pixiv、TINAMI、GALLERIA、Colors!ギャラリー、Chixi、CJキューブなど、お絵かきSNSやその亜型と呼べるものはいろいろあります。
わたしも、しばらくそのようなお絵かきSNSをいくつか使っていましたが、メリット・デメリットを考えた末、使うのをやめました。
お絵かきSNSはどんな人に向いているのでしょうか。どんな人には不向きでしょうか。
あくまでわたしの狭い経験に基づく考えですが、メリット・デメリットをまとめてみたいと思います。
もくじ
メリット
■絵を継続する励みが得られる
わたしはもともと、SNSでだれかに絵を見てもらえるのが嬉しくて、絵を毎日描くようになったという経緯があるので、SNSが絵の継続に役立つことは確かだと思います。
自分個人でコツコツと絵を描いている場合に比べ、だれか見てくれる人がいる、と思うだけで、モチベーションにつながるものです。
自分の絵を見せる機会だけでなく、他の人の絵を見る機会も生まれるので、それをきっかけに絵を描きたいという思いも生まれます。
■交流の輪が広がる
SNSに絵を投稿すると、かなり多くの人に絵を見てもらえる機会が生まれます。はじめは数十人くらいかもしれませんが、それでも、現実にそれくらいの人に見てもらいたいと思っても実現できないような数です。
タグ検索できるSNSや、コメントでの交流ができるSNSの場合、同じような趣味の人と知りあえて、仲良くなれることもしばしばです。現実では、同じような感性の人と知り合える機会は限られているので、こうした交流は貴重かもしれません。
メリットともデメリットともいえない点
■自分の実力が分かる?
お絵かきSNSでは、絵のうまい人ほど人気を集めると思いがちですが、案外そうではありません。
確かに絵のうまさは大事ですが、それよりも、そのお絵かきSNSのユーザー層に人気のある題材を描く人のほうが、注目されます。
とても味のあるオリジナル絵より、時流に沿った版権絵のほうが人気があるということはよくあります。
また、絵はたいていサムネイルのサイズに縮小されてタイムラインに並ぶので、ひと目で魅力がわかる即物的な絵が優遇されがちです。
そのようなわけで、あるSNS内では高い人気が得られた絵が、そのほかのSNSや、現実の家族や友人にも気に入ってもらえる絵であるとは限らないのです。
現にわたしの場合、普段描くメルヘン絵より、版権もののアニメイラストのほうが、SNS上では人気がありましたが、そうした絵はリアルで付き合っている友人たちのニーズには合いません。
結局お絵かきSNSで分かるのは、自分の絵の実力ではなく、単に狭いSNS内での人気度だけです。
■絵の技術を学べる?
お絵かきSNSで、自分より絵のうまい人と交流していれば、絵がうまくなるのでしょうか。わたしはあまりそうは思いません。
一見、絵のうまい人からいろいろと教えてもらう機会がありそうに思えるのですが、ネット越しに完成した絵を見るだけでは、ちょっとアイデアを盗めるくらいしかありません。
たいていお絵かきSNSで絵が上達している人は、上手な人との交流ではなく、描き続けることによる試行錯誤の中から上達しているように思えます。
結局のところ、絵の技術を学びたいなら、積極的に絵の講座を読んだり、動画を見たりして、自分でこつこつと学ぶほかなさそうです。
■ギャラリーを持てる?
お絵かきSNSのマイページを持つと、自分の作品ギャラリーを作ることができます。
タグなどで整理され、サムネイルで絵が表示されるギャラリーは、無料ブログなどにギャラリーを持っている場合より、よほど見やすく使いやすいものです。
ただし、pixivなどの場合、会員でないと見られないというデメリットもあります。わたしとしては、お絵かきSNSの亜型としても使えるTumblrでギャラリーを作るのがお勧めです。
デメリット
■数字が目に入る
どのSNSでも、反応の数が目に入ります。何人がお気に入りに登録してくれたとか、いいねを押してくれたとか、そういう反応の数です。
これは一見、反応があって嬉しいように思えますが、わたしはこれがメリットとは思えなくなりました。
確かに、初期の頃は、この反応の合計が100を超えられるように頑張ろうとか、1000にいったら嬉しい、というのがありました。
しかし上記で描いたように、SNS上の人気度は、絵のうまさとは必ずしも関係ないのです。
自分が気に入っている絵でも反応が乏しかったり、適当に描いた版権絵が評価されたりすることはよくあります。
自分ではお気に入りの絵だったはずなのに、反応を見てしまったがゆえに、それ以降、その絵について複雑な気持ちを抱いてしまうということもあります。
数字を全然気にしない人や、かえって反応を楽しめる人にとっては、問題ないかもしれませんが、そうした人はあまり見かけなかった気がします。
■人と比べてしまう
数字で評価されると、自分の絵を他の人の絵と比べることが可能になります。
だれだれの絵と比べると、自分の絵は、こんなにちょっとしか評価されていない、と考えたりしがちです。
いろいろな絵を見るのは勉強になりますが、評価を比べるのは、悪影響しかありません。
単なるテストの点数で価値が比べられてしまう偏差値教育のようなもので、実際には、物事の一面しか表さない数値なのに、それを指標にすべてが縦一列に並べられてしまうという現象が起きます。
人によるかもしれませんが、わたしは、自分のお気に入りの絵が、ほかの人の絵と比べてランク付けされるのが嬉しいとはあまり思えません。
■交流に疲れる
交流は楽しいですが、限度があります。SNSには限度がありません。
基本的に長く続ければ続けるほどフォロワーは増え、交流の輪は広がっていきます。
仲の良い人が増えると、タイムラインを確認するなど日課も増えていきます。
どこかで制限をかける必要がありますが、簡単なことではありません。
小さな交流の輪の段階では、居心地が良いと思えるSNSも、交流が際限なく広がってくると、疲れるだけ、という場合もあります。
結論として
SNS上で、他の絵描きさんと交流を楽しみたい人、流行の絵を描いて、その反応を見たい人には、お絵かきSNSはおすすめです。
しかしマイペースに自分の好きな絵を描くことを楽しみたい人にはあまり向いていないようです。
わたしの場合は、自分がやりがいを感じているのは、絵を見てもらうことではなく、絵を描くことそのものだと気づきました。
お絵かきSNSは、絵を描くことのハードルを下げるのには役立ちましたが、疲れる部分も多くありました。
もしできるなら、一番望ましいのは、現実で、絵を描く仲間を持つことだと思います。
クラブ活動の仲間だったり、美術学校の同級生だったり、作家展などに参加してできた友人だったり。
わたしの場合、残念ながらそんな環境はありませんが、絵を気に入ってくれる人はいるので、お絵かきSNSがなくても、それなりに楽しくやっていけそうです。