕事量の上限を決め、成果に基づいた自己評価をやめる
上記がオーバーワークに対する物理的な対策であるのに対し、これは心理的な対策です。慢性的な病気の患者は、一日でできることが少ないので、「きょうもぜんぜん何もできなかった」と感じてしまうかもしれません。
しかし本当に何もできていないのでしょうか。それは“できた量”に基づくゆがんだ見方ではないでしょうか。日常に見られる良かったことを探してみましょう。ぜひ以下のエントリを参考に「3 good things」の取り組みを試してみてください。
3.仕事をいくつかの段階に分けて、中断・再開をしやすくする
To doリストを小さく細切れにすることはタスク管理の基本です。タスクが大きいままだと、上記のように「きょうもやることを一つも達成できなかった」という気持ちになります。しかし、タスクを小さく分けていると、それらを完了するごとに達成感を味わえます。
このブログで取り上げたポモドーロ・テクニックはタスクを25分ごとに分けるシンプルな手段です。達成感が増し加わるだけでなく、計画的な休息を取るのにも役立ちます。
4.段階的な活動量の増加を図り、一過性の疲労増加にあわてない
これはいわゆる段階的運動療法(GET)の考え方です。慢性疲労症候群の人は,運動しすぎると症状が悪化する、と考えて運動を控えがちですが、必要なのはバランスです。限界をわきまえて、注意深く運動を行うなら、幸福感、作業能力、血圧などが改善するそうです。
5.記憶の補助法を活用する
慢性疲労症候群(CFS)で困るのは、記憶力や思考力のはなはだしい低下です。だれかに自己紹介されても、その人の名前を覚えることは簡単ではありません。今しがた医者から聞いたアドバイスもすぐに忘れてしまいます。
しかし「脳機能が低下しているからわたしは何も覚えられない」とあきらめないでください。普通でない記憶力の低下には、特別なテクニックで対処すればいいのです。
まず、もっとも基本的なのは、いつもメモを持ち歩き、聞いたことをすぐに書き留める習慣を作ることです。このブログでたびたび取り上げているマインドマップも記憶や思考の整理に役立ちます。
また「頭がよくなる本(日本語第4版)」の書評で少し触れましたが、世の中にはさまざまな記憶のためのテクニックがあります。少し専門的になりますが「場所法」や「ペグ法」、「リンク法」などで調べてみてください。
6.計画的な休息、規則正しい睡眠スケジュールの確立
慢性的な病気の人の多くは、睡眠障害も併発しています。しかし休息や睡眠は、少ない体力を回復させるのに欠かせません。睡眠リズムが乱れている場合は睡眠相後退症候群(DSPS)についての知識が役立つと思います。
7.特別な努力を要さない余暇活動を楽しむ
気分転換やストレス解消、リラックスのための時間を持とう、というのはお決まりのアドバイスです。しかし、症状が重い患者の場合、疲れないレクリエーションを見つけるのはかなり大変です。体力を使うこと、頭を使うこと、目を使うことはあまり好ましくありません。
ではどんなレクリエーションが良いのでしょうか。
慢性疲労症候群とよく似た症状が現れる腱膜性眼瞼下垂症についての本まぶたで健康革命―下がりまぶたを治すと体の不調が良くなる!?には、伏し目がちに行う作業が副交感神経を活性化させることが書かれています。
それにはたとえば、編み物や茶道・華道・書道、簡単な読書や料理が含まれます。
8.リラクゼーション法の習得
以下のエントリで取り上げたように、自律訓練法や漸進的筋弛緩法などの特別なリラクゼーション法を学ぶのは効果的です。祈りや瞑想の習慣も心身をリラックスさせるのに役立つかもしれません。
ウィスコンシン州立大学のfMRIを用いた研究では、8人の仏教僧が瞑想を始めると、脳の幸福に関する部分が、否定的な感情に関する部分の活動をかき消し、知覚と情報の統一に関わるガンマ波が増幅したそうです。
9.身体症状への過剰なこだわりは予後を悪化させる
慢性疲労症候群(CFS)の場合、「身体的要因に原因を求める患者のほうが症状の数が多く…予後が悪い」そうです。心身は切り離せないものであることを認め、認知行動療法(CBT)など精神医学的な助けも受け入れたほうがよいでしょう。
10.ストレスと身体症状との関連を自覚する
医学は“心身相関”といって、精神的なストレスが器質的な疾患を引き起こし、その逆も生じうることを明らかにしています。現代病全体の半分以上には心身症的な原因がある、と述べる医者もいます。
例えば、脳と疲労 ―慢性疲労とそのメカニズムp43によると、極度のストレスにより、前頭葉が萎縮したり、認知行動療法(CBT)によって萎縮が回復したりするそうです。
また積極的な考え方によって薬の効果が高まるプラセボ効果や、それとは逆の現象として、消極的な感情によって薬の効果が弱まるノセボ効果はよく知られています、
身体症状すべてがストレスによって引き起こされているということはないですが、心の状態を安定させれば、多少なりとも症状は和らぐはずです。
11.怒り・落胆・自責感などの感情に建設的な考えで対処する
この建設的な考えとは、「まぁ、いいか」と考えをそらすことではありません、むしろ、確かな根拠に基いて自分を説得し、納得させることです。
そのためには物事を見る角度を変えてみるリフレーミングが役立ちます。これは認知行動療法(CBT)の基本的なテクニックです。
12.医療関係者・家族・友人などに対して、適切な自己主張や病気の説明をする
この最後の点は慢性疲労症候群(CFS)の患者にとってきわめて大切です。わたしたちが首尾よく闘病するには、医療関係者・家族・友人など、周囲の人たちの協力を得ることが欠かせないからです。
慢性疲労症候群(CFS)で思考力が低下している中、適切な自己主張や病気の説明をするのは簡単ではありませんが、役立つ点をコミュニケーションのカテゴリにまとめています。近日中に具体的な記事を追加するつもりです。
日常キャパシティチェックリスト
次に起立性調節障害(OD)の研究の第一人者、田中英高先生の著書、起立性調節障害の子どもの日常生活サポートブックのp112-113から「日常キャパシティ チェックリスト」を引用したいと思います。
先生はこの本の中で、人間の体を“レンタカー”にたとえています。日本車を借りたかったのに、アメ車を借りてしまったなら、アメ車を乗りこなさなければなりません。アメ車にはアメ車の特性がありますから、それを心得たうえで、故障しないように使わないといけません。
慢性的な病気を抱える人も、本来望んだ体ではないかもしれません。しかし体を乗り換えることはできないので、その体に合った生活を営むことが必要です。慢性的な病気を抱える人は、以下の項目について十分に知っているほど日常活動性を増やすことができます。
13.起床時間と就寝時間の関係性を知っている
夜11時に就寝すれば朝7時には起床できるが、夜12時に就寝すると、朝9時にしか起床できないなど、自分特有の起床時間と就寝時間の関係性を分析し、よく知っておくようにします。
14.食事による体調の変化を知っている
朝食をしっかり摂ったほうが体調はよいか、軽い朝食のほうがよいか。朝にどれほどの水分を摂ったら体調が回復するか、夕食の時刻は午後6時、または午後8時のいずれのほうが翌朝の体調がよいかといった点を知るようにします。
こうした食事の摂取量や食事の時刻による体調の変化は人によって異なるので、自分自身で記録をとってよく分析する必要があります。
CFSの場合、遅延性食物アレルギーや低血糖症の可能性があるので、こうした分析は欠かせません。
15.服薬時刻による体調の変化を知っている
医師からの服薬に関する指示には「朝起床時」「夕食後」などと記載がありますが、何時に服用するのが最も効き目がよいのか自分で知っているなら融通が利きます。
CFSの場合、還元型コエンザイムQ10が効く人は、服薬時刻を知っておくと良いようです。線維筋痛症(FMS)の人であれば、ここに書くまでもなく、この点に気を使っていると思います。
16.負担の少ない姿勢を知っている
通勤・通学電車では、どのような姿勢で立っていると負担が少ないかを知っている必要があります。また何か作業しているほうが通勤は楽になるかどうか、たとえば単語を記憶したり音楽を聞いたりしているほうが脳血流が増えて楽になる、といった点も知っておくと役立ちます。
CFSの場合、負担の少ない姿勢は横になる以外にないようにも思いますが、長距離移動のときはネックピローやウェストピロー、低反発クッション(おすすめはテンピュール)を携帯したりできるでしょう。普段の生活でも、椅子がしんどいなら、リクライニングできる座椅子が役立ちます。
17.休憩の取り方を知っている
仕事や授業1時間に対し、10分小休憩を取ると、無理なく継続できる、など、自分の限界をよく知っておくことは助けになります。
CFSの場合、横になれない時間が長いと非常にしんどいので、活動限界時間をよく知っておく必要があります。わたしの友人は、自分を冗談でウルトラマンに例えていました。“3分”経つと、もはや活動できないので、タイマーをかけたり、家族に時間を知らせてもらったりして休むようにしていたのです。
この“3分”は人によって違うので、記録をとっておくことが、活動限界時間を把握する助けになります。
18.体調不良のときの対処方法を知っている
急に気分が悪くなり、失神しそうになったら横になる、体調の悪いときには頭を下げて立ち上がる、急に立ち上がらないなど、体調の変化に合わせた対応を知っておくべきです。歯科治療のリクライニング台など、体を人為的に傾斜させられる場合は、あらかじめゆっくり操作してもらうようお願いしておきます。
19.体調が改善するアフターファイブの過ごし方を知っている
起立性調節障害(OD)では午後遅くになると、比較的体調が良くなります。その時間をどう使うか、例えばスポーツクラブに週2回通い、30分運動するのが自分にとって最適だ、といったことを知っておくなら時間を有効に使えます。
なお、慢性疲労症候群(CFS)などほかの病気の場合でも、この原則は役立ちます。体調が良いときこそ、注意深い行動が求められます。たとえば、CFSでは体調が良いときを積極的安静療法(ART)に充て、過活動を防ぐのがよいかもしれません。
20.自分に合ったアルコールの飲み方
アルコールを少々たしなむのは悪いことではありませんが、アルコールは血管を広げて血圧を下げます。適量、飲む時間帯、場所を知っておく必要があります。たとえば会社帰りに飲むと、帰宅途中で気分不良になる、飛行機に乗っているときは血圧が下がりやすく危険である、といった点です。
CFSでも、アルコールによって血圧が下がることへの注意が必要です。また眠るためにアルコールを飲むのは、睡眠の質を悪化させるため逆効果です。
21.どうしたら睡眠の質がよくなるかを知っている
就寝前1時間のタイムスケジュールを決めておきます。たとえば15分で明日の準備、15分間ストレッチ体操、5分間歯磨き、15分間読書、10分間の瞑想や祈りをする、というスケジュールに従うことができかるかもしれません。決まった手順を踏むなら、条件反射によって眠りやすくなります。
倉恒先生は、すべての用事を終え、寝る用意を整えてから入浴し、風呂を上がったらすぐに布団に入るよう勧めています。またある種の瞑想は痛みの軽減に役立つと言われています。
22.運動による寝つきやすさの変化を知っている
運動をした日としない日では、入眠にかかる時間が何分ぐらい違うかを知っているなら、運動不足や過剰な運動で、夜眠れなくなるのを防げます。CFSの場合も、軽いストレッチをすると眠りやすくなる人もいます。
ここに取り上げた10の点は地味に思えるかもしれませんが、知っているのと知っていないのとでは、日常生活がずいぶん変わるでしょう。つまり、これらを知っているなら、病気を乗りこなすことができますが、知らないなら病気に振り回されるということです。
七海さんの八つのCS対策
続いて紹介するのは、あらかい健康キャンプ村―日本初、化学物質・電磁波過敏症避難施設の誕生のp161-164に載せられている七海さんの8つの化学物質過敏症(CS)対策です。
七海さんは、2004年7月に化学物質過敏症を発症してから、回復までの体験をホームページ七海のCS回復記で公開しておられます。この最後の8つの対策は意外にもこれまでの22の対策とほとんど重複していません。
七海さんは回復のポイントとして、早期発見、早期対策、周りの協力、情報収集、自己努力を掲ておられ、以下の8つの対策にはそれが表れています。
23.自宅でサウナをする
熱めのお湯を20-30cmほど入れて、風呂のフタをぴったりと閉め、風呂の内部を温めます。風呂のフタはからだとフタの間に隙間ができないように、半月に切るなどして工夫します。
フタから腕が出る高さにイスを調節して座り、風呂の湯気が逃げないように大判のタオルを二枚重ねて肩からかけます。夏は15分以上、冬は30分以上のサウナで大量の汗とともに化学物質を排出させます。
慢性疲労症候群(CFS)でも低温サウナ療法(和温療法)が有効だと言われています。
24.早朝にジョギングをする
街の人々が活動を始めると合成洗剤や化粧、整髪料、喫煙、排気ガスなどのニオイが蔓延します。そのため、まだ空気が汚染されていない早朝からジョギングを開始します。化学物質を排出するため、サウナスーツを着用します。
慢性疲労症候群(CFS)ではなかなかジョギングまではできないかもしれませんが、化学物質を避けるという考え方は、どの病気においても非常に重要です。
25.筋肉トレーニングをする
筋肉をつけることで脂肪を燃やし、脂肪に溜まった化学物質を排出するため、腹筋・背筋・腕立てふせを毎日する。細く長く続けるため、毎日10セットにとどめる。
慢性疲労症候群(CFS)でも、下半身の筋肉を保つことは大切だと言われています。無理のない範囲で筋力トレーニングをしないと、廃用性症候群・デコンディショニングにより症状が悪化します。
26.自律訓練法を行う
自然治癒力を高め、免疫力を強めるリラクゼーション法である自律訓練法を行います。これは1932年にドイツの精神医学者ヨハネス・ハインリッヒ・シュルツによって確立された自己催眠法です。こうしたリラクゼーション法については先程も取り上げました。
27.毎日野菜を食べる
ビタミン類をとるために、緑黄色野菜を欠かさず食べます。またビタミンCが取れそうな野菜と果物、解毒を促してくれそうな香辛料などをジュースにして毎日飲みます。たとえば青汁やグリーンスムージーがよいかもしれません。
28.化学物質過敏症日記を書く
まず化学物質過敏症になった原因を見つけるために、過去の化学物質との接点を書き出します。そして、発症してからの体調の変化とそれに関係するだろう出来事を、時間軸にそって書いていきます。「書く」ことで気持ちの整理ができ、前向きに病気に向かう気力が湧いてくるといいます。
日記をつけることは、わたしも、闘病の根幹だと考えています。有名なタスク管理の技術であるGTDを考えたデビッド・アレンはひとつ上のGTD ストレスフリーの整理術 実践編 のp102でこう述べています。
「日記や日誌は、…調子のいい状態が損なわれたときに元に戻る最初のステップとして使える典型的な方法である」
29.回復対策表を作る
回復に関する対策情報を探して得たら、将来に備え、それらを「どのような内容」か「いつ」「何から得たか」がわかるように一覧表にしておきます。
わたしは、日記やWebで得た情報、これまで手に入れた紙資料をすべてEvernoteにまとめています。このブログもBlogtrottrを用いてEvernoteに保存しています。
Evernoteは、すべての情報を一箇所にまとめられ、検索で探し出せるので、とても便利です。しかし電磁波過敏症などでPCの使用が難しいなら、ノートにまとめるほうが良いでしょう。
30.コウ・カウンセリングをする
コウ・カウンセリング(再評価カウンセリング)とはお互いに辛さや悩みを聞き合い、人生を再評価するカウンセリング方法です。時間を平等に分けて、まず自分がカウンセラーとして相手の話を聞き、次に自分がクライアントとなって話を聞いてもらいます。家族や周りの人との関係を壊すことなく協力を得るのに役立つといいます。
慢性的な病気を抱える患者同士はピア(=仲間)・カウンセリングによって支えあっていますが、さらに一歩進んで再評価カウンセリングを導入するのもよいかもしれません。
またピア・カウンセリングが同じ背景の仲間同士で行うのに対し、再評価カウンセリングは仲間に限定されません。同じ病気・障害の者同士で話していると慰められる反面、見方が狭まることもあるので、自分を広くするためにも再評価カウンセリングはよいかもしれません。
書籍あらかい健康キャンプ村―日本初、化学物質・電磁波過敏症避難施設の誕生について詳しくは以下のエントリをご覧ください。
使うことによって役に立つ
ここま慢性的な病気と闘う30のテクニックを引用してきました。3箇所から集めたため少々まとまりに欠けますが、それぞれの病気を抱える人たちがさまざまな工夫を凝らして対処してきたことがうかがい知れます。
どれもシンプルなアドバイスですが、じっくり考えて実践するだけの価値があります。
土のうは一つ積んだだけでは、それほど効果がないかもしれません。しかしいくつも積み上げるなら、台風や大雨による浸水から家を守ってくれます。
こうした疲労対策テクニックも、それと似ています。病気という嵐そのものを過ぎ去らせることはできませんが、多く積み重ねるなら、自分の生活への破壊的な影響を食い止めることができます。生活の質(QOL)を守ることができるのです。
ただし、これらはあくまで道具にすぎません。30色セットの色鉛筆を買ったところで、絵を描かなければ絵がうまくなることは決してありません。同様に、これらのテクニックも、実践してはじめて、慢性的な病気と首尾よく闘えるようになります。
30ものテクニックがあるので、一日にひとつ当てはめて、自分に合ったものを見つけるのもよいかもしれません。慢性疲労症候群をはじめ、化学物質過敏症や起立性調節障害は対処が難しい病気ですが、わたしもこれらのテクニックを当てはめて、生活の質(QOL)を向上させていきたいと思います。