慢性疲労にも効く?上咽頭炎症のBスポット療法(鼻咽腔クロールチンク塗布)&鼻うがいの方法

性疲労症候群の関連で、以前から何度も目にすることがあって、興味を持っていた治療法に、耳鼻咽喉科によるBスポット療法(鼻咽腔クロールチンク塗布療法)というものがあります。

決して万能な治療法というわけではありませんが、実施している耳鼻科も少数ながら ちらほらと見かけ、さまざまな不定愁訴や、慢性疲労を伴う自律神経失調症、アレルギー性鼻炎、自己免疫疾患、睡眠相後退症候群を伴う不登校などがよくなるといいます。

調べてみたところ、どの程度信頼性のおけるものなのか判然としないため、これまで記事にしてはいなかったのですが、この情報が役立つ場合もあるかもしれないと感じ、簡単に内容をまとめることにしました。

この治療を取り入れるかどうかは、さまざまな情報を調べた上、ご自身の責任で選択するようになさってください。

(追記 : その後、慢性疲労症候群の専門医である、倉恒弘彦先生の推奨する治療法の一つとして紹介されるようになりました。体調不良が長期に続く慢性疲労症候群頑張り過ぎず、症状安定を目指す(大阪市立大学医学部付属病院客員教授 倉恒弘彦医師)|医療ニュース トピックス|時事メディカル|時事通信の医療ニュースサイト も参照)

Bスポット療法とは

Bスポットとは、鼻咽腔のことを指しています。東京医科歯科大学耳鼻咽喉科教授の堀口申作先生が、上咽頭の炎症に塩化亜鉛(1.0%クロールチンク)を塗ることで炎症がよくなり、さまざまな疾患が良くなることを発見し、頭文字を取ってBスポットと命名しました。

特に難しい治療ではなく、口や鼻から、のどの上部に綿棒を差し込み、炎症箇所に消炎剤である塩化亜鉛(クロールチンク)を塗るだけであり、金銭的負担も少ないようです。

Bスポット療法について、最も客観的にわかりやすく記載していると感じたのが、大阪の田中耳鼻咽喉科のサイトです。ここでは効能が次のように書かれています。

大阪市福島区 耳鼻咽喉科 田中耳鼻咽喉科 Bスポット療法 IgA腎症 塩化亜鉛塗布 咽頭炎 扁桃炎 喉頭炎 声帯ポリープ はてなブックマーク - 大阪市福島区 耳鼻咽喉科 田中耳鼻咽喉科 Bスポット療法 IgA腎症 塩化亜鉛塗布 咽頭炎 扁桃炎 喉頭炎 声帯ポリープ

万能というわけではありませんが、ある種の頭痛や目の奥が痛い、頑固な鼻づまり、肩こり、浮動感といった症状に著効するケースを数多く経験しています。

また病巣感染症といって扁桃や鼻咽腔に慢性炎症があると皮膚や腎臓、関節など離れた臓器に障害が起こることがありますが、Bスポット療法が掌蹠膿疱症やアトピー性皮膚炎、喘息、めまい、自律神経失調症、膠原病などに効果的という報告もあります。

…あくまで現段階での私見ですが、耳管開放症や耳管狭窄症といった耳管のトラブルを抱えている患者さんには少なからず鼻咽腔炎が隠れている印象があります。

Bスポット療法は、学会など公式の場では認められなかったようですが、その効果に着目した一部の医師たちによって改良や応用が試みられ、現在でも治療に用いている耳鼻科は多数あります。

たとえば、堀口申作先生の助手であった田井宜光先生は、Bスポット療法を発展させた6スポット療法という治療を開発されたようで、その流れを汲む医院もところどころ見かけます。

6スポット治療とは│難病治療の田井アレルギー科耳鼻咽喉科 はてなブックマーク - 6スポット治療とは

 東京医科歯科大学の堀口申作教授が考案したBスポット治療(鼻咽腔炎療法)を基に、さらに発展させた治療法が6スポット治療です。

また1988年に、難病のIgA腎症の根治治療として扁摘パルス療法を考案した堀田修先生がBスポット療法も治療に取り入れ、この治療法が知られるようになりました。

堀田修クリニック | 宮城県仙台市の内科医院。内科疾患全般・腎疾患・生活習慣病治療、臨時透析対応 はてなブックマーク - 堀田修クリニック | 宮城県仙台市の内科医院。内科疾患全般・腎疾患・生活習慣病治療、臨時透析対応

2001年、2002年扁摘パルスにより、早期の段階に治療介入を行えばIgA腎症が治りうる疾患であることを米国医学雑誌(AJKD)に報告。

Bスポット療法が、このブログで取り上げている小児慢性疲労症候群、つまり睡眠相後退症候群を伴う不登校に効く、というのは、以下の精神科医のブログで読みました。

不登校と鼻咽腔クロールチンク塗布療法|kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ) はてなブックマーク - 不登校と鼻咽腔クロールチンク塗布療法|kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

問題は慢性疲労症候群系の不登校である。彼らは朝起きた時に頭痛、倦怠感、腹痛がなどのはっきりしない症状のため登校できない。診察時も何か病気があるようには見えない。

学校でのいじめなどの状況も、ちょっとはあったりするが、普通、不登校を納得させる程度にはないのである。

この慢性疲労症候群の子供版の不登校こそ、生物学的な背景があり、最も完治しうる不登校と僕は考えている。

また各種の難治性の神経症にも効果があるとして、Bスポット療法を取り入れている精神科もありました。

ハーモニー津心身クリニック | 近鉄江戸橋駅 精神科、心療内科クリニック はてなブックマーク - ハーモニー津心身クリニック | 近鉄江戸橋駅 精神科、心療内科クリニック

自律神経失調症、肩こり、目の奥の痛み、不定愁訴、気圧の変化で頭痛を訴える方、原因不明の不登校のなどの症状のある方、漢方で言う未病の状態に効果があると思われます。

難治性の神経症圏の患者さんはほぼ80%以上の方が点鼻薬の痛みを訴えられ、痛みが減るにつれて上記の症状他、精神症状も改善してきます。

おそらく、上咽頭の炎症症状が免疫系とHPA系を介して自律神経系に関与していることから、消炎の結果、直接的、間接的に脳の負担を減らすことで精神症状を改善するようです。

このように、Bスポット療法はさまざまな不定愁訴や、鼻炎、鼻づまり、耳管開放症や耳管狭窄症といった耳管系のトラブル、自律神経失調症、慢性疲労症候群、難治性の神経症、自己免疫疾患などに効くとされているのです。

とはいえ、魔法の治療法かというとそんなことはなくて、注意点がいろいろあります。

さまざまな注意点

3つの注意点を挙げたいと思います。

1.初回は死ぬほど痛い

Bスポット療法の治療に通っている個人のブログを見ると、必ず書かれているのが、初回は死ぬほど痛いということです。その表現は千差万別ですが、痛くないという人はまず見かけません。

鼻咽腔治療について|青山セントラルクリニック 武蔵小山駅 はてなブックマーク - 鼻咽腔治療について|青山セントラルクリニック 武蔵小山駅

症状の強い方ほど、強い痛みが生じ、綿棒に血がついたり、鼻水が多くでたり、頭痛がしたり、アトピーの方は一時的に皮膚症状がひどくなることがあります。
しかし、治療後数時間は痛いものの、その後で症状が改善するケースが多くみられます。「鼻が通るようになった」「肩が軽くなった」 「目のかすみがとれた」と言う方もいます。

Bスポット療法を実施する医師によると、初回に痛みが強く、血が多く出るほど炎症している証拠であって、治療の効果も期待できると言われています。

痛みは、炎症が治まるにつれて、徐々に引いていくそうです。炎症が取れれば、Bスポット療法をしてもまったく痛みを感じなくなるという人もいます。

中には、この痛みに配慮してくださる医師もいるようで、先に挙げた大阪の田中耳鼻咽喉科では次のような取り組みがされています。

月刊 「医薬経済」連載記事ご紹介/① Bスポット療法にEBMを|荒川区の歯科・歯医者なら、相田歯科クリニック はてなブックマーク - 月刊 「医薬経済」連載記事ご紹介/① Bスポット療法にEBMを|荒川区の歯科・歯医者なら、相田歯科クリニック

田中氏が行っているBスポット療法は、塩化亜鉛を使用する。

1%塩化亜鉛と滅菌精製水で0.2%に希釈したものの2種類を使い分け、当初からBスポット療法を希望する患者には1%塩化亜鉛を使用する場合もありますが、多くの場合は0.2%希釈液を使用し、治療を続けるうちに出血せず痛みを伴わなくなってから1%に切り替えます。

治療に伴う痛みを軽減し、Bスポット療法を普及させるための配慮でもあるわけです。

2.かなり長い間通い続ける必要がある

田中耳鼻咽喉科の説明によると、Bスポット療法は週に1~2回で、「15~16回程度を目安」に行うとされています。別の耳鼻咽喉科では、炎症が強い場合は、週に1~2回のペースで、合計10回程度の治療回数が必要とされています。

週に1-2回の通院で10回以上ですから、1ヶ月~数ヶ月は定期的に通う必要がある、ということになります。

このように長期戦を覚悟しなければならないため、たとえば地元にBスポット療法を実施しているクリニックがないため、遠くの病院を受診するのは得策とはいえません。

3.再発しやすい

残念ながら、Bスポット療法によって治療する上咽頭炎は、再発しやすいそうです。

岡山県 岡山市 みやはら耳鼻咽喉科 Bスポット療法 はてなブックマーク - 岡山県 岡山市 みやはら耳鼻咽喉科 Bスポット療法

鼻の奥、のどちんこの上に上咽頭(じょういんとう)という部分があります。ここは呼吸をする時に一番始めに空気が体内に入ってくるところなのです。そのため、外部からのホコリやばい菌の影響を受けやすく、たびたび炎症(赤く腫れること)を起こしたりするのです。

この記述から分かるとおり、この部分は炎症が起きやすい場所です。はっきりしたことはわかりませんが、いろいろな記述を読んでいると、むしろ炎症が起こっていないほうが珍しいのでは?と疑問を感じることもあります。

体験者のブログなどを見ても、しばらく通って治したけれど、期間が空くとまた同じ症状が出てきたというような話もありました。

個人的には、もし上咽頭炎が治っている状態を持続させたいなら、ずっと耳鼻科に通ってBスポット療法を続ける必要があるのではないだろうか、という感想を持ちました。

Bスポット療法で慢性疲労症候群は治るのか

わたし自身、いろいろ興味を持ってBスポット療法について調べてみましたが、慢性疲労症候群に効果があるのか、という点になるとよくわかりません。

少なくとも調べた範囲では、Bスポット療法で慢性疲労症候群が治った、という報告は見かけませんでした。

Bスポット療法を始めたというブログ記事はあっても、経過報告がなく、治っていないようなブログはちらほらありました。

また、喉の痛みなど、一部の症状は良くなったものの、慢性疲労そのものは残っているような人も見かけました。病気の原因を治療しているのではなく、あくまで症状の一つに対処療法を行っているだけではないか、という印象があります。

不登校に効くという記述は、Bスポット療法の成果なのかどうかはわかりません。

いずれにしても、論文や統計があるわけではないので、過度な効果は期待しないほうがよいかもしれません。

しかし、アレルギー性鼻炎や、後鼻漏、耳管狭窄症・耳管開放症などの耳鼻科系疾患を持っているのなら、それらの不快感を治すために試してみる価値はあるのかもしれません。

▼2016/06追記
堀田修先生らによる論文、内科疾患における上咽頭処置の重要性: 今, またブレイクスルーの予感 で、正式に慢性疲労症候群などの機能性身体症候群に効果がみられる、ということが発表されていました。

この論文の中では、いわゆる機能性身体症候群(FSS)としてくくられる慢性疲労症候群、線維筋痛症、化学物質過敏症、過敏性腸症候群、心的外傷後ストレス障害、過換気症候群、月経前症候群、顎関節症などの病気で慢性上咽頭炎が見られ、Bスポット療法などによる治療で改善すると書かれています。

中でも慢性疲労症候群, 過敏性腸症候群などの機能性身体症候群における慢性上咽頭炎の関与は重要であり, 充分な上咽頭処置により全身症状の軽快が得られることが多い.(p99)

また、近年医学界で大きな論争を巻き起こしている子宮頸がんワクチン副反応とされる症状についても、上咽頭炎を介した全身症状であるとする独自の解釈が展開されています。

副反応の患者に例外なく激しい慢性上咽頭炎を認め,上咽頭炎改善に伴い症状が軽快する事実は慢性上咽頭炎がHPVワクチン副反応と密接な因果関係にあることを示唆している.(p101)

そして、今後、慢性疲労症候群や過敏性腸症候群では上咽頭炎の治療が根本治療として認められるのではないか、という大胆な見通しまで展開されています。

耳・鼻・咽頭という既存の常識の枠を越え,全身を咽頭とのつながりから俯瞰することにより,様々な疾患の本質にたどりつくことが期待される.慢性疲労症候群や過敏性腸症候群が疑われたら,先ず耳鼻咽喉科医に紹介される日がいずれ到来するかも知れない.(p105)?

正直なところ、どの程度まで真に受けてよいのか慎重にならざるを得ない内容です。

上咽頭炎を治療すれば症状が改善するというエビデンスがあるのであれば、強い痛みを伴い、再発も生じうる前時代的なBスポット療法に代わって、もう少し近代的な方法が開発されてもよさそうな気がします。

興味深い治療法ではあるので、もう少し系統立った調査研究や、上咽頭炎を治療するBスポット療法以外の方法の開発などが進んでほしいと思います。

▼関連書籍
Bスポット療法(鼻咽腔クロールチンク塗布療法)について書かれている関連書籍には以下のようなものがありました。

まずこちらは、Bスポット療法の発案者である、東京医科歯科大学耳鼻咽喉科の、故堀口申作先生による著書です。

次に挙げるのは、IgA腎症をBスポット療法で治療しておられる堀田修クリニック-HOC-の堀田修先生のものです。

もう一冊、内容は確認していませんが、AmazonでBスポット療法について検索すると、大阪府守口市きたにし耳鼻咽喉科の北西剛先生の本が出てました。北西先生もBスポット療法を行っておられます。

主に個人で上咽頭炎を対象とした鼻うがいを行う場合、痛みの少ないミサトール リノローションというものがあるそうです。

リノローション詳細│AdaBio株式会社リノローション詳細 はてなブックマーク - リノローション詳細

追記 : 個人でできる鼻うがいの方法(サイナスリンス使用)

わたし自身はBスポット療法を試すことはできませんでしたが、鼻うがいのほうは実践してみました。上に貼った製品ではありませんが、よく知られているサイナスリンスという機器を使っています。必要なのはボトル容器だけなので、1000円くらいで買えます。

最初は、ネット上の方法を参考に、専用容器なしのコップでの鼻うがいを試みました。できないことはありませんが、多少上を向く必要があり、中耳炎になる危険もあるのでお勧めできません。恐怖感も多少あります。

サイナスリンスのようなボトル容器を使うと、気持ちの面でとても楽ですし、鼻の中を洗える水の量が段違いに増えます。

鼻うがいをするときは、ただの水では痛みがあるので、体液と同じ生理食塩水を作る必要があります。サイナスリンスの場合、水に混ぜるリフィルがセットになっていますが、食塩と重曹なので、リフィルを追加購入する必要はなく、家で作れるでしょう。

比率は水100ccに対して、食塩0.9g、重曹0.05gです。水の量に合わせてそれぞれ変更します。

気をつける必要があるのは、水の中の細菌による感染症です。細菌やアメーバ感染の危険があるとのことで、ごく少数ながら、死亡事例もあります。

水道水は塩素消毒されているので安心かと思いきや、通常なら胃の中で殺される細菌(たとえば非結核性抗酸菌)が、上咽頭や副鼻腔では生き残るのが問題になるそうです。浄水器を通したりしていても安心できるわけではなさそうです。水道水の消毒に使われている塩素も鼻うがいによくありません。

それで、鼻うがいに用いる水は、薬局などで精製水を買ってくるか、水道水なら煮沸消毒するか、どちらかが望ましいとされます。

煮沸消毒は10分間の煮沸消毒が完璧ですが、医師によるものも含めほとんどの記事では沸騰させるだけで十分と書かれています。殺菌しなければいけない対象が耐熱菌ではないからでしょう。

また、鼻うがいに使うボトル容器のほうも、殺菌する必要があります。サイナスリンスの場合、公式サイトによると「乾かした状態のボトルとキャップを、500〜600wの電子レンジで60秒加熱してください」と指示されています。

こちらのサイトによると、水道水をサイナスリンスに入れた状態で、500w50秒くらい加熱すれば、両方一緒に殺菌でき、水の温度も人肌程度になる、と書かれていました。ただ電子レンジの場合の殺菌作用は、電磁波ではなく熱が関係しているようなので、熱が伝わりにくい水道水を常温から人肌程度に加熱するだけで十分なのか疑問です。

それで、一番望ましいのは、容器は電子レンジで殺菌、水道水は沸騰させて放置し、人肌程度まで冷めたら容器に入れて使う。もし常温まで冷めてしまったら容器ごと温める、という手順かと思います。

とはいえ、鼻うがいを習慣にしている人の半数以上は、ここまで厳密な消毒はしていないと思います。水道水をそのまま使っていると書いてあるブログも多いです。

細菌がわずかでもいたら、必ず感染するというわけではなく、人間の免疫力も考慮に入れると、減菌でも効果があるでしょう。かなりの人が無対策の水道水で鼻うがいをしているのに健康被害がめったに出ていない以上、ある程度対策すれば十分なようにも思われます。

どの程度気をつけるかは個人の判断ですが、わたしは今書いた手順を毎回やっていて、特に面倒とは感じていません。

さて、肝心の鼻うがいですが、専用ボトルのおかげで驚くほど簡単です。ボトルを少しずつ握るだけで、うつむき加減でも鼻に生理食塩水を送り込めます。(使い方の動画を検索すればたくさん出てきます)

このとき、「あー」「えー」と声を出し続けるようにします。生理食塩水を飲み込んでしまうと、耳管に入って炎症を起こす危険があるためです。耳鼻科で舌を押さえてのどを見るとき、ごくんと嚥下反射を起こさないために「あー」と声を出し続けるよう指示されますが、それと同じように、鼻うがい中は声を出し続けると安全です。

また顔を真上に向けて鼻うがいしてしまうと、やはり生理食塩水が耳管に入って中耳炎を起こす危険があるようです。そのため、最初にわたしが試したようなコップで鼻に流し込むような方法はお勧めできませんが、サイナスリンスのような専用のボトル容器を使えばうつむき加減で鼻うがいできるので問題ありません。

鼻にボトルで生理食塩水を送り込むと、生理食塩水は反対の鼻から勝手に出てきます。ボトルをやや強く握ったり、少し顔の角度を変えたりすれば、のどの裏側を通って口から出てくることもあります。後鼻漏でのどの奥を鼻水が流れるような違和感があっても、これですっきり洗い流せます。

サイナスリンスの場合、容器には250ccもの生理食塩水が入りますが、慣れてくると一瞬で使い切ってしまいます。大量の水ですっきり洗えるのが、他の製品よりも優れている点だとされます。

終わったら、軽く鼻をかんで水を出します。強くかむと、耳管が開いて水が入ってしまう危険があるので、軽く、優しく、を意識します。

鼻うがいをすると、副鼻腔の中に水が残ってしまうことがあります。放置しても蒸発するそうですが、人によっては違和感を感じるかもしれません。わたしは水抜きしないと鼻づまりが解消されません。

サーファーの人が水を吸い込んでしまった時に同じ現象(「海水ドリップ」と呼ばれる)になるらしく、その水抜きと同じ方法で水を出すことができます。うつむき加減でPC作業をしたり、本を読んだりしていても、そのうち鼻から出てきます。

鼻うがいはあまり頻繁にすると必要な粘膜まで取れてしまうので、一日2回までにとどめるようにと書かれています。わたしは寝る前に一度だけやっていますが、鼻詰まりがすっきりして寝つきがよくなります。

鼻うがいはハードルが高い、怖い、と感じる人もいると思います。わたしもそうでした。しかし、正しい方法でやってみると、痛みや不快感はまったくありません。ずっと鼻詰まりが続くより、少し勇気を出して挑戦してみるほうがはるかに得です。

詳しく説明したサイトもたくさんあるので、ぜひ試してみてください。

最後に、わたしの実践している手順を記しておきます。

(1)電気ケトルと計量カップを軽くすすぐ。電気ケトルに水250ccを計って入れる。沸騰したら、すぐに食塩2.5gをケトルに入れて、容器を揺らして溶かす。生理食塩水の分量より少し濃い目になるが、痛くないので問題はなさそう。重曹をほんの少し混ぜてもよい。作った生理食塩水はそのまま放置。

(うちは食塩2.5gを計る計量スプーンがあるので使っていますが、ない場合は小さじ1が食塩の場合およそ5~6gだそうです。250ccに小さじ半分で計るか、500ccに小さじ1で良いかもれません)

(2)前回の使用後に洗って乾燥させたサイナスリンス容器を電子レンジに入れ、500ワット1分加熱。容器に水滴が残っていなければ、熱くなることはない。

(3)30分から1時間くらい経って、生理食塩水がそこそこ冷めたらサイナスリンス容器に注ぐ。容器から少しだけ指に生理食塩水を出してみて温度を確かめる。熱いと感じるようなら、容器ごとさらに冷ます。人肌程度まで冷めたら使用OK。人肌程度とは、生理食塩水を指に当てたとき、ほんのり温かいか、冷たくも熱くも感じない程度。

(4)「あー」と声を出しながら左右の鼻を洗浄。うつむき加減になって、真下から鼻にギュッと押し当てる角度が、一番洗いやすい気がする。その角度で勢いよく出すと、生理食塩水の一部が口から出て、喉も洗浄される。

(5)終わったら石鹸で容器のノズルを洗って、よくすすぎ、乾燥させる。

(6)鼻うがい後は、必ず生理食塩水が副鼻腔に残っているので水抜きする。生理食塩水がたまったままだと、鼻詰まり感、耳詰まり感などがあり、上を向くたびに水が副鼻腔を移動する感覚がある。両手を膝に当てて頭を色々な角度に傾けてみると、水が出てくる。慣れてきたら、どの角度を向けば水抜きしやすいかわかってくる。だいたい4箇所くらい出るポイントがあるはず。水抜きして鼻をかむととてもすっきりする。