2013年の10/8に絵心教室で絵を本格的に描くようになったので、この10月で、2年が経過したことになります。もちろん、それ以前からときどき絵は描いていたので、趣味としての経歴はもっと長いわけですが、毎月しっかりと定期的に描くようになったのはこの2年ほどです。
昔の自分の絵と、今の自分の絵を比較する企画は、Pixivでは「絵師進化録」と呼ばれているようです。昔Pixivをやっていたころに幾つか目にして、とてもおもしろいなーと思いました。
わたしは絵師なんて名乗れるレベルではなく、一介の絵描きさんに過ぎませんが、せっかくなので、この二年間の絵の変化の比較をしてみたいと思います。
もくじ
「ゆめまな物語」の2年進化録
この2年間描き続けてきたテーマとしては「ゆめまな物語」が大部分を占めるので、今回は、「ゆめまな物語」の絵を5枚ほど比較してみますね。
5枚では変化があまり伝わらない部分もあると思うので、もっと具体的な変化を見たい場合は、カテゴリ「ゆめまな物語」のページをさかのぼっていけば日付順に新しいほうから並んでいます。
また、最も変化が著しいと思われる一年目の経過についてはこちらの記事に去年まとめてあります。
ちなみに、自分の過去絵と今の絵を比べるのは恥ずかしいと思う方も多いでしょうが、わたしはなぜかそういう感覚が一切ないので、昔の絵も普通に載せています(笑) むしろ逆に自分の過去絵に魅力を感じて、今失われてしまっている部分に気づいて凹んだりします。
2013年11月 ふたりはいつまでもいっしょ
絵心教室スケッチを買って1ヶ月から2ヶ月くらいのころに描いた、記念すべき「ゆめまな物語」の最初の一枚。
完全に手探りで絵を描いている状態で、この絵を描くのにも、子どもが座っている写真など資料を集めて、必死になって描いたのは懐かしい思い出です。
当時は、SNSで交流していただいている方たちから、優しい絵、絵本みたいな絵と、ときどき褒めていただけるようになって、自分の絵ってそういうジャンルに向いているのかなーと漠然と思い始めた時期でした。自分では思ってもみない感想を聞けて、それがその後の方向性につながったので、貴重なフィードバックでした。
この絵に描いたキャラクター、つまり、ゆめとまなきという双子と出会ったのは、これより1年くらい前だったでしょうか。特に何かきっかけがあったわけでもなく、子どものキャラクターなんて考えてみたこともなかったので不思議な出会いでした。
SNSの方たちから、絵本みたいな絵、と言われたとき、なんとなく、自分の唯一の子どもキャラクターである、この双子を描いてみてもいいかな、という軽い気持ちで描いてみたのがこの一枚です。まさか今に至るまで続くテーマになるとは考えもせず。
このころはまだ猫のファンタスは合流していませんね。ファンタスが出てくるのは、この次の絵である、雪の日おでかけ楽しいなになってからです。キャラクターとしてはファンタスのほうがはるかに古くて、昔の絵ではファンタスがうたた寝で見てる夢という設定で擬人化されて冒険していたりしますが(笑)
2014年4月 ほしくず深海旅行
初登場の絵から半年。すっかり「ゆめまな物語」は定番になって、さまざまな冒険に出かけまくっていました。絵を描くのがとにかく楽しくて楽しくて。頻繁に海に潜っているシチュエーションもあり、この「ほしくず深海旅行」もその一枚。
このころの絵は、見ていただけるとわかるように、ほとんど輪郭線を使っていません。いわゆる厚塗り(インパスト)に近い塗り方で、面で形を表現しています。
というのは使っているツールである絵心教室というソフトが、こうした厚塗り型の絵に適しているからでした。絵心教室でアニメ絵を描いている人もいてわたしも試してみましたが、バケツツールなどがないのでただの苦行です(苦笑)
色のセンスがないことに悩んで、虹色のグラデーションをアクセントとして取り入れるようになったのもこのころ。この絵ではマッコウクジラが虹色ですね。どこかに虹色を配置することで、色のセンスがなくても、鮮やかで華やいだ絵に見えることがわかってきました。
毎回、完成するまでボツになるかどうかの瀬戸際で、イメージがうまく形にならず、完成にこぎつけるまでに身近な人に見せて修正点を指摘してもらったり、アレコレと描き直したりして、やっとなんとか作品として送り出せるようになる、ということの繰り返しでした。綱渡りみたいでしたね。
2014年9月 大樹のふもとに暮らす街
さらに前回の絵から半年。
この期間に、一度大きな挫折を経験しました。描きたい絵がうまく表現できないというジレンマがあり、SNSでの交流にも疲れて、一ヶ月ほど絵を描かずにいました。
その間、新しいスタイルについて考えていて、再開後は、これまでの厚塗りとはうってかわって、輪郭線を重視するスタイルに。最初にマンガみたいに全部輪郭線で描いてから、薄く色を塗るという、イラストチックなスタイルになりました。
こうすることで、立体がわからなくて厚塗りでは描けなかったようなモチーフも、簡単に描けるようになりました。たとえばこの絵では、遠くの町並みを描いていますが、輪郭線なしの厚塗りのときは、遠近感のある色使いや、たくさんの建物を色で区切ることなどがうまくできず、描けませんでした。
輪郭線のおかげで、この絵のような、豊かで細かい世界観のある絵を初めて描けるようになり、描きたい絵がうまく描けないというジレンマからはある程度解放されました。
また、この時期から、構図にも工夫を凝らしはじめ、遠近感のある一点透視図法の構図や、用紙を斜めに使った、角度と奥行きを取り入れた変則的な構図を多く用いるようになりました。
しかし、本当に描きたいのは水彩みたいな絵だったので、絵心教室というソフトでは限界を感じるようになって…
2015年1月 星空のオーロラカーテン
2014年年末に、Painterという高額お絵かきソフトを思い切って購入し、昔買ったペンタブを引っ張り出してきて、パソコンで描くようになりました。
最初は慣れなかったものの、30日体験版の最中に猛特訓して、なんとかやっていけるメドがついたので、本格的にPainterに移行。はじめのうちは、絵心教室の頃と同様に、輪郭線主体の絵を描いていましたが、Painterに慣れるうちに、もっと表現に幅を持たせることができるとわかってきました。
この絵では、手前の人物は輪郭線あり、奥の背景は輪郭線なしの厚塗りで描くというハイブリッドを試しています。これまで色々と試してきた手法を融合して、自分なりの絵を確立しはじめた手応えがありました。
お手軽で扱いやすい絵心教室と違って、Painterはなかなか乗りこなすのが難しいじゃじゃ馬でしたが、その表現力の多彩さはものすごく魅力的だったので、絵を描くのがより楽しくなりました。
また、この頃になって、以前から形だけは用意してあったこのウェブサイトをかなり手入れして、SNSではなく、自分のサイトを主要なギャラリーとして使えるようにリニューアルしました。
たとえ趣味であっても絵描きさんとして本格的にやっていくためには、SNSという賃貸共同住宅ではなくて、ウェブサイトという自分の一軒家が必要だと思ったからです。
自分のサイトなら、絵を載せるのにSNSの管理事業者の都合を気にする必要がありませんし、SNSの共同利用者という隣の住民からの評価などを気にして肩身の狭い思いをすることもありません。
タグ分け・カテゴリ分け・検索機能などがあったりして使いやすいですし、文章コンテンツを載せたり、日常生活について書いたりして、絵描きさんとしての総合的な情報発信もできますからね。
ちなみに先日、うちのサイトの絵の雑記のひとつが噂のGunosyさんに掲載されたみたいで、1日に10000人もの方に訪問されて仰天しました。 これもまぁ、自分のサイトを持っているからこそですね(苦笑)。
2015年8月 ごちそうは山の上で
そして最後は最近描いた絵。Painterもかなり使いこなせるようになってきて、描画スタイルや、色の用い方も安定してきて、思い通りの絵が描けることが多くなってきたと思います。わたしらしい絵というのが確立してきたかと。
輪郭線を描くか、それとも面塗りだけで表現するか、という使い分けや、色のグラデーションで統一感を出す技術、遠近感を出すための空気遠近法や進出色と後退色の使い分けなど、未熟なりに少しずつ活用できるようになってきたかなーと思います。
以前は、自分に力量がなくて表現できないと思っていたタイプの絵 (いつかこの足でや森のとびらなど) にも挑戦できるようになってきて、表現力がついてきた実感があります。
もちろんまだまだ苦手なことは多くて、室内の絵とか、マンガのような洗練された動きのある絵、世界観や時代の違う絵などは今後の課題なのですが、徐々にマイペースで挑戦していけたらなーと思います。
絵を描くことだけに集中して頑張っておられる方たちと違って、わたしは多趣味すぎて、ほかのことに時間がとられて、なかなか上達しないです(苦笑絵)
今も絵を描くペースが鈍ってしまっているのですが、まぁ、長い道のりにはそんな時期もあるよ、と割りきって、これからも地道に続けたいと思います。また来年、3年経ってどう変化したのか、ということを絵師進化録で報告できたらいいですね。
いつもわたしの絵や文章を見てくださっている皆さまに、心から感謝いたします。今後ともあたたかく見守っていただけると幸いです。
▽絵を描くようになって一年の感想
本格的に絵を描くようになって一年のときの感想や習得した技法は、去年のこちらの記事に詳しくまとめてあります。