かねてから胃の調子があまりよくないので、ずっと渋っていた胃カメラを受けることになりました。胃カメラごとき、大したことがないと鼻で笑われそうですが、色んな人から痛いとか苦しいとか脅されていたので、かなり不安だったのです。単なる検査なのに、同意書とか書かされるし…。
わたしが受ける胃カメラは、オーソドックスな口から入れるタイプとのことでした。今では鼻から入れるタイプや、寝ている間に終わってしまうのもあるそうですが、特にうちの病院がどのタイプかまでは詳しく知りませんでした。
無事に終わったので、せっかくの出来事を体験記にまとめてみたいと思います。
検査前日
検査前日(昨日)は漠然とした不安で頭がいっぱいになっていました。痛かったり苦しかったりしたら嫌だなーと落ち着かず、用事が手につかない感じでした。
それに、内科の先生が好きではなくて。患者のことをただのデータだと思ってるんかい!と言いたくなるような無思慮で気持ちを逆なでする人で、言動を思い返すたびに腹が立ちます。その病院自体は、評判がいいんですけどね。まあ胃カメラ当日はその先生とは会わないので、あまり関係ないのですが。
とにかく、不安で落ち着かないので、いつものように心を鎮めるためのマインドフルネスをやりつつ、家族に話を聞いてもらって、気持ちを整理すると楽になりました。こういう不安なときに、落ち着かせてくれるパートナーがいるというのは本当にありがたいことだなーとしみじみ思いました。
前日の夜は、午後9時以降は、飲食禁止。当日は絶飲食(必要な内服薬のみ少量の水で)とのことだったので、つい何かを食べてしまわないよう注意しました。
検査当日
検査当日(今日)は、6時起きで、7時半過ぎに家を出て病院へ。2月も半ばだというのに寒波が到来していて異常に寒すぎるし、通勤ラッシュが辛い…。寒い時期に検査を受けるより、もっと暖かくて筋肉が緩んでる時期のほうがいいのかなーと思ったものの、あとのまつり。
なんとか検査時間までに間に合い、胃カメラ室の前に座って、マインドフルネスしながら、気持ちを落ち着かせる。昨日はけっこう不安でしたが、当日になってみると、普通に落ち着いていましたね。
わたしは、家族の指摘によると、ワーキングメモリが少ない人間だから、大変な予定の前の日などは不安で頭がいっぱいになるものの、当日になって実際に動き出すと、目の前のことしか考えられないので不安がかえってなくなってしまうらしい(笑)
ちなみに、わたしはリラックス法としては、自律訓練法と漸進的筋弛緩法とマインドフルネスが使えますが、時と場合によりけりなものの、マインドフルネスが一番優秀だと思っています。さすがGoogleが会社ぐるみで使っているだけある。
胃の中の泡の除去(ガスコンドロップ)
胃カメラ室から名前を呼ばれて室内へ。まず、上着を脱いでベッドに座って、差し出されたシロップを飲みます。小さなコップ一杯くらいの量。シロップだけあって、ちょっと甘い?ような味わいで、特に問題もなく飲みました。
後で調べたら、これはガスコンドロップだということ。ガスコンは、以前に、おなかの膨満感が強いために飲んだことがありました。おなかのガスを除く薬ですね。
わたしが錠剤で飲んだときは、おなかの張りには特に効かなかったのですが、今回飲んだシロップは、胃の中の粘液の泡を除去する目的だそうです。
のどの麻酔(キシロカインゼリー)
それから、ベッドに仰向けに横になりました。不安が募りますが、もうここまでくれば、観念するしかありません(笑) まな板の上の鯉。どうにでもなれ!という感じです。ともあれ、わたしはいざとなると落ち着いているほうなので、わりとリラックスしていました。病院まで遠かったので、横になれてかえって嬉しかったというか(笑)
そして、のどを麻酔するとのことで、どろりとした液体を口の中に注がれて、今度は呑み込んではいけない、とのこと。特に不快だったりはしませんが、事前調査から、この過程がわりと重要だという情報を得ていました。
ポイントは、飲み込まないけれど、のどの力を抜いて、できるだけ、のどの奥まで麻酔剤が行き渡るように意識すること。そうすれば奥のほうまで麻酔がかかって、あとあと楽になるそうです。意識的にのどの力を抜きつつ3分待ちました。
3分経つと、それなりにのどのあたりがしびれているので、口に含んでいたのを吐き出すか、飲み込むかします。歯医者の麻酔などに比べて、あまり効いているような気がしなかったので、ほんとに大丈夫かな、と思ったものの、もうどうしようもありません。
後で調べたら、このゼリー状麻酔剤は、キシロカインゼリーと呼ばれるものだそうです。意外とこれがきついと書いている人が多いですが、わたしは全然問題なかったです。喉が腫れるとか息苦しくなるとかも皆無。人によるのかもしれませんね。
最近では、ゼリーのかわりに、もっと楽なキシロカインスプレーを使っているところもあるとか。わたしは何事もないタイプでよかった(笑)
睡眠導入薬を点滴(ドルミカム)
そして、ベッドの上で、左側を下にして完全に横向きになり、ひざを曲げて、背中を少し丸めた姿勢をとります。寝るときのリラックスする姿勢ですね。
そのとき、左手のほうに、鎮静薬を注射するとのことで、細い注射針でチクリとされましたが、特に問題はなく。
というより、注射する看護師さんが、どうもまだ初心者らしくて、逐一指示を受けながら血管を探していたり、注射のあと駆血帯を外し忘れたりして、痛みや不安よりも、そちらのほうがヒヤヒヤしてました。
その後、口に胃カメラを入れる入り口としてマウスピースをくわえさせてもらいました。眠くなってくるので、今のうちにくわえてくださいと。
ここも調べてみたら、使われていた薬は、ベンゾジアゼピン系の睡眠導入薬のドルミカム(ミダゾラム)という鎮静薬でした。
まーったく知らなかったのですが、うちの病院の胃カメラ、最近話題の寝ているうちに終わるタイプの苦痛の少ない胃カメラだったようです。わたしとしては、寝ている間に終わるタイプは、痛みなどに反応できず、危険という話も聞くので、多少苦しくても、鎮静薬を使わないほうがいいよね、と思っていたのですが…。
さらにさらに…
胃カメラ挿入!
「眠くなってきますので目をつぶってリラックスしてくださいねー」と言われて、目を閉じてゆったり呼吸します。
いよいよ胃カメラの挿入。
「胃カメラ入れますよ―」と聞こえて、一瞬のどのあたりに異物感を感じましたが、それも一瞬だけ。その後は特に何も感覚はなく、落ち着いてゆっくり呼吸していました。
さきほど、鎮静薬を入れられたわけですが、なんと…わたしは普通に起きていました(笑) ぜんぜん眠くない。5分間くらい、マインドフルネスを意識しながら、静かに待つ。目を閉じて、余計なことは考えないで、ひたすら呼吸に注意を集中するのがマインドフルネスです。
胃カメラが体の中に入っている、というような違和感はまったくなく、ただ横を向いて静かにリラックスしているだけでした。横向きなので、モニタで自分の胃の中を見れないのは残念。
じつはわたしは、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬がぜんぜん効かない人なのですね。 昔、睡眠障害が出ていたころ、マイスリーやらハルシオンやらロヒプノールやら、ベンゾジアゼピン系の薬はほぼすべて試しましたが、量を増やしても効いた試しがありませんでした。そもそも眠くなりさえしない。
ハルシオンは確かイギリスでは劇薬扱いの危ない睡眠薬だとか。副作用で記憶が飛ぶとか転倒するとかよく言われますが、わたしは最大量飲んでも何も感じませんでした。おかげで、睡眠薬依存の危険がなくてよかったともいえますが。
そんなわけで、しばらく落ち着いて呼吸しているうちに、胃カメラが抜かれました。そのときまで、痛みとかはまったくなかったので、もしや、ここまでが前哨戦で、ここから、散々脅されていた苦しい胃カメラが始まるのでは…とドキドキしていたのですが、「もう終わりですよー」とのこと。10分や20分くらいかかるのかと長期戦を覚悟していただけに、拍子抜けでした。こんなに楽でいいのだろうか。
目を覚ます拮抗薬(アネキセート)
そして注射の点滴が、ドルミカムの拮抗薬である、目を覚ます薬のアネキセート(フルマゼニル)に変わったらしく、しばらくして、点滴が外されました。
「もう起きていいんですか?」と言うと、「ふらふらすると思うので、この車いすに座ってください」と支えられながら立ち上がる。いやいや、まったく普通に歩けるんですが。
全然問題ないと言ったのですが、そういう決まりらしくて、車椅子に乗って、荷物も持って、そのまま別の部屋のベッドまで運ばれていきました。めったに車いすなんて乗らないので、意外と乗り心地がいいな、と思ったり。のどの麻酔のほうは、もう完全に切れていて普通の感覚でした。おなかの具合は、横になっていたせいか、鎮静薬が効いたのか、むしろ楽だった気も?
今回は、組織検査はしなかったとのことなので、どうやらポリープとかはなかったようです。「胃潰瘍などの結果は次の診察時に先生に聞いてください」というようなことを言われておやっと思ったのですが、炎症があったんですかね? それとも、検査を受けた方全員に言っている定型句なのかな。
食欲不振と胃の膨満感で胃カメラを受けたので、慢性胃炎があっても不思議ではありませんが。そうだとしたらピロリ菌除去になってしまうのかなー(>_<) ピロリ菌は、悪者扱いされるけど、本来はいいやつなんですよ。胃潰瘍や胃がんを引き起こす場合は除去もやむなしだとは思いますが…。
連れて行かれたベッドに寝るよう言われて、車いすから立ち上がりましたが、別にふらつくようなこともなく。普通にいつもどおり立って、いつもどおり横になりました。そのときについでに、今日使った薬の名前を聞いて、この記事にまとめるための情報収集をしておきました。
ベッドで1時間くらい横になって、鎮静薬が抜けたら、帰らせてもらえるとのこと。暇なので、寝転びながら、オリヴァー・サックス先生の「色のない島へ」を読んでいました。ミクロネシアの先天性全色盲の話が興味深すぎて、1時間経つ間に半分くらい読めました。有意義な時間。
最後に看護師さんがやってきて、ふらつくので気をつけて帰るよう言われて、支払いを終えて帰りました。費用は5000円弱。
帰りは、ちょっと疲れを感じましたが、特にいつもと変わったこともなく、引き続き「色のない島へ」を読んでいました。ジャワ島の神経難病、リティコとボディグの話を途中まで。前にも別の本で聞いたことがありましたが、島民の多くが発症を運命づけられた病気。置かれた状況の受容についていろいろ考えさせられます。
昼過ぎに、家に帰りついて、ようやく美味しい飲み物を飲んでホッとできました。
はじめての胃カメラを終えて
痛いとか怖いとか苦しいとかいう噂を聞いて、かなり不安を募らせていた胃カメラ。もちろん、胃カメラごときより、もっと怖い検査や手術は山ほどあるのですが、胃カメラは、なんだか、やたらと脅かされるので、けっこう怖かったのです。
でも、ありがたいことに、やってみると、びっくりするほど拍子抜けでした。
かつてあごの骨の中に埋まっていた親知らずを四本抜いたりしたときのほうがよほど怖かった。 あのときは、術後の腫れもひどかったですし。
わたしの今回の胃カメラが、まったく痛くもかゆくもなかったのは、寝ている間に終わるタイプだったからなのでしょうか。鎮静薬のドルミカムは、医者によっては、「意識が戻らない可能性があるから使わない」とか、書いている病院もありましたが、わたしは眠くさえならなかったんですけどね(笑)
はっきりとはわかりませんが、わたしの場合は、胃カメラが楽だったのは、鎮静薬はあまり関係なくて、のどの麻酔ゼリーをしっかり奥まで含んでいたことや、検査にあたった方の腕がよかったことなどがポイントだったのかもしれません。最近は医学が進歩して楽になってきているのかな。
…と思ったのですが、家に帰ってから、この記事をまとめるために、胃カメラの体験談を調べてみると、本当に多種多様。目は覚めてたけどまったく問題なかったというわたしのような人もいれば、ドルミカム使っても嘔吐反射がきつかったという人も…。どうやら、たまたまわたしが幸運だっただけかもしれません。
今回の胃カメラの結果は、2週間後の診察で聞くことになるので、わたしの場合はそれからが本番だといえそうです。ポリープなどはなかったみたいなので、慢性胃炎でピロリ菌除去になるか、それか機能性ディスペプシアでアコファイド服用になるか、どちらかでしょうね。
▽追記
後日、検査結果を聞きに行ったところ、軽い慢性胃炎だったので、それに応じた治療をすることになりそうです。