昨2015年の11月のにPainterの体験版をダウンロード、12月に製品版を購入して、Painter使いにデビューして、今月で1年になります。Painterのリアル水彩・油彩などで描いた作品総数は、昨日までで76枚にのぼりました。
パソコンのお絵かきソフトをほぼ未経験の段階から、いきなり王者と言われるPainterの世界に飛び込んで、色々と慣れが必要な部分もありましたが、結果的に大満足で、今では最高のお絵描きツールだと思っています。
1年使ってみて気づいたPainterの魅力や使い勝手の感想などを、この一年間に描いた絵をまじえて振り返りたいと思います。
なぜPainter使いになったのか
Painterというと、パソコンのお絵描きソフトの元祖と言われながら、扱いの難しさゆえに、あまり使い手を見かけないお絵描きツールです。
最近人気があるのは、(わたしはあまり詳しくないのですが)手軽で高機能なSAIやCLIP STUDIO PAINTなどでしょうか。あとは定番Photoshop、Illustratorをお仕事で使っている方も多いかもしれません。
そんな並み居る優良ソフトの数々を脇において、わたしがPainter使いになった理由は、以前の記事でまとめましたが、もう一度、簡単に説明したいと思います。
わたしはもともと「絵心教室」というアナログ風の描き心地のソフトで絵を学んだので、デジタルでも、手書き風の表現ができるソフトに関心がありました。特に水彩を描きたくて、色々調べてみたところ、表現力が優れていると評判だったのがPainterでした。
しかし、不思議なことに、ネット上でPainterで描かれた絵を検索しても、Painter使いの方は(特に日本では)それほど多くなく、個性もバラバラで、今ひとつどんな絵が描けるのかわかりにくく、特に水彩を使っている絵はほとんどお目にかかりませんでした。
色々なところの解説を見ると、「ペイントソフトの王者」とか「他の追随を許さない表現力」とか褒めちぎられているのですが、目的がはっきりしていない人には何でもできすぎて使いにくい、動作が不安定といった意見も多く、ソフトも高価なので、二の足を踏むこと半年。
しかし以前のツールの表現力に限界を感じて頭打ち状態だったので、意を決して体験版をダウンロード。評判どおり、使い勝手がピーキーで、最初は中々思うように絵が描けませんでしたが、確かに表現力には素晴らしい魅力を感じました。
その魅力に惹かれて、体験期間の30日間、ひたすら練習したところ、なんとか描いていけそうな手応えを得ました。それで今後の伸びしろにも期待して、先行投資だと思い切って、高価な買い物を決意し、晴れてPainter使いになったのでした。
Painter使いになって一年の歩み
Painter使いになってこの1年は、Painterの豊富過ぎる機能を色々と試してみて、自分なりのスタイルを模索した一年でもありました。
Painterというソフトは、ありとあらゆる画材を詰め込んだオールインワンパッケージみたいなもので、画材ツールの種類の総数は「アクリル」「油彩」「リアル水彩」「チョーク&クレヨン」など30種以上、ブラシの種類となると、把握できないほどの種類があります。もちろん自分で作成して細かい調整をすることも可能。
あまりに色々と多すぎて、何を使ったらいいのか、好みの描き味にするには どの項目をいじればいいのか、最初は見当もつきません。
わたしの場合、水彩を描きたかったので「リアル水彩」をメインに使ってきましたが、好みの描き味に調整するのに、かなり苦労しました。解説してあるサイトはほとんどなく、あってもリアル水彩にはあまり言及していないか、解説が高度すぎて意味不明なことが多く、自分で試行錯誤するしかない状態でした。
その中で、一番最初に右も左もわからないままで、「リアル水彩」と「チョーク」あたりを使って描いた作品がこちらの「幸せの指輪」。
うまく使いこなせていないものの、本物の水彩っぽい表現に心惹かれました。このにじみや濃淡は、今まで使っていたお絵描きソフトではどうても出せなかった手書き風の味わいでした。
1ヶ月くらい経って、次第に描き方がわかってきて、上と同じ画材で描き、かなりの手応えを得た作品がこちらの「虹のお城の王女さま」。
今でもかなりお気に入りの作品ですが、このレベルになると、デジタルではなくて、本物のアナログ水彩で描いた、と思っていただけるのではないかと感じました。Painter買ってよかった、ずっとPainter使いでやっていこう!と思えた里程標ともいえる一枚ですね。
そして、さらに使いこなせるようになり、「チョーク」を使わずに、「リアル水彩」一本で全体を仕上げられるようになってきたころの印象的な作品がこちらの「みんなで絵を描こう!」。
遠くの風景など、より水彩っぽい表現で描けるようになり、自分の描きたい絵を申し分ないレベルで表現できるようになりました。今年4月の作品なので、Painterを使い始めて約半年のころですね。
この絵でほぼ現在までの方向性が定まり、Painterの「リアル水彩」使いとしての自分のスタイルが完成されたと思っています。その後の作品群では、今まで描きたくても表現できなかった雰囲気を、期待以上の表現力で描ききれるようになりました。
Painterのリアル水彩の使い勝手
ここまで見てきたように、わたしが使ってきたPainterの画材は、「リアル水彩」がほとんどです。
「リアル水彩」の筆は、そのまま使うと、描画に遅延が生じたりして、アナログっぽくてリアルなものの、あまり描き心地がよいとは思えませんでした。そのため、少し値を調整して、自分好みの設定の筆を作って使っています。
具体的なことは、以下の2つのメイキングの中で説明しています。
使っている「リアル水彩」の筆は、「フラクタルウォッシュ(水彩)」「紙目水彩」「フラクタルドライ消しゴム」の3つだけで、それぞれ上記のエントリの中で説明してあるように、「ぼかしの処理待ち」「正確なぼかし」などのチェックを外して、描画を早くしています。
そのほか、適宜いろいろなカテゴリのブラシのうち使いやすいものを併用したり、特殊機能を使ったりして、微調整して水彩っぽい絵を描いています。
リアル水彩ツールの特殊な点は、下の色を透過するので、塗れば塗るほど濃くなっていくこと。そのため、厚塗りのように、失敗したときに上から塗り重ねて修正したり、明るい場所を描きたいときに上からハイライトを塗り重ねたりすることはできません。
ですから、基本的には紙の白色を活かして、薄く塗り重ねていくというアナログの水彩らしい塗り方をします。塗りすぎてしまって薄くしたい場合はフラクタルドライ消しゴムが便利ですが、消すと黄みがかってしまうので、できるだけ塗るときに薄く重ねて表現するほうがいいです。
シャープなハイライトが必要な場合は、別途レイヤーを一番上に追加して、チョークなどで描き込んで柔らかくぼかすのがおすすめです。
Painterのリアル水彩は、文句なしの表現力で、わたしが描きたいと思っていた表現には十分なレベルです。最近は、友だちに絵を見せても、説明するまでは、アナログで描いたと思っている人もほとんどです。
絵具の垂れてにじむ感じなど、もっと水彩っぽく表現したい場合でも、機能をうまく使えば可能みたいなので、デジタルで水彩絵を描きたい人には本当におすすめです。
Painterの油彩の使い勝手
つい最近まで、完全にリアル水彩中心で、Painterの他の画材ツールは宝の持ち腐れとなっていたわけですが、ここ最近になって、油彩にも挑戦しはじめました。
こちらの「世界樹のふもと」は、まだ使いこなせていなくて油彩というよりは色鉛筆?みたいな風合いですが…リアル水彩の絵より暗く厚めな表現になっていると思います。
使用しているのは、アナログの油彩絵画のような風合いで描ける「油彩」と、絵具の盛り上がりによるでこぼこを表現できる「インパスト」。
「油彩」の筆の特徴は、「リアル水彩」の筆とは対照的に、下の色が透けないので、暗い色の上から白などの明るい色を塗り重ねることが可能だということ。だから失敗しても消しゴムいらずです。これもアナログの絵具らしい特徴ですね。
しかし逆に言えば、あまり色が混ざらないので、パレットナイフなどでなじませてグラデーションを作ることも大事になります。
さらに「インパスト」の筆の特徴は、油彩のように色を塗り重ねられるのと同時に、絵具の厚みのでこぼこが作られる点。インパストの筆で、でこぼこした絵具の厚みを作ると、上から油彩などで塗り重ねても、そのでこぼこは透けて残ります。修正するにはインパスト用のパレットナイフなどでなじませる必要があり、なかなか扱いが難しいです。
筆の設定などは、今のところリアル水彩ほどいじる必要を感じず、もともとある筆をほぼそのままの設定で使用しています。
リアル水彩の味わいはとても好きですが、油彩ツールで描けるアナログ感の表現もなかなか素敵なので、Painter使いとしての2年目は、油彩を練習してさらに描画スタイルを広げていきたいと思っています。
Painterには、ほかにも色々なツールが満載ですから、アナログ風の表現をしたい場合は、かなりの精度でさまざまな画材の雰囲気を再現できると思います。
公式サイトのギャラリーを見ると、完全に手描きの絵具の絵にしか見えない作品も多数。どうやって描いているんでしょうね。Painter歴まだ1年で、お絵描きレベルも低いわたしにはまだまだわかりません。
ギャラリー│ペイント プログラム – Corel Painter 2016
わたしは積極的にPainterの勉強をしているわけではなくて、自分が使いたい機能だけ使っているので、まだまだ未知のシステムが多いのだと思いますが、引き続き使い方を試行錯誤して、絵の腕も表現力も磨いていきたいと思います。
もしこれからPainterを買おうか迷っている方がいるなら、まずは、スケジュールを確認して、30日間ある程度時間のとれる時期を見計らって、公式サイトから体験版をダウンロードするのがおすすめ。そして体験版の試用期間中は、最初は満足に使えないとしても、すぐに投げないでやれるところまでやってみるといいと思います。
一度慣れさえすれば、Painterの豊かな表現力がとても魅力的に思えることうけあいです。