将来は予測不可能である―情報に惑わされないために肝に銘じたい行動経済学の教訓

人々が先行きに不安を覚える世の中では、まことしやかに将来を予測する人々を、テレビやネットで頻繁に見かけるかもしれません。しかし、行動経済学の研究では、未来は予測不可能なものだとされています。どうして人は未来を予測できると錯覚するのか、無価値な情報に騙されないためにどうすべきか考えます。

30万人の患者より1人の悲劇のヒロインが心を動かす理由

「慢性疲労症候群の患者は30万人もいます」。これはよく見られる説明ですが、統計的事実は人の心を動かしません。感情を動かすのはたった一人のエピソードです。ダン・アリエリーの「お金と感情と意思決定の白熱教室: 楽しい行動経済学」という本から、なぜ多くの人が抱える問題より、たった一人の悲劇のヒロインのほうが注目されるのか、説明しています。

なぜ人はテロに強い不安と恐怖を感じるのか―「利用可能性カスケード」という錯覚

最近、テロのニュースが頻繁に報道されています。ノーベル経済学賞のダニエル・カーネマンの本「ファスト&スロー」によると、こうした報道は利用可能性という落とし穴につながるかもしれません。利用可能性カスケードとは何か、問題を置き換えるヒューリスティックとはなにかについて書いています。