[推理小説] 画家は夕焼けの古城の絵を描いた―翠河瑠香の葛藤


◆登場人物
翠河 瑠香
(みどりかわ るか)・・・主人公
神名 由梨菜(じんめい ゆりな)・・・主人公の親友

エレーヌ・・・画家の卵
アルベール・・・エレーヌの父にして断崖の城の城主
テレーズ・・・エレーヌの母
マリー・・・テレーズの妹
エティエンヌ・・・執事
アラン・・・刑事
???・・・怪盗

Prologue. 古城の伝説

そこは断崖の古城。地中海に面する海岸に威風堂々とそびえたつ。

海を染める夕日を背にして、いかめしく立ち尽くすその威容は、絶景の名所と名高く、古きより芸術家たちに愛されてきた。

しかし見る者の心を圧倒するその美しさは、ときに人々の心を惑わしてもきたと伝えられる。

断崖にせり出した「古城のそで」と呼ばれるバルコニー、そこにまつわる悲劇の物語が、一族に代々語り継がれているとの、もっぱらのうわさである。