大逆転裁判ストーリー感想1 光るタクシュー脚本と魅力に溢れたホームズ像(第一話~第二話ネタバレあり)


  • 2015年7月17日
  • カスタムカテゴリー: 逆転裁判

転裁判シリーズ最新作、「大逆転裁判」をプレイし始めました。本当は発売日からやりたかったのですが、発売日がFEifのインビジブルキングダム配信と重なったので、一週間遅れのスタートとなりました。

逆転裁判シリーズは、どの作品も安定した面白さが保証されていて、黒歴史と言われる逆転裁判4でさえも一定の楽しさは保っていたので、今回も、レビューなどは一切見ることなく、即決で購入しています。面白くないはずがない、というわけです。

まずは、第一話から第二話までをクリアしましたので、そのあたりのファーストインプレッションをネタバレ込みで書きたいと思います。未プレイの人はご注意ください。

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第一話 大いなる旅立ちの冒険

あらすじ

大英帝国から日本に来ていたジョン・H・ワトスン博士が、レストラン「ラ・クワントス」で殺される。

偶然その場にいて凶器と思われる拳銃を拾ってしまった成歩堂龍之介は、犯人として検挙されてしまう。成歩堂は、被告人兼弁護士として、親友の亜双義の助言を受けつつ、自らの罪を晴らすため法廷に立つ。

いきなり犯人扱いの成歩堂

主人公がいきなり第一話から犯人扱いというのは、逆転裁判3の成歩堂龍一以来でしょうか。あのときは千里さんが弁護してくれましたが、今回は自分で自分を弁護するという不思議な始まり方です。

隣に立つ親友の亜双義が援護してくれてかっこいいのですが、成歩堂のヘタレ具合と対照をなしています。裁判の最初は、成歩堂は、弁護台を叩くのが「ぺしっ」という感じで迫力がなく、目もおどおどと泳いでいるのですが、中盤、大ピンチに陥ったとき、亜双義に迷惑をかけたくないという思いで覚醒し、堂々とした態度を取るようになります。

このあたりは、過去の王泥喜くんやココネと同様、裁判のさなかに成長し、覚悟を決め、頼もしくなっていくという描写で、とても盛り上がりました。後々の成歩堂龍一の面影が感じられて、思わずにやりとしました。

光るタクシュー脚本

今作の脚本は、近年の逆転検事シリーズ、逆転裁判5の山崎脚本ではなく、レイトン×逆転裁判以来のタクシュー脚本です。山崎脚本の、壮大で緻密な論理的ストーリーもいいのですが、タクシュー脚本では、登場人物の軽妙なやりとり、ウィットに富んだユーモアがあふれていて、読んでいて楽しいです。

特に優れているのが、登場人物の名前。昔の逆転裁判なら「やっぱり矢張」とか「あるまじきザック」とか「おおさわぎなつみ」とか、ひと目でどんな人物かわかるような名前が楽しかったですが、そのセンスは今作も健在。「そのひぐらし」さんや「うずくまる」さんが出てきます。「喝」「裂」の意味が分かったときも笑いました。タクシューは語彙が豊富で、言葉遊びがうまい印象ですね。「はしごときゃたつ」とかも。

その一方で、タクシュー脚本の悪いところもちらほら。途中に出てくる架空の毒薬は、過去に霊媒や魔法をストーリーに組み込んだタクシュー脚本の「なんでもあり」の悪い面が出ていて、少し冷めてしまいました。

タクシューは架空のものやオカルトを出しても、論理的な使われ方をしていれば問題ないというのが持論で、確かにその通りなんですが、推理が盛り上がっている途中でそれが出てくると、反則に思えます。というのは、こちらは常識にしたがってここまで推理してきたのに、途中で非常識を持ち込まれると、「そんなのわかりっこないじゃない」と思ってしまうからです。

クラーレという猛毒(2015/08/23追記)

ご指摘いただいたのですが、作中に出てきた毒薬「クラーレ」は実在するものだそうです。あまりに都合のいい設定だったので、架空のものと思い込んでしまいました。しっかり調査するべきでしたね。早とちりして申し訳ありません。

「クラーレ」は、カーター・ディクスンの「赤後家の殺人 (創元推理文庫 119-1)」にも登場していて、やはり飲んでも害がないが、血液に入ると死に至るという特性が言及されているそうです。

わたしは学生時代、ディクスン・カーが大好きで、ギデオン・フェル博士が出てくるのはほとんど読みましたが、カーター・ディクスン名義のヘンリ・メリヴェル卿(H.M)のはあまり読んでいませんでした。(読んでいても覚えていないかもしれませんが笑)

フェル博士は豪快で面白くて優しいおじいちゃんみたいで、H.Mは大柄でドタバタした変人なので、似ているとはいえ、フェル博士のほうが好きでした。口癖の「これはこれはこれはアテネの執政官(アーカンズ・オブ・アセンズ)」なんて今でも覚えていますよ。 

「クラーレ」という毒を使ったのは、ミステリマニアのタクシューらしいオマージュだったのですね。

しょっぱなから粘りに粘る真犯人

逆転裁判の真犯人というと往生際が 悪くて、粘りに粘ることが定番ですが、これまでだと第一話の犯人はあっさりしていることが多かったと思います。しかし今作の第一話は、犯人が粘る粘る。あまりに往生際が悪すぎて、テンポが相当悪いです。成歩堂がいったい何回ピンチに追いやられたことか。

最初のほうで提示それた証拠の違和感が、ぜんぜん扱われず、最後になってようやく話に上り、登場人物たちが、まるで今まで気づいていなかったように驚くというのも、逆転裁判4などに見られた悪い点ですね。写真のステーキがおかしいこととか、椅子が反対向きになっていることとか、ひと目で分かるのに、だれも問題にせず、成歩堂たちが何度もピンチに陥るという…。証拠の提示の順番をもう少し工夫してほしかったです。

そのような証拠の扱い方のテンポの悪さが、主人公が何度も追い詰められ、犯人が粘りに粘るという泥沼化を演出してしまっていて、話が無駄に長引いたように思います。一話からこれでは疲れますし、もう少しあっさりと進めてほしかったところです。

今回の第一話は裁判パート3つの構成でしたが、特に3パート目がダレたので、従来と同じく、前後編の2パートにしてくれていたら良かったんじゃないかな―と思わずにはいられません。

第二話 友とまだらの紐の冒険

あらすじ

成歩堂は亜双義の頼みで、大英帝国への船に密航する。しかし、ある日、目覚めると、亜双義は殺されていて、自分は犯人として手錠をかけられていた。成歩堂と法務助士の御琴羽寿沙都は、シャーロック・ホームズと協力して真犯人を探し出す。

突然の死

いきなり親友の亜双義が死んでしまい、ショックを受けました。しかし考えてみれば、二話目で主人公の親しい人が死んでしまうのは初代逆転裁判からの伝統でしたね。亜双義の死は、最初は大きな陰謀に巻き込まれての暗殺、という雰囲気が漂って盛り上がるし、死ぬのもいたし方なし、と思えるのですが、真実がわかると、なんだか無駄死っぽくて少々がっかりします。まあ成歩堂龍一の師である、綾里千里さんも、小物っぽい人物にあっさりと殺されてしまいましたから、ここも伝統なのでしょうか。

とはいえ、亜双義の死は、成歩堂の将来に大きな転機をもたらし、ようやく弁護士成歩堂龍之介としての、大逆転裁判のストーリーが第三話から始まることにつながります。

▼親友の刀を受け継ぐ成歩堂。しかしその名前は…

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シャーロック・ホームズ

この話で颯爽と登場するのが、名探偵シャーロック・ホームズ。自意識過剰で、好奇心旺盛で、推理も猪突猛進ですが、決して迷惑で頓珍漢な人物と描かれているわけではなく、良くも悪くも強烈な個性を持つ人物として描かれており、このエピソードでは一番目立っています。

彼の推理は、最初は外れていることが多いものの、着眼点は完璧で、成歩堂たちが「共同推理」で軌道修正してやれば真実にたどり着きます。その時も、シャーロック・ホームズが間違っていて成歩堂が正しかった、というような展開になるのではなく、成歩堂が導き出した答えをもとに、シャーロック・ホームズが自信たっぷりに推理を続けてくれるので、シャーロック・ホームズの顔はしっかり立てられています。

共同推理以外の場面でも、新しい証拠を発見したり、手がかりを見つけるために非常ベルを鳴らしたり、主人公たちが気づいていない真実を洞察していたりと、原作のような切れ味の鋭さは健在です。ただ原作以上の好奇心と衝動性と行動力が加わっていて、尖りすぎているだけなのです。非常に魅力的なキャラクターとして描かれており、シャーロック・ホームズをうまく逆転裁判の世界に取り込んでいるなあと感心しました。

最大のピンチの場面では、画面の左端に隠れている、ピンチを脱する助けを与えてくれる重要人物として現れ、実際に彼の気転で大逆転がはじまる、というのも彼の偉大さを示していました。最後に、自分のせいで成歩堂が嫌疑をかけられていたから、それを晴らすために全力を尽くした、と言ってのけるかっこよさにしびれました。

このホームズ像、原作より好きかも。

▼一見ただの変人だが…

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▼決めるときは決める名探偵

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悲劇的なストーリー

犯人とトリックには、大きな不満があるわけではないのですが、肩透かしな感じでした。犯人がかわいそうで、追い詰められていくので、これはまだ裏があって、裁判パートでは、この犯人らしき人を救うための大逆転があるのだ、と期待していたのですが、まさかの探偵パートだけでの終了。大逆転というより、普通のストーリーで、しかも犯人がかわいそうすぎるという悲劇的な展開に、意気消沈しました。犯人の人生があれで台なしだと思うと、まったく爽快感がありません。あとでフォローがあるといいのですが…。

あと前の話のイギリス人もそうですが、第二話のロシア人も変人に描きすぎていて、海外で発売するとき、偏見だらけだと言われないか心配でした。タクシューとしてはユーモアのつもりなのでしょうが、人種のあたりをユーモアでいじるとまずいのではないかと。

第一話・第二話のまとめ

少し厳しいことも書きましたが、さすが逆転裁判シリーズなだけあって、一定以上の楽しさは保証されています。逆転裁判のファンは期待が大きく目が肥えているので、逆転裁判新作は低評価のレビューが多いですが、十分楽しいといえるレベルはクリアしているとわたしは思います。

まだまだストーリーは始まったばかりで、ようやく第三話から大英帝国です。第一話は裁判パートのチュートリアル、第二話は探偵パートのチュートリアルだったことを思うと、ここからが本番でしょう。ようやく成歩堂も弁護士として舞台に立ちます。

第三話の出だしのワトスンの言葉からすると、第三話の事件が、ホームズと成歩堂の長い物語の幕開けとなるようです。大英帝国編に入って、各話につながりや伏線が出てくるのでしょうか。とても楽しみです。

ここまでのところ、大逆転裁判の魅力は、「光るタクシュー脚本」「魅力的で新しいシャーロック・ホームズ像」にあると感じました。今後、どんな展開で物語が進むのか、わくわくしながら進めたいと思います。

▼第三話の冒頭でいきなり出てくるラスボスぽい人 笑

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▼第三話から第五話(最終話)までの感想はこちら

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