ドラクエI・II・IIIコンサートに行ってきた感想。これが伝説を作った名曲たちか

東京交響楽団によるドラゴンクエスト1、2、3のコンサートに行ってきました! わたしのドラクエの思い出は、だいたい5から7に多いんですが、1から3もそれなりにやったので懐かしいなーと。正確に言うと、わたしが生まれる前から親がやってたんですが(笑)

今回は相方と一緒に、すみだトリフォニーホールまで出向いて、コンサートを楽しんてきました!

 

すみだトリフォニーホールへ

一応、スカイツリーにはすみだ水族館のときに行ったことがあるんですが、すみだトリフォニーホールは初めて。調べてみたら両国駅で降りればいいとのことで、相撲の国技館の近くなのかなーと。両国駅からは北斎通りとかいう道を歩いて、すみだトリフォニーホールまで向かいました。

北斎通りは、何の風情もない普通の都会の道だったんですが、相方が照明が独特の形をしてることに気づいて、北斎の絵っぽい雰囲気を出してるのかな、と言ってました。小手先だな…。あと北斎美術館とかいうのも道なりにあったみたい。途中でスカイツリーが一望できるスポットもありました。

いつもギリギリに到着して冷や汗ものなのですが、今回は開演10分前。だいぶ余裕もって出たつもりでしたが、ちょうど良いというか、ある意味これ以上遅れるとまずい線でしたね(笑)

すみだトリフォニーホールは新宿文化センターとかに比べると少し狭い気もしましたが、わりかし立派な大ホールで、わたしたちは3階席でした。あらかじめ席予約したんですが、3階しか連番が残っておらず。まあ仕方なし。

前半―ドラクエ1

最初はいつもどおり、「序曲」から。ドラクエはシリーズごとに序曲も少し趣が違って、ファンファーレから始まるのは1、2、3だけで、今聞いてみると、一周して新鮮な感じです。

いつもの序曲と違って、途中でマイナーコードっぽい転調したパートがあって、9のラスボス曲に挿入された序曲モチーフのパートを思い出したんですが、前から交響組曲にあったのかな? ああいったマイナー転調の暗めの雰囲気は好きなので、今までで聞いた序曲の中で一番好みでした。ファイナルファンタジーのメインテーマも、3だけ物悲しい序奏が入りますが、ああいうのが好きです(笑)

その後、指揮者の方が出てきて、曲の紹介などされたんですが…

慣れてない! こう言っては申し訳ないけれど、トークがあまりうまくない方で、「えー」という癖が強すぎて、話の内容もこんがらがってて頭に入ってこない。緊張されてたんでしょうかね…。東京シティフィルのほうの指揮者さんは生粋のドラクエマニアで、トークも抜群にうまいから、それと比較しちゃかわいそうなんだけど、どうしても…。

しかも、なんか配布されたプログラムが間違ってるとかで、休憩前の部に書いてある「王宮のロンド」は休憩後の誤植です、と。確かに言われてみれば、休憩前は1と2なので、3の「王宮のロンド」は休憩後ですよね。コンサート序盤にして、なんか暗雲漂う不安が…。

さて、演奏は「ラダトーム城」と「街の人々」。「ラダトーム城」を聞くと、ああ、ドラクエだなーと感じますね。あのどこか寂寥感漂いつつも、高貴な王宮らしさもにじみ出でいる名曲。ドラクエが他のRPGと一線を画していたのは、「ラダトーム城」とか「広野を行く」とかが、ゲーム音楽のイメージとは全然違う大人びた中世ファンタジー風のかったこよさがあったからだろうなーと思います。そしてまた「街の人々」などの平和な場所とのギャップがすごくよくて。街を一歩出れば孤独な旅が待ち受けている、勇者の使命を帯びている。そんなメリハリも効いてましたよね。

と、二曲終わると、指揮者さんが出てきて、1の曲はこれで終わりです、と。へ? ドラクエ1これだけ? 確かにゲームのボリュームからしたら1<2≪3だけど…、自分にあまり馴染みがない初代と2の曲を楽しみにしてたわたしとしては何か寂しいな。

前半―ドラクエ2

指揮者さんは少し雄弁になってきて、ご自身のドラクエの思い出も話し始め、1から2になったとき一番びっくりしたのは主人公がカニ歩きじゃなくなったこと、とおっしゃって、会場にも共感の笑いが。あと仲間が増えていくのも革新的だったと。わたしはリアルタイムでやってないけど、親からその感動聞いてたからわかるな。

ここからはドラクエ2のターン。

オープニングで、ムーンブルク城にハーゴンの軍勢が攻めてくるときの「パストラール~カタストロフ」。のどかな平和さの中になんとなく不穏さが感じられる「パストラール」から、一転して争いの恐怖が押し寄せる「カタストロフ」。

この二曲を聞くと、すぎやま先生の曲作りの上手さがよくわかる。普通のゲーム音楽だと、平和な曲は完全にのどかで、バトル曲は完全にバイオレンス。でも、すぎやま先生の場合は、クラシックのモチーフ的技法を使って、のどかな中にも忍び寄る恐怖を表現するんですよね、聞いて思ったのは、とび森のアイカ村のテーマ、「うたたねのゆめ」のような不気味さがどことなく感じられるなーということ。

そこへ来てカタストロフでは一気に恐怖が押し寄せてくる激しい曲調に。でもここでも、ずっと激しい禿山の一夜的な感じではなく、ところどころ小休止を挟んでくるのがリアルなんですよね。強敵から逃れて難を脱したかと思ったところでまた襲撃されて絶望を味わうというか。つくづく物語を曲で表現される方だなーと思います。

続いては「遙かなる旅路~荒野を行く~果てしなき世界」のフィールド曲3連続。ドラクエ1のイメージが強い「荒野を行く」ですが、2でも出てくるので、このメドレーになっても違和感ありません。…のだけど、こうやって通して聞いてみると、最後の「果てしなき世界」が明るく楽しそうなのなんのって。あの曲のイメージはというと、ロンダルキアの大地で真っ白な雪原をほこらになんとか辿りつこうとして道中で死んでしまう恐怖と結びついてるから、弾けた明るさが逆に怖かったり。

それから「戦い~死を賭して」。通常バトル曲とラスボス曲のメドレー。前のコンサートの感想にも書いたけど、ドラクエのバトル曲って、ゲーム音源とかCDで聞くと迫力全然なくて、すぎやま先生バトル曲ダメだよなーって思うのに、オーケストラで聞くと、パーカッションが超絶すぎて、途端に名曲に変貌するんですよ。最近ドラクエコンサートに行くのは、バトル曲聴きにいってると言っても過言ではないほど、オーケストラのバトル曲はかっこいい。もう別人ならぬ別曲。ドラクエ2のこの二曲も例外ではなく、弾けるドラムと鳴り響くシンバルとで、手に汗握る強敵との戦いがゲームどころじゃない再現率。ラスボス曲なんて地鳴りのようにズシンズシンとシドーが迫ってくる緊迫感。ドラクエのバトル曲はいまいちだと思ってる方がいたら、ぜひコンサート行ってほしいです。すぎやま先生はバトル曲作るのが下手なんじゃなくて、クラシックとオーケストラ意識して作ってるから、ゲームやCDになるとその躍動感が伝わらないだけなのだきっと。

激しいバトル曲が終わると、一転して平和なしみじみとしたエンディング曲、ダイの大冒険でもおなじみの「この道わが旅」に。(ダイの大冒険見たことないのは黙っておこう…) あんなこともあった、こんなこともあったとて冒険を振り返らせてくれるようなノスタルジックなメロディはほんとに名曲。ドラクエのエンディングの中でも5の「結婚ワルツ」と双璧をなす大好きな曲です。あれっ、そういえば同じく歌詞ついてる「Love Song 探して」がなかったぞ…。2といえばあれで始まってこれで終わるという感じなのに…ちょっと残念。

後半―ドラクエ3

休憩は10分か20分か忘れましたが、特に物販にも用無いので相方としゃべってました。パーカッションがよくてびっくりしたとのことで、よしよしドラクエコンサートの魅力が伝わってきたなと(笑) ゼルダのバトル曲とかは、オーケストラでもあんまりイメージ変わらないのに、ドラクエだけは別曲になるからほんと不思議。そんなわけで後半の聞き所は「勇者の挑戦」だよーと予告しておきました。

後半始まる前に、支配人さん?かが出てきて、前半曲のセットリストに「戦闘」が書いてあったけど、すぎやま先生からもらった楽譜になかったので演奏できず間違いでしたとかなんとか。今回のプログラム間違いすぎでしょ!!! そういやドラクエ1の曲が一瞬で終わったからおかしいなーとは思ったんですよね…。2と3のセットリスト見る限り、本当はあのあとに「戦闘」と「フィナーレ」が続くはずだったのでは…。

曲の演奏はものすごくすばらしくて、はっきり言って東京シティフィルより好みなんだけど、進行がグダグダすぎて、すこしゲンナリ。

後半始まって、指揮者さんがまた語り出したんですが、今回は、主席チェロ奏者の方が生粋のドラクエファンだということで、インタビュー形式に。

これが英断で、チェロ奏者の方が話がうまくて、今までのグダグダっぷりが吹き飛びました。なんでもドラクエと一緒に1986年に生まれた31歳で、小学校のとき友だちの家にドラクエ3があったなんだけど「これはとても難しいので触っちゃだめ」と言われてたとか。後から思えば、衝撃与えたらセーブデータ消えるからだったんですね、というところで会場大爆笑。みんなあのころのドラクエの消えやすさに煮え湯を飲まされた世代ですもんね…。 その前はその前で復活の呪文の悲劇が…。

それで、初ドラクエは5で、ドラクエ含めたゲーム音楽が好きで耳コピして楽譜に起こしてピアノで弾いているうちに、それが受験で役立って音楽の道に進んだとかいうゲーム音楽の申し子。かっけー!! そしてその才能が羨ましい(笑)

そんなこんなで場が盛り上がったところでドラクエ3のセットリストに突入。

まず「王宮のロンド」から。個人的には1とか6とかの寂しげな王宮曲が好きだけど、印象に残ってるのは3とか5の豪華な王宮曲ですね。聞く機会が多いからか、もういいよと言いたくなりつつも、聞いてみると優美でいい曲だなーとしみじみ。

続いて「世界をまわる(街~ジパング~ピラミッド~村)」。街曲とジパングやイシスの曲のメドレーで、3のコンサート行くと、必ず聞くやつですね。街や村はいつもの安心できるドラクエテイストの平和な街だし、ジパングとピラミッドは民族調のいかめしい妖艶な感じが見事です。だけど、なんとなくドラクエっぽさから言うと、ちょっと異端な気も。裁くはともかくジパングみたいな曲やスポットは、その後のドラクエでは見かけないような。プレイしてないけど10の初期村はそんなのだっけ? 個人的にはドラクエって言うと、東洋ではなくやっぱ西洋なイメージで、民族調の音楽も4のジプシーや7のユバール族みたいな流浪の民のイメージ。ただの偏見かもしれませんが(笑)

それから勇ましいフィールド曲「冒険の旅」。ドラクエのフィールド曲で勇ましいのって珍しく、オーケストラとよく合ってて壮大です。壮大さの中にちょこっと物寂しさがあるというのは5のフィールド曲とも似ているか。

それから「ダンジョン~塔~幽霊船」、そして「鎮魂歌~ほこら」。洞窟やダンジョンの中で、魔物の影が見えて、にじりよってくるような、焦燥感というか不安というのかが、よく現れています。ひとつのメロディというより、モチーフを集めた音楽作りなので、ときどき鳴る魔物のモチーフが、闇から忍び寄る魔物の怖さによくマッチしているなと。ミュージカルっぽいというのか。「鎮魂歌~ほこら」は、すぎやま先生お得意の全滅→浄化メドレーですね…。

次は「海を越えて」。いつもの船旅曲。ドラクエの船旅曲ってどれも船旅の雰囲気をこれでもかと出していて、どれを聞いても同じようなイメージが湧くという定番かつ当たりハズレのない曲です。そのせいで、いまだにわたしは船旅曲だけは、聞いてもどのナンバリングのものか区別がつきません…修行が足りないわ。いい意味でぜんぶ同じに聞こえる。

次は「おおぞらをとぶ」。言わずと知れた超名曲。ラーミアのテーマ。8でまさかのラスボス曲にアレンジされましたが、この完成度の高い原曲あってこそ。雰囲気的にはFF6の後半の飛行船曲とよく似た黄昏時の哀愁ただよう曲調なんですが、ラーミアのほうはゆったりとした穏やかさから鳥に乗っている感をうまく出していて、FFのほうは飛行船らしい疾走感が出ていて、違う作曲家だけど好対照をなしている感じがしますね。

そしてついに来ましたよバトル曲! 「戦闘のテーマ~アレフガルドにて~勇者の挑戦」 まずは通常バトル曲から、下の世界のフィールド曲、そしてラスボス曲へ。あれっ、バラモスの曲どこいった、とかいうツッコミはなしで。もともとファミコン版ではなかったのだ。

通常バトル曲だけでも素晴らしいパーカッションだけど、やっぱり一番はドラクエ史上屈指のバトル曲である「勇者の挑戦」。数少ないオーケストラ以外のゲーム音源で聞いてもカッコいいバトル曲。これをオーケストラで聞くと、ものすごい迫力で、ところどころに序曲のアレンジが入っているのに気づくと鳥肌が立ちます。すぎやま先生の得意な曲って、哀愁ただよう曲と、パーカッション激盛りのバトル曲(ただし生演奏に限る)だと勝手に思ってるんですが、この曲と9の「おおぞらに戦う」は、その両方が味わえる渾身の曲だと思います。それにしてもドラクエのラスボス曲のオーケストラって、必ず最後はドーンという巨大なドラムで終わるんですね。やっぱラスボスの巨体が地に崩れ落ちて倒す瞬間を表現してるんだろうか。

最後は「そして伝説へ」。言わずと知れたドラクエ3のエンディング曲であり、実際にこの曲を持ってしてドラクエというシリーズが伝説になったといっても過言ではない。個人的にはこの曲にはあんまり思い入れがなくて、良くも悪くも優等生的な直球エンディング曲な感じ。でもドラクエ3の場合は、ストーリーでさんざん紆余曲折やってるから、完璧なエンディング曲が求められていて、そのニーズにこれでもかと合致してるなと。これでもかという王道を貫ききったからこそドラクエ3がいまだに頂点とも言われるんでしょうし。あまり思い入れはないと言いながら、この曲を聞くと、無条件で達成感に浸って安心してしまう自分がいますね。

フィナーレ

これでセットリスト曲は終了! いやー味わい深かった。最後に指揮者さんが出てきて、「最後にアンコールとしてフィナーレを演奏して終わります。ありがとうございました」と。

…な、なんか、そっけないというか…味気ないというか…。 やっぱ進行は苦手なんだろうなと苦笑い。それとも東京シティフィルの過剰サービスに慣れきって感覚が麻痺してるだけなのか(笑)

ということで最後は1のエンディング曲「フィナーレ」。いちおう1もクリアしたはずなんですが、歴代の中で1番印象に残ってないエンディングだったりします(笑) でもリアルタイムで1やった人にとってはきっと感無量の曲なんだろうなー。最後は序曲で締めてほしかったけど、1のエンディングで締めるというのも、1・2・3コンサートらしくていいですね。まわりを見回してみると、わたしらより結構上の世代の男女が多くて、リアルタイムで1から3をプレイした方々なのかなーと思ったり。

こうして、今回もコンサート終了。ちょっと進行に難ありでしたが、演奏はすばらしかったです! 個人的にそれほど思い入れのない1-3だったからこそ、いつもより新鮮な気分で味わえたかも、これで1-7のコンサートは全制覇。8、9、10はまだコンサート聞いてないけど…8はあんま好きじゃないし、10はやってないから、聞きに行くなら9かな、という感じでした。東京シティフィルが次は8だったと思うから、9と10も近々やりそうではある。また楽しみにしたいです。

帰りはもう暗くなってましたが、相方と両国駅までまたトボトボと歩きました。行きしなに見たスカイツリーが見えたスポットライトに行くと、ちょうどスカイツリーがライトアップされてて、写真を撮りましたが、隣の団地の照明が明るすぎてスカイツリーがしょぼく見えるというオチでした…(笑) このあたりは遠いから、なかなか来ないんですが、相方が江戸東京博物館とか北斎美術館に来たいというので、またそのうち来ることになりそうです。


Categories: その他。2017.06.17